遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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急遽投稿します、今回の決闘(デュエル)が長引きそうなので区切るのと、どうしても報告したいことがあるからです...

このSSを書き始めてから1年過ぎましたが、とうとう評価が5件になりました!

ようやくこのSSの評価に色がつきました...憧れだったんです

いつもご覧になっている方や、コメントをくださる方。そして評価してくださった皆様、本当にありがとうございました!!

これからも頑張ります!


第四十六話 時を 欠ける 刃

 

 

 

「はぁ...はぁ......」

『っ!?主人、止まるガウ!』

 

シザー・タイガーの静止により詩織は足を止めた。息を殺し、曲がり角の陰に身を隠す。

誰かの話し声が聞こえる。すぐ側に敵はいた

 

 

「...”希望”に持たせてあった発信機は別の女が持っていたようだ」

「それで、その女は回収したのか?」

「いや....他のガキに邪魔されたらしい」

「なるほど、奴らも馬鹿じゃねぇってことだな。何人で行動してるんだ?」

「...1人だ」

「...何?」

「1人のガキに邪魔を.....まさかそのガキに負けたんじゃ?」

「...あぁ」

 

会話は段々と雲行きが怪しくなっていた。どうやら聖帝のある生徒が危険視されているようだ。聖帝側としては嬉しいニュースだが、いまは敵が邪魔でそれどころではない

 

「はぁ......はぁ.....ケホッケホッ...」

『主人.....大丈夫ガウ?』

「.....はぁ..はぁ....」

 

黒川と別れてからまた詩織の喘息は悪化しだした。何とか呼吸を整えようと努力するが、難しそうだ

すぐ側に敵がいるこの状況がより一層緊張を高める

 

「......おい、そこに誰かいるのか?」

「なに?」

 

「.....っ!........はぁ...ハァ......」

 

 

気づかれた

 

声が徐々に近づいて来る

もう逃げられない、決死の覚悟で詩織は立ち上がった

 

『.....ご主人、やる気ガウ?』

「........はぁ..はぁ...はい、いつまでも逃げていられません.....っ!」

 

 

ゆっくりと廊下を進む

恐怖に押しつぶされないように、慎重に1歩、また1歩と

 

開けた廊下に出ると敵と対面ー

 

 

「貴様は.....」

「ほ、報告のガキだ!」

 

「......」

 

「...え?」

『主人!戻るガウ!』

 

 

敵が感じていた気配は詩織のものでは無かった。

現に詩織が確認できたものは敵の背後だけ、彼らは詩織とは反対方向に注意を向けている

シザー・タイガーに促され、再び壁を利用し身を隠す事に落ち着いた

 

 

「慌てるな、全員でかかるぞ」

「あぁ...のこのこと出てきやがって...覚悟しろ!」

 

「だ.....大丈夫でしょうか...?」

 

 

黒服の男達と敵対関係にあるという事は、自ずと聖帝の生徒であることが分かる。一言も語らないその生徒は男か女かも分からない。せめてもの情報として、恐る恐る目視しようと試みた

 

敵の背中でよくは見えなかったが、詩織のよく知る人物が黒服の集団と対面していた

 

「あ、あの人は......っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...ここだなシエン?」

『はい、あちらに』

 

 

 

 

 

 

 

「.....む、村上さぁん......」

『慎也の旦那じゃねぇか!』

 

 

 

 

 

 

 

慎也とシエンがいた

 

一つの廊下で«цпкпошп»の集団を挟む形で慎也と詩織は出会った。縋るように見つめる詩織を、黒服の向こう側に見つけると慎也は微笑んだ

 

 

「少しだけ待っててね.....」

 

「何を言っているんだ...行くそ!」

「やるぞ、”希望”を抑える!」

「あぁ、そろそろ時間がねえ!」

 

 

 

敵は3人、言動から3人がかりで迫ってくる事は分かった。それでも慎也は動じず、どのデッキを使うかとだけ考えていた

やがてそれが決まると戦闘態勢を作る

 

すぐそこに見えている詩織を早く助けたい

目的を再確認すると、深く息を吐いた

 

 

 

「...なんだ、あいつ?」

「急に黙り込んで...今更臆したか!?」

「もうおせぇよ!」

 

 

 

 

ー敵の言葉に耳を貸すな

落ち着け、さっきから熱くなりすぎだ 

 

さながら優秀なカウンセラーかのように自分自身に言い聞かせた。シエンも黙ってそれを見届けている

いまは少しだけ冷静を保てているが、今日の主は少し様子がおかしい。いつまた憤怒に駆られるか分からない

 

 

 

 

「「「「決闘(デュエル)!!!!」」」」

慎也 LP 8000

«цпкпошп» LP 8000

«цпкпошп» LP 8000

«цпкпошп» LP 8000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「慎也.....大丈夫かな?」

 

灰田は意識の無い古賀と東野を少し離れたベンチに移動させていた。初夏のこの時期にそれは重労働であり、大粒の汗を流していた。

古賀と東野は相変わらずぐったりしており、まだ目を覚まさない。日陰の場所を彼らに譲り、灰田は汗を流し続けた

 

 

「.....君、聖帝の生徒?」

 

灰田の視線はずっとビルに向けられていた。故に背後には注意は向けておらず、突然の質問に身を固くした

 

 

「はっ、はい!」

S(スペシャル)D(デュエリスト)T(チ-ム)です。茶髪の青年からの通報としか聞いていないんだけど、君であってる?」

「はい!」

 

まったく気配に気づかなかったが、振り向くと複数人のスーツの男達がいた。初めて見るS・D・Tの戦士達は、まさに英雄の到着を思わせた。さらに背後には数台の車があり、想像以上の戦力が助けに来たようだ

待ちわびた援軍に灰田は心から喜んだ

 

 

 

「そ、そうだ!俺たち学校のインターンシップの説明会に行こうとしたらディスク壊れてて修理出して遅れたら入口しまってて...えーとそしたら慎也...じゃなくて友達が非常口を手品で開けたらなかに変な人がいて決闘(デュエル)しろとか言い出してそれで慎也が決闘(デュエル)している間に俺が交番まで走りました!あ、なんでかこの当たり電波繋がらなくて携帯繋がらなかったから直接行きました!」

「.....落ち着いて話してくれ、この子達は...なんで気絶しいるんだい?」

「俺もよくわからないんですけど......俺が戻ってきたら慎也が2人を担いできたんです」

「...なるほど、分かった。危険な人達がビルにいるんだね?後は「はい!早く行きましょう!こっちから入れます!!」

「あっちょ、君!」

 

 

灰田は走り出した。それを追う形で国家権力の精鋭達も続いてビルに侵入した

何がともあれ慎也達を守り、«цпкпошп»を排除するための戦力が新たに導入された

 

間髪開けず、1台の車が新たにたどり着く

それが止まると、中から1人の男が姿を見せた

 

 

「.....おい、通報したガキはどこだ?」

「あ、申し訳ありません...先ほど静止を聞かず行ってしまいました!」

「数名は青年の追跡を兼ねて既に向かいました。...我々はどうしましょうか?」

「.....フゥ-」

 

 

鋭い三白眼で古賀と東野、そしてビルを睨むと部下と思わしき者達に近寄った。

明らかに雰囲気の異なる彼はチームのリーダーのような存在なのだろう、他のS・D・Tは正解を示すかのように緊張感を漂わせていた

 

 

「ハァ.....今度はなんだ、またディスクの改造か...それとも違法カードか.....ガキ同士の喧嘩とか抜かさないよな」

「正体不明の組織がこのビルを襲っているようです。それと、”ゲート”を大人数が通過したそうです。その時期と一致したためもしかしたら.....」

「.....そうか」

 

 

部下の報告を受けながら、その男は胸ポケットからタバコを取り出していた。しかし、その内容が喫煙を抑制させ、結局そのままポケットに戻した。

 

 

「.....若いのはビルに行け、残りはビルを包囲.....それとこのガキを本部に連れていけ。あとは随時報告だ、いいな」

「はい!」

 

 

大勢の部下達が同時に了解した。10数名の若き精鋭達を見送ると、その三白眼は閉じた

 

 

「........フゥー」

 

 

自らの後頭部に手をあてがい、首元まで念入りにほぐし出す。それも数回行っただけで、次第に頭を掻き乱すだけになっていた。近くでそれを見ていた1人が、それをきっかけに動いた

 

「.....俺もビルに向かいます」

「いや、お前はいい。残りで包囲に回れ、必要なら応援を呼べ」

「は、はい!」

「...」

 

 

残った数名の部下も走り出した。これによって、この場に残った人物は三白眼の男と彼が待機を命じた若き1人。

 

 

「.....ハァ」

「...”化野(あだしの)”さん、何故俺だけ待機なのでしょうか」

「.....すぐに応援が来るとは限らない、今の最高戦力は温存したい」

「...恐縮です」

「........車で待つぞ」

 

 

そう言い放つとついにタバコを咥えた。

車に向いながら火を探す事が、手こずっている。最高戦力と呼ばれた男は、それを見ると自らのライターを取り出した

 

 

「どうぞ」パチン

「.....フゥ-...お前もやるか」

「...頂戴します」

 

2人分の煙が立ちこむ前に乗ってきた車に戻った。煙が充満する密室内で、若い男はビルから視線を逸らさないでいた

 

「.....心配か」

「はい?なんの事でしょうか?」

「弟、来てるんだろう」

「ああ..愚弟なら心配ありません」

 

 

煙が目に染みたのか、目を細めながら語った。煙を交えた深呼吸をすると、大きく息を吐いた

 

 

「...俺を越える、時期”希望”が付いています。愚弟には勿体無い友人ですよ」

「........辛抱だ、お前はまだ見せる訳にはいかない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「[シエン]でダイレクトアタックだ!」

「ぐおおぉぉぉっ!!」

 

LP 200→0

 «цпкпошп» LOSE

 

 

「はぁ..はぁ......終わった.....詩織ちゃんっ!」

「村上さぁん!!」

 

『慎也の旦那、やるじゃねぇガウ!』

『皆木殿もご無事で何よりです』

 

 

苦戦はしなかった。3つの肉体を越えて慎也は詩織の元へ走った。詩織も同様に歩み寄り、2人は無事再開を果たした

 

「詩織ちゃん怪我は?具合は?発作は??」

「む、村上さん...近いですよぉ.....」

 

 

詩織を心配した慎也はいささか近すぎた。頬を赤らめるだけで詩織には質問に答える余裕は無い。

 

黒川から聞いたある話が慎也をここまでは知らせたが、どうやら詩織は無事のようだ。杞憂に終わるなら問題は無い

だが、慎也の心配していた本人には、別の疑問があるようだ

 

 

「そう言えば...村上さん遅れてましたけど間に合ったんですか?」

「あー...いや間に合わなかったんだけどね.....」

 

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

 

 

時は遡る

慎也と灰田が扉に阻まれ、インターンシップ説明会の参加権を失った頃だ

 

 

 

「...閉まってる」

「え!?間に合わなかったの!?」

「...そうみたいだね」

『殿...残念でしたな』

 

息を整えながら慎也は左手の腕時計を見る。時は12時55分、間に合っているようで、間に合っていなかった。乱れた息は自然とため息に変わり、慎也は見るからに落胆していた

 

 

「慎也...ごめんね...」

「はぁ...しかたないよ。知樹達が終わるまでそのへんで時間を...?」

「う、うん!お店入ろう!俺が奢るから!」

 

灰田に呼ばれ慎也は引き返そうとする。しかし視線の端に見えた何かに違和感を覚え、再び振り返る

 

「...?」

「どうしたの、慎也?」

 

 

「いや.....なんで防犯シャッターが閉まってるんだろうって...」

 

 

透き通るほど美しく磨かれた扉は、室内を観察するのに適していた。そとから見えるビルの内部は、静かで、誰一人として確認出来なかった

 

 

「...ほんとだね!」

「ていうかそもそも自動ドアだよね、これ?...開かない」

 

 

控えめに扉に力を込めてみたが、びくともしなかった。そもそも開く動作ができるのかどうか不安になったところで、慎也は察した

 

 

「...っ!停電かっ!?」

「あっ!確かに中が真っ暗だね!?」

 

 

灰田が言う通り、室内は薄暗い。停電だと思い込んでしまえばそうなのかもしれない。停電下なら自動扉をこじ開けることも可能なのだが

 

 

「だったら業者に連絡しないとね....でもこのビルの場合はどこに連絡すればいいんだ?」

「そういうのって出入り口にまとめて書いてない?」

「あー、確かに。でも無いよね?」

 

 

相変わらず開かない扉の前であれやこれや思考を重ねている。いまは説明会に参加する事では無く、このビルの管理会社に連絡を入れる事が目的になっていた。

 

「もしかしたら非常口の方にあるんじゃない?」

「なるほど、行ってみようか」

 

大通りから少し外れ、大きくビルをまわる。特に探す手間など無く、ビルの側面に設置された非常階段を見つけた。しかし、それを使用するためには、1度ビルの中に入る必要がありそうだ。外に出ている非常階段は、2階までしかない

 

 

「これかな?.....このビル設計ミスなんじゃないの?なんで1回ビルに入らないと非常階段使えないんだよ...」

「...うん、開かない!」

 

 

灰田が言う通り、その扉も開かなかった。慎也も試してみたが、今度は鍵のような感触が邪魔している。

扉や、ビルの停電に気を取られていたが、どうやら上の方が騒がしい。慎也と灰田は上を見上げ、伺う

 

 

「...随分盛り上がってるね!」

「うん.....いや、停電でパニックになってるんじゃないの!?」

「まじか!?.....でもなんでみんな降りてこないんだろ!?」

「.....防犯シャッターが閉まってたって事はもしかして火事か!?...煙も出てないし、それは無いか.....でもなんなやばそうだよね」

 

 

推測は迷走し、満足のいく答えには繋がらなかった。が、ビル内への興味はより深まった。何とかしてビル内の様子を知りたい慎也は、ここでシエンに語りかけた。この扉の解錠の提案だ

 

 

 

(シエン、聞こえる?)

『はい、良好ですぞ』

(開けられる?)

『ふむ.....』

 

 

シエンは主の命に答える代わりに扉に触れた。ドアノブに何度か力を込めると、二つ返事で返した

 

 

『少々手荒ですが...切り捨てるのは?』

(灰田が見てるし.....切っちゃダメでしょ)

『分かりました。では少々お待ちを...』

 

 

そう言うとシエンは鍵穴の部分に指をあてがった。瞳を閉じ、集中している

次第にシエンの指は、扉と一体化し、沈んでいった

 

 

「おぉっ」

「どうしたの慎也!?」

「あ、いや...なんでもない」

(そんなことも出来るんだね)

『はい、しかし我はこの世界に馴染みすぎたようです。もう少し時間がかかります...』

 

 

シエンの言う通り、少し手こずっているように見えた。しばらく扉に手を沈め続ける-

 

ゆっくりと、ゆっくりと扉の奥に手を伸ばし...手を回転させた

 

ガチャンッ!

 

 

音を確認すると、シエンは手を引いた。主の命に従い、鍵を解放した。満足そうなシエンと慎也を他所に、何も知らない灰田はただただ驚愕の表情を見せた。そして問うた

 

 

「えっ!鍵、開いたの!?どうやってやったの!?」

「え...あ、やべ」

 

 

精霊の見えない灰田からすれば怪奇現象ともとれる。慎也は懸命に言い訳を考えたが、でたものは貧弱だった。構わずその情けない回答を示す

 

「......手品?」

「...」

 

苦しかった。しかし相手は灰田。見せた反応は慎也を安心させる。

 

 

「...すげぇ!!」

「.....まぁとにかく業者に連絡しよ」

 

 

まさか騙せると思っていなかった慎也は苦笑いを浮かべていた。そのままドアノブを捻り、ビル内に入ろうとした所、黒い障害物がそれを遮った

 

よく見ると、それは衣であり、人だった。

突然の侵入に驚いている様子だ。はじめに口を開いた者はその障害物だった

 

 

「.....貴様、どうやって鍵を?」

「...見るからに怪しい」

 

慎也も対抗して男を怪しむ目で下から上へと見渡した。男の質問には答える気が無いようだ

 

「聖帝の生徒か...いや、見られたからには関係ない、ここで拘束する!」

「...交番まで走ってきて!やばそう!」

「う、うん!分かった!」

「っ!もう1人いたのか!?」

 

 

慎也は灰田に命令した。

後に灰田は命令通り警察の応援を呼ぶことに成功し、慎也は«цпкпошп»を知ることになった...

 

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

「ていう感じかな」

「そうなんですか.....」

 

 

詩織にとって、慎也が助けに来てくれただけで充分だった。ビルに入るきっかけを知った所で、2人は移動を試みた。それと同時に、詩織に新たな疑問が生まれた

 

 

「...あっ!村上さん、美姫ちゃんは!?渡邉さんは!?」

「今の所は大丈夫そうだったけど.....え、渡邉先輩もいるの?」

「はい!部屋が一緒でした...渡邉さんも私達を逃がそうと1人で.....心配です」

「...詩織ちゃんはどこの教室にいたの?」

「私は2階の1教室でした」

「.....シエン、見なかった?」

『渡邉殿は見てませんな...』

 

 

最初に詩織の逃亡に協力した人物は4年の渡邉だ。そこから8階にいた黒川と合流し、さらに非常口から侵入した慎也と再会した。今更とも言えるが渡邉は今どこにいるのだろうか

 

「...今は逃げよう」

「でも.....美姫ちゃん達は?」

「大丈夫。セラフィを側につかせてる。安全なルートで逃がしてくれてるよ。他の生徒もレオが探し続けてる。さぁ、行こう」

「...はい!」

 

 

慎也が差し伸べた手を、詩織は掴んた。

このビルを徘徊してきた慎也なら非常口まで詩織を引っ張っていく事ぐらい容易い。詩織の手の感触を確認し、しっかりと握り直すと歩み出した

 

 

か、それはすぐに断念した

いつの間にか目の前に今までとは明らかに違う雰囲気の男がいたからだ

 

道を遮るかのように、余裕の笑で慎也達を眺めている

 

 

「っ!いつの間に...詩織ちゃん、下がってて」

「は、はい!.....あ、あの人は.....」

 

「やーっと会えたね?」

 

 

その男は白いスーツを身にまとっていた。

今まで慎也が戦ってきた黒服とは違い、その男は整った綺麗なスーツを着用し、顔も隠していなかった

 

その事から慎也は他の黒いフードの男達と差別化を測った特別な存在...幹部クラスだと勝手に推測した

 

か、詩織は別の反応を見せていた

 

 

「あの人、部屋に黒服の人たちを率いてきた人てす!」

「...なるほどね」

 

「覚えててくれたんだねーっ僕は”カムイ”、宜しくね!皆木さんに村上君?」

「.....っ!」

 

 

当然名を呼ばれ、より一層身を固くした。

慎也達の名前まで把握されている。これまでの経験から、今回の急襲は突発的なものでは無いと感じていた。発信機や部屋割り、そして敵の人数やこちらの情報。全てが整っている敵の組織は、想像以上の規模のようだ

 

詩織を守る。

それだけを胸に誓い、慎也は戦うようだ

 

 

「...そこをどけ、って一応言ってみようかな」

「無理だねっ無理矢理にでもやってみるかい?」

 

 

そう言いながらも2人は既にディスクを構えていた。

決闘(デュエル)は避けられない。

 

慎也は詩織の前に出ると、改めてカムイと対面した

彼は相変わらず余裕そうに笑を浮かべていて、慎也はそれを睨み続けている

 

まさに一触即発の空気に、詩織は冷や汗を拭う事も忘れていた。その静寂を破ったのはシエンだった

 

 

『殿、お気をつけ下さい...あの男から今まで感じたことの無い気配を感じます...』

「...相当な実力者って訳だな、行くぞ!」

 

「来なよっガールフレンドの前で綺麗に散らせてあげるよっ!」

 

「......村上さん...」

 

 

2人の決闘者(デュエリスト)が今ぶつかる

果てしなく理不尽な戦いがすぐ側に控えている

詩織を守るためには、それは避けられないものだ

それ故に、青年は戦いの選択肢を選んだ

選んでしまった

 

 

 

 「「決闘(デュエル)!!」」

 

 

 

 

 

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