遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
凄く大事な話だったので
◐月下-
午前6時36分
灰田光明side
「秋天堂さん、これからどうする?」
「うん..」
光明が敵の幹部ガンリを撃破した後の事
須藤達を追い目当てのメインコンピューター室へ進むべきか、あの大通りに戻って乱戦に加勢するべきか
須藤達と別れてから彼か通信が来ていない
この場で待機して悪戯に時間を貪るよりかは、やはり必ず結果に繋がる南の大通りに行くべきか
「...秋天堂さん下がって!」
「え?」
壁にもたれ掛かり密かな安息に身を委ねていた秋天堂の前に光明が出た
何があるのかは彼女には見えない
だが足音と光明の行動から味方ではない何者かが現れた事は分かる
誰だ
「あれ、こいつら黒服じゃない...っ?」
「なんだって」
震える足と腕で何とか顔を出すと、光明と対峙する数名の人物が視界に入った
光明の言う通り見慣れた黒のロングコートでは無い
灰色
大きなフードは黒と同じものだが、それは身につけず顔を露出した格好が4名並んでいる
そしてさらに奥
ガンリと同じく真っ白のスーツを纏った眼鏡の女性も直ぐに確認できた
「グラス様、如何なさいましょう」
「私が連れていくわ、
「御意のままに」
短く命令を与えるとその
無言で睨みをきかせる光明の方に目をやるが、まずはガンリの身が第一のようで噛み付いては来ない
「この子は返してもらうわ」
「あっ!待て!」
「貴殿の相手は私だ」
「なんだよ!誰ですか!?」
光明の
顕になっている顔には無数の傷やタトゥーが刻まれており、平穏な過去などありもしないように見られる
やがてあの
「私は
「俺は灰田光明!秋天堂さんを守りに来た!」
律儀にも幼稚にも己の紹介を重ねた光明に、他の
何がともあれ敵への増援だ
やれる事は限られてしまったが、敵の戦力を知る事も出来る
そう考えた秋天堂は再び光明の影に隠れ、
が、帰ってきたのは別の報告だった
北の大通りにも敵の増援が現れたらしい
「...なんだって」
ーーー
ーー
ー
◐月下-北側大通り / 午前6時41分
一樹side
「おいおい、もうほとんど終わってんじゃねーかよ」
医療班の元へ負傷者を連れて行き、ガルナファルナと
そして一樹の言う通り
対して
加えて一樹らと聖帝の4名がこの乱戦に参加する。最早北の殲滅は時間の問題だろう
「んあ?よぅ、聖帝の。遅かったじゃねぇの」
「こんな短時間でここまで...流石だね」
東野が次の標的を探す劉輝に近寄ると、待ち合わせ場所に現れた待ち人が来た時のように軽い口振りで彼を迎えた
程々に言葉を交わすと、劉輝は1度だけ永夜川の方を確認し、傍にいた齋藤と早乙女の方に顎をしゃくった
「さ、齋藤先輩に早乙女先輩...」
「俺らと入れ違いで来た
「わ、分かりました...っ!」
負傷者を一任すると劉輝はまた戦いの最中へ足を踏み入れようと歩を進め出した
東野も古賀に片方の負傷者を頼もうと呼ぶが、一つ違和感を覚えた
1人足りない
「ちょっりゅ、劉輝さん!?」
「なんだよ、俺らが戦ってるうちにさっさと...」
「...先輩は何処てすか!?」
「んあ?誰だよそいつ」
北側に居たはずの
それに気が付いたのは聖帝の生徒であるからこその事か
秀皇の劉輝や永夜川、暁星の皇もまたその人物の事などよく知らない
故に東野は必死にその人物の事を説明し始めた
「あの...背が高くて、強面の...」
「そいつじゃなくてか?」
「え、えぇ。早乙女先輩ぐらいムキムキですけど...なんというか落ち着いたマッチョというか...」
「...あぁ、怪我してた奴だな。そう言えば俺らが来た時には居なかったぜ」
「えっ...」
やっと東野が探し求める人物画が劉輝の脳内に浮かんだ所で、また戦場に怒号が轟いた
まだ
だがそれを否定するかのように
《み、南側の新田です!山本さんが
「おいおい...あっちがやばいな、文佳!」
「北は任せました」
「オーケー」
短いやり取りで劉輝は南へ戻る決意をしたようだ
既に本部へ精鋭が乗り込んだ今に至っては南と北で戦力を分配する意味もあまりない
だが浮いている
しかし、比較的精鋭が集まっている北のここにも新たな問題が出現してしまった
東野が探し求める聖帝の戦士の事ではない
「あ...あれは」
「.....おいおい」
そのため東野だけでなくその場にいた
南に向かう旨を
本部への巨大な出入口が黒で染っている
多く見積って50名ほどの
「まだ...こんなにいるの!?」
「骨が折れますわね」
皆が口々に感情を言葉にし始めた
無理もない
敵の幹部3名を屠り、医療班へ奇襲したガルナファルナの部隊を撃退し、南側の黒服兵は殆ど倒した
「おい、暁星!」
「俺の事か?」
「あー?」
劉輝が端末を再びしまい込むと、皇と一樹を呼び込んだ。
自身を含めたこの3名が中心になりこの場を突破する。至極単純な作戦だが、それぐらいしかこの場に残された若き戦士達になす術はない
「10分以内に10人、行けっか?」
「30分欲しい」
「あたりめーだろうが!舐めんじゃねぇぞ!」
暁星は対極的な反応を見せた
ひとまずはそれで満足なのか、劉輝は辺りを見渡し
5倍近い戦力差にため息が漏れた
だがやるしかない
「お前ら!流石にもう敵の増援は無いと思うが、少し引き気味に戦え!少しでも体力温存するんだぜ!」
「「了解!」」
故に大雑把な作戦した繕えない。
だからこそ劉輝はこの場で最も深く知る
それは自分自身
今こそ無茶をする時だと理解しているつもりだった
「行くぜ...絶対死ぬんじゃねぇぞ!」
ーーー
ーー
ー
◐月下-??? / 午前6時25分
「そろそろだな」
「”ゲスト”の事かボスの旦那?」
知樹とシッドはそれぞれ担いできた須藤と輝元を上質なシーツの上に寝かせると、
だがシッドが放つ”ゲスト”について知樹は反応せず、別の言葉で否定の意味を著した
「勿論”ゲスト”は全員向かわせたが、”
「...
「聞いていなかったのか?」
腰から取り出した
「前に話したはずだぞ、
「あぁ、その事か。そんな洒落た名前だとは知らなかったぜ」
「そうか?」
「名前の由来はなんだ?ボスの旦那」
シッドと同じく知樹は空いた手に煙草を持つと、火をつける前に少し考える素振りを見せた
誰もが耳にしたことのある童話が脳裏を霞むだろう
「シンデレラという昔話は知っているな」
「あぁ、それで?」
「シンデレラの主人公エラは...まぁ噛み砕いで言うならいつも灰を被りながら働いていたんだよ」
「おう」
「
「シンデレラってのは皮肉だったのか」
「あぁ」
「...それだけか?
「まぁな」
理由を聞いてガッカリしたのか、シッドは両手を上げ不服そうに煙を吐いた
知樹も特別なんの反応もせず、同じように火をともした煙草から煙を吸い込み、吐くだけ
やがて沈黙が気まずくなったのか、端折った理由を話したくなったのか、静かに知樹が呟いた
「エラも彼らも、好きで灰を被っているわけではないんだ」
ーーー
ーー
ー
◐月下-南側大通り / 午前7時2分
南side
「島崎君!」
「くっ...すまない...っ!」
カムイの目の前
山本と少し離れた位置に、敗北を期した島崎が倒れた
やっとの事で黒服兵を殲滅したというのにも関わらず、依然
北の大通りには大量の増援が来たと聞いた。皇達が向かい、医療班から戻った聖帝の
このカムイという強敵もさることながら例の援軍がこちらにもみえたからだ
「ちょっと結衣、優介!」
「うっ...まだいたのか...っ!」
「あれは...」
本部からゆっくりとこちらに向けて進軍する数十名の
先程まで戦っていた黒服兵に加えて、異なる衣を纏う者もちらほら見える
灰色の服装については
そしてその黒と灰色の中に悪目立ちする色もあった
白
「おやっグラスさん、こっちに来たのっ?」
「えぇ、あっちは人手が足りてるから」
グラスと呼ばれた眼鏡をかけた細身の女性
カムイと親しげにしている事を見なくとも敵の幹部である事は間違いなく分かる
聖帝の
その援軍の数や幹部の存在に言葉を失う新田と新妻を差し置いて、グラスという1人の女性について驚きを隠せないのは南だけだ
「こ...琴乃さん...っ!?」
「.....貴女は」
忌々しき記憶と同時に、手を差し伸べてくれた正義感溢れる勇敢な女性刑事の顔を思い出した
南の読モ時代、あの噴水の綺麗な公園で出会い、まるで自分の事のように怒りと悲しみを共有してくれたあの人
今南が退治している
「どうして...
「...」
2人のユイが邂逅した瞬間だった
ーーー
ーー
ー
◐月下-北側大通り / 午前7時
一樹side
「...あいつは」
「おい、暁星の!ぼさっとしてる暇は無いはずだぜ!」
乱戦が続く道
その戦いの最中で暁星の一樹が停止していた
それに気付き煽るような口調で激励するのは劉輝だったのだが、彼には一樹の視線の先の集団が見えていなかった
まるで聞こえていないように停止したままの一樹に疑問を抱き、劉輝がその視線の先のものをみたのは少し遅れた後のこと
一目見れば何を見ているのかは直ぐにわかった
また援軍だ
「...まじでやってられねぇよな、今度は灰色か?」
「ちげーよ、私服が混じってんだろ」
劉輝が見ていたのは黒服兵に交じった灰色の
確かに統一された服装の中で個性を見出す私服姿は浮いている。だが一樹が言葉を失い立ち尽くす程の人物がどうかは劉輝にはわからなかった
「なんだよ、知り合いか?」
「よく見ろや、全員プロだぞ」
「あんまりテレビとか見ねぇからよ、どんなやつなんだ?」
無知を肯定し、詳細を求める劉輝に対して一樹は舌打ちで返した。
待っていても答えが帰って来ないだろうと判断したのか、近くで戦闘中の東野の襟首を引っ張ると同じ質問をぶつけた
「あんた、あいつら知ってるか?」
「えっ...あれはプロ
東野の反応から有名人である事をひとまず理解した
劉輝は彼自身が言った通りあまりテレビを点けない。だからこそ今こちらに向かっている3名の
だが東野が驚いている理由と一樹のそれは異なるようだ
日本のプロ
「そんなに有名なプロなのか?」
「有名...と言うよりあの人はこないだニュースでやってたん...ですよ」
「ニュース?」
プロの特集か何かと考えだが、東野の口振りは前向きなものでは無かった
という事は何か問題でも起こしたのか、引退でもしたのか
「...行方不明だって」
「はぁ?今いるじゃ...あぁ、ここに居たってことか」
「はい...でもなんで
「名前は?聞いたらわかるかもしれねぇ」
「えっと...」
劉輝が東野に訪ねた理由は単に近い距離にいただけではなく、何となく彼に聞いたら答えを知る事が出来るような気がしたからだった
現に彼は記憶を必死に探した後、3人のうち2人のプロ
3人のの男女を控えめに指さしゆっくりと告げ出す
その名前は普段テレビ等見ない劉輝でさえ聞いた事のあるそれだった
「女性の方が...氷染菫さん、男性の方が形谷操人さんです!」
「お、聞いた事あるぜ。2人ともAランクの強者じゃねぇか。残りの男は?」
「それが...ニュースで名前見たんですけど...か、かい...どう?」
「海堂晶だ」
一樹が言葉を取り戻したと同時に東野の記憶に補足した。このまま黙ったままでいるのかと思っていた劉輝は思わず一樹の顔を覗いたが、表情は依然硬いままだった
氷染菫
形谷操人
海堂晶
恐らくは皆が力のある
が、それに気づくのに時間はかからなかった
「海堂...っておめぇと」
「.....あぁ」
やがてそのプロの面々が乱戦の元に到着すると、一樹はその海堂と名の
どうやらその海堂も一樹の事に気がついていたらしく、自然と両者歩み寄る形になった
やがてアンカーも届く位置になると、一樹は背中越し劉輝に一言放った
「あいつは俺がやる」
「構わねぇが、おめぇそいつと...」
劉輝は言葉を探すが、それよりも早く一樹が答えた
自分自身とあの海堂と名の
「俺のクソッタレの兄貴だよ」
「...」
2人の海堂もまた邂逅する
ーーーR D Cーーー
ーーー城外ーーー
○医療班駐屯地
→大神忍 (負傷中)
→鬼禅義文(負傷中)
▷黒川美姫 →オキナ(負傷中)
▷近藤虎鉄
→
◐北大通り
→齋藤健太(負傷中) →ジャヴィ(負傷中)
→早乙女哲夫(負傷中)▶黒服残り50名
▷皇崇人 ▶︎
▷劉毅透織(交戦中) ▶︎氷染菫
▷永夜川文佳(交戦中)▶︎形谷操人
▷海堂一樹(交戦中) ▶︎海堂晶
▷西条麗華(交戦中)
▷古賀拓郎(交戦中)
▷草薙花音(交戦中)
▷東野圭介(交戦中)
▷
◐南大通り
→島崎春磨(負傷中) ▶︎カムイ
→山本薫(負傷中) ▶︎グラス
▷南結衣(交戦中) ▶︎
▷新田優介(交戦中) →黒服兵
▷新妻友奈(交戦中)
ーーー城内ーーー
〇
→秋天堂光(負傷中)→ガンリ(負傷中)
▷灰田光明
〇
▷蛭谷颯人 ▶︎蛭谷楓希
〇メインコンピューター室
→灰田輝元(負傷中)
→須藤余彦(負傷中)
〇???
▶知樹
▶シッド(喫煙中)
◑
▷戦闘可能 : 33名
▷精鋭 : 15名
→負傷中 : 9名
→非戦闘員 : 20名
→消息不明 : 5名
◐
▷戦闘可能 : 39名+50名
▷
▷ゲスト : 3名
▷
→負傷中 : 109名
→捕虜 : 93名
◐ガルナファルナ
▷戦闘可能 : 0名
▷天禍五邪鬼 : 1名
→負傷中 : 30名
→捕虜 : 104名
ぶっちゃけどうですか?
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読みたいからやめて欲しくない
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読みたいけど無くなったら読まない
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普通
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無くてもいい
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読むのが億劫