遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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実は逆上がりが出来なくて練習中です(22歳)


第百十話 黒の竜姫のRevengeⅠ

◐月下-医療班駐屯地 / 午前6時26分

 

 

「今度は私の先攻ね」

 

「どうぞ」

 

 

三度相対する強者前にしても

黒川は何処か安堵すらしていた

 

焦りは不思議と湧いてこない。ただまた戦う事が出来たという安心感

恐怖心もプレッシャーも何もない、フラットな心境で臨むことが出来た

 

 

「まずは[強欲で金満な壷]を発動するわ。エクストラデッキをランダムで6枚除外して、2枚ドローするわよ」

 

「やはりエクストラデッキは使わない様子ですな」

 

「このターンは、ね。フィールド魔法[魔神儀の隠れ蓑]を発動するわ。この効果処理として手札の[タリスマンドラ]を見せ、デッキからその同名モンスター2体を特殊召喚してこのカードをデッキに戻すわ」

 

 

[魔神儀 タリスマンドラ] DEF 0

 

[魔神儀 タリスマンドラ] DEF 0

 

 

「デッキから特殊召喚に成功した[タリスマンドラ]の効果よ、デッキから儀式モンスターの[竜姫神サフィラ]を手札に加えるわ」

 

《美姫、お呼びね》

 

 

魔神儀において率先して②の効果を使用したいのは[タリスマンドラ]と[キャンドール]の2体。それらを引いてしまった場合のケアとしても[隠れ蓑]のこの効果は有難いとも言える

 

今回は儀式モンスターをサーチする[タリスマンドラ]を引っ張ってきたのは無論、他の魔神儀の効果を温存する事も同時に叶っていた

 

 

「次は[ペンシルベル]の効果よ、手札の[サフィラ]を提示して、デッキの[キャンドール]と一緒に特殊召喚するわ!」

 

 

[魔神儀 ペンシルベル] DEF 0

 

[魔神儀 キャンドール] DEF 0

 

 

「効果でデッキから[祝祷の聖歌]を手札に加えるわよ」

 

《美姫、整いましたね》

 

「えぇ、頼むわよ!私は[祝祷の聖歌]を発動!フィールドの[魔神儀-キャンドール]と[魔神儀-ペンシルベル]をリリース。光の流転、この刹那に輝き、我に業を課す!輪廻の先の姫よ、終わせよ、改めよ!儀式召喚、降臨せよ[龍姫神サフィラ]!」

 

《参ります》

 

 

[龍姫神サフィラ] ATK 2500

 

 

「そして私は[武神-ヤマト]を通常召喚するわ」

 

 

[武神-ヤマト] ATK 1800

 

 

「エンドフェイズに入るわ。[ヤマト]の効果でデッキから[武神器-ヘツカ]を手札に加えて、そのまま捨てる。[サフィラ]の効果でデッキから2枚ドローして、[武神器-ツムガリ]を捨てるわ」

 

 

黒川 手札:3枚 LP 8000

 

モンスター/ [竜姫神サフィラ] ATK 2500

 

     / [武神-ヤマト] ATK 1800

 

     / [魔神儀-タリスマンドラ] DEF 0

 

     / [魔神儀-タリスマンドラ] DEF 0

 

魔法・罠 / なし

 

フィールド/ [魔神儀の隠れ蓑]

 

 

「ではターンを頂きます」

 

 

黒川の初動は最低限の武神とサフィラで終わった

武神のギミックもサフィラのトリガーも準備出来た事に加え、未知数の手札2枚とセットカードを残す事にも成功している

 

オキナは«цпкпошп»を使用するとは言え、最早この2人の決闘(デュエル)は3度目。両者少なからず長所と短所を見極めており、表面上のやり取りでは収まらない戦いが予想される

 

例えば

 

 

オキナ

ーメイン39枚ー

ー EX15枚 ー

 

 

あのビルで初めて相対した時にはメインデッキのカードだけで戦っていた。この地で再開した時には45枚とデッキ枚数が増えており、特殊勝利という新たなギミックも垣間見えた

 

今回もほぼ間違いなく特殊召喚のギミックは健在だ

手札に揃えるだけという非常に干渉が難しい所だが、黒川も3度目の敗北など念頭に無かった

 

 

「まずは«цпкпошп»を通常召喚します」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「効果によりデッキから«цпкпошп»を手札に引き入れ、そのまま発動しますが」

 

「あっ...い、いいわよ」

 

 

オキナは率先してとある«цпкпошп»の発動を優先してプレイを進めている

 

エンドフェイズにあの爆発的なアドバンテージを稼ぐカードだ。恐らく今発動したそれが黒川の警戒するカード

 

そしてこの通常召喚されたモンスターがそれに繋げる役割だけでなく、デッキの中心部とも言える仕事をする事も分かっている

手札にあるカードでならそれを止めることも出来たのだが、ここは温存を選択しサーチを許した

 

 

「ではスケールに«цпкпошп»をセット、効果により自身を破壊し、デッキから«цпкпошп»を手札に引き入れます。そのままスケールにセット。効果によりエクストラデッキの«цпкпошп»を特殊召喚します」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「«цпкпошп»を発動します。デッキから«цпкпошп»を手札に引き入れ、発動。手札の«цпкпошп»を糧に2枚ドローします」

 

「どうぞ」

 

 

«цпкпошп» ???カウンター?→?

 

 

「続けて«цпкпошп»。手札の«цпкпошп»を提示し、墓地の«цпкпошп»の効果を適応します。手札の«цпкпошп»を糧にさらに2枚ドローします」

 

 

«цпкпошп» ???カウンター?→?

 

 

「スケールに«цпкпошп»をセットし効果を発動。自身を破壊し、エクストラデッキの«цпкпошп»をデッキに戻して1枚ドローします」

 

 

«цпкпошп» ???カウンター?→?

 

 

「手札の«цпкпошп»を提示し、«цпкпошп»を発動します。墓地の«цпкпошп»を除外し、墓地の«цпкпошп»を特殊召喚してこのカードを装備させます」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

«цпкпошп» ???カウンター?→?

 

 

「では...私は«цпкпошп»に«цпкпошп»をチューニング、«цпкпошп»をシンクロ召喚します」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「出たわね、シンクロ」

 

「貴女に使用するのは初めてでしたね。«цпкпошп»と«цпкпошп»の効果をチェーンします。自身にカウンターを乗せ、1枚ドローします」

 

 

エンドフェイズの大量サーチ

アクセスが強いそれぞれの魔法カード

そしてカウンターを用いるペンデュラムモンスター

 

それらの共通する所は魔法使い族という事と同名のカウンターを乗せる事

そんな事は«цпкпошп»があっても用意に判断出来ることか

 

 

「では«цпкпошп»の効果を発動します。フィールドにあるカウンターを全て取り除き、その数×500ポイントのダメージを与えますが」

 

「通すわけ無いでしょ」

 

 

先攻でも発動できるゲームエンドまで持ち込むことが可能なバーンダメージの存在

黒川との決闘(デュエル)では使わなかったギミックだが、まるでそれを見越していたかのように黒川はカードを温存していたのだ

 

 

「[エフェクト・ヴェーラー]の効果を発動するわ。そのモンスターの効果を無効にするわよ」

 

「おや」

 

 

一見黒川が躱したように見えるが、現実は少し異なる。それは今まで乗っていたカウンターの数にある

 

あのペンデュラムモンスターにカウンターはこれまで5回乗っていた。単純な計算ならシンクロモンスターの分と合わせても3000ポイントのダメージしか無い

 

だが慎也が使用する[六武の門]のような1回につき2個ずつカウンターが乗るカードも存在する

しかし今までのそれらが全て2個ずつ乗っていたとしても合計は6000。

 

つまりオキナにとっては手札誘発を

黒川にとっては多大なバーン効果を誘うだけが目的だった

 

 

「貴女には特殊勝利しか見せて居ないはずでしたが?」

 

「鬼禅さんには先攻ワンキルしたんでしょ」

 

 

黒川は決闘撃痛(デュエルショック)を受けても尚意識を保っていた。だが鬼禅とオキナが戦っていた頃にはこの医療班へ迎っていたはずだ

 

加えてあの地は各々が戦いの最中にあった

誰がオキナのデッキについて告げたのだ

 

考えてみれば簡単なことだった

ずっと前から黒川を陰ながら支えてきた1人の竜姫神がいるではないか

あえて口に出すのは辞めておいた

彼女は1人では無いのだと理解するだけに留め、自らは自らの決闘(デュエル)に専念しだした

 

 

「そういう事ですか、永続魔法«цпкпошп»とフィールド魔法«цпкпошп»を発動します」

 

 

«цпкпошп» ???カウンター0→?→?

 

 

「そして«цпкпошп»の効果を発動します。貴女の[サフィラ]を除外しますよ」

 

《美姫!》

「分かってるわよ、手札の[サウラヴィス]を捨てて効果を発動!対象に取る効果を無効にするわよ」

 

 

精霊からの懇願が無くともこれは発動するつもりだった

破壊効果には墓地にある[祝祷の聖歌]が対応出来るが、散々見せられた除外には無力

なら手札の[サウラヴィス]の発動タイミングは自ずと限られてくる

 

やっと認識できた精霊を無闇に失うのも気が引けるが、守る理由はそれだけではない

 

 

「貴女が居ないと勝てないわ、頼むわよ」

 

《勿論です美姫、お任せください》

 

「美しい友情とでも言いましょうか、バトルに入ります。«цпкпошп»で[ヤマト]に攻撃します」

 

 

あのペンデュラムモンスターの攻撃力は2500

エースラインと呼ばれる値だが、黒川のサフィラもまた同じ数値

1枚のカードから現れるあちらと儀式を減る必要のあるサフィラでは相打ちでもアドバンテージに関わるが、オキナもまた墓地の[祝祷の聖歌]を熟知していた

 

サフィラ自体の破壊は諦め、そのサフィラを起動させる武神を狙うことに決めたようだ

だが武神は武神で守るすべはいくらでもあった

 

 

「墓地の[ツムガリ]の効果発動よ、除外して貴方のモンスターの攻撃力分アップするわ!」

 

 

[武神-ヤマト] ATK 1800→4000

 

 

「まずは1枚...ぐうっ!」

 

 

オキナ LP 8000→7100

 

 

[ツムガリ]は[クリスタルウィング]と同じように戦闘相手の攻撃力をそのまま奪う効果

異なる点は武神専用な事と、与えるダメージが半減する事だが、«цпкпошп»においては未知なる攻撃力が判明することにも繋がる

 

ダメージは二の次

目的となる戦闘破壊と情報は確かに掴み取った

 

 

「先攻ワンキルを狙ったばかりに攻撃がお粗末なんじゃないかしら?」

 

「...出来るならあれで終わらせたかったのは事実ですが」

 

 

結果的このバトルフェイズは黒川が制した

彼女が言う通り前の決闘(デュエル)程突破力が著しく弱く、プレイングの差である事は否めない

 

だが問題はここからだ

 

 

「ではカードを2枚セットし、エンドフェイズに...デッキから«цпкпошп»を8枚引き入れ、«цпкпошп»を特殊召喚します」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「«цпкпошп»の効果により自身を除外し、デッキから«цпкпошп»を引き入れ、私はターンを終えます」

 

「私もエンドフェイズに[サフィラ]の効果を発動するわ、墓地に[サウラヴィス]を手札に戻すわよ」

 

「ほう...改めてターンを終えます」

 

 

オキナ 手札:10枚 LP 7100

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / «цпкпошп»

 

     / リバース2枚

 

フィールド/ «цпкпошп»

 

 

「私のターン...手札の[魔神儀-カリスライム-]を見せて、自身を捨てて効果を発動するわ。デッキから[キャンドール]を特殊召喚するわよ」

 

 

[魔神儀-キャンドール] DEF 0

 

 

「[キャンドール]の効果でデッキから[魔神儀の祝誕]を手札に加えて、そのまま発動するわよ!」

 

「どうぞ」

 

「私はフィールドの[魔神儀-タリスマンドラ]2体をリリース。古よりて姫神に仕えし竜、不敬なる愚者へ聖の警告をなさん。美しくのも厳かな光纏いて、その身を捧げよ!儀式召喚、現れて[古聖戴サウラヴィス]!」

 

 

[古聖戴サウラヴィス] ATK 2600

 

 

「儀式召喚に成功した時、[魔神儀の隠れ蓑]の効果を発動するわ。フィールドのカード、貴方のその永続魔法を破壊するわよ」

 

「仕方ありません」

 

 

オキナは前の戦いでも7枚を大きく上回る手札を残してターンを跨いでいた

初めは禁止制限だけでなく手札制限まで改造されているのかとも考えたが、恐らく違う

それはあの永続魔法

通常であれば採用されるはずのないカードが過ぎったが、相手は«цпкпошп»に禁止制限無視

 

一般的な考えを捨て去り推測する

あの1枚は手札制限を無視できる、黒川にも使用可能な古きカードだと断定すらしていた

彼女の推測どおりか否かは次のエンドフェイズに分かる

 

 

「[貪欲な壺]を発動するわ。墓地の[タリスマンドラ]2枚、[カリスライム]、[キャンドール]、[ペンシルベル]をデッキに戻して2枚ドローするわ」

 

 

再利用のために必要な魔神儀を戻し、枯渇した手札を潤した

だが2枚の手札にはデッキに眠る魔神儀をリクルートする手段は存在しない

 

故にこれ以上の儀式召喚は不可能なようだ

だが目当てのモンスターはフィールドに呼び込んだ。あとは少しでもライフを削るだけと、少し前のめりにバトルフェイズに突入した

 

 

「バトルよ、[サウラヴィス]で貴方のモンスターに攻撃!”ホーリークライム”!」

 

「通しますが...«цпкпошп»を発動します。ダメージを半減させます...ぐっ!」

 

 

オキナ LP 7100→7050

 

 

オキナが発動したカードにより与えるダメージは半減してしまうらしい

 

加えてそのカードは残り続けている

永続罠だ

常に与えるダメージが半分となると、この後の展開にも影響が現れそうだ

 

 

「ダメージは与えるわよ、サフィラと[ヤマト]でダイレクトアタック!」

 

「むうっ!」

 

 

オキナ LP 7000→4500→2700

 

 

「あら...半分じゃないのね。まぁいいわ、エンドフェイズに入るわ。[ヤマト]の効果でデッキから[ツムガリ]を持ってきて、そのまま捨てる。サフィラの効果で2枚ドローして、1枚捨てるわ」

 

 

ダイレクトアタックはそのままダメージが通った

そこから推測出来るのはモンスターの戦闘ダメージのみが軽減されるのか、ターン1なのかどちらかだ

 

だがダイレクトアタックが通ったのは確かだ

それなら邪魔なモンスターの除去を優先し攻撃すればいいだけだ

 

 

黒川 手札:3枚 LP 8000

 

モンスター/ [竜姫神サフィラ] ATK 2500

 

     / [古聖戴サウラヴィス] ATK 2600

 

     / [武神-ヤマト] ATK 1800

 

     / [魔神儀-キャンドール] DEF 0

 

魔法・罠 / なし

 

フィールド/ [魔神儀の隠れ蓑]

 

 

「私のターンです。まずはスタンバイに墓地の«цпкпошп»をデッキに戻して1枚ドローします。そして«цпкпошп»を発動しておきます」

 

 

実に12枚目の手札

内9枚がサーチしたカードとは言え、何度も見てきた黒川にも予測がつかない程の量だ

 

だがモンスターは全て破壊した

ダメージも大きく与え、こちらの展開も終えている

 

ターニングポイントだろうか

このターンをどう凌ぐか、どう行動するかが両者の勝敗を分けると言っても過言ではない

 

 

「«цпкпошп»を発動し、デッキから«цпкпошп»を手札に加えます。では...手札の«цпкпошп»を三種類提示し、«цпкпошп»を特殊召喚します」

 

「見えないけどね」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

チェーンブロックを作る特殊召喚のため、黒川の場にある[サウラヴィス]の効果は使用できない

 

そのため今は様子見

どのような効果があるかは既に把握済みのため、どの効果で対応するかだけを考えていた

するとまとまる前にオキナはその効果を発動させた

 

 

「«цпкпошп»の効果です。墓地の«цпкпошп»を除外し、貴女の[サウラヴィス]を破壊します」

 

「早速来たわね、私も墓地の[祝祷の聖歌]を除外して、[サウラヴィス]を守るわよ」

 

《私の歌です》

 

 

無個性なイラストから放たれた魔の手は[サウラヴィス]の目の前で留まる

見えざる壁もとい、サフィラによる聖の歌声がそれを寸での所で死守した

 

まるで我が子のようにサフィラの翼が黒川のフィールド全てを包み込むと、美しくとも頼もしい羽が宙を舞いだした

余分に[キャンドール]や[ヤマト]、黒川本人まで守っているようにも見えるが、効果は[サウラヴィス]のみに及んでいるのは言うまでもない

 

 

「[サウラヴィス]だけ守ってくれればいいんだけど」

 

《まぁそうなのですが》

 

「ほほ...続けます。«цпкпошп»を発動し、除外されている«цпкпошп»を手札に加えます。そして«цпкпошп»をリリースし、«цпкпошп»をアドバンス召喚します」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「«цпкпошп»は墓地の«цпкпошп»の種類によって効果を適応します。5種類あるので全ての効果を、攻撃力を上げ、デッキから«цпкпошп»を手札に加え、«цпкпошп»を特殊召喚します

 

「仕方ないわね」

 

 

«цпкпошп» ATK ?→?

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「«цпкпошп»の効果です。墓地の«цпкпошп»を除外し、貴女の[サウラヴィス]を破壊します」

 

「くっ...仕方ないわね」

 

 

またもチェーンブロックを作る特殊召喚により、等々[サウラヴィス]の効果を使用する事も叶わず破壊を受け入れるしかなくなった

 

 

「続けて«цпкпошп»。墓地の«цпкпошп»を3枚除外し、貴女のフィールドのカードを除外します」

 

「対象に取らないんだったわね...」

 

 

黒川にセットカードは無い

対象にも取らない効果のため、手札誘発で止めることも非常に難しい

 

 

《美姫...?》

 

「...」

 

「何も無ければ貴女の[サフィラ]を除外します」

 

《み、美姫!?》

 

 

精霊の悲痛な叫びも虚しく、黒川は沈黙でカードの発動が無いことを示した

 

あの対象に取らない除外効果はやはり厄介だ

ターン1の効果である事は凡そ把握出来ているが、速攻魔法である事も分かっている

恐らく次のターンにも残されるだろう

 

何か対策しなければならない

まだサフィラは召喚可能とは言え、消費量が大きすぎる

 

 

《美姫...》

 

「ごめんなさい」

 

「よろしいですか?«цпкпошп»を糧に«цпкпошп»を発動し、2枚ドローしますよ」

 

 

よく見るドロー効果と、サフィラとの別れが済んだ

未だオキナは手札に10枚ものカードを残しており、モンスターを失った黒川は依然警戒を強めなければならない

 

 

「«цпкпошп»を発動します」

 

「今度は...えっ」

 

 

次に黒川は予測したのは攻撃力を上げる効果

記憶が確かなら戦闘破壊後にサーチ効果も含んでいたが、どうやらそれではないようだ

 

エンドフェイズにサーチを行うカードは恐らく初めに発動された。シンプルなサーチ効果も、除外から回収する効果も見た。ドローも目新しい

苦しめられてきた対象に取らない除外もだ

 

だが唐突に発動された1枚はそれらとは一線を画すもの

恐らくテーマに依存しないカードなのだろう

 

 

「墓地の«цпкпошп»5枚を除外し、«цпкпошп»を融合召喚します」

 

「ゆ...融合!?」

 

「えぇ、終わらせましょう。この日の元を我らに!«цпкпошп»を融合召喚!」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「«цпкпошп»の効果です。貴女のフィールドのカード全てを破壊します!」

 

「全部...くっ、墓地の[サグサ]の効果を発動!このターン[ヤマト]は1度だけ破壊されないわ!」

 

「では他を頂きましょう」

 

 

フィールド魔法、[キャンドール]のみが破壊されるため、表面上ではあまり被害は無い

だが問題は相手フィールドに存在している攻撃可能なモンスター達

 

果たして[ヤマト]だけで耐えきる事が出来るだろうか

 

 

「«цпкпошп»を対象に«цпкпошп»を発動。攻撃力を上げ、さらに«цпкпошп»を提示して«цпкпошп»。同じ効果を適用します....おっと、忘れる前に«цпкпошп»を発動し、貴女の墓地にあるそのお方を除外しましょう」

 

「やっぱりバレてるわよね」

 

 

オキナが除外したのは[超電磁タートル]

前のターンで[サフィラ]の効果で捨てた1枚であるが、墓地は公開情報のため出番無く散ってしまった

 

これにより守る手段は1つ失われた

中でも強力な1枚のため、悔やまれるが仕方も無かった

 

 

「ではバトルに、«цпкпошп»で[ヤマト]に攻撃します」

 

「使うしかないわ、墓地の[ツムガリ]の効果を発動!攻撃力を上げるわ!」

 

 

[武神-ヤマト] ATK 1800→4300

 

 

「返り討ちよ!」

 

「必要経費でしょう...ぐ!」

 

 

オキナ LP 2700→2250

 

 

[ムラクモ]のデメリットと、先のターンに発動された永続罠により与えるダメージは4分の1となってしまった

 

だが今回は戦闘ダメージよりも、モンスターの破壊もとい守るための迎撃のためさほど問題にはならない

 

 

「ですがまだ攻撃可能なモンスターはあります、«цпкпошп»で[ヤマト]に攻撃です」

 

「...温存は出来ないわね、手札の[オネスト]の効果を発動!攻撃力、また貰うわよ!」

 

「ありましたか...甘んじて受けましょう...っ!」

 

 

[武神-ヤマト] ATK1800→4500

 

オキナ LP 2250→1350

 

 

「さぁ、もう無いでしょ?」

 

 

[オネスト]の効果はターン終了時まで残存する

そのためその戦闘だけでなく、相手ターンなら残りの攻撃にもその高い攻撃力を維持し迎撃の構えにも繋がる

 

そのためまだ残るあの融合モンスターの攻撃も抑制出来ると考えた

だがそれは«цпкпошп»により攻撃力が分からない故の憶測だった

 

 

「«цпкпошп»で[ヤマト]に攻撃します」

 

「攻撃?[ヤマト]を上回るっていうの!」

 

「えぇ、ですが攻撃宣言時にセットしていた«цпкпошп»を発動。魔法使い族の攻撃宣言時にお互いのデッキから攻撃力2000以下の魔法使い族を特殊召喚出来ますよ」

 

 

攻撃宣言時という発動タイミングを満たすための攻撃だろうか

そして効果はお互いに影響するらしい

 

 

「じゃあ...私はデッキから[Emトリック・クラウン]を特殊召喚するわ」

 

「おや、採用していましたか。では私は«цпкпошп»を特殊召喚します」

 

 

[Emトリック・クラウン] ATK 1600

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「攻撃を続行します。«цпкпошп»で、[ヤマト]に攻撃です」

 

「やっぱり攻撃するのね...」

 

「ダメージステップに手札を1枚捨て、«цпкпошп»を発動します。このターンお互いが受ける戦闘ダメージは倍となります」

 

「なにそれ...自分は半分だけ受けておいて与える時だけ倍...ずるいわね」

 

「ほほ...手厳しいですな」

 

 

与えるダメージの倍化とはいえ、攻撃力の差は戦闘を経ると分かる事だ

来るダメージステップに突入すると、その差が垣間見えた

 

4000の大台に乗った[ヤマト]でも適わない数値だった

 

 

黒川 LP 8000→4000

 

 

「きゃぁっ.....4000の2で...攻撃力4500ですって...っ!」

 

「私の切り札とでも言いましょうか、«цпкпошп»2枚の効果によりデッキから2枚の«цпкпошп»を手札に引き入れます」

 

 

戦闘ダメージは4000。速攻魔法により倍化しているため、攻撃力の差は2000。さらに攻撃力が2000アップしていたため、元の攻撃力は4500と逆算できた

 

 

オキナの執拗な攻撃はあの融合モンスターの存在が関係していたようだ

墓地や手札を上手く利用したパンプアップもあの大型なモンスターの前では意味も無い

 

高い攻撃力で上から殴る

実にシンプルなプレイだが、トリッキーな動きを見てきたからか念頭からは消えうせていたようだ

実に多彩なスタイルを持つ決闘者(デュエリスト)

オキナの評価はやはり上がっていた

 

 

「では«цпкпошп»で[トリック・クラウン]に攻撃します」

 

「くっ...っ!」

 

 

黒川 LP 6000→5200

 

 

「墓地に送られた[トリック・クラウン]は蘇生させるわ...んっ!」

 

 

黒川 LP 5200→4200

 

[Emトリック・クラウン] DEF 0

 

 

「ではカードを4枚セットします。エンドフェイズに«цпкпошп»の効果により、デッキから8枚の«цпкпошп»を手札に引き入れ、«цпкпошп»を特殊召喚します」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「...除外はしないのかしら」

 

「えぇ、そのまま手札制限により6枚のカードを捨て、ターンを終えます」

 

 

オキナ 手札:6 LP 1350

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / «цпкпошп»

 

     / リバース4枚

 

フィールド/ «цпкпошп»

 

 

「私のターン...」

 

 

3枚目の手札を手にするが、フィールドには力を失った[トリック・クラウン]のみ

 

対してオキナは魔法・罠ゾーンを5枚のカードで埋めており、手札は制限一杯ある

あの高い攻撃力を持つモンスターも健在であり、例の対象に取らない除外もほぼ間違いなくある

 

そして黒川が破壊した永続魔法が無くなった事により、オキナもルール通りの手札を残してターンを返した

やはりあの永続魔法が手札制限のルールに干渉していたようだ

 

 

《美姫、恐らくモンスターの方にも何かありますよ》

 

「...やっぱりそうかしら」

 

 

今まで見えなかった動きから、フィールドに残ったモンスター達も今までになかった効果を持つ可能性がある

 

あの大量のサーチはモンスターの特殊召喚までが効果だが、その特殊召喚したモンスターがまたサーチを行うのがよく見える動きだ

だが今回は特殊召喚までで止めた

 

という事は残しおいて強みのあるモンスターだろう

効果が未知数のため、三体のモンスター全てに何かしらの妨害効果があると見て警戒すべきだろう

 

 

《美姫》

 

「...ん?」

 

 

どう動くべきか

それに集中し過ぎたのか黒川は腰にあった端末の振動に気が付かなかった

 

オキナを一瞥すると、彼は無言で手を差し出してきた

通信に出ろという事か

甘んじて黒川はそれを耳にあてがうと、聞いたことのない声が耳に響いた

 

 

《合図と同時にディスクを更新しろ》

 

「...えっ?」

 

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

ーーー

ーー

 

 

«цпテッпоジпン ATK ?45??

 

 

ぶっちゃけどうですか?

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