インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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EPⅢⅩⅢ「それぞれの救済PARTⅤ」

Sideイチカ

「突入する!」

「了解!」

春から夫人を嵌める事に成功したとの連絡が入り、俺はセラフィーノファミリーからの助っ人である灰鉄さんと共にデュノア社地下に監禁されている社長と良識派の社員を救出する為突入した。

「侵入者だと!?」

「チッ!?まだ見張りが配置されていたのか!…」

突入すると見張りに気付かれISを展開されたのですぐさま臨戦態勢に入る。

「邪魔を!するなー!」

俺は闇斬改弐式を構え見張りに斬りかかる。

「男のIS操縦者だと!?何故こんなとこ…ぐふっ!?…」

見張りが俺に驚いた隙を狙い一気にSEを削り強制解除に追い込んで気絶させた。

「大丈夫ですか?!」

「き、君は?…」

「ご安心下さい、俺の名は剣崎イチカ。貴方の息子…いえ娘さんにお願いされて助けにきたのです。

こりゃあ酷い傷だ…」

「しゃ、シャルロットが!?…それに君は…」

助け出したローグさん達の体のあちこちにはかなりの酷い傷がいくつも付けられていた。

恐らく長期間夫人の暴行に耐え忍んできたのだろう。

「だけどきっとシャルロットはマリナの死に目に遭えなかった私の事を相当に恨んでいる筈だ…」

「そんな事は無いですよ。

貴方は自分の娘であるシャルだけはあの強欲な夫人に傷付けさせまいと必死に耐え忍んできたんでしょう?

恐らく貴方についてきた社員の方々も一緒になってまで…それをシャルは分かっていましたよ」

「社長!…」

「そ、そうなのか?…君達も!…」

「ええ」

ローグさんの不安を取り払うかのように良識派の社員は全員頷いていた。

「…イネスはどうなったのだ?」

ほんの少しだけ情が残っていたのかローグさんは夫人の事を聞いてくる。

「イネス・デュノアは俺の友人が彼女の犯罪の数々を暴いた上で特大の地獄に突き落としてやりましたよ。

彼女の協力者達も含めて今頃は警察のお世話になっているでしょうね。

イネスが犯した犯罪も皆彼女が個人レベルでやった事になっています。

デュノア社自体には何の傷も付けられてはいませんよ」

「そうか!…」

イネス・デュノアの呪縛から解き放たれたローグさんの表情はとても希望に満ちていた。

「ならばその希望を抱いたまま果てろローグ・デュノア!」

「何、しまった!?…」

気絶させていたさっきの見張りがいつの間にか復活して新たにISを展開しローグさんにその凶刃を向けていた。

こんな事なら一切の手加減せずに残影一突斬を叩き込んでおくべきだった。

完全に俺のミスだ…。

だがその刃はローグさんに到達する事はなかった。

別方向から投擲された剣がその凶刃を弾いたからだ。

「貴様!?…」

「そこでストップさせて頂きましょう。

貴方達一部の横暴などでこの方達の希望を奪わせる訳には参りませんので」

ISを展開した灰鉄さんがそう言って凶刃を向けた女を睨みつけていた。

 

Sideレキナ

「イチカ殿!ローグ殿に危険が!…やはり気が付いていない…ならば!」

見張りの女性が復活している事に一早く気付いた私は専用機「エアクセルヴレイヴァー」を展開しローグ殿に向けられていた凶刃をコールした刺剣「エアクセルロンドレイピア」で弾き返した。

「き、貴様のその機体にその武装…やはりテメエは「刺剣のバトラー」!?」

「ほう、私の襲名を御存じとは…貴様はどこの者だ?」

私の存在を知っているとなるとかなり限られてくる…敵対するファミリーの者かあるいは裏に通ずる者か…どちらにしても油断は一瞬たりとも許されない。

「はん!誰が素直に「はい○○の者です」なんて言うかよ馬鹿が!」

「…埒が明かないようですね」

女には交渉の余地など持ち合わせていない様子は全く無く突撃してきたのでヴレイヴァーをディフェンスモードの装甲へと変換し防御する。

女の繰り出してきたロングダガーは絶対防御に到達する事も無くヴレイヴァーの装甲に当たり刃先が欠けた。

「んなぁっ!?なんつー固ってえ装甲だよ!?」

刃が欠けた事に驚いた女は飛び退き後退ブーストを吹かす。

不味い!奴が後退した先にはまだ逃げる最中であるデュノア社員が!

「行かせる訳にはいくかよ!」

「ぐあっ!?」

「イチカ殿!」

危機を察したイチカ殿が奴に斬撃を加えていた。

 

Sideイチカ

灰鉄さんの機体にもやはりヴァリアブルストーンが組み込まれていたか!

だが彼女は武芸者でも人工ヴァリアントでもないので装甲フレームにのみのようだがそのおかげでかなりの防御力を誇っているようだ。

それより今は目の前の敵に集中しなくてはいけないな。

「テメエ等!…散々邪魔しやがって!」

「ちょっとアンタには聞きたい事があるのでな…此処で無力化させて貰うぞ!」

「やってみろよ!」

激昂した女が先程よりも素早い攻撃を繰り出してくる。

がやはり俺には遅く感じる。

「甘いぞ!<残影一突斬>!」

「ぐあっ!?…」

渾身の残影一突斬の一撃を女に加え無力化させた…筈だったが…。

「かっは!?…散々アタシをここまでコケにしたのはテメエ等が初めてだよ!…」

「なっ!?あの一撃でまだ立てるだと!?…」

俺が女の悪意の執念に驚いていると彼女は懐からナニかを取り出した。

アレは不味い!

「灰鉄さん彼女を止めて下さい!」

「了解!」

灰鉄さんが自慢の刺剣の連撃で阻止しようと試みた瞬間。

「かかったなあ!」

「なっ!?まだそんな隠し弾を!?…」

「吹き飛べぇー!」

「ガッ!?…」

女がフルの弾倉を急に展開してきてそれに気が付いた灰鉄さんは再度解いていたディフェンスモードに切り替え直撃を免れるが大きく吹き飛ばされてしまう。

「コレでアタシは最強の存在へと成り変われる!…」

「やめろ!ソレが何なのか分かっているのか!?」

俺は忠告するが女は聞く耳持たず先程取り出したナニかを自らの腕に突き刺した。

「ウッ!?…ウオアラアァー!」

すると彼女は途端に苦しみ出したかと思うとその姿を怪物、サベージへと変えてしまった。

 

その頃、Side春季

「!なんだこの嫌な感じは!…まさかイチカ兄さん達が!…」

「どうしたの!?春季君」

「悪いシャル!君は此処で待っていてくれ!」

「あ!…いってらっしゃい…」

イチカ兄さん達の危機を察知した俺はデュノア社へと再び足を運ぶ事にした。

 

更に同じ頃、日本では Side音六&ラウラ

「!…この嫌な感じは…はーくん達に何が!?…」

「お姉ちゃんも感じたのか…私も兄上達が心配だ」

「はーくん達大丈夫だよね?…」

人工ヴァリアントの勘で危機を察した音六とラウラは二人イチカ達を心配するのだった。

 

 




次回、歪んだ悪意を燃え上がらせてしまったが故にサベージへと変貌してしまった女。
対するイチカ達は危機に駆け付けた春季と共に立ち向かう。
「それぞれの救済PARTⅥ」

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