インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
てか覚醒後のSSRルビィちゃんこれどういう状況なんだよ?w
…まさか再来週でURヨハネたん実装きたりしないよな?…石貯めさせて下さいよ~
「…」
「お?春こんな所で何しているんだ?もうすぐお前の初試合が始まるぞ」
俺は未だISの整備室で春が俺と束さんが彼の為に共同で製造したハンドレッドとISのハイブリッド機である『千式雷牙』を眺めている春を見つけた。
「あ、イチカ兄さん…」
「やっぱり不安なのか?」
「う、うん…俺なんかが兄貴や代表候補生に勝てるのかな?って…やっぱり凄く不安なんだよ…」
「フム成程な…」
やはり彼の中で渦巻く不安は拭えないようだった。
「愚兄はともかくとしてオルコット嬢は確かに強敵だ。
だが春、お前の中にも確かといえる何かがある筈だ」
「お、俺の中の何か…」
束さんから聞いた話によると俺がいなくなっていた空白の二年間の内の半年間の春はほんとに不良の道一歩手前な所に入りかける生活を送っていた。
でもその後は家に帰ってくる日が多くなってきたらしい。
その一因となったのが俺も此方での小学校時代少しの間だけお世話になった事のある人物に再会したからだった。
その人はあらゆる格闘技に精通しておりISが世に出てきてからも臆する事無く様々な大会で優勝を勝ち取っている凄い人である。
「だから春、時には他人だけでなく己を信じる事も大事だ。
その信念こそが力を引き出す基本的なトリガーになるのだからな」
「…」
その人物に再会し武の神髄とは何たるかを請うてもらい、おかげで春は己自身の才能を開花させているのだ。
少なくとも剣道一本だけを馬鹿正直にやり、姉の持つ権力に縋り付いて他人を見下し突き落とす事でしか周囲の評価を上げられず尚己を見誤り過信している愚兄に負ける要素はほぼ無いといっても過言ではないだろう。
「ま、そういう事だから後は頑張っていけばいいぜ!」
「ありがとうイチカ兄さん!俺いってくるよ」
「ああ!」
俺の言葉を聞いて安心したのか春はほっと一息ついてから千式雷牙を纏ってアリーナへと向かって行った。
「さて俺も観に行きますか!」
俺も観戦に向かうのだった。
Side春季
「やっと来たか春季」
「…」
仁王立ちで待ち構えていた秋彦兄さんは雪片を既に構え斬りかかる準備をしていた。
俺は只この兄さんとは話したくなくて無言を貫いていた。
「オイ…何とか言ったらどうなんだよ春季?!」
「…」
しつこく責め立ててくる兄さんだが取り繕わない。
「もう良い…春季お前じゃ俺の剣道にもISでも勝てないって事を教えてやる!
見た所その鈍重そうなISじゃ尚更なあ!」
「はあ…いこう千式雷牙!」
勝手に切れて突っ込んでくる秋彦兄さんに対して俺は拳の構えを取る。
「何だあ?まあいい『零落白夜』!」
「鳳流奥義第壱の型、『気脈流一鉄功』!」
秋彦兄さんは俺の構えが何なのか分からずとりあえず零落白夜を発動した雪片で斬りかかってくる。
「そう来る事は分かっていたよ!」
「何ッ!?…」
俺は千式雷牙の武装の一つ『雷閃双爪』をコール、俺自身が身に着けた技の一つで兄さんの気の流れを読み取ってから瞬時加速をし一気に間合いを詰めた。
「第弐の型、『白鳳閃百撃』!ヒョオ!」
「んなあっ!?…がっ!?ぐっ!?ぽぉっ!?」
そのまま間髪入れずに兄さんに百の拳撃ラッシュを叩き込んだ。
みるみる兄さんの白式のシールドエネルギーが削られていく。
「て、テメ…いつの間にそんな技を!?そ、それになんで俺の剣が見切れるんだよ!?」
「一体何年兄弟やっていると思っているんです?
それに己と他人を一括りにして知ろうとしなかったのは兄さん、アンタの方だからな」
本来ならこの馬鹿正直な剣筋は第壱の型を使わなくても簡単に読めたのだが今迄を振り返り再スタートをする決意と覚悟を決める為あえて使ったのだ。
「ン?コレは…」
兄さんに打撃ラッシュを加えた直後、千式雷牙の拡張領域<バススロット>がいつの間にか増えておりそこには『雷砲血神』という新たな武装が追加されていた。
「使ってみるか…来い!『雷砲血神』!」
Sideイチカ
「イチカさんあれって…」
「ああ、春の奴もうアレを解放させたのか!」
予想していたよりも早いハンドレッド擬き武装の覚醒の早さに俺は少しだけ驚いた。
成程な…それが春、お前の覚悟という事か!
俺と束さんとで造りあげた試作第壱号であるハンドレッド、それが千式雷牙に搭載された『雷砲血神』である。
その他詳細等についてはバトルを観ながら説明していこう。
Side春季
コールした大型の腕型武装である雷砲血神が右腕に装備される。
「なんだあその馬鹿デカイ武装は!?」
兄さんが驚くがとりあわない。
「まずはこうやって使うんだ。いっけえー!」
俺は雷砲血神をロケットパンチの要領で射出した。
「いっ!?…危ね、危ねえ!」
驚いた拍子のおかげか偶然か兄さんは回避に成功する。
でもね…この武装の真価はこんなものじゃない。
「そっこだあ!」
外したと思われた雷砲血神は宙返りをしまた兄さんに向かって飛んできたのだから。
カシュン!と何かが雷砲血神から落ちた様な音がしたがこの際気にしない。
「何ィッ!?…この武装もしかしてあの高飛車お嬢と同じ!?…」
まさか回避した攻撃がまた間髪入れずに飛んでくるとは思いも寄らず油断しきっていた秋彦は見事に当たってしまい憤慨しながら考察していた。
あの武装はセシリアの扱うBT兵器と同じ類の物ではないかと。
「{…という事は恐らくアレを飛ばしてる間は春季の奴は動けないも同然って事だよな…見た所あの腕も突っ込むしか能の無い武装みたいだしな。
はん!俺に勝とうなんざ百年早いんだよ!}喰らええ!」
自身の天才(笑)的頭脳で導き出した結論を信じて零落白夜を発動した雪片を構えて突っ込む秋彦。
それに対し春季はほくそ笑む。
「…かかったね!」
俺は兄さんが突っ込んできたのを確認し即座に脚型武装である『雷千双武脚』をコールし技を繰り出す。
「鳳流奥義第四の型、『片速円舞脚』!」
「んなあっ!?がっ!?ぷぅっ!?…」
片足を突き出して回転蹴りを喰らわす。
そこに先程放っていた雷砲血神の一撃も入った。
「うぐ!?…て、テメエ春季なんで動けるんだよ!?…」
「自分で考えてみたらどうなんです?俺と違ってアンタは天才なんだからさ兄さん。
それに俺は言ったよな?他人を一括りにするんじゃないとね!」
「減らず口が!今すぐその大口を叩けなくしてやるぜ!」
敵に簡単に情報を渡す訳にはいかないし第一最初からコイツに教えるなんて気はさらさらない。
Sideイチカ
「フム…あの技の数々結構物にしているじゃないか春は。
でもこの消費量はちょいと予想外だな…」
雷砲血神の特性それは向こうの世界でシャーロット博士が言っていた「武芸者適正の無い常人にも極僅かながらの量ではあるがセンスエナジーが流れている」という理論を元に採取した俺の中に流れている血から力の根源であるヴァリアントウィルスを抜き出し凝縮させ詰め込んだエネルギーカートリッジ『VWC』による操作性向上とその上昇した一撃一撃の火力だ。
簡単にいってしまうと簡易型人工ヴァリアントとなれる代物であるが、束さんがVWの研究にも尽力してくれたおかげでVWの浸食による暴走を引き起こす事も無い上、武芸者適正の無い者にも無害となっている。
そしてドラグーン型のハンドレッドを参考に制作した物なので通常のISのBT兵器とはかなりの差があり、あの通り雷砲血神を射出している間も春は他の操作にも集中する事が可能となっているのだ。
でも流石に十あるカートリッジの内の四つもこのバトルで消費するとは俺も思わなかったので思わず苦笑した。
Side春季
「これ以上長引かせると他の生徒達の時間を奪っちゃうからもう次の一撃で終わらせてあげるよ兄さん」
「は!やれるものならやってみやがれ!」
兄さんは剣道の居合いの構えでこちらを狙ってくる。
「再接続(リコネクト)!第五の型、『鳳凰打羽陣』!」
対する俺は浮遊させていた雷砲血神を呼び戻して再接続しイグニッション・ブーストで上空へと急上昇し其処から渾身の拳の一撃を入れた。
「がぁっ!?…」
急上昇から急降下の重い一撃に秋彦の馬鹿正直な剣道の居合いの構えは全く以て役には立たず白式のシールドエネルギーは枯渇した。
「『しょ、勝者織斑 春季!』」
春季の勝利を告げるブザーが鳴り、彼はすっかり気絶している秋彦に告げる。
「秋彦兄さんアンタがその態度を改められないならもう二度と俺やイチカ兄さん、退いては他の代表候補生にも勝利するなんて事は出来なくなるだろう…それはアンタの自業自得なんだからな!」
届く筈が無いと分かっていながらも春季はそう言い放ちアリーナを後にした。
結構難産でした…千冬の考察は次回でそして決闘回最終ラウンド!