遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
「
「む、村上さん...」
カムイの発言には不可解なものしか無かった
聞いたことも無い名前.....前者は団体の名だろうか
訳の分からない様子の慎也は起き上がろうとするが、詩織にやんわりと制された。そうでもしなければ、慎也はまたカムイに噛み付きかねない。
これ以上慎也に負荷をかける訳にはいかない、詩織に抱き抱えられた慎也は、そのまま壁を背に座り込んだ
「くっ.....はぁ、はぁ.....」
「無理しないでください」
しゃがみ込み慎也と目線を合わせていた詩織だが、今度は立ち上がり、敵であるカムイと目線を合わせた。詩織が何を考えているかなど、この場にいる全員が理解していた。
慎也は叫ぶ
「だ、駄目だ!こいつは危ないんだ、まだなにか隠しているかもしれない!」
「村上さん、もういいんです。私1人だけが助かるぐらいなら私は戦う方を選びます」
背後の慎也に目もくれずに話し出す詩織。慎也は彼女の背中しか見えないが、その意識の強さは嫌になるほど理解できた
最早自分の言う事は聞いてくれない。だったらここで黙って勝利を願うしか無いのか?
相変わらず体中に痛みが走っている。頭痛も感じる、吐き気に近いものもある。先の敗北が原因だとは分かるが、どういう原理かなど到底解明できそうにない。
「はぁ...っ、シエン!」
『はっ!』
カムイと睨み合っていたシエンが側に来た。代わりと言わんばかりにシザー・タイガーが詩織の前に立ち、カムイを見据えた。シエン自身もなぜ呼ばれたか把握している様だ、すぐに本題に入った
「これ...どうにかできるか!?」
『可能です。そのままじっとしていてくだされ』
シエンが慎也の額に手を当て、瞳を閉じた。一見何かをしているようには見えないが、慎也は体で何かを感じていた
「...これは?」
『恐らく殿の体内にある"
そう言い残し、シエンは黙りこんでしまった。外面からでは変化は見えないが、慎也は何かが変わることを体で感じていた
(.....点滴が血管を通ってるみたいだ.....痛みが和らいでる気がする...)
先程まではもう2度と動かないのではないかと疑っていた手足も、指先だけなら少しだけ動かせる。まだ痛みは走るが、歩けるようになるのも時間の問題だろう。
少しだけ希望が見えた時、慎也を他所に詩織は
「村上さん、待っててください。絶対に一緒に逃げましょう!」
『主人!行きますぜ!!』
力強い声は慎也にさらなる光を見せた。詩織の覚悟を再確認すると、慎也も決心する
「.....詩織ちゃん...分かった、でも無理しないで。俺もすぐに乱入する!だからそれまで...」
「分かりました!」
「お話は終わった?いくよっ!」
カムイは待ちくたびれた様子だった。それでも慎也達の会話が終わるのを見届けると、慎也の時と同じようにディスクを操作し、強制開始を行った。
これで詩織は逃げられない。
(本当にディスクが.....美姫ちゃんも渡邉さんもこんなもので......)
不思議と恐怖は無かった。
あったものは今まで助けてくれた者達への感謝と罪悪感。彼女は本気でここで戦うつもりだ
いつもより気合いのこもった
「「
詩織 LP 8000
カムイ LP 8000
「私のターン!まずは[ワン・フォー・ワン]を発動します、手札の[エッジインプ・チェーン]を捨ててデッキから[ファーニマル・オクト]を特殊召喚します!お願いします!」
[ファーニマル・オクト] DEF 800
「[チェーン]と[オクト]の効果をチェーンします!デッキから[魔玩具補佐]を手札に加え、墓地の[エッジインプ・チェーン]を手札に加えますよ!」
「...シザー・タイガー、いまどんな状況?」
『ガウ!慎也の旦那とシエンがくっついてるガウ!』
「だから詩織ちゃんの
『主人が手札消費無しで融合素材を集めたガウ![魔玩具補佐]もサーチしたガウ!』
シザー・タイガーの言う通り、詩織の手札は依然5枚ある。さらにサーチしてある[魔玩具補佐]を使用すれば、1枚増え、融合も可能になる。
幸先はいいように見えるが、詩織はそもそも先攻を取ってしまっていた。デストーイに先攻というものがそもそも合致しておらず、それを知る慎也はあまり安心できていない
シエンの邪魔にならないように、ゆっくりと体勢を変え、少しでも詩織とカムイの
「詩織ちゃん...」
「大丈夫です!私は負けません!」
デストーイが先攻に行う事と言えば破壊耐性を持たせた[サーベル・タイガー]の召喚と、リバースカードのセットと言ったところか。
無論、融合素材の収集等も比較的妨害が無く行える利点もあるが。
そんな事は使用者である詩織が1番理解している。
だが、詩織は凛とした姿勢を貫き通していた
(....後攻だったら良かったんですけどね、次のターンに温存を...)
手札と睨み合う詩織
慎也もシエン越しにその光景を見ていた
(...[超融合]が見えている.....[スターヴ・ヴェノム]があいつのエクストラデッキに入ってたりしたら...)
カムイを睨みつける慎也
詩織は相変わらず手札を見つめている
(....村上さんにこれ以上負担は掛けたくありません...ここは私が...っ!)
詩織の記憶に、渡邉と黒川達の後ろ姿があった。彼らは詩織を逃がすために戦った者だ。
そして後ろ姿のみの記憶は、詩織が逃げた事を意味していた
(...シエン、早くしてくれ。もう俺は負けるわけにはいかないんだ...っ!)
シエンは返答しなかった。それほど精細な作業だという事だ。
(私があの人を.....)
戦う詩織と見守る慎也と境遇は違う2人だが、心の中で決意した気持ちは一致していた
カムイも黙ってはいるが、そんな2人を見据えて思うことがあるようだ。笑顔の奥には言葉では表現出来ないようなものが潜んでいた
...まだボクに勝つつもりでいるのかなっ?......時間もないしさっさと終わらせよう
今は詩織のターン。まだ魔法カードを1枚発動したに過ぎない。二枚目の魔法カードは詩織の十八番、融合を示唆するものだ
「[魔玩具補佐]を発動します!デッキから[融合]と[エッジインプ・チェーン]を手札に加えます!」
「おおっ?来るみたいだねっ!」
「当たり前ですよ![融合]を発動します!手札の[エッジインプ・チェーン]とフィールドの[ファーニマル・オクト]を融合!天使を縛る魔の鎖よ、その者の命を繋ぎ、永久の形を築け!融合召喚!現れでちゃって下さい![デストーイ・チェーン・シープ]!」
[デストーイ・チェーン・シープ] ATK 2000
「...手札から[ファーニマル・ヘンギン]を召喚します!効果で手札から[ファーニマル・オウル]を特殊召喚します!」
[ファーニマル・ペンギン] ATK 1600
[ファーニマル・オウル] ATK 1000
次の融合の準備を進めると同時に、詩織は征竜について記憶を探り出した。慎也が敗北したという事実が詩織に
危険を知らしめている。今すべき事を忠実に行いたい
(....征竜、中学生の頃にクラスで流行ってましたね.....あんまり戦ったことはありませんけど相手ターンに妨害してくる事は少ないはずです。[ブラスター]の破壊効果も対象を取りますし、ここは...)
依然として召喚したいモンスターに変わりはないようだ
「[オウル]の効果を発動します!500LP払い、融合召喚を行います!フィールドの[デストーイ・チェーン・シープ]と[ファーニマル・ペンギン]、[ファーニマル・オウル]を融合!喰らう猛獣紡がれし時、新たな
[デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 2400→2800
「[サーベル・タイガー]と[ペンギン]の効果をチェーンします。[ペンギン]の効果で2枚ドローし、1枚捨てて、墓地の[チェーン・シープ]を特殊召喚します!」
[デストーイ・チェーン・シープ] ATK 2000→2400
「まだですよ![トイポット]を発動します。手札の[魔玩具融合]を捨てドロー![ファーニマル・ドッグ]なので手札から特殊召喚します!」
[ファーニマル・ドッグ] ATK 1700
「効果でデッキから[ファーニマル・キャット]を手札に加えます!」
「ふぅん...止まらないねっ!」
サーチしたモンスターは融合素材にされて初めて効果を発揮する。カムイの言う通り、このターンはまだ融合召喚が行われるだろう。手札にある2枚のカードに[融合]は無いが、墓地の[トイポット]と墓地のあるカードがそれでも融合を可能だと思わせる
「墓地の[ファーニマル・ウイング]の効果発動!墓地の[オクト]と除外し、1枚ドローします!さらに[トイポット]を墓地に送りもう1枚ドローします!墓地に送られた[トイポット]の効果でデッキから[ファーニマル・シープ]を手札に加えます!」
「手札が増えたねっ!」
2枚しか無かった手札が5枚になった。容赦なく詩織は新たに手にしたカードを発動する。融合は続く
「手札から[ファーニマル・シープ]を特殊召喚します。効果で[ファーニマル・ドッグ]を手札に戻し、墓地の[エッジインプ・チェーン]を特殊召喚します!」
[ファーニマル・シープ] DEF 800
[エッジインプ・チェーン] DEF 1800
「[デストーイ・ファクトリー]を発動します!墓地の[
[デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 2400→3200
「[サーベル・タイガー]の効果と[ファーニマル・キャット]の効果をチェーンします!墓地の[チェーン・シープ]を特殊召喚し、墓地の[融合]を手札に加えます!」
[デストーイ・チェーン・シープ] ATK 2000→2800
「おおっ?」
「破壊耐性持ちですよ...[
[デストーイ・ハーケン・クラーケン] DEF 3000
「カードを2枚セットしてターンエンドです!」
詩織 手札:2枚 LP 8000
モンスター/ [デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 3200
/ [デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 3200
/ [デストーイ・チェーン・シープ] ATK 2800
/ [デストーイ・ハーケン・クラーケン] DEF 3000
魔法・罠 / [デストーイ・ファクトリー]
/ リバース2枚
「ボクのターンだね、ドロー!」
カムイにターンが回った。先攻で敵を抹殺可能なデッキは少なく、当然の事だ。伏せた2枚のカードを一目見ると詩織はカムイに注意を向けた
「まずは«цпкпошп»だよねっ!手札の«цпкпошп»を除外して2枚ドローっ!«цпкпошп»の効果でデッキから«цпкпошп»をサーチするよっ!」
「[七星の宝刀]...でしたね」
「教えてあげないよっ!手札の«цпкпошп»の効果発動。手札の«цпкпошп»を捨ててデッキから«цпкпошп»を特殊召喚っ!」
«цпкпошп» ATK ?
「そして手札の«цпкпошп»と«цпкпошп»を除外っ!墓地から«цпкпошп»を特殊召喚!」
«цпкпошп» ATK ?
「除外された«цпкпошп»達の効果だよっ!«цпкпошп»と«цпкпошп»をサーチッ!」
「...」
「.....シエン、まだか!?」
『...もう.....少々...お待ちを、このターンまでには......』
シエンは手こずっているようだ。無理もない、こんな事をした事など無いだろう。慎也も慎也とて焦らせらせたが、困難は分かっている。それでも目の前で己を倒したカムイと向き合う詩織が心配で仕方が無いのだろう
「手札から«цпкпошп»を召喚っ!さらに«цпкпошп»を特殊召喚っ!«цпкпошп»の効果発動っ、«цпкпошп»と同じレベルになるよっ!」
«цпкпошп» ATK ? ☆?→?
«цпкпошп» ATK ? ☆?
「.....その動きは...たしか[幻木龍]と[幻水龍]でしたね!」
「まぁ昔は一世を風靡したもんねっ?友達にも"適合者"がいたのかなっ?」
「て、"適合者"...?なんですかそれ...」
「...あ、気にしないでっ!«цпкпошп»と«цпкпошп»でオーバレイ!«цпкпошп»をエクシーズ召喚っ!」
«цпкпошп» ATK ?
「«цпкпошп»の上に重ねて«цпкпошп»をエクシーズ召喚っ!」
«цпкпошп» ATK ?
「効果発動っ!僕は«цпкпошп»3体を墓地に送るよ。キミは3体除外してっ!」
「...[エッジインプ・DT・モドキ]、[ファーニマル・マウス]、[ファーニマル・オクト]を除外します!」
手札にあるカードを見つめ、デッキからカード3枚を除外した。それは使用を諦めた訳では無さそうだ
「何かあるね?墓地に送られた«цпкпошп»達の効果発動っ!デッキから«цпкпошп»と«цпкпошп»、«цпкпошп»を除外するよっ!」
「その効果は.....たしか」
「まぁまぁ!すぐに分かるよっ!«цпкпошп»の効果発動!このターン二回攻撃できるようになったっ!けど«цпкпошп»を発動!墓地の«цпкпошп»を5体除外して«цпкпошп»を融合召喚っ!」
«цпкпошп» ATK ?
「それは...さっきの
「そうだよっ!除外された«цпкпошп»の効果だよっ!さっき除外した«цпкпошп»達を手札に戻す!」
「...貴方こそ手札を回復させましたね.....」
カムイも1度は2枚まで減った手札を5枚まで回復させた。展開と共に次のモンスターをサーチできる征竜は、同じく手札消費の荒い融合とは回復力が異なる。[超再生能力]が代表的だが、何度でも疲弊した手札は帰還するだろう
「続けるよっ!«цпкпошп»を除外して、手札から«цпкпошп»を特殊召喚!効果発動っ墓地の«цпкпошп»を特殊召喚っ!さらにその上に重ねて«цпкпошп»をエクシーズ召喚っ!」
«цпкпошп» ATK ?
«цпкпошп» ATK ?
「«цпкпошп»の効果発動っ!さぁ、もう3枚除外してよっ!」
「むぅ.....[ファーニマル・ウイング]、[エッジインプ・シザー]、[魔界発現世行きデスガイド]を除外します」
2度目の同じ効果が起動し、詩織のデッキをさらに3枚削った。対してカムイはさらに墓地肥やしを行った。破壊効果を持ったモンスター2体が守ってくれているとは言え、不安が増していく
「ついてきてよねっ?«цпкпошп»2体でオーバレイ、«цпкпошп»をエクシーズ召喚っ!」
«цпкпошп» ATK ?
「さらに墓地の«цпкпошп»と«цпкпошп»を除外し、«цпкпошп»を特殊召喚っ!」
«цпкпошп» ATK ?
「フィールドの«цпкпошп»と«цпкпошп»をリリースし、«цпкпошп»を特殊召喚っ!」
«цпкпошп» ATK ?→?
「攻撃力が上がった....?」
「墓地の«цпкпошп»2体を除外して«цпкпошп»を特殊召喚っ!さらに«цпкпошп»の効果発動っこのターン2回攻撃だっ....」
«цпкпошп» DEF ?
「.....いくよ、バトルフェイズ!«цпкпошп»でキミの[チェーン・シープ]に攻撃!」
「きゃあっ!?」
詩織 LP 8000→3900
「ケホケホッ.....破壊された[チェーン・シープ]の効果を発動します!墓地から攻撃力を上げて特殊召喚します!」
「こっちも«цпкпошп»の効果だよっ!500ポイントのダメージだっ!」
「えっ...きゃあっ!」
詩織 LP 3900→3400
[デストーイ・チェーン・シープ] ATK 2000→3600
「......?」
『......も、もう少しで終わります......ぞ...』
シエンが苦戦する中、カムイが宣言した効果に違和感を覚えた慎也は、身を乗りだしてフィールドを覗いた。詩織は気にしていないが、今の発動タイミングは明らかにおかしかった
「...«цпкпошп»で[チェーン・シープ]に攻撃っ!」
「くっ...[チェーン・シープ]の特殊召喚効果はターン1です.....」
詩織 LP 3400→2000
「ま..まだ...はぁ.....はぁ...まだです!」
「そうだねっ、まだだ!.....«цпкпошп»で[サーベル・タイガー]に攻撃!戦闘破壊されないなら2回とも受けてもらうよっ!」
「...はぁ、はぁ......」
詩織 LP 2000→1200→400
「耐えたねーっ!」
「はぁ.....はぁ...まだって言ったはずです!」
「...うん、そうだね。ターンエンドだよ」
カムイ 手札:1枚 LP 8000
モンスター/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» ATK ?
/ «цпкпошп» DEF ?
魔法・罠 / なし
「はぁ...はぁ.....」
『主人!大丈夫ですかい!?』
「くっ!シエン!!」
『........終わりました、お体はどうでしょうか!?』
詩織がこれ以上傷つけられる光景に見ていられなくなり、慎也はしびれを切らしシエンに怒鳴った。一息置いてシエンは慎也の望む答えを返し、慎也に肩を貸し立ち上がらせた。
...まだしびれは残るが、充分動ける。
戦える
「私のターンです!」
その頃詩織のターンに回った。少しずつ
そんな中で目が合ったカムイは嫌に笑って見えた。先程初めて出会ったが、彼の癖だろうか、ずっと笑っている気がした
その笑みで慎也に電撃のようなものが走った
征竜のレベルが7だと分かっていたはずだ
「っ!?.....いい引きです、私はこのカードを公「駄目だ詩織ちゃん!」
「......絶望的にいい引きだね」
慎也の一言は間に合わ無かった。既に詩織はあるカードを公開し、発動処理を終えていた
そして彼女のライフは0を刻んだ
「...............えっ?」
「«цпкпошп»の効果だよ」
LP 400→0
詩織 LOSE
「詩織ちゃぁぁぁああんん!!!」
慎也の哀しき叫びを前に、少女は倒れた
まだ完全に元の体を取り戻せていない慎也は拙い足取りで詩織の元へ走った
だがそれは"走る"という行為から程遠く、やがて慎也も足がもつれその場に伏した
「ぐぁっ......くっ...詩織ちゃん......」
「悪いね、この子は連れて帰るよ」
地に這いながら詩織に近づこうと慎也はもがいたが、カムイの方が早かった。軽々と詩織を抱き抱えると慎也に目もくれずに去ろうとした
「ま、待てよ!詩織ちゃんをどうするつもりだ!」
『殿!』
シエンの力を仮り、何とか二本足で立ち上がると吠えた。怒りだけで無い、様々な感情の篭った一言だが、カムイの歩を止める材料には足りなかった
「待てって...言ってんだろ!」
『殿.....っ!』
慎也は全く気づいていなかったが、シエンはぐったりしているシザー・タイガーを見つけた。先の詩織の敗北が原因なのか、言葉も発せない様子だった。
カムイが廊下の曲がり角に消える頃、慎也はやっと体をコントロールできた。床を蹴り、一気に走り出した
「おい!......っ!?」
角を曲がった慎也の目の前に一面の黒が映りこんだ
黒いフードの男達、それも数える事が億劫に思える程の大人数がいた。
たった今いたはずのカムイと詩織の姿は見えなかった
「こ、こいつか......」
「"希望"は回収したんだ!後はこいつを足止めすれば...」
「この人数いるんだ、拘束もできるだろ!」
...無理だ、こんな人数相手にしてたらきりがない
「あぁ!作戦は成功だ!」
「さっさと俺らも...」
「俺が最初にやるぜ!」
全員たおせたとしても...間に合わない詩織ちゃんが.....
「なんだ?こいつビビっちまって声も出せねぇのか?」
「...
「駄目だな。こいつは俺らの仲間を何人も...ここで確実に仕留める!」
絶望の最中にいる青年の耳に、数多くの怒号が響いた
ちょっとシリアスな場面なので今回もおまけ無しで...
ぶっちゃけどうですか?
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読みたいからやめて欲しくない
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読みたいけど無くなったら読まない
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普通
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無くてもいい
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読むのが億劫