インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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EPⅢⅩⅧ「臨海学校と陰謀PARTⅡ」

Side箒

「力が必要だ…秋彦を守り彼が一番だと示す私だけの力が!…」

剣崎や出来損無いの春季などよりも秋彦が一番だと思っている。

それを守る為の力が私も欲しい!…

そう思い立った私は電話をかけた。

 

Side束

デデン♪~「この着信音は…」

あんまり今では見たくない着歴だけど仕方無く出てやる事にした。

「もすもすひねもす~!皆のアイドル束さんだよ~!」

『「斬りますよ?」』

「字が違うよ!?

それより何の用なのかな箒ちゃんは?」

『「私に…専用機を下さい!」』

「それはどうしてかな?…」

『「秋彦を貶める者に対抗出来る力が欲しいからです!」』

「…」

理由を聞いた私が馬鹿だった。

箒ちゃんはちっとも変わってくれてなんかいないみたいだ。

「そ…考えておくね。

確か箒ちゃんと美月ちゃんの誕生日は明日だったからね…」

『「お願いします」』

私は彼女に対し物凄く曖昧な返事をし通話を切った。

そして私の娘達を見やる。

「白式の稼働率は十九%か…予想よりもやはり遥かに下回っちゃったか…やっぱりあっくんなんかには荷が重過ぎたようだね。

それに今の箒ちゃんにはこの子を任せるにはまだ未熟だよ…」

私は新たに設計した紅き機体と、桜色の機体、それに緑色の機体その三機を見据えた。

 

翌日、Sideイチカ

「なんだありゃ?」

「…」

臨海学校二日目の早朝から旅館から出て早々に運悪く愚兄と遭遇し俺は不機嫌になるが彼はすぐ外に突き刺さった人参の様なモノを見て声をあげる。

御丁寧に「引っこ抜いてみてね☆」と書かれてある小さい看板も刺さっている。

アレは束さんのシャトルロケット!

ああ、そうかそういえば今日が彼女達の誕生日だったけな…片方祝いたくないけど。

恐らく束さんが直々に誕プレを渡しに来たのだろう。

「あの人も実にマメなものだ」

という事は俺が依頼した案件も全て調査済の筈だ。

俺は来たる時に備え用心していた。

そして昼食を終えるとすぐに外でISの整備実習に入った。

「ではこれより専用機組には各自パッケージ等のアップデート・換装を施した後模擬戦をしてもらう。

それ等が無い者はそれまで各自で手伝え」

「あの、ちふ…織斑先生なんで専用機を所持していない筈の箒と美月、それにアランシュさんがこっち側にいるんですか?」

愚兄がようやく気付いたのか賢姉殿に訊ねる。

「ああ、それはだな…「ちーちゃああーん!」全くあの馬鹿者…」

賢姉殿が事情を説明しようとすると突如それを遮る声が遥か上空から聞こえてきた。

今朝の人参型シャトルロケットを使って文字通り飛んで来た束さんである。

「フー!ちーちゃん会いたかったよぉ~!さあさあさあ!束さんと久方振りの熱いハグハグしよーよ!」

「フンヌ!」

「おぺぴぴぴィ~!?」

地上に着地して一息ついた後すぐに束さんは賢姉殿に抱きつこうとしたがすぐに賢姉殿特製のアイアンクローを喰らわされ素っ頓狂な叫び声を上げながら頭を抑えるがすぐに復活する。

「相変わらずの容赦無い凄いアイアンクロー振りだねちーちゃん」

「五月蠅いぞ束。それに僅かでも耐えれるお前も十二分に凄いけどな…」

「それに箒ちゃんも美月ちゃんも順調におっぱいが大っきくなってきているね~うん!」

ゴツン!

「殴りますよ?…」

「箒ちゃん殴ってから言ったぁー…」

「あはは…」

束さんがモップや美月にスキンシップを交わすとモップは彼女に鉄拳を喰らわし一方の美月は苦笑いを浮かべていた。

「あ、あの織斑先生?今この方の事を束ってもしかして…」

オルコット嬢が恐る恐る賢姉殿に訊ねる。

「ああ、コイツは正真正銘のIS開発者であり箒や美月の姉でもある本物の篠ノ之束だ」

「はろはろ~!私が束さんだよー!」

「「ええー!?」」

今迄束さんの姿をISの発表当時の事しか知らない者達は驚きを隠せないようだ。

「でも何故今になって此処に篠ノ之博士が現れたのですの?」

オルコット嬢が続けて疑問を口にする。

「それはねー美月ちゃんを含むそこのお三方に束さんからのお手製ISのプレゼントを持ってきてあげたからなんだよ~!」

「「はい?…」」

束さんの発した言葉に事情を知らない者達は固まる。

というか美月の名前が先に出てきた事から本当に溺愛しているようだ。

「ま…待って下さい束さん!箒や美月ならまだ分かるのですがどうしてアランシュさんの分まで用意する必要があったんですか?!」

愚兄が納得いかないのか異議を申し立ててくる。

普段馬鹿にしている美月の事に関しては束さんの前でもし言ってしまえば地獄を見る事になるので今は我慢しているようだが。

「アレ言ってあげていなかったかな?

イツカちゃんはね私の義理の娘なんだよ…愛する娘に専用機を作ってあげてあっくんに何か都合の悪い事でもあるのかな?」

「「えっ!?」」

「ぐぬっ!?…」

束さんの素っ気無い返答に愚兄は押し黙るがやはり納得はしていない様子だ。

他の皆も驚いている。

「お、御義母さん…」

そうイツカの辛い過去を知った束さんは彼女を養子扱いとして迎え入れていたのだ。

正に実の娘の様に可愛がっている。

当の本人は少し恥ずかしがっているようだが。

「まあそういうワケだから今から御開帳するよ~!」

「コレが貴方方の機体です」

束さんが指をパッチンと鳴らすと後から来ていたクロエさんが専用シャトルからレッド、ピンク、グリーンの大きなボックスを各一個ずつ運んできて開封した。

「こ、コレが!…」

「…」

一機目は真紅に染め上げられた機体、二機目は桃色というよりは桜の花弁に近い様なカラーリングの機体、そして最後の一機は緑一色に彩られられている機体だった。

「此方の紅の機体名称は「紅椿」可変装甲である展開装甲を備え主にはレーザーブレード【雨月】とエネルギーブレード【空裂】の二振りの刀剣を扱う近接戦闘がメインの機体にございます。

更にあちらの桜色の機体は「桜陽雀朱」主に弓と剣モードの切り替えが可能な創聖弓剣【桜陽弓剣】とカートリッジ式ビームガン【桜雪】を扱った中距離戦闘がメインの機体です。

そしてこの緑色の機体は「エメラルライド・ナチュルス」主にビームスピア【エメラルライドススピア】、ビームライフル【ライトハンター】、ビームと実体の切り替えが可能な【エメラルライドシールダー】等の攻守共に非常にバランスの良い武装を兼ね備えたオールラウンダーな機体です」

クロエさんが淡々と説明をしていく。

「ちなみにこれ等の機体は第四世代の性能を兼ね備えているのだよはっは~!」

「だ、第四世代!?」

「各国でようやく第三世代の生産体制に入れてそんなに経っていないというのですのに…」

束さんの爆弾発言に他の皆は頭では分かっていながらも唖然としていた。

ちなみに既に改修を施されている鈴やラウラは勿論、セラフィーノは全く驚かないが。

「紅椿は箒ちゃん、桜陽朱雀は美月ちゃん、エメラルライドナチュルスはイツカちゃんにだよ!」

「ありがとう束姉さん!」

「あ、ありがとう御義母さん!…」

美月は本当に束さんの事を信頼しすぐに機体を受け取る。

イツカも照れ臭そうにしながらも受け取った。

「ありがとうございます…」

「…」

一方の箒はというと簡潔に礼を述べ何処かうっすら笑みを浮かべていた。

これは危ないな…。

「束もう良いだろう?時間がおしているのだが…」

「ん?良いよ!」

「という訳で先程告げた通りに作業を始めろ!」

「「分かりました!」」

賢姉殿の言葉でようやく各々動き始める。

とはいっても俺やカレンはISでは無い純粋なハンドレッドである以上もしもの事態の時の為にエナジーを極力温存しておかねばならない。

なのでカレンは一般機組の、俺はシャルがローグさんから送られてきたという新型パッケージ【パーフェクトパック】のインスト作業の手伝いをする事にした。

それからしばらくして山田教諭が慌ててやってきてこう言った。

「織斑先生緊急事態です!」

「何!?…」

 

 

 




ワイファイの通信制限がかかったせいで重いィ…しかも三日経ったというのに全然回復しないってどういう事なの?…
そんな中での更新なのでいつもよりもミスが多いかもしれないです。
次回、米国の新型機である銀の福音が制御を離れ暴走し日本海を往回しているとの緊急事態宣言を告げられた千冬にイチカ達専用機持ちにこれの討伐を命じる。
一方、力を手に入れた箒はそれに浮かれ、秋彦はまた何かを企んでいた…。
「臨海学校と陰謀PARTⅢ」
又予告詐欺になってたw

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