ARIA 〜cavaliere storia〜   作:ソール

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第七話 三人目の水の三大妖精

「は?水の三大妖精?なんだそれ?」

 

愛人は今、アリシアの依頼通り、ARIAカンパニーの会社で掃除している

本社では晃も来ていた。

 

今回依頼を頼んだ理由は・・・ここにアリシアと晃の友人がやってくるからだ

 

「知らないのか愛人?」

 

「いや、知らねえけど?」

 

水の三大妖精

 

とはプリマからペアも含め、300人以上のウンディーネでいる

その業界の中ではプリマが最上位グループになる

そのプリマの中でもずば抜けても力量がある。

 

その3人の存在が一目置かれている

 

一人目はオレンジプラネット所属

 

二人目は姫屋所属、晃・E・フェラーリ

 

そしてッ最後の三人目はARIAカンパニー所属、アリシア・フローレンス

 

その卓越した能力と実績からアクアの人々は畏敬の念を込めて

 

 

『水の三大妖精』と讃えている

 

 

「つまりここにその『水の三大妖精』の最後の一人でお前の友人がやってくるから、今回依頼を頼んだのか?」

 

「うん、そうなんだけど・・・・理由はそれだけじゃないの?」

 

「は?」

 

「実はその友人があなたに会ってみたいと言って来たの」

 

「は?なんで俺?」

 

「アリスちゃんから聞いて、会ってみたくなったんだって?」

 

「あいつら・・・・本当になんでもかんでも・・・・・」

 

「少しドジな奴だから、気をつけたほうがいいぞ?」

 

「そうなのか?ま、とにかく終わったぞ掃除?」

 

「ありがとう!やっぱり愛人君は掃除もうまいわね!頼んでよかったわ」

 

アリシアが言うには、自分が掃除するよりも綺麗だと言い張った

掃除は誰がやっても変わらず綺麗になると思うけど?

と愛人は心からツッコミした

 

そんなことをしていると外から

 

「アリシアちゃーーーん!」

 

「はーーーい!」

 

外から女の声がした。どうやらその友人が来たようだ

 

「どうやら来たみたいだな?」

 

「ああ、あいつ愛人に会いたいってどういうことだ?」

 

「さ?こちらよ?アテナちゃん?」

 

「うん、ありがとう。久しぶり!晃ちゃん!」

 

そこに現れたのは褐色肌の銀髪ショートヘアの女性

 

「ああ、久しぶりだな?」

 

「うん、元気そうで嬉しい」

 

「アリシア?こいつが?」

 

「うん。アテナちゃん?」

 

「ん?」

 

「この人がアテナちゃんが会いたいって言っていた七海・愛人くんだよ?」

 

「あなたが・・・初めまして、アテナ・グローリィです。この前まあ社長を見つけてくれてありがとうございます」

 

「ああ、会いたいって言うのはお礼を言う為か?」

 

「うん、ありがとうね私たちの大事な社長だから」

 

「ああ、もう放すなよ?」

 

「うん」

 

「そんじゃあ俺行くな?アリシア?」

 

帰ろうと会社を出ようとするが

 

「待て、愛人くん。お礼がしたいからこのままお茶にしない?」

 

「いらないって?別にお礼を貰うために働いているわけじゃないから・・・」

 

「いいじゃない。じゃあお茶に付き合うという依頼も引き受けて?」

 

「は?なんだその依頼は?・・・・まあいいか、今日の依頼はこれで終わりだしな、わかった。付き合うよ?」

 

「うん、さ?こっちよ?」

 

「へいへい」

 

なんだかんだで、このままARIAカンパニーでお茶することになった

 

 

 

 

せっかくだから、ここにあの『水の三大妖精』がここに揃っているのだから、いろいろ話をしているのもいいかもしれないと話をする

 

「ってことはお前は?アリスの師匠ってことか?」

 

「うん、アリスちゃんに指導をしているよ?」

 

「指導はしているけど、こいつあのアリスちゃんに世話をされているんだぜ?」

 

「は?なんで?」

 

「ドジだからだよ?こいつ、何もないところでつまづいたり、飲み物をこぼす、長年暮らしてる寮内で迷ったりとかなりのドジなんだ」

 

「いやそれ!?ドジのレベルじゃないよな!?」

 

「そう思うだろ?でも見ろよあれ?」

 

「は?」

 

晃がそう言って見てみると

 

「アテナちゃん!?」

 

「あれ?・・あれ?・・・・」

 

紅茶をただ持っているだけなのに、めっちゃこぼしていた

 

「マジか?あれでドジ子なんだな?」

 

「ああ、あれを毎日にやっているんだ。でも歌はうまいんだぜアテナ?」

 

「嘘だろ!?ドジのレベルが半端無いのに歌はうまいってどんなドジ子だよ!?」

 

愛人はアテナのドジに驚き、ツッコミをしてしまった

 

「たく、おい!貸せ!」

 

「あ!」

 

愛人はアテナが持っていたカップを取った

 

「ほら?飲ませてやるから!口開けろ!」

 

「「へ!?」」

 

「うん、ありがとう愛人君」

 

愛人にされるがまま、紅茶の入ったカップをアテナの口のところまで飲ませてくれた

 

「たく、普通に飲めよ?どこまではドジなんだ?お前?」

 

「だって・・・・あ」

 

今度はケーキを食べようとしたが、フォークを落した

 

「ああもう!!俺が食べさせてやるから!落したフォークで食べるな!」

 

「うん・・・」

 

もう愛人は見ていられなくなり、食べさせたり、飲ませたりしていた

 

まるで兄と妹の光景だった

 

「おいおい、あいつの世話はアリスちゃんだけかと思ったけど、あいつも世話するんだな?」

 

「・・・・・・」

 

「アリシア?今?羨ましいって思った?」

 

「ううん、思ってないよ?大丈夫?」

 

「本当に?」

 

「あとで晃ちゃんをモザイクオーガンオペレーションするね?」

 

「なんで!?!?」

 

晃はなにかアリシアに触れてはいけないところ触れたせいで、この後モザイクオーガンオペレーションの予定が入った

 

「たく、まるで俺がこいつの兄になった気分だ」

 

「お兄ちゃんか・・・・私はこんなかっこいいお兄ちゃんができて嬉しいな・・・」

 

「ふざけんな、こんなドジの限度を知らない妹など、いるか!」

 

「お兄ちゃん。これお願い」

 

「お兄ちゃんって言うな!!何勝手に呼んでんだ!!?」

 

「じゃあお兄さん?」

 

「だから呼ぶな!!」

 

「じゃあお兄様?」

 

「だから呼ぶな!!名前で呼べ!!」

 

「じゃあ、さすがお兄様?」

 

「なんでだ!?なんで劣等生の兄貴なんだ!?冗談じゃねえぞ!?あんなシスコン兄貴だけは嫌だ!!!わかった!!お兄ちゃんって呼んでもいいから、それだけは呼ぶな!!!!」

 

バカにする側だった愛人がツッコミをするほど、常識なさすぎるアテナに振り回されていた

 

「はあ・・はあ・・・なんなんだこいつは!?まるでジョセフのスペックの逆バージョンみたいだ」

 

「あいつからしたら、私たちは人間じゃないてか?」

 

「もしくはニュートンの親戚か?」

 

「愛人君と晃ちゃんはアテナちゃんをなんだと思っているの?」

 

「「神に最も近い生物、人間で、人類の到達点だ!!」」

 

「ドジ子が1位なんだー」

 

「あいつさ?確かオレンジプラネットのウンディーネだよな?あいつ普段オール漕いでいるんじゃなくて、『ジョージ・スマイルズ』で漕いでいるんじゃないのか?」

 

「ありえるかもな、人間のアテナにはもはやオールでもなんでもゴンドラを漕いでいけるような気がする」

 

「いろいろと失礼よ?二人とも?」

 

二人がそう言うと、アテナが

 

「『ジョージ・スマイルズ』?あ!前に買ったよ?あれものすごく漕ぎやすいの〜」

 

「「「買ったの!?!?!?」」」

 

まさかの衝撃だった

 

彼女はもはや人間を越えた人間だった

 

「アテナ?それ?オールだよな?『ジョージ・スマイルズ』という名前のオールだよな?」

 

「うん、でも側面に摩擦を軽減するコーディングが付いているんだよ?」

 

「明らかにコーディング式西洋刀『ジョージ・スマイルズ』じゃねえか!?アテナ!!間違ってそれで人を切ってしまったとか無いよな!?」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

「よかった」

 

「でも、それでアリスちゃんと一緒の同室の部屋の壁を傷つけちゃったんだよ〜」

 

「なんで部屋の中で持ち込んでいるんだ!?」

 

「ゴギブリがたまに出てくるの、怖くていつも部屋に持ち込んでいるの、だからこれで切るの」

 

「テラフォーマーじゃねえんだぞ!?ここは火星でもテラフォーマーはいない!!フィクションだから!!」

 

「アリス生きているよな!?アリスを殺してないよな!?」

 

「大丈夫、アリスちゃんのベースは『スズメバチ』だから」

 

「「なんで!?」」

 

「私がゴギブリを切ろうとする時、『針便鬼毒酒』飲んで止めるの」

 

「あいつ、ひょっとしてめちゃくちゃ強いんじゃないの!?」

 

「ていうか、ゴギブリ殺すだけなのに、なんでここまで殺し合いになっているの!?」

 

「アテナちゃん、普段どんな生活しているの?」

 

もうアテナの事情で振り回されていた

 

「そういや、アリスはどうした?見てみれば灯里もいないぞ?」

 

「実は合同練習で今外に出ているの」

 

「なんでこんな時に、アリス艦長がいないんだよ!!3人掛かりでフォローするのがここまで骨が折れるとは!!」

 

「くそ、さすがは1位だけはあるな」

 

「アテナちゃんはただのドジ子だけど?」

 

「そのドジがこれだぞ?いつか人を殺さなくてもおかしくないぞ?」

 

「いつか『テヘ♫殺っちゃった♫』ってなったら最悪だな・・・」

 

「よくこいつにお客が来るな?逆に殺してないよな?お客をテラフォーマーだと勘違いして?」

 

「そこは心配ない、アテナには自慢の歌があるからな、殺したりとかはしてない」

 

「なんだ自慢の歌て?そういや歌がうまいってさっき言ったな?」

 

「実はカンツォーネの腕前があってな」

 

「な!?こいつカンツォーネを歌えるのか!?」

 

「その歌声はシングル時代から噂になっていたほどでな、本人は自身の評価に無頓着なフシがあって、噂を聞いてもそれが自分のことだとは言われるまで全く気がついていなかった。」

 

「どんだけドジなんだよ!?」

 

「とにかくその歌を聴きたくて、アテナちゃんに観光を頼もうとする人が多いの」

 

「なるほどね、でもそれならオペラ歌手にスカウトされないか?」

 

「うん、されるよ?でも今はアリスちゃんもいるからお断りしているの」

 

「そうだよな、あいつの指導しているんだから当たり前だよな、せっかくだから聞いてみたいなお前のカンツォーネを」

 

「うん、わかったお兄ちゃん」

 

「あれ?意外とあっさり?しかもここで?しかも俺の事お兄ちゃんって呼んでいるし」

 

なんだかんだで愛人の頼みを受け入れてくれた

 

アテナの歌声がARIAカンパニーの本社に響く

確かの彼女の歌声が美しかった

 

実はアテナのカンツォーネのCDもある。それは高く売れている 

それほど美しくいい歌声だった

 

聞いてから1分後

 

「確かにいい歌声だったぞ?」

 

「本当に?うれしいな」

 

「ああよかったぞ?」

 

「へへへへ」

 

愛人はアテナの頭を撫でた。また兄と妹のような振る舞いをしていた

こんな時の愛人は本当に彼女を褒めていた

 

だが、晃は気づいていた

 

愛人は確かに褒めているが、

 

(これでドジが無かったらな)

 

若干ガッカリしていることに

 

更にアリシアがそれを見て嫉妬していることも

これは愛人は気づいてない

 

しかもこのタイミングで

 

「アリシアさーん!ただいま戻りました!!」

 

「あれ?愛人?なんでここに?」

 

「あれ?アテナ先輩!?なんで愛人さんに撫でられているんですか!?」

 

灯里たちが練習から帰って来た

 

「私ね?愛人くんの妹になったの〜」

 

「変な事言うなアテナ!!?」

 

「え!?愛人!?まさか隠し妹が!?」

 

「お前も惑わされるな藍華!!」

 

「愛人さん、お願いします!!アテナ先輩のお兄さんになってでっかいお世話お願いします!!」

 

「ふざけんなアリス!!お前疲れたんだな!?世話するのが嫌になったんだな!?ていうかお前もなんで後輩に世話されているんだ!?」

 

「アテナさんとどんな関係ですか!?愛人さん!?」

 

「普通の友人でありたい〜、もうこいつに兄と呼ばれる始末だよ灯里〜」

 

もう説明するのがめんどくさくなった

ふざける役は愛人なのに、今日の彼はツッコミ役でふざける役はアテナだった

 

「頼む助けてくれアリシア!もう俺!あんな人類の到達点に勝てねえ!!」

 

もうさすがにうんざりしたのか、アリシアに助けを求める

 

だが

 

「任せて、私の呼ぶ軍勢がアテナちゃんを止めるわ」

 

「おい?軍勢ってなに?お前の呼ぶ軍勢ってテラフォーマーじゃないよね?」

 

「大丈夫、中にはいろんなベースを持った人もいるから?」

 

「テラフォーマーじゃねえか!?なに?俺がテラフォーマーって言われるうちに慣れたの!?慣れちゃったの!?ごめん!!俺が悪かった!!バカにして悪かった!!頼むから戻って来てくれ!!元のお前に戻ってくれ!!お前はテラフォーマーじゃないから!!ていうかお前に部下が居たのか!?俺が知っている中じゃあ灯里しか知らないぞ!?お前のその部下って何人!?軍勢だよな!?まさか1000人くらい居るのか!?しかもそいつらもベースを持つ程ヤバいのか!?」

 

アリシアは嫉妬のあまり、自分をテラフォーマーと認め、更にはアテナを止めようと軍勢まで用意しようとしていた

 

「俺が悪かったから、俺の知っているアリシアに戻って来てくれ!!」

 

「あら?私は愛人くんの知っている私よ?だって・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前はアリシア・フローレンステラフォーマーだから?」

 

「ごめんなさい!!!俺が悪かった!!それは俺の知らないアリシアだ!!」

 

もはや、愛人が今までバカにしていたテラフォーマーズネタを自分から使った。もはやアテナを倒すまでは、彼女が人間に戻ることはなかった

 

愛人は今までバカにしたことを後悔した

 

「だから止めるわ。私の『カルナバル・ド・パリス』で?」

 

「なんでだ!!?どうしてお前がそんな物を持っているんだ!?もしかして作ったのか!?」

 

「藍華ちゃん?準備できた?」

 

「え?私も!?私もテラフォーマー!?」

 

「ダメ?」

 

「滅相もありません!!」

 

「藍華ああああああああ!!?戻ってこい!!お前はテラフォーマーじゃない!!」

 

「私は藍華テラフォーマーだ!!」

 

「どんだけアリシアLOVEなんだよ!!?」

 

藍華までアリシアに便乗した

 

「アリスちゃん?私たちもやろう?」

 

「え!?私も!!?」

 

「薬を準備して!!行くよ!!」

 

「私が『でっかいスズメバチ(大雀蜂)』が使える前提で言ってません!?」

 

アリスはなんだかんだでアテナの味方になった。わけもわからず

 

「藍華!!やめろ!!この会社を血の色に染める気か!?」

 

「うるさい!!!人間が指図しないで!!」

 

「お前も人間だろうが藍華!!晃はお前の上司だぞ!?言う事ぐらい聞けよ!!」

 

「愛人?・・・・・・」

 

「なんだ晃?」

 

「アテナの援護に入る。ARIAカンパニーを私の『タスマニアンキングクラブ』で殲滅する!!」

 

「やめろおおおお!!お前がこの会社を血で染めるなああああ!!!」

 

藍華の反抗期にキレた

晃も薬使ってアテナに応戦する

 

「くそ!!灯里!お願いだ!!止めてくれ!!」

 

「え!?無理ですよ!!こんなに強い人たちに勝てません!!」

 

「頼む!!この戦いを終わらせるのはお前だけだ!!」

 

「無理です!!1位とテラフォーマーを止められません!!」

 

「お前もなにげに自分の上司をテラフォーマー呼びかよ!?」

 

灯里もそれだけ怖じ気付いたのだ

 

こうなったら最終手段として、愛人が言った

 

「わかった!!今度なんでも言う事聞いてやる!!だから止めてくれ!!」

 

「・・・・・・・・なんでもですか?」

 

「ああ!!」

 

「・・・・・・・・」

 

灯里はその『何でも言う事聞くと』言った瞬間

眼が変わった。そしてどこからか『膝丸』を出した

 

「『膝丸』!?なんで持っているの!?」

 

「膝丸じゃあありません!!これは『水無」です!!」

 

「『水無』!?なにそれ!?」

 

「行きます!!この戦いを終わらせます!!『水無神眼流』!!!」

 

「そこは『膝丸神眼流』だろ!!」

 

灯里は抜刀術を構え、放つ

 

「ARIAスラッシュ!!!」

 

「なにそれ!?」

 

わけのわからない技を放ったおかけで、みんな気絶した

まあ、おかげでこの会社が血で染まらずに済んだ

 

その後、気絶した5人を寝かせて、その日を終えた

 

 

 

 

 

 

 

愛人は灯里にあんな約束をしてしまったが

一体なにをするのだろうか、怖くて想像もつかなかった

 

なんだかんだで灯里もその約束が欲しかったらしい。じゃなかったら上司のアリシアにまで気絶させたりはしないだろう

 

でも気になった。一体彼女は愛人になにをするのだろう

 

それはまだ先のお話

 

 

 


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