インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
超ありがとうございます!これからもよろしく精進していきます!
「もうなんなんですかあの金髪ドリルとイチカさんの元お兄さんは!」
カレンは二人に対して憤慨していた。
金髪ドリルって言いきっちゃったよこの娘…此処にリトルガーデンの艦長であり生徒会長でもあるクレア・ハーヴェイ先輩がいなくてよかった…。
~その頃の「ハンドレッド世界」~
「クシュン!?」
【『風邪ひいたのかしらクレア?』】
「ちょっと寒気がしただけですわよ…。
それよりも一刻も早く剣崎イチカと如月カレンの行方を掴まなくては!…」
【『それは重々分かっているわ。
けどそんなに急いでも良い結果は得られないわ』】
「…全くお父様も余計な事をしでかし残してくれましたわね…」
自分達の父であるビル・ハーヴェイが何者かに殺害され彼が開発した時空転移装置<タイムマシン>の起動実験の弊害で発生した時空の亀裂による月面基地へのサベージ大量来襲…それにタイムマシンが暴走を引き起こしたのか真実はまだ調査中だが更なる弊害で剣崎イチカと如月カレン両名がまた新たに発生した巨大な時空の亀裂によって発生した次元の穴に引き込まれその姿を消失させてしまってからはや一ヶ月…私は基地の動力兼演算装置と化再びなっているリザにも協力を要請し地上のリディ達と選抜隊・シャーロット博士というフルメンバーを総動員し二人の行方を追っていた。
【『大丈夫よクレア。彼等のエナジーは今も感じ取れているわ…きっと何処か別の世界に飛ばされたようね』】
「別の世界…ですかブレインコンピューティングしているリザがそう言うのならそうなのかもしれませんわね…」
【『ただ…詳しい座標はまだ私のヴァリアントの力を総動員してフル演算しているけど掴めていないわこれには大分骨が折れるわね…それに時空転移装置も何者かに奪われたまま…』】
「それもまず間違い無くお父様を殺害した犯人と同一とみていいでしょう」
だけど一体何者?
父の時空間装置開発を知っているのは限られた極僅かな人物だけ…そう私達家族やシャロット博士、そして一部の要人…
【『教皇セリヴィア・ノートルダムパウロ三世…』】
「!…」
リザも同じ結論に至ったようで呟いていた。
「やあクレアにリザ、剣崎イチカ君と如月カレンくんの行方調査は進んでいるかい?」
「お兄様…」
自分達の兄であるジュダルが入ってくる。
【『あいにくあらゆる論だけは確立出来ているけど難航しているわジュダル兄様。
それより基地や地上の要人等への説得は済んで?』】
「いや~大変だったよもう…貴重なヴァリアントのイチカ君に今や大勢のファンが付いているカレンくんの消失…相方である霧島サクラくんには今は活動を自粛して貰っているけどいつまで彼女達の唄を楽しみにしている方達に知られてしまうか分からないからね…なるべく早期に頼むよはは!
武芸者でない僕には上層部の馬鹿な事をしようとする者達をなんとか抑えるという仕事しか出来ないからね…」
ジュダルはそう言い笑いながら出ていく。
「どちらが馬鹿な事を…」
かなり強引な方法でこのルナルティア月面基地を軸に月の大統領となったジュダルだが先日のサベージ襲撃で宇宙開発反対派の者達の動きが活発化してきてしまっている状況を説得だけでどうにか出来るものなのか?
例えいくら亡くなった恋人との約束で不治の病を患い寿命が残り少ない事で焦っていたとしても人の上に立つというのなら後の世に残された者達の事も考えて欲しいものだ。
【『クレア…あのジュダル兄様にいくら言ってもキリがないわ』】
「それもそうですわね…」
ジュダルのあの性格ややりようは彼の恋人が亡くなってから豹変、むしろ母リニスやビルに冷たくあしらわれていた事もある事は私達姉妹にも分かりきっている事だ。
もう間に合わないと思うけれど肉親の一人だ。
どこかでもしかすれば変わってくれるかもしれないという希望は捨てきれなかった。
「希望は捨てない!…よし調査を再開致しますわよ!」
【『ええ!』】
「あ!織斑君達よかった間に合いましたねコレ寮の部屋の鍵です」
放課後、他クラスからも女子達が押し寄せてきたので逃げ回っていたら運の悪い事に愚兄とも鉢合わせしてしまった。
そこに救世主、山田教諭がそう言って鍵を渡してくる。
「ありがとう山田教諭!」
「あれ?俺達はしばらくの間自宅通学の筈じゃ?…」
「どうして剣崎君に感謝されたのかは分かりませんけど。
本当はそうなる筈だったんですが急に政府の方針が変わってですね」
「ああそういう事でしたか」
世にも貴重な男性IS操縦者である俺達だ。
政府としては護衛でも付けておきたいのだろう。
ああ…でもまだ束さんのラボに帰ってハンドレッドの開発をするつもりだったんだがこれは仕方無いな。
愚兄と部屋が一緒じゃない事にひとまず安堵した。
一方春も別になったようだよかったな。
そして後で聞いたがカレンは美月と同じ部屋らしい。
俺達の事を話すのは代表決定戦後でもいいか。
俺はカレン達と別れ寮の部屋へと向かった。
「今日から同室になった者ですよろしく」
挨拶しながら入室した迄はよかったのだが…
「お帰りなさいませ!私にします?それともわ・た・し?」
「…」
バタン!今のなんだろうか?部屋に裸エプロンの痴女が居た様な気が…もう一度開けて確認。
「御飯にします?それとも私?私?」
「選択肢は増えているけど結局一択に誘導しようとしているじゃねえか!」
そういえば今日のカレンの占いの俺の運勢は女難の相が出ていると言われた気が…。
「あら?…私じゃ不満なのかしら?」
「とりあえず服を着て下さい」
「イ・ヤ♡」
「着・ろ!この痴女が!」
「痴女じゃないわよ!?」
「反論する余地があるならとっとと着ろ!」
とにかく早く着替えさせ本題に入る。
「貴方は確か二年の更識刀奈生徒会長ですよね?」
「ええそうよ。後学園最強を名乗らせて貰っているわ!」
「自分で言っちゃうんですか…それでどうして一年の俺に同室の人が二年なんですか?
どう考えても可笑しいと思うんですが」
「それはね…」
更識会長が「謎」と書かれた扇子を取り出す。
ああ、そういう魂胆ね。
「俺とカレンの事を調べましたね?」
「ええその通りよ。君と如月カレンちゃんには謎が多過ぎるもの」
そこから更識会長は俺達を調べ上げた詳細を話してくる。
流石は裏世界暗部の一員といった所か…束さんが俺達の情報を偽造してくれたようだがこんなに早く疑いの目がかかるとはどこかツメが甘かったようだな…。
「それで護衛の名目で監視といった所か」
「聞こえは悪いけどそうなるわね」
「まあ、俺はまだいいがな。
だけどもしカレンに可笑しな手を出すというのなら…」
俺はそう更識会長に脅しをかけるようにIS{という名のハンドレッド}に手を伸ばす素振りをする。
「わわっ!?そんな事しないわよもう!」
慌てて更識会長はそう弁解してくる。
「信用して良いんですよね?」
「勿論よ神に誓って!」
「はいはい…」
更識会長がそう誓ってくれたのでひとまず安心した。
「それで剣崎君とカレンちゃんの関係って?」
「…」
うわ…ソコを聞いちゃうのかよ…。
「恋人同士ですよ勿論両想いのね」
「やっぱりね!カレンちゃんに対しての物言いからして怪しいとは思っていたけど」
「はいはいお話はもう終わりでしょ?
ただでさえ今日はツイてない事が多かったんですから…」
俺がこれ以上事を根堀り葉堀り聞き出される前に強引に話を切ろうとすると
「それってもしかしてカレンちゃんの趣味のタロット占い?
私も今度彼女に占ってもらおうかしら?…」
「ええ、彼女の占いは本当に的中率が高いんですよ。
何かお悩みでもおありで?」
「それは…」
更識会長は口篭る。
俺は彼女の悩み事に対して心当たりがあったがあえて言わない。
「まあ、他人に頼るだけの解決じゃ駄目って事ですよ。
一度己自身の心と向き合ってみて下さい。
答えはおのずと見えてくる筈ですから」
「…それは君からのありがたいアドバイスと受け取っておくわね」
「どういたしまして」
俺は余計な御節介だとは思ったが折角なので後でカレンに更識会長の事も頼んでみようと思った。
…勿論痴女の部分は抜いて…