遊戯王が当たり前?→ならプロデュエリストになる!   作:v!sion

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調整で少し短めです
最近パソコンのDVD読みとむ所がかってに出てくるんですよね。閉めてもすぐててきちゃう..

所で征竜緩和についてどう思います?
[レドックス]はソリティアバーツに成りかねないので難しいかもですけど[タイダル]はそれの入った水精鱗は見たいですねー。[ブラスター]は別に良くないですか?


第九十六話 Grand for the Sun & Moon

◑日本-S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)本部 / 午前3時55分

 

 

「...日月戦争ももう間もなく、か」

 

 

相変わらず忙しない本部の司令室で、安山が虚空に一言戦争開始を示唆する一言を呟いた

 

予定では月下へ向かったS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)が到着するまで1時間を切っている所だ。だがそれだと言うのに現在進行形で幾つかの問題は発生している

 

1つは大神からの報告

これは安山が彼から直接受けている。三次日食についてなのだが、どうやら撃破した(フロ-)が囮だっただけでなく、失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)そのものが囮だったらしい。現在はガルナファルナの捜索に作戦を移行済みのようだが、その後の連絡は未だ無い

 

そして村上慎也との連絡も途絶えた

彼とは定期的に安否の確認を続けていたが、数分前から一切連絡がつかなくなっていた。サポートを任せた大泉に決闘力(デュエルエナジ-)の追跡を命じたのは数秒前の出来事だ

 

 

「...総帥」

 

 

その大泉が携帯するノートパソコンを傍らに安山の元までやってきた。連絡がつかないのならせめて居場所位は知っておきたい。だが大神の表情を見ると良いニュースは聞けそうに無いように思えた

 

 

「希望についてですが...」

 

 

 

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◐月下-失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)本部 / 午前4時

 

 

「...で、そん時社長さんはなんて言ったと思う?」

 

「え、えと..なんでしょう?目の下のクマが酷いから、とかですか?」

 

「おー、分かってきたじゃねぇか。ご名答さん、因みにどこを殴られたかまで分かるか?」

 

「...目ですか」

 

「惜しいな、右頬だ...ん?」

 

「あっ、あの人は...」

 

 

楽しい内容ではないそれで談笑していたシッドと皆木は新たに屋上にやってきたとある人物に注意を持っていかれた。その皆木でさえ知る女性は扉を乱暴に閉めると、皆木の存在に一瞬だけ驚いた様子を見せたが、構わずシッドのパラソルまで歩みよってきた

 

ネクタイこそ外しているが、いつもとは違い上着を纏い、(フロ-)の衣服である純白のスーツををしっかりと着用していた。

その押さえつけられているにも関わらず女性らしさが主張されている。歩く度に振動する程にだ

 

 

「ガンリの姉ちゃんじゃねえか、どうした」

 

「あんたならここに居ると思ってきたんだよ、希望さんが居るとは思わなかったけどねっ」

 

「あの...私いちゃ駄目でしたか...?」

 

「そんな事は言ってないけど、コイツなんかと二人っきりで不安じゃないの?」

 

「性欲なら三徹記録した日に消え失せたんでな」

 

 

ガンリだった

遅めの昼食を共にした以来だが、随分久しくも感じられたる。そして見慣れい彼女の正装も、シッドが言っていた日月戦争と関係するのだろう。どうやら失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)全体でそれに対する準備に忙しいらし

い。シッドが何も言わずに眠気覚ましのコーヒーを用意している所、それが日常茶飯事である事とガンリの目的まで理解出来た

 

睡眠に関する事は皆シッドを頼るのだろうか

 

 

「ほらよ、熱いぜ」

 

「ありがと」

 

 

また新しいマグカップをシッドはガンリに手渡した。一体何人分の物を用意しているのか疑問だが、今度のコーヒーにはハーブやスパイスが入っていないようだ

 

ガンリは慎重に吐息を吹きかけ、液体の熱を調整しようと試みるばかりで中々口に含もうとしない。やっとの思いで一口啜ると、ため息をついてもう一度詩織を見据えた

 

 

「シッドから戦争の事聞いたの」

 

「えっ、あ、はい」

 

「ふぅん...やっと帰れるんだよ、どんな気分?」

 

「それは...」

 

 

既に時刻は4時を回っている

シッドの言う通りならもう間もなく始まってもおかしくない頃、詩織の感情は不安定なままだった

 

何か言わなければ

そう焦る中発言しようと口を開いた瞬間、同じ音が2つ重なって響き出した

失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)幹部2名の懐から聞こえている

 

 

「時間だな」

 

「チッ...悪いね希望さんよ、ボスから収集がかかった」

 

「ボス...楠さんですか?」

 

「そうだよ、いよいよ始まるみたいだ」

 

「バシュの嬢ちゃんもつれてかねーとな。俺は希望の嬢ちゃんを送ってから行くぜ」

 

「分かったよ」

 

 

幹部達全員に収集がかかるとは、いよいよ日本と月下の戦いが始まるのも秒読みに差し掛かるのだろうか

不思議と詩織にも緊張感が走り出す

日本は勝てるのだろうか、自分は無事に帰れるのだろうか。それよりも何故かこのシッド達の事が心配だった

 

誘拐されておいておかしな事だが、ここまでの事をしておいて日本に敗北した時、彼らがどうなってしまうかは他人事ではすませなくなっている

 

自分自身がどちら側の味方なのかも見失い掛けているのだ

 

 

 

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◑聖帝大学-聖皇館 / 午前4時

 

 

「...どうだった」

 

「人がいた形跡も無いっす」

 

 

大神の指示で聖帝構内に潜むガルナファルナを捜索する蛭谷と鬼禅。聖帝の資料やらを多く保管する建物、聖皇館までやってきた彼らだが、人1人見つける事すら出来ないでいた

 

蛭谷も自身と同じように困難を極めていることが分かると、鬼禅は端末に短く告げた

 

 

「こちらA班、資料館...聖皇館だったか?には誰もいなかった」

 

《...こちらB班も同じです》

 

 

藍原が率いるB班も同じ様子らしい

他に敵が潜む場所に心当たりは無いか、すぐ側の聖帝の人間に問い出そうとした瞬間、鬼禅の耳に大神声が聞こえた

 

だが唐突すぎて聴き逃してしまった

 

 

「...ん?なんだ大神さん、もう1回頼む」

 

《...》

 

 

ーーー

ーー

 

 

◑聖帝大学-学園長室

 

 

「やはり学園長室にいた」

 

 

聖帝の学園長室にその学園長がいる

一見おかしな点はないようだが、時と他の人物らが異端に変えていた

 

深夜に黒服を纏う4名の人間

聞かなくても理解できる、ガルナファルナの決闘者(デュエリスト)がそこにいた

案の定と言うべきか、会いたくて仕方のなかった敵だった

 

 

「あぁ、周囲を包囲してくれ...それで、こんな所で何をしているのかね」

 

「なんだ、そんな事と分からずにここに来たわけではないだろ?」

 

 

東野が推測したガルナファルナの目的は聖帝が所有する日本屈指の決闘者(デュエリスト)達のデータ。

大神自身がこの場に来てしまえばそれがある事を肯定しているようなものだが、止めない訳には行かなかった

 

そして結果的に敵と対面する事が叶った。後は今度こそ本命であろうこの少数部隊の殲滅と捕縛を完了すれば、第三次日食は掌握出来たと言えるだろう

 

 

「二代目を初めとした決闘者(デュエリスト)のデータが欲しいのだろう」

 

「ククク...ハーハッハ!」

 

 

1人の男が大声で笑い始めた

その男は深くかぶっていたフードを外すと、大神の方へ素顔を見せた

 

顔立ちは悪くないが、意味不明な文字のタトゥーが掘られた顔だった。暗くてよく分からないが、左目は義眼のようだ。さらには首筋まで伸びる大きな傷まであり、まともな人生を歩んでいるとは思えなかった

 

 

「...後付の余事象体質(アウトフェイト)と言うやつか?」

 

「流石にそこまでは知っているようだな」

 

 

その言葉を合図にしたのか、他の3人の黒服達も同時にフードを外しだした。傷やタトゥーに違いはあれど、誰もが痛々しい顔面をしている

 

 

「黄泉立ちの土産に少し我々の技術について話してやろう」

 

 

まるで自分たちの領土かのように近場のソファにかけると、懐から1本のタバコのようなものを取り出した。辛うじてタバコだと推測できたのはそれを咥え、火を灯したからだ

大神はそれを咎めることなく、使い慣れた部屋から未使用の灰皿を手にすると、その男の前のテーブルに設置する

 

不思議にも男は礼を放つと、まだ燃えはじめたばかりのそれを数回灰皿の上で叩いた

 

 

余事象体質(アウトフェイト)の後付には幾つかの条件がある。決闘力(デュエルエナジ-)や別神経は勿論、血液型も関係する」

 

「...まさか」

 

 

危険な実験だとは思っていたが、LL∵Huna=E-t0S0n(ルナイトサン)の行っている実験とやらは大神達の想像を絶するもののようだ

 

 

「元の余事象体質(アウトフェイト)の持ち主を真の宿体(オリジナル)と呼ぶんだが、そいつの決闘力(デュエルエナジ-)を伝播させたり、別神経を同じように作り替えるのが下っ端でも持ってる後付の余事象体質(アウトフェイト)の正体だ」

 

「...」

 

「そして最近出来たのが真の宿主(オリジナル)”の別神経がある内蔵をそのまま植え付ける技術、移植余事象(アウターフェイト)”だ」

 

 

日本にも存在する技術ではある

ドナーの提供と呼んでいるが、国内では供給が間に合わない事もあり、よくある話ではあるが簡単なことでは無い

 

それも恐らく健康体どうしの移植等モラルが疑われる。元ガルナファルナのジャヴィにも傷やタトゥーのようなものが見られたが、彼もまた手術を経たのだろう

 

 

「ふざけた話だ...そこまでして何故余事象体質(アウトフェイト)を!そもそも他に所有者がいるのなら必要の無い事のはずだろう!」

 

「デッキの適合だけは当人に依存する。優秀な決闘者(デュエリスト)に優秀な余事象体質(アウトフェイト)を託すためには必要だ」

 

「...そんな決闘者(デュエリスト)を用意して何をするつもりなのかと聞いているんだ」

 

 

怒りがこみあげてきて仕方なかった

冷静に考えれば彼らもまた被害者だと言うことも可能なのだが、そんな事で同情など出来るはずもない

 

 

「戦争以外に無いだろう」

 

「日本とか?そもそも日本と戦う理由もないはずだ」

 

「領土拡大、人員確保、技術発展、幾らでもあるだろ?幸い日本はLL∵Huna=E-t0S0n(ルナイトサン)の存在すら知らない様子だったし、色々と都合が良かった、だけだ」

 

「...同じ次元にある月下よりもか?おかしな話だ」

 

 

脱線しているのがお互いわかっている中、傷だらけの男は元の話に戻そうとはしなかった

 

大神が持つ情報がまだ辿り着いていない箇所が多いからのようだ

 

 

「無論月下も落とすつもりだった。そのための内通者もいたし、なんなら既に何度か攻撃もしている」

 

「なんだと...そんな事日本に連絡がいくはずだ」

 

「流石にそこまで話すと夜が明けちまう」

 

 

充分に灰と化したタバコを押しつぶすと、男は立ち上がった。決闘(デュエル)ディスクを構えている

 

唐突な臨戦態勢に大神は驚く事もせず、ただ苛立ちを帯びた目付きで睨むだけだった

 

すると別の男が指を鳴らす

何かと思うと、何かに変化が起こったような気がした

窓越しに外を見ると気の所為では無いことが分かる

 

 

「なんだこれは...」

 

「ほう?見えるのか」

 

 

外な薄緑色の何かに覆われている

それは不規則に歪みをみせ、風が当たった箇所に波紋を作り続けている

 

先程までは何も無かったはずだ

すると懐の端末にも変化が現れた。意味のわからないノイズを放つだけの機械に成り代わっていた

 

 

《ガガッ!お...っ!...ザッ.ん!》

 

「通信が...?」

 

「お仲間に連絡も無駄だ、他の決闘力(デュエルエナジ-)の侵入を拒む移植余事象(アウターフェイト)、”条件反射(リアクトネイバー)”によってこの場は隔離されている」

 

 

人差し指を右目に

親指を耳に

中指を鼻の頭に当てながら男は続けた

 

別神経の箇所を指しているのは目に見えてわかる

 

 

「俺は3つの移植余事象(アウターフェイト)を持つ、ガルナファルナの突起戦力”天禍五邪鬼(てんかのいつき)”の1人、”D∵At=O-llhuGa(ディエイトゼロオルガ)”だ」

 

「....私は、嫌名乗る必要も無さそうだ」

 

 

顔を覆うようなポーズを解くと、右手を勿体ぶりながら降ろした

嫌に笑っている

 

ガルナファルナの中にまた別の部隊がある事は分かったが、いまいちその程度は計り知れない

だがまだ何か話そうとしているのは口の動きから分かった。外を眺めながらだが、男は口を開いた

 

 

「外で失彩の道化団(モノクロ・アクタ-ズ)の連中が何やら企んでいたようだが...我々の目的はS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)突起戦力、貴様の洗脳だ...悪いが今夜の記憶に別れを告げてもらう」

 

「...なるほど、そういう事か」

 

 

四重の囮かと考えていた日食らの作戦は、なんと五重の囮だったようだ

 

ガルナファルナが持つ最大戦力を、日月戦争を利用し戦力を拡散させたS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の幹部にぶつけるのが彼らの真の中のさらなる真の狙い

 

報告で聞いている

自覚すらない記憶操作、通称洗脳の恐ろしさについて

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)関係者に飽き足らず、S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の幹部すらもそれの対象にしているらしい

その為に数多くの黒服達を捕縛したが、戦争を前にして幹部を落とされるのはその本人ですら恐ろしいものだ

 

些か過大評価されてはいないか、自称に近い笑みを大神は浮かべていた

 

「随分とお喋りだとは思っていたがそういう事か」

 

 

ペラペラと身内の情報を話していたのも時間稼ぎ。どうせ記憶を操作するのになんのデメリットも無いそれに大神は最早感動すらしていたかもしれない

 

そして状況は最悪

突起戦力4名に対しこちらは大神1人

情報を伝える事も増援も望めない窮地に立たされ、変な笑みを浮かべるのが精一杯だった

 

 

S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の幹部を引っ張り出すのに苦労したが、それも今夜で終わりだ。貴様には色々と仕事してもらうから覚悟しな」

 

「それは...」

 

 

大神もディスクを構えた

逃亡が許されないのだから仕方の無い事だ

 

だが、彼もまたS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)の、日本を背負う決闘者(デュエリスト)だった

 

凛とした姿勢は、敗北に臆するそれと重なり会うはずのないそれだった

 

 

「その覚悟は敗北した後で済ませるとしよう」

 

「強がっていられるのも今のうちだ」

 

 

天禍五邪鬼(てんかのいつき)の1人と退治する大神

 

自身の敗北がS・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)へどんな影響を与えるのかは未知数だ。少なくとも良い未来は無いだろう。

 

自身の運営する大学に通う未来ある学生達を敵地へ送ったばかりの自分に、その若者達の足を引っ張るような事は決して出来ない

 

大人のプライドなんかでは無い

彼ら希望に輝く決闘者(デュエリスト)達が自身と同じよう戦士だと理解しているからこそ足枷になる事を拒んでいるのだ

 

 

「...こっちは任せてもらおう、か」

 

 

最近約口にする台詞だ

自ら任を背負う姿勢に相応しい言葉なのかもしれない

 

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

◑日本-八皇地駅周辺 / 午前4時

 

 

「ここのようですね」

 

「...」

 

 

若いスーツ姿の男性3名を引連れて、夜の街並みを化野が闊歩していた

目的地はつい最近出来たばかりのカードショップ。ディスクの修理も受け持つ店舗らしいが、規模はささやかなものだった

 

目的は何故か«цпкпошп»が通用しない決闘(デュエル)ディスクの確認。灰田がそれと引き換えに渡した彼自身の決闘(デュエル)ディスクも回収できれば御の字だ

 

無論礼状のようなものはない

時刻も時刻のためアポイントメント等とる時間もなく、無断で侵入を命令されたのも数分前の事

 

日本の未来がかかった非常時にモラルなど気にしてはいられなかった。化野が無言で何かを支持すると、若い男が裏口へ走り出した

 

 

......

まもなくして透明なドアの無効にその男の姿が見えた

どんな方法で店内に侵入したかは割愛するが、兎に角S・D・T(スペシャル・デュエリスト・チ-ム)は招かれていないその場所へ難なく入り込むことに成功した

 

 

「一応人がいるか確認しろ、後は倉庫から順に探せ」

 

「「「はい」」」

 

 

流石の化野もここでの喫煙は遠慮するようだ。出しかけた煙草に舌打ちを浴びせると、そのまま乱暴にコートのポケットの中へ沈めた

 

部下の報告を待ちながら店内を探してみるが、化野も決闘(デュエル)ディスクそのものが見つかるとは思ってはいない

 

既に4日経過しているため、何処他の工場等へ発送されていると見ている。今回は何処へ送られたのか、あるいはその代替え機の仕組みが掴めればいいと赴いていた

 

 

「化野さん!」

 

「声を落とせ」

 

 

返事では無く知ったで返すが、呼ばれた方へ足を向けた。暗い店内を進むと、事務室のような空間に化野を呼ぶ声の持ち主がいた

 

何を焦っていたのか直ぐにわかった

店舗の事務室にしてはものが無さすぎるのだ

改装後一切手をつけていないと思えるほどすっきりとした空間だった

 

 

「デスクすらねぇじゃねぇか」

 

「ここに決闘(デュエル)ディスクが一台だけありました」

 

 

部下が手渡してきたそれを検めると、随分使用感のある決闘(デュエル)ディスクだった

代替え機用のものでは無い。記憶が確かなら2つほど前の型だ

 

 

「...俺はこれを本部に持って帰る。お前らはこの店が本当に営業していたのか調べてから戻れ」

 

「はっ」

 

 

明らかにこの店舗はおかしい

事務室が機能するように見えないだけではなく、カードや備品の在庫も見当たらない。売り場は存在していたが、売上や修理預かりのデータは無い

 

時間が無かった

戦争を直前にして解明する謎よりも新たなそればかりが募っている

 

 

「...面倒な事になるなよ」

 

 

出発する前にもう一度店内を見渡すと、やはり違和感だらけだった

店を開けるというのにショーケースの管理は鍵すら無く杜撰。事務室と売り場を繋ぐ扉に至っては鍵穴すらない

 

この立地を購入した人物すらも当たった方が良さそうだと増えた仕事に苛立ちを覚えながら、化野は闇夜に消えた

 

 

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