遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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今回デュエル無しです
凄く大事な話だったので


第百十五話 灰にまみれた援軍

◐月下-失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部内通路 /

午前6時36分

 

灰田光明side

 

 

「秋天堂さん、これからどうする?」

 

「うん..」

 

 

光明が敵の幹部ガンリを撃破した後の事

決闘撃痛(デュエルショック)で苦しむ秋天堂と、反対に今すぐにでも行動可能な光明とで今後について相談の最中にいた

 

須藤達を追い目当てのメインコンピューター室へ進むべきか、あの大通りに戻って乱戦に加勢するべきか

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の通信では南側の戦力が足りていないらしく、本部内の道に詳しい人物が居ない現状は後者が望ましいだろうか

 

須藤達と別れてから彼か通信が来ていない

この場で待機して悪戯に時間を貪るよりかは、やはり必ず結果に繋がる南の大通りに行くべきか

 

 

「...秋天堂さん下がって!」

 

「え?」

 

 

壁にもたれ掛かり密かな安息に身を委ねていた秋天堂の前に光明が出た

何があるのかは彼女には見えない

 

だが足音と光明の行動から味方ではない何者かが現れた事は分かる

誰だ

 

 

「あれ、こいつら黒服じゃない...っ?」

 

「なんだって」

 

 

震える足と腕で何とか顔を出すと、光明と対峙する数名の人物が視界に入った

光明の言う通り見慣れた黒のロングコートでは無い

 

灰色

大きなフードは黒と同じものだが、それは身につけず顔を露出した格好が4名並んでいる

そしてさらに奥

ガンリと同じく真っ白のスーツを纏った眼鏡の女性も直ぐに確認できた

 

 

「グラス様、如何なさいましょう」

 

「私が連れていくわ、灰被(シンデレラ)はあの子をお願い」

 

「御意のままに」

 

 

短く命令を与えるとその(フロ-)は意識のないガンリを丁寧に抱えた

無言で睨みをきかせる光明の方に目をやるが、まずはガンリの身が第一のようで噛み付いては来ない

 

灰被(シンデレラ)と呼ばれた4名がそれを庇うように光明と(フロ-)の前に立つと、その眼鏡の女性は最後に一言だけ残した

 

 

「この子は返してもらうわ」

 

「あっ!待て!」

 

「貴殿の相手は私だ」

 

「なんだよ!誰ですか!?」

 

 

光明の決闘(デュエル)ディスクの射線に割って入ったのは綺麗な言葉を使用する灰色の男

 

顕になっている顔には無数の傷やタトゥーが刻まれており、平穏な過去などありもしないように見られる

やがてあの(フロ-)が姿を晦ますと、改めてその傷だらけの男が己を語り出した

 

 

「私は失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)(クレイ)灰被(シンデレラ)の”バイス”と申します。貴殿に恨みはありませぬが、ここを任された身のため引くことは出来かねます」

 

「俺は灰田光明!秋天堂さんを守りに来た!」

 

 

律儀にも幼稚にも己の紹介を重ねた光明に、他の灰被(シンデレラ)は眉をひそめ疑問を、秋天堂は相変わらずだと言わんばかりに苦笑いを浮かべた

 

何がともあれ敵への増援だ

やれる事は限られてしまったが、敵の戦力を知る事も出来る

 

そう考えた秋天堂は再び光明の影に隠れ、灰被(シンデレラ)の事についてS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)全体に連絡を送った

 

が、帰ってきたのは別の報告だった

北の大通りにも敵の増援が現れたらしい

 

 

「...なんだって」

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

◐月下-北側大通り / 午前6時41分

 

一樹side

 

 

「おいおい、もうほとんど終わってんじゃねーかよ」

 

 

医療班の元へ負傷者を連れて行き、ガルナファルナと失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の襲撃を返り討ちにした一行はまた北の乱戦地まで戻ってきた

 

そして一樹の言う通り失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の黒服兵は殆ど倒れていた

対してS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)決闘者(デュエリスト)達は未だ数残っており、その中でも精鋭として暁星と秀皇の最強が揃っていた

 

加えて一樹らと聖帝の4名がこの乱戦に参加する。最早北の殲滅は時間の問題だろう

 

 

「んあ?よぅ、聖帝の。遅かったじゃねぇの」

 

「こんな短時間でここまで...流石だね」

 

 

東野が次の標的を探す劉輝に近寄ると、待ち合わせ場所に現れた待ち人が来た時のように軽い口振りで彼を迎えた

 

程々に言葉を交わすと、劉輝は1度だけ永夜川の方を確認し、傍にいた齋藤と早乙女の方に顎をしゃくった

 

 

「さ、齋藤先輩に早乙女先輩...」

 

「俺らと入れ違いで来た(フロ-)にやられたらしい。こいつらも医療班の所まで頼むぜ」

 

「わ、分かりました...っ!」

 

 

負傷者を一任すると劉輝はまた戦いの最中へ足を踏み入れようと歩を進め出した

東野も古賀に片方の負傷者を頼もうと呼ぶが、一つ違和感を覚えた

 

1人足りない

 

 

「ちょっりゅ、劉輝さん!?」

 

「なんだよ、俺らが戦ってるうちにさっさと...」

 

「...先輩は何処てすか!?」

 

「んあ?誰だよそいつ」

 

 

北側に居たはずの決闘者(デュエリスト)が1人足りない

それに気が付いたのは聖帝の生徒であるからこその事か

 

秀皇の劉輝や永夜川、暁星の皇もまたその人物の事などよく知らない

故に東野は必死にその人物の事を説明し始めた

 

 

「あの...背が高くて、強面の...」

 

「そいつじゃなくてか?」

 

「え、えぇ。早乙女先輩ぐらいムキムキですけど...なんというか落ち着いたマッチョというか...」

 

「...あぁ、怪我してた奴だな。そう言えば俺らが来た時には居なかったぜ」

 

「えっ...」

 

 

やっと東野が探し求める人物画が劉輝の脳内に浮かんだ所で、また戦場に怒号が轟いた

 

まだS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の優勢

だがそれを否定するかのようにS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の端末が受信を主張し始めた

 

 

《み、南側の新田です!山本さんが(フロ-)に...っ!》

 

「おいおい...あっちがやばいな、文佳!」

 

「北は任せました」

 

「オーケー」

 

 

短いやり取りで劉輝は南へ戻る決意をしたようだ

既に本部へ精鋭が乗り込んだ今に至っては南と北で戦力を分配する意味もあまりない

 

だが浮いている(フロ-)を無視するには精鋭3名が無駄になってしまう。劉輝が心のどこかで闘叶の戦士達を信頼仕切っていないからこその加勢の決意なのだ

 

しかし、比較的精鋭が集まっている北のここにも新たな問題が出現してしまった

東野が探し求める聖帝の戦士の事ではない

 

 

「あ...あれは」

 

「.....おいおい」

 

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部から通じる大通り。S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)からは本部の中央にある出入口が確認でき、失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)からはこの乱戦の様が見やすい

 

そのため東野だけでなくその場にいた失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)含め全ての人間がこの変化に気がついた

 

南に向かう旨をS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)本部へ伝えようの端末を手に取っていた劉輝でさえそのまま固まってしまうそれだった

 

 

本部への巨大な出入口が黒で染っている

多く見積って50名ほどの失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の戦士達が加勢しに来たのだ

 

 

「まだ...こんなにいるの!?」

  

「骨が折れますわね」

 

 

皆が口々に感情を言葉にし始めた

無理もない

敵の幹部3名を屠り、医療班へ奇襲したガルナファルナの部隊を撃退し、南側の黒服兵は殆ど倒した

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の精鋭も本部へ突撃し、のこるは消耗戦なのだと勝手に思っていたのだ。そこへの多大な敵戦力増加は目を瞑りたくもなる事実だろう

 

 

「おい、暁星!」

 

「俺の事か?」

「あー?」

 

 

劉輝が端末を再びしまい込むと、皇と一樹を呼び込んだ。S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の士気は完全に低下を辿っているのは明確であり、自らが何か発さなければならないと判断した彼は、一先ず短期決戦向きの決闘者(デュエリスト)2名に目をつけた

 

自身を含めたこの3名が中心になりこの場を突破する。至極単純な作戦だが、それぐらいしかこの場に残された若き戦士達になす術はない

 

 

「10分以内に10人、行けっか?」

 

「30分欲しい」

「あたりめーだろうが!舐めんじゃねぇぞ!」

 

 

暁星は対極的な反応を見せた

ひとまずはそれで満足なのか、劉輝は辺りを見渡しS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の戦力の確認を行った

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)本部の部下達は15名。精鋭としてこの場に来た学生達は7名。敵の戦力は13名と今こちらに向かっている約100名

 

5倍近い戦力差にため息が漏れた

だがやるしかない

 

 

「お前ら!流石にもう敵の増援は無いと思うが、少し引き気味に戦え!少しでも体力温存するんだぜ!」

 

「「了解!」」

 

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の戦士が使用するデッキ全て把握出来ていない

決闘者(デュエリスト)の性格や実力もだ

 

故に大雑把な作戦した繕えない。

だからこそ劉輝はこの場で最も深く知る決闘者(デュエリスト)に任せる事にした

それは自分自身

今こそ無茶をする時だと理解しているつもりだった

 

 

「行くぜ...絶対死ぬんじゃねぇぞ!」

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

◐月下-??? / 午前6時25分

 

 

「そろそろだな」

 

「”ゲスト”の事かボスの旦那?」

 

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部内にある一室にいくつものベッドが並んでいる

知樹とシッドはそれぞれ担いできた須藤と輝元を上質なシーツの上に寝かせると、失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)として次の作戦に移ることを決定した

 

だがシッドが放つ”ゲスト”について知樹は反応せず、別の言葉で否定の意味を著した

 

 

「勿論”ゲスト”は全員向かわせたが、”灰被(シンデレラ)”も出動させた」

 

「...灰被(シンデレラ)?なんだそれ」

 

「聞いていなかったのか?」

 

 

腰から取り出した失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の端末を操作し、その”ゲスト”と”灰被(シンデレラ)”と呼ばれる部隊へ連絡をまず行った

 

 

「前に話したはずだぞ、余事象体質(アウトフェイト)を宿した(クレイ)で構成された部隊だと」

 

「あぁ、その事か。そんな洒落た名前だとは知らなかったぜ」

 

「そうか?」

 

「名前の由来はなんだ?ボスの旦那」

 

 

シッドと同じく知樹は空いた手に煙草を持つと、火をつける前に少し考える素振りを見せた

 

灰被(シンデレラ)

誰もが耳にしたことのある童話が脳裏を霞むだろう

 

 

「シンデレラという昔話は知っているな」

 

「あぁ、それで?」

 

「シンデレラの主人公エラは...まぁ噛み砕いで言うならいつも灰を被りながら働いていたんだよ」

 

「おう」

 

(cinder)まみれのエラ(Ella)。それでシンデレラ(Cinderella)と呼ばれている」

 

「シンデレラってのは皮肉だったのか」

 

「あぁ」

 

「...それだけか?(クレイ)だから灰被(シンデレラ)ってか?」

 

「まぁな」

 

 

理由を聞いてガッカリしたのか、シッドは両手を上げ不服そうに煙を吐いた

知樹も特別なんの反応もせず、同じように火をともした煙草から煙を吸い込み、吐くだけ

 

やがて沈黙が気まずくなったのか、端折った理由を話したくなったのか、静かに知樹が呟いた

 

 

「エラも彼らも、好きで灰を被っているわけではないんだ」

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

◐月下-南側大通り / 午前7時2分

 

南side

 

 

「島崎君!」

 

「くっ...すまない...っ!」

 

 

カムイの目の前

山本と少し離れた位置に、敗北を期した島崎が倒れた

 

やっとの事で黒服兵を殲滅したというのにも関わらず、依然S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の優勢には繋がらない

北の大通りには大量の増援が来たと聞いた。皇達が向かい、医療班から戻った聖帝の決闘者(デュエリスト)達も到着したようだ。たが南達はあちらへの加勢に行けそうにもない

 

このカムイという強敵もさることながら例の援軍がこちらにもみえたからだ

 

 

「ちょっと結衣、優介!」

 

「うっ...まだいたのか...っ!」

 

「あれは...」

 

 

本部からゆっくりとこちらに向けて進軍する数十名の失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)

先程まで戦っていた黒服兵に加えて、異なる衣を纏う者もちらほら見える

 

灰色の服装については失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部にいる秋天堂から聞いていた

そしてその黒と灰色の中に悪目立ちする色もあった

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)(フロ-)もその中にいた

 

 

「おやっグラスさん、こっちに来たのっ?」

 

「えぇ、あっちは人手が足りてるから」

 

 

グラスと呼ばれた眼鏡をかけた細身の女性

カムイと親しげにしている事を見なくとも敵の幹部である事は間違いなく分かる

 

聖帝の決闘者(デュエリスト)達の報告には無かった人物だ。一次日食には参加していなかった、月下にて待機していた別の(フロ-)

その援軍の数や幹部の存在に言葉を失う新田と新妻を差し置いて、グラスという1人の女性について驚きを隠せないのは南だけだ

 

 

「こ...琴乃さん...っ!?」

 

「.....貴女は」

 

 

忌々しき記憶と同時に、手を差し伸べてくれた正義感溢れる勇敢な女性刑事の顔を思い出した

 

南の読モ時代、あの噴水の綺麗な公園で出会い、まるで自分の事のように怒りと悲しみを共有してくれたあの人

 

今南が退治している失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)(フロ-)は紛うことなきその時と同じ人物だった

 

 

「どうして...失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)に...っ!?」

 

「...」

 

 

2人のユイが邂逅した瞬間だった

 

 

ーーー

ーー

 

 

◐月下-北側大通り / 午前7時

 

一樹side

 

 

「...あいつは」

 

「おい、暁星の!ぼさっとしてる暇は無いはずだぜ!」

 

 

乱戦が続く道

その戦いの最中で暁星の一樹が停止していた

 

それに気付き煽るような口調で激励するのは劉輝だったのだが、彼には一樹の視線の先の集団が見えていなかった

 

まるで聞こえていないように停止したままの一樹に疑問を抱き、劉輝がその視線の先のものをみたのは少し遅れた後のこと

一目見れば何を見ているのかは直ぐにわかった

 

また援軍だ

 

 

「...まじでやってられねぇよな、今度は灰色か?」

 

「ちげーよ、私服が混じってんだろ」

 

 

劉輝が見ていたのは黒服兵に交じった灰色の失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)。だが一樹が注目したのは3名いる私服の男女だった

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の本部から現れ、腕に決闘(デュエル)ディスクを装着しているのだから敵であることは間違いない

確かに統一された服装の中で個性を見出す私服姿は浮いている。だが一樹が言葉を失い立ち尽くす程の人物がどうかは劉輝にはわからなかった

 

 

「なんだよ、知り合いか?」

 

「よく見ろや、全員プロだぞ」

 

「あんまりテレビとか見ねぇからよ、どんなやつなんだ?」

 

 

無知を肯定し、詳細を求める劉輝に対して一樹は舌打ちで返した。

待っていても答えが帰って来ないだろうと判断したのか、近くで戦闘中の東野の襟首を引っ張ると同じ質問をぶつけた

 

 

「あんた、あいつら知ってるか?」

 

「えっ...あれはプロ決闘者(デュエリスト)の!?」

 

 

東野の反応から有名人である事をひとまず理解した

劉輝は彼自身が言った通りあまりテレビを点けない。だからこそ今こちらに向かっている3名の決闘者(デュエリスト)の事など知りもしない

 

だが東野が驚いている理由と一樹のそれは異なるようだ

日本のプロ決闘者(デュエリスト)が月下に味方しているという点においては共通しているのだが

 

 

「そんなに有名なプロなのか?」

 

「有名...と言うよりあの人はこないだニュースでやってたん...ですよ」

 

「ニュース?」

 

 

プロの特集か何かと考えだが、東野の口振りは前向きなものでは無かった

という事は何か問題でも起こしたのか、引退でもしたのか

 

 

「...行方不明だって」

 

「はぁ?今いるじゃ...あぁ、ここに居たってことか」

 

「はい...でもなんで失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)に...?」

 

「名前は?聞いたらわかるかもしれねぇ」

 

「えっと...」

 

 

劉輝が東野に訪ねた理由は単に近い距離にいただけではなく、何となく彼に聞いたら答えを知る事が出来るような気がしたからだった

 

現に彼は記憶を必死に探した後、3人のうち2人のプロ決闘者(デュエリスト)の名前を思い出した

3人のの男女を控えめに指さしゆっくりと告げ出す

その名前は普段テレビ等見ない劉輝でさえ聞いた事のあるそれだった

 

 

「女性の方が...氷染菫さん、男性の方が形谷操人さんです!」

 

「お、聞いた事あるぜ。2人ともAランクの強者じゃねぇか。残りの男は?」

 

「それが...ニュースで名前見たんですけど...か、かい...どう?」

「海堂晶だ」

 

 

一樹が言葉を取り戻したと同時に東野の記憶に補足した。このまま黙ったままでいるのかと思っていた劉輝は思わず一樹の顔を覗いたが、表情は依然硬いままだった

 

氷染菫

形谷操人

海堂晶

 

恐らくは皆が力のある決闘者(デュエリスト)なのだろう。だがどうしても引っかかる事が劉輝にあった。

が、それに気づくのに時間はかからなかった

 

 

「海堂...っておめぇと」

 

「.....あぁ」

 

 

やがてそのプロの面々が乱戦の元に到着すると、一樹はその海堂と名の決闘者(デュエリスト)に向かって2.3歩進めた

 

どうやらその海堂も一樹の事に気がついていたらしく、自然と両者歩み寄る形になった

やがてアンカーも届く位置になると、一樹は背中越し劉輝に一言放った

 

 

「あいつは俺がやる」

 

「構わねぇが、おめぇそいつと...」

 

 

劉輝は言葉を探すが、それよりも早く一樹が答えた

自分自身とあの海堂と名の決闘者(デュエリスト)の関係についてを

 

 

「俺のクソッタレの兄貴だよ」

 

「...」

 

 

2人の海堂もまた邂逅する

 

 

 

 

ーーーR D Cーーー

 

ーーー城外ーーー

 

○医療班駐屯地  

→大神忍 (負傷中)  

→鬼禅義文(負傷中)  

▷黒川美姫      →オキナ(負傷中)

▷近藤虎鉄 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)医療班20名

 

◐北大通り

→齋藤健太(負傷中) →ジャヴィ(負傷中)

→早乙女哲夫(負傷中)▶黒服残り50名

▷皇崇人       ▶︎灰被(シンデレラ)残り10名

▷劉毅透織(交戦中) ▶︎氷染菫

▷永夜川文佳(交戦中)▶︎形谷操人

▷海堂一樹(交戦中) ▶︎海堂晶

▷西条麗華(交戦中)

▷古賀拓郎(交戦中)

▷草薙花音(交戦中)

▷東野圭介(交戦中)

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)部下残り14名 

 

◐南大通り

→島崎春磨(負傷中) ▶︎カムイ

→山本薫(負傷中)  ▶︎グラス

▷南結衣(交戦中)  ▶︎灰被(シンデレラ)10名

▷新田優介(交戦中) →黒服兵

▷新妻友奈(交戦中)

 

 

ーーー城内ーーー

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部内通路

→秋天堂光(負傷中)→ガンリ(負傷中)

▷灰田光明

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部内通路

▷蛭谷颯人     ▶︎蛭谷楓希

 

〇メインコンピューター室

→灰田輝元(負傷中) 

→須藤余彦(負傷中)  

 

〇???

▶知樹

▶シッド(喫煙中)

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)

▷戦闘可能 : 33名

▷精鋭   : 15名

→負傷中  : 9名

→非戦闘員 : 20名

→消息不明 : 5名 

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)

▷戦闘可能 : 39名+50名

(フロ-)    : 4名

▷ゲスト  : 3名

灰被(シンデレラ)   : 30名

→負傷中  : 109名

→捕虜   : 93名

 

◐ガルナファルナ

▷戦闘可能  : 0名

▷天禍五邪鬼 : 1名

→負傷中   : 30名

→捕虜    : 104名

 

 

 

 

 

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