遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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暑い、また次数多くなってしまいました。
私事ですがまた携帯が壊れました。機種変したのでなかなか使い慣れません


第四十四話 天賦の刃心

黒川と慎也が出会う少し前。

9階から下へと向かった黒川に対し、慎也は非常口から侵入し、上へ向かっていた。

 

そのビルは非常階段が外に位置しており、一度外を経由してからまたビル内に入る。慎也は精霊であるシエンと共に階段を駆け上がっていた

 

 

「シエン、敵はどれ位いる?」

『そうですな...ざっと100人ほどです。ですが、何人かは既に倒れていますな』

「随分多いな.....」

 

踊り場を通過する時、シエンは扉に注意を向けた。そのまま掛け上がろうとしていた慎也も足を止め、振り返る。

 

 

「どうした?」

『.....この階から複数の高決闘力(デュエルエナジ-)の反応を感じます』

「...ここに?」

 

シエンがわざわざ報告するという事はそれほど強力な決闘者(デュエリスト)がいるのだろう。複数と言うことは敵のものか、味方のものか、あるいは両者のものかわからない。

慎也が軽くドアノブに力を加えるが、開く気配はなかった。鍵だけで無く、何かが邪魔をしている。感触から感じ取ることが出来た

 

 

「....シエン、開けられる?」

『...少々手荒になりますが』

「緊急事態だ、頼むよ」

『御意のままに......ッ!』

 

 

シエンは扉に触れ、何かを確かめる。それが済むと少し距離をとり、構えた。

その後に取り出した物は刀、武士の自慢の刃だ。

 

 

『.....ハァッ!』

 

 

ピシィッッ!

 

聞きなれない音が響く。シエンもその音で手応えを感じ取り、露出させた刃を鞘に納めた。

シエンの納刀と同時に、扉の向う側から金属片が散らばる音が聞こえ、シエンは乱暴に扉を蹴飛ばす。先程の切れ込みから扉は倒れ、その奥に音の正体が見えた

 

 

「.....鎖か」

『そのようですな、内側からも外側からも通れないようにしてありました』

 

慎也が鎖の破片に触れてみると、それは重く、硬く、異色を放っていた。今まで見たことの無いような黒色...闇と表現した方が相応しいのではないかと疑うほどに深く濃い黒色をしていた。

しばらく観察してみたが、何か嫌な予感を感じ取り、それを捨てて立ち上がった

 

 

「.....そんな事より進もう」

『はい!』

 

 

 

斬り裂いた扉を跨ぎ侵入した。屋内に入ると道なりにに廊下を進み続ける。似たような風景を何度も見るが、一向に開けた場所や、個室が見当たらない。

 

 

 

...しばらく探索を続けたが、彼らはとうとう進行不可に陥っていた

 

 

「なんだよ...このビルどういう構造してるんだ?」

『殿、こちらにビル内の地図がありますぞ』

 

 

正規の入口から侵入していないからか、慎也はこのビル内の構造を把握出来ていなかった。シエンに促され地図を確認すると、そもそもの把握が難しいことに気づいた

 

 

「...こっちからは中央まで行けない?」

『どうやら非常階段があるこちら側からでは通路がないようです』

「設計ミスじゃねぇか...5階は繋がってるね」

 

 

特殊かつ、広大なビル内の通路は地図を介しても把握しがたいものだった。今は2階、警察には連絡済みだが悠長に待っていられない。友達の安否も心配だが、敵の戦力も気になる。

目的は定まっていないが、とにかく2階の奥地に向かいたい

 

 

「シエン、決闘力(デュエルエナジ-)で人物の特定までは出来ないの?」

『難しいですな...今このビルの内部に多くの決闘者(デュエリスト)がいるので...』

「そうか...」

『ですが』

 

シエンにしては珍しい食い気味の話し方に慎也も思わず集中した。何かシエンには作戦があるようだ

 

 

『精霊は主と空間を超越した意思疎通が可能です。ビル内で殿がどこに居ようと我は辿り着けます』

「.....いつでも合流できるって事?」

『はい、それも精霊を3人従えている殿でしたら捗るかと』

「なるほど、じゃあセラフィ達を呼ぼう...」

『その必要はありません』

 

 

シエンが送る視線の先は慎也の背後。

遠距離の精霊を呼び寄せるという新しい試みへの挑戦は果たせず、集中しようと閉じた瞳はすぐに開かれた。

背後を確認しようとゆっくり振り向くが、それも必要無かった。

何となくだが、初めから誰かはわかっていた。レオとセラフィだ

 

 

『勝手ながら我が収集しました』

『遅くなりましたマスター、何なりとお申し付け下さい』

『ご主人!レオの出番ガルゥッ!?』

 

今朝は慌ただしく家を出たため、慎也に付いてこれたのはシエンだけだった。そのシエンが集めた留守番2人も加わり、慎也の戦力は2倍に増えた。思わず顔が綻ぶ慎也だが、今は友が危険な状況、すぐに気を引き締め直し精霊を従える

 

 

「皆ありがとう....じゃあまずは5階に上がろう」

 

 

側に居る精霊が3人に増え、それを率いて再び非常階段まで走る。数分ぶりの外の空気を肌で感じると、疲れ始めた足をまた酷使する

 

 

「....はぁ......はぁ...」

『殿、無理は禁物ですぞ』

『マスター、呼吸の乱れを確認しました。ペースダウンを推奨します』

『せ、狭くて登りにくいガルゥ.....』

 

 

慎也も息が途切れ途切れになっていた。お世辞にも広いとは言えない非常階段に、四足歩行のレオも苦しんでいる。早速精霊の得手不得手が垣間見得た所で、慎也はレオに命じた

 

 

「...レオ、レオはここから入って」

『ガオ?レオは3階担当ガル?』

「うん、地図だと3階は開けた場所が多いからね。レオなら早く調べられると思う」

 

 

先程の端末に写真を収めた地図を確認し、レオを送ることにした。狭い階段を登らせるより、走り回りやすい場所の方がいいと些か安直な理由だ。しかし、そもそも別行動をするつもりだった彼らには、丁度いいしばしの別れになった

 

 

『分かったガルはッ』

「いい、俺の友達とか...聖帝の人がいたら教えに来て。敵は変な服来てるからわかるはず。.....分かった?」

『分かったガルゥッ!!』

 

 

そう言い残し、内部へと続く扉を開けること無くレオ1人が侵入して行った。レオが姿を消した後も、扉はしまったままだった

 

 

「.....精霊には扉なんて意味無いのかな?」

『いえ、レオだからです』

 

 

精霊は一般人には目視出来ず、物理的な干渉も不可。だが、慎也の家庭で共に食事を取るように、精霊側からの干渉はいくつか見られた。慎也自身も熟知している訳でなく、シエンとセラフィが補足した

 

 

『恐らく、具象化してからまだ日が浅いレオだから扉を無視して進めたのでしょう』

「こっちにいる期間が関係してるの?」

『ワタシ達が精霊としてこちらに具象化したばかりでは、この世界の物への干渉が困難になります。ですが、逆に申しますとシエンの様に長くこの世界に居ると深く干渉が可能になります。先程のように扉を斬り捨てる事もそれに関係します』

 

 

いつも通り悠長かつ丁寧に説明をするセラフィ。ひとまず、今のレオなら多少の壁は無視できる事を理解し、階段を再び駆け上がった

 

 

「前から思ってたけど.....シエン達がこっちに来た時と俺が認識するまでに変なズレがあるよね?それは関係ないの?」

『ワタシの見解で宜しければお時間のある時にお伝えします。今は...』

 

 

セラフィが言葉を止めた。慎也も改めてセラフィと向き合うと、主への質問が飛んだ

 

 

『マスターは何を目的として行動をしているのですか?』

「...」

 

 

本来はインターンシップの説明会に遅ればせながら参加しようとしていた。だが今は謎の集団の存在によりビル内を駆け巡っている。目的と言えば警察の到着を待つことだろうか、自らへ疑問をぶつける

 

 

「やっぱり.....あの決闘(デュエル)は何かおかしい。相手のカードは分からないしダメージ食らうと本当に痛いし.....詩織ちゃん達が心配だ。安否の確認だ」

『...承知しました。ワタシは最上階から探します、それではお気を付けて』

 

 

ひとまずの目的は友の安否の確認に収まった。セラフィを最上階に向かわせると慎也も再び階段を登る

 

 

「俺はまず本館の方に行く。シエンはそこから別行動だ」

『承知しました』

 

 

シエンと共に、階段をのぼり続けると5階に辿り着いた。慎也はもう1度端末で地図を確認し、奥地への廊下が続いている事を掌握する。

 

 

『...殿、すぐ近くに複数の決闘力(デュエルエナジ-)を確認できます。お気を付けて』

「すぐそこか.....」

 

 

目的は安否の確認のため、無理に決闘(デュエル)をする必要は無いはずだ。しかし、先程戦った時の感触からか、慎也にとって«цпкпошп»はそこまで恐れる存在ではないようだ。臆すること無く扉に手をかけ、力を込める

 

鍵はかかっていなかった、鎖も無い

 

 

「......ここもか」

 

「む...村上ちゃん.....?」

「村上君.....やっぱり君も来てたんだね」

 

 

扉を開けると2階とは少し違った構造の廊下だった。

異なる点は扉前の空間が少し広い事と、そこに古賀と東野と見慣れた顔があった事だ

 

 

「聖帝の代表がきてくれるとはね〜...村上ちゃん、気をつけて。奴ら«цпкпошп»とかよく分からないものでカード情報を隠してくるよ」

「それにこの人数....1体何人このビルにいるんだろう......」

「うん、ここに来る途中で俺も戦った」

 

「...なんだ1人じゃねぇか」

「あぁ、攻め込まれたなんて言うから焦ってきたが...拍子抜けだな」

 

 

古賀と東野と少し言葉を交わすと更に奥に目をやる。そこにはここに来たばかりで戦った男と同じ服装の3人組がいた。シエンが言うにはそのような格好の者が100人近くいるらしい。

うんざりするような情報だが、古賀達には恐怖にのまれている様子も怪我もなく、少しだけ安心した。

 

だが、敵も何故か同時に安心していた。たった1人の増援だからか油断は目に見えている

 

「携帯がなんでか繋がらないから灰田が今交番に走ってる。1階の非常階段は開けてあるからそこから出れるよ」

「りょ〜だったらこいつら早く倒して出ようよ!」

「よ、良かった.....」

「まだ安心できないからね、油断しないで行くよ!」

 

 

そう言い放つと慎也はディスクを構えた。釣られて古賀も東野の構え、戦闘態勢に入った。奇しくも敵も3人おり、丁度戦力が一致していた。慎也達は2度目の«цпкпошп»戦に苛まれる

 

 

「チッ...仕方ねえ、俺はあのメッシュの男をやる!」

「だったら俺は茶髪の男だ」

「おい!俺があの白黒男をやるのか!?」

 

「なにやらもめてるね〜...」

「2人とも、気をつけてね」

「うん、他の皆も心配だ...早く片付けよう」

 

 

各々が己の対戦相手と向き合いディスクを構えた。

敵の技術が決闘(デュエル)を強制開始させ、戦いが始まる。彼ら3人とも1度は勝利しており、闘士の炎は熱を帯びたままだった

 

 

 

「クソ.....やるしかねぇ、始めるぞ白黒頭!」

「気に触る呼び方だね...決闘(デュエル)!」

 

 

«цпкпошп» LP 8000

慎也 LP 8000

 

 

 

 

 

「俺が先攻だ、«цпкпошп»を発動する!」

「やっぱり«цпкпошп»か...」

 

同じ服装から勝手に入口で勝負した男と同じ集団だと認識していたが、使用する«цпкпошп»の技術から確信に変わった。カード情報は無いが、少しでも内容から判明したいが...

 

「効果でデッキから2枚ドローする」

「な、なんだその効果!」

 

2枚のドロー効果は多く存在している。が、敵は2枚ドローとしか語らず効果の処理を終えた

 

 

「更に«цпкпошп»を発動!デッキから«цпкпошп»を手札に加え、そのまま発動する」

「...サーチカード」

 

「...チッ、俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

«цпкпошп» 手札:4枚 LP 8000

 

モンスター/ なし

 

魔法・罠 / リバース1枚

 

フィールド/ «цпкпошп»

 

 

「俺のターン、ドロー!手札を1枚捨て、[ツイン・ツイスター]を発動!その伏せカードとフィールド魔法を破壊する」

 

 

慎也か発動したカードは相手の魔法・罠を除去するものだ。

1枚の魔法カードから2つの竜巻が敵地へ放たれる。対象の2枚のカードまで迫るが、風は断たれた

 

 

「手札から«цпкпошп»の効果を発動!相手の魔法を無効にして破壊する!」

「手札誘発...っ!」

 

«цпкпошп» DEF ?

 

«цпкпошп» DEF ?

 

「なんだ...モンスターか?.....墓地に送られた[レオ]の効果でデッキから[ユニコーン]を手札に加える」

「こっちも«цпкпошп»の効果を発動!«цпкпошп»と«цпкпошп»でシンクロ召喚を行う!」

「...相手ターンにシンクロ召還か」

「現れろ«цпкпошп»!」

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

慎也のターンに相手はシンクロ召還を成功させた。手札誘発による魔法の無効化から始まった事は確かだが、どのカードの効果がシンクロまで繋げたかはわからない。とにかく慎也はおとした[レオ]の効果で紋章獣を集める

 

今は別行動をしているため、精霊としてのレオは確認出来なかった

 

 

「...シエン、やっぱりレオがいた方が良かったのかな?」

『いえ、そこまでの問題ではありませぬな』

「そうか...」

「何を1人でブツブツ喋っている!もうターンエンドか?」

 

慎也がふと気になり、側で仕えていたシエンに確認した。しかし、それは精霊を認識できる慎也のみが可能な事であり、敵からすればそれは独り言。滑稽とも言えるその姿に敵も痺れを切らした決闘(デュエル)の催促をしだした

 

 

「手札の[ユニコーン]を捨て、手札の[アンフィスバエナ]の効果発動!手札から特殊召喚する、行け!」

 

[紋章獣 アンフィスバエナ] ATK 1700

 

 

「紋章獣...だと?」

「...紋章獣だけど?」

 

特殊召喚効果を持つ紋章獣、[アンフィスバエナ]は当然紋章獣デッキで大きく貢献する。名称が語っているように、紋章獣デッキと相手に提示する事はやむを得ない

 

「...」

 

慎也が選択したデッキが紋章獣と知ると、敵の様子に変化が見られた。戸惑いに近いそれは、慎也自身にも疑問を与えることにも繋がった

 

「...?[アステル・ドローン]を通常召喚するよ」

 

[アステル・ドローン] ATK 1600

 

「俺はレベル4の[紋章獣 アンフィスバエナ]と[アステル・ドローン]でオーバレイ、エクシーズ召喚!現われろ、[No.101 S(サイレント)H(オナ-ズ)Ark Knight(アーク・ナイト)]!」

 

[No.101 S(サイレント)H(オナ-ズ)Ark Knight(アーク・ナイト)] ATK 2100

 

「...モンスターが分からなくとも特殊召喚さえしてればいいという事か」

「あぁ、[Ark Knight(アーク ナイト)]の効果発動!そのモンスターを自身のORUにする!」

 

 

慎也が相手モンスターの除去を命じたモンスターは、[Ark

Knight (アーク ナイト)]だった。宣言後、主の命令通りに[Ark Knight(アーク ナイト)]は敵のモンスターを自身の一部へと誘う。間もなくしてそのモンスターはフィールド上から姿を消した

 

慎也の手札と共に

 

 

「...なっ!?」

「俺も«цпкпошп»の効果を発動する。自身とお前の手札を同時に除外する!」

 

 

そう言われ初めて、ディスクが自身の除外ゾーンに手札のカードを除外するように支持していることに気づいた。仕方なくそのカードを除外する。起動効果である吸収効果にチェーンされた事から、誘発効果持ちのモンスターであるとわかった

 

 

「くっ....なら手札から[高等紋章術]を発動!墓地の[レオ]と[ユニコーン]を特殊召喚し、エクシーズ召喚を行う!紋章獣の祖なるものよ、その紋章を掲げ、我が下僕の第一歩を印せ!エクシーズ召喚、現われろ[No.18 紋章祖 プレイン・コート]!」

 

[No.18 紋章祖プレイン・コート] ATK 2200

 

 

「バトル、[プレイン・コート]でダイレクトアタック!」

 

相手モンスターは姿を消したため、珍しく[プレイン・コート]が一番槍を担った。不安定な機械音を鳴らしながらプレイヤーを直接狙う。敵地までたどり着くが、その身体は敵に届くことなく散った

 

「手札の«цпкпошп»の効果を発動。攻撃を無効にし、攻撃モンスターを破壊する」

「ま、また手札誘発か.....っ!」

 

«цпкпошп» DEF ?

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「そして«цпкпошп»の効果でシンクロ召喚を行う!«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚!」

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「こっちも墓地に送られた[プレイン・コート]の効果でデッキから[アバコーンウェイ]2体を墓地に送る.....」

(あのモンスター...[Ark Knight(アーク ナイト)]で倒せるか...?)

 

 

«цпкпошп»を相手にしている以上、不確定要素は常に孕んでいる。そのため、あまり大雑把なプレイや、賭けに出るような行為は相応しくない。

しかし慎也は、攻撃力を知ろうとした

 

「...[Ark Knight(アーク ナイト)]で«цпкпошп»に攻撃だ!」

「ふん、«цпкпошп»の効果発動!«цпкпошп»を捨て、«цпкпошп»の攻撃力をアップさせる!」

「また手札誘発.....っ!」

 

«цпкпошп»に戦闘のソリッドヴィジョンは無く、[Ark Knight(アーク ナイト)]と«цпкпошп»のどちらがフィールドに残ったかどうかしかわからない。[Ark Knight(アーク ナイト)]は戦闘に敗北した

 

慎也 LP 8000→6100

 

「ググ...っ!攻撃力4000......?」

 

慎也のモンスターとの攻撃力の差は1900。単純に計算すると相手モンスターの攻撃力は4000となる。しかし、相手はなにかカードの効果を使用していたため、計算は困難だ

 

 

『殿...大丈夫ですか?』

「.....大丈夫」

 

慎也の頭の中にはいくつかの数字が乱立していた。[Ark Knight(アーク ナイト)]の攻撃力2100。相手モンスターの最終攻撃力4000。戦闘ダメージ1900。

 

 

(.....わざわざ攻撃力を上げたってことは元々の攻撃力は2100未満...そこから攻撃力を2000以上上げた...[オネスト]?いや、[オネスト]だったらダメージは2100になるはずだ...特定の数値攻撃力を上げる手札誘発.....強力な効果だな)

 

 

シエンへの返答もそこそこに1人熟考を始め出す。結局相手モンスターの攻撃力を知ることは出来なかったため、謎は深まった

 

「...メイン2。墓地の[ユニコーン]の効果発動、除外し、墓地の[プレイン・コート]を特殊召喚!」

 

[No.18 紋章祖プレイン・コート] DEF 2200

 

「カードを1枚セットしてターンエンドだ」

「エンドフェイズに«цпкпошп»を発動!500LP払い、«цпкпошп»を除外する!」

 

新たに現れた«цпкпошп»により、フィールドの«цпкпошп»が姿を消した。ライフコストと合わせると一見デメリットしかない効果だが、まだ効果があるようだ

 

«цпкпошп» LP 8000→7500

 

「俺の場から«цпкпошп»が離れたため、«цпкпошп»の効果を発動する!手札の«цпкпошп»を特殊召喚する」

 

«цпкпошп» DEF ?

 

「...改めて「まだだ、墓地の«цпкпошп»の効果発動。特殊召喚する!」

 

«цпкпошп» DEF ?

 

「...またシンクロ召喚かな?」

「ふん、«цпкпошп»の効果発動だ。«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚!」

 

«цпкпошп» ATK ?

 

「変な動きだ.....ターンエンド」

 

 

慎也 手札:0枚 LP 6100

 

モンスター/ なし

 

魔法・罠 / リバース1枚

 

 

「俺のターンだ。スタンバイに、«цпкпошп»と«цпкпошп»の効果を発動。フィールドにもどってくる!」

 

«цпкпошп» ATK ?

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「結局戻ってくるのか...うん?」

「どうした、早く手札に戻せ」

 

敵のフィールドに«цпкпошп»が戻ってきた。それと同時に慎也のディスクにも動きがあった。除外ゾーンにあった1枚のカードがディスクから吐き出され、手札に加えるように促してきた。慎也もそれを手札に戻し、確認した。

それは先程の«цпкпошп»の効果で除外したものだった

 

「ふん、メインフェイズに入る。«цпкпошп»の効果発動、[プレイン・コート]と自身を除外する」

「くっ...除外は辛いな.....」

 

墓地に行くだけで効果を発揮する[プレイン・コート]は有能なモンスターだ。だが、除外には弱くORUがない今はただただ、1人除外ゾーンに消えるだけだ

 

「バトルだ、«цпкпошп»でダイレクトアタック!」

「ぐぅっ!?」

 

慎也 LP 6100→3300

 

「俺はターンエンドだ」

 

«цпкпошп» 手札:1枚 LP 7500

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / «цпкпошп»

 

フィールド/ «цпкпошп»

 

 

「俺のターン...ドロー!」

 

敵のターンで戻ってきた手札と、今引いたカードで手札が2枚になった。が、紋章獣デッキとして今の墓地は少なすぎる。[プレイン・コート]も壁役を担えずに除外され、頼ることは出来ない

思うように決闘(デュエル)が出来ずに、慎也に少しだけ焦りが見えた

 

「くっ...」

「スタンバイに«цпкпошп»の効果発動。除外されている«цпкпошп»を墓地に戻す」

 

何も出来ない訳では無い。だが、敵のモンスター効果を見たあとでは無いに等しい。貧弱な手札を一瞥すると苦い顔をした

 

 

(たしか手札と一緒に除外ゾーンに行くモンスターだったな...だとしたらこっちが除外されたらまずい...)

 

起こりうる最悪の事態を計算し出した。

そして脳内で導き出した行動に移るつもりだ

 

「...手札から[紋章獣アバコーンウェイ]を通常召喚!」

 

[紋章獣 アバコーンウェイ] ATK 1800

 

「2体目の[プレイン・コート]が狙いか?«цпкпошп»の効果を発動!貴様の手札と共に除外する!」

 

召喚権を用い、残り手札が1枚になったこの時を敵は見逃さなかった。最後の1枚が狙われる形になったが、それが慎也の中にあった一番望まれる行動に繋がる

 

「チェーンして手札の[異次元からの埋葬]を発動!除外されている[プレイン・コート]、[ユニコーン]を墓地に戻す!」

「...チッ」

 

 

慎也がカードをチェーン発動させたことにより、«цпкпошп»はフィールドに残ることになった。どうやらハンドレス状態だと使用出来ない効果らしい。

 

「やっぱり逃げられないんだな...リバースカードオープン、[リビングデットの呼び声]!墓地の[レオ]を特殊召喚する!」

 

[紋章獣 レオ] ATK 2000

 

「2体揃えたか...」

「まあね、俺はレベル4の[紋章獣アバコーンウェイ]と[紋章獣レオ]でオーバレイ、エクシーズ召喚!現われろ[ライトロード・セイント ミネルバ]!」

 

[ライトロード・セイント ミネルバ] ATK 2000

 

「...ふっ、維持でも墓地を肥やすつもりだな」

「始まらないからな...効果発動!デッキトップ3枚を墓地に落とし、その中のライトロードモンスターの数までカードをドローする!」

 

あくまでコストの処理で墓地を肥やす効果。紋章獣の名を持たないが、今は贅沢を言っていられない。デッキから墓地へカードが送られていく

 

「[アバコーンウェイ]、[シャッフル・リボーン]、[ライトロード・ビースト ウォルフ]...1枚ドローする!」

「...ライトロードが入っていたか」

 

慎也の紋章獣デッキには除外をトリガーにした[星邪の神喰]が採用されている。その効果でデッキから直接墓地に送るため、[ウォルフ]の効果も発動できる。今回は[ミネルバ]の効果により、効果を発動した

 

「さらに墓地に送られた[レオ]の効果と[ウォルフ]の効果を発動!デッキから[アンフィスバエナ]を手札に加え、[ウォルフ]を特殊召喚する!」

 

[ライトロード・ビースト ウォルフ] ATK 2100

 

「...ほう」

「....なに?.....永続魔法[星邪の神喰]を発動する。墓地の[アバコーンウェイ]の効果発動、除外して墓地の[ユニコーン]を手札に加える![神喰]の効果は...」

 

 

ここで永続魔法が起動した。

[星邪の神喰]の効果で風属性以外のモンスターを墓地に送ることが出来る。守りに徹するのなら[超電磁タートル]、更なる展開をねらうのなら[サウザンド・ブレード]や[トリック・クラウン]が挙げられる。

 

(...ん?)

 

ふと視線がきになり顔を上げると、敵の表情は笑顔とも取れるものになっていた。ニヤニヤと黙って[星邪の神喰]の処理を見ているだけ...

 

何かあるのか?

決闘(デュエル)おける優劣が関係する余裕かとも考えたが、どちらでも無かった

 

 

「......さっきからなに?」

「くっくっく.....後ろの友達見てみろよ」

「っ!?」

 

 

背後の光景は、慎也を目の前の敵に集中しすぎたことを悔やませた。仮に古賀達に注意を向けていたとしても結果は変えられなかったが...

 

 

「«цпкпошп»でダイレクトアタック!」

「うわぁぁぁあ!」

「圭ちゃんっ!?」

 

「しまった...っ!東野、大丈夫か!?」

「う、うぅ.....ま、まだ行けるよ...っ!」

 

 

断末魔一つで仲間が傷ついた事を把握した

東野がすぐ近くでその身でダメージを受けている。そのライフが0を刻むのも時間の問題だ。

 

「くっ...」

「どうした?[神喰]で何を墓地に送る?」

 

ゆっくりはしていられない。

視界の端で捉えた古賀も優勢とは言えなかった。だがそれは慎也自身にも言える。

 

攻めるか、守るか

墓地に送るカードたった1枚を深く考え続ける

 

「おい、早くしろ!」

「....くっ...[星邪の神喰]の効果で[超電磁タートル]を墓地に送る...」

 

守りを選んだ。必要であれば東野や古賀を助けに行きたい慎也だが、[神喰]で選択したカードは短期決戦とは程遠いカード。

 

 

「...手札の[ユニコーン]を捨てて[アンフィスバエナ]を特殊召喚する」

 

[紋章獣 アンフィスバエナ] ATK 1700

 

「俺はレベル4の[紋章獣 ユニコーン]と[紋章獣 アンフィスバエナ]でオーバレイ、エクシーズ召喚!現われろ[ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン]!」

 

[ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン] ATK 2500

 

「効果発動!そのモンスターの攻撃力の半分を奪う!”トリーズン・ディスチャージ”!」

「甘い!«цпкпошп»の効果を発動!500LP払い、次のスタンバイまで除外する!」

「また逃げられたか…」

 

万能なランク4モンスターの効果がまたかわされた。チェーン発動されたため、今回も無駄にORUを使ってしまった

 

«цпкпошп» LP 7500→7000

 

「だったら[ダーク・リベリオン]でダイレクトアタックだ!」

「それも通さん!手札の«цпкпошп»の効果を発動、その攻撃を無効にし、特殊召喚する!」

「またかっ!?」

 

«цпкпошп» DEF ?

 

«цпкпошп» DEF ?

 

「そうだ、そしてシンクロ召喚!«цпкпошп»をシンクロ召喚する!」

 

«цпкпошп» ATK ?

 

「…メイン2、墓地の[ユニコーン]を除外して墓地の[プレイン・コート]を特殊召喚する」

 

[No.18 紋章祖プレイン・コート] DEF 2200

 

「カードを1枚セットしてターンエンド…」

 

慎也 手札:0枚 LP 3300

 

モンスター/ [ライトロード・セイント ミネルバ] ATK 2000

 

     / [ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン] ATK 2500

 

     / [No.18 紋章祖 プレイン・コート] DEF 2200

 

魔法・罠 / [星邪の神喰]

 

     / [リビングデッドの呼び声]

 

     / リバース1枚

 

 

慎也に見えていた焦りは、大きなものな変わっていた。頬に走る一筋の汗が緊張感を物語っている。相手モンスターの効果により、ハンドレス状態が強要され、折角の[プレイン・コート]も除外されてしまう。デッキ相性はかなり不利だ、加えて背後の友も危険な状態だ。

 

慎也は汗を拭うと深く深呼吸をした。

熱くなるな、冷静になれ

自分に言い聞かせ、まずは目の前の敵を倒しに行く

 

 

「俺のターンだ、ドロー。スタンバイに俺の«цпкпошп»は戻ってくる!」

 

«цпкпошп» ATK ?

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「...[プレイン・コート]と一緒に除外したモンスター.....1体でも戻ってくるんだな」

「そろそろ分かってきたようだな。«цпкпошп»の効果発動!1000LP払い、貴様の[ミネルバ]を除外する!」

「くっ...また除外かっ!」

 

破壊され、墓地に送られてやっと効果を発動する[ミネルバ]。[プレイン・コート]と同じように除外で対処される事は1番痛手だ。

 

«цпкпошп» LP 7000→6000

 

「«цпкпошп»の効果発動、自身と貴様の[プレイン・コート]を共に除外する!」

「[プレイン・コート]まで...」

 

慎也の場には素材の無い[ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン]のみ。効果を使えたわけでもなく、攻撃力もそのままである。

 

「さぁバトルだ、«цпкпошп»で[ダーク・リベリオン]に攻撃!」

「...墓地の[超電磁タートル]の効果発動!バトルフェイズを終了させる!」

 

墓地から主を守る電磁亀だが、これは1度のみのもの。何度も慎也を守ってきた効果だが、制約は厳しい。

[星邪の神喰]の効果があるため、ここで再び戦略の変更が可能になる。紋章獣を墓地に落とすか、他のサポートカードを落とすか

 

 

(...直接紋章獣を落とすのもありだな、でも残りライフが少ない.....一か八か[バック・ジャック]でデッキトップを狙うか...)

 

«цпкпошп»を相手にしているからか、一つ一つの選択に命がかかっている。今回も[超電磁タートル]を選んでなければ現ライフで耐えられたか分からない。

 

「[星邪の神喰]は使わないのか?」

「くっ.....」

 

手札は無い、敵のモンスターも止められない。選択肢も少ない。己の勝利のためか、防衛のためかの選択かわからなくなってきた頃、時間は来てしまった

 

 

「...時間切れだ」

「.....何?」

 

「うわぁぁぁっ!!」

 

背後でまた絶叫が聞こえた。

嘘だ、信じたくない現実に汗をまた流す

 

「.....ひ、東野...?」

「........」

「圭ちゃん!?」

 

間に合わなかった

慎也が驚愕の表情を見せると、敵は満足そうに嗤う。

 

「友達の心配をしている場合か!?«цпкпошп»の効果発動!貴様の[ライキリ]を破壊する!」

「うっ...!」

「終わりだ、«цпкпошп»でダイレクトアタック!」

「う...うわぁぁぁっ!!」

 

「古賀っ!?」

 

 

聖帝の勢力は2人消えた。倒れた東野と古賀はぐったりとそのまま地に伏し、再起不能を示していた

 

遅かった...慎也は1人残され、悔恨の最中に呑まれる

 

 

「とうとう一人になっちまったな?さぁ、早くしろ!」

「くっくっ...どうした、こっちは終わったぜ?」

「手を貸してやろうか?」

 

「.....」

『殿!落ち着いてくだされ!まだ助かりますぞ!』

 

 

シエンの声は届いていなかった。厳密には聞こえていたのかもしれないが、今の慎也には敵への憎悪しかない。

 

「古賀...東野.....」

「おい!いい加減に早くしたらどうだ!?」

 

 

慎也には何が聞こえているのだろうな、最早誰の言葉にも反応しなくなっていた。ゆっくりとディスクを操作し、[星邪の神喰]の処理をしていることから、辛うじて聴覚が機能していることが分かった

 

「...[星邪の神喰]の効果でデッキから[バック・ジャック]を墓地に送る」

「[バック・ジャック]だと...紋章獣とのシナジーが分からんな」

 

これにも慎也は反応を見せず、黙々と処理を続けている。デッキトップ3枚を確認すると、静かにそれらの位置を入れ替え、さらに効果を使用した

 

「[バック・ジャック]のもう1つの効果発動、除外し、デッキトップをめくる。モンスターカードの[トリック・クラウン]のため、墓地に送る。そして[トリック・クラウン]の効果で自身を特殊召喚!」

 

[Em(エンタメイジ) トリック・クラウン] DEF 0

 

慎也 LP 3300→2300

 

「自らライフを削るか、友達がやられたからと言って自暴自棄になったか?」

「.....」

「痛みで話すことも出来ないか...もう[トリック・クラウン]を使わない事だな」

 

敵の技術には敵しか知りえない情報があるようだ。”痛み”というワードに引っかかるが、慎也は黙り続けている

 

「...ふん、ターンエンドだ」

 

«цпкпошп» 手札:1枚 LP 7000

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / «цпкпошп»

 

フィールド/ «цпкпошп»

 

 

「俺のターン...」

 

たった1枚の手札、それは先ほどデッキトップ置いておいたものであり、欲しかったカード。唯一残った[ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン]の背中を見つめ、メインフェイズに移った

 

 

「メインフェイズに入る」

「なら«цпкпошп»の効果を発動!その手札と共に除外する!」

 

 

フィールドのカードの数が減った。«цпкпошп»化したモンスターが自身の効果で逃避したからだ。慎也も唯一の手札を除外ゾーンへ送る。

 

 

「さらに«цпкпошп»の効果を発動!手札の«цпкпошп»を特殊召喚する!」

 

«цпкпошп» DEF ?

 

「墓地の«цпкпошп»の効果も発動だ、特殊召喚!」

 

«цпкпошп» DEF ?

 

「さらにシンクロ召喚だ!」

「...」

 

«цпкпошп» ATK ?

 

代わりと言わんばかりに新たなシンクロモンスターが現れた。敵は慎也の行動を封じたつもりらしいが、慎也が操作したデッキトッブは3枚。いまのデッキトップも慎也の管轄内だ。

 

 

 

「伏せておいた[マジック・プランター]を発動する。[リビングデッドの呼び声]を墓地に送って2枚ドローする」

「チッ...ドローカードだったか...」

 

 

ハンデス効果から逃れるために伏せておいたドローカードで手札を2枚回復する。デッキトップは操作済みだ、慎也は都合のいいカードを手札に加えた

 

「フィールドの[トリック・クラウン]を対象に手札から[モンスター・スロット]を発動!墓地にある[トリック・クラウン]と同じレベルの[アンフィスバエナ]を除外する。その後、デッキから1枚ドローし、それが[トリック・クラウン]と同じレベルなら特殊召喚できる!」

「運任せだな...やって見るといい」

「言われなくても...ドロー!」

 

既に3枚のデッキトップは掘り進み終わっているため、ここからは未知の領域だ。ランク4に長けたデッキのため、レベル4モンスターは多く残っているはず。

 

慎也が引いたカードはレベル4モンスターだった

それも今に相応しいモンスター

 

「引いたモンスターは[アステル・ドローン]だ、特殊召喚する!」

「よりによってそのモンスターか...」

 

[アステル・ドローン] ATK 1600

 

「墓地の風属性モンスターが除外されたため、[星邪の神喰]の効果発動。デッキから[サウザンド・ブレード]を墓地に送る」

 

これにより、クラウンブレードと呼ばれるコンボの準備が整った。残りライフを加味すると使用できる回数は1回のみ

 

「そして俺はレベル4の[Em(エンタメイジ)トリック・クラウン]と[アステル・ドローン]でオーバーレイ、エクシーズ召喚!現われろ[鳥銃士カステル]!」

 

[鳥銃士カステル] ATK 2000

 

「[アステル・ドローン]の効果によりドロー。さらに[カステル]の効果発動だ、ORUを2つ取り除きそっちの«цпкпошп»をデッキに戻す!」

「.....«цпкпошп»の効果を発動する!自身と貴様の[カステル]を除外する!」

 

3体目のランク4エクシーズモンスターは[カステル]だった。狙いを定めた«цпкпошп»は何度目かの逃亡を図り、フィールドから姿を消すことに成功した。

対する慎也も対象こそ逃したが、必要なカードを墓地に送る事に成功している

 

 

「墓地に送られた[トリック・クラウン]の効果発動!墓地から[トリック・クラウン]を特殊召喚し...1000ポイントのダメージを受ける」

 

[Em(エンタメイジ) トリック・クラウン] DEF 0

 

慎也 LP 2300→1300

 

「ぐっ.....」

「だからやめておけと言っただろう。痛みは残りライフが減るこどに増す。もう立っているのも辛いだろう?」

 

エクシーズ召喚の為には[トリック・クラウン]が必要だった。ならばダメージは仕方ない、慎也は臆することなくライフを捨てる

 

「...俺がダメージを受けた事により、墓地の[サウザンド・ブレード]の効果を発動...特殊召喚する!」

 

[H・C(ヒロイック・チャレンジャ-)サウザンド・ブレード] ATK 1300

 

「俺はレベル4の[Em(エンタメイジ) トリック・クラウン]と[H・C(ヒロイック・チャレンジャ-)サウザンド・ブレード]でオーバーレイ、エクシーズ召喚!現われろ、[No.106巨岩掌 ジャイアント・ハンド]!」

 

[No.106 巨岩掌 ジャイアント・ハンド] DEF 2000

 

「[ハンド]だと...」

「あいつ何がしてぇんだ?」

 

少ないライフを削って召喚したモンスターは[ジャイアント・ハンド]。今この状況で彼にどんな仕事があるかは分からない。

慎也はそれに応えるように魔法カードを発動した

 

 

「手札から[RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース]を発動![ジャイアント・ハンド]をランクアップさせる。カオスエクシーズチェンジ!現われろ[CNo.101 S(サイレント)H(オナ-ズ)Dark(ダ-ク) Knight(ナイト)]!」

 

[CNo.101 S(サイレント)H(オナ-ズ)Dark(ダ-ク) Knight(ナイト)] ATK 2800

 

「効果発動!お前のその«цпкпошп»を自身のORUにする!」

「チッ...」

 

現れたオーバーハンドレットナンバーズはカオスの名を冠するモンスター。戦闘を介さずに敵の数を減らすつもりだ。セピアの光が[Dark Knight(ダ-ク ナイト)]の一部となり、それの色に溶けていった

 

 

「さらに[CNo.101 S(サイレント)H(オナ-ズ)Dark(ダ-ク) Knight(ナイト)]でオーバレイネットワークを再構築!混沌の具現たる軍神よ。切なる望みを我が元へ。集え、七皇の力![CX 冀望皇バリアン]!」

 

[CX 冀望皇バリアン] ATK 0→5000

 

「ま、まさか...っ!」

「もう遅い、効果発動だ!墓地の[Ark Knight(ア-ク ナイト)]の効果と名前を得る!」

 

[CX 冀望皇バリアン(No.101 S・H Ark Knight)] ATK 5000

 

「効果発動、残りの«цпкпошп»をORUにする!」

「お、俺のモンスター達が!」

 

敵のフィールドにモンスターは存在しなくなった。2体は自らフィールドを離れ、残り2体は慎也のモンスターのORUとなった。

慎也は最後の手札に手をかけた

 

「[アームズ・ホール]を発動!デッキトップ1枚を墓地に送りデッキから装備魔法を手札に加える!」

「そ、装備魔法だとっ!?」

 

紋章獣に専用装備魔法は無い。召喚権を捨ててまでサーチしたい装備魔法があるからこその採用だが、通常予想は不可能だ。

 

「[ストイック・チャレンジ]を手札に加える。墓地の[ツイン・ヘッドイーグル]の効果発動、墓地の[アバコーンウェイ]と[ユニコーン]を[ダーク・リベリオン]のORUにする!」

 

[ダーク・リベリオン]が効果発動可能になったが、敵にモンスターは存在しない。無駄な処理とも取れるが、サーチさた装備魔法が輝く

 

 

「[ストイック・チャレンジ]を[バリアン]に装備!フィールドのORUの数×600ポイントアップする!」

 

[CX 冀望皇バリアン(No.101 S・H Ark Knight)] ATK 3000→5400

 

「バトルだ、[ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドゴン]でダイレクトアタック!」

「ぐっぐわぁぁあ!!」

 

«цпкпошп» LP 7000→4500

 

 

手札が0のため、手札誘発が飛び交う恐れは無い。安心して慎也は敵を削れる。

[バリアン]の攻撃力なら充分に敵を屠れる。

 

「ぐっ.....はぁ...はぁ.....」

「終わりだ、[冀望皇バリアン]でダイレクトアタック!”ランドチャリオッツ・スラッシュ”!!」

 

 

強大なる矛が貫く敵の命。[冀望皇バリアン]が担った止めは決闘(デュエル)終了を告げ、慎也の友の仇を務めた

 

 

LP 4500→0

 «цпкпошп» LOSE

 

「.....次はお前らだ」

「くっ...」

「構わねぇ!二人がかりでやるぞ!」

 

 

たった1人狩ったところで慎也は止まろうとしない。勝利への満足感も達成感も安心感も一切なく、ただただ新たな獲物へ牙を向く

 

「行くぞ!」

 

『殿...』

 

シエンは主のその様子を観察する事しか出来ない

 

『このままでは....また........』

 

虚空に呟くシエンの声はディスクの起動音にかき消された

 

 




古賀と東野が戦闘不能に...

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