遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる! 作:v!sion
◐月下-
/ 午前6時
-灰田・秋天堂side-
「「
ガンリ LP 8000
灰田 LP 8000
「私は«цпкпошп»を発動。デッキトップ10枚除外して2枚ドローする。...んで永続魔法«цпкпошп»を発動するよ」
秋天堂との戦いとは異なる永続魔法からの始まり
だがあのカードは秋天堂も
«цпкпошп»と初対面のデッキは情報面で劣ってしまう。だが秋天堂の敗北はそれをカバーするのに充分な情報があった。灰田の側まで秋天堂は寄ると、耳打ちのように告げた
「あれが...[開局]だね、止められないかい?」
「ちょっと無理かも!」
召喚権を使わないため、これを無効に出来ても後の展開を止める事とはならない
だが何かあるならアドは抑えたい。秋天堂はそう考え灰田に手札誘発が無いか確認するが、向こうには出来ないらしい
初期手札は何か
聞いてしまえばガンリにも聞こえるような声で答える危険性もあったので自らの覗くことにした。
灰田の肩に手を掛け灰田の手札を確認すると、1枚だけ手札誘発が存在していた
確かに強力な効果だが、相手が悪い。この
「ん...灰田君!?」
「俺はチェーンして[増殖するG]を発動!」
「.....」
このターン中、相手が特殊召喚に成功する度に強制のドローが課せられる手札誘発
次の自分のターンの為に手札を稼いでおくためにも、相手の展開を抑制する意味もある優秀なカードだが、今回相手が十二獣と分かっている中での発動は些か無謀ともとれた
恐るべきループを作り出すモンスター効果が過ぎる
その危険性を秋天堂が告げるよりも前に[増G]は灰田のディスクに飲み込まれて行ったため、気がつけば処理が終わっていた
「...デッキから«цпкпошп»を特殊」
「俺は1枚ドロー!」
「は、灰田くん!」
嬉嬉としてドローの処理を行う灰田に対し、秋天堂は思わず重い体に鞭打って灰田の肩を揺さぶっていた
「十二獣だよ...ちゃんと対策できるの!?」
「お、落ち着いて秋天堂さん!ちゃんとあるから!」
「...イチャついてんじゃないよ、私は«цпкпошп»をエクシーズ!」
«цпкпошп» DEF ?
「あ、ドロー!」
「好きなだけ引きなよ、私は«цпкпошп»をエクシーズ。効果でデッキから«цпкпошп»を特殊するよ」
「2枚ドロー!」
«цпкпошп» DEF ?
「もう1回効果、今度はデッキから«цпкпошп»を手札に加える。んで«цпкпошп»をエクシーズ」
«цпкпошп» DEF ?
「«цпкпошп»の効果、デッキから«цпкпошп»を特殊、んで«цпкпошп»の効果でデッキから«цпкпошп»を手札に持ってくるよ」
サーチ効果を持つ十二獣
1ターンに2体目が召喚されるのは初めてだ。秋天堂との
「«цпкпошп»をリリースして«цпкпошп»をアドバンス召喚。んで«цпкпошп»の効果で破壊するよ」
「揃ったね...」
「...一応警戒しておくよ、«цпкпошп»を発動。墓地の«цпкпошп»4体を特殊する」
ガンリ LP 8000→4000
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» DEF ?
«цпкпошп» DEF ?
「あれは[ソウル・チャージ]...灰田君、まだ来るよ」
「うん!」
レベルをもうモンスターも召喚権も使用したが、この1枚がさらなる展開を示唆した
「そして«цпкпошп»1体で«цпкпошп»をエクシーズ。効果でORUを使って、墓地の«цпкпошп»のORUにするよ」
「手札が重くなってきた...!」
現在灰田の手札は13枚
ドローする度に手札の確認と位置の整理を経るからか、掌の疲弊について隠すこと無く呟いた
「私は3体の«цпкпошп»でエクシーズ。«цпкпошп»を特殊」
«цпкпошп» ATK ?
「レベル変動をしないで3体エクシーズ...灰田君、気をつけてね」
「秋天堂さん何のモンスターか分かる?」
「...まだなんとも」
「すぐ分かるってば、«цпкпошп»の効果。ORUを3つ取り除いて、«цпкпошп»をエクシーズする」
«цпкпошп» ATK ?
3体素材のエクシーズモンスターと言うだけで特徴的だ。加えてその素材全てを使った効果と、エクストラデッキからの特殊召喚は嫌に個性的
灰田の問いに分からないと答えた秋天堂も、その一連の流れを見れば何のモンスターかすぐに理解できた
使用不可能なはずのそれだが、そもそもの全力の十二獣を使用しているのに対し不必要な見解だとも思えた
秋天堂が苦しめられた以上に厳しいフィールドが生まれそうだと、顔を顰めた
「«цпкпошп»に重ねて«цпкпошп»をエクシーズ。さらに手札から«цпкпошп»を発動。エクストラデッキから«цпкпошп»を特殊。効果で墓地の«цпкпошп»を特殊して、2体の«цпкпошп»でエクシーズ」
«цпкпошп» ATK ?
«цпкпошп» DEF ?
「最後に«цпкпошп»の上に«цпкпошп»を重ねて、«цпкпошп»を発動。墓地の«цпкпошп»を戻して2枚ドロー。んでカードを2枚セットしてエンドフェイズに入るよ」
灰田の手札は19枚。対してガンリは2枚と大きく差が開いた。秋天堂との
通常であれば一瞬の内に終わってしまうフェイズだが、展開の最中に一度アドバンス召喚され、墓地へといった例のモンスターの効果が発動した
「手札の«цпкпошп»を捨てて、墓地の«цпкпошп»の効果、特殊するよ」
«цпкпошп» ATK ?
「ドローするよ!」
「デッキ無くなるまで引きな、墓地に捨てられた«цпкпошп»の効果、今特殊した«цпкпошп»を墓地に送って特殊する」
«цпкпошп» ATK ?
「始まった...」
これが秋天堂が危惧していたコンボだ
これは2体の同名モンスターが互いのコストにより特殊召喚効果を起動し合い、半永久的に特殊召喚のループを続けるコンボ
それだけならば遅延行為だ
だが今は灰田の[増G]が適用されており、灰田はガンリの言う通りデッキが尽きるまでドローを続けなければならない
このまま流れるとガンリのターン中に灰田はドローせざるを得ない状況でドローが不可能となる
言わば0ターンキルが見えているのだ
だが灰田本人が言っていたとおり、彼のデッキにはこれへの脱出方法があった
2体目の«цпкпошп»が特殊召喚をするというこのタイミングでチェーンを重ねると、捨てたモンスターの名前を告げた
「[マンティコア]にチェーンして俺は手札の[屋敷わらし]の効果を発動!墓地に触る効果を無効にするよ!」
2枚目の手札誘発[屋敷わらし]
墓地からの特殊とカードの回収、墓地を除外する効果を無効にする幅広い効果
2体目の«цпкпошп»のコストに切られ、その特殊召喚効果が発動するチェーンブロックに移る前のタイミング。故に今、このカードを発動すればこのループは終焉を迎える
「さらにチェーンして«цпкпошп»。あんたの墓地の[屋敷わらし]を除外してその効果を無効にするよ」
「...あっ、[墓穴の指名者]!?」
「何もないね、墓地の«цпкпошп»を特殊」
しかしその効果が通ればの話だ
灰田の手札誘発が無効化され、22枚目の手札がやってきた
「は...は、灰田君?」
灰田のデッキはぶ厚い
まだ半分ほどデッキは残っているが、このループの前には何れ意味をなさなくなる
まだ何かあるか?
そう願いを込めて秋天堂が灰田の顔を伺うと、彼は秋天堂に笑顔を向けた
安堵しかけたが、彼は笑顔のままこう告げた
「あはは...やべぇ!」
「灰田君...君って子は.....」
ーーー
ーー
ー
◐月下-医療班駐屯地 / 午前6時
東野に戦慄が走っていた
負傷した大神を駐屯地まで背負ってここまで来たはいいが、何故か敵に囲まれている
負傷者や非戦闘員を守るため戦わ無くてはならない事は理解出来た。現に今も尚プロの近藤や他の生徒と共に黒服らと対峙していた
そして南と北、本部とこの駐屯地とで敵の戦力が分かれているからか、この地の黒服は少なく思える
時間の問題だ
あとすこしもすれば敵の殲滅も可能だと思っていた
遠くからエンジン音が聞こえるまでは
「なっ...」
黒塗りの二輪車に乗った黒服の集団
数は30名ほどか
敵の増援か
だが問題は何処からやってきたか、だった。
その集団は明らかに
何も無い地平線の先から現れた。
聞いていた
数時間前に東野は彼らが
「くっ...ここでガルナファルナか」
「チッ...おい拓、気張れよ!」
「一樹こそ!」
ガルナファルナが日月戦争に加わった
東野が危険に感じたのはそれだけではない
白のスーツと頭髪に髭
左目のモノクルを磨きながらこちらに歩を進める姿はまさに強者
東野や古賀達も東の大通りで見た人物
オキナだった
ガルナファルナと同時に
最悪のタイミングだ
「
「どけ、俺がやってやるよ」
「何言ってんの、黒川ちゃんの仇だ。俺がやるよ」
状況を理解しているのか、近藤と東野は1歩下がり、古賀と一樹は我先にと
オキナがアンカーの射程圏内までたどり着いても尚
だが痺れを切らしたのは先に現れた黒服の集団だった
「おい!俺達の相手は誰だ!そこのジジィか?ガキどもか!?」
「さっさと潰して次行くぞ」
「うるせぇ!テメェらこそとっととかかってこいや!」
「か、一樹君!待った!」
東野の中で何かが過ぎった
それについて整理するよりも早く、今にもアンカーを射出しようている一樹を止めるべく彼は声を荒らげていた
その場にいた誰もが東野を見据える
やがて自らの朧気な推測をまとめると、いつの間にか側までやってきていたオキナを睨んだ
オキナは一言も発せず、ディスクも構えない
何の確証も無い、どちらかと言えば願望に近い推測に縋るように東野はオキナに問うた
「...一緒に、戦ってくれますよね?」
「...」
オキナはその一言をトリガーに、自らの
ーーー
ーー
ー
◐月下-
-秋天堂・灰田side-
「あっ...」
秋天堂は思わずその場に座り込んでしまった。自身を助けに参った王子様もとい灰田は、彼自身が投げた[増G]の効果によってターンが回ってくるよりも早く敗北してしまったと喪失感を抱いた
2人がかかっても
強い敗北感と後悔が優り目を付してしまうが、肝心の
恐る恐る顔を上げフィールドに目をやると、ガンリの«цпкпошп»だけが見えた
「...え?」
「やっと[D.D.クロウ]が引けたよ!」
「やっぱりあんのかよ、展開しておいて良かった」
一足先に敗北を噛み締めていた秋天堂を他所に、ガンリと灰田は
あの無限ループから逃げ出すために使用されたのは3枚目の手札誘発[D.D.クロウ]。効果はシンプルに相手の墓地のモンスターの除外。
だがこの効果も通ればの話だ
ガンリは既に展開を終えており、フィールドにモンスターが充分並んでいる
彼女自身が言うとおり準備はできていた
「«цпкпошп»の効果をチェーン。その効果を無効にして破壊する」
「俺もチェーン![無限泡影]!俺の場にカードが無いと手札から打てる罠!その効果をさらに無効にするよ!」
「...チッ」
灰田かやっと引けたというのは[D.D.クロウ]の事では無く、それと[無限泡影]を合わせて手に入れたという事だった
無効効果が見えているかのようなプレイングと、直前ギリギリまでドローを続ける姿に秋天堂は思わず敗北を覚悟したのだが、何とか灰田のデッキは残っている
破天荒な青年だが、«цпкпошп»に屈しない佇まいだ。そこでようやく秋天堂は思い出した
そうだ、彼には«цпкпошп»が通用しないのだと
案の定彼の
ガンリ 手札:0枚 LP 4000
モンスター/ [十二獣 ドランシア] DEF 0
/ [十二獣 ハマーコング] DEF 0
/ [サイバー・ドラゴン・インフィニティ] ATK 2500
/ [フレシアの蟲惑魔] DEF 2500
魔法・罠 / リバース2枚
「そう言えば...«цпкпошп»にならないって言っていたね。でも...だったらどうして3体エクシーズについて僕に聞いたんだい?」
「うん?秋天堂なら«цпкпошп»でも分かるかな?って思って!」
「...あ、相談じゃなくてクイズのつもりだったんだね...」
「うん!俺見えているしね!」
つまり[インフェニティ]はずっと見えていたという事だ。[インフィニティ]を止めるための[無限泡影]は随分序盤には握っていたのだが、[屋敷わらし]は[墓穴の指名者]によって止められてしまっていた
故に[インフィニティ]の無効効果も併せ手札誘発をセットで揃える必要があった
「何それ、あんた«цпкпошп»見えてんの?」
「うん!」
「あっそ、あんたが持ってたんだね。だったら早く言いなよ、私1人«цпкпошп»、«цпкпошп»ってアホみたいじゃん」
ガンリは灰田が«цпкпошп»の中身を見えることに対しそれほど驚きを見せなかった。
だが兎に角ターンが帰ってきた。
そのため随分ドローはしてしまったが、優劣は反転したとも言える
通常ドローと併せ、実に33枚
60枚デッキ故にまだ24枚デッキに残っているとは言え、あまり考えられない手札の量だ
指が疲れるからか握る形で手札を持っている。これ程手札が潤っていればなんでも出来るように感じられるが、戦況はどうなるだろうか
「こんなに手札あるの初めてだなー!」
「灰田君...本当に、頼むよ...」
「うん、任せて!」
何処か心配な秋天堂を他所に、灰田はいつも通りのスタイルを貫いていた
油断しているわけでは無いようだが、やはり何処か不安が拭いきれない
彼の腕は信用しているがこの性格だ
国をかけたこの戦争も、楽しんでいるように見える
だが、それが彼の長所であり、それこそが戦いの鍵を握るのかもしれない。言い聞かせるように秋天堂はそう咀嚼しておいた
「まずは[高等儀式術]を発動!手札の[ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン]を儀式召喚するぜ!」
「ブルーアイズかよ!ダルいな...」
十二獣の天敵とも言える
その性質上、十二獣の攻・守は0になりやすく、[カオス・MAX・ドラゴン]の守備貫通倍ダメージはそれだけでゲームエンドに繋がる効果だ
加えてブルーアイズの高打点と、破壊耐性は1枚ずつ処理しいく十二獣では相性が悪い
無論これ程まで展開しておいてそれを通すわけもなかった。灰田の初手はセットされていた永続罠によって阻まれる
「セットしていた[虚無空間]をチェーン。特殊は許さないよ」
「まじか!」
[高等儀式術]の発動では無く、特殊召喚そのものを封じる永続罠。これにより儀式召喚が失敗しただけでなく、何らかの除去を挟まなければこのターン他の特殊召喚するも叶わなくなる
早速一手おくれてしまった
だがまだ手札は充分にある
「じゃあ...ライフを2000払って[スター・ブラスト]を発動!手札の[白き霊龍]のレベルを4下げる!そして通常召喚!」
[白き霊龍] ATK 2500
「そして効果発動![虚無空間]を除外する!」
「そんなに嫌なの?じゃあ[インフィニティ]をチェーン、その発動を無効にするよ」
「うん!だから通してもらうよ、手札から速攻魔法[禁じられた聖杯]をチェーン!その効果を無効にする!」
「チッ...持ってるのかよ」
[マンティコア]の無限ループの際に引いておいた[禁じられた聖杯]が2度目の[インフィニティ]を止める事に成功した
これにより[白き霊龍]の効果も通り、[虚無空間]の突破が叶い、加えて[インフィニティ]の効果も使わせることに繋がった
まだ妨害効果は飛んでくるだろうが、手札は29枚も残っている。名前だけの登場を避けるのか、次に手にしたカードもまた儀式関係のものだった
「よし、俺は[カオス・フォーム]を発動!」
「また儀式かよ、好きにしな」
「じゃあ手札の[青き眼の乙女]、[青き眼の賢士]、[アレキサンドライドラゴン]、[ギャラクシー・サーペント]をリリースして儀式召喚!えっと、、白竜に宿りし光と闇...今ここにカオスの名を冠して...あ、降臨せよ!儀式召喚!現れろ[ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン]!」
[ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン] ATK 4000
「[カオス・MAX]は効果で破壊されないぜ!」
「っていう効果でしょ。[フレシア]の効果、デッキから[煉獄の落とし穴]を墓地に送ってその効果を使う。その破壊されない効果を無効にして破壊するよ」
「うわ、まじか!」
大きく翼翻し現れたカオスの名を冠するブルーアイズも、まるでメタを貼ったかのような落とし穴にかかると、特性も意味なく墓地へ送られた
自慢の破壊耐性と対象にならない効果も虚しく、ただ[煉獄の落とし穴]の発動条件を満たすだけに終わってしまった
だが大胆に手札を素材にしたにも関わらずまだ手札は23枚。まるで重い手札を消費するために儀式召喚したとも取れる行動だが、余力があるのは事実だ
「次は手札の[青眼の亜白龍]の効果発動!手札の[青眼の白龍]を見せて特殊召喚するよ!」
[青眼の亜白龍] ATK 2500
「[亜白龍]の効果で[ドランシア]...あ、[ハマーコング]しか対象に取れないのか、じゃあ[ハマーコング]を破壊する!」
「いいよ」
«цпкпошп»表記だとつられてしまいそうな[ハマーコング]の永続効果。他の十二獣を対象に取れなくする効果だが、見えていればなんの問題も無いそれだ
加えて灰田には手札が十二分にある
一度[ハマーコング]を除去する程に余裕があるため、[亜白龍]の効果を温存する必要もなかった
「そして[白き霊龍]の効果発動!リリースして手札から[青眼の白龍]を特殊召喚する!」
[青眼の白龍] ATK 3000
「俺はレベル8の[青眼の白龍]と[青眼の亜白龍]でオーバレイ!闇に輝く銀河よ!復讐の鬼神に宿りて俺のしもべとなれ!エクシーズ召喚、現れろ[
[
「うわ、面倒くさいモンスター出したな...」
「何も無いなら効果発動![ドランシア]を攻撃力3000の[銀河眼の光波竜]として奪うよ!」
「...それに[ドランシア]の効果をチェーン。自身を破壊するよ」
召喚成功時に[ドランシア]の効果を発動していれば発動すらさせずに破壊する事ができた
だが召喚成功時の優先権を放棄し、発動にチェーンする形で[ドランシア]の効果で不発に追い込んだのにはその後のデメリットにあった
[銀河眼の光波竜]のコントロール奪取は強力だが、その後自身以外の直接攻撃が不可能となる制約がある
故に[ドランシア]の使用が強いられた以上、その後の攻撃を結果的に抑制できるためチェーンによる発動を選んだのだ
これにより灰田はダイレクトアタックが制限された。だがこれで見えている妨害札が無くなったため、両者の引き際となった
「じゃあ!手札から[覇王門
「今度はペンデュラムかよ」
「うん!俺は4体ペンデュラム召喚するよ!行け、[青き眼の乙女]、[ガード・オブ・フレムベル]、[妖精伝姫-シラユキ]、[伝説の白石]!」
[青き眼の乙女] ATK 0
[ガード・オブ・フレムベル] DEF 2100
[妖精伝姫-シラユキ] ATK 1850
[太古の白石] DEF 0
ペンデュラム召喚が予測された瞬間、ガンリは残る1枚のセットカードの発動を悩んだ
だがそれは刹那の出来事に過ぎず、結局ペンデュラムは許した
「手札の[青き眼の賢士]の効果を[シラユキ]を対象にとって発動![シラユキ]をリリースして、デッキから[青眼の白龍]を特殊召喚する!」
[青眼の白龍] ATK 3000
「んで、次はシンクロ?」
「うん!俺はレベル8の[青眼の白龍]にレベル1の[ガード・オブ・フレムベル]をチューニング!古より伝わりし青き眼の願い、異光の力は新たな龍を呼ぶ!シンクロ召喚!行け[
[
「ふぅん、で?次は融合でもすんの?」
「いや、まだだよ!俺はレベル9の[
「はぁ!?」
レベル9のブルーアイズシンクロモンスターの登場まではガンリも予測していた。だが、召喚されるのは効果耐性を与える[双眼の銀龍]とばかり考えていた
[精霊龍]を召喚したのなら然るべきタイミングで[双眼の銀龍]にチェンジするのか。予想外からまた別の予測をたてようと試みるが、ここでまた想定外の行動をされた
それは[精霊龍]を使った別のシンクロ召喚
合計レベルは10。そんなシンクロモンスターとは、一体なんなのか
「天よ!運命よ!事象の理よ!巡る天輪に乗せ此処に結実せよ!俺のドラゴン!五千年の沈黙を破り、光と共に降臨せよ!シンクロ召喚![天穹覇龍ドラゴアセンション]!」
[天窮覇龍ドラゴアセンション] ATK 0
「チッ...ブルーアイズじゃないのかよ...ドラゴンならなんでもいいわけ?」
「かっこよければね![ドラゴアセンション]の効果発動!シンクロ召喚成功時の手札の枚数×800ポイント攻撃力がアップする!俺の手札は14枚!だから...えっと」
「...灰田君、11200だよ」
「ありがとう!攻撃力は11200だ!」
[天窮覇龍ドラゴアセンション] ATK 0→11200
儀式素材やペンデュラム召喚によりあれだけあった手札は随分消費してきた。
だが、まだ14枚も残っている
故に手札を参照する効果も絶大なものとなり、[増G]を発動した時から思い描いていたエースモンスター[ドラゴアセンション]の攻撃力アップに大きく貢献した
ゲームエンドに繋がる値
このまま攻撃表示の[インフィニティ]に攻撃すれば超過ダメージで残りライフを削りきることができる
ゲームエンドに繋がる値
このまま攻撃表示の[インフィニティ]に攻撃すれば超過ダメージで残りライフを削りきることができる
いつもの灰田ならバトルフェイズに移行していただろう。だが、今回は違う
秋天堂から警告を受けた彼は、その通りに動く。素直で破天荒故のメインフェイズ続行なのだ
「手札から[復活の福音]を発動!墓地の[白き霊龍]を特殊召喚する!」
[白き霊龍] DEF 3000
「効果発動!その最後のセットカードを除外するよ!」
「...チェーン」
それはペンデュラム召喚や儀式召喚の度に発動を悩まされていたカード
除去効果が喉元に突き詰めれた今こそ発動を温存する訳にもいかなくなってしまった
ガンリが表にしたセットカードは秋天堂もよく知る1枚。先程の
「[次元障壁]...シンクロを宣言するよ」
「うわ、まじか!?」
「ド、[ドラゴアセンション]の攻撃力が!?」
[覇王門]がセットされた時点で発動は考えられた。だがガンリは今の今まで温存した事により、驚異的な[ドラゴアセンション]やこれから召喚されるであろうシンクロモンスターを止めることが出来た
結果論だ
ペンデュラムそのものを止めることも可能だったが、灰田が[復活の福音]を握っていたため、結局[ドラゴアセンション]まで辿り着いていたかもしれない
兎に角灰田の[ドラゴアセンション]の効果は無に帰した。攻撃力アップも効果ゆえに、そのステータスは貧弱な物と化した
[天窮覇龍ドラゴアセンション] ATK 11200→0
だが、これが最後の1枚だ
これによりガンリのフィールドには効果を使い終えた[フレシア]と[インフィニティ]のみ
残る灰田の手札13枚により繰り出される展開についてはいよいよ見ている事しか出来なくなった
「灰田君...?」
「大丈夫です!俺はフィールド魔法[光の霊堂]を発動!フィールドの[乙女]を対象にとって効果も使うよ!」
「あぁ、何もないよ」
「じゃあ[乙女]をチェーン!墓地から[青眼の白龍]を特殊召喚して、[霊堂]の効果でデッキから最後の[青眼の白龍]を墓地に送って攻撃力を上げるよ!」
[青き眼の乙女] ATK 0→800
[青眼の白龍] ATK 3000
「俺は手札から[融合]を発動!フィールドの[青眼の白龍]と[白き霊龍]を素材に融合召喚!異能持たざる竜の祖なる者、果ての世においてもその力魅せん。現れろ!その力を大いに奮え![始祖竜ワイアーム]!」
[始祖竜ワイアーム] ATK 2700
「...へぇ、本当に融合モンスターも入ってんだ」
「まあね、でもとっておきはこれだ!」
[融合]に続けて発動した魔法カードは、それをサポートする効果でも、ドラゴンを支える効果でも無かった
通常青眼には採用されないカード
正しく彼のとっておきだった
「[ギャラクシー・クィーズ・ライト]を発動![ワイアーム]を対象に取って、俺のフィールド上のモンスターのレベルを全員同じにする!」
「本当に...なんでそんなのまで...っ!」
レベル1の[青き眼の乙女]とレベル10の[ドラゴアセンション]のレベルが[ワイアーム]のそれと同じ値に変化する
そのレベルは9
普段の灰田のデッキを知らないガンリでも、ここまで見てくれば彼が何を召喚しようとしているか理解出来た
シンクロが止められたのなら融合、エクシーズ。間違った発想では無かった
「俺はレベル9の[青き眼の乙女]、[天窮覇龍ドラゴアセンション]、[始祖竜ワイアーム]でオーバレイ!終わりと始まりを繋ぐ龍よ、偽りの骸を捨て真の力を見せよ!エクシーズ召喚!最強のエクシーズモンスター[No. 92
[No. 92
「墓地の[シラユキ]の効果発動!墓地の[無限泡影]、[禁じられた聖杯]、[屋敷わらし]、[D.D.クロウ]、[増G]、[ギャラクシー・クィーンズ・ライト]と[融合]を除外して特殊召喚!」
[妖精伝姫-シラユキ] ATK 1850
「露骨な除外稼ぎはやめな」
「いやだ、もっと続けるよ![龍の鏡]を発動!墓地の[青眼の白龍]3体と[アレキサンドライドラゴン]と[ギャラクシー・サーペント]を除外して、[F・G・D]を融合召喚!」
[
「さて、仕上げだ!俺は[光波竜]でオーバレイネットワークを再構築![
[
「そして効果発動!ORUを1つ使って、フィールド上のカードを破壊する!俺は俺の[Heart-eartH Dragon]を破壊する!」
「なるほどね...そういう」
見方であるモンスターにより破壊を経た[偽骸神龍]は墓地に身を置くが早く、自らの力によりまたフィールドに返り咲く
攻撃力0はあくまで飾り。本来の力は互いのプレイヤーの除外されたカード枚数により輝き出す
ガンリは灰田によって除外された3枚とコストの10枚
灰田は今取り急いで除外した12枚のカードがある。よって決定した攻撃力は、一度止めを任せようとした[天窮覇龍]のそれよりも高い値となっていた
[No. 92
「...はぁ、やっぱりあんたらムカつく」
「バトルだ![ Heart-eartH Dragon] で[インフィニティ]に攻撃!ハートブレイク・キャノン!!」
直接攻撃出来ない制約など関係ない攻撃力だ
ガンリにカードは無い
ここまでだ
「...ほんと、ムカつく」
«цпкпошп»が効かない
デッキの中身が露呈している
相性が悪い
言い訳は幾らでも思いついたが、ガンリは解せないでいた。自分が嫌いなタイプの人間だからか、何故か秋天堂や灰田を見ていると苛立ちを覚えてしまう
「...」
ソリッドヴィジョンが演出する[Heart-eartH Dragon]の咆哮の先。
あぁ、そうか
本気で心から楽しめるその性格が羨ましくも妬ましいのか
「...チッ」
LP 4000→0
ガンリ LOSE
ーーー
ーー
ー
「や、やったよ!秋天堂さん!」
「...良くやったよ」
何度も怪しい所はあったが、何とか勝利はできた
達成感と緊張からの解放を味わっているのは灰田よりも秋天堂の方なのかもしれない
「本当に...っ!」
「えっ!」
秋天堂は短く告げると、灰田の腕を引いた。そして次の瞬間には灰田は秋天堂の中にいた。両腕で、強く、優しく、勝利を讃えつつも危なげな行いをする灰田を窘めるように抱きしめていた
秋天堂に抱きしめられ浮かび上がったのは恥らい。頬に感じる控えめな胸の感触や、女性らしい香りに包まれて灰田は離してくれと声を荒らげている
だが秋天堂は離すどころか、より一層力を加えた。言葉にはしないでいるが、心配で不安だったのは灰田にも伝わっただろう
「秋天堂さん、ごめん」
「......何に、ついて?」
「不安にさせちゃったのと...」
抵抗も諦め、秋天堂の抱擁を受け入れた灰田が次に発したのは謝罪
1つは勇敢とも無謀とも言える秋天堂への加勢とその戦い。灰田はいつも通りを貫いたつもりでいても、秋天堂にとってはやはり不安だった。
「それと...
「...」
「俺、秋天堂に危険な仕事して欲しくなかった。でも秋天堂さんも同じなんだね...」
「.....グス」
灰田の首元に掛けられた手が震えだしていた。やがて灰田がもう1つの謝罪をした時、彼を抱きしめている秋天堂から嗚咽が漏れだした
「本当に...そうだよぉ...グスッ僕だって聖帝の皆をこんなに戦いに巻き込みたく無かったんだよぉ...」
「...ごめんなさい」
「ヒッグ...だから偉そうな事言って...皆の分まで頑張ろうと思ったのに...僕は負けちゃうし、灰田君は自分から来ちゃうし...グス」
「でも...勝ったよ?」
「だから本当によかったんだよぉ...無事で、無事で本当に良かった...グスッ...ッ!」
「...」
気がつけば秋天堂の頭は灰田の胸にあり、今度は灰田に抱きしめられる形になっていた
せき止められていた感情が爆発したのか、想いをぶつけると秋天堂は声を出して泣き出す。
灰田はもう何も言えなかった。彼女の本音を聞いてしまった以上、自らの気持ちや言い訳など霞んでしまうように思え、口にするだけ恥だと感じた
だから黙っていた
黙って彼女の背中に手をやり、力いっぱい抱きしめた
「...」
その様子を薄れゆく意識の中見つめるガンリ
最早邪魔する事も、罵声を浴びせる事すらも叶わない程に疲弊した彼女もまた黙っている
そして過ぎった
なぜ自分が会って間もないのにあの二人が気に入らないのか
自分には無いものを持っている
守るべきものと愛するもの。どちらもあの二人は持っていたのだ、と。
-R D C-
ーー城外ーー
○医療班駐屯地
→黒川美姫(負傷中) ▶黒服残り25名
→大神忍 (負傷中) ▶︎ガルナファルナ残り30名
→鬼禅義文(負傷中) ▶︎オキナ(交戦中)
▷近藤虎鉄(交戦中)
▷草薙花音(交戦中)
▷西条麗華(交戦中)
▷古賀拓郎(交戦中)
▷海堂一樹(交戦中)
▷東野圭介(交戦中)
→
◐北大通り
→齋藤健太(負傷中) →ジャヴィ(負傷中)
→早乙女哲夫(負傷中) ▶黒服残り22名
▷???(交戦中)
▷皇崇人
▷劉毅透織
▷永夜川文佳
▷
◐南大通り
▷山本薫(交戦中) ▶︎カムイ(交戦中)
▷南結衣(交戦中) ▶︎黒服残り14名
▷新田優介(交戦中)
▷新妻友奈(交戦中)
▷島崎春磨(交戦中)
ーーー城内ーーー
◐
→秋天堂光(負傷中) ▶︎ガンリ(負傷中)
▷灰田光明
〇
▷蛭谷颯人 ▶︎蛭谷楓希
〇メインコンピューター室
→灰田輝元(負傷中) ▶︎シッド
▷須藤余彦(交戦中) ▶楠知樹(交戦中)
◑
▷戦闘可能 : 39名
▷精鋭 : 18名
→負傷中 : 7名
→非戦闘員 : 20名
→消息不明 : 5名
◐
▷戦闘可能 : 61名
▷
→負傷中 : 86名
→捕虜 : 93名
◐ガルナファルナ
▷戦闘可能 : 30名
▷天禍五邪鬼 : 1名
→捕虜 : 104名
ぶっちゃけどうですか?
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普通
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