遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
就活は終わったのでレポート終わり次第またペースアップ頑張りますので!目標は夏までに«цпкпошп»編完結です!
◐
「...」
日本にいる
新たに得た慎也の任務はこれまた待機であり、結局は腰を据える場所に変わっただけだった
だがそれはいい進展だと言えるだろう。長らく歩き続けた事から足は疲弊しており、よく分からない部位が痛み始めていた
屋根も壁もある
一応は安全地帯と称されているこの補給地点は今の慎也にとって非常にありがたいものだった
「なァ、コレ外してくれよ」
「いや無理」
強いて言うならこの男だ
先程突如
実際の所、
しかし、その男は確かに一度は
だが今では軽口を叩くほどに回復している。
あのビルで戦った
「...」
慎也自身も
カムイに敗北した時
«цпкпошп»と
手足の末端部分の痺れ
身体中を蠢く鈍痛や割れるように響く耳鳴り
シエンが居たからこそ数分で復帰出来たのだが、それもいわゆる個人差と言えるのだろう
この男にもなにかある
精霊か、もしくは
体内を巡る
「...ねぇ」
「なんだ、俺様とお喋りしてくれンのか?」
敵として警戒を強めている自分が馬鹿らしく思えるほどにこの男は楽観的だった
「なんで
「なンだそれは。分からン物は効かン」
「ここでは通じないか...その、痛みというか」
「...」
案の定この男は訳が分からないと言わんばかりの反応だ。疑問を具体的な言葉に置き換えて慎也が再度投げかけると、その男はモゾモゾと動きながらこう告げた
「なぁシンヤ、その前に起こしてくれよ。首が疲れちまう」
「...分かった」
人を捕縛するなど初めての経験だった
少しきつすぎたのか、手足の自由を奪われたこの男はまるで芋虫のように不自由そうに蠢いている
対する慎也は楽そうに椅子に腰掛け、見下ろす形で対談していた。確かにその態勢から慎也を見上げるのは辛そうだった
情を感じたというよりかは、聞きたいことが多い故に彼を起こした。近くのもう1つの椅子に腰掛けさせると、慎也も同じくまた腰掛けた
目線の高さが大体同じになると男は首など、動かせる箇所を動かせる範囲で解し始めた。軽快な関節の音がこちらにまで聞こえた
そうとう強ばっていたようだ
「ふゥ...で、何の話だったか?」
「さっきの
「あァ、それか」
「何かあるんでしょ?教えてよ」
「教えてって仰られてもなァ...誰にだって言いたい事と言いたくない事があるンだぜ」
その口振りと態度から、本当に話したくない様な事だと慎也には感じた
そして何か知っている事については否定されなかった
減らず口は変わらないが、明らかに態度は変化している。明確には表せないが、慎也には伝わっていた
「...」
「どうしてもって言うンならシンヤの事から話せよ。そしたら俺様も答えよう」
「俺の?俺の何が聞きたいの?」
突拍子も無く質問を返されてしまった。しかし慎也の具体的な質問よりも遥かに大雑把なそれに、受けた慎也は困惑した
何故聞きたいかよりも、何が聞きたいのかすらも分からない
「全部だよ」
「全部...?」
「なンでこンな所でそンな格好をしていらっしゃるンだ?お前はナニモンなンだ?」
言われて自分が
言われて見れば変なのかもしれない
だがこの男は何故その様な模様なのかではなく、何故その様な服を着ているのかと聞いていた
「それ、ニホンの制服だろ?なンで月下の人間が着てるンだ?」
「...ちょっとまって」
話が噛み合わない
それは月下の人間というワードが齟齬を合わなくさせているのだ。
さらにこの男は慎也が纏っている衣服が日本の物だと分かっているようだ。加えて慎也の事を月下の住民だと思い込んでいる
おかしい
突飛すぎる勘違いに慎也も頭を悩ませ始めた
「何で俺が月下の人間だと思ったの?」
「名前がそうだろ。そんな名前付けられるのは月下ぐらいだぜ」
名前
慎也は慎也だと本名を名乗った
それがどうして月下の人間だと思わせる材料になるのだ。質問を繰り返すより考えてみた方が早そうだ。そう思った慎也は少し月下の人間について考えてみた
知樹とカムイ
よく考えてみればその2名の名前しか知らなかった
共通点といえば3文字というぐらいだろうか
奇しくもシンヤも3文字だ
まさかそんな安直な答えではないだろう
「なってるぜ」
「...?」
机と呼べる程のものでは無いが、その上に置いてあった慎也の端末が震えていた
通信だ
孤独感を忘れ始め、自分が今敵地に居ることを思い出させる
捕縛された男を一瞥すると、背を向ける形でその端末を手に取った
しかし、それは背を向けたその瞬間の出来事だった
聞きなれない鈍い音が2回したと思い振り返ると、そこにはパイプ椅子と千切れたロープだけがあった
男の姿は無かった
「なっ...!?」
何があるのかと思ったが、答えは何も無かった
この一瞬で、時間にして数秒というまさに刹那の出来事だった
*
◐月下
時は少し遡り
詩織が月下に来てから過ごしている、一時的な彼女の自室。そこには3人の女性がそれぞれ空の皿の前にくつろいでいる
一人は当然詩織
そして
ガンリが不機嫌そうにソファに深く寄りかかると浅いため息を吐いた。それがきになったのか、詩織はすぐ近くにいる彼女の方を見つめると、恐る恐ると言った具合で問うてきた
「あ、あの...美味しかった...ですよね?」
「まあね」
「...」
詩織がわざわざ聞いたのは、ガンリがなにか不服そうに見えたからだ。バシュと3人で共に作り上げた昼食のため、何か否定されるのは怖かった。しかし口に合わなかったのかもしれず、それなら申し訳ないとも思った。
何よりも理由が知りたかったのだ
だがそれも聞けずに沈黙し、気まずく視線を泳がせていると詩織の視界に時計が入り込んだ
「...あ、時間」
「そーだよ!」
時刻は15時過ぎ
確か少なくとも13時には昼食の準備を始めていたはずだ。それが食し終える頃には何故かこのような時になっていた
ぼそっと呟いた詩織だったがどうやら正解だったらしい。いつもと同じ態度でガンリは詩織を見下ろすと、一気に捲し立てた
「どんだけかかってんの!しかもこんなに...」
「え、えっと...多かったですか?」
白いソースの色が少し残った皿、恐らくスープが入っていたであろう深めの皿。小さな物や大きめの物まで合計8つもの空き皿がテーブルの上に並んでいた
...各一人一人の前にだ
つまりテーブルの上には24つもの皿が無機質に鎮座している。一食にしてはバラエティ番組を思い出させる量だろう
ガンリの先程のため息は満腹による苦しさから来るものだろうか、バシュもまた沈黙している。彼女に至ってはいつも通りの事だが、詩織は平気そうだ
「いつもこんなに食べんの?」
「そ、そんな事は!...無いですよ」
「バシュ、あんたもよく入ったね」
「...」コク
ガンリがそう言うとバシュは黙ってゆっくりと頷いた。いつも以上に挙動が鈍い所、やはり腹部が苦しいのだろうか。流石の詩織も様々な調理器具や食材を前に張り切りすぎたと反省をしたようだ
そして改めて己の大食感ぶりに少しだけ恥すら感じ始めていた
「...あんたお腹凄いことになってるよ」
「...」
詩織とガンリに挟まれたバシュはなんの抵抗をする事無くガンリにひたすら腹部をまさぐられていた。苦しみの緩和を目的とした摩っているようにも、ただのちょっかいともとれるその行動を見て、詩織にふと思う事があった
近しい関係なのだな、と
同じ国の同じ部隊の同性である彼女達の間には詩織の知らない絆の様なものがある
当然仲間なのだがら不自然ではないが、詩織にはそれを超えた”何か”があるようにも思えた
同僚、友人、恋人でもない何か
それが知りたかったからバシュの腹部に手を伸ばした訳では無い。ただ、無意識にガンリと同じようにバシュの少し膨らんだ腹に触れていた
「...ん?」
疑問は違和感に移ろった
バシュの体に触れてみて、何か明らかに普通とは異なる違和感を覚えた
バシュやガンリの反応では無い
触りなれない服の素材でも無い
敵地で誘拐犯と共に食事を取った事は今更だろう
ではこの違和感は何か
無反応なバシュの腹を撫で回している内にそれは判明した。
手でなぞる度に少し引っかかる箇所がある
ゆっくり掌を這わせると腹部だけではない事も分かった。横腹や腕や肩、腫れの様な物がバシュの黒い衣の下にあるようだ
あまりに無言で触り続けたからか、終始無言のバシュも詩織の事を見つめてきた。そこでハッと顔を上げたしおりだったが、その目線の先にはバシュの控えめな胸部と詩織自らの右手があった
どうりで今触れている箇所は柔らかく膨らんでいるわけだと遅めの理解が追いついた詩織だった
「...」
「あっ、ごめんなさい!」
「...なるほどね」
慌てて謝り続ける詩織と無反応なバシュを傍観していたガンリは、何かに納得した様子だった
その言葉が気になったのか、詩織がふとバシュの奥の方へ視線を移すとガンリは先程までいたはずのその場所にいなかった
どこへ行ったのか探さなくても分かった。視界の中にガンリの物と思われる2本の腕が確認できたからだ。しかし詩織がそちらを確認するよりも早く、ガンリは目的を達していた
「ちょ、ちょっとガンリさんっ///!?」
「あんた、食べた物全部
ガンリは背後から詩織のたわわに実った女性の象徴を捕らえている。しかし、女性の中では大きめのガンリの掌をもってしても、詩織の豊満な胸部を抑え込むのには足りなかった。
指の角度を変えても、手首の位置を変えてもどうしても零れてしまう。それでもガンリは下から持ち上げる様に続け、包み込むように優しく感触を楽しんでいる
「ちょっ、ちょっとやめっ...///」
「へぇ...?」
優しかった手付きにやがて力と勢いが加わり、詩織の胸は縦横無尽に形が変わっていった
暴れるという表現も相応しいかもしれない
詩織の体はガンリの掌に抵抗を見せず、只々力に任せて身を委ねるだけ。指が押さえつけられれば飲み込み、下からなぞられればその力に合わせ波打つ
そこまでの力は必要無いが若さ故のハリがある
添えるだけでは届かない、その詩織の女性らしさをガンリは堪能すらしていた
「これだけのモノがあれば男なんかイチコロでしょ」
「そ、そんなこと...んん///」
官能的だった
嫌という訳では無いが嬉しい訳でも無い詩織はどうしていいか分からず反応に悩み、ただガンリの手ほどきを受けるしか出来ずにいる
それにしても手慣れている
強弱の切り替えや触れる向き、なぞるような手つきから逃さず捕まえるような動き。予測できないそれらに、詩織はただ揉まれていた
そのガンリの手先が詩織の頂上に触れた瞬間、初めて詩織は拒絶する事を思い出した
脳内に電撃が走ったような感覚に陥ったものの、それがトリガーとなり詩織の両腕は詩織のモノを守る形を取った
「いい加減にしてくださいよっ!」
「何よ、減るもんじゃないし」
「む、村上さんも触ったこと無いんですよ...」
村上とは誰か、そうガンリは解せない様子を見せたが、すぐに理解した。
男の名前だろうと
「あんた...純情だねぇ、その様子じゃ彼氏ってわけではなさそうだけど」
「か、彼氏なんかじゃ...//」
「...そう。日本に帰ったら頑張んな」
ガンリがどのような表情を浮かべていたのかは分からなかったが、声は悲しみに近いそれを纏っている
キョトンとした詩織は背後に目をやったが、既にガンリは背中を見せ歩き出していた
そのままドアノブに手をかけ、退出するかと思えたが最後に一言だけ残した
「...仕事があるから行くよ。ごちそーさん」
「あ、はい...」
結局どんな顔をしていたかも、何故態度を改めたのかも分からぬままガンリは部屋を後にした
残された詩織は疑問を拭えないままだが、同じく不思議そうにしいるバシュに乾いた作り笑いを見せるだけだった
心の内に何を秘めているのかお互いに知らず
まだ彼女達の距離は遠かった
〜おまけ〜
詩織達の昼食と各担当者
・オニオンドレッシングの小エビサラダ
→担当バシュ
⇒たまねぎはグラッセ用と同じものを使用。
・かぼちゃのポタージュ
→担当詩織
⇒クルトンの代わりに素揚げした角切りかぼちゃが入っている。かぼちゃ好きのバシュへの配慮。余談だが慎也もかぼちゃのポタージュを好む
・ナスのトマトソースのミルフィーユ仕立て
→担当詩織
⇒薄切り豚バラ肉とチーズをナスで挟み、上からトマトソースをかけオーブンで加熱した。ナスは慎也の好物でもある。
・ニンニク醤油の若鶏のステーキ
→担当ガンリ
⇒上質な若鶏のモモ肉を大胆にグリルした。ドレッシングに使った玉ねぎや、トマトソースで使ったニンニクが味付けに使われている
・タコのマリネ〜たまねぎのグラッセを添えて〜
→担当詩織
⇒下処理済みのタコがあったことから急遽作られた。小玉ねぎを使用してみたいという詩織の要望によってグラッセも添えられた。マリネは慎也の好物でもある
・鱈のフライ
→担当ガンリ
⇒揚げ物が欲しかったとのこと
・ほうれん草とサーモンのフィットチーネ
→担当ガンリ
⇒元々はこの1品ひとつで終わる予定だった。
・コーヒープリン〜アーモンドチュイールとメープルエスプーマソースを添えて〜
→担当詩織
⇒通常のプリン液にコーヒーを混ぜ込んだシンプルな物だが、こだわりは皿にあった。こおばしくも上品な甘味を持つアーモンドチュイールは、アーモンドのコクと香りを主張しつつも皿全体へ甘味を忘れさせない。エスプーマソースは2種類用意されている。1つはメープル風味の甘さが広がるソース。もう1つはバニラエッセンスを加えたまろやかなソース。更には甘さ控えめのクリームも用意されており、この小さなこだわりが皿を楽しむ人が様々な甘さへ辿り着くための配慮となっている。コーヒー独特の苦味と香りが苦手だとしても2種類のエスプーマソースが優しく甘味を演出し、アーモンドチュイールが甘みと苦味の境界線を担う。最も制作時間を要した皿であり、詩織の自信作でもある。無論慎也も気に入った懇親のデザートだ
ぶっちゃけどうですか?
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読みたいからやめて欲しくない
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読みたいけど無くなったら読まない
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普通
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無くてもいい
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読むのが億劫