インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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EPⅣⅩⅠ「臨海学校と陰謀PARTⅤ」

Sideイチカ

誰も来ない事を確認しかつての戦友達と俺とカレンは話していた。

「まさかリトルガーデンまでもが此方の世界に来ているなんてな」

「『今迄圏外だったお前達のPDAからの反応があったからもしやと思ってな。

連絡入れてみて良かったぜ!』」

「はは…」

フリッツの話に俺は苦笑していた。

「そういえば兄さんとサクラさんは何処ですか?」

「『ン?ああハヤトと霧島なら会長に呼ばれていったぜ。

恐らくお前達の事だろうな』」

「そうみたいですね」

カレンの疑問にフリッツはそう答えた。

「アリナは?」

俺の姿を見つけたら真っ先にこっちに来るであろう少女の姿が見当たらない。

「『アリナはね…ヴァリアントの力を使い過ぎて未だ眠ったままなんだ…』」

「なんだって!?一体何があったんです?」

エミリアさんが重い口調でそう話した。

俺は驚きが隠せない。

「『アリナはあの元教皇に利用されてしまったんだよ…イチカ、貴方への想いをね…』」

「!…」

以前グーテンブルグで会ったあのセリヴィアとかいう教皇が人類に反旗を翻し、そして俺への想いを持ち続けていたアリナを誘惑しヴァリアントの力を暴走させ皆を襲わせたらしい。

彼女の暴走はエミリアさんが必死の思いで止めたそうだがその弊害でアリナはヴァリアントの力を使い過ぎてしまい眠りについてしまったらしい。

「『あの子は私以上にグーテンブルグ王家に不信感を抱いていた。

でも他人を信頼していなかったあの子がイチカ、貴方という存在に出会って変わったんだよ』」

「…」

だけど不器用な俺にはどこぞの無責任な愚兄と違ってカレンと同等の愛を他の女性に与えるなんて真似は出来っこない。

「アイツの目が覚めたら一発はたいてやらないとな…」

大元の原因はアリナの想いを己の逆恨みでしかない私怨の為に利用した元教皇にあるが俺も原因の一端である事を自覚しいつの間にか流していた涙を拭いていた。

 

Sideカレン

「イチカさん…」

かつての恋敵であったアリナさんの現在の様子をエミリアさんから聞いて私とイチカさんは驚きを隠せませんでした。

イチカさんはアリナさんが暴走した原因の一端は自分のせいだと自覚して涙を流していました。

「イチカさん本当に私を選んでくれた事に後悔していませんか?…」

「カレン?…」

私は途端に不安になりイチカさんに問いかけました。

「…俺はなカレン、お前にあの日出会ってからずっと惹かれていたんだ。

今更その想いを消すなんて事は出来やしないさ…」

私の問いにイチカさんはそう答えてくれました。

なら私も覚悟を見せなくてはいけませんね。

「…なら私もアリナさんを傷付けてしまった罪を背負いますよ」

「カレンお前…」

イチカさんは私の決意に驚いた表情をしていました。

これが彼に選ばれた私に出来る最大限のアリナさんへの贖罪なのですから…。

「『ひゅーひゅー!よっ!お熱いお二人さん!』」

「「はっ!…///~」」

フリッツさん達に見られている事を忘れていた私達は抱き合い、気が付くと彼等にからかわれ恥ずかしさで一気にショートしてしまいました。

「あーちょっとこっちの友人が呼んでいるようだからまた後でな!」

「『あちょ!?イチカ…』」

イチカさんも恥ずかしさのあまり強引に通信を切った直後でした。

「此処にいたんだイチカ兄さんとカレンさん。

織斑先生が呼んでいるよ」

「今行く」

春季さんある意味グッドタイミングです。

 

Sideイチカ

「…以上が今回彼等が無断出撃した結果です」

「報告どうも。

全くあの馬鹿者共は…」

美月が無断出撃した馬鹿二人を回収した後報告会が開かれた。

戦闘域内に迷い込んだ密漁船と正規の漁船の救助をしないで尚の戦闘行為、途中で多数のサベージ出現。

美月が言った短髪少女とは恐らくナクリーだろう。

彼女が人命救助とサベージを引き受けてくれていなければ今より無残な事態になっていたかもしれない。

愚兄は福音の攻撃をモロに受け重傷を負い現在昏睡状態に陥いっており、モップは無断出撃及び人命を疎かにしようとしたという事で再び出撃するまでの間、謹慎処分を受け部屋にいる。

正に良い気味である。

「福音だけでもかなりの脅威なのにあの化物までがいるなんて…」

少なくともヴァリアブルコアの無いシャルのリヴァイブやオルコット嬢のブルーティアーズは足手まといでしかない。

まずは早急に福音を堕とすのが最優先事項か…。

そして本来の出撃予定日

「コイツ等一体何処から湧いてきてんのよ!?」

再び何処からともなく出現したサベージの砲撃と福音のオールレンジ攻撃に皆苦戦を強いられていた。

「福音を堕としてからというのも無理がありましたわね…」

「仕方無い!福音はシャル、オルコット嬢、鈴、春、美月で抑えてくれ!

サベージは残りの俺達がやる!」

「「了解!」」

それぞれ動き出す。

「わ、私はどうすればいいのだ?…」

「…」

少しでも戦力が欲しいとの事で箒も謹慎が解かれ出撃していたがはっきりいって今の彼女ではシャル達以上に只の足手まといにしかならない。

「お前は美月の後方援護をしてくれ」

「わ、分かった」

俺は箒にそう指示を出すしかなかった。

「いくぞサベージ共!」

俺はまず厄介な飛竜型を叩き斬っていく。

「ラウラ!カレン!」

「任せて下さい!」

「承知!我々も百武装展開だリィ!」

「『分かりました!』」

ラウラのハンドレッド、『黒の宣告神手腕<シュヴァルツェア・ゴッドスマ―ケンハンド>』とカレンのビームが弩級型を叩き潰していく。

「ツクモお願い!…」

「やるな!コイツで堕としてやる!」

セラフィーノのドラグーンが飛竜型の障壁を削っていき、その隙に距離を詰めたイツカのスピアが貫いていく。

「後は巨蠅型だけか!…」

射撃系の攻撃を全部無効化してしまう程の強固な障壁を持つ巨蠅型を捉え斬りかかった。

「<残影斬>!そして<残影斬・弐式>!」

「グギャオー!?…」

「セラフィーノ頼む!」

「うん!…<付喪蒼炎神>!…」

一気に障壁を削りセラフィーノの蒼い炎の斬撃で巨蠅型を殲滅したかに見えたのだが…。

「!?まだ湧いてきやがるのか!?…」

また海中から多数のサベージが出現してきて劣勢に追い込まれてしまった。

キュイーン!

上空でそんな音が聞こえ俺は思わず空を見上げて絶句した。

「なっ!?…この土壇場で福音のセカンドシフトだと!?…」

只でさえエンカウントしてくるサベージの対応に追われているというのに!…

「隙ありぃー!」

「!貴様は!…」

空を見上げ驚いていた俺に対し短剣を突き付けてきた輩がいた。

俺はすんでの所で回避する。

だが目の前に現れたのは…

「あっひゃひゃ!本当に久し振りだな剣崎イチカアァー!」

「ギリウス・クラウス・ウェンズ!貴様!…」

俺の因縁ともいえる相手だったのだ。

 

 




次回、イチカの因縁の相手ギリウスが彼の目の前に現れたのを尻目にイチカはかつてギリウスが行おうとした暴挙を思い出し彼に対し激しい憎悪を向けヴァリアントの力を暴走させてしまう。
一方、セカンドシフトしてしまった福音に苦戦を強いられていた春季が目にしたのは…。
「臨海学校と陰謀PARTⅥ」

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