インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Sideイチカ
「なんだと!?暮桜が敵に奪われただと!?…一体何をやっていた?!」
「『そ、それが…』」
京都修学旅行からの帰路で、織斑先生にそんな緊急連絡が入ってきたのだ。
「詰めが甘かったという事ですか…」
話を聞いてクレア会長が歯がゆむ。
どうやら絶対天敵をダシ、陽動に利用されたようだ。
絶対天敵はISだけでも対応出来る…サベージが出現しなかったからこそ学園に残っていたトウカ達が動ける理由がなかったのだ。
だが、学園地下でその隙を狙われ対応に当たっていた教師部隊は急襲してきたセリヴィアらの圧倒的力の前に全滅、気が付いたその時にはもう既に封印を施されていた暮桜がクラッキングされ奪われてしまったのだ。
「!?…」
「音六、どうした!?…」
ふとセラフィーノが震えていた。
春が駆け寄って確かめるがそれでも震えが止まらない。
「…コアの…皆の苦しみと悲しむ声が聴こえてくるの!…
ハクナ(白式)、ブルー・ティアーズ、暮桜、ラファール、打鉄、テンペスタ、後これは…レーゲン(リィ)の姉妹?の「助けて」って声が!…」
「なっ!?…」
「それは恐らくシュヴァルツェア・ツヴァイクだ!
まさか黒兎隊の皆までもが奴に!?…こうしてはおれん!」
セラフィーノの発言に皆驚く。
特にラウラはドイツの仲間が狙われていた事に驚きを隠せずすぐに連絡を取りに行った。
これはセリヴィア元教皇の思惑じゃない…恐らくあの元糞愚兄とギリウスが利害の一致で手を組んで世界各地で好き勝手に暴れているのだろう。
兎に角一刻も早く学園に戻り、奴等を止めなければサベージ、絶対天敵の対処所ではなくなってしまう。
「ギリウスは俺がやる!…」
「おっとそれなら俺も協力させてもらうぞ!
ダグラス卿への貸しもあるしな」
ミドウがそう言う。
それにハヤトが彼の監査役の名目も兼ねて一緒にギリウスの奴と戦う算段の様だ。
「「…」」
ふと見ると春と千冬姉がじっとお互い向き合いながら決意を固めていた。
「いざとなれば秋彦は私の手で…」
「姉さん…」
「それはいくらなんでも無茶だぜ?
いくら慢心しきっているとはいえいくつものISの力をアイツは取り込んだんだ。
そう簡単に事が運ぶとは思わない方がいいな。
大体、アイツなんかの為に千冬姉が手を汚す必要性なんかないのだからな…」
「一夏…」
「そういう事だから奴の事は俺達に任せてくれないか?」
「…ああ!任せたぞ!」
その頃、崩壊寸前の亡国企業では
「どういう事だ貴様!約束を違える気か!?」
秋彦は拾われた(利用されているだけ)亡国企業で出会った自分達の生き別れの妹だというM、織斑マドカに強奪した暮桜を渡す算段の筈だった。
セリヴィアが暮桜が長い封印の中で蓄積していたタイムマシンの再起動に必要なエネルギーだけを取り出し、彼に渡した。
その瞬間、彼はマドカに暮桜を渡すのが惜しくなったのだ。
「コイツ(暮桜)は元々千冬姉の力だぜ?
なら俺が使うに相応しいに決まっているじゃないか!
千冬姉のコピーだか生き別れの妹だかなんだか知らないけれど失敗作なんだろ?
だからコイツは俺の物さ!」
「き、貴様ァー!」
「おっと」
「しまった!?…あああああー!?…」
約束を違えられ怒りに身を任せたマドカだったがいくら生き別れていた妹といえどクローン元の千冬の失敗作だなどとといわれ、なんら一欠片も思い入れなど持ち合わせてなどいない秋彦が彼女への反撃に躊躇などある筈も無い。
マドカは秋彦のハンドレッドオーラの直撃を受け苦しみの叫びを上げながら気絶してしまった。
「テメエのISも俺が貰っておくぜ。
精々有効活用してやるからよお、はははー!」
気絶したマドカを放置したまま、彼女からサイレント・ゼフィルスの人格コアを奪った秋彦は高笑いしながら後にしたのだった。
「『これ以上はもう耐え切れない…』」
そんな人格コア達の悲痛な叫びが秋彦に届く訳も無く、虚しく響き渡るだけだった。
コラボ引き続き大募集!