インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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EPⅡⅩⅨ「それぞれの救済PARTⅠ」

Sideイチカ

「これで準備完了と!…」

「本当に行かれるんですか?」

「ああ、そんなに時間猶予が無いようなんでな」

あれから一週間後の五月前、GWを利用して春と一緒にシャルの父親を救う為にフランスへと向かう準備を進めてきた俺はカレンに理由を話した。

勿論シャルの正体が女性である事も。

「必ず帰ってきて下さいね?…」

「約束するさ!」

「いってらっしゃいです」

カレンに見送られ俺は学園を後にした。

 

Side春季

「それとあれと…そしてこれも必要だな…本当に上手くやれるんだよな?…織斑春季」

俺は今迄セラフィーノファミリーで培わされた持てる力を駆使してデュノア社、いや社長夫人を含む女利権団体や癒着している政治家の悪事の数々を公の目前に曝け出させる為に下準備を進めてきた。

「大丈夫…私ははーくんとイーくんならデュノアさんと彼女のお父さんの事を救えると信じてるから…だから安心していってきていいよ!…」

音六がいうには向こうで後からレキナさんも合流するとの事だ。

確かに俺とイチカ兄さんだけでは不測の事態を収拾しきれない可能性が出てきても可笑しくはないな。

「音六…それじゃあしばらくの間頼むぜ」

「うん!…」

音六に激励された俺はイチカ兄さん達との待ち合わせ場所へと急いだ。

 

そしてイチカ達がフランスに到着していたその頃、Side?

「何やってるのよこの無能が!」

「かなり随分と荒れているようだね」

「あら貴方!来てたの」

そう彼女こそデュノア社社長夫人のイネス・デュノアなのである。

彼女の前には謎のフードの男がいた。

「いくら今の夫と夫の愛人の娘を始末して計画倒産させる予定の会社の金だからと勢い余って株やら不動産投資なんかやるんじゃなかったわー…不慣れな事はやるものじゃないわね…」

「…そうだね…」

イネスは目の前の男と現在愛人関係にあった。

まあ…いずれは彼も利用し潰して始末する計画を立てているようだが…。

それが既に男にバレていて彼の手の平で踊らされているとはイネスは微塵も思っていない様だ。

「ン?ようやくあの馬鹿な義娘が必要な情報を送ってきたようね

これでもっとバンバン儲けるわよ!」

「…」

イネスが高笑いしながら席を離れたのを見計らって男はシャルが送ってきたデータをコッソリとコピーし盗み見る。

「(間違い無い!…以前にあそこに侵入した時は何者かにバレて其処までの余裕は無かったが…これはISだけのデータではない!

百武装も混ざっている!となるとこれらを開発した人間は…奴でもう間違い無い!

精々利用させて貰うぞ…この会社も亡国企業もな!)」

男はそう呟きながら姿を消した。

 

その頃、デュノア社より少し遠目のホテルに到着したイチカ達一行は

Sideイチカ

「良いかい兄さん?もう此処ではお互い偽名かコードネームで呼び合おう」

「了解したSH」

「此処からは俺に任せてくれて良いから。

じゃあ後ろは頼んだよA」

「い、いってきます」

春…じゃなかったSHは着いて早々にシャルと一緒にデュノア社へと訪問に赴いていった。

さてと俺は戦いのその時までデュノア社の背後に潜む影の奴等を調べますか。

 

Sideイネス

「どれもこれも似た様な額ばかりね。

もっとこうドドーンとドデカく大儲けが出来る口はないかしら…ン?これは…」

新たな儲け口を探していた私の目に飛び込んできたのは紛れも無いかなりな大口の儲け話の情報だった。

『最先端IS特許技術設計取得権確保!貴方にローリスクハイリターンを約束します』

いわゆる特許を取った最先端ISの技術設計の権利を売るという話だ。

これは…例えばこの権利を買い取った後、量産し特許技術である事を隠した上で他の企業に売り飛ばしてからその売りつけた企業に特許を侵害されたとの訴えを出せば私には何の痛手も無く慰謝料がガッポガッポ入るという訳だ。

どうせ今は女尊男卑の世だしロクな捜査はされない筈。

たとえこの会社を計画倒産させた後でも十分過ぎる金が手元に残るわね。

だが待て、これだけ美味過ぎる話にはよく注意して下調べしないとね。

早急に部下に調べさせたが心配は無用の本物の話だったようで一安心する。

「まずはこの話を聞かなくてはいけないわね…」

私がそう思っていると社の呼び鈴が鳴る。

「馬鹿義娘?

それに男を連れてきているわね…いいわ入れなさい」

私は何故義理の娘が社に帰ってきたのかは分からなかったが故に社内に入れる事にした。

「義母さん、僕が送った情報は見てくれました?」

「ええ、本当ならまだまだ欲しい所だけどもガードが堅いなら仕方無いわね…」

「それともう一つとっておきの情報があるんだよ。

それは彼が説明してくれますよ」

「どうも初めまして。

私は夏季斑 冬貴と申します。

最先端IS事業部の者です」

「なんですって?…」

私は目を見開いて驚いた。

義理の娘が丁度私が乗ろうとしていた件の最先端IS特許技術取得権売買の担当という男を連れてきたのだから。

 

 

 




どれだけの長編になるか分かりませんがそれぞれの道での救済と戦いが始まります。
次回、セラフィーノファミリーで培わされた裏の技をシャルと彼女の父親を救う為に発揮すると決意する春季は偽名を名乗りシャルの紹介を通して技術特許権を餌にデュノア社に乗り込み社長夫人であるイネスに接近し仕掛けを施す。
一方、イチカは単身デュノア社の背後に潜む影を調べる事にするがそこで驚愕の事実を目の当たりにする。
「それぞれの救済PARTⅡ」


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