インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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EPⅣ「入学と再会と決闘とPARTⅡ」

「くう!…これはハーレム系主人公の気持ちが分かってくるぜ…」

「{完全無視}」

気持ち悪い思考をしている織斑秋彦と彼の弟であるが彼を完全に無視している織斑春季は女性しか動かせない筈であるISを動かせる事が判明しIS学園へ強制入学させられた彼等に周囲の女子達は視線を集中させていた。

「……///」

一方両名の幼馴染である篠ノ之箒は秋彦の気持ち悪い思考に気が付かずに熱い視線を送っていた。

「はあ…」

彼女の妹である美月は春季同様に彼等を無視していた。

「私は副担任の山田真耶です。今日から一年間ISの事を一緒に勉強していきましょう!」

HRが始まり各々自己紹介していく。

「織斑君?次自己紹介してくれるかな?」

山田先生が秋彦の番が来たと知らせてきたので彼は立ち上がる。

「お、織斑秋彦です。なんかISを動かせたみたいで此処に入学させられました。

趣味は剣道ですよろしくお願いします」

「…」

「あ、あり?…」

秋彦が自己紹介を終えると一瞬にして皆沈黙したと思われた次の瞬間…

「「キャー!」」

一斉にクラスメイト女子が騒ぎ出す。

「イケメンよ!」

「お父さんお母さん!私をこの時代に生まれさせてくれてありがとう!」

「これは濡れるわねッ!」

それぞれ反応を示す。

若干可笑しな思考をしている者がいるが。

続いて春季の番が回ってくる。

「織斑春季…そこの兄と同じくどうしてかISを動かせた…が僕は人付き合いというものが苦手なんだ…あんまり話しかけないでほしい…」

「…」

また沈黙して…

「今度はちょっと不良っぽいけどなんかイイ!…」

「え、アンタああいうのが好みのタイプなの?守備範囲広っ!」

「秋彦x春季?いや春季x秋彦かしら!?」

またもや色んな反応やら危ない思考やらがあちこちであった。

「何かと思ったら騒ぎの原因はお前達だったか…」

「あ、千冬ね…」

「此処では織斑先生と呼べ」

「あでっ!?呂布奉先!?」

「誰が三国志の英雄だ馬鹿者!」

「ゴップ元帥!?」

「○ン○ムの司令官でもない!」

「あぎゃらぴぽよ!?」

秋彦の頭を出席簿で叩いたのは彼等の姉で学園の一教師をしている織斑千冬だ。

「それと春季はもう少し真面な自己紹介は出来んのか?…」

「…」

千冬の問いに春季は答えず明後日の方向へ顔を向けていた。

「あ、織斑先生会議終わられたんですね」

「ああ、山田先生に任せてしまってすまない。

私がクラス担任の織斑千冬だ!私の言う事にははいかYESだ!いいな?」

「キャー!本物の千冬様よおー!」

「私貴方に会いに北九州からはるばる来ました!」

「そういえば秋彦君と春季君って織斑先生と同じ苗字…ISを動かせたのも血筋なのかしら?」

「はあ…毎年私の担当クラスに馬鹿者共が集中している気がするのは気のせいか?…それより早く続きに戻れ」

「「すみません!遅れました」」

俺達は色々と手続きがあってそれに戸惑ってしまい遅刻してしまった。

教室に入るとシーンと静まり帰っていた。

「あ、編入生がやっと来ましたね!」

「何?私は聞いていないぞ?どういう事だ山田先生」

「なにせ急な編入でしたもので伝えるのが遅くなってしまったんですよすみません~!と、とにかく自己紹介お願いします」

「ゴホンでは…俺は剣崎イチカだ。

嫌いなものは女尊男卑思想に染まった者、曲がった事だ。

好きなものは鍛錬に料理だ。よろしく」

「さ、三人目の男?…」

「そういう事になる」

「「「キャー!」」」

秋彦や春季の時よりも三倍増しの黄色い声が響き渡る。

「クールで頼りがいがありそうなお方!」

「ムムッ!これは予想外っ!」

「こ、これは夏コミのネタ選びに別の意味で困っちゃうわね…{鼻血タラー}」

「おおう…」

俺は女子達の反応にたじろいだ。

カレンがジト目で何か言いたそうにしていたので俺は急いで席に座る。

「は、はじめまして皆さん!カレンは如月カレンといいます。

タロット占いが趣味ですどうかよ、よろしくお願いしますね!」

「か、可愛いわね…悔しいけど」

「占いかー今度私の事占ってよ!」

「あ、私もお願い!」

「わわ!?皆さん落ち着いて下さい…」

流石はリトルガーデンの『小さき魔女<リトル・リトル・ウィッチ>』だ…クラスメイトにすんなり受け入れられた。

ただ二名を除いて…

「フン!占いなどという非科学的で根拠の無い所業などに群れたがるのは愚民共にはいいのですわね…」

「秋彦の奴…デレデレ鼻を伸ばしおって…それに編入生の名前は…」

イギリス代表候補生であるセシリア・オルコットと箒だ。

セシリアはカレンの占いを馬鹿にし、箒はイチカの名前を聞いて以前の事を思い出し黒い企みを忍ばせていた。

そして…一方

「{イチカだと?…チッ!折角イイ気分に浸っていたっていうのに嫌な奴の事を思い出させる名前だぜ…}」

秋彦は目の前のイチカが自分が苛め抜いていた自身のもう一人の弟である織斑一夏本人だという事には全く気が付かず名前だけで気分を害していた。

「{ま、同じ名前な手前が悪いんだぜ?近い内に神童と云われた俺の手で引導をくれてやるぜ!…}」

幼馴染とはまた違ったドス黒い笑みを秋彦は静かに浮かべていた。

 

「い、イチカって言ったよね?…」

「う、うん…」

春季と美月の二人もまたイチカの名前を聞き逃さなかった。

「偶然名前が一緒なだけの他人って可能性はあるけど…」

「どうも他人の空似って気がしない…」

二人は考えを確かめ合う。

目の前でイチカと名乗ったのが自身の大切な幼馴染&もう一人の兄本人なのかという事を。

「「千冬さん/姉さんは気が付いているのか/な?…」」

 

「織斑先生どうされました?」

「あ、いや…どうもしないが?…」

「…」

やはり俺の名前に思い当たった事があるのか元姉は苦悶の表情をしていたがすぐに気を取り直した。

そして春と美月は既に気が付いていると思うが糞兄貴ともう一人の糞幼馴染は名前を聞いただけでかなりイライラしているのが目に見えて分かった。

「あの二人には後で事情を話すしかないな…」

どの道向こうからこっちに話をしに来るであろう事から俺はそう決意した。

そんなこんなでHRが終わった直後の事

「はあー…とても緊張しました…」

カレンと俺は質問責めに合うだろうと身構えていたが先に半数が糞兄貴の方に行ったようなのでひとまずホッとした。

「ちょっと良いかな?」

「…」

「なんだ?」

予想より早く二人が此方に来た。

「剣崎イチカさん…担当直入に聞きたいんだ。もしかして織斑一夏という名について聞いた覚えは無い?…」

「…」

美月の質問に対して俺は沈黙を貫く。

「…その沈黙はあると思っていいのか?…」

今度は春が俺の沈黙に対する質問をしてくる。

「…そう考えるかどうかはお前達次第だ…」

「…という事は…」

俺がそう促すと春達は思案する。

「本当に…一夏君なの?…」

「…」

美月に看破されたので沈黙する。

「ほ、本当に一夏兄さんなのか…」

「…ああ、分かられてしまったからにはもう隠し通す訳にはいかないな」

「「一兄/一夏君」」

「シッ!」

俺の正体が分かって一安心した二人は思いっ切り声を上げそうになったので静止させる。

「今の所あの糞兄貴と美月の愚姉は同性同名の別人だと思っているみたいだが俺が一夏本人だと分かれば一体何をしでかしてくるか分からないし…それに千冬姉やあの愚兄が過ちに気が付かない限りは元に戻る気は無い。

春、お前ともだ」

「あ…」

「ご、ゴメン一夏兄さん…」

俺の注意にシュンとする二人。

「むー~…」

一方カレンが俺が美月と親しく話しているのを見てどこか羨ましそうにみていた。

「カレン、以前話していた俺の幼馴染の一人の篠ノ之美月と元・弟の織斑春季だ」

「あ、どうもはじめまして!」

カレンがまだ緊張の残る声で再度二人に挨拶する。

「「ねえ…/なあ一夏君/一兄はもしかして…/僕が元・弟ってどういう…」」

「やあ、ちょっと良いかい?」

「チイッ…」

二人が何かを言いかけようとした所に女子達からの質問攻めから解放された糞兄貴が此方に向かって話しかけてきたので奴に聞こえないように舌打ちする。

「なんだ?俺は今この二人と話していた所なんだが」

「同じ男として是非君と仲良くしてやろうと思ってね{本当は仲良くする義理なんて無いが…まあせいぜい女子達の好感度上げに利用させて貰うとするさ春季同様にな!…}」

「仲良くしてやるねえ…そういう上から目線だと何かに利用する気だと思われるだけだぞ。

俺からの忠告だ」

「なんだと?…」

「貴様!秋彦の誘いを断るのか!?」

そして何故かもう一人の糞五月蠅い幼馴染が割って会話に入ってくる。

「なんだ篠ノ之?俺は話をしていた所にコイツが割ってきたんだ。

第一最初からちゃんとした断りもなく話に割って入ってくる様な奴と仲良くなる気は無い」

「貴様!…」

それでもこのモップは納得いかないとの表情をしている。

「まあまあ箒その辺で抑えてな。

初めからこんな奴等と仲良くしてやろうなんて考えを持ったのが間違いなんだよ」

「そ、そうか…」

愚兄がそう言って箒は納得し席に戻っていく。

「其方のお話は終わりまして?ちょっとよろしくて?」

「なんだい?」

「う?…」

「ああ、イギリス代表候補生のセシリア・オルコット嬢か。

まだ話の途中だったんだがいいぞ」

「まあ!なんですのそのお返事は!?…

まあ其方の方はわきまえていらっしゃるようですが…」

愚兄と春の対応に憤怒するオルコット嬢…すまん愚兄に関しては俺も謝罪するが春については許してやってくれ…。

「まあ入学試験で試験管を唯一倒したこの私がISについてお教えして差し上げましてよ!」

「あああの雑魚なら俺も倒したぞ」

「え!?私だけと聞きましたが?…」

愚兄がそう言うとオルコット嬢は驚いたといった表情で詰め寄ってくる。

「女子だけというオチだなコリャ…はっは!」

愚兄が馬鹿にした物言いで返す。

「そそそそ、其方の貴方方はどうなんです?」

「僕は引き分け…」

「俺は山田教諭とバトルして勝利したが?」

「なななななっ!?…」

「とりあえず落ち着け!」

「こ、これが落ち着いていられ…」

キーンコーン!

「ま、また来ますわ!」

オルコット嬢が更に何か言いたそうにしていたがそこで無慈悲なチャイムが鳴り席に急いで戻っていった。

「何だったんだ?」

「さあ?」

~一限目中~

「ではこのクラスの代表を決めたいと思います!

自他推薦問いませんよ」

山田教諭がそう話してくる。

「はい!秋彦君が良いと思います!」

「あ、じゃあ私は春季君に!」

「剣崎君に一票!」

口々に女子達が俺達に票を入れてくる。

勘弁してくれよ…。

「あの俺は辞退を」

「他薦された者に拒否権があると思ってるのか?」

賢姉殿にそんな横暴な事を言われ俺は頭を抱えた。

「お待ち下さい!」

そんな時俺にとっての救世主が現れる。

そうオルコット嬢だ。

「ただISを扱える男が珍しいからといってこんな島国で屈辱的な一年間を過ごせというんですか?

そもそも実力から言ったらこの私が…」

あれ?…なんか不穏な方向に向かっていってないか?

「はんっ!イギリスだって大した御国自慢無いだろ?不味い飯NO.1で一体何年覇者だい?」

愚兄のアホがそう反論する。

あんの馬鹿野郎が何をしでかしていやがりますか…

山田教諭や春達はこの状況にオロオロしていて便りにならない。

仕方ないな…

「いい加減に其処までにしておけ二人共」

「なんですの!?」

「外野が邪魔をしてくれないかな?」

「俺も一応推薦されている身なんだが…という事はおいといてそれ以上互いの国を馬鹿にする様な不用意な発言をしたらどうなるかぐらい分かるだろ?」

「そ、それは…」

「はん!コイツは向こうから売られた喧嘩だぜ?

買うか買わないかはこっちの自由だろ」

オルコット嬢はどういう意味なのか分かったのか口篭っているがこの愚兄ときたら言いたい放題の始末である。

「ああそうだった、まだ男の日本の代表候補生は決まっていなかったんだったな。

もし織斑秋彦、貴様に決まっていたのなら先程の発言は日本の発言と取られるんだぜ?

それでどういう結果になるか分かる筈だ」

「グッ!?…」

俺は愚兄に向かってそう言い放つ。

ま天と地がひっくり帰っても愚兄にリーダーシップの器があるなんて到底思わないがな。

彼の周囲も腰巾着だらけだったようだし昔の俺はなんでこんな奴に追い付こうと思っていたんだろう…。

愚兄もようやく己の失態に気が付いたようだったが…

「ならばさっきの失言取り消しの為にそこの御嬢様と決闘してやるよ!

どうだい良い考えだろ?」

「ふぁあ!?」

コイツの頭の中一体どうなってるんだ?

何処の世界に己の失言取り消しの為に決闘吹っかける奴がいるんだあ?

あ、そういやあの世界にもいたな…凄く思い出したくないけどあの野郎の事も…愚兄の逆ギレともとれる発言で俺は黒記憶を思い出してしまい震える。

「良いですわよ…完膚無き迄に叩きのめして差し上げますわ!」

「ああ四の五いうより分かりやすい!そっちこそ後で吠え面かかせてやるぜ!」

オルコット嬢が愚兄の挑発に乗ってしまう。

「話は決まったようだな。

ではオルコット、織斑兄弟、剣崎は来週月曜日迄に各自用意しておけ!」

おろ?…俺まで巻き込まれてるんですがと反論しようと思ったがやめた。

 

 

 

 


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