「また死んじまったよ。なんなんだよ、あの
「こっちが出向いて戦うのは完全に不利だな。天空城の中におびき寄せて、
「いや…… 彼奴らは縄張りがあるらしく、あんまり外に出たがらないようだぞ? それに、それなりに知性があるみたいだから、そう簡単にこっちの誘いに乗ってこない」
「縄張りから出たがらないっていうあたり、微妙にユグドラシルの
「それだけ倒す価値があるってことだわ」
「だが、やつらは
「それに、デスペナ無しで蘇生できるアイテムはとっくの昔に底をついてるし、ペナルティーある蘇生アイテムも有限だぜ? 雑魚にマジック・アイテム使うのは勿体ないし、武器だけで殺してレベル上げするって、はっきり言って地味すぎて飽きてきたぜ」
「戦士職はまだマシだぞ。魔法が使えない魔法職って、正直詰んでる…… 魔法職で、腕力使って雑魚キャラを殺すって、悪夢だよ。倒せるのがレベル30程度の雑魚キャラだから、レベル全然上がらないし。マジック・アイテムが無くなったら俺、天空城に引きこもるわ…… 」
「こうなったら、“五行相克”を使うか?」
「GMコールとかコンソールが使えない世界で、運営にシステム変更を要求しても意味ないんじゃ無いか? 使い切りだからむやみに使って無駄にしたら勿体ないぞ。再入手は不可能なんだし」
「だが、持っているだけでも意味がないのは事実。それに、他のワールドアイテムだって問題無く使えているだろ。この天空城が空中に浮いてるのも、“
「そういった意味では、ユグドラシルのアイテムが使えている時点で、ユグドラシルの魔法やスキルが使えるようになる可能性があるんじゃないか?」
「待て……。この世界に来たとき白紙に戻っていた
「これは…… “魔封じの水晶”を使って発動させた魔法の記載が追加されたみたいですね…… この世界でも、ユグドラシルの魔法も魔法として認識されている?」
「じゃあ、俺達が使えないっていうのはどういうことだ? スキルが使えないのも同じ原因か?」
「もしかして、この世界に、ユグドラシルの魔法行使の源泉である、マジック・ポイントって概念が無いってことなんじゃないですかね? 魔法はあるけど、私達にその魔法を使う燃料がない。燃料が無ければ、車も動きません。
「
「じゃあ、“五行相克”で、
「ちょっと待て! スキルはどうするんだよ。スキルは
「でも、スキルは魔法に関するシステムじゃないので、“五行相克”の効果範囲外な可能性ありません? そしたら最悪、無駄にしてしまいますよ?」
「
「魔法とスキルも、一日の使用回数があったりとか時間をおかないと連続使用できないとか、同じような制限がありましたし、“燃料”って意味では似た概念です。
「ぶっちゃけ、魔法が使えない
「魔法システムの変更なので、スキルよりも魔法に関することが成功率は高そうね…… もしも、成功してスキルも使えるようになったら、私達ラッキーってことよ。私は“五行相克”を使う事に賛成よ」
「どのみち、このままだとじり貧だしな。やってみるだけの価値はある」
「成功したら、あの
「じゃあ、“五行相克”を使って、MP《マジック・ポイント》の概念を持ち込むってことで全員賛成だな?」
「じゃあ、使うぞ。さあ、“五行相克”よ、
この日、この世界の魔法の理が大きく歪んだ。魔力の根源世界からこの世界に魔力が流れ込んできたのだった……。