遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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第四十一話 刃の鍛錬

(.....疲れたわ)

 

 

一人の女性がうずくまっている。消えかけているソリッドヴィジョン越しに見えるその姿は正しく敗者。

 

 

「......」

 

 

先程まで戦っていた相手が何かを言った。

しかし、それは彼女の耳には届かなかった

 

......どれ位時間が経過したのだろうか、彼女はもう完全に逃亡を諦めていた。

 

誰かが近づいている。地の振動を体で直に受けているため、それはすぐに分かった。すぐに黒く深いフードを被った集団が姿を見せた

 

 

「こんな所にいやがったぜ!.....おいおい、なんだ違う女じゃねぇか!」

「まぁ、丁度いい。こいつも連れていくぞ」

 

 

(......まだ...)

 

 

黒服の言動に反応するかのように、女性の青いデニム生地は震えた。

痙攣する腕や、悲鳴をあげている足に鞭を打ち、彼女は立ち上がった

 

 

「.....はぁはぁ...」

 

「驚いたな...まだ戦う気か?」

 

「...詩織.....貴方だけでも絶対に...」

 

 

黒川がディスクを構い終える前に、複数のデュエルディスクが起動音を共鳴させた。

 

決闘(デュエル)は始まる.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東野side

 

 

東野の目の前には素性の分からない一人の敵がいる。背後には親友である古賀が同様に敵と対面していた。

 

彼にとって今のこの状況は恐怖でしかない、先程も防衛よりも逃走を優先したがっていたぐらいだ

 

 

決闘(デュエル)開始といこうじゃねぇか!」

「うぅ...」

「俺の先攻だ!」

 

 

先行は相手。彼のデッキなら先攻でロックを決めることも可能。しかし、今回は相手が先の行動を許されている

 

「手札から永続魔法«цпкпошп»を発動!」

「あんのうん?...何を言っているのかわからないよ...」

 

敵のフィールドに«цпкпошп»というカードが残り続けた。カード名と言うよりかは、ディスクのエラーを疑う表示に思わず背後の友人に助けを求めた

 

 

「た、拓郎「...何これ?」

 

 

すぐ後ろでも古賀が«цпкпошп»の表示に戸惑っていた

 

古賀は古賀で未知の敵を相手にしている。東野のすがるような問いかけに耳を傾けている余裕は無い。助けを望めないとわかると東野も仕方なく己の敵と対面した

 

「よそ見してんじゃねぇぞ!俺は«цпкпошп»を通常召喚、そして効果により自身を破壊し、デッキから«цпкпошп»を特殊召喚する!」

 

        «цпкпошп» DEF

 

「«цпкпошп»の効果で1枚ドローする!」

「あんのうんって言ったって...どのカードの効果なんだよぉ...」

「うるせぇ奴だな。カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

 

«цпкпошп» 手札:2枚 LP 8000

 

モンスター/ «цпкпошп» DEF ?

 

魔法・罠 / «цпкпошп»

 

     / リバース2枚

 

 

「ぼ、僕のターン...ドロー!」

 

敵との戦闘が始まったが、まだわからない事の方が多い。青年は恐怖と理不尽の先にたどり着けるか

 

「手札を5枚捨てて永続魔法[守護神の宝札]を発動、デッキから2枚ドローする...」

「ハッ!随分珍しいカードを使いじゃねぇか」

 

[守護神の宝札]を含め、6枚ものカードを使用して手札に加えたカードはたった2枚。だが、東野は捨てたカードを利用する

 

「手札から捨てたれた[おジャマジック]の効果を発動!デッキからおジャマ三兄弟を手札に加える!」

「なるほど、おジャマ使いか」

 

サーチ対象が使用デッキを語っている。

だが、[おジャマジック]の効果で何とか消費を1枚に減らせた

 

「フィールド魔法[おジャマ・カントリー]を発動、そして[融合]を発動!手札の[おジャマ・イエロー]、[おジャマ・ブラック]、[おジャマ・グリーン]を素材に融合召喚を行う、お願い![おジャマ・キング]!」

 

        [おジャマ・キング] ATK 3000

 

現れたおジャマの融合モンスター。不安そうにしている主の前に立ち、主の敵を見据えている。

 

「[おジャマ・キング]がいる限り貴方はモンスターゾーンを3箇所使えなくなります...」

「ハッ!2箇所ありゃ問題ねぇ」

「では...バトル、[おジャマ・キング]でそのモンスターに攻撃!」

 

おジャマの王は敵地へと跳躍した。目標のモンスターの元へ辿り着くと拳を振り上げたが、その相手のカードは効果を使用した

 

「«цпкпошп»の効果を発動!墓地の«цпкпошп»を特殊召喚し、シンクロ召喚を行う!」

「あ、相手ターンにシンクロ召喚!?」

「俺は«цпкпошп»をシンクロ召喚!」

 

         «цпкпошп» ATK ?

 

「«цпкпошп»の効果だ、お前のモンスターの表示形式を守備表示にする!」

「う、うぅ...通らないのか...」

 

王は自ターンにシンクロ召喚を許してしまい、挙句に守備を強制させられた。元々の守備力は3000だが、今は逆転しているため0。モンスターゾーンの使用箇所を制限していたがシンクロ召喚に繋げられ、攻撃用のフィールド魔法の効果も裏目に出てしまった

 

東野の決闘(デュエル)は完全に出鼻をくじかれていた

 

「仕方ない...ターンエンド」

 

 

東野 手札:0枚 LP 8000

 

モンスター/ [おジャマ・キング] DEF 0

 

魔法・罠 / [守護神の宝札]

 

フィールド/ [おジャマ・カントリー]

 

 

「俺のターン、ドロー。まずは邪魔なそいつだな!バトル、«цпкпошп»で[おジャマ・キング]に攻撃!」

「うわっ!」

 

3体もの融合素材を要求するおジャマの王は呆気なく沈黙した。だが、モンスターゾーンの使用禁止効果に相手も嫌がり、バトルフェイズを使わせる事には成功した

 

「メイン2だ、手札から«цпкпошп»を通常召喚、効果発動だ!自身を破壊し、デッキから«цпкпошп»を特殊召喚!さらに«цпкпошп»で1枚ドローする!」

「また自壊に特殊召喚にドロー...何デッキなんだ...?」

「さあな、伏せておいた«цпкпошп»を発動する。墓地の«цпкпошп»のレベルを一つ上げ特殊召喚する!」

 

 

        «цпкпошп» ATK ?

 

「俺は«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング!«цпкпошп»をシンクロ召喚!」

 

        «цпкпошп» ATK ?

 

「さらに手札から«цпкпошп»を捨て、«цпкпошп»を特殊召喚する」

 

        «цпкпошп» ATK ?

 

「«цпкпошп»の効果で自身を破壊する。破壊された効果でデッキから«цпкпошп»を特殊召喚する」

 

        «цпкпошп» ATK ?

 

「«цпкпошп»の効果発動だ、自身を破壊し、デッキから«цпкпошп»を特殊召喚する」

 

        «цпкпошп» ATK ?

 

「さらに墓地で効果を発動する。«цпкпошп»を特殊召喚!」

 

        «цпкпошп» ATK ?

 

「«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚!」

 

        «цпкпошп» DEF ?

 

「«цпкпошп»の効果でドローする」

「今のは...シンクロモンスターの効果かな?」

 

目まぐるしい早さで自身のモンスターを破壊し続け、シンクロモンスターを並べている。辛うじて付いてきているが、明らかに東野は混乱を極めていた

 

 

「ハッハッハッ!付いてこいよ!伏せておいた«цпкпошп»を発動!除外ゾーンの«цпкпошп»を特殊召喚する!」

「い、いつの間に除外してたんだ!?」

 

         «цпкпошп» ATK ?

 

「«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚!」

 

         «цпкпошп» ATK ?

 

「«цпкпошп»の効果だ、墓地の«цпкпошп»を除外して相手に500ポイントのダメージを与える!」

 

新たなシンクロモンスターがバーン効果を発動した。この決闘(デュエル)初のダメージが東野を襲うと、青年は痛みに顔を歪めた

 

「うぐぅ?なにっ!この痛みは...っ!?」

 

東野 LP 8000→7500

 

「クックックッ...痛いか?時期に痛みも感じなくなるぜ」

 

敵はにやにやと東野が痛みに苦しむ姿を観察していた。

ある程度それを楽しむとプレイに戻る

 

「«цпкпошп»を発動。«цпкпошп»を墓地に送り2枚ドローする。カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

«цпкпошп» 手札:0枚 LP 8000

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» DEF ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / «цпкпошп»

 

     / リバース2枚

 

 

「ぼ、僕のターン...[守護神の宝札]の効果で2枚ドロー...」

 

対峙している敵と目が合うと、青年は先程の痛みを思い出した。普段の決闘(デュエル)では感じることなどない異質なそれは恐怖をさらに高める。

 

2枚の手札を新たに得るが、まだフェイズ移行をしない

 

「...おい、早くしろよ」

「うっ.....」

 

 

負けたく無いー痛みを感じたくないー

 

今の状況ではそれは突飛な望みであり、それから目を背けるように目を瞑った

 

 

(嫌だ.....誰か助けて...)

 

 

      「圭ちゃんっ!」

 

 

 

 

彼の名を叫ぶ声は聞き慣れた物だった。

瞳を開き、ゆっくりと声のする方向に視線を向けると古賀がこちらを見ていた

 

彼のディスクは機能しておらず、それが彼が既に勝利した事を物語っていた

 

 

「.....た、拓郎...?」

「らしくないよ〜!ほら、さっさと倒して一緒に逃げよう!」

 

「...はっ!良い友達を持ってんじゃねぇか。俺の相棒はもうやられちまったか...」

 

 

敵はそう言うと古賀のすぐ側で倒れている仲間に視線を移した

東野はそのの声を無視し、友からの激励をその身で感じる。

 

痛みに対する恐怖など知らない間に消えてなくなっていた

 

 

「...うん、もう少しだけ待ってて!」

「何ターンでも待つよ〜」

 

 

再び敵と向き合った、青年は戦う。

 

「手札から[魔獣の懐柔]を発動!デッキからレベル2以下の獣族効果モンスター3体をを効果無効にして特殊召喚する!お願いするよ、皆!」

 

        [おジャマ・ブルー] ATK 0→1000

 

        [キーマウス] ATK 100

 

        [レッカーパンダ] ATK 800

 

「そいつらで何をするつもりだ?」

「申し訳ないけどこうする...バトル![レッカーパンダ]でそっちのモンスターに攻撃!」

「自爆特攻かっ!?」

 

[おジャマ・カントリー]で攻守が入れ替わっているとは言え、この下級モンスター達が相手のシンクロモンスターを倒せるはずがない。東野はライフとモンスターを失った

 

東野 LP LP 7500→6700

 

「うぐぐっ!...500バーンに、守備力1600だね。破壊された[レッカーパンダ]の効果を発動!墓地の[おジャマ・レッド]を手札に加える。まだだ![キーマウス]で今度はそっちのモンスターに攻撃!」

 

新たに自爆を命じると、東野には戦闘ダメージというツケが回った。相手モンスターの攻撃力を知ると同時に、破壊時の効果も使用できたため、安い代償かもしれない

 

東野 LP 6700→5100

 

「そっちは守備力1700...破壊された[キーマウス]の効果発動!デッキから[おジャマ・レッド]をサーチする!」

「...なるほどな、«цпкпошп»の効果を発動する!«цпкпошп»と«цпкпошп»でシンクロ召喚を行う!」

「ま、また相手ターンにシンクロ召喚っ!?」

「«цпкпошп»をシンクロ召喚!」

 

        «цпкпошп» ATK ?

 

東野のサーチ対象を見終えると敵もシンクロ召喚を行った。シンクロ召喚成功時には効果が無いようだが、このタイミングでのシンクロ召喚は警戒が要求されている

 

「だけど...[おジャマ・ブルー]でそのモンスターに攻撃だ!」

「ハッ!今までとは違うぜ!?」

 

東野は戦闘で負ける前提で相手モンスターの攻撃力を図っている。新たにシンクロ召喚されたモンスターは[レッカーパンダ]を破壊し、東野が欲していた戦闘ダメージを与えた

 

東野 LP 5100→3600

 

「守備力2500...っ!一気に上がった...破壊された[ブルー]の効果を発動!デッキから[おジャマジック]と[おジャマ・デルタハリケーン!!]をサーチする!」

「...それが狙いか?」

 

モンスター達を犠牲に手札を5枚まで増やした。ライフも半分を下回ったが、彼の表情に不安の色はなかった

 

 

「これで満足か?」

「いいやまだだよ!手札の[おジャマジック]を捨てて[おジャマ・カントリー]の効果を発動!墓地の[おジャマ・キング]を特殊召喚する!」

 

        [おジャマ・キング] ATK 0→3000

 

「墓地に送られた[おジャマジック]の効果でデッキからおジャマ三兄弟をサーチする!」

「...ハッ」

 

手札が7枚まで増えた。しかしそれらは限られたサーチ対象の中から選ばれたものであり、この決闘(デュエル)を打破するものとは言い難い。

だが彼にはまだ召喚権が残っている

 

「手札から[おジャマ・レッド]を通常召喚!」

 

        [おジャマ・レッド] DEF 1000→0

 

「効果発動!手札からおジャマモンスターを可能な限り特殊召喚する!」

「そう来ると思ってたぜ!«цпкпошп»の効果発動!その効果を無効にして破壊する!」

「なに!?」

 

効果を発動したカードはこのターンに新たに現れたシンクロモンスター。効果モンスターの効果を無効にする誘発効果をいきなり叩きつけられ、東野はやむを得ず作戦を変更した

 

「モンスター効果無効のシンクロモンスター...これは厄介だな、だったら[手札抹殺]を発動!お互いに手札を入れ替えるよ」

「チッやるじゃねぇか、サーチしたカードを入れ替えるか」

 

敵の手札は無いため、東野のみ5枚のカードを新たにした。敵の言う通り、東野の手札には[キーマウス]や[レッカーパンダ]、[おジャマジック]で一時的に寄せ集められたカードが溜まっていた。

やっと彼にも勢いが付いてきたようだ

 

 

「...うん、カードを2枚セットしてターンエンドだよ!」

 

 

東野 手札:3枚 LP 3600

 

モンスター/ [おジャマ・キング] ATK 3000

 

魔法・罠 / [守護神の宝札]

 

     / リバース2枚

 

フィールド/ [おジャマ・カントリー]

 

 

再び現れた[おジャマ・キング]の効果によりまたも相手は3箇所のモンスターゾーンが使用出来ない。[おジャマ・キング]がいる限り相手はそれを除去してからでしか展開はできず、先程確かめた攻撃力では[おジャマ・キング]を突破することは出来ないことが分かっている

 

ひとまず安心した所で敵にターンが回った

 

 

「俺のターン、ドロー。またモンスターゾーンに制限があるが...関係ないな!バトルだ、«цпкпошп»で[おジャマ・キング]に攻撃!」

「えっ!?たしかそのモンスターの攻撃力は2500...」

「ダメステに«цпкпошп»の効果発動だ!戦闘する相手のモンスターの攻撃力分、自身の攻撃力を上げる!」

「なっ...うわぁぁっ!」

 

東野 LP 3600→1100

 

要約すると、戦闘では絶対に勝利し、自分の攻撃力分だけ相手に戦闘ダメージを与えるための効果だ。

«цпкпошп»に隠された効果は突如に襲う、改めてそれの危なさを理解させられた

 

 

「さぁ終わりだ、«цпкпошп»でダイレクトアタック!」

「ま、まだ終わらない![スケープ・ゴート]を発動!羊トークンを4体特殊召喚する!」

 

        [羊トークン] DEF 0

 

        [羊トークン] DEF 0

 

        [羊トークン] DEF 0

 

        [羊トークン] DEF 0

 

「また懐かしいカードを...«цпкпошп»でトークンに攻撃だ!」

「お願い!」

 

2体目のモンスターの攻撃が終わり、東野のライフは守りきれた。

だが、敵にもリバースカードはある

 

「リバースカード、«цпкпошп»!手札と墓地の«цпкпошп»を特殊召喚する!」

 

         «цпкпошп» ATK ?

 

         «цпкпошп» ATK ?

 

「こいつらでトークンに攻撃する!」

「くっ!?」

 

残りトークン一体のところで、敵はもう1枚のリバースカードを使用した

 

「リバースカード、«цпкпошп»!墓地の«цпкпошп»を特殊召喚する!」

 

         «цпкпошп» ATK ?

 

「残りのトークンに攻撃だ!」

「うわぁ!?危なかった...」

 

バトルフェイズに終わりが見えてきた頃、既に東野のフィールドにはモンスターが残っていなかった。敵への制限も無くなり、自由なメインフェイズ2に移る

 

「メイン2だ、«цпкпошп»に«цпкпошп»と«цпкпошп»をチューニング!«цпкпошп»をシンクロ召喚!」

「それは...ダブルチューニングッ!?」

 

         «цпкпошп» ATK ?

 

「«цпкпошп»の効果発動だ!シンクロ素材にした数まで相手のフィールド、墓地のモンスターを除外する!墓地の[おジャマ・キング]と[キーマウス]、[おジャマ・ブルー]を除外しろ!」

「くっ...もう[キング]達には頼れないね...」

「ハッ!知るかよ、俺はターンエンドだ」

 

 

«цпкпошп» 手札:0枚 LP 8000

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / «цпкпошп»

 

     / «цпкпошп»

 

 

「僕のターン![守護神の宝札]の効果で2枚ドロー!」

「チッ...やっぱり厄介だな」

 

手札が再び5枚に回復した所で敵はようやくその永続魔法の危険性に気づいた。

 

「[死者蘇生]を発動!墓地の[おジャマ・イエロー]を特殊召喚!」

 

       [おジャマ・イエロー] ATK 0→1000

 

「そして手札から[最期の同調]を発動!僕のフィールド上のレベル3以下のモンスターと同名カードを手札、墓地から特殊召喚する!僕は墓地から2体目の[おジャマ・イエロー]を特殊召喚!」

 

       [おジャマ・イエロー] ATK 0→1000

 

蘇生カード2枚を使って現れたモンスターは同名の通常モンスター。[緊急同調]で特殊召喚したモンスターは効果無効になるが、そもそもの効果を持たない2体のモンスターで何をするつもりなのか

 

「そんな低レベルモンスターで何を...」

「僕は!レベル2の[おジャマ・イエロー]2体でオーバレイネットワークを構築する!現れろ、No.64!混沌と混迷の世を斬り裂く知恵者よ。世界を化かせ、[No.64 古狸三太夫]!」

 

        [No.64 古狸三太夫] ATK 1000

 

「効果発動!フィールド上の一番攻撃力が高いモンスターと同じ数値の攻撃力を持つ影狸トークンを特殊召喚する!」

「それが狙いか...だが、«цпкпошп»の効果を発動!モンスター効果を無効にして破壊する!」

 

現れたらナンバーズも敵の誘発効果により直ぐに沈黙する。さらにその効果には続きがあるようだ

 

         «цпкпошп» ATK ?→?

 

「攻撃力が変わった...じゃあ[トライワイトゾーン]を発動!墓地のレベル3以下の通常モンスターを3体特殊召喚する!頼むよ、[おジャマ・イエロー]、[おジャマ・ブラック]、[おジャマ・グリーン]!」

 

       [おジャマ・イエロー] ATK 0→1000

 

       [おジャマ・ブラック] ATK 0→1000

 

       [おジャマ・グリーン] ATK 0→1000

 

「その3体はまさか...っ!?」

「いいや、僕はレベル2の[おジャマ・イエロー]と[おジャマ・ブラック]でオーバレイネットワークを構築する。頼むよ、2体目![No.64 古狸三太夫]!」

 

       [No.64 古狸三太夫] ATK 1000

 

「そして...手札から[ジャンク・シンクロン]を通常召喚!効果で墓地のレベル以下のモンスター、[おジャマ・イエロー]を特殊召喚、」

「なっ...シンクロンだと...っ!?」

 

       [ジャンク・シンクロン] ATK 1300→500

 

       [おジャマ・イエロー] ATK 0→1000

 

「僕はレベル2の[おジャマ・イエロー]と[おジャマ・グリーン]でオーバレイネットワークを構築!何度も頼むよ、[No.64 古狸三太夫]!」

 

       [No.64 古狸三太夫] ATK 1000

 

「またそいつか」

「効果発動!フィールド上の一番攻撃力が高いモンスターと同じ攻撃力の影武者狸トークンを特殊召喚する!」

 

 

       [影武者狸トークン] ATK 3000

 

おジャマの蘇生や消失により、敵のモンスターは元の攻撃力、もとい守備力にもどっている。いまはおジャマが存在しないため、素の攻撃力3000になった

 

「まだまだだよ、[エンジェルリフト]を発動!墓地のレベル2以下のモンスター、[おジャマ・ブラック]を特殊召喚!」

 

       [おジャマ・ブラック] ATK 0→1000

 

 

「まだまだ!僕はレベル2の[おジャマ・ブラック]にレベル3の[ジャンク・シンクロン]をチューニング、シンクロ召喚!お願いするよ、[ジャンク・ウォリアー]!」

 

       [ジャンク・ウォリアー] ATK 2300

 

「効果発動!僕のフィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分自身の攻撃力をアップさせる!」

「何...」

 

現れたシンクロモンスターは、彼の獣族モンスター達と相性のいい効果だった。いまはおジャマが存在しないため、攻守は入れ替わらない。

影狸トークンもレベル1モンスターだ

 

      [ジャンク・ウォリアー] ATK 2300→5300

 

「5300...っ!」

「もう1体![古狸三太夫]の効果発動!影武者トークンを特殊召喚する。今度は[ジャンク・ウォリアー]が一番攻撃力が高いよ!」

 

      [影武者狸トークン] ATK ?→5300

 

フィールド上最高攻撃力をコピーする効果。コピーし数値を吸収し、攻撃力の底上げした攻撃力をさらにコピーし、攻撃力モンスターがならんだ。

 

「たかだかトークンがそんな攻撃力を...」

「僕は、同ランク、同名モンスター[No.64 古狸三太夫]2体でオーバーレイネットワークを構築する!お願い、[No.93 ホープ・カイザー]!」

 

      [No.93 ホープ・カイザー] ATK 2500

 

「バトルだ![影武者狸トークン]でそのモンスターに攻撃!」

「ぐぐ...」

 

«цпкпошп» LP 8000→5700

 

攻撃力をコピーされたモンスターを戦闘破壊した。1体の影武者狸は役目を終えたが、東野のフィールドにはまだ攻撃に参加していないモンスターが残っている

 

「まだだよ、2体目の[影武者狸トークン]でそのモンスターに攻撃!」

「ぐわぁ!」

 

«цпкпошп» LP 5700→5500

 

「まだまだ![ホープ・カイザー]でそのモンスターに攻撃!」

 

「ぐっ...くそ!」

 

«цпкпошп» LP 5500→5200

 

とうとう敵のフィールドにモンスターが居なくなった。ライフはまだ半分残っていたが、東野のフィールドにはそれを上回るシンクロモンスターが存在する

 

「とどめだ![ジャンク・ウォリアー]でダイレクトアタック!”スクラップ・フィスト”!!」

「う.....うわああああぁっ!?」

 

 

        LP 5200→0

           «цпкпошп» LOSE

 

 

 

 

「圭ちゃん!やったね!」

「はぁ.....よかったぁ...勝てたよ!」

 

 

すぐそこで倒れる敵に目もくれず、勝ち取った身の安全に友と共に安心していた。

 

「さっ、早いところ逃げよう。いつ他の敵が来るかわからないしね〜」

「うん、そうだね...」

 

 

古賀が非常口のドアノブに手を伸ばした

 

するとその先から金属を蹴る音が響いて聞こえた

誰かが駆け上がってきている

 

 

「...っ、誰か登ってきてる!それもすごい勢いで」

「えっ!?.....じ、じゃあこっちから...」

 

 

東野が引き返そうと先に廊下を行く。しかしその方向にも足音は確認できた

複数人、それもかなり急いでこいらに向かってきている

 

退路は絶たれた

 

 

「しまった.....拓郎、挟ませちゃったみたいだ...」

「...」

 

 

背中で聞きたくもない報告を受け、古賀は静かにドアノブから手を離した

 

そして現在唯一の仲間である東野と目を合わせる

 

お互い考えていることは同じようだ

 

 

「.....覚悟は出来てる〜?」

「もう怖いものなんかないよっ!」

 

「ここかっ!?」

 

 

間もなく廊下側の足音の正体達は姿を見せた。肩で息をし、ゾロゾロと仲間を連れて東野達を睨んでいる

 

「さっ、次の相手は君達だね〜?」

「か、かかってきなよ!」

 

「はぁ...はぁ.....チッ、邪魔だ貴様ら!」

「そこをどけ!」

 

 

戦いはあちらが望んで行っていたはずだが、どうやら敵は東野らに興味を示していない。ただ睨むだけ.....

 

東野と古賀で隠れている非常口の扉を

 

 

 

東野と古賀がその違和感に気づく前に、その扉は開いた

 

 

 

「ん〜?.....あっ!?」

「き、君は!?」

 

 

薄暗い空間に光が指す

それをその身で遮る青年は東野と古賀、«цпкпошп»を使用する集団にそれぞれ視線を向け一言放った...

 

 

「.....ここもか」

 

 

 




聖帝生徒の«цпкпошп»に対する適応力がすごい...w





〜おまけ〜


「.....」ペラ

東野は1人喫煙所にいた。階段に直で座り込み、1人黙々とページをめくっている。その表情は真剣そのものであり、通りすがりの慎也も思わず足を止め声をかけた

「...東野?」
「.....」ペラ

返答は無かった。もう1度声をかけたがやはり反応は無く、慎也も1人途方に暮れていた。
そんな中、古賀が小走りで彼らの元にやってきた

「いや~圭ちゃんありがと...あれ、村上ちゃんじゃん、おっは〜」
「おはよー」

挨拶を済ませると古賀も反応の無い東野を見据えた。手元の本を視界に捉えると、1人合点の言ったようにタバコに火をつけた

「気にしないで村上ちゃん、圭ちゃんは1度ハマっちゃうとこうなるんだよね〜」
「あー、そんなんだ」

古賀のタバコがトリガーとなり、慎也も同じように煙を立ち上げた

「悪いけどキリがいい所まで待っててくれる?」
「うん、別に待つよ」




ーーー
ーー





「でさー、そのお店のお姉ちゃんがちょー美人でさ〜!」
「は、ははは...」

「.....」ペラ







ーーー
ーー






「...それでライム沢山もらってね、モヒート作って飲んでるんだ。やっぱり新鮮なのは違うね〜」
「へぇ、そんなに違う?」
「全然違うね!今度おすそ分けするよ!」
「ありがとう。.....出来ればお酒以外の楽しみ方も教えて欲しいな」

「..............」ペラ







ーーー
ーー








「あれ?古賀タバコ変えた?」
「ん〜?あぁこれね、ライブの差し入れで貰ったやつ。たまにはこういうのもいいかなって」
「1本貰っていい?」
「ど〜ぞ」

「.....................ふぅー、うわっ凄い匂いだ」パタン

久しぶりに聞く東野の声に慎也も古賀も思わず振り向いた。何種類ものタバコの匂いが入り交じった空気は、非喫煙者の鼻腔を襲った。すこし顔をしかめると、東野はカバンに本をしまい、立ち上がった

「あ、村上君おはよう」
「おはよー、っていう時間でも無いけどね」

古賀が顎をしゃくる。東野に時間を確認させる動きだが、東野の反応は予想通りのものだった

「...え、もう16時っ!?」
「2時間くらい呼んでたね〜」
「そんなに面白かった?」

「うぅ...またやっちゃった.....」
「あれ〜?そういえば村上ちゃん、圭ちゃんに何か用があったんじゃないの?」
「ん?あーそうだったね」
「えぇ!?ご、ごめん!」

慎也自身も何が目的で長時間東野の読破を待っていたか忘れていた。東野自身、2時間も人を待たせてしまったことに対し罪悪感を抱きながら慎也に問うた

「えっ......ごめん、こんなに待たせちゃって...どんなようだったのかな...?」
「あ、いや大したことじゃないんだけど...」
「う、うん.....」

もし、急ぎのようだったのなら取り返しのつかない事をしている。恐る恐る慎也の言葉を待つ東野、やがて答えが帰ってきた

「シャツ、クリーニングの札付いてるよ」
「圭ちゃんったら〜」

「........ありがとう///」

青年は背中越しにタグを力いっぱい引きちぎった

ぶっちゃけどうですか?

  • 読みたいからやめて欲しくない
  • 読みたいけど無くなったら読まない
  • 普通
  • 無くてもいい
  • 読むのが億劫

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