ARIA 〜cavaliere storia〜   作:ソール

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第六話 グランドマザー

「はいはい、これで終わったぞ?」

 

「愛人くんありがとう!これはお礼ね?」

 

「別にいらないのに、まあちょうど喉を乾いていたからもらうけど」

 

愛人は相変わらずパトロールで街の住民の人の手伝いをしていた

これが彼の仕事だから、アクト自身も口出しはしてない。むしろ住民の人の手伝いをしてもらうよう言われている

 

今日はたまたま一人でパトロールしている

 

本当ならアクトが付いて彼がサボらない様に見張っているのだが、彼がサボる事は無いだろうと思い。今日は自分の仕事をしている。その理由は彼が街でパトロールすると、街の人が彼を見つけ手伝いをさせるため、サボる事など不可能に等しい。彼も頼まれたら断れないタイプのようだし、心配して監視する必要ないとアクトは今日くらいは彼だけにパトロールさせることにした

 

 

「さてと、今日も異常なし。まあ手伝いの依頼は多いが」

 

彼も普通に真面目にパトロールしている

 

サボりたいってあれほど言っている割には彼もちゃんと働いていた

 

すると、そんな彼にある人が尋ねて来た

 

「あのー?」

 

「ん?」

 

それはおばあさんだった。

 

「君が七海・愛人くん?」

 

「そうだけど?手伝いの依頼か?ばばあ?」

 

「いやそうじゃないけどね、一度会ってみたくてね?」

 

「ああ〜、あんたもネットや噂を見たのか?そうだよ勝手に噂に流されているけど、俺が『何でも屋の騎士』の七海愛人だよ?あんたはばばあ?」

 

「ごめんなさい。申し遅れたわね?私は天地秋乃。みんなには『グランドマザー』と言う。グランマって呼ばれているわ」

 

「グランドマザー?それってまさか・・・・・灯里たちの会社のARIAカンパニーの創立者・・」

 

天地秋乃

 

グランドマザー

 

ウンディーネ業界のトップに君臨した「伝説の大妖精」。「グランドマザー」とは、その業績から現代ウンディーネの母と称えられた彼女に対する敬意と共に付けられた呼び名である(それ以前の通り名は不明である)。アリシアの師匠でもある人、その人は雑誌にも載っておりかなりの有名人で知らない人いない

 

「で?そんな有名人が俺になんか用か?」

 

「ええ、アリシアから聞いたのだけど、ゴンドラの操縦や掃除や修理も出来るって聞いてね」

 

「あいつ、余計なことばっか言いやがって、これまでの腹癒せか?で?なんだ?それに関係することで手伝って欲しいものでもあるのか?」

 

「ううん、そういうことじゃあないんだけどね」

 

「なに?」

 

「ちょっと君のゴンドラの操縦を味わってみたいと思ってね」

 

「それかよ。手伝いではなく技術を見たいてか?」

 

「ええ、すぐそこに私のお古用意してあるのだけど、引き受けてくれるかしら?」

 

「・・・・・・」

 

正直、これに関しては仕事とは関係なかった

引き受けても構わないのだが、なんか乗り気になれない

 

なぜなら

 

失望させてしまうからだ。ゴンドラの操縦は確かにできる。でもうまくできるとは限らない、藍華と灯里を乗せた時だけが1回目、それ以外で彼が操縦したのは、自分が一人のパトロールの時ぐらい

 

それだけ初心者なのだ

 

なのにいきなり操縦してほしいとは言っても、こんな有名人もといお年寄りを乗せてもし接触事故でも起こしたら大変になる

 

ただでさえこの前灯里のゴンドラに接触したんだ。また出たら困る

 

そんな責任は彼には持てなかった

 

めずらしく怖じ気付いた。それだけ慎重にならなくてならないからだ

 

この人が一体なにを狙っているのかは知らないが

 

引き受けて見て確認しようと愛人は思った

 

事故を起こさない安全運転で

 

「まあ・・・・・あんたがなぜ俺にゴンドラの操縦をさせたいのかは知らないが、わかった!やるよ?初めに言っておくけど?俺は初心者だぞ?」

 

「引き受けてありがとう!大丈夫うまさは求めてないから・・・」

 

「どうだがね・・・・・」

 

この人がなにを目的に彼に操縦してもらうのかは知らないが

わざわざお古のゴンドラを用意してまで自分の操縦するゴンドラに乗るということは、うまさを見たいとしか思えなかった

とにかく言われた通りのことをするのだった

 

「じゃあ気をつけてな?揺れるから?」

 

「おや?人をゴンドラまで運ぶ作法をも知っているのね?」

 

「これは一般常識だ。ウンディーネの作法でもなんでもねえ」

 

なんだかまるでウンディーネになった気分だった

男性でウンディーネは気は引けるが

 

ウンディーネみたいに客をゴンドラに安全に乗せ、そして安全にゆっくり陸から離れて行く

 

「で?行き先は?」

 

「ウンディーネ業界本社までいいかしら?」

 

「そんなとこまで?わかったよ!今行くさ!」

 

「ええ、お願いね」

 

言われたとおりウンディーネ業界本社まで漕いだ

 

 

 

しばらく漕いでいると

 

「・・・・・やっぱりうまいわね?」

 

「あんたもそう言う?灯里や藍華にも言われたぞ?そんなにうまいか?初心者だぞ?」

 

「灯里ちゃんたちからも聞いたわよ?」

 

「あいつら・・・・・なんでも俺のことを喋りやがって・・・それでなんだって?あいつらなんか言ったのか?」

 

「初心者なのに、ゴンドラのことは知っていることやゴンドラの操縦がうまいと聞いたわよ?」

 

「あいつら口軽すぎだろ。おかげでこの始末だ」

 

「あら?そんなに嫌?私を乗せてゴンドラの操縦をするのが?」

 

「あんたを乗せて操縦するのが嫌じゃなくて、俺のことを他の奴らに言うのがだよ。おかけで街の連中にこき使われるからだよ・・・」

 

「それだけ愛されているのでは?」

 

「勘弁してくれ?愛なんて重いし、俺には合わねえよ」

 

愛というものでは無いと愛人は言い張る。それほど彼にとってめんどいことだからだ

 

人間関係という存在自体が彼にとってめんどいものだった

 

「でも、あなたがいるおかけで街もすっかり変わったわ」

 

「は?」

 

けど、グランマはそれでも彼がいるだけで街は変わっていると言い張る

 

「なんで?」

 

「昔と違うのよ。私がウンディーネをしていた時よりも街の人が笑顔だったわ」

 

「そうなのか?」

 

「ええ、私が居た頃もよりも変わっているわ・・・みんな生き生きしているわ。見て驚いたわ。信頼されていたわあなたを・・・」

 

「・・・・・・・信頼ね・・・ま、そのせいでこき使われているけどな」

 

だが、彼にそんな褒め言葉しても無駄だった。

正直心の中ではサボりたいと本音のことばかりだからだ

 

「それと、灯里ちゃんたちもね・・・・」

 

「え?あいつらが?」

 

「灯里ちゃんたちもね・・・あなたのことを話していると仕事の話より元気に話していたわ・・・・藍華ちゃんもやアリスちゃんも」

 

「マジか?アリスならともかくあの藍華がねえ〜」

 

「晃ちゃんやアクト君もあなたのことで私との会話を前に楽しんだわ」

 

「アクトにも会ってんだな?ていうか晃はまだ会ったばかりだぞ?ん?ってことはあんた俺の上司がアクトだってことを知っているのか?」

 

「ええ、聞いているわ。あなたがいつもバカ騒動を起こすから止めるのに必死だって?」

 

「ああ、気づいたらやっちまうんだよな〜」

 

「でも、おかげで本部の団員たちも笑顔になっていくんだってさ?」

 

「は?他の騎士団員が?」

 

「ええ、そう言ってたわ。あなたがみんなを笑わせてくれるって?仕事もできるし、みんなに笑顔をくれる最高の団員って言ってたわ」

 

「あいつがね〜」

 

「でも、ダルい性格は直してほしいだってさ?」

 

「それは無理だね?俺のこの性格は一生直る事はねえ」

 

「でしょうね。アクト君が言っていたけど、あのバカ騒ぎが生まれるのはその性格のおかげかもね?」

 

「まあな・・・・」

 

「でも、一番変わったのわ。アリシアかしら」

 

「あいつが?」

 

彼は意外に思った

いつも仕事熱心で母親みたいな性格なのに、それで変わった?

どのように変わったのか、愛人にはわからなかった

余計気になってしまった

普通にいつもバカにしていただけなのに

 

「どのように変わった?」

 

「あら?アリシアから聞いたのだけど、いつもアリシアにバカにしているのに、気になるのね?」

 

「ああ、さすがに今の言葉は気になった。あいつはいつも変わってないと思ってたから。そんなに昔と変わったのか?」

 

「あんまり変わっていないけど・・・・・あなたを話している時のあの子はね。本音を言えるように生き生きしているのよ」

 

「あいつが?意外だな・・てっきりいつも生き生きしていると思った」

 

「それにね・・この前会いに行ったのだけど、あなたのことしか話をしなかったわ。仕事の話は一切しなかったわ」

 

「あいつが?てっきり灯里のことでも話していると思ったのに、本当に俺のことしか話してないのか?」

 

「ええ、いつもあなたが話してきて楽しかったわって言っていたわ」

 

「へえ〜」

 

「それにあなたも楽しませるつもりでバカにしてたんでしょ?」

 

「なんのことだか?」

 

「とぼけなくてもわかるわ。あなた忙しかったあの子に少しでも楽しませようとしてたんでしょ?」

 

「あらら?わかってたんだ?今日会ったばかりの俺に?あいつにどんなマネをしたのかも?」

 

「ええ、アリシアから話を聞いてわかるわ。いつもあの子をバカにしてはあなたは殴られ、体に傷を負いながらもあなたはやめなかった。あなたはウンディーネという役職の忙しさを瞬時に理解し、更にあなたはARIAカンパニーの従業員はアリシアと灯里しかいないとわかった瞬間、今はアリシアしかARIAカンパニーを動かせないとわかった。そうなればアリシアは・・・・」

 

「もういい。言わなくていい。それもう何回も俺が言った」

 

「あらそうなの?」

 

「今あいつが俺のことについて聞いたが、あいつってここまでガキなんだな?」

 

「あら?あの子が母親に見えたわけ?」

 

「みんなにはそう振る舞っているだろ?あいつさ本音一切みんなに出さないだろ?」

 

「まあ、確かに嫌な顔もしないわね?あの子?」

 

「あいつ他の奴らみたいに本音出さないから、出してみようとバカにしたらこうなったんだけどな?」

 

「なんで本音出させようとしたの?」

 

「え?だってさ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで自分の心を殺しているみたいじゃん?」

 

「!?」

 

「仕事ってさ?いつか自分の心を殺してまで仕事する時ってあるじゃん?あいつは普段それじゃん?あんまわがままとか言ったことなそうじゃん?だからさ?本音を出せるようにして自分の心を出せるような奴になってもらいたかっただけなんだよ?」

 

「確かにそうね・・・あの子自分からわがままを言った事なんて一回しか無いしね?」

 

「それってさ?やりづらい上に疲れないか?仕事ならともかくさ?仕事以外でもこの調子だと帰って疲れると思うんだよな〜〜」

 

「ふふふふふ」

 

「ん?」

 

突然グランマあは笑い出した。そんなに彼の言っている事がおかしかったのだろうか

 

「それだけアリシアを見ているのね?あなた?」

 

「そうか?」

 

「ええ、見ているわ?アリシアのこと好き?」

 

「ああ、それは好きだな。面白いしあいつと居て楽しいし、悪くはないって思っているよ?」

 

「あら、意外とあっさりなのね?」

 

グランマは意外だった。そんなストレートに告白するとは思ってもいなかった。今まで会って来た男性で、この大胆な男性は初めてだった

 

でも、なんか鈍い感じがこの男性からした

 

「俺はあいつに望むような関係になりたいからそうしたいわけじゃない。ああいうタイプを見てバカにして少しでも楽しませたいだけだ。好きだから、そんな深い関係になりたいわけじゃない。俺にとってあいつとは友人とは言えない。ただの腐れ縁だ」

 

「そうなの・・・・・でも」

 

「あ?」

 

「あの子はあなたのことを腐れ縁というものでは見てないと思うわ」

 

「は?なんで?」

 

「それは・・・・・」

 

「恥ずかしいセリフ禁止です!!!グランマ!!!」

 

「あら?アリシアに?灯里ちゃん?」

 

「はひ!アリシアさん!落ち着いてください!それとこんにちはグランマに愛人さん!」

 

「いつから居たんだお前ら?ていうかそれ藍華のセリフだし」

 

いつの間にかアリシアと灯里が隣にいた。今は海の上にいるのに、灯里が使っている黒いゴンドラでここまで漕いで来たのだろうか?見たところ灯里の練習らしい

 

「で?なにが恥ずかしいセリフなんだ?」

 

「なんでもないのよ!!なんでもない!!」

 

「は?」

 

「愛人さんはどうしてグランマと?」

 

「秋乃が俺の操縦するゴンドラに乗ってみたいのだと?今ウンディーネ業界本部に向かっているとこだ」

 

みんなに事情を話しているとそこへ

 

「あれ?愛人・・・・ってグランマ!?」

 

「なんで愛人とグランマを連れてゴンドラに乗っているんだ?」

 

「あれ愛人?なにをしているんだ?」

 

「愛人さん?・・・どうしてグランマがいるのですか?でっかい不思議です」

 

藍華と晃とアクトとアリスが、藍華の操縦でやってきた

 

「なんでお前らまで俺の周りに集まって来るんだ?くそ、どうなってやがる」

 

「それだけあなたが愛されてるんじゃないかしら?」

 

「おい秋乃?あんま変な事言うなよ?藍華から『恥ずかしいセリフ禁止』って言って来るぞ?」

 

「あんた!?あのグランマにまでタメ口!?あんたどんだけ自分買勝手なのよ!?」

 

「いいのよ藍華ちゃん。私はこの方が話しやすいから」

 

「グランマ公認!?でっかいすごいです愛人さん!!」

 

「ぷいにゅ!!」

 

「あらあらアリア社長お久しぶりね?」

 

「アクト?お前こそなにしているんだよ?」

 

「僕は晃に頼まれてな、藍華の練習としてお客役を頼まれたんだ」

 

「へえ〜、で?アリスは?」

 

「私は藍華さんと合同練習です」

 

「ほう」

 

「やっぱり愛人はゴンドラを動かせるんだな?」

 

「多少な?」

 

「へえ〜、今度私を乗せてくれないか?」

 

「お前も?それアリシアにも言われたぞ?手伝いの依頼がなかったらな?」

 

「あ!私も乗ってみたい!!」

 

「私も乗ってみたいです!!参考になります!!」

 

「愛人さん!私もお願いします!!」

 

「あ!?藍華やアリスに灯里も!?もう俺暇じゃないんだぞ!?」

 

「じゃあなんでグランマを乗せて操縦しているのよ?」

 

「秋乃から、そういう依頼をして欲しいと言ったんだよ」

 

「どんな依頼だ?それ?」

 

「俺だってわからないさ?どうせ俺をARIAカンパニーの従業員として勧誘しようとしたんだろ?」

 

「「「「「「「え!?」」」」」」

 

「気づいていたの?」

 

「ああ、薄々な?」

 

ウンディーネ業界本部まで送る理由にしても、ボートで移動すればいいのに、わざわざ自分のお古のゴンドラまで用意して運転して欲しいなど、勧誘としか思えなかった

 

しかも、グランマは愛人が操縦できること知っておきながらの頼み

ただ実力をみたいだけとは思えなかった

 

「無論言わなくてもわかるよな?俺の答え?」

 

「ええ、あなたは『お断り』って言うと思ったわ」

 

「ああ、俺には合わねえよそれは」

 

「残念だわと言いたいけど、わかるわ。断る気持ちが・・・・だってあなたが騎士団じゃないと、みんなには会えないし、みんなのために働けなくなるものね?『皆に愛された騎士様』?」

 

「『何でも屋の騎士』の次は『皆に愛された騎士か』・・・・いろいろ称号を貰っているな・・俺?」

 

「それだけ愛人さんはみんなを幸せにする素晴らしい力があるんだよ」

 

「恥ずかしいセリフ禁止!!」

 

「ええーーー!?」

 

「だからなにが恥ずかしいんだ?変だろ?普通に?」

 

「できたらARIAカンパニーに入ってアリシアの仕事を手伝って貰いたかったわ。そうすればアリシアだって・・・」

 

「グランマ!!恥ずかしいセリフ禁止です!!」

 

「アリシアさん!?それ私のセリフ!?」

 

「アリシアはああいうのが好みなのか・・・アリシアが恥ずかしがるところを見たの初めてだ」

 

「別に依頼出せばやるぞ?どうせそれが俺の仕事だし?なんかあるのか?」

 

「え!?やってくれるの!?」

 

「俺の仕事はもはやそういう専門になっちまった。パトロールのついでに俺が勝手にやっている仕事だ」

 

「マジか!?愛人!今度姫屋の手伝いを頼む。今度飯奢るから!」

 

「じゃあそん時の時間とそのやる日を言え、スケジュール開けとくから」

 

「それってなんでもやってくれるの!?」

 

「なんでもは無理だろ。まあ内容によるさ。だろアクト?」

 

「まあね、これは愛人にしかできないことだから、できる範囲での依頼でね?」

 

「団長公認!?」

 

アクトもそれはそれでエンジェル騎士団の評判も上がるし、別に止める理由はない

それにそれはそれで少し問題が消えるし助かることだった

 

「で?なんかあんのかアリシア?」

 

「あれ?今日はテラフォーマー言わないんだ?」

 

「気分による藍華テラフォーマー」

 

「あたしは相変わらずテラフォーマーかい!?」

 

「で?なんかあるの?」

 

「そうね・・・じゃあ今度の金曜日うちの会社の掃除しに来てくれる?」

 

「了解。騎士の名にかけてその約束引き受けるよ?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「あらあら、本当に騎士に似合いそうな笑顔、てもかっこいいわ」

 

輝かしいほどいい笑顔だった

彼がこんな笑顔は今まで見たことないだろ

 

ウンディーネの人たちはそれを見て顔を赤らめている。アクトは驚いているが

それほど今の彼の姿がかっこよかった

 

「なんだ?どうかしたか?」

 

「あ!ううん!なんでもない!」

 

「ふ〜ん、おっといけねえ。秋乃?そろそろ行くか?」

 

「ええ、そうね、そろそろお願い」

 

「ああ、悪いが俺は行くな?アクト?」

 

「あ、ああ、気をつけてな?」

 

「おう!」

 

ウンディーネ業界本部に急いで向かう

 

その途中

 

「じゃあなアリシア!金曜日!行くな?」

 

「う、うん!」

 

それだけ言って彼はウンディーネ業界本部に向かった

 

残った者たちは

 

「なんですかね?あれ?」

 

「あいつ・・・・あんな笑顔できたんだ」

 

「でっかいかっこよかったです」

 

灯里も藍華もアリスは彼の笑顔見て、少し恥ずかしい程美しかった

 

「いい部下持っているな?アクト?」

 

「ああ、あいつはもう立派な騎士になっていたな、ただ性格の悪い奴と思ったが、僕よりもすごい奴がいたな」

 

「ああ、ん?アリシア?」

 

「え?なに?」

 

「あいつに惚れた?」

 

「・・・・・・・そうかもしれないわね?」

 

まさかのアリシアが彼を気に入ったご様子

それを聞いた灯里たちは

 

「え!?アリシアさん!あんな奴が好みなんですか!?」

 

「アリシアさんが愛人が好きになったんでか!?」

 

「え?そ、そうね」

 

「無理もないよ。あの愛人くんはかっこよかったもん、惚れる気持ちもわかるよ?」

 

「「え?」」

 

「灯里ちゃんも?愛人くんを?」

 

「へ?」

 

どうやら灯里も愛人に惚れてしまったようだ

 

「はひ!別にそういうわけじゃあ!」

 

「あらあら、じゃあ私も負けられないかも」

 

「アリシアさん!?」

 

「やれやれです。愛人さんはでっかい罪な男です」

 

彼女たちはに愛人がアリシアのことが好きって言った事を言えば

さぞかし騒動になるだろう

 

だが、その言葉を聞いているのはグランマだけ、これは誰もいわないほうがいいのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方愛人は

 

「着いたぞ?」

 

「ええ、ありがとう」

 

無事にウンディーネ業界本部に到着し、グランマを降ろした

 

「じゃあ、俺は行くな?」

 

「もう、仕事に入るの?」

 

「ああ、まだいっぱい手伝いがあるからな?じゃあな?」

 

そう言って愛人はゴンドラに降りて、歩いて仕事に戻った

 

 

残されたグランマは

 

「ふふふ、あの子、灯里ちゃんやアリシアにとって大事な人になるわね・・・」

 

それだけ言った

 

彼が彼女たちの想いに気づくかどうか

 

それはこれからによるだろうと

 

グランマは悟った

 


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