遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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第六十九話 模倣者の離業

「僕の先攻...僕は[フォトン・スラッシャー]を特殊召喚!」

 

 

[フォトン・スラッシー] ATK 2100

 

 

色嶋は後が気になった

皇は大丈夫だろうか。彼の実力を疑ってる所など微塵も無いが、あの性格だ。本人は繊細と表現していたが、そうは思えない。色嶋は極度の怖がりの方が相応しいと考えている

 

だが今はそちらに構ってやれるほど余裕は無い

まずは目の前の敵を屠る

そして可能なかぎり皇のバックアップを果たしてやらなければ彼は潰れてしまうだろう

 

 

「そして...[和魂]を通常召喚、効果によりさらに[荒魂]を通常召喚する![荒魂]の効果でデッキから二枚目の[和魂]をサーチする」

 

 

[和魂] ATK 800

 

[荒魂] ATK 800

 

 

不安とは裏腹に色嶋の初手は良いものだった。彼が考える理想に近い物であり、相手のデッキが分からなくともこれなら自分の決闘(デュエル)が出来るだろうと一先ず頷いておいた

 

 

「僕はレベル4の[和魂]と[フォトン・スラッシャー]でオーバレイ、[武神帝-ツクヨミ]をエクシーズ召喚!」

 

 

[武神帝-ツクヨミ] DEF 2300

 

 

「カードを2枚セット、そして[ツクヨミ]の効果を発動!手札を全て捨て、2枚ドローする!」

 

「もう手札交換か」

 

 

発動の為には手に持つ全てのカードを捨てる必要がある。しかし、残り3枚の内2枚はフィールドに置いたため、結果的に1枚捨てて2枚ドローした事になる。しかし、それだけでは済まない

 

 

「エクシーズ素材として墓地に送られた[和魂]と手札から捨てられた[和魂]の効果を発動。フィールド上に[荒魂]が居るため2枚ドローする!」

 

 

彼が得意とするアドを計算する決闘(デュエル)だ。

手札4枚に加えフィールドにもカードが4枚存在する。先攻の動きとしては申し分の無いそれに納得がいったのか、色嶋は静かにターンを終えた

 

 

「カードをもう1枚セットし、エンドフェイズに[荒魂]を手札に戻してターンエンド」

 

 

色嶋 手札:4枚 LP 8000

 

モンスター/ [武神帝-ツクヨミ] DEF 2300

 

魔法・罠 / リバース3枚

 

 

「チッ...随分伏せが多いじゃねぇか。ドロー」

 

 

どう攻めてくる?色嶋はそればかり考えていた。あまり能動的でない彼の決闘(デュエル)では相手のデッキにかなり依存してしまう。慎也の紋章獣の様なデッキなら[強制転移]等でボードアドバンテージを、長期戦向けのデッキが相手ならアタッカーが多く欲しい

 

今の手札ならどちらも可能だが、相手のデッキはどちらでもないようだ。

 

 

「俺は«цпкпошп»を召喚!」

 

「...は?」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「何だそれは...カード情報が出ない!?」

 

「ククク...手札の«цпкпошп»を捨てて効果発動!さらに手札の«цпкпошп»を特殊召喚する!」 

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「何なんだよこれ...」

 

「«цпкпошп»2体で«цпкпошп»を召喚!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

色嶋の動揺など他所に敵は構わず決闘(デュエル)を続けた。詳細を求めた訳では無いが、帰ってこない説明を前に諦めがついたのか色嶋も不安を語るのを辞めた

 

そして相手のフィールドに2体のモンスターが並んだかと思うとそれは1体になった。«цпкпошп»についてよく分からないが、それがエクシーズ召喚だと言うことは流石に色嶋も予想がついた様子だ。エクストラデッキや手札の数はディスク越しに判明しているからだろう

 

 

「«цпкпошп»の効果発動、貴様の[ツクヨミ]

破壊する!」

 

「破壊か...ならリバースカードオープン、永続罠[連撃の帝王]![ツクヨミ]をリリースし、手札の[砂塵の悪霊]をアドバンス召喚する!」

 

「いいだろう」

 

 

色嶋のディスクでは[ツクヨミ]が対象に取られたことを示していた。ならばエスケープも兼ねてここで[連撃]を表にする方がいいとの判断だ

 

訳の分からない改造だが、こちらに与える影響が分かれば何とかなる。色嶋はそういう意見に収めておいた

 

 

[砂塵の悪霊] ATK 2200

 

 

「[砂塵の悪霊]の強制効果発動!フィールド上全ての表側表示モンスターを破壊する!」

 

「ふん」

 

 

禍々しいスピリットが地に降り立つと、これまた悪しき雰囲気を纏う砂埃が舞い出した。それは正体不明のカードを巻き込み、墓地へと誘う。

 

結局何のモンスターだったのか分からないが、破壊できるのなら問題は無さそうだ

 

 

「ならば墓地の«цпкпошп»の効果発動、墓地の«цпкпошп»を除外し、特殊召喚する!」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「そして«цпкпошп»を発動!デッキから«цпкпошп»2体を特殊召喚する!」

 

「2体だと...ん?」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

色嶋のディスクにチェーンの有無を訪ねる処理が現れた。と同時に[砂塵の悪霊]のカードに赤い罰点の模様が浮かび上がった

 

[砂塵の悪霊]の効果が無効になったのか?いやちがう。この表記は前に見たことがあった気がする。しかし思い出せなかった。チェーンするカードも無く放棄すると[砂塵の悪霊]を覆う罰点が同時に消滅した

 

何のシステムだったか、やはり思い出せなかった

 

 

「俺は«цпкпошп»2体で«цпкпошп»を召喚する!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「そして«цпкпошп»の効果発動!」

 

「これは...カウンター?」

 

 

遊戯王にはカウンターと呼ばれる個数をカウントする為の処置がある。これは一部のモンスターが効果のコストにするために、あるいはカウンターの有無による判別の為にこれが使用される。またいずれも区別するため差別化されている

 

今日ではあまり見ない物のため理解が遅れたが、ディスクの確認画面にしっかりと映ったそれを見逃さずに済んだ。カウンターの名称こそ«цпкпошп»になっていたが、カウンターを使うデッキは限られている。これがヒントになる事は間違いないだろう

 

 

「俺は«цпкпошп»を特殊召喚。そして«цпкпошп»と«цпкпошп»で«цпкпошп»を召喚!」

 

「またエクシーズか...?」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「そして俺は«цпкпошп»を対象に«цпкпошп»を発動!«цпкпошп»を召喚!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「くっ...何をした!」

 

「さぁな?«цпкпошп»の効果だ!貴様の[悪霊]にはご退場願おうか」

 

「何!?」

 

 

こちらに与える影響は破壊だった

仕方なく受け入れると[砂塵の悪霊]は墓地に行く。それだけの処理かとも思えたが、その効果にはまだ続きがあるようだ

 

 

「そして俺は1枚ドローする」

 

「ドロー効果付きか...」

 

「さらにこの効果で墓地に送ったモンスターの内、1番攻撃力の高い数値分のダメージを相手に与える!」

 

「何...うっうわぁ!?」

 

 

色嶋 LP 8000→5800

 

 

「ぐぁっ...な、なんだこれは...」

 

「いてぇか?くっくっくっ...」

 

 

痛み

通常の決闘(デュエル)では味わう事の無いはずのものだ

それにより足に力が抜けてしまい、その場に倒れそうにもなった。なんとか堪えて立ち上がっているものの、味わったことのない違和感に気持ちが悪い

 

当然敵からの説明も無い。一体幾つ改造を施しているのか甚だ疑問だった

まだなにかあるかもしれないと警戒を強める

 

 

「破壊にバーンにドローか...どこかで見た事のある効果だな」

 

「そうやって頭を働かせるといい...«цпкпошп»の上に重て«цпкпошп»を召喚!さらに重て«цпкпошп»を召喚!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「重ねる...」

 

「くくく...バトルだ、«цпкпошп»でダイレクトアタック!」

 

 

既に大きなダメージを受けてしまっている

しかし攻撃を通すと言う選択肢もあった。攻撃力が分かれば新たな情報にもなり、次からの行動も改められるかもしれないからだ。

 

色嶋は考えた。相手には攻撃可能なモンスターが2体いる。両方を受けるには心持たないライフであり、片方だけを止めるのもあまり意味が無いように思えた。

 

結果、すべてを拒むことにした

 

 

「リバースカードオープン、永続罠[霊魂の円環]!墓地のスピリットモンスター[和魂]を除外し、バトルフェイズを終了させる!」

 

「チッ...いいだろう」

 

 

墓地の[和魂]を糧に色嶋のフィールドに神秘的な粉塵が舞った。相手モンスターのソリッドヴィジョンが無いことから些か無駄な演出にも見えたが、確かにそれは色嶋を守った

 

それが止むと、相手に攻撃は許されず渋々メイン2に以降せざるを得なくなった

 

 

「ならば俺はカードを1枚セットしてターンを終了する」

 

 

«цпкпошп» 手札:0枚 LP 8000

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / リバース1枚

 

 

「僕のターン、ドロー!」

 

 

早くも相手には疲弊の色が見えていた。

相手は手に持つカードが無く、対して色嶋には多くのカード達が揃っている。

 

だが油断はできない

情報という点においては色嶋は圧倒的に欠如しており、未だ何1つ分かっていないからだ

 

 

「僕は[伊弉波]を通常召喚」

 

 

[伊弉波] ATK 1100

 

 

「[伊弉波]の効果にチェーンして手札の[カゲトカゲ]の効果を発動、特殊召喚する!」

 

 

[カゲトカゲ] DEF 1500

 

 

「そして[伊弉波]の効果により手札の[砂塵の悪霊]を手札に加える!」

 

「また破壊を目論んでいるのか?」

 

「さあね、僕はレベル4の[伊弉波]と[カゲトカゲ]でオーバレイ、[No.101 S・H(サイレント オナ-ズ)Ark knight(ア-ク ナイト)]をエクシーズ召喚!」

 

 

[No.101 S・H(サイレント オナ-ズ)Ark knight(ア-ク ナイト)] DEF 1000

 

 

「効果発動だ、ORUを2つ取り除き、そのモンスターをORUにする!」

 

「仕方ない、通そう」

 

 

ランク4の便利な除去効果を持つモンスターだ。慎也も愛用しており、構内大会を経て色嶋も採用を決定していたらしい。特に妨害もなく敵は吸収効果を受け入れると、[Ark knight(ア-クナイト)]の素材は入れ替えられた

 

そしてこの瞬間、色嶋は新たに情報を得た

素材としてこちらにある敵のモンスターは、こちらのディスクに名前もイラストもしっかりと映り込んでいたのだ

 

 

 ★4 [No.101 S・H(サイレント オナ-ズ)Ark knight(ア-ク ナイト)](守備表示)

 ・ATK 2100 / DEF 1000

 ・ORU(オ-バレイユニット) : 1

 ▶︎CNo.40 ギミックパペット-デビルズ・ストリングス

 

 

「ギミックパペット...こっちに来るとデータが表示されるのか」

 

「なんだと...チッ、あまり使えない機能だな!」

 

 

敵の反応から敵自身もあまり熟知していない改造なのだと色嶋は感じた。だがとにかく敵のデッキが何なのか分かった。素材となっている[デビルズ・ストリングス]の効果を読んでみると、確かに破壊とバーンとドローだ

 

慎也との決闘(デュエル)を思い出した。あの時もエクシーズを使う色嶋はエクシーズメタの効果を持つモンスターに苦しめられたと。今もそうだ、[ジャイアント・キラー]はエクシーズに対して強い効果を持っている

 

エクシーズを多用するべきではないか

そう考え始めていた

 

 

「...僕はこのままターンを終了する」

 

 

色嶋 手札:3枚 LP 5800

 

モンスター/ [No.101 S・H(サイレント オナ-ズ)Ark knight(ア-ク ナイト) DEF 1000

 

魔法・罠 / [連撃の帝王]

 

     / [霊魂の円環]

 

     / リバース1枚

 

 

「俺のターンだ...ドロー」

 

 

まだアドバテージは色嶋にある

相手が持つ唯一の手札を見てそう感じた束の間、そのカードはすぐにディスクに飲み込まれていった

 

 

「«цпкпошп»を発動、そして手札の«цпкпошп»を発動し、2枚ドローする!さらに墓地に送られた«цпкпошп»の効果でデッキから«цпкпошп»を手札に加える」

 

「一気に3枚まで...」

 

 

恐らく裏のままだったリバースカードを糧にドローしたようだ。加えてそのコストとなったカードが新たに効果を発動し、結果3枚まで手札を変えふくして見せた

 

だが、なんのカードかは当然わからない

 

 

「墓地の«цпкпошп»を除外し、«цпкпошп»を特殊召喚。さらに手札から«цпкпошп»を通常召喚し、効果を発動する」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

«цпкпошп» ATK ? ☆?→?

 

 

「その表示は確か...レベル変動だな」

 

「だからどうした、俺は2体の«цпкпошп»で«цпкпошп»を召喚!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「墓地の«цпкпошп»の効果で手札に加える。そして«цпкпошп»の効果を発動!貴様の[Ark knight(ア-ク ナイト)]を破壊する!」

 

「[Ark knight(ア-ク ナイト)]の効果で破壊を免れる」

 

「だが、«цпкпошп»の効果はターン1では無い!«цпкпошп»の効果を更に発動する!」

 

 

ギミックパペットと分かった今そこまで驚く事ではない。«цпкпошп»の2度目の破壊は防げないが、どうせ破壊されるならと先のターンと同じ行動で回避できる

 

手札の[悪霊]だ

 

 

「チェーンして[連撃の帝王]の効果を発動![Ark knight(ア-ク ナイト)]をリリースし、手札の[砂塵の悪霊]をアドバンス召喚する!」

 

 

[砂塵の悪霊] ATK 2200

 

 

そして敵の効果対象が消滅し、不発となる。だが、ここで[悪霊]の強制効果が再びチェーンブロックを制作する。

 

お返しと言わんばかりに[悪霊]は唸ると、敵のフィールドに残るモンスターを狙った

しかし全てを巻き込むはずのそれは役目を果たしきれなかった。1体の«цпкпошп»が相手の場に残っている

 

 

「甘い、«цпкпошп»は破壊される時代わりにORU1つ取り除くことができる」

 

「破壊耐性持ちか...」

 

「続ける。手札の«цпкпошп»を発動。墓地の«цпкпошп»を召喚する!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「さらに«цпкпошп»を発動、«цпкпошп»を召喚!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「«цпкпошп»の効果発動、その[霊魂の円環]を破壊する!」

 

「くうっ...!」

 

 

見えている範囲で守るカードは無くなってしまった

基本的には相手をいなし、ゆっくりと自分のペースを作る色嶋にとって、ここまで大きく動かれてしまうと立ち直すのは難しい

 

依然として手札は残っているものの、相手のモンスターの攻撃を耐えられるかどうか怪しい。ライフが無ければ得たアドバンテージも意味を成さない

 

 

「バトルだ、«цпкпошп»で...」

 

「うわぁぁぁっっ!!」

 

 

相手がフェイズを移行使用としたその瞬間、すぐ近くで悲鳴が轟いた。色嶋だけでなく、敵も驚いた様子でそちらに目をやると、一人の青年が屹立している

 

皇だった

向かいには今色嶋が向き合っている男と同じ服装にした男。色嶋が手こずっている間に皇は勝利したようだ

こちらに気がつくと、皇はいつもと変わらぬ様子で色嶋に語りかけてきた

 

 

「色嶋、やはりレクリエーションの一環のようだ」

 

「はい?...何を」

 

「Uuknown、使用カードが分からない中どうやって決闘(デュエル)を進められるか...なかなか面白い趣向じゃないか」

 

「貴様...おい、しっかりしろ!」

 

 

余裕を見せる皇に代わり、色嶋の対戦相手は倒れる仲間に怒鳴り散らした。だがその声が届くことは無く、ピクリとも動かず地に伏している

 

焦りからか怒りからか、大きな舌打ちをするとなにかブツブツと漏らし始めた

 

 

「なんだよ...使用側もああなっちまうのか...?」

 

「...」

 

 

色嶋は考えた。あの小心者の皇が今は自信と余裕を持ち合わせている。本当にレクリエーションのはずは無いが、本人がそう勘違いしているのならばそのままでもいいのではないかと。

 

実力はある男だ

ならば色嶋が今するべき行動は自身の身の救助要請では無く、他の生徒の為に動いて貰うようの指示だ

 

 

「そ...そうですね!多分多くの決闘者(デュエリスト)を倒せば倒すほどポイントが高いんですよ!」

 

「やはりな...初めからそう思ってたんだよ」

 

「ですから皇先輩は先に行っててください!僕も...負けませんよ!」

 

「あぁ、レクリエーションは大好きだ」

 

 

そう言い残すと皇は子供のように走り去った

相変わらず何か思いつめた様子の黒服の男と色嶋だけがその場に残り、決闘(デュエル)を再開させることになる

 

あんな嘘をついて良かったのだろうか

今更だが少し後悔もしてみたが、あれで良かったのだと自己解決するに終わる。自分も早く向かわなければ、その為にはまずはこの決闘(デュエル)に勝つのだ

 

皇に頼ることは出来ない

自分の力で勝利するしか選択肢は無いのだ

 

 

「チッ...勝てばいいんだよ!バトル、«цпкпошп»で[悪霊]に攻撃!」

 

「...そうだ、勝てばいいんだ」

 

 

まるで自分に言い聞かせるかのように敵の言葉を咀嚼した。だが、その攻撃に対して何も行わなかった

 

 

色嶋 LP 5800→4000

 

 

「ぐぅっ...攻撃力4000.....流石に痛いな」

 

「続けて«цпкпошп»でダイレクトアタック!」

 

「ぐぁっ!」

 

 

色嶋 LP 4000→1500

 

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

«цпкпошп» 手札:1枚 LP 8000

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / なし

 

 

 

「ぼ、僕のターン!」

 

 

手札は3枚、その内に[和魂]と[荒魂]が揃っており、ランク4やサーチが約束された手札だ

 

だが残りライフは少ない。敵のモンスターは攻撃力4000と2500だと分かったが窮地には変わりない

 

アドバンテージを取る事よりも、死に繋がらないクレバーな戦術が望まれるだろう

 

 

「僕は...[和魂]を通常召喚、さらに[荒魂]を召喚!」

 

 

[和魂] ATK 800

 

[荒魂] ATK 800

 

 

「[荒魂]の効果で僕は...」

 

 

どのスピリットをサーチするべきか

また相手ターンのために[砂塵の悪霊]をサーチするか

または次の[和魂]か

 

前者は破壊耐性を持ったモンスターが居るため厳しく、後者をするには時間もライフも無い

故に選びだしたモンスターは、スピリットの青いカードだった

 

 

「僕はデッキから[霊魂鳥神-彦孔雀]を手札に加える!」

 

「儀式か....」

 

 

色嶋の手札には謎の1枚があり、儀式モンスターのサーチから敵はそれを儀式魔法だと推測を立てた

 

フィールドにはリリース要因も揃っており、黒服の男は警戒すべくその儀式モンスターのテキストを確認した。しかし、色嶋の行動は敵も予測していなかったものだった

 

 

「僕はカードを1枚セットし、フィールドのスピリットモンスターを手札に戻してターンを終了する」

 

 

色嶋 手札:3枚 LP 1500

 

モンスター/ なし

 

魔法・罠 / [連撃の帝王]

 

     / リバース1枚

 

 

「...なんだ、儀式魔法の方が無かったのか?ドロー」

 

 

警戒していた儀式召喚がないと分かると敵は余裕を態度で表した。スタンバイもメインも程なく通過すると、一気にバトルフェイズへと移った

 

 

「バトルだ、«цпкпошп»でダイレクトアタック!」

 

 

どちらのモンスターの攻撃であろうと残りライフ1500では耐えられない。しっかりとモンスターゾーンを覚えて置くべきだったかとも考えたが、今の色嶋にはあまり関係の無いことのようだ

 

当然かのように伏せたカードを表替えすと、先程のサーチも意味を成す

 

 

「リバースカードオープン、罠[緊急儀式術]!墓地の儀式魔法を除外し、その効果を処理する!」

 

「なんだと!?」

 

「僕は[伊弉波]のコストで送っていた[霊魂の降神]を発動する。墓地の[砂塵の悪霊]と[伊弉波]を除外し、儀式を行う。流転を巡りし魂の鳥よ、永き眠り誘う神風を担え!儀式召喚、現れろ[霊魂鳥神-彦孔雀]!」

 

 

[霊魂鳥神-彦孔雀] ATK 3000

 

 

「[彦孔雀]の効果を発動!相手フィールドのモンスター3体まで相手の手札に戻し、手札のスピリットモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する!」

 

「くっ...やりやがったな!」

 

 

バトルフェイズ中に入っていたため、恐らくこれで追撃は無いだろう。加えてバウンス対象がエクシーズモンスターだったためしっかりと除去も叶った

 

しかし、依然として相手ライフを傷つける事が出来ていない。どちらが優勢かは徐々に見えなくなっていた

 

 

[荒魂] DEF 1800

 

 

「[荒魂]の効果でデッキから[伊弉波]を手札に加える」

 

「仕方ない...メイン2にカードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

「エンドフェイズに[彦孔雀]は手札に戻り、霊魂鳥トークン2体を特殊召喚する」

 

 

[霊魂鳥トークン] DEF 1500

 

[霊魂鳥トークン] DEF 1500

 

 

«цпкпошп» 手札1枚 LP 8000

 

モンスター/ なし

 

魔法・罠 / リバース1枚

 

 

「僕のターン!」

 

 

儀式において墓地のモンスターを利用できるのは非常に優秀な効果だ。タイミングを逃すからか、手札にあった[荒魂]と[和魂]を使用しなかった

 

強制効果故に[和魂]のドローは望めたが、[荒魂]のサーチ効果はタイミングを逃しまう。ここに来てもまだアドを取ろうとしているようだ

 

その結果手札は4枚

加えて今引いたカードは相手に公開していない物だ。自ずとこのターンの動きも変わってくるだろう

 

 

「僕は[伊弉波]を通常召喚!」

 

 

[伊弉波] ATK 1100

 

 

「効果で手札の[和魂]を捨て、墓地の[和魂]を手札に加える。そして[和魂]の効果で1枚ドローする!」

 

 

[砂塵の悪霊]はサーチも回収もされなかった

儀式の糧にした事からもう頼るつもりは無いらしい。

 

申し訳程度のドローを経ると、次はライフを狙うようだ。

 

 

「バトルだ![伊弉波]でダイレクトアタック!」

 

「ぐぐっ!」

 

 

«цпкпошп» LP 8000→6900

 

リバースカードの発動は考えられた事だが、敵はライフを消耗した。攻撃反応系に備えてトークンは守備のままにしておいたのだが、それは杞憂に終わった

 

ターンが終われば[伊弉波]は戻るため、相手ターンには攻撃の態勢をのこさず済む。ダメージをもっと与えたかったが、死なない為のプレイングをキープした結果に終わるしかない

 

 

「僕は1枚セットし、[伊弉波]を手札に戻してターンを終了する」

 

 

色嶋 手札:4枚 LP 1500

 

モンスター/ 霊魂鳥トークン DEF 1500

 

     / 霊魂鳥トークン DEF 1500

 

     / [荒魂] DEF 1800

 

魔法・罠 / [連撃の帝王]

 

     / リバース1枚

 

 

 

「俺のターンドロー...俺は墓地の«цпкпошп»を特殊召喚する!」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「そして手札から«цпкпошп»を特殊召喚!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「くるか...」

 

「このターンで終わらせてやる...俺は2体の«цпкпошп»で«цпкпошп»を召喚!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「«цпкпошп»の効果発動!」

 

「またカウンターを乗せる効果か」

 

 

恐らく全体除去が狙われている

初ターン色嶋を襲った破壊とバーンとドローの効果だ

 

今のフィールドだと[荒魂]の攻撃力が最も高く、その数値は色嶋のライフに届かない物だ。しかし、ドローされる事とフィールドが空になる事を考えると安心は出来ない

 

 

「そして«цпкпошп»を発動!«цпкпошп»を召喚する!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「«цпкпошп»の効果発動!全てを破壊する!」

 

「くっ...ぐわぁ!」

 

 

色嶋 LP 1500→700

 

 

トークンは消滅するため墓地での攻撃力を参照できない。奇しくも残りライフと同じ数値だったが、結果的に色嶋は生き残っている

 

しかし攻撃が残っていた

下級モンスターの一撃においても耐えられそうにないライフを見つめると、色嶋の頬を一筋の汗が伝った

 

手札には[砂塵の悪霊]が居ない

[連撃の帝王]によるアドバンス召喚も狙うことが出来ない。その汗は焦りから来るものだろうか

 

 

「1枚ドローする。バトルだ!«цпкпошп»でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!」

 

 

負けられない

その為にはこのリバースカードに頼る他ない

 

発動したカードはスピリットには何の関係の無い罠だった。慎也との決闘(デュエル)では出番の無かった、取っておきのギミックだ

 

 

「罠[栄誉の贄]!ライフが3000以下でダイレクトアタック時に発動可能。その攻撃を無効にし、贄の石碑トークン2体を特殊召喚する!」

 

「なんだと!そのカードは...」

 

 

贄の石碑トークン DEF 0

 

贄の石碑トークン DEF 0

 

 

「そしてデッキから地縛神と名のつくモンスターを手札に加えることが出来る。僕はデッキから[地縛神 Uru(ウル)]を手札に!」

 

「じ...地縛神だと!?」

 

 

聖帝大学の生徒の間で話題の聖帝地縛七人衆というものがある。それは端的に言ってしまうと地縛神を己のデッキに宿す決闘者(デュエリスト)7名を指す総称に過ぎない

 

その七人衆が揃ったのはつい最近の事だ。古賀の加入によって7名揃ったそれだが、色嶋もその内の1人だった

 

しかし彼自身その名を求めて採用している訳では無い。あくまで己の決闘(デュエル)の為に、己のデッキの為に採用している。

そしてそれは今この時大きく輝きだした

 

守りと攻め、双方を兼ね備えた罠は色嶋を守るに終わらず、次の手を用意してくれた

 

 

「さぁ、どうする?」

 

「チッ...1枚セットしてターンエンドだ!」

 

 

«цпкпошп» 手札:0枚 LP 6900

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / リバース2枚

 

 

「僕のターン!」

 

 

手札6枚のうちの地縛神が目に入ると思わず笑みを浮かべた。スピリットデッキ故あまり多用できるカードではなかった。それでも今は手の内に来てくれた

 

使わない手は無い

地縛七人衆の一人としてその力を振るうまでだ。

他構で名乗る名にはふさわしくないが、そう飲み込むしかない

 

 

「僕はフィールド魔法[死皇帝の陵墓]と永続魔法[冥界の宝札]を発動。そして2体の贄の石碑トークンをリリースし、アドバンス召喚を行う!」

 

 

エンドフェイズに効果を発揮するため、今は地縛神の拠り所のみとして発動された。

 

だが準備は整った

色嶋は肺いっぱいに息を吸い込むと、悠長に語り出す

 

 

「悪しき複眼の神、その多眼に映るは全てがその獲物。顕現し、この大地と共に全てを蝕め!アドバンス召喚、[地縛神Uru(ウル)]!」

 

 

[地縛神Uru(ウル)] ATK 3000

 

 

「[冥界の宝札]の効果で2枚ドロー!そして[Uru]の効果発動!手札を1枚捨て、相手モンスター1体のコントロールを得る!」

 

「させん!«цпкпошп»を発動、«цпкпошп»を対象にとることは許さん!」

 

 

その«цпкпошп»は発動後フィールドに留まった。永続罠という事か、続いて色嶋のディスクに効果が不発に終わったことが提示された

 

永続的に対象をとる効果を拒む効果らしい

これが通れば楽に済んだのだが仕方ない

色嶋は相手のフィールドに残るリバースカードと手札を見比べ、次の行動を模索し出した

 

チェーンを重ねるようだ

 

 

「それにチェーンして手札の速攻魔法[サモン・チェーン]を発動!このターン僕は3回の通常召喚を行える!」

 

「チッ!」

 

 

最早出し惜しみしている時間はなかった

今引いたカード、前のターン用意していたカード全てに手をかけ、一気に放出させた

 

召喚権があればスピリットは使用できる

[Uru]に使ってしまった分も取り戻せそうだ

 

 

「僕は[和魂]を通常召喚、この効果は通常召喚に加える召喚権が増える効果だ。そのため僕はあと2回通常召喚が行える!」

 

「チッ!説明はいらん!」

 

 

「なら[伊弉波]も召喚する。効果は使わない」

 

 

[和魂] ATK 800

 

[伊弉波] ATK 1100

 

 

「そして[和魂]と[伊弉波]をリリースし、[八俣大蛇]をアドバンス召喚!」

 

 

[八俣大蛇(ヤマタノドラゴン)] ATK 2600

 

 

「[和魂]と[冥界の宝札]の効果で合計3枚ドローする!」

 

「て、手札が減らない...!」

 

「まだだ、手札の[天岩戸]を除外し、[伊弉凪]を特殊召喚!」

 

 

[伊弉凪] ATK 2200

 

「さらに墓地の[伊弉波]を除外し、手札から[大和神]を特殊召喚!」

 

 

[大和神] ATK 2200

 

 

スピリットでは珍しい特殊召喚が可能なモンスター達

そのレベルは双方6、4回もの召喚権を酷使した末に呼び出すのは、エクシーズモンスターのようだ

 

 

「僕はレベル6の[伊弉凪]と[大和神]でオーバレイ、エクシーズ召喚!現れろ[No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ]!」

 

 

[No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ] ATK 3000

 

 

「[ビヨンド・ザ・ホープ]の効果発動!相手フィールドのモンスター全ての攻撃力を0にする!」

 

「くそ!」

 

 

対象に取らないため、これは適用される

«цпкпошп»により攻撃力は分からないが、0にする効果が通ったのならば関係無い

 

これで戦闘に勝てるのだ

 

 

«цпкпошп» ATK ?→?

 

 

「バトルだ![地縛神Uru]でダイレクトアタック!」

 

「ぐうっ!?」

 

 

«цпкпошп» LP 6900→3900

 

 

「続けて[八俣大蛇]でそのモンスターに攻撃!」

 

「ぐわぁ!」

 

 

«цпкпошп» LP 3900→1300

 

 

「[八俣大蛇]の効果発動!戦闘ダメージを与えた時、手札が5枚になる様にドローする!僕は5枚ドロー!」

 

「ふざけた効果を...!俺は«цпкпошп»を発動!墓地の«цпкпошп»と«цпкпошп»を特殊召喚する!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

色嶋には残り攻撃可能なモンスターは1体のみ

2体のモンスターを破壊し、ダイレクトアタックするまでには至らない。

 

だが、色嶋には有り余る手札があった

思うように引けたその5枚のカードを見るとどうしても口角が上がってしまった

 

ドローに頼るのはあまり自分らしくないが、実際に引けると何か滾る物があった

 

あの時歯が立たなかった慎也も、今の自分と同じ心境だったのだろうか。体験してみると恐ろしくとも高揚感と達成感を味わえた

 

 

「これが決闘(デュエル)を楽しむって事か...?」

 

 

回復したばかりのそれら全てを掴むと、再び荒い消費を見せだした

今引いたカードは全て使うつもりだ

 

 

「僕は手札を1枚捨てて速攻魔法[アクションマジック-ダブル・バンキング]を発動!このターンモンスターを戦闘破壊したモンスターはもう一度攻撃可能になる!」

 

「くっ...だがまだ俺のライフは!」

 

「それにチェーンして速攻魔法[アクションマジック-フルターン]を発動!モンスター同士の戦闘ダメージは2倍となる!」

 

「ハッ...俺のモンスターよりも攻撃力が上ならな!」

 

「まだだ、速攻魔法[神秘の中華鍋]![地縛神 Uru]をリリースし、その攻撃力分ライフを回復する!」

 

「...何?」

 

 

4枚ものカードを全てチェーンに使用すると、残りはたった1枚となった

相手モンスターの破壊は狙えそうだが、結局残りライフを削り切ることは出来ない

 

しかし、イタズラにチェーンするだけが色嶋の狙いでは無い。最後の1枚を発動すると、敵もやっと目的が分かった

 

 

「そして最後のチェーンだ、速攻魔法[奇跡の蘇生]!チェーン4以降に発動可能、墓地のモンスターを特殊召喚できる!」

 

「ま、まさか!」

 

「再び蝕め、[地縛神 Uru]!」

 

 

[地縛神 Uru] ATK 3000

 

色嶋 LP 700→3700

 

 

「効果説明はいらないな?[地縛神 Uru]でダイレクトアタック!”ヘル・スレッド”!」

 

「く...くそぉ!!」

 

 

アドバンテージを稼ぐ色嶋らしくないプレイングだ。だが、自身の持つ全てのカードを浪費してまで召喚した地縛神は1度フィールドを離れたため再度攻撃が可能になっている

 

これにより敵の壁モンスターは意味を成さない。地縛神七人衆として、己のプレイングを放棄してまで編み出したのは同時に勝利だった

 

しかし、彼自身自分のスタイルを捨てたつもりは無い

これはリスペクトでもあった

あの慎也に勝利するために、その慎也を模したアグレシップな決闘(デュエル)

 

 

LP 1300→0

 «цпкпошп»LOSE

 

 

 

 

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