インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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EPⅢⅩⅠ「それぞれの救済PARTⅢ」

Sideイネス

「はい?売渡し先が決まりそうですって?…」

「ええ、そちらよりも良いお返事が早目に貰えそうなんですよ」

夏季斑がまた翌日会社を訪ねてきたと思ったらそんな事を言ってきた。

しかもその相手はうちよりもシェアが低いモルゲンレーテ社ですって!?

ふざけるんじゃないわよ!

なんでうちよりもランクが低い奴等にこんなにも美味しい話を横取りされなきゃいけないのよ!

逃す訳にはいかない。

そう思った私は夏季斑に言った。

 

Side春季(冬貴)

「だ、大丈夫ですか?」

「え、ええ…夏季斑さんその件なんですがうちはもっと出しますのでお受けしたいのですがよろしいですか?」

息を荒げながら社長夫人はそう言ってきた。

仕掛けの第三段階を施してすぐにこの反応。

しめた!そう思った俺は最終段階の準備に入る。

「は、はい!

御社がその気なのでしたら勿論喜んで!

ではご契約金は二割増しという事でよろしいですか?」

「ええ、良いわ!…」

契約を終えた後の夫人の顔は恍惚の表情を浮かべていた。

そんな表情でいられる余裕ももうすぐなくなるというのにね。

 

「毎度ありがとうございやしたぁ~!」

「…」

夫人から契約金という名目で振り込まれた金を確認した後俺達はレキナさんとヤタさんと待ち合わせていたカフェに向かった。

「思っていたより取れたので情報料上乗せさせて頂いときますね」

「確かに受け取った…そいつは確かデュノア社の…」

シャルの存在についてヤタさんが問いかけてきたので彼女は途端に不安に思ったのか顔を伏せていた。

「大丈夫だよシャル。

この人達は事情全部を知っているから」

「そ、そうなの?…

で、でもこの人達って堅気の人じゃないよね?」

俺がそうフォローするとシャルは顔を上げたがまだ不審に思っているのか聞いてきた。

「あン?…なんだ次期候補、このお嬢ちゃんにまだ説明していなかったのかよ…」

「あはは…」

ヤタさんの指摘に俺は苦笑いで誤魔化した。

「まあ良い…俺はヤタ・フォン・アルイアーだ」

「私はレキナ・灰鉄。

現首領の命により参上つかまりました」

「え?え?どういう事なの?…」

ヤタさん達の紹介にシャルは混乱しているようだ。

「そこのあんちゃんはウチの次期首領候補に推薦されているってだけの話だ」

「しゅ、首領候補?…」

「セラフィーノファミリー…名前ぐらいは聞いた事ある筈だ」

「え?それってもしかしてあの!?…」

「ああ…」

ようやく理解しえたシャルは驚きを隠せないようだ。

まあ、そりゃそうだよな普通。

男性操縦者の内の一人が実はマフィアの首領候補に推薦されている一人だなんて事は思いもしないか。

「そういえばセラフィーノって確か…」

「ああ、音六は現首領の娘なんだよ」

「そ、そうだったの…」

シャルは音六の事を思い出したのか問いかけてきたので素直に答えた。

「皆良い人達ばかりだよ… 

音六の母親はまるで音六と姉妹みたいだし(本人気にしているけど)現首領である父親も相当に良い人だしな!」

「…この件が終わったらいつかお礼言いに行ってもいいかな?」

「ああ良いよ!」

シャルも俺の話を聞いて警戒を解いたらしくそう笑顔を浮かばせていた。

「それでレキナさん仕事の話に戻りますが俺が最終段階の仕掛けを発動したらAと共にシャルのお父さん、デュノア社社長は社の地下室に捕らえられているそうなので彼の救出に向かって下さい」

「了解しました」

さあ、ここが正念場だ。

 

 


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