遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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年明けから少し経ちました
また少しずつ更新できればと思います

〜登場人物〜を大きく書き直しました
と言うのも前の人物紹介を見返しててなんか違うと思ったので。良かったらどうぞ


第百五話 光の妖仙 vs 獣戦士の白Ⅰ

◐月下-失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部 / 午前5時35分

 

 

「「決闘(デュエル)!!」」

ガンリ LP 8000

秋天堂 LP 8000

 

 

「私が先攻ね」

 

「どうぞ」

 

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の中で(フロ-)と邂逅した人物は少ない

慎也、黒川、詩織、大神。そして一次月下潜入任務に参加した一ノ宮達だけだ。そして勝利経験のある者は大神のみ。さらにはその戦闘経験のある誰からも情報が入ってこないのが現状

 

加えてこのガンリと言う(フロ-)に至っては一次日食にも参加していなかったと聞く。故に未知数

だがわざわざ相手してやる必要も無い

 

結局の所須藤らがメインコンピューターさえ抑えてしまえば未だ残っている強敵(フロ-)など無視してこの戦争も終えられる

だが、それは手を抜いていい理由にも、敗北していい理由にもならない

当然勝ちに貪欲さを抱いて敵を見据えているのだ

 

 

「«цпкпошп»を特殊召喚」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「効果で«цпкпошп»を持ってくるよ。んで«цпкпошп»も特殊」

 

「...」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

ガンリが何らかの特殊召喚モンスターをフィールドに送ると、続けて何かサーチ効果とそのモンスターの特殊召喚まで行った

非常にアドの取れた効果だが、ここまで召喚権を使用していないようだ。こちらに与える影響が無いため、全くの推測が立たない

 

 

「2体でエクシーズする。«цпкпошп»をエクシーズ召喚」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「そのまま効果、デッキから«цпкпошп»を特殊」

 

「随分デッキに触るんだね」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

1枚1枚のアクセスはデッキから直接引っ張る事のできる程に広く強い。

加えてエクシーズ召喚という材料を手にした秋天堂は一先ずレベルの統一された、エクシーズ召喚を行うテーマだと仮定した

 

 

「あんた、ホントに真面目だね」

 

「え?」

 

 

必死に頭にある材料を整理していると、あちらから声を掛けてきた

真面目とはなんの事か

無意識に相手のデッキ推測と並行してその言葉の裏を考え始めると、ため息混じりにガンリは付け加えた

 

 

「デッキ」

 

「デッキ...?」

 

「私が何デッキ使うのか考えてんでしょ。エクシーズだとか、特殊召喚できる奴はとか」

 

「それは勿論...早めに分かっておかないと勝てる決闘(デュエル)も勝てないからね」

 

「はぁ...」

 

 

負ける気が無いからか、見当違いの答えだったからかガンリはまたもため息を吐いた

 

そして語り出した

今までのささやかな判断材料など無意味になると言うことを

彼女自身初めから«цпкпошп»など意味無く中身を悟られるのは承知だったようだ

 

 

「これで分かるんだよ。私は«цпкпошп»をエクシーズ召喚」

 

「なんだって...フィールドにはエクシーズモンスターとそのモンスターが特殊召喚したモンスターしか...っ!?」

 

 

ガンリのフィールドに存在するモンスターについて詳しくは分からない

が、少なくともエクシーズモンスターとメインデッキに居たモンスターだということだけは把握済みだ

故にそのモンスター達だけではエクシーズ召喚など不可能だと思われる

 

だが決闘(デュエル)ディスクにはエクストラデッキからモンスターが召喚された示す画面に変わっている

レベルを持たないモンスターを使用したのか

やがて秋天堂はとある事に気がついた

 

フィールドにいるモンスターの数が分かっていない

 

つまり”モンスター1体のみでエクシーズ召喚を行った”という事だ

 

 

「...なるほど、そんな事が出来るテーマなんて”アレ”しか無いって事だね」

 

「ふん、私は«цпкпошп»なんかに向いてないんだよ」

 

 

使用テーマが露呈した所で漸く情報面において秋天堂がアドバンテージを得た

後攻である秋天堂のカードは1枚も見せておらず、いち早く使用テーマが判明した事によりこれからの動きも自ずと色を帯びるものとなるだろう

 

だがそんな事はガンリ自身も決闘(デュエル)を始める前から分かっていた事なのだ

 

 

「さらに«цпкпошп»に重ねて«цпкпошп»をエクシーズ召喚するよ。んで«цпкпошп»の効果、ORUを1個使ってデッキから«цпкпошп»を特殊」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「次、«цпкпошп»に重ねて«цпкпошп»をエクシーズ召喚。効果、デッキから«цпкпошп»を特殊するよ」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「まだ重ねる。«цпкпошп»をエクシーズ召喚して、効果で墓地の«цпкпошп»を特殊する」

 

「...うん」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「最後に«цпкпошп»を重ねてエクシーズ召喚。効果でデッキから«цпкпошп»をサーチしておく。んで、2体の«цпкпошп»で«цпкпошп»をエクシーズ召喚」

 

 

«цпкпошп» DEF ?

 

 

「...あ、最後じゃないじゃん。«цпкпошп»を重ねてエクシーズして、効果で墓地の«цпкпошп»をフィールドの«цпкпошп»のORUにするわ。んじゃ、カードを2枚セットして私はエンド」

 

「これは...」

 

 

ガンリ 手札:3枚 LP 8000

 

モンスター/ «цпкпошп» DEF ?

 

     / «цпкпошп» DEF ?

 

     / «цпкпошп» DEF ?

 

     / «цпкпошп» DEF ?

 

魔法・罠 / リバース2枚

 

 

カードを2枚セットした事により最終手札は3枚。つまりはこれだけ動いておいて手札が減るどころか初期手札の5枚に戻っているもいうこと

 

更にはこのターン通常召喚権を使っていない

わざわざ通常召喚する程のモンスターが居なかったのか、する必要が無かったのかは分からないが、驚異的な余力に思える

 

これだけ見てしまえばプレイヤー誰しもが想像のつくデッキだろうか。秋天堂も例外ではなく、推測が確信に変わっていたのも随分前の事のように感じていた

 

 

「僕のターン...」

 

 

何も見えない

だが大凡の妨害は予想出来ていた

 

秋天堂が注目しているのは蘇生され、墓地のカードをORUととして重ねているエクシーズモンスターと、2体のモンスターを使用して召喚されたエクシーズモンスター。加えて2枚のセットカード。

後者はともかくエクシーズモンスター達の効果は分かっていた。見えずとも、分かっていた

 

 

「まずはメインフェイズ初めに[強欲で金満な壷]を発動するよ。エクストラデッキのカードを3枚か6枚裏側で除外するのがコスト、僕は6枚除外する。何も無ければ除外したカード3枚につき1枚ドローするよ」

 

「ふん、ドローぐらい好きにしな」

 

「じゃあ有難く2枚ドローさせてもらうよ」

 

 

秋天堂の使用テーマは妖仙獣

エクストラデッキどころか特殊召喚すらも行わない事があるデッキだ

 

それを知らないガンリとしては貴重なエクストラデッキを削らせたと考えるか

それとも単に魔法を無効にする手段がないからか、ここは黙って通した

 

そして[強欲で金満な壷]のデメリットにより、このターンこのカード以外のドローが封じられてしまう。

ガンリのように少ない枚数でアドを回復するのは困難となったが、一先ずは手札の増強に成功している

後攻の事もあり手札は7枚からのスタートとなった

 

 

「じゃあ...[妖仙獣の神颪]を発動するよ」

 

「妖仙獣かよ」

 

 

秋天堂の1枚は使用テーマを物語るそれであり、ガンリもまた相手のデッキを把握した

少しだけ硬直したが、何もチェーンが無いことを空いていた手を降る素振りで示すと、秋天堂は処理に移る

 

選んだ効果はスケールの収集

フィールドのペンデュラムゾーン2つともを埋めると、それが完了した

 

 

[妖仙獣 右鎌神柱(ウレンシンチュウ)](5)

 

[妖仙獣 左鎌神柱(サレンシンチュウ)](3)

 

 

「永続魔法[修験の妖社]を発動。これは?」

 

「いいよ」

 

 

いよいよペンデュラム召喚の準備が整い、サポートカードもみせた

だが予想していたように妨害効果は飛んでくる気配を見せない

 

 

「じゃあ...[炎舞-天璣]を発動する」

 

「随分こっちの事伺うんだね、いいよ」

 

 

これもまた通った

妖仙獣である事を提示した今ならサーチ先も相手に分かってしまう。加えて[妖社]も見えているため、召喚ではなくそもそもの[天璣]を無効にするプレイングも充分に考えられた

 

だが乗ってくれない

誘う動きはここまでとなる

ここからは能動的にカードを使うしかないのだ

 

 

「なら[天璣]の効果処理でデッキから[妖仙獣 鎌参太刀]を手札に加えるよ」

 

「あぁ、いいよ」

 

「じゃあ...[妖仙獣 鎌参太刀]を通常召喚」

 

 

[妖仙獣 鎌参太刀] ATK 1500→1600

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター 0→1

 

 

「効果で手札から妖仙獣を通常召喚するけど」

 

「いいよ」

 

「なら[鎌壱太刀]を通常召喚」

 

 

[妖仙獣 鎌壱太刀] ATK 1600→1700

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター 1→2

 

 

「さらに効果を発動するよ」

 

「いいってば」

 

「[鎌弐太刀]を召喚する」

 

 

[妖仙獣 鎌弐太刀] ATK 1800→1900

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター 2→3

 

 

妖仙獣達の通常召喚の連携まで通った

これにより多彩な効果に加え、[修験の妖社]もサーチ効果も発動可能なまでカウンターを貯めることが出来た

 

順調だが恐ろしくもある

残り手札は2枚のため、ここから妨害が挟まれるとなると少し厳しい

 

 

「スケールの[右鎌神柱]の効果を発動するよ。もう片方のペンデュラムゾーンに妖仙獣カードがある時、自身のスケールを11に変更できる、けど」

 

「好きにしなよ」

 

 

これによりレベル4から10までのモンスターがベンデュラム可能となった

[右鎌神柱]のデメリット効果により、妖仙獣以外のモンスターを召喚出来なくはなったが、そこまで苦になるものでは無い

 

 

「じゃあここで[鎌壱太刀]の効果を発動するよ。君のそのモンスターを対象にとって、バウンスしたい」

 

「チェーン」

 

 

秋天堂が対象に取ったのは例の2体素材に召喚されたエクシーズモンスター。今まで警戒してきたそれであり、このバウンス効果が通るのならそれでいい。或いは他の効果が邪魔をするかもしれないが、カード枚数を減らせるのならそれはそれでいい

 

今回は後者だった

発動したのはセットされていたカード

 

 

「«цпкпошп»、あんたの[鎌壱太刀]の効果を無効にする」

 

「やっとカードを使ってくれたね」

 

 

目当てのバウンスこそ通らなかったが、これで予想している妨害カードは2枚

少しだけ気持ち楽になった所で秋天堂は次の行動に移る

 

 

「[修験の妖社]の効果を発動するよ。デッキから[妖仙獣の神颪]を手札に加える」

 

 

一応はチェーンを伺ったが、ガンリは無言で手を差し出しチェーンのない事を示した

案の定と言うべきか、魔法効果は止められる気配を見せない

 

そこで秋天堂が取った行動は、ガンリも予想していなかったものだった

 

 

「じゃあバトル」

 

「は?」

 

「[鎌弐太刀]でダイレクトアタックだよ」

 

 

ガンリ LP 8000→7050

 

 

「[鎌弐太刀]はダメージを半分にする代わりにダイレクトアタック出来るよ」

 

「んっ...もうバトル入んのかよ」

 

「うん。他の妖仙獣が戦闘ダメージを与えた事によって[鎌参太刀]の効果を発動出来るよ。デッキから妖仙獣カードを手札に加えたいんだけど」

 

「あぁ、もういいよいいよ」

 

「じゃあ[大刃禍是《ダイバカゼ》]を手札に加えるね」

 

 

召喚反応系のカードがある事は予想している

ここまでそれを含めた効果が飛んでこなかった事から、秋天堂は思い切ってメインフェイズを放棄しバトルまで移行した

 

奇襲を狙ったのだが上手くいった

だがサーチしたモンスターはエースである[大刃禍是]。そもそもペンデュラム召喚するモンスターが居なかった故のバトル突入だったのかもしれない

 

これで手札は4枚

ガンリほどではないが、消費した分を着々と取り戻している

 

 

「続けて[鎌壱太刀]でそのモンスターに攻撃だ」

 

「なんだよ、見えてんのかよ」

 

 

効果は無効にされたが、攻撃は可能な[鎌壱太刀]に次の命令を与えた秋天堂。

狙いを定めたのは蘇生されたモンスター

 

ガンリは感情を隠さず、攻撃対象にされる事を素直に嫌がる素振りを見せた。簡易的な答え合わせだと秋天堂が咀嚼していると、そのモンスターは効果を発動した

 

 

「«цпкпошп»の効果をチェーン。ORU使ってあんたの[鎌壱太刀]を破壊するよ」

 

「仕方ないね」

 

 

フリーチェーンの破壊効果

対象は取るようだが、単純勝つ使い勝手のいいものだ

 

攻撃モンスターが消滅したため、無論戦闘は発生しない。だがスケールにある[左鎌神柱]のペンデュラム効果を使用すれば妖仙獣の破壊は防げた

 

スケールを失うことを避けたかったのか、それとも初めから効果を使わせるのが目的だったのかは分からない

とにかくガンリの2枚目の効果は誘い出せた

 

 

「じゃあ[鎌参太刀]でそのモンスターに攻撃だよ」

 

「...ムカつくプレイングだね」

 

 

再び同じモンスターを狙うかと思えたが、[鎌参太刀]を向かわせたのは先に[鎌壱太刀]がバウンスを狙った2体素材のエクシーズモンスターだった。

 

ガンリにあの破壊効果を使わせ、1度バウンス効果を宣言したのは真の対象を誤魔化すためだったようだ

 

 

「ダメステに[妖仙獣 辻斬風]の効果を使うよ。[鎌参太刀]の攻撃力を1000ポイントアップさせる」

 

 

[妖仙獣 鎌参太刀] ATK 1600→2600

 

 

「チッ...結局効果使えなかったじゃん」

 

「温存しすぎたんじゃないかな」

 

 

効果力アップのため余分にカードを消費したが、秋天堂が兎に角警戒していたモンスターを仕事をさせる前に突破する事が出来た

 

だがフィールドにはまだ多くカードを残したまま秋天堂の攻撃可能なモンスターは尽きる

 

 

「ここからメイン2だ。ペンデュラム召喚、おいで[大刃禍是]、[閻魔巳裂(ヤマミサキ)]!」

 

 

[魔妖仙獣 大刃禍是] ATK 3000

 

[妖仙獣 閻魔巳裂] ATK 2300

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター0→1

 

 

「2人ともチェーン発動させるよ。チェーン1で[大刃禍是]の効果、僕の[「天璣」]と君のそのモンスター。チェーン2で[閻魔巳裂]の効果で、君のセットカードを破壊するよ!」

 

「チッ」

 

 

そして再び破壊効果を使用していたモンスターを対象に狙った。チェーンを積むことでチェーンによる無効を避けたが、そもそもの効果を無効にする効果に対しては意味をなさないプレイングだ

 

だがその効果は[鎌壱太刀]が代わりに受けている

想定の内の中で上から2、3番目に良い流れだと秋天堂は軽く自負した

 

少しばかり無言で考える素振りを見せていたガンリも、やがてセットカードの発動で返した

 

 

「セットしていた«цпкпошп»をチェーン。手札を1枚捨ててあんたの[大刃禍是]を除外する」

 

「仕方ない...でもバウンスと破壊は通してもらうよ」

 

「...チッ」

 

 

自らの[天璣]も同時にバウンスする事で、次の準備も同時に行った

貴重な[大刃禍是]は攻撃にも参加出来ず、手札に帰還する事も叶わなかったが、必要経費と割り切れるほどには戦えている

 

まずまずの初ターンだ

カードをセットし終えると、少しばかり忙しいエンドフェイズに移行した

 

 

「エンドフェイズに[鎌参太刀]と[鎌弐太刀]、[閻魔巳裂]は効果で手札に戻ってくるよ。これで僕はターンエンド」

 

 

秋天堂 手札:5枚 LP 8000

 

モンスター/ なし

 

魔法・罠 / [修験の妖社] 妖仙カウンター 1

 

     / リバース1枚

 

スケール / [妖仙獣 右鎌神柱](5)

 

     / [妖仙獣 左鎌神柱](3)

 

 

「ドロー」

 

 

ガンリが3枚目のカードを手札に加える

セットカードやそれのコストに使われたため、初ターン程手札は豊富では無い

 

対して秋天堂にはサーチカード2枚を含めた5枚ものカードを握っている。手札こそ全て露呈しているが、未知のセットカードもある

 

一体モンスターを残してしまったが、流れは秋天堂が掴みつつあるのは間違いないだろう

 

 

「墓地の«цпкпошп»の効果発動。除外して墓地の«цпкпошп»5枚をデッキに戻して1枚ドローする」

 

「そんなカードいつの間に...そうか、コストか」

 

 

[大刃禍是]を穿ったカードの効果の中で、ガンリは1枚手札を捨てていた。今発動した効果はそれの墓地効果だろう

あれだけ連続してエクストラデッキを使えば枯渇も早い。戦功で7枚物エクストラデッキのモンスターを使っていたため、このようなリカバリーも用意していて不思議ではない

 

ターン初めの動きとして文句は無い

だからこそ秋天堂はここでカードを発動した

 

 

「チェーンしてセットしていた[次元障壁]を発動するよ。エクシーズを宣言し、君にはこのターンエクシーズモンスターの召喚も効果発動も諦めてもらうよ」

 

「はぁっ!?」

 

 

秋天堂の妖仙獣は[強欲で謙虚な壺]や[命削りの宝札]まで採用されており、[命削り]のデメリット回避のためにセットできるカードを多めに採用していた

 

[次元障壁]もそのうちの一つ

特に1つの召喚方法に特化したデッキにはよく刺さり、過去に融合を多用する詩織を苦しめた事のある1枚だ

 

 

「ふざけんなよ...なんも出来ないじゃん」

 

「負ける訳にはいかないからね」

 

 

ガンリのエクストラデッキにエクシーズモンスター以外のモンスターが存在するか否かは分からない。メインデッキにもどれだけ強力なモンスターが潜んているかも未知であり、確実な蓋とはまだ判断できない

 

だが非常に強力な効果に変わりはない

このターンの存命は約束されたものだ

 

 

「チッ...とりあえず5枚デッキに戻してドローする」

 

 

秋天堂はガンリのエクストラデッキの数を確認した。開始時は15枚だったのは把握済みであり、この処理後は12枚に増えた

 

つまり5枚戻す効果だが、1枚だけメインデッキの方へ戻った事になる

念頭に入れると、束の間の急速に身を置いた

 

 

「ったくよ...もういい、«цпкпошп»を召喚」

 

 

«цпкпошп» ATK ?

 

 

「«цпкпошп»を攻撃表示に変更、んでバトル。攻撃反応系は無いんでしょ«цпкпошп»と«цпкпошп»でダイレクトアタック」

 

「流石にバレてるよね...くっ」

 

 

秋天堂 LP 8000→6400→4800

 

 

5枚ある秋天堂の手札は全て公開済みのものだった。サーチしたものだったり、一度フィールドに召喚されたモンスターだったりと全て露呈している

 

加えて唯一未公開のセットカードも早期に使用済みだった。そのためガンリには他にカードが無い事を容易く見通せた

 

だが要のエクシーズが使えない今ダメージも大した事は無い。やはりエクシーズがメインであり、フィールドのモンスターの攻撃力は1600と合わせて情報を得ることも出来たのだ

 

 

「メイン2、«цпкпошп»。墓地の«цпкпошп»5枚をデッキに戻して2枚ドロー...まったく暇だ。カードを2枚セットしてエンド」

 

「エンドフェイズに[神颪]の効果でスケールの妖仙獣が破壊されるよ」

 

 

ガンリ 手札:2枚 LP 7050

 

モンスター/ «цпкпошп» ATK ?

 

     / «цпкпошп» ATK ?

 

魔法・罠 / リバース2枚

 

 

「僕のターンだ」

 

 

この通常ドローは6枚目の手札となる

ガンリのターンではエクシーズを止めたことにより大きく動きを阻害する事に成功し、秋天堂への妨害効果も恐らく残されたセットカード2枚のみ

 

疑わしいほど順調だ

ガンリのデッキは強力なアクセスとアドの回収が強みだと言うことは先攻の行動で分かっている。つまり一時的とはいえ1枚まで消費した手札ではこのターンどころか次のガンリのターンも満足には動けないと推測できる

 

とはいえ長期戦は秋天堂も望まない

[神颪]があるとはいえスケールにも限りがあるため、優勢の内に勝負を決めたかった

 

 

「[妖仙獣の神颪]を発動。デッキから[右鎌神柱]と[左鎌神柱]をスケールにセットするよ」

 

「あぁいいよ」

 

 

先のターンよりも明らかにカードの枚数は少ないが、一応の警戒は怠らない

あのセットカードが何をトリガーに発動するのか、その効果は何か。案の定と言うべきか沈黙したままのガンリとセットカードは嫌に不気味に感じられる

 

 

「[炎舞-「天璣」]を発動。効果処理でデッキから[鎌壱太刀]を手札に加えるけど」

 

「なんも無いよ」

 

 

秋天堂がどのようなデッキを使用するのか分からなかった先攻とは違い、今は妖仙獣だけでなくどのようなカードが採用されているのかも凡そ把握されているはず。

 

カードの温存に走り発動タイミングを見誤ったのもつい先程の出来事。それでもまだ温存する意味があるのか疑問に思っていると、処理後にガンリは優先権を使用した

 

 

「その処理後に手札の«цпкпошп»を発動しておく」

 

「このタイミングで?」

 

「うん」

 

 

手札誘発

それは明らかだが、発動タイミングも秋天堂への効果も解せないものだった

 

効果は何も無い

加えたカードを破壊する事も、フィールドに何か変化がある訳でも無かった

という事はターン中適用される効果だろう

 

発動タイミングと合わせて考えるとあのカードしかありえない

 

 

「なるほど...なら僕も早くバトルに入ろうかな。[鎌参太刀]を通常召喚!」

 

 

[妖仙獣 鎌参太刀] ATK 1500→1600

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター1→2

 

 

「効果で手札の妖仙獣を召喚するよ」

 

「あぁ」

 

「僕は[鎌壱太刀]を召喚」

 

 

[妖仙獣 鎌壱太刀] ATK 1600→1700

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター 2→3

 

 

「さらに効果で[鎌弐太刀]を召喚!」

 

 

[妖仙獣 鎌弐太刀] ATK 1800→1900

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター 3→4

 

 

「そして、[鎌弐太刀]の効果も発動するよ」

 

「ん?あぁ、なんだっけヤマミサキがいたっけか」

 

 

下級妖仙獣達にある効果は通常召喚するもの。つまりレベル5以上の妖仙獣であればリリースを経てアドバンス召喚を行うことも可能ではある

 

ガンリは既に見えていた[閻魔巳裂]の出現を考えたが、秋天堂は先程引いたばかりの、唯一知られていないカードを手にしていた

 

 

「[鎌弐太刀]をリリースして、[凶旋嵐(マガツセンラン)]をアドバンス召喚!」

 

 

[妖仙獣 凶旋嵐] ATK 2000→2100

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター4→5

 

 

「なんだ、初顔か」

 

「うん、召喚に成功した[凶旋嵐]の効果を発動するよ。デッキから同名以外の妖仙獣を特殊召喚できる。おいで、[妖仙獣 大幽谷響]!」

 

 

[妖仙獣 大幽谷響] ATK ?

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター 5→6

 

 

「さて、一旦バトルに...っ?」

 

 

このフェイズに出来ることはもう残されていない

その考えを肯定する為にも一度フィールドを確認してみると、思わぬ変化が起きていた

 

ガンリの手札が1枚増えている

いつの間にドローしたのだ?何かしらの効果が発動した形跡は無かったはずだ

 

 

「...いつの間にドローを?」

 

「«цпкпошп»の効果」

 

 

秋天堂が相手にドローさせる効果を発動していないのだから«цпкпошп»によるものなのは分かっている

わざわざ多く語る必要もあちらには無いが、情報の隠蔽とは流石«цпкпошп»と言うべきか

 

だが少しだけ思い返してみると直ぐに分かった

[「天璣」]の処理後に何らかの«цпкпошп»を発動していた。

 

 

「まさか...[ドロバ]じゃなくて[増G]...?」

 

「ふん、さぁね」

 

 

ガンリは肯定しなかったが、答え合わせの術は持っている。[修験の妖社]の発動確認画面を開いてみれば良いだけだ

 

秋天堂はあの初動タイミングから[ドロール&ロックバード]が発動されたと推測したが、[妖社]のサーチ効果が発動出来る事と、[大幽谷響]の特殊召喚成功時に手札が増えている事を合わせるとそれは誤りだと分かる

 

単純に何時でも発動できる[増殖するG]だったのだろう。実に卑しいプレイングだが、まだメインフェイズに居る秋天堂にはどうとでもリカバリーがきくだろう

 

 

「なんだ、サーチが出来るならまた変わるね」

 

「あんたが勝手に勘違いしたんだろ」

 

「それもそうか」

 

 

出来る事は増えたが、結局[増G]が適用されているのに変りない。サーチと特殊召喚を行えばドローされる枚数が増えてしまうし、このままバトルに入ってサーチだけするのもダメージが稼げない

 

そしてまだ2枚のセットカードも残っている

すると多少のドローよりも、ここで大きく進軍させるべきと思えてくる

 

 

「...メインは続行だ。[右鎌神柱]の効果を発動!自身のスケールを11に変化する」

 

 

[妖仙獣 右鎌神柱](5)→(11)

 

 

「そして[妖社]の効果を発動。デッキから[大刃禍是]を手札に加えて、僕はペンデュラム召喚を行う!おいで、[大刃禍是]!」

 

 

[魔妖仙獣 大刃禍是] ATK 3000→3100

 

[修験の妖社] 妖仙カウンター 3→4

 

 

「着地時ドロー」

 

「構わないけど僕も[大刃禍是]の効果発動する。君のセットカード2枚を手札に戻してもらうよ!」

 

「チェーンして«цпкпошп»。あんたの[大刃禍是]の攻撃力を半分にしておく」

 

 

自身の[「天璣」]再利用を捨ててまでガンリのセットカードを狙った。[大刃禍是]が攻撃に加われば充分なダメージになると期待したのだろうか

 

だが邪魔なセットカードは除去出来たにしろ肝心のエースモンスターの攻撃力の半分を奪われてしまった

このターンの決着は望めないが、それでも12分に動けるだろうか

 

 

「[鎌壱太刀]の効果を発動する。そのエクシーズモンスターもバウンスするよ」

 

「チッ...」

 

 

これでガンリのフィールドには通常召喚されたモンスター1体のみが残った

当然秋天堂が次に行うのは攻撃

 

5体ものモンスターによる連続攻撃は期待値が高い

 

 

「バトルだ、[大幽谷響]で君のモンスターに攻撃!ダメステに効果を発動、戦闘する相手モンスターと同じ攻撃力になるよ」

 

「チッ..仕方ないね」

 

 

[妖仙獣 大幽谷響] ATK ?→1600

 

 

同じ攻撃力同士の戦いは当然相打ち

自らを犠牲に確実な戦闘破壊が出来る事がこのカードの強みでもあるが、それだけではない

 

戦闘破壊された後の効果も存在する

効果はシンプルにサーチ。是が非でもアドを取りに行く姿勢のモンスターと言えるだろう 

 

 

「戦闘破壊された[大幽谷響]の効果でデッキから[妖仙獣の秘技]を手札に加えるよ」

 

「うざいね、相打ちするは自分はサーチするわとか」

 

「優秀なんだよ、[鎌壱太刀]でダイレクトアタックだ!」

 

「んっ...チィッ!」

 

 

ガンリ LP 7050→5350

 

 

「ここで[鎌弐太刀]の効果発動。デッキから妖仙獣カードをサーチするよ」

 

「チッ!手札の«цпкпошп»の効果、[鎌弐太刀]は破壊する」

 

「無効にしないならサーチはさせてもらうよ。[大幽谷響]を手札に加える」

 

 

またも手札誘発が飛び交った

だがその効果は破壊のみであり目当てのサーチは叶った

 

しかし攻撃モンスターは減ってしまう。[鎌弐太刀]も攻撃に参加していればこのターン中でゲームエンドまで持っていけたが、それを悔やむにはまだ早い

 

 

「[凶旋嵐]でダイレクトアタック、続けて[大刃禍是]もダイレクトアタックだ!」

 

「ぐっ...んん!」

 

 

ガンリ LP 5350→3250→1650

 

 

「メイン2にカードをセット。エンドフェイズに[大刃禍是]、[鎌壱太刀]、を手札に戻してターンエンドだ」

 

 

秋天堂 手札:4枚 LP 4800

 

モンスター/ [妖仙獣 凶旋嵐] ATK 2100

 

魔法・罠 / [修験の妖社] 妖仙カウンター4

 

     / [炎舞-「天璣」]

 

     / リバース1枚

 

スケール / [妖仙獣 右鎌神柱](5)

 

     / [妖仙獣 左鎌神柱](3)

 

 

 

「チィ...ドロー」

 

 

[増G]のドロー効果はあまり発揮できず、このドローを合わせても3枚しか手札は無い

加えて秋天堂のフィールドにはあらゆる発動を無効にするカウンター罠[妖仙獣の秘技]があった

 

手札には攻撃を止める[大幽谷響]や、2枚バウンスを行う[大刃禍是]も存在している。さらにはサーチ分のカウンターが乗った[妖社]も健在

 

明らかに秋天堂の優勢だ

それは彼女自身も自負するほどのもの

 

 

「さぁ、どうする?」

 

「...イライラするよ」

 

 

ガンリは言葉の通り憤りを抱えている。その表情を見れば誰にでもわかる程にだ

煽るつもりはなかったにしろ秋天堂も少しだけ己の言葉を反芻するが、ガンリの怒りをかったのは彼女の言葉では無いらしい

 

この決闘(デュエル)でも無い

1枚のカードをディスクにぶつけると、感情を言葉に表した

 

 

「その正義は勝つみたいな、良い事してれば報われるみたいな、正しい方に光が指すみたいなのが気に食わないんだよ」

 

「...」

 

 

何のことか秋天堂にはさっぱり分からなかった

確かにガンリの言う通り正しい事をしているつもりではいる。負けるつもりも無く、気がつけば目の前の敵に勝つつもりで決闘(デュエル)をしていた

 

そこで初めて己の戦い方が変化している事を知らしめられたのだが、それについて怒りを覚えたわけでは無さそうだ

呆気に取られていると、ガンリのスタンバイフェイズは終わっていたようだ

 

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

-R D C-

 

ーー城外ーー

 

○医療班駐屯地

→黒川美姫(負傷)

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)医療班20名

▷近藤虎鉄(交戦中)  ▶黒服30名

▷草薙花音(交戦中)

▷西条麗華(交戦中)

 

〇北大通り→駐屯地

→大神忍(負傷中)

→鬼禅義文(負傷中)

▷古賀拓郎(移動中)

▷海堂一樹(移動中)

▷東野圭介(移動中)

 

◐北大通り

▷齋藤健太(交戦中)  ▶︎オキナ

▷早乙女哲夫(交戦中) ▶︎ジャヴィ(負傷中)

▷???(交戦中)   ▶︎黒服残り55名

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)部下残り42名 

 

〇南大通り→北大通り

▷皇崇人(移動中)

▷劉毅透織(移動中)

▷永夜川文佳(移動中) 

 

 

ーーー城内ーーー

 

 

◐南大通り

▷山本薫(交戦中)   ▶︎カムイ(交戦中)

▷南結衣(交戦中)   ▶︎黒服残り37名

▷新田優介(交戦中)

▷新妻友奈(交戦中)

▷島崎春磨(交戦中)

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部内通路

秋天堂光(交戦中)   ▶︎ガンリ(交戦中)

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部内通路

▷須藤余彦(移動中)

▷蛭谷颯人(移動中)

▷灰田輝元(移動中)

▷灰田光明(移動中)

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)

▷戦闘可能 : 42名

▷精鋭   : 22名

→負傷中  : 3名

→非戦闘員 : 20名

→消息不明 : 5名 

 

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)

▷戦闘可能 : 122名

(フロ-)    : 6名

→負傷中  : 29名(ジャヴィ含む)

→捕虜   : 93名

 

◐ガルナファルナ

▷戦闘可能  : ???

▷天禍五邪鬼 : 1名

→捕虜    : 104名

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