遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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おひさしぶりです
8月一杯はお仕事で静岡県におりました。
やろうと思えば静岡でもかけたのですが…久しぶりに会う同期と遊び呆けてました←
9月に戻ってきたはいいのですが、今度は配属先が変わってしまってまたバタバタしてました。
ほんの少し落ち着いたので、報告も兼ねて投稿します


第百二十八話 愚者の戦意

◐月下-??? / 午前9時42分

灰田side

 

 

「はぁ...次、次は誰だ!」

 

 

外の戦況が移り変わる中、(フロ-)灰被(シンデレラ)と連戦に身を置いていた灰田にも変化が現れていた

 

それは単純明快な疲労

既に3時間以上戦い続けている灰田には秋天堂を守るというプレッシャーに加えて様々な重しがもたれかかっている

しかしまるで弱音の言葉を知らないかのように彼は凛としていた

これがS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の精鋭である所以なのだろうか

 

 

「灰田君...もう無理だ、僕も」

 

「ダメだよ!ここは...っ!」

 

 

最早何度目かの論争

強力な決闘撃痛(デュエルショック)に苦しみながらも参戦を望む秋天堂とそれを拒む灰田

 

お互いに強がりだった

正直な所今すぐにでも休みたい灰田と、瞼を開いているだけでも億劫な秋天堂

平行線を辿っていた彼らだが、いよいよ秋天堂が灰田の言葉を無視する行動に出ようと痺れる手足に鞭を打つ

 

が、それもまた別のイレギュラーが留めた

その場にいた全ての決闘者(デュエリスト)が無意識に朧気に掴んだ大凡の気配

 

それは灰田の背後からゆっくりと迫っている

 

 

「...」

 

「だ...誰だ!誰でも掛かってこい!」

 

「...」

 

 

明るくもない廊下では遠くの顔が見えない

視力に問題の無い灰田でも、その人物が小柄な事しか掴めなかった

 

しかし秋天堂は未だ数名残る灰被(シンデレラ)の反応からもう少し先の情報を掴んでいた

それはあちら側の増援では無いという事

怯えとも形容可能な程に緊張が走っている。それは灰田にも言える事なのだが

 

 

「...」

 

「.....あれ」

 

 

歩幅の短いその人物の顔が見えた

銀色の頭髪に赤い瞳が特徴的な少女だった

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

◐月下-失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部 / 午前9時53分

慎也side

 

 

「...おかしい」

 

 

潜入は上手くいった

発信機も問題なく稼働している

慎也の進路を阻む者もない

 

故に気味が悪かった

最早失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)にその意思が無いことは分かっていても、どうしても順調すぎて足がすくんでしまう

 

 

《慎也君、もうすぐ近くですよ!》

 

「...うん」

 

 

何度目かの曲がり角を突破すると、今までとは造りが違う廊下が見えた

まず目に入ったのはいくつもの扉

その内のどの部屋に詩織が居るのか虱潰しを経る必要がありそうだが、発信機がその心配をなくしてくれる

 

だがやはり詩織の元に辿り着くまでは時間がかかるようだ

 

ここに来て敵兵が姿を見せたのだ

慎也も北の大通りで曖昧に対峙していた灰被(シンデレラ)だ。未だに戦力を温存していた事に思わずため息が出てしまった

 

 

「お待ちしておりました」

 

「...」

 

「皆木様はそちらの部屋にいらっしゃいます」

 

「そう...か」

 

「ですが」

 

 

その(クレイ)がディスクを掲げた瞬間、慎也は戦闘を覚悟した

しかしアンカーは青年に向けられなかった

 

遅れて理解したが、どうやらまた別の人間がこの場に向かってきているようだ

それも数名

慎也の背後からだ

 

 

「他の方は通せません」

 

「...っ!」

 

 

振り向けば3名の男女が一人の女性に合わせてゆっくりの歩幅で近づいてきていた

あまり明るくない廊下だが、彼らを見間違うことは無い

 

つい数日前に別れたはずだが、随分と長くも感じる再会に慎也も思わず綻んでしまう

そしてそれは今やってきている青年も同じ事らしい

 

 

「慎也ーっ!!」

 

「は、灰田!?」

 

 

北の大通りで草薙や一樹と出会った時も感じた奇妙な感情だ。

自らでは無く友までもがこの戦地に訪れ戦っていたのだ。大学構内で偶然すれ違う事とは訳が違う

 

無意識の内に慎也の方からも歩み寄っていたのか、彼らはすぐに合流しあった

長い戦いに疲れはあるようだが、慎也とは異なり外傷は無い。ひとまずそれに安堵すると、今まで視界に入っていなかったもう2人の女性に気がついた

 

2人とも聖帝で面識のある学年がひとつ上の決闘者(デュエリスト)だった

 

 

「秋天堂さん...」

 

「なんだか久しぶりな気がするね」

 

 

1人は今まで灰田と行動を共にしていた秋天堂

彼女は目に見えて疲れていた

つい数分前からS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)に合流した慎也は彼女達が(フロ-)と戦っていた事は知らないが、何となく察しだけはついている

 

強者相手に苦戦したのだ

それは同じ境遇にある慎也にも言える事だが

 

それよりも問題はもう1人の女性

自分がこの空間に存在していることを主張しようとしない彼女だが、それとは相反してまるでプレッシャーを隠せていない

 

それは聖帝の中で彼女の強さを知っている慎也達だからではなく、形だけ道を阻んでいる灰被(シンデレラ)含めた全員が強ばった

 

 

「なんで貴女がここに...?」

 

「...」

 

 

その女性は慎也から刹那として目を離さない

だが静寂として無言を貫いていた

 

耐えきれず慎也はその人物の名前を口にしていた

とにかく何でもいいから反応が欲しかったのだ

 

 

「小鳥遊さん、どうして...」

 

「...村上君」

 

 

最後に会ったのは関東大会に向けた軽いミーティングの様なもの

次に会うはずだったのはその関東大会だった

 

何故彼女がここに

やっと口を開いた小鳥遊はそれを言葉にするが、意味は理解できなかった

 

 

「呼ばれたから...来た」

 

「...誰にですか」

 

「...」

 

「その話は後にしよう」

 

 

終わりそうにない沈黙の多い会話に水を刺したのは秋天堂。

依然解せない様子の慎也と虚ろ目の小鳥遊の間に入ると、お互いの偏りを修正すべく情報を整理し始めた

 

 

「村上君、小鳥遊はS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の味方、そしてまだ戦争は終わってない。分かるね?」

 

「...はい」

 

「まだ日本の決闘者(デュエリスト)が囚われたままだ。失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)のボスも倒してない、メインコンピューターも奪われたまま」

 

「...分かってます」

 

 

道筋を指差しで提示する秋天堂を慎也は横切った

大きくわけてまだ3つの目的が達成されて居らず、目の前にはその内の1つがある

 

詩織の救出

日本の勝利条件ではなく、ただ慎也が正しくいられるために必要な事だ

 

 

「お話はお済みですか」

 

「...あぁ」

 

「でしたら」

 

 

灰被(シンデレラ)の中でも先頭にいた男は突如横に逸れた

それをトリガーに数名の(クレイ)が一斉に道を開けると、まるで慎也を迎えるように列を成した

 

カムイを撃破してからというものこんな事ばかりだ

相も変わらず失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の目的が分からなかった

 

 

「村上様のみお通りください。他の方々は我々がお相手します」

 

「なんでだよ!なんで慎也だけVIP対応なんだよ!」

 

「灰田君...」

 

 

無論慎也とてこの待遇に身に覚えが無い

だが敵の決闘(デュエル)ディスクのアンカーは慎也に構えもされない

本当の客人かのように錯覚していた

 

 

「...知樹が呼んでるのか」

 

「左様でございます」

 

「...」

 

 

試しに歩んでみるとやはり邪魔はされなかった

このままもう少し歩を進めれば発信機が反応する部屋に難なく辿り着くだろう

 

そして小鳥遊が残っている

この数名の灰被(シンデレラ)達を打破するのも難しくはないはずだ

 

灰被(シンデレラ)達も同様に感じているのか、慎也と目があった1人は軽く頷いた

振り返り確認した仲間達も同じような表情を浮かべている

 

 

「...行ってくるよ」

 

 

灰色の道を通り過ぎると、早くも決闘(デュエル)の音が響いた

お互い闘う理由が無くとも引けない、それがこの戦争の終盤なのだ

 

 

「...」

 

 

意を決してドアノブを捻るとそれはなんの抵抗も無く慎也を招いた

 

 

「...詩織ちゃん」

 

 

その部屋には様々なものが存在していた

小さな物だが見事なシャンデリア

シミひとつ無い上質なカーペット

その他細々とした備品一つ一つ管理が行き届いており、快適の一言に尽きる

 

そして慎也が求めてきた彼女もいた

 

 

「...うぅん......」

 

「...スゥ...」

 

 

詩織の二回りは小柄な少女。初めて見るその少女が何者かなどひとまずどうでもいい

 

まるで姉妹のような距離感

しかし寝相は良くない

 

詩織はその謎の少女にヘッドロックをかましたまま眠っていた

 

 

 

ぶっちゃけどうですか?

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  • 普通
  • 無くてもいい
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