遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
慎也がターンを終えると
リバースカードは2枚、慎也のフィールドには[ジャイアント・ハンド]1体が相手を睨んでいるだけ
敵のターンが始まる。多大な情報の渦に取り残されぬよう、生唾を飲み込むと慎也は大きく息を吐いて気持ちを切り替えた
「くくく...俺はまず墓地の«цпкпошп»の効果を発動する!」
「...!」
魔法か罠かモンスターかも分からない。ただ分かったことは慎也のフィールドから[ジャイアント・ハンド]が姿を消した事のみ
まただ
また慎也のモンスターが奪われた。案の定[プレイン・コート]と同様に墓地に存在しない。[ジャイアント・ハンド]が何も出来なかったことよりも、その発動タイミングが無かった事が悔やまれた
残すモンスターを間違えたかと
「だけど...墓地に送られた[レオ]の効果を発動!」
「させん!«цпкпошп»の効果発動!」
「ま、またか」
続けて[レオ]までも慎也のディスク上から抹消された。効果だけでなくカード自体をも消してしまう効果とは一体なんなのか、少ない手札を片手にディスクを操作してみるが、こちらの端末で得られる情報は無かった
「.....ん?」
「俺は手札から«цпкпошп»を通常召喚、効果で墓地の«цпкпошп»を特殊召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
«цпкпошп» DEF ?
「そして手札から«цпкпошп»を特殊召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「3体の«цпкпошп»で«цпкпошп»を特殊召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「今度はエクシーズ召喚か...」
「バトルだ、«цпкпошп»で[プレイン・コート]に攻撃!」
4体のモンスターが1度は並んだものの、それは2体まで減った。その内の1体は依然として守備表示であり、先程から慎也のモンスターを奪い続けているそれに違いない。
そして攻撃表示の«цпкпошп»は慎也の[プレイン・コート]に攻撃宣言をした。攻撃力が2300以上と推測したが、その場の暗算は意味をなさないようだ
慎也 LP 7000→4900
「ぐぅっ!?」
「戦闘破壊はしないぜ?俺はターンエンドだ」
モンスター/ «цпкпошп» DEF ?
/ «цпкпошп» ATK ?
魔法・罠 / «цпкпошп»
/ «цпкпошп»
/ «цпкпошп»
[プレイン・コート]との攻撃力の差は2100。普通に考えるのならそのモンスターの攻撃力は4300になる。だが解せないのは戦闘で負けたはずの[プレイン・コート]は未だフィールドに残っている事。戦闘を帰した両者のモンスターはそれぞれフィールドに残り続けており、慎也は混乱を極めるだけだった
そして何故か増えている敵の魔法・罠ゾーンのカード。ここまでの材料によって、慎也はひとつの過程を立てることができた
[プレイン・コート]が攻撃できない理由も加味すると、納得の出来るモンスターだった
「俺のターン、ドロー!」
2人目の敵、慎也が最も恐れているのはその5体融合モンスターだ。攻撃力も効果も未知数であり、殴られて見なければ分からない
なにか分かりやすいアクションを起こしてもらえればテーマの特定は出来そうだが、それによって陥る窮地は考えたくない
「俺は«цпкпошп»を通常召喚、効果を発動!«цпкпошп»をリリースし、デッキから«цпкпошп»を特殊召喚する!」
«цпкпошп» DEF ?
「«цпкпошп»の効果だ、墓地の«цпкпошп»と«цпкпошп»を手札に加える。そして«цпкпошп»の効果により特殊召喚!」
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» ATK ?
「...バトルだ、«цпкпошп»で[プレイン・コート]に攻撃!」
「通すしか...無い」
姿無きモンスターによる攻撃が慎也のモンスターを襲う。慎也には[プレイン・コート]の背中を見ている事しかできず、それを介して伝わる戦闘ダメージを覚悟して歯を噛み締めた
やはり[プレイン・コート]のステータスを上回った数値だった
慎也 LP 4900→3100
「がっ...っ!」
「«цпкпошп»の効果だ、1000ポイントのダメージを受けろ!」
「バーン...ぐぅっ!」
慎也 LP 3100→2100
「はぁ...はぁ.....墓地に送られた[トリック・クラウン]の効果を発動!」
「俺を忘れてもらっては困るな...«цпкпошп»の効果発動!」
「く...くそっ!」
自らの時が終わろうと、慎也のモンスターを執拗に狙ってくる。壁をはることも叶わず、クラウンブレードのギミックも停止してしまった
「ついでだ、«цпкпошп»でも攻撃する」
「...っつ!」
慎也 LP 2100→1100
「そして俺は«цпкпошп»を守備表示にしてターンエンドだ」
モンスター/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» DEF ?
/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» DEF ?
/ «цпкпошп» DEF ?
魔法・罠 / なし
フィールド/ «цпкпошп»
「俺のターン...ふっ、そのリバースカードはブラフか?」
「...さあね」
「ほう、ならば«цпкпошп»の効果だ、手札の«цпкпошп»を相手に見せ、特殊召喚する!」
«цпкпошп» ATK ?
ディスク越しにカードの公開処理が行われた
慎也のディスクに«цпкпошп»の文字が現れ、次にフィールドに«цпкпошп»の文字が出現する
相手に見せるだけの処理すらも«цпкпошп»化されるようだ。これのなにがコストに成りうるのか呆れるばかりだ
「.....バトルだ、«цпкпошп»でダイレクトアタック!」
遂に敵のモンスターは慎也そのものを標的にする。守るモンスターはおらず、敵の言う通り全く反応を見せないリバースカードが2枚あるだけ
だが、ここで敗れるわけにもいかない。慎也は2枚の内の1枚を上げ、存在を主張させた
「リバースカードオープン、[カウンター・ゲート]!直接攻撃時に発動可能で、その攻撃を無効にしてドローする。それがモンスターなら召喚することも出来る」
「...ふん、やってみろ」
いわれなくとも慎也は既にデッキトップに手をかけていた。
何を引こうと攻撃は無効にできる。
たがまだ攻撃表示の«цпкпошп»と裏のままのリバースカードがあった。故に慎也はここで壁になり得るモンスターを引かなければ窮地からは抜け出せない
重い1枚をゆっくりと引くと、それは魔法でも罠でもない
1枚のモンスターカードだった
「...よしっ!引いたのは[ゴブリンドバーグ]だ。[カウンター・ゲート]の効果で通常召喚する!」
[ゴブリンドバーグ] ATK 1400
「[ゴブリンドバーグ]の効果を発動!手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する!」
「...いや、このターンで終わらせる!«цпкпошп»の効果発動!」
「くそ...またか!」
慎也の目の前で[ゴブリンドバーグ]がゆっくりと色を失い、やがてカード事消え去ってしまった。何度も見てきた後継だ、咄嗟に引くことのできたカードも奪われてしまうのだ
慎也が睨んでいた通り、全てが解決した時、相手のリバースカードがこの時をまっていたかのように表返された。無論イラストもカード名も無い«цпкпошп»なのだが
「[ゴブリンドバーグ]が...っ!」
「良くやった。俺はここで«цпкпошп»を発動!«цпкпошп»を特殊召喚する!」
«цпкпошп» ATK ?→?
「やっぱり...そ、蘇生カードだったか...」
「さらに«цпкпошп»が特殊召喚に成功した事により、墓地の«цпкпошп»も特殊召喚する!」
«цпкпошп» DEF ?→?
「さぁ、まだバトルフェイズだ!«цпкпошп»でダイレクトアタック!この時、«цпкпошп»の効果を発動する、手札の«цпкпошп»を墓地に送り、デッキから«цпкпошп»を特殊召喚する!」
残りLPは1100。さらに後続が呼ばれたことにより、複数枚の壁が無ければまず生き残れない。そして今は攻撃宣言。慎也の残り1枚のカードは今発動するしか無い
だが、発動を強いられたそれは本命とも言える防御札だった
「チ...チェーンする...リバースカードオープン、[紋章変換]!手札の[ユニコーン]を特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる...っ!」
「チッ...何故初めから発動しなかった...」
[紋章獣ユニコーン] DEF 1600
「まぁいい、なら«цпкпошп»を特殊召喚する」
«цпкпошп» DEF ?→?
「俺はターンエンドだ」
モンスター/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» DEF ?
/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» DEF ?
魔法・罠 / «цпкпошп»
/ リバース1枚
フィールド/ «цпкпошп»
「はぁ...はぁ......くっ」
「どうした?早くカードを引け」
やっとだ
やっと回ってきた自分のターンだ
だがダメージを受けすぎたようだ。分かってたとはいえ
必死に叩き込んだ敵の情報も徐々に薄れていた。あのモンスターは何だったか、どちらが先に召喚されていたのだったか...
同時に模索していた己がすべき理想の動きも淡くなっている。何だ、何を引けばいい?どのモンスターを優先して破棄すべきだ、どう動くべきだ?
「くぅ.....」
「無理も無いか、
慈悲に聞こえた
その一言は慎也に新しい選択肢を与える訳ではなく、何かのトリガーとなった
思わずデッキトップから手が離れ、別の事が脳内を飛び交った。日本を発つ前、一樹と2人でデッキの調整をしていた時の事だった
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「.....何だよそれ、別のデッキか?」
「うん?あぁ、まあね」
初日の日付が変わろうとしていた頃、慎也が紋章獣のエクストラデッキを吟味していた所に、タバコ臭い一樹がそれを覗き込んできた
複数個デッキを持つのが珍しいのか、まだ燃えたりない煙草を捨てると一樹はそこから1枚のカードを手に取った
「あぁ、それね。素材関係無いし紋章獣の邪魔もしないからいいと思ってたんだけど...」
「はー?なんだよ、こいつを抜くかどうかで悩んでんのか?」
慎也があるカードの選択に悩んでいると、一樹はそれを一蹴した。満員のエクストラデッキから解雇するかどうかの選択なのだが、一樹はさらに1枚のカードをエクストラデッキに加えた。これでは16枚になってしまう
「こいつと合わせればいいんだよ、どんな相手でも関係無いないぜ?」
「.....いやエクストラの枠が...」
「おいおい、考えてみろよ...」
ーーー
「...どうした?その気になったのか?」
「.....」
慎也は何も語らない
そして諦めもしない
1度は離したデッキトップに指を添えると、力強く引き抜き、敵に提示した。慎也はそのカードを見ること無く、ディスクの画面に映されたそれの処理方法によって把握した
分からない
どうしてかは分からないが引ける事は分かった
ディスクを介して慎也はドローしたそのカードを相手に知らしめると、勢いよくディスクに叩きつけ叫んだ
「...お前らが見せないなら俺は見せてやる。よく見ておけ」
「なっ...そのカードは!?」
通常ドローによって引くことができた場合のみ発動可能なカード。それが引けた今、後はメインフェイズに移るだけだ
気がつけば呼吸も整っていた
「むしろこいつの方がいらねーだろ。[
「...俺は[
[CNo.101
「効果発動だ、お前の«цпкпошп»をよこせ!」
「くっ...く、くそ...」
「無理だよな、もう魔法・罠ゾーンは埋まってる!」
一樹は必要無いと発言していたが、慎也は採用を続けていたようだ。今でこそその存在感を大いに主張している
[
ORUを取り除くこと無くそのモンスターを自身のORUの1つとして吸収すると、慎也の墓地に5枚のカードがなだれ込んできた
この時を待っていた
慎也はディスクに映った発動可能なカード3枚を一気に選択し、チェーンを重ねた
「墓地に送られた[プレイン・コート]、[レオ]、[トリック・クラウン]の効果をチェーン発動する!デッキから[ツインヘッド・イーグル]、[アバコーン・ウェイ]を墓地に送り、[紋章獣エアレー]を手札に加え、墓地から[トリック・クラウン]を特殊召喚する!」
慎也 LP 1100→100
[
「ぐっ.....そして墓地の[サウザンド・ブレード]の効果だ、自身を特殊召喚!」
[
「まずい...モンスターが...」
「[サウザンド・ブレード]の方を奪うべきだったな」
慎也は召喚権を残したままフィールドに3体のモンスターを並べることが出来た。レベルは4で統一されており、ここで考えられるのは[コート・オブ・アームズ]の正規召喚だった
「...俺はレベル4の[トリック・クラウン]と[サウザンド・ブレード]と[ユニコーン]でオーバレイ、エクシーズ召喚!」
紋章獣の中でも強力な効果を持ち、ランクアップが叶えば相手ターンでも非常に頼もしい存在になり得る
だが、今回慎也がこの3体のモンスターを素材に召喚するのは紋章モンスターでは無い
日本に残した友のカードだ
「村上君、この子使ってみない?ランク4だし是非お勧めよ。紋章獣の墓地効果とも相性がいいし、そのまま他のエクシーズモンスターにも繋げられるでしょ?」
「武士を統べる太陽の神姫、今この地に現象し、我が僕のゆく道を照らせ!現れろ[武神姫-アマテラス]!」
[武神姫-アマテラス] ATK 2600
「[アマテラス]だと...武神の...?」
「[アマテラス]の効果を発動。ORUの[ユニコーン]を墓地に送り、除外されているレベル4以下のモンスター[アバコーン・ウェイ]を対象に発動する。そのモンスターを特殊召喚する!」
[アマテラス]は発動ターンによって効果が異なるモンスターだ。相手ターンなら墓地のレベル4以下モンスターの回収。自分のターンから除外されているレベル4以下のモンスターを蘇生させる
墓地と除外ゾーンを多用するため、他のテーマにも関わらずシナジーは噛んでいる。前にあの大型カードショップで黒川から勧められたモンスターであり、日本に残った黒川の意思を継ぐかのように[アマテラス]は慎也に貢献した
[紋章獣アバコーン・ウェイ] ATK 1800
「墓地の[ユニコーン]の効果発動、墓地の[プレイン・コート]を特殊召喚する!」
[No.18紋章祖プレイン・コート] DEF 2200
「こいつの素材は[プレイン・コート]でもいいんだろ?だったら入れとけよ」
「手札から[RUM リミテッド・パリアンブ・フォース]を発動する。俺は[プレイン・コート]をランクアップ、エクシーズ召喚!現れろ[CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド]!」
[CNo.106溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド] ATK 2600
「まだだ、墓地の[アバコーン・ウェイ]の効果を発動。墓地の[アンフィスバエナ]を手札に加える。そのまま通常召喚!」
[紋章獣アンフィスバエナ] ATK 1700
「[アンフィスバエナ]の効果を手札の[エアレー]を捨てて発動する。それにチェーンして[ジャイアント・ハンド・レッド]の効果発動だ!フィールドのカード全ての効果を無効にする。"紅漠無惚"!」
[ジャイアント・ハンド・レッド]が自身の肉体を真っ赤に染めると、フィールドの気温は一気に上昇する。その効果は相手モンスターだけでなく、魔法・罠・フィールド魔法までもすべてを飲み込む
無論慎也のモンスター達も力を失うが、構わない。これで«цпкпошп»であろうが関係ない。全て紅に染まり、無に帰すのだ
「[ジャイアント・ハンド・レッド]のトリガーは...まぁ、なんでもいい。とにかくこいつの強みは全体無効だ!あとは簡単だな?こいつをエクシーズ召喚して...いやそれよりも...」
「そして俺はレベル4の[アンフィスバエナ]と[アバコーンウェイ]でエクシーズ召喚、現れろ[No.39希望皇ホープ]!」
[No.39希望皇ホープ] ATK 2500
「[ホープ]...だと?」
「なぜこのタイミングで...」
一樹はあまり協力的な印象は無かったが、それでもあの一時は無駄にはならなかった。彼の尖った戦法や選択は今の慎也にとって非常に強い支えになっている
彼も良く行う戦い方だ
邪魔な物は全て破壊してしまえばいい
«цпкпошп»でも関係ない。1度[ジャイアント・ハンド・レッド]が起動してしまえば全てはバニラ同然だ
「[ホープ]が入ってんならこいつも入れとけよ。そのまま重ねられるし[ジャイアント・ハンド・レッド]使ったあとなら除去に困らねーぜ!」
「.....俺は[希望皇ホープ]でオーバレイネットワークを再構築!一筋の光は輝き、道無き道を創り出す!...我が名は希望、この戦いに終止符を打つ!エクシーズ召喚、現れろ[SNo.39希望皇ホープONE]!」
[SNo.39希望皇ホープONE] ATK 2510
現れたモンスターは希望の名を冠するシャイニングナンバーズ。慎也に相応しい名であり、その名に恥じぬ効果を持つ
[希望皇ホープONE]
たった1人の
「効果発動だ!俺のライフが相手より3000ポイント以上少ない時にライフを10になるよう支払い、ORUを3つ取り除く事で発動可能。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターすべてを破壊し...除外する!すべて消え去れ、"アロンライト・ハンドラズフォース"!」
次にフィールドを染めたのは眩く美しい光だった
熱の帯びた敵地全てを覆いつくし、自身の力を存分に発揮した。
数々の«цпкпошп»表記が並ぶ中、それら全てが慎也の敵に当たるため端から順にカードが消滅していく。合計11枚のカードがモンスターゾーンから姿を消した時、[ホープONE]の次なる処理が敵のライフを襲撃する
慎也 LP 100→10
「そして...この効果で除外した枚数1枚につき相手に300ポイントのダメージを与える!」
「ぬぅっ...ぐぉぉっ! 」
「ぐはっ!」
「がぁっ.....!」
「...くっ」
「除外だ、墓地には送らない」
「.....やるな...だがフィールドを離れた«цпкпошп»の効果発動!デッキより«цпкпошп»を特殊召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
[ジャイアント・ハンド・レッド]が抑制するのはフィールドのみ。そのためフィールドを離れる事で発動するモンスター効果までは止められず、後続を許してしまった。
だがフィールドががら空きのプレイヤーが2名いる
多勢を相手取っている以上減らせる人間は減らしておきたい
「バトルだ、[
「ウグッ!?」
身内のモンスターのよって効果は失ったものの攻撃力と攻撃権利は残っている。まだ攻撃可能なモンスターも控えており、今は邪魔をする者がいない
今が大きなチャンスだ
「[アマテラス]でダイレクトアタックだ!」
「ぐわぁぁっ!!」
LP 1900→0
モンスターを奪われた仮は返した
後2人だ
「次はお前だ...[ジャイアント・ハンド・レッド]でダイレクトアタック!」
「ぐぐ...」
「[ホープONE]でダイレクトアタック!」
「ぬわぁぁぁっ!!」
LP 2100→0
黒川と一樹が進めたモンスター達
その2体が敵を屠った事により、慎也の敵は一人となった
しかし、既に慎也のモンスター達は攻撃宣言を終えている。手札も無い、残りライフも10と前代未聞だ
それでもまだ墓地で紋章獣が働き足りない事を主張していた。まだやれることはあるようだ
「メイン2、俺は墓地の[ツインヘッド・イーグル]の効果を発動。墓地の[レオ]と[エアレー]を[ジャイアント・ハンド・レッド]のORUにする」
「なんだと...だがそいつはNo.を素材にしていなければ効果は...」
敵の言う通り、相手ターンに[ジャイアント・ハンド・レッド]を残しておきたいのなら[プレイン・コート]の時にORUを付与させるべきだった
そして次に慎也が干渉したのはエクストラデッキ
まだエクシーズ召喚は出来る
「俺は[ジャイアント・ハンド・レッド]でオーバレイネットワークを再構築、エクシーズ召喚!現れろ[CX冀望皇バリアン]!」
[CX冀望皇バリアン] ATK 0→3000
「[バリアン]の効果を発動。墓地の[ホープ]を対象に取り、次の相手のエンドフェイズまで同名カードとして同じ効果を得る!」
「くっ...」
[
素材を3つ所持する[ホープ]により、3回までは攻撃を阻止することが出来るようになった
敵は残り1人。相手は4回モンスターで攻撃することが出来れば慎也に戦闘ダメージを与える事が可能であり、慎也に耐えられるほどのLPは残っていない
次のドロー次第でもある。未だ発動していないリバースカードも1枚だけ残っているため、慎也の優勢とは断言できない
だが慎也にすべきことかも残っておらず、ここで静かにターンを終えることにした
「俺はターンエンドだ」
慎也 手札:0枚 LP 10
モンスター/ [CNo.101
/ [武神姫-アマテラス] ATK 2600
/ [
/ [SNo.39希望皇ホープONE] ATK 2510
魔法・罠 / なし
「良くもやってくれたな...だが貴様のライフはたったの10!これで終わりだ!」
最後の1人が乱暴にドローフェイズを終えた
慎也は手に持つカードが無く、やり場に困った腕は組んで構えておいた。セットカードは無い、たった一体の[冀望皇]に任せるのみ
敵がメインフェイズに移ったようだが、慎也は興味を示さず、ただ自分の墓地を確認していた。今はバトルフェイズにしか発動できる効果は無い
メイン中はただ見ているだけだ
「...ふっ、俺は«цпкпошп»を発動!デッキから«цпкпошп»を手札に加える!」
「...」
「そして墓地の«цпкпошп»の効果を発動!さぁ、バトルだ!«цпкпошп»で[ホープONE]に効果!」
効果宣言だ
攻撃力が分からない以上、[ホープ]の効果を使うのが無難と言える。
だが
誰もが知る最強の防御札を
「墓地の[超電磁タートル]の効果を発動、バトルフェイズを終了させる」
「なんだと!?」
相手の«цпкпошп»に攻撃モーションが無いため、慎也のフィールドがスパークするだけの演出が施された。
慎也のエクシーズモンスター達を囲うように走る稲妻に道を塞がれ、«цпкпошп»は静かに攻撃を止めた。エンドステップに入った今、もはや敵に行動は許されていない。それでも相手はメインに移ることなく、ただ狼狽の色を提示していた
「貴様.....いつの間に...っ!」
「[手札抹殺]は墓地の順番を任意に入れ替えられる。確認を怠ったお前らが悪い」
「違う!今まで散々発動タイミングはあっただろう![カウンター・ケード]と[紋章変換]を使わなくともその1枚で...いや、奴の融合モンスターの時もだ!なぜ今まで...」
「LPが1000より多ければ[トリック・クラウン]は使える。後はお前らが何デッキなのか判断するために受けた。やたらと墓地からカードが奪われてたからいつバレるか不安だったけどな」
「ならば[ホープ]は!?何故わざわざ[バリアン]でコピーしたのだ!?」
詰問に嫌気がさしたのか、慎也は深く瞳を閉じてしまった。訳が分からないのはこちらの方だ、命懸けで情報を集めただけの話であり、慎也の方こそ意味がわからない
だが勝負はついた、ディスクが強制的にフェィズ移行した所で慎也は答えた
「守る手段が[ホープ]しかないって思わせるためだ。上手く引っかかってくれた」
「...貴様!」
度々行う誘導は上手くいった。
それは一樹に[インフィニティ]の効果を使わせたのが記憶に新しい
彼も同じ様に怒りを表していたものだった
相手がまた何か言う前に慎也がカードを引いた
無駄なお喋りはここまでだ、さっさと終わらせよう
「[
「チッ...」
ORUは3つとなり、敵のフィールドからモンスターが全て消えた。後は攻撃命令を果たすのみ
「バトル、[
「まだだ!«цпкпошп»を発動、墓地の«цпкпошп»を特殊召喚する!」
«цпкпошп» ATK ?
「さらに墓地の«цпкпошп»の効果を発動!特殊召喚!」
«цпкпошп» DEF ?
「ならそのモンスターに攻撃だ」
「ぐうっ!」
「[ホープONE]でそのモンスターに攻撃」
「くっ」
「[冀望皇バリアン]でダイレクトアタック!」
「ぐおっ!?」
「終わりだな、[アマテラス]でダイレクトアタック!"天陽光の照来"!」
曇り空に一筋の光がさした
それ背に[アマテラス]は両手を広げ、最後の
神々しき光が最後の1人を包むと、そのライフに余るダメージを与える。同じく孤独の慎也は
LP 400→0
「ぐあっ...」
「.....はっ、はぁ...はぁ.....くっ」
受け身も取らず最後の1人は倒れた
少し離れた位置に倒れる3名の«цпкпошп»を尻目に慎也はゆっくりと目当ての補給地点へと足を働かせた
想像以上に不可が重い
自らのコストとはいえライフは10にまで減ってしまった
戦闘ダメージも大きい
なんとか勝利はできたが、この調子では体が持ちそうになかった
「くぅ...」
補給地点は解放済みだった
一ノ宮から渡されたメモは出番無く侵入可能
拙い手取りで梯子を降下すると、特別変わりのないあの部屋に辿り着いた
荒らされた様子も特にない
ただ、プロの私服らは回収されたようだ
それでも通信設備は無事であり、補給物資も残っていた
「...ふぅ」
重々しい設備には光が灯っており、まだ稼働中の様子だ
だが使用方法が分からない
何かスイッチがある訳でもなく、ただ緑のランプが灯っているだけ
「......」
腰のポーチに手を伸ばした
まず手に触れたのは一ノ宮から渡され、本来なら提出するはずだったあの集落のメモ。それを無視してさらに奥に手を伸ばすと、2つの端末が現れた
草薙総司から渡された送信と受信の端末
あちらから掛かってくる事は考えられず、こちらから連絡を取ることになりそうだ
だがコードは草薙と化野のものしか分からない
どちらに繋げるべきか、可能なら安山に直接連絡がしたい
「...」
草薙と化野、今
縋る気持ちで送信用の端末に化野から教わったコードを入力してみると、コール音も無くすぐに繋がった
やはりそうだ、この通信設備は連絡を取るためのものではなく、端末と
焦りを抑えているつもりだったが、聞こえてきた声は化野のものでは無かった
『こちら
「あ、安山さん...っ、緊急事態です!」
『...落ち着き給え。今は補給地点か?』
「はい...俺以外の皆さんが.....全員やられました」
安山は一瞬息を飲んだ
あまりにも早すぎる大打撃は最高責任者でも予想はつかなかったらしい
沈黙も焦れったく、慎也は次々に話し出した
補給地点にたどり着いたこと
近くにあった月下の集落での様子
たった1人の
3人の
報告の最中でも安山は一言も喋らないでいた
慎也の喉もいい加減疲労を感じ始めた頃、慎也から話すべきことは全て終えた
「...以上です」
『.....そうか、よく分かった』
先程から後ろが騒がしく思える
安山の声の背後から、複数人の怒号が聞こえる
一体何が起こっているのか慎也には分からない
疑問に思い始めた頃、安山は思い口取りで一言告げた
「......えっ」
『聖帝大学を始めとした都内の4つの大学が謎の集団に襲撃されている。現在日本に残っている
「まさか...
「通報の内容と
すれ違いか
まさか同時刻に日本が、それも聖帝大学が襲撃されているらしい
どういうことだ
あの時と同じよう
今度は慎也が言葉を失う番だった
追い討ちをかけるかのように安山は信じられない事を告げた
『...今はそちらに増援は送れない。村上慎也、君には暫く1人で月下に残ってもらう』
孤独はまだ終わらない
ぶっちゃけどうですか?
-
読みたいからやめて欲しくない
-
読みたいけど無くなったら読まない
-
普通
-
無くてもいい
-
読むのが億劫