インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Side春季
一度目に渡った並行世界で出会った兜甲児さん等と別れ、新たな世界に足を踏み入れたのだが…
「!?…」
「どうした音六!?」
この世界に足を踏み入れた途端に突然音六が震え出していたのだ。
「この世界のISコア達の苦しむ声が次々と聴こえてくるの!…それも尋常じゃない…!」
「何だと?…」
真逆…秋彦兄さんみたいな傍迷惑な存在でもいるのか?
「嫌、違うなコレは…アレを見てみろ」
「?…!!」
「はーくん?…」
イツカさんに言われ俺達は彼女が指指した方を見た。
それはあるニュース番組を映したモニターだった。
絶賛生放送中の様なのだが…
瞬間、俺は急いで音六の目と耳を塞いだ。
これは…とても音六に見せられる内容なんかじゃない!
「馬鹿な!?…あれはオルコットではないか!」
「なんであんな事を!?…」
ラウラとシャルも驚きを隠せなかった。
それもその筈だ…モニターに映っていたのは女性の尊厳を犯した罪だとして公開処刑をされそうになっている男子に笑いながらブルーティアーズのライフルの銃口を向けているオルコットさんの姿が映っていたのだから…。
この世界の彼女は女尊男卑に染まってしまっているままなのか!?…
恐らくは表向きはでっち上げの冤罪であろうが。
今は兎に角!…
「彼を助けに行こう!」
「だが…」
「目の前で理不尽に奪われそうになっている命を見捨てられるかよ!」
「!ああ、そう…だな!」
渋るラウラ達に俺は叫び急いで男子の救出に向かうのだった。
「ほう…我々の知らない勢力のお出ましか…ならば我々も協力しよう!
あの男を失うのは我々にとっても惜しいのでな!」
影で男が見ていたのに気が付かないまま。
Side?
「糞がっ!…」
「懺悔は出来ていまして?」
「だ、誰がすっかよ…」
「まあ!?」
俺は黒雪 月夜、任務の為にこの糞っタレな世界に一時帰ることになったが俺は元家族だった織斑の糞野郎が犯した罪の身代わりにされ女尊男卑のIS信奉至上主義者共に公開処刑という名の磯にされてしまった。
あの糞野郎の影響で更に毒された天才(自称笑)のイギリス御嬢様は相も変わらず俺にライフルの銃口を向け続けている。
糞…とてもじゃないが体が思うように動かねえ…主不甲斐無い奴ですみません…。
俺が目を閉じ死を覚悟したその時だった。
ザッ!
「!?」
「な、一体何事ですの!?…」
何かに俺の手足の枷が切り裂かれたのだ。
想定外の事態に信奉者共は慌てふためく。
『ワオーン!』
推奨戦闘BGM「Face of Fact RESOLUTIONVer♪」もしくは「Shuffle」
「い、犬!?…はっ!?真逆、今噂の「黒の騎士団」の手の者!?…」
「何をしている!早く追い出せ!」
「わ、分かっていますわ!…」
処刑場に乱入してきたのはアルフォンスの使役するシルバー・ブリッツだった。
イチカ達との鍛錬のおかげもあって動きがかなり洗練されたシルブリに翻弄され彼女達には全く捉える事が出来なかった。
そこへ更に
『ピヤー!』
「今度はコンドル!?こ、この!…キャア!?…」
「警備班は何をしてい…キャアア!?…」
今度はアヴリルのエアトスが何処からともなく飛来し、場を搔き乱す。
「なんだ一体?…」
「『黒雪 月夜だな?話がある。
聞く気があるのならば指定の場所まで来い』」
「…」
俺は訳が分からないまま茫然としていると、謎の通信が入ってくる。
少し考えこのまま黙っている訳にはいかないと俺は隙を突いて走り出した。
「あ!?…」
天才様(笑)の茫然とする声を耳にしながら…
Side少し前の頃の警備班
「「キャアアー!?」」
「弱過ぎる!」
「『そんなものでは私達には届きませんよ~だ!』」
「煽らないでね」
ラウラの神なる怒りの鉄拳が警備班を阿鼻叫喚に染めていた。
そんな様子にシャルが頭を抱えていたとか
Side春季
「此処か!?…っていない?…」
厳重(俺達にとっては軽過ぎる)な警備を突破し会場の最奥に辿り着くと張り付けにされていた筈の男子の姿がなかった。
間に合わなかったのか?…いや待て…彼方のオルコットさん達は未だシルブリとエアトスの対応に追われている。
そんな余裕は持てない筈だ。
ならば騒ぎに乗じて自力で逃げ出せたのかもしれないな。
「男が何の用ですの!?」
シルブリとエアトスが帰還命令を受けて姿を消すと、今度は突如として現れた俺に敵意を向けてきた。
話し合いの余地は無しか…仕方無い!…
「こういう者だよ」
「そんな!?それはIS!まだ動かせる男が居ただなんて!?…」
悪いんだけど雷牙は純粋なISではないんだよな。
ちなみに雷砲血神ではなく俺の付喪紅炎装を今は展開している。
音六、お前が感じた悲しみは俺が全身全霊を以てぶつけてやる!