遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
第二十九話 邂逅
「ーであるように、村上君、及川君、小鳥遊君は聖帝の代表である自覚を持ち関東大会に励んでほしい。ほかの生徒達も応援やサポートに回り、能動的に参加して欲しい。長らくありがとう。これを構内大会終了の挨拶と変えさせてもらう。お疲れ様」
長い。そう感じ始めた生徒の思いが伝わったのか、学園長が口を閉じた。最後の拍手が今大会の本当の終わりを作った
ーーー
ーー
ー
午後16時18分。参加者、教授、生徒、はたまた外部の観戦者がゾロゾロと
「...知樹、なんかおばあちゃんが倒れたらしくて早退したらしい」
「あら...大丈夫だといいけどね...」
「そうですね...」
「でも急いで帰ったらただの貧血だったんだって」
「なら良かったわ」
「そうですわね。灰田さん、蛭谷さんとは連絡つきましたか?」
「...うんうん、分かった!じゃあ...最初にいたところにいる!」
「...何だって?」
「今来るって!」
「あら、そうなの?でもなんで急にいなくなったのかしらね?」
「もうすぐ分かるよ!」
欠けている人物と端末ごしに会話をした灰田は先に答えを知っているようだ。
蛭谷が来るまでと、談笑しながら待つことにした
「...でさ、
「たしかに[ベイゴマックス]とか[タケトンボーグ]とかみんな文字ってるわね」
「だったら及川さんのようにあだ名みたいなの付けたらどうでして?」
「...西条何かある?」
「っていきなり私!?...た、[タケウーマン]とか...」
「機械だけど」
「じゃあ[
「ははっどこからその音鳴ってるの」
「慎也、[竹-
「お前それ.....あれ意外といいかも」
「まさかの灰田君のが採用されちゃったわ」
「お兄さん、[
「それに至っては誰なんだよ!...って君は本当に誰?」
[竹-
誰だ?全員そう思う頃に蛭谷が声を出した
「わりいな...えと、こいつは俺の妹だ」
「初めまして!蛭谷
「あぁ...どうも、村上慎也です」
「灰田光明だ!よろしく!」
「皆木詩織です、よろしくお願いします!」
「黒川美姫よ、よろしくね」
「西条麗華です。以後お見知りおきを」
丁寧に返すと、颯希もニコッと笑みを浮かべた。初めて会う友の妹も交えて談笑は続く
「颯希はあんまり蛭谷に似てないね!?」
「私も蛭谷ですよぉ!」
「そうだった!」
「あら?でも目元とか...あと喋り方もどことなく...?」
「うん、ちょっとタレ目な所とか...いや似てるよこの兄弟」
「そうですね、似てますね!」
颯人は少し恥ずかしそうに後頭部に手を置く。颯希は相変わらずニコニコと笑っている。
しっかりと血を分けた兄妹だと再確認した所で、慎也はある事に気がついた
「あ、もしかして
「あぁ、俺も来てるとは思わなかったから驚いたぜ」
「...颯希ちゃん?学校は?」
「そう言えば制服ですけど...」
「午後はサボりましたぁ!」
ブレザーを揺らしながら楽しそうに話す颯希。颯人は「全くこいつは...」等と言わんばかりの呆れ顔だ
「まったくこいつは...そこまでして来なくていいっつったんだけだよぉ...」
「お兄ちゃんが
手に持つ大きな袋に気をつけながらだが、テンション高く続ける颯希
「...そう言えばその袋は?」
「あっ!お兄ちゃんの優勝祝いのケーキ買ったんでした!」
「...1回戦で負けたぞ」
「でもせっかくだから食べよう!」
「うん?その店名の英語なんて読むの!?」
「灰田さん、“HAYASHI“は英語じゃないよ!?」
「ていうか世間って狭いね」
「皆さん時間あります?良かったらうちに来ませんか?食べましょうよぉ!」
「それはいいけど...学校サボったんでしょ?お母さんとかに何か言われるんじゃない?」
しまったと言わんばかりの驚愕の表情を見せる颯希。兄がしっかりしている分、妹は抜けている所がよく見られる。兄のために買ったケーキ、折角大学まできたのにこのまま家に帰り怒られるだけなど可愛そうだと慎也が場所を提供する
「じゃあ...家くる?」
「行く行くー!」
「え?突然いいですか?」
「颯希、こいつ一人暮らしなんだよ」
*
午後18時、大学から歩いて慎也宅にたどり着いた彼らはゆったりと時を過ごしていた。遅れて登場した知樹も加わり、ケーキとコーヒーを用い、リラックスしていた
「...そうか、颯希も来ていたのか」
「はい!知樹さんったら会う度にダンディになってますねー!」
「そういう颯希は会う度に巨乳になってないか?」
「いやぁん!」
「兄前にして妹にセクハラしてんじゃねぇよ!」
「なにこれお約束なの?」
「こいつら...7年くらいこれやってんだよ...」
「アッハハハハwww」
「でもおばあちゃん大事に至らなくて良かったね」
「あぁ...そうだな、まぁ正直なところ行けるところまでは行きなたかったかな」
「なんだ知樹?ばあちゃんなんかあったのか?」
「...いや、大したことは無い。あとで話す」
「そうかぁ?」
「村上君の家はいつも美味しいお酒があるのよね〜www」
妙に歯切れの悪い知樹を他所に何故か黒川は悪酔いしている。彼らは余ってしまったケーキを肴に談笑していたはずだ
「てかケーキと焼酎ってあうのかよ」
「あうわよぉ〜〜アハハハw」
「...」
「灰田、試さなくていいんだぞ」
「そう言えば慎也さん?一人暮らしの割りには部屋数多くないですか?」
「うん、高校生まで家族で暮らしてたからね。親父の仕事の関係で引っ越したんだけど俺は大学も近かったし俺だけ残ったんだよ」
「へぇー!お父さんなんの仕事してるんですか?」
「うーん...なんだっけ?忘れた」
「親父の仕事忘れるのかよぉ...」
「...まぁそういうこともあるだろう」
「そうですか、後でほかの部屋見てもいいですか?」
「いいよー」
ーーー
ーー
ー
午後20時。いつの間にかケロッと治っていた黒川と灰田は飲み直すと駅に向かい、何故か親にサボりがバレてしまった颯希は颯人と共に帰った。西条は灰田達の後をついて行き、知樹は家が近い颯人と同じ方向に帰った
「...それで話って?」
少し大事な話がある。そう言葉を発したのは詩織だ。慎也はコーヒーを入れ直し、テーブルを挟んで向かいに座り、詩織の開口を待つ
「...実は...その、信じてもらえないかも知れませんが...」
「...うん」
しきりに自分の肩の部位を見ながら話す詩織。シエンも無言ですぐ後ろで続きを待っている
「...秋天堂さんとの
驚く慎也。それは同じ経験をしているからだろう。
「...精霊だね?」
「えっ!?精霊だなんて...」
「...シエン」
すぐ背後に控えているシエンに声をかけると、シエンは半歩前にでてはっきりと語り出した
慎也が何をしようかなど既に理解している様子だ
『はい...その前にまずは皆木殿に我を認識してもらう必要があります』
「どうすればいいの?」
『殿は皆木殿に触れ、心で我を見せたいという体勢をお作り下さい』
「わかった」
詩織には慎也が突然空に話しかけているようにしか見えない。それを呆けて眺めていると、慎也は立ち上がり詩織の元へ迫ってきた
思わず後ずさりする詩織だが、頬を赤らめながら満更でもないような表情を浮かべていた
「むむむ村上さん!?わ、私達そんな...いきなり過ぎません!?」
「ごめん、じっとしてて...」
「そんな...ってキャッ!?」
目を閉じ覚悟を決める...しかし触れるだけの慎也に疑問を感じ瞳を向ける。当然ながらそこには慎也がいた
そして後ろにはいつから居たのか分からない鎧を纏った武士がいた
「えっ!?あなたいつから...[真六武衆-シエン]の...あっ!?精霊って本当に..村上さんも....!?」
『ここからは我がお話しましょう』
「シャベリマシタァァーー!?」
ーーー
ーー
ー
数分後、前に慎也に話したようにモンスター界の事、精霊の事を語り終えたシエン。ここで詩織はシエンと対話をする
「えと...シエンさんが村上さんの精霊って事は分かりましたけど...」
『呼び捨てで構いませぬぞ』
「えと...シエン?モンスターはこっちの世界に来て...何をするの?」
『...特には、我らの具象化は主との絆によるものであります。お邪魔でしたら我らは戻ることもできます』
「あ、いえそういうつもりで言ったわけでは...村上さんとはどうご相談したんですか?」
「せっかく来てくれたんだからゆっくりしてきなよって」
『我もお言葉に甘えている次第であります』
「な、なるほど...」
一度に多大な情報が押し寄せたため、パニックは免れない。しかしその中にも自分の
信じられないが、実際に目の前にいる。
否定したいが褒められている様な気がする。
何とも表現しがたい心境だった
「そうだ、詩織ちゃんも俺に精霊見せてよ」
「あっ...そうですね。えとどうやるんですか...?」
『皆木殿も殿にふれながら、見せようと心を許してください』
「はい...」
詩織がそっと慎也の肩に手を置いた
すると次第に慎也の視界が変化し始めた。詩織や部屋の物がセピア色に染まる...。視界を良好にするため一つ二つ...ゆっくりと瞼を上下させた。本来の世界を見るべく瞬きの回数を重ね、やっと詩織の肩に位置する精霊を確認できた。
シザー・タイガーがいた
『ガウ!』
「...はじめまして、シザー・タイガーだね?」
『ガウガウ!』
「...うん、なるほど分からん」
シエンの様に誰しもが日本語でコミュニケーションを取れるわけではないのか。盲点だった、最早詩織の精霊とは言葉を交わせないと諦めかけた時、詩織の困惑した表情が見えた
「あの...タイガーさん?」
『初見をからかいたかっただけガウ!』
「喋れるんかい!」
初めてシエン以外の精霊とコミュニケーションをとる慎也。本当に会話が不可能であればどうしようかとも考えたが、杞憂に終わり安心できた
『シエン、お前の主人はツッコミなのか?』
『殿はボケにも回れるオールラウンダーだ』
「精霊同士変な会話をするな!...そういえばシエンにはサーベル・タイガーが見えてたの?」
『精霊は基本的に見せないようになっているのです。我も今初めて対話しました。ですが高い
「...なるほど?」
『聖帝大学に他にも精霊を宿す者がいると思います。それと皆木殿のサーベル・タイガーの具象化はすこし異質なものでして...』
「異質って何がですか?」
『簡単に言えば殿の高すぎる
「“伝染“?」
『......その、詳しくは分かりませぬが、単純に長く時間を共有していたのが原因ではないでしょうか?』
「そんなに簡単な事なの...?」
妙にシエンの歯切れが悪い。流石に慎也も解せない様子だ。シエンも困った様に言葉を探していると、シザー・タイガーが何故かイライラしたように割って入ってきた
『その...
『お前、俺の主人と寝たのか?』
思わぬ不意打ちに、慎也と詩織は身を乗り出して声を張り上げた
「「そんなことして無い(です)よ!///」」
『...』
先日の休日、たしかに詩織は慎也宅に泊まっていた。シエンも気を効かせて二人にしてはいたが...
シエンも恐らくそうなのだろうと察していたつもりだったが、それも本人らに否定されてしまった。どうも気まずい空間に、人間二人は頬を赤らめながら必死に否定しだした
「ち、違うからね!?シエン!!」
「いきなり何言うんですかシザー・タイガー!」
『ガウガウ〜』
シエンが低い咳払いをした。話がそれてしまったと復帰を試みたようだ。自然と慎也らもシエンに目をやると、またシエンは語り出した
『...とにかく皆木殿の
「そういう事です...か」
『ええ、それと皆木殿。及川殿との
「違和感?...強いていうならいつもと引きが違ったような...?」
『急激な
詩織が何かを思い出そうとするが、やはり思い当たる節は無いようだ。慎也も観戦していた身として共に考えてみたが、やはり何も無かった
「でも.....負けちゃったけど事故ってたりはしてなかったよね?」
「はい、そうですよ?」
『そこまで顕著に現れるものでは無く、あくまで違和感にとどまるはずです...殿も我を認識した直後、灰田殿との
「...なんかいい所で突破用のカードは来るけど...って感じ?[ダークフォース]とか[追走の翼]とか」
慎也も言われてみればと過去をふりかえった。精霊の具象化に伴う
だがそれを敗北の言い訳にするのも気が引けた。あくまで違和感。それに留めておこうとまとめ出した
「まぁ、灰田が調子よかったのもあるかもね」
『うむそうですな』
「...なるほど!色々勉強になりました!」
詩織がシエンらと対話していると、傍らからシザー・タイガーが裾を引っ張ってきた
何かと詩織が見下ろすと、少しだけ不安そうに訪ねてきた
『それで...主人、どうするんですかい?』
「ふぇ?一緒に帰りますよ?タイガーさんは私の新しい家族です!」
『やったっよろしくガウ!』
詩織の元へ飛びこむシザー・タイガー。詩織も新しい家族を歓迎する姿勢を崩さず、受け止めた
その微笑ましい光景を見つめていると、今度はシエンが慎也に語り出した
『殿も関東大会に向けて色々と順番せねばなりませぬぞ』
「準備?」
『はい、殿に新たな精霊が具象化しかけております』
そしてまた新たな精霊の話。既に精霊を認知している慎也だからこそそこまで驚かない話なのだが、別のことに対しなにか不安そうに構えていた
恐る恐る慎也が尋ねた内容は、誰かではなくいつから?だった
「.....その子も長らく待たせちゃってたりする?」
『いえ、彼女は...大型カードショップに行かれた頃からですな』
「...良かった。でも誰なんだろう」
『少しだけ申し上げますが...“ジェムナイト“デッキ、そちらを意識してお使い下さい。
分かりやすい話だ、ジェムナイトの精霊を認識するために、そのデッキを多用する。
この異常な常識のようなものに毒された慎也は、何の異論も無く精霊を具象化させる準備に前向きな姿勢を見せていた
「次はジェムナイトなんだね!」
「それでしたら!」
詩織がシザー・タイガーを抱えながら立ち上がった。たまたまこの場所に居合わせたからか、同じ融合デッキだからか、自身も精霊を宿したからか
あるいはそれら全てに当てはまるからか詩織は自然と対戦を求めた
「私と
「よし、やろうか」
使用するデッキも対戦相手も決まった
ディスクとデッキを手に取ると、広めの部屋に移動した。そして実に久しぶりの詩織との
精霊や
「久しぶりだね...さぁ始めるよ」
「はい、いつでも!」
「「
慎也 LP 8000
詩織 LP 8000
「俺が先攻...ってうわぁ...」
『初めて見ましたな...』
初期手札を確認すると慎也とシエンは言葉を失った。
だが、成せる事は成さねばならない。発動可能なモンスターカードを手に取ると早速ディスクに通した
「手札の[サンダー・ドラゴン]の効果発動!このカードを捨ててデッキから[サンダー・ドラゴン]を2体まで手札に加える!」
慎也の掌からこぼれ落ちた稲妻は、デッキから新たに2つの稲妻を呼び起こした。その稲妻はやがて慎也の手に収まった。
1枚のカードは2枚へと増えた
「よし、行くぞ!」
勢い良く手札から3枚のカードをディスクに渡した
しかし、その中にモンスターカードは存在しない
「カードを3枚セット、ターンエンド!」
発せられたエンド宣言を経て慎也のターンは終了した
[サンダー・ドラゴン]を使用しただけだった
慎也 手札:3枚 LP 8000
モンスター/ なし
魔法・罠 / リバース3枚
「...エンドですか?」
「うん」
なんと手札の融合素材は[サンダー・ドラゴン]しかないようだ。何も召喚せず、代わりに珍しく慎也の場に伏せカードが待機している
《いつもなら連続融合が可能な手札になるのですが...》
これも乱れの影響なのだろうか。手札に魔法・罠が偏ってしまっているようだ。シエンも思わず言葉を失ったままだった
「私のターン、ドロー。私は中々良いですね...[ファーニマル・ドック]を通常召喚!」
[ファーニマル・ドッグ] ATK 1700
「効果でデッキから[エッジインプ・シザー]を手札に加えますよ!」
融合デッキにおいて、召喚時にサーチ効果を持つと素材が無駄にならなく望ましい。無論ジェムナイトにも似た効果を持つモンスター入るのだが、無いものを願っても仕方ない
今出来るのは先程伏せたカードの発動ぐらいだった
「ここでリバースカードオープン、[
[ジェムナイト・ブリズムオーラ] ATK 2450
起動効果しか持たない融合モンスターだ。わざわざチェーンし、このタイミングで召喚するということは何かあるのだろうか
「このタイミングで...?とりあえず[融合]を発動します!手札の[エッジインプ・シザー]とフィールド上の[ファーニマル・ドッグ]を融合。愛嬌ある姿はやがて悪魔と化す、来るものを挟みの錆にしろ!融合召喚、現れでちゃってください[デストーイ・シザー・タイガー]!」
『あいよ!』
[デストーイ・シザー・タイガー] ATK 2200
詩織の肩に乗っていたシザー・タイガーは、デストーイデッキの精鋭としてフィールドに飛び出した。ディスクのソリッドヴィジョンに合わせ、フィールドに顕現すると、効果が発動する
「効果発動です![プリズムオーラ]とその伏せカードを破壊します!」
『オラぁぁ!!ぶち壊させろぉぉ!!!』
慎也のフィールドに悪魔の鋏が迫る。
横暴かつ大胆なシザー・タイガーの鋏から免れるため、慎也は迷いなく罠カードをめくった
「怖!?り、リバースカードオープン[融合解除]![ブリズムオーラ]の融合を解除する!」
対象となったリバースカードの効果が破壊を免れた。[プリズムオーラ]は光の粒子となり、慎也の元へと帰り、素材の上級モンスター達が墓地より慎也の前へ現れた
どうしようにも処理出来なかった上級モンスター達も、[プリズム・オーラ]と墓地を経由することでフィールドへと降りることがかなった
[ジェムナイト・クリスタ] ATK 2450
[サンダー・ドラゴン] DEF 1500
『逃げんじゃねえぞ!』
「こいつ口悪いな...」
「すみません村上さん...[
我が子の代わりのように詩織はシザー・タイガーの無礼に謝罪をしていた。破壊出来なかった事に不満なのかシザー・タイガーはハサミを素振りして威嚇していた
苦笑いで詩織は別のカードを処理すると、再び[融合]ののカードに触れた
「そして[融合]を発動します!手札の[エッジインプ・シザー]とフィールド上の[デストーイ・シザー・タイガー]を融合、あらゆるものを喰らう猛獣紡がれし時、新たな
[デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 2800
「効果で墓地の[シザー・タイガー]を特殊召喚します!」
[デストーイ・シザー・タイガー] ATK 2900
「バトルです![シザー・タイガー]で[サンダー・ドラゴン]に、[サーベル・タイガー]で[クリスタ]に攻撃します!」
「クッ...」
慎也 LP 8000→7050
「カードを1枚セットしてターンエンドです!」
詩織 手札:3枚 LP 8000
モンスター/ [デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 3400
/ [デストーイ・シザー・タイガー] ATK 2900
魔法・罠 / なし
「ドロー...っ、いいカードを引いた!」
「き、来ますか...!」
デストーイの攻撃を受け、また慎也のフィールドにはモンスターが消滅してしまった。だが、今のドローフェイズで引いたカードは満足のいくものだったらしい
そしてたった今引いたカードをすぐに使用した
「[クリバンデッド]を通常召喚、エンドフェイズに入るよ!」
「...え、エンドですか?」
手札には余ってしまった[サンダー・ドラゴン]が控えている。なんとか素材が欲しい中引いたカードは展開を次のターンに一任する[クリバンデッド]だった。
カードは着々と集まってはいるが、このまま詩織の猛攻を交わす事が出来るのだろうか
「デッキトップは[シャッフル・リボーン]、[置換融合]、[星邪の神喰]、[ジェムナイト・ルマリン]、[絶対王バック・ジャック]...[星邪の神喰]を手札に加える。そして墓地に送られた[バック・ジャック]の効果を発動!デッキトップ3枚を確認する!」
これも微妙な5枚だ
唯一墓地効果を持たない[星邪の神喰]を手札に呼び込むと、また次のデッキトップを操作した
今加えた[神喰]は発動できず、結局融合素材も融合カードも増えはしなかった
「改めてターンエンド!」
慎也 手札:2枚 LP 7050
モンスター/ なし
魔法・罠 / リバース1枚
「私のターンです、ドロー。[デストーイ・ファクトリー]を発動します!墓地の[
[デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 3200
「効果で墓地の[シザー・タイガー]を特殊召喚します!そして[エッジインプ・チェーン]の効果でデッキから[デストーイ・マーチ]を手札に加えます!」
「やばいね...ここで墓地の[バック・ジャック]の効果発動!デッキトップの
デッキの操作は同じく[バック・ジャック]が行っている。このまま
慎也を葬れる数値を前にして、デッキトップから落ちたカードは
「デッキトップは[ジェムナイト・フュージョン]、墓地に送る...」
『なんと...』
ジェムナイトの連続融合のキーカードが墓地に落ちる。回収が可能なため、そこまで痛手ではなくむしろ間接的なサーチができたと考えられる。ただし、このターンを生き残ればの話だ。デッキトップにこのカードを置いたのにもなにか理由があるのだろう
「えと...バトルです![シザー・タイガー]でダイレクトアタックです!」
『ぶち壊してやるぜぇー!!!』
効果破壊が叶わず、せめて戦闘ダメージを与えたいとシザー・タイガーは吠えた。ステータスを上昇されている上に、慎也を守るモンスターもいない
だが、まだ多めに伏せていたカードが残っている
「リバースカードオープン[ダスト・フォース]!」
『てめえ!コラァァ!!』
唸る[シザー・タイガー]を沈める砂塵が舞いだした。いつもは被害者に回る慎也だが、今回は珍しくダストを操る側に回った
砂塵の演出にみとれていると、慎也を攻めるモンスターも全て裏に返った
「うぅ...では手札から[超融合]を発動!裏守備になった
[デストーイ・マッド・キマイラ] ATK 2800
最強の融合カードの効果を自分のモンスターのみを素材として使用した。少しもったいなくも感じるが、これなら追加で戦闘ダメージを与えられる
「[マッド・キマイラ]でダイレクトアタック!」
「くっ!」
慎也 LP 7050→4250
「カードを1枚セットし、ターンエンドです!」
詩織 手札:1枚 LP 8000
モンスター/ [デストーイ・マッド・キマイラ] ATK 2800
魔法・罠 / リバース1枚
/ [デストーイ・ファクトリー]
「ドロー!...まずは[星邪の神喰]を発動!そして墓地の[ルマリン]を除外し、墓地の[ジェムナイト・フュージョン]を回収![神喰]の効果でデッキから[超電磁タートル]を墓地に送る!」
先程手札に加えたサポートカードの発動、専用融合の回収、そして防御札を墓地に待機させた。ここまでは予想の付いていた所
詩織が警戒する中慎也が取った次なる手は...
「カードを1枚セット、ターンエンド!」
慎也 手札:1枚 LP 4250
モンスター/ なし
魔法・罠 / リバース1枚
/ [星邪の神喰]
またもエンド宣言
いい加減不安に感じた詩織が控えめに訪ねてきた
「...大丈夫ですか?」
「いやー分かんない...」
「では...バトルです、[マッド・キマイラ]でダイレクトアタックです!」
「あっ...[超電磁タートル]使えないじゃん...」
有無を言わさず
苦し紛れに用意した防御カードも意味を成さずに終わってしまった
慎也 LP 4250→1450
「ターンエンドです!」
詩織 手札:3枚 LP 8000
モンスター/ [デストーイ・マッド・キマイラ] ATK 2800
魔法・罠 / リバース1枚
/ [デストーイ・ファクトリー]
「ドロー!」
ドローフェイズにまたカードを引く
そしてそれは今度こそ満足のいくもののようだ
口角を上げると、またそれをすぐに使用した
「[レスキュー・ラビット]を通常召喚、効果発動!除外してデッキから同名通常モンスターを2体特殊召喚するよ。行け、[ジェムナイト・サフィア]!」
[ジェムナイト・サフィア] DEF 2100
[ジェムナイト・サフィア] DEF 2100
「[ジェムナイト・フュージョン]を発動!手札の[サンダー・ドラゴン]とフィールド上の[ジェムナイト・サフィア]を融合、再び現われろ![ジェムナイト・プリズムオーラ]!」
[ジェムナイト・プリズムオーラ] ATK 2450
「やっとエンジン入りましたね!」
「まぁね、墓地の[クリスタ]を除外して[ジェムナイト・フュージョン]を回収する![星邪の神喰]の効果でデッキから[ヴォルカニック・バレット]を墓地に送る。そして[プリズムオーラ]の効果発動!手札の[ジェムナイト・フュージョン]を捨てて[マッド・キマイラ]を破壊する!」
様々なカードを噛み合わせ、遂に攻撃の構えを見せた。対象にとる起動効果だが問題無い、道さえ開けられればそれで構わないと慎也はコストに融合を捨てた
だが、これに対し詩織はカードを発動させた
「リバースカードオープン、[デストーイ・マーチ]!デストーイを対象にとる効果を無効にして破壊します!」
[マッド・キマイラ]を守る様に大勢のデストーイがフィールドを埋めだした。軽快な音楽と共に、それぞれの個体が思い思いにダンスや行進を楽しみだした
金属がぶつかる音や、それらの数の多さからあまり楽しい物ではなく、不快にも感じられたが、それもすぐに終わりを迎えた
デストーイを対象に取ったジェムナイトを破壊する事でこのマーチは終演となる
「なら...墓地の[ヴォルカニック・バレット]の効果発動。500ポイント払い、デッキから同名カードを手札に加える!」
慎也 LP 1450→950
墓地から火花が散ると、それは小さな焔となりディスクを燃やしだした。その炎がデッキトップに移ると、慎也はそれを引き抜いた
燃える1枚を手札に加えると、比例してディスクも鎮火された。無論ソリッドヴィジョンの演出だ、実際にはなんの熱も生まれていない
「そして墓地の[サフィア]を除外して墓地の[ジェムナイト・フュージョン]を回収、そして発動!手札の[ヴォルカニック・バレット]とフィールド上の[ジェムナイト・サフィア]を融合、友情の炎帯し戦士よ、赤き水晶を模し、この地上を紅く染めよ!融合召喚、現われろ[ジェムナイト・マディラ]!」
[ジェムナイト・マディラ] ATK 2200
「リバースカードオープン、[
[ジェムナイト・プリズムオーラ] ATK 2450
「墓地の[プリズムオーラ]を除外して[ジェムナイト・フュージョン]を回収し、[プリズムオーラ]の効果発動![マッド・キマイラ]を破壊する!」
「きゃっ!」
再び舞う雷、やっとの事で届いた雷が混合獣を貫いた。[マッド・キマイラ]は禍々しい糸くずと玩具の破片を散らし、墓地に沈んでいった
「バトルフェイズだ![マディラ]でダイレクトアタック!」
「うぅ、通します...」
詩織 LP 8000→5800
「まだだよ、[プリズムオーラ]でダイレクトアタック!」
詩織 LP 5800→3350
「メイン2、折角だから...レベル7の[ジェムナイト・プリズムオーラ]と[ジェムナイト・マディラ]でオーバレイ、エクシーズ召喚、現われろ![オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン]!」
[オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン] DEF 2500
「エクシーズですか...デメリットを免れるためですか?」
「そうだね...ターンエンドだよ!」
慎也 手札:0枚 LP 950
モンスター/ [オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン] DEF 2500
魔法・罠 / [星邪の神喰]
「私のターン!ドロー、では...手札の[ファーニマル・ベア]を捨てて効果発動です!デッキから[トイポット]をセットしてそのまま発動します!手札の[エッジインプ・チェーン]を捨ててドロー![ファーニマル・ドッグ]なので特殊召喚します!」
[ファーニマル・ドッグ] ATK 1700
「[ファーニマル・ドッグ]と[エッジインプ・チェーン]の効果でデッキから[ファーニマル・シープ]と[
数ターンかけてじっくりと素材を集めてきた慎也に対し、詩織は一瞬でそれを果たした。
高速かつ高攻撃力のデストーイはやはり侮れない。今まで生き残った事すら奇跡かもしれなかった
「[
[デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 2400
「効果で墓地の[シザー・タイガー]を特殊召喚します!」
[デストーイ・シザー・タイガー] ATK 2900
「墓地の[ファーニマル・ウイング]の効果発動です![ファーニマル・ベア]と除外して1枚ドロー!そして[トイポット]を破壊して更にドローします!さらに墓地に送られた[トイポット]の効果でデッキから[ファーニマル・オウル]を手札に加えます!」
「手札が増える...」
「はい![ファーニマル・オウル]を通常召喚します!効果で[融合]を手札に加えます!そしてフィールド上にファーニマルモンスターがいるため[シープ]を特殊召喚します!」
[ファーニマル・シープ] DEF 800
「効果で[ファーニマル・オウル]を手札に戻して墓地の[エッジインプ・チェーン]を特殊召喚します!」
[エッジインプ・チェーン] DEF 800
「[融合]を発動します!フィールド上の[エッジインプ・チェーン]と[ファーニマル・ドッグ]を融合、天使を縛る魔の鎖よ、その者の命を繋げ!融合召喚、現れでちゃってください[デストーイ・チェーン・シープ]!」
[デストーイ・チェーン・シープ] ATK 3300
「[ファクトリー]の効果発動です!墓地の[
[デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 4100
「効果で墓地の[シザー・タイガー]を特殊召喚します!」
[デストーイ・シザー・タイガー] ATK 3900
「バトルフェイズです![チェーン・シープ]で[アブソリュート・ドラゴン]に攻撃です!」
「うっ...」
またもしても有無を言わせないモンスターの攻撃。慎也のフィールドはまたしてもがら空きになった
墓地の防御札も、フィールドの防御札も何も出来ず、慎也には残り少ないライフしか残っていない
「[シザー・タイガー]でダイレクトアタックです!」
高攻撃力が飛び交う中、慎也はリバースカードにも頼れない。しかしまだ余裕の表情を浮かべている
「フッフッフ...」
「ッ!?その表情何かありますね!?」
フィールド上には1枚もカードが無い。生半可な1枚では防ぐことはできない中慎也が行った操作は...
「...墓地の[超電磁タートル]の効果発動!バトルフェイズを終了させる!」
何度も慎也を守ってきた電磁波。墓地からいつも主を守る為に控えている。軽くフィールドをスパークさせると、この
「...そういえば落としてましたね」
「ふふん!どうだ!?」
慎也は腰に手を当て、胸をはってみせた。少年じみた自信満々な表情を見て、詩織も表情筋が緩む
ただ[チェーン・シープ]の攻撃時に使えなかっただけなのだが、このターンを凌いだことに誇りを持っているようだ
「...」
(ドヤ顔可愛いですねぇ!)
「[星邪の星喰]の効果でデッキから[ジェムナイト・ルマリン]を墓地に。さぁ、どうする!?」
「...ハッ!カードを1枚セットしてターンエンドです!」
詩織 手札1枚 LP 3350
モンスター/ [デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 4400
/ [デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 4400
/ [デストーイ・シザー・タイガー] ATK 3900
/ [デストーイ・チェーン・シープ] ATK 4000
魔法・罠 / [デストーイ・ファクトリー]
/ リバース1枚
もし、[シザー・タイガー]が3積みであれば破壊効果を2回使い、[チェーン・シープ]の攻撃で勝利していた。
それをしなかった事から詩織は3積みしてないのだろう。手札の問題もあるが、とにかく慎也は生き残った
それだけで充分なのだ
「さて...ドロー!」
今回の
そのデッキトップは1度も裏切ったことは無い。そしてこのカードもだ
「...行けるか?[ブリリアント・フュージョン]を発動!デッキの[ジェムナイト・サフィア]、[ジェムナイト・ルマリン]、[ジェムナイト・ラズリー]で融合、数多の輝きを灯し、その美しき姿を魅せよ!次なる精鋭を導け!融合召喚、現われろ[ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ]!」
[ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ] ATK 0
「[ラズリー]の効果で墓地の[ルマリン]を手札に加えるそして[ブリリアント・ダイヤ]の効果発動!リリースし、エクストラデッキから[ジェムナイト・ラピスラズリ]を特殊召喚する!」
[ジェムナイト・ラピスラズリ] ATK 2400
「効果発動!エクストラデッキから[パーズ]を墓地に送り、フィールド上の特殊召喚されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与える!」
「展開しすぎましたかっ!?」
デストーイの大量展開を逆手に取り、バーン効果が輝いた。合計6体の3000バーンは凄まじく、疲弊してきたライフでも逆転を果たすことが出来た
詩織 LP 3350→350
「でも手札はもうありませんよ...?」
慎也の手札は通常モンスター1枚。フィールドには融合モンスター2体まで並んだが、その攻撃力は到底足りてい。
だが、先の[クリバンデッド]はこのターンに託していたようだ
「墓地の[シャッフル・リボーン]の効果発動!除外し、[ブリリアント・フュージョン]をデッキに戻してドロー!さらに墓地の[置換融合]の効果発動、除外して墓地の[プリズムオーラ]をエクストラデッキに戻してドロー!」
「そういえば落ちてましたね...」
これで手札は3枚。墓地もある程度肥えていて、何やら大きく行動しそうだ。デッキは慎也に答えてくれている
「墓地の[サフィア]を除外して[ジェムナイト・フュージョン]を回収![星邪の神喰]の効果でデッキから[ライトロード・ビースト ヴォルフ]を墓地に送る!」
「ら、ライトロードですか...?」
「[ヴォルフ]の効果発動、デッキから墓地に送られた時特殊召喚する!」
[ライトロード・ビースト ウォルフ] ATK 2100
少し特殊な例だが、これもデッキから直接墓地に送られた事だ。無論ライトロードの効果も発動する
「そして[ジェムナイト・ルマリン]を通常召喚、レベル4の[ライトロード・ビースト ヴォルフ]と[ジェムナイト・ルマリン]でオーバレイ、エクシーズ召喚!現われろ[ダイガスタ・エメラル]!」
[ダイガスタ・エメラル] DEF 800
「効果で墓地の[ライトロード・ビースト ヴォルフ]と[プリリアント・ダイヤ]と[バレット]をデッキに戻してドロー!」
さらにドローを重ねた慎也。着々と展開を続けているが、詩織のフィールドの大型悪魔達を破壊する手段は今の所ない
また[プリズム・オーラ]の召喚を狙っているのだろうか
「[ジェムナイト・フュージョン]を発動!手札の[クリスタル・ローズ]とフィールド上の[ジェムナイト・ラピスラズリ]を融合、連なる軍勢はその者の為に、天より光の羽は舞い、命の鼓動を響かせる!融合召喚、現われろジェムナイトの超新星、[ジェムナイト・セラフィ]!」
[ジェムナイト・セラフィ] ATK 2300
神々しい翼を織り成し天より地に降りる[セラフィ]。振り返り慎也と眼を合わせると、自然と慎也も頷いた
頼むぞ
この
「墓地の[クリスタル・ローズ]の効果発動!墓地の[マディラ]を除外して墓地から特殊召喚!」
[クリスタル・ローズ] DEF 500
「さらに[クリスタル・ローズ]の効果発動!デッキの[オブシディア]を墓地に送り、名称を得る!」
[
「[セラフィ]の永続効果により2度目の通常召喚を行う![ジェムナイト・アイオーラ]を通常召喚!」
[ジェムナイト・アイオーラ] ATK 1300
「行くよ![バーティカル・フュージョン]を発動!フィールド上の[ジェムナイト・アイオーラ]と[ジェムナイト・セラフィ]と[
[ジェムナイトマスター・ダイヤ] ATK 2900→3600
「[バーティカル・フュージョン]は融合召喚したモンスターに素材のモンスター1体分の攻撃力を与える![セラフィ]の攻撃力を[マスター・ダイヤ]に!」
[ジェムナイトマスター・ダイヤ] ATK 3700→6000
「さらに[マスター・ダイヤ]の効果で墓地の[パーズ]を除外して効果を得る!」
[ジェムナイトマスター・ダイヤ] ATK 6000→5900
「2回攻撃、攻撃力バーン...そして5900...ですか...」
「うん!これで終わりだね、バトルフェイズ![マスター・ダイヤ]で[サーベル・タイガー]に攻撃!“
美しき七色の斬撃。詩織も負けじとリバースカードの選別を[サーベル・タイガー]に送った
あのステータスでは二回攻撃など受けられるはずが無い。一撃目を確実にいなさなければ、[シザー・タイガー]に送ったリバースカードはそれを軽く覆す効果を持っていた
「リバースカードオープン、[決闘融合-バトル・フュージョン]![マスター・ダイヤ]の攻撃力を[サーベル・タイガー]に加えます!」
[デストーイ・サーベル・タイガー] ATK 4400→10300
融合限定[オネスト]
単純明快なパワーアップを前に[マスター・ダイヤ]に勝ち目は無くなってしまった
「す、すごい攻撃力だね...でもねこれならどう?」
「っ!そのカードは!?」
慎也に何もカードが無ければの話だ
負けじと慎也が発動させたカードは、数秒前に見たカードだった
「[決闘融合-バトル・フュージョン]、さらに攻撃力を貰うよ!」
[ジェムナイトマスター・ダイヤ] ATK 5900→16200
与えるダメージは変わった。超過分の5900+10300の16200ダメージとなった。
ライフ8000のプレイヤーが2人いようとお釣りが来るほどの攻撃力だ。鋒の描く虹は悪魔を沈めるべく、美しくも厳かな太刀筋を描いた
フィールドに残ったものは、その美しき太刀筋以外には悪魔の亡骸だけだった
LP 350→0
詩織LOSE
ーーー
ーー
ー
SS内でも事故ることはあるんですね
〜おまけ〜
「慎也さん、やっぱり部屋見たいです!」
「ああ、うんいいよ」
立ち上がる颯希。高校の同級生の灰田は多少は知っているようだが、泥酔の黒川を残して気になる者は颯希に続いた。仕方なく慎也も立ち上がり、自宅の説明会を始めることにした
ーーー
「ここは...父さんの部屋だったところだね」
「本がいっぱい残ってるんですね?」
「いや?置いてったのは本棚ぐらいで、あとは俺のだよ」
「へぇー!読書家なんですねぇ」
「漫画の方が多いけどね」
ーーー
「元母さんの部屋だね」
「随分とカードが多いな?」
「
「さすが
ーーー
「ここは空き部屋だね」
「空き部屋まであるんですね!」
「うん、学校用の鞄とか教科書とか適当に置いてる」
「結構雑なんですね...」
「ハハハ...」
ーーー
「ここが和室」
「ほぉ、一気に和の感じになったなぁ?」
「お客さん泊める時とかに使うんだけど今はベッド一つ俺の部屋にあるだけだからねー」
「お兄さんの部屋もみたいです!」
ーーー
「まぁ俺の部屋」
「綺麗ですわね」
恐らく1番気になっていた慎也の部屋にたどり着いた。基本的には白ベースの落ち着いた部屋だが...
「可愛いぬいぐるみですね!」
「遊戯王関係だけじゃなくて色んなのあるんだなぁ」
机やタンスの上など至る所に飾られているぬいぐるみやフィギュア。動物や遊戯王の[クリボー]や、[幽鬼うさぎ]等のぬいぐるみが多い中、アイドル物もちらほらと見つかった
「...村上さん、こういう趣味をお持ちでして?」
「UFOキャッチャーとかで見境なくとるからね、まぁ可愛いし飾ってる」
「村上さんはUFOキャッチャー上手なんですよ!」
「この[幽鬼うさぎ]もプライズなのか?」
知樹がそのぬいぐるみを手に持つ。違和感の感じるそのぬいぐるみだが、慎也がゲームセンターで獲得したものでは無いらしい
「それは小鳥遊さんが作ってくれた」
「小鳥遊さんめっちゃ器用!?」
「というより慎也お前...どういう経緯で貰ったんだよ?」
「なんか...こないだ会ったときに『これ...誕生日プレゼント...あげる...』って」
その状況を演じる慎也。唐突の声色の変化に誰もが驚く。そのクオリティにだ
「すっごく似てますねぇ」
「その通りだな...慎也、秋天堂さんの声真似やってみてくれないか?」
「えぇー...『そんなこと言われても...僕はなんて言ったらいいんだい?』...こう?」
「似てますよぉ!」
拍手する颯希を尻目に皆木もリクエストを重ねた。いつの間にか慎也のモノマネ大会が始まっていた
「すごいですね!じゃあ.....麗華ちゃんとか出来ますか?」
「なんで私!?」
「...『出来ませんよ』」
「なんで出来るの!?」
「慎也!早乙女先輩とかは?」
「...『ガッハッハッ!俺の先攻だ!』似てる?」
「似てる似てる!」
「ていうかいつの間にモノマネ大会になってるんだよ!戻ろ!」
『そんな特技をお持ちでしたか...』
ぶっちゃけどうですか?
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読みたいからやめて欲しくない
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読みたいけど無くなったら読まない
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普通
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無くてもいい
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読むのが億劫