遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
22ちゃいになりました
《
秋天堂の報告だった
これは日本にある
ある者は敵の精鋭の減少へ喜び
ある者は激励と受け取った
だが、2名のプロはその報告など耳に入っていなかった。
ーーー
ーー
ー
◐南通り
LP 1200→0
山本LOSE
「ぐぅっ...」
「おやっ、ガンリさんでも負けるんだね」
ーーー
ーー
ー
◐メインコンピューター室
LP 8000→4000→1000→0
須藤LOSE
「そんな...馬鹿な...ぐぅっ.....」
「...」
ーーー
ーー
ー
◑日本-
「...との事です」
「ふむ」
日月戦争も中盤に差し掛かる頃か
敵の幹部は未だ5名残り、且つ蛭谷の報告では彼の妹までも敵の戦士として立ち塞がったとあった
対してこちらの戦闘可能な専属プロは近藤虎徹のみ
そしてその彼も医療班の護衛として離れられない。最早
信頼していない訳では無い
だが、まだ若い彼らには荷が重すぎる
「...例のあれは出来たのかね?」
「もう少しかと...」
安山が考える切り札
それを今の今まで使用してこなかったのは、出し惜しみしていた訳ではなく、単にまだ運用不可能のためだった
これに関しては部下に急がせるしかない
その他に何が出来るだろうか
《ザザ...ッ!安山さん!東野です!》
「何かあったのか」
プロが次々に倒れ行くためか、自然と通信を送ってくるのは学生らの役目となっていた
今回は増援として送った聖帝の東野からだ
確か負傷した生徒らを医療班の元へ送り、そのまま襲撃に対応していたはずだ
その後
安山はそんな淡い期待を胸に東野からの報告をまった
ーーー
ーー
ー
◐月下-医療班駐屯地
「襲撃してきた部隊は倒しました...けど」
《けど、なんだね?》
医療班の駐屯地
そこには東野や古賀、唯一残ったプロの近藤らを初めとした
辺りには物言わない黒服の山
奇しくも精鋭が集った
だが、問題はまだある
それは加勢にきた
端末を片手に東野はその
「どうぞ、老輩の事など気にせず上司様へのご報告を優先してください」
「...どうやら医療班を襲ったのはガルナファルナの部隊だったようです。偶然居合わせた
「
「.....
《
東野の言う通り、医療班を襲撃した黒服の集団はガルナファルナの部隊。オキナが現れるまで
つまり
そして
故にガルナファルナの撃退にさほど支障は生じなかった。現に今も尚オキナは落ち着いて東野の報告を待っている
「オキナ...さん、どうして
「我々のボスの指示、とだけ申しておきます」
「んなもん、どーでもいいわ」
オキナの言葉の裏
今にもアンカーを射出しかねない程に闘士を感じる
そして東野が何か異議を唱えるよりも早く声を高らかに叫んだ
「あのジジィは結局俺らの味方じゃねーんだ。ガルナファルナ蹴散らした後は俺らに袋叩きになってもらうけど文句ねーよな!?」
「ほほほ...好戦的な方だ」
やはりあの男は味方では無い
現に一次日食にも参加しており、日月戦争でも黒川と鬼禅と戦い勝利している
戦うことは避けられない
だが圧倒的に
「構いませんよ、私のお相手をしてくださる方は前へ」
「俺だっつーの!いいよな、お前ら!」
一樹がアンカーを射出しようとしたその刹那
その場にいた全ての人間が背中に悪寒を感じとった。殺意のような、言葉に表せないような何か。違和感と言ってしまえばそこまでだが、底知れぬ何かが背後に現れた
オキナでさえそうだった
余力を見せてきた彼もまた正体不明のそれに意識を奪われ、凡その発生位置に目を奪われてしまう
その視線の先は医療班のトラックだった
そして理解した。正体不明の存在感とは、その場の誰もが知る人間の者だった
「何よ、皆して見てくるなんて」
「く、黒川さん!?」
先にオキナとの戦闘で敗北を期した黒川
あれだけ疲弊していたのが嘘のように立ち振る舞い、落ち着いた足取りでトラックから降りる
ここまで運んできた西条と草薙は特に彼女の様態を案じていた。
それも何故か回復している
こんな短時間でここまでの回復が可能なのか、それが気になるのは
「き、君。その、体はもう平気なのかい?」
「えぇ、絶好調よ」
「...ほう」
医療班の護衛を担う近藤としては、彼女の再起と参戦を止めるのも彼の役目。
負傷者として運ばれてきたその瞬間から彼にとって彼女は守るべき対象
数分前までとてもじゃないが立って歩けない程に疲弊していた彼女が今は真っ直ぐオキナの方へ歩んでいる
本当に大丈夫なのか、彼には判断する必要があった
だが、トラックから覗く2人の精霊が視界に入ると、それが杞憂であることを悟った
大神に宿るイデアとエイドスが近藤に向かって親指を立てていた
「...そうか、君も希望だったんだね」
「希望?それは村上君の...あぁ、そうね」
「おいおい、ちょっとまてよ」
精霊について理解のある近藤と黒川間でのみ伝わる会話に痺れを切らしたのか、それとも自らの相手が奪われかねないと考えたのか一樹が黒川の肩を掴んで静止した
彼女の復活に驚きこそしたが、やはり
「もう平気なら構わねーがよ、あのジジィは俺がやるんだ。あんたは雑魚でリハビリでもしてろよ」
「お気遣いありがとう。でも私がやるわ。これは私の因縁でもあるの」
「そんな思念まぜんなよ、俺がやる。いいな?」
「お願い、私に譲って」
「おいおいおい。無茶言うんじゃねーよ。なぁ、虎徹さんよ?俺がやった方がいいよな!」
よくもまあ敵の目の前で揉めていられる
近藤の率直な感想はそれだった
依然として
それに一樹自身が近藤に一任するかのように問うている。丁度いい
「黒川さん、君が行くんだ」
「...ありがとう」
「はぁ!?俺の方がいいだろ!なんで病み上がりに任せんだよ!」
「君は多勢向きだ。本来であれば護衛として大通りで戦っているはずの身なんだ。ここは彼女に任せて君は北に戻って欲しい」
一樹を諭すのにさほど時間はかからなかった
彼の分と、役目。適正についてを教授すれば彼自身も納得せざるを得なかった
やがて古賀や東野も一緒になり説得すれば、不承不承とだがオキナから一歩下がってくれた
これでいいのだ
「ここは俺と黒川に任せてくれ。残りの皆は北に戻って加勢してくれ!」
「「は、はい!」」
医療班と大神と鬼禅。そして近藤と黒川とオキナを残し、若き精鋭達は再び戦場へと足を急がせた
その間もオキナは何もせず黙って見ていた
まるで邪魔をする事など念頭にない様子で、ただ再び相手となる黒川を捉えたまま動こうとしない
古賀や一樹達が去った後
近藤は
「...君、”何時から”だ?」
「よく分からないのよ。大神さんが何かしてたのは分かるけど...」
歯切れの悪く語りながら黒川は上をみあげた
彼女自身何故自分が再び戦える体になったのか詳しく理解出来ていないが、何となくでなら分かっていた
それは”彼女”の力なのだと
気がついた時には見えていたそれだ
《美姫、心配しないで。貴女の
「...気がついたら”彼女”が見えていたの。近藤さん、貴方にも見えるのかしら?」
「いや、俺には見えないが...居るんだろ?君の精霊が」
「えぇ」
一歩後ろから黒川見守るその精霊は、美し竜の姿をしていた。透き通る白のヴェールの様な翼はまるで彼女を守るかのように翻り、金色のパーツが白に映えて美しい
黒川自身人目見てなんの精霊なのか直ぐに理解できるそれだった。馴染みも縁もある、連れ添ってきたパートナーのような存在だった
近藤にはみえていないようだが、黒川は口に出すよりも早くオキナが答えた
「[竜姫神サフィラ]...いやはやなんと美しい」
「...貴方には見えるの?」
「えぇ」
オキナは黒川とサフィラと交互に視線を合わせると、左目のモノクルを外し丁寧に磨き始めた
既に3度目の対峙ともあり、彼の癖なのだと黒川にも分かっていた
「貴方、いつもそれを磨いてるわね」
「...えぇ」
器用にまた左目に宛てがうと少し考える素振りを見せた。黒川にとっては別になんでもない指摘だったのだが、オキナにとってはなにか語りづらいことのようだ
やがてもう一度それを外すと顕になった左眼を指さし語りだした
「これは義眼です」
「...え?」
「月下に来てから失いました。よく出来ていはいますが、隠すためにこれを愛用しているのです」
「.....執拗に磨いてるのは?」
「見えないのですよ、汚れているかどうかも」
義眼だと言われて観察しても分からなかった
だが、合点のいく所もある
まだ汚れ一つ無い時にも彼は外しては磨くを繰り返していた。それは綺麗好きな訳でもなく、几帳面な訳でも無かった
見えなかったのだ
汚れていても綺麗なままでも左眼に視力は無いためそれが確認出来ない。故に定期的な掃除を挟まなければならなかった
意外な事実ではあるが、それが精霊とどのような関係があるのだろうか。それについては黒川が言葉を失っている間にオキナ自身から答えが来た
「左眼は視力を失いましたが、それ以来見えないものが見えるようになりました」
「それが...精霊というわけ?」
「えぇ...」
その言葉を確かめるためか、サフィラはゆっくりと移動し始めた
トラックの上
近藤の背後
時には天高く舞うが、その全てをオキナの左目は追っていた。
「ふふ...嘘はついておりませんよ。私にはその美しい竜姫が見えております」
《美姫、どうやら彼には見えているようです》
「別に疑ってないわよ...」
「しかし...」
サフィラが再び黒川の背後に位置取ると、またオキナが考える素振りを見せ沈黙しはじめた
彼は既に黒川と二度にわたって戦った
今精霊を宿して三度立ち向かう彼女を見ると、その時から感じていた違和感のようなものの正体も自ずと理解出来た
「先の戦い。貴女は
《えぇ、美姫に自覚は無かったけれど私はずっとそばにいた》
「そう、なのね...」
黒川自身も思う事があった
他に
それもサフィラのお陰だったという事か
あのトラックにいた大神も疲弊こそしていたが自らの足で立ち行動出来ていた。対して鬼禅は沈黙したきり。
これが精霊の有無による差なのだと
「...お話はここまででいいかしら」
「えぇ、もう充分です」
新たな事実もあった
だが今関係しているのはまた戦える事と、新たな味方を認識出来たという事だけだ
今回は一人じゃない
陰ながら守ってくれていたサフィラがいる
「...いいかい黒川さん、俺は君と君の精霊に賭ける。何かあったら俺が戦う。だから...」
「ありがとう」
近藤の気遣いは杞憂だった
3度目の敗北があってもカバーする。そんな事を言いたかったのだが、今の彼女には必要無い気遣いだった
目を見ればわかった
己のリベンジ以上の何かを潜めた揺るぎない闘士が見える
「...わかった。全力で行ってこい!」
「えぇ!」
《行きましょう》
「迎え撃つまでです」
「「
黒川 LP 8000
オキナLP 8000
ーーー
ーー
ー
◐月下-???
「ボス、今帰ったわ」
「...グラスか」
とある一室
少し疲れた様子のグラスと知樹がいた
どこかへ出ていたのかグラスは帰還の報告と共に現れ、知樹は黙ってそれを聞いていた
すると今度は戦争中にある本部の話に移る
知樹は少し話しにくいような様子でグラスに告げた
「ジャヴィとガンリが敗れた」
「...あの二人が」
「あぁ、だが今はオキナとカムイが大通りに出ている。”ゲスト”もそれぞれ向かっている所だ」
「...ねぇ、本当に兄弟同士をぶつけるの?」
「変更は無い。もう既に相対しているだろう」
メンソールの煙草を弄んでいた知樹だが、それに飽きたのか慣れない手つきでそれに火を灯し、苦しそうに煙を吐き出した
その様子を黙って見ていたグラスだが、彼女が何か言いたげな事は知樹にも分かっていた
まだ灰と化していないそれを押しつぶすと、咳払い一つして新たな命令をくだした
「グラス、ガンリはお前に任せる」
「...そんな勝手な事をしていいの?」
「あぁ、冷たい床で眠ったままなのも見ていられないだろう?」
「...でも」
「行ってこいよ、グラスの姉ちゃん」
室内に他の人間が居ることに驚いたが、声と彼女の呼び方でグラスは直ぐにシッドだと分かった
そのシッド本人は相変わらず気だるそうに煙草を吸っては吐いてを繰り返し、何とか意識を保っている最中だった
「グラスの姉ちゃんの分まで俺が働いてやる。だから愛しのガンリの姉ちゃんの所に行ってやれよ」
「...本当にいいの?」
「俺たちに任せろ」
「.....分かったわ。ありがとう」
「場所は分かるな?」
「えぇ、行ってくるわ」
グラスはディスクを起動させると、迷いなく歩き始めた。彼女とガンリの関係を知っているからか、知樹達がなにかお膳たてをしたようたが、内容は彼らにしかわからなかった
「グラス」
「何かしら?」
「灰田と秋天堂が近くにいるはずだ」
「分かってるわ」
最後に短い会話を経ると、等々グラスはその部屋を後にした。振り返る事も無く、なんの躊躇も無く足早に去った
「二人共倒して、唯一を連れて帰るわ」
ーーーR D Cーーー
ーーー城外ーーー
○医療班駐屯地
→大神忍 (負傷中)
→鬼禅義文(負傷中)
▷黒川美姫(交戦中) ▶︎オキナ(交戦中)
▷近藤虎鉄
→
〇医療班駐屯地→北大通り
▷草薙花音(移動中)
▷西条麗華(移動中)
▷古賀拓郎(移動中)
▷海堂一樹(移動中)
▷東野圭介(移動中)
◐北大通り
→齋藤健太(負傷中) →ジャヴィ(負傷中)
→早乙女哲夫(負傷中) ▶黒服残り16名
▷???(交戦中)
▷皇崇人
▷劉毅透織
▷永夜川文佳
▷
◐南大通り
→山本薫(負傷中) ▶︎カムイ(勝利)
▷南結衣(交戦中) ▶︎黒服残り3名
▷新田優介(交戦中)
▷新妻友奈(交戦中)
▷島崎春磨(交戦中)
ーーー城内ーーー
〇
→秋天堂光(負傷中) →ガンリ(負傷中)
▷灰田光明
〇
▷蛭谷颯人 ▶︎蛭谷楓希
〇メインコンピューター室
→灰田輝元(負傷中)
▷須藤余彦(負傷中)
〇???
▶知樹
▶シッド(喫煙中)
▶グラス(移動中)
◑
▷戦闘可能 : 32名
▷精鋭 : 18名
→負傷中 : 6名
→非戦闘員 : 20名
→消息不明 : 5名
◐
▷戦闘可能 : 46名
▷
→負傷中 : 101名
→捕虜 : 93名
◐ガルナファルナ
▷戦闘可能 : 0名
▷天禍五邪鬼 : 1名
→負傷中 : 30名
→捕虜 : 104名
ぶっちゃけどうですか?
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読みたいからやめて欲しくない
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読みたいけど無くなったら読まない
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普通
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無くてもいい
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読むのが億劫