以前団子屋のおばちゃんから聞いた酒虫のことをユキに話したらどうしても飲んでみたいとのことなので村を出て酒虫の捜索をしている。
「もうだめです〜疲れました…本当にそんな酒虫なんてのいるんですかぁ〜?もうしんどいですよー」
「お前が酒虫の酒を飲みたいっていうからこうやって4人で探してんだろ文句言うんじゃねぇよ、てかどんな姿想像してんだ?そんな茂みなんて探し続けて」
「え?そりゃぁ虫って言うんだからここにいるかと思って〜」
「ユキお姉ちゃんお兄ちゃんの話聞いてなかったの?」
「時雨さんが話してる時ユキさんはお酒のことで頭がいっぱいだったみたいで聞いてる様子じゃなかったですよ今更言うのもあれですが」
「なるほど酒のことで頭がいっぱいで全く話を聞いてなかったわけだな」
「あはは…すいません、美味しいお酒を想像したらもう話どころじゃなくて」
「まったく…もう一回説明するぞ。酒虫っていっても別に虫なわけじゃないぞなんでも川に生息していて姿は魚の方が近いらしい大きさも3寸程らしい。わかったか〜?」
「わかりましたから早くとりましょうよ!」
「お前のために説明したはずなんだかな・・・まぁいいかどうせなら勝負にでもするか。シンプルに誰が一番採れたかで競うか、賞品は…そうだな酒虫のお酒を1番に飲める権利とかでいいかな?」
「ふふふふふ…負けませんよ〜一番に飲むのは私なんですから!!」
「勝負というならそれなりに頑張りますかね、ユキさんには負けない程に」
「お姉ちゃん達にもまけないよ〜!一番になってほめてもらうんだから!!」
「じゃあ制限時間は・・・まぁ半刻もあればいいだろ。あと人の邪魔は禁止では…始め!」
〜半刻後〜
「えー…結果発表だけど先に突っ込むぞ、ユキはなんで1匹も取れてないんだ?」
「いやそのサボってたわけじゃないんですよ、必死で捕まえようとはしたんですよ!けどそれぽいの見つけて捕まえようとしたら逃げられ続けてこの結果です…」
「酒への執念が強すぎるんだよ、もう少し邪念を消すようにしろよ、相手は生き物なんだからさ気配を悟られないようにしないと逃げられるに決まってるだろ」
「わたしのお酒が〜〜……」
「まぁユキは置いといて一番取れたのは誰だ?おれは7匹だけど」
「私は12匹です」
「私は23匹だよー!」
「お、一番取れたのはこいしかよくそんなに採れたな」
「なんかね〜勝手に酒虫みたいのが近寄ってきて捕まえるのは簡単だったよー!」
「…無意識がはたらいたのか?もし働いてたなら寄ってきたのも納得だな、けどよく採れたなこいし」
「頑張ったでしょ〜!褒めて褒めて〜♪」
こいしが頭を差し出してきたのでいつも通り撫でてやる。悟りが少しうらめしそうに見ていたが気にしない気にしない。ほんとこいしは甘え上手だなー。
「とりあえず小さい奴は返しとこうか、そんなに量いてもしょうがないしな」
「そうですね、それとユキさんどうします?さっきから酒…酒…って呟いてますけど」
「後でフォロー入れとくよ。とりあえず酒虫を移し変えようか」
さとりとこいしと協力してあらかじめ用意していた入れ物1つ1つに酒虫を移していく。酒虫が水を酒に変えるのに1日近くかかるそうなので気長に待つつもりだ。ユキには昔神奈子につくり方を教わっておいた秘蔵の御神酒を与えとくとしようかな。
とりあえず野宿するために良さげな場所を探すことにしたが少し飛んで周りを見渡してみる。すると近くに村があるのが確認できた。今日は野宿しなくても済むかなと思いつつさとりたちに報告に戻った。
「おーいさとりーこいしー近くに村があるのが見えたから行こうぜ」
「ならお布団で寝れるかもですね」
「わぁーい!お布団で寝れるー!」
「最近は冷えるようになってきたからな妖怪がいくら丈夫だからといって油断はいかんからな。早速向かうか、ユキー行くぞーそんなに拗ねんなよ」
「拗ねてませんー、全然全く一切きにしてませんーだ」
「・・・気にしてるなあれ」
「ですね、時雨さんあとでフォロー頼みますね」
「りょーかい」
なんだかんだいいつつも村が見えた方に向かうが、何かおかしな雰囲気を感じていた。村についてそのおかしな雰囲気についてすぐわかった、村人の気配は感じるが誰も外に出ていない。それどころか妖力が漂っていた。
「この村…なにかおかしいぞ」
「ですね、妖力の漂いようといい多分妖怪が近くにいますよ」
「はぁ…その妖怪捕まえるか、さっさと宿で休みたいだろう?」
「どうやら複数いそうですね、ここは2人組作って効率よくやりますか」
「よし、こいしー行くぞーさとりはユキについて行ってくれ」
「あ、はいわかりました気をつけて」
俺たちは二手に別れ妖怪を探し出すことにした。その妖怪はすぐに見つかった、でかい声で偉そうに人間を脅していたから探す手間が省けた。
「おいあんた何してんだ?」
「あー?んだてめぇ烏天狗様に人間がなにかようかー?」
「なに人を脅してんだって聞いてるんだよ、それぐらいも理解できないのか?」
「は!人間が図に乗ってんじゃねぇ!」
案の定というかいつものパターンだがその天狗?ってのが刀を抜いて襲いかかってきた。見ただけでわかるけど明らかに舐めきってる動きだ俺はこいしを後ろにやり霊力を纏った拳で受けとめてそのまま刀をへし折ってやった。
「ちっ…てめぇ喧嘩うってんのか!」
「喧嘩うってきてんのはそっちだろうが、ほらこの刀身かえすよ」
距離をとったそいつに向かって投げ返してやると運悪く足に刺さってしまった。
「ぐっ……てめぇよくもやりやがったな!」
「あ、悪い悪い投げるとこ悪かったわ」
「お兄ちゃんあの妖怪弱いね〜私でも勝てそう♪」
「危ないからこうゆうのは任せときな、怪我させるわけにはいかないからな」
「じゃあ守ってねお兄ちゃん!頼りにしてるよ♪」
「くそ!小さい子といちゃいちゃじゃなくて烏天狗に喧嘩うったこと後悔しやがるんだな!」
すると声を聞いてかそこに別れていたユキたちも合流してきた………凍りついたそいつのお仲間を担いで
「時雨さんこっちは終わりましたよ、この変なのどうしましょう?」
「おーお疲れさんそれはそこのそいつにでも渡しといてくれ」
「てめぇらこんなことしてただですむと思うなよ!この村ごと滅ぼしてやるわ!首洗って待っとけよ!」
と言い残してお仲間を担いでどっかに飛んで行った。すると村人が続々とでてきてざわつき始めた。
「あんたらとんでもねぇことしてくれたな。この村は終わりだ…天狗様に逆らうなんて大変なことやってくれたな」
「・・・そいつらについて話聞いてもいいかな?できるだけ詳しく。俺たちは各村を転々としながら妖怪退治をしてきている天城時雨だ、こいつらは俺の連れって感じ」
俺たちは村人からいろんな話を聞くことができた、なんでも最近になって烏天狗っのが現れるようになって村の収穫物とかを強制的に奪っていってるらしい。逆らうと死ぬというまではいかないが致命傷を負っている者も多数いるという。とりあえずその怪我を負っている人たちの治療をし宿を借りることができた。
「ユキこの状況聞いてどう思う?」
「サイテーですねその天狗達残らず消し去ってやりたいぐらいです」
「だな、とりあえずそいつらが根城にしている妖怪の山ってのがあるらしいからそこに向かうつもりだ。こっちから殴り込んでやる、ユキ達はこの村を守ってくれ」
「まさか1人で向かうのですか?ちょっと危険じゃないですか」
「いざとなったら山を吹き飛ばしてでも帰ってくるさ。それより俺たちのせいでこの村に迷惑かける形になってんだ、村の人たちを守ってやってくれ」
「むー…わかりました無理だけはしないでくださいよ」
「わかってるよ心配はかけたくないからな、俺に任せとけ!」
次は時雨君が妖怪の山に殴り込みます。一体どうなるんでしょう?
ちなみに凍った天狗はユキが氷月刀でやりましたw