さとり姉妹
旅を始めてから数十日特に人に出会う事や村を見つける事はなくただただ気の向くままに歩いていた。強いて言えば妖怪に襲われた事だけであろうか?まぁ返り討ちにしてやったがな。特に目的もない旅だ、しばらくはこのままでもいいと思っていた。妖怪に襲われる事以外だが。
「にしても妖怪に会えども人間にここまで合わないもんなんだな」
「確かにそうですよね、まぁ気長に旅を続ければいつかは会えるでしょう♪」
ユキと何気ない会話をしているとふと遠くの方で声が聞こえた気がする。
「ユキ今何か聞こえなかったか?多分女の子の声だと思うんだが」
「えぇ確かに聞こえました。ですが妙ですね…微かにですが血の匂いがしてます。もしかしたら誰か襲われているのかもしれませんし行ってみましょう」
正確な位置がつかめなかった為俺たちはとりあえず音のした方向へ進む。すると前方の木の陰に血だらけの2人の少女が倒れ込んでいた。俺たちは急いで駆け寄る周りに他の気配が多数感じる。多分逃げてきてここでたおれたのか?このままじゃ場所的にも危険だな…懐から札を取り出す。
「守り札『障壁の陣』」
この子達の周りを囲うようにわざと見えない壁が展開させる。近くにいるであろうこの子達を襲った奴をおびき出すためだ。
「この子達は…妖怪か?いや今はそんなことどうでもいい。まずいな2人とも息はあるがかなり危険だ。とりあえず傷のひどいピンク色の子からだ!ユキは隣の子の止血を頼む!」
「わかりました!」
異空間にしまっておいた応急キットをユキに渡して俺は能力をフルに使って傷を癒していく。するとみるみるうちに傷が塞がっていく。
「よし次はその子だ!」
同じように能力を使い傷を癒す、この子は服に血がついてる割に傷が少ない。おおよそ隣の子の血だろう。
「よしとりあえずこれで大丈夫だろう、ユキこの子達の服血だらけだし代わりの作るからそれを着させといてくれ」
「はぁーい、時雨さん見ちゃダメですよ?」
俺はユキにチョップをかまして急遽作ったワンピースと血を落とすための拭きものを渡し、血で汚れた服を受け取りとりあえずしまっておいた水を取り出し血を落とす作業に入る。
少年少女作業中・・・
「よし…まぁこれぐらいでいいだろ、そっちもオッケーかー?」
「ばっちしです!ピカピカにしておきましたよ、にしてもこの子達はなんの妖怪でしょうね?」
「さぁな、目が覚めたら本人から聞くことにしようか。それよりさっきからこの付近にいるやつのほうが気になるから見てくるよ。2人のこと頼むぜ」
「わっかりましたー!大丈夫ですよー」
その返事を聞いて俺は障壁の外に出て殺気を頼りに相手の位置を割り出す。
(相手は3人程度か…?しかしこの感じ人間ではなさそうだな。とりあえず話してみてダメならやるしかないか)
気配を消してそいつらに近づいていくすると…大声を出しながら怒っている3体の人間のような獣のような奴らがいた。
「くそ!あいつらどこに逃げやがった!」
「落ち着けよ、血の匂いは続いてるんだから冷静に辿っていけばいいだろ」
「あいつらのせいで人間を喰い損なったんだ、代わりにあいつを喰ってやる…その前に少し遊んでやるけどな」
(物騒な奴らだな…それに人間を食い損なったか、てことはあの子達が人間を助けたってことか、詳しく聞いてみるか?)
「あんたら誰か探しているのか?」
「あ?誰だテメェは?」
「こっちが質問してるんだ答えろよ」
「は、人間が俺たち妖怪に命令か。ちょうどいい腹が減ってんだ腹ごしらえさせてもらうか!」
「やれやれ話しを聞きに来ただけだってのに全くダメだな」
頭を抱えながらも俺は刀を抜くと同時に先頭にいた奴を一瞬で斬り刻む、そいつは声を上げる暇もなく崩れ去る。
「な!一瞬だと⁉︎こいつはやりがいがあるじゃねぇか、嬲り殺しにしてくれるわ!」
「もう一度だけ聞く、誰を探している?」
「答える必要はねぇ!お前は死ぬんだからな!」
全くと言っていいほど話し合いにならない、予想はしていたけどな。
「じゃあ強制的に話ができる状態に持って行きますか!」
「剣技『境界断裂斬』」
俺は残り奴を切りつけていく・・・が血は出ていない。相手は困惑してこちらに向かおうとした瞬間突然倒れ込んだ。
「き、貴様何をしやがった……!」
「お前らの体から妖力を掻き消した、どうだ力が入んないだろ?選ばしてやるさっきのことについて話をするかこのまま消えるか」
「ちっ…なんだよ」
「お前らが襲った子達のことについてだなぜ襲った?同じ妖怪だろ?」
「あいつらは俺たちが人間に化けてるのを見破って襲おうとした人間を助けやがったんだ。だから代わりにあいつらを喰おうと襲った。ただそれだけだ」
「ふ〜ん、ただそんだけの理由か…あとはあの子達に話を聞きますか」
俺はそいつらをとりあえず縛り上げといてあの子達のところに戻ることにした、後ろから解放しろだのなんだの聞こえてくるが無視だ。
「戻ったぞユキ、あの子達は目を覚ましたか?」
「いえまだですよ。今日はこの辺りで野宿しますかね?」
「そうだな、じゃあ飯でも作るか。今日は俺が作るからユキは引き続きその子達を見ていてくれ目を覚ましたら教えてくれな」
「了解でありま〜す!」
とりあえず別空間に保存しておいた食材を取り出す。この空間ってのは便利なもので空間内は時間が止まっているため腐ったり傷んだりする心配がない。諏訪を出るときに大量の野菜と米などを突っ込んでおいたからしばらく尽きることはない。
〜少年調理中・・・
「ユキーできたぞー簡単なものですましたが構わんよな?異論は認めんが」
「お米があるんで構いません!それより時雨さん!ピンクの髪の子が目を覚ましましたよ、逃げようとしたのでつい動けないように縛っちゃいましたが♪」
「おいこら何をしてやがる。全く…じゃあ飯の前に話を聞きますか」
俺がその子のところに向かうとすんごい縛られていた本当こいつは何してやがる。
「ええっと…とりあえずこいつが悪いことをしたすまん、別にこっちに敵意はない」
「そのようですね…私たちを追ってきた者たちも処理してくれたんですね、ありがとうございます」
(俺追っ手のこと言ったけ?)と疑問に思っていると
「あぁ私はさとり妖怪なので相手の考えていることは分かりますので、自分で制御できないんで読みたくもない心まで読んでしまいますが」
「なるほどな、まぁ読まれて困るようなことはないし気にならんな、とりあえず飯にしようぜそっちの子も起こして」
「その前にこれ解いてください」
「あぁわかったわかった、とりあえずユキお前も謝っとけ」
「逃げようとしたからついやってしまいました申し訳ありませんでした」
「悪気がないことはわかってますので気にしないでください、むしろ助けていただいてありがたいと思っていますので」
「改めて自己紹介でもしようか。俺は天城時雨、神様をしてる。」
「私は天城ユキです、私も時雨さんと同じく神さまをしてます。改めてよろしくです」
「私は古明地さとりって言います。さとりって呼び捨てしていただいて構いません、そしてまだ寝ているこの子は私の妹で古明地こいしって言います。また起きたら自己紹介させますね」
「よし、飯でも食いながら何があったか聞かせてくれないか?」
「はい、構いません」
(心を読まれているのに嫌がらない人なんて初めて会ったわね…もっと早くこの人達に会えていればこいしも…)
はい、今回さとり達を登場させました。さとりの口調とかわかんねぇよーーー、もう少し勉強せねば