ARIA 〜cavaliere storia〜   作:ソール

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アクト「↑それ愛人じゃねえ?」

愛人「どういう意味だおい?」


第二十一話 幽霊より怖い男

暑い季節がまだだ続く中、暑い季節

 

 

暑い季節、ジメジメと続くこの暑い夏。誰もが干からびるその暑さは、人の命を奪い取ろうとした。その暑さにより熱中症になり、次々と倒れていく人々。もはやネオ・ヴェネチアは人が住むことのできない。高熱な火山な街として成り果てていた

 

「おい、何この街を勝手に破壊し尽くされたような言い方しているんだ、君は?」

 

「え?違うの?」

 

って、思っている愛人くん。

 

暑いのはわかる。でも人が住めない火山な街というのは言い過ぎである。ていうか火山な街って何?

 

どういう解釈ですか?

 

 

「もう、だめだよ今日の仕事。やっていける自信ないよ。この暑さもうマジ無理だから」

 

「街に居るウンディーネはこうも暑くても頑張っているぞ?」

 

「ウンディーネはウンディーネ。俺は俺。ウンディーネと一緒にすんなよ。お前はお前。お前は外で見回りして、俺は俺で中で書類仕事するから、外を頼んだぞ」

 

「つまりあれか?君は中でエアコンの温度全開で下げて、外の見回りは僕に任せて、君は涼しい中で書類仕事するってことかい」

 

「・・・・・・・うん♪」

 

「外行ってきなさい!」

 

アクトに本部をつまみ出され、無理やり外に出された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ、あのクソ団長。覚えてやがれよ」

 

愛人はアクトに恨みを持ちつつも、愛人はまたサボろうとサン・マルコ広場を歩いていた

 

「ん?」

 

すると、サン・マルコ広場の名物になっている2本の巨大な支柱に寄りかかる。黒いドレスを着た女が居た

 

「ほう・・・・・」

 

普通の人間なら、そんな真っ黒なドレスを着て、暑くないの?と聞くべきだが、愛人はそれ以外に目を行った。それは

 

「あの女・・・・・結構いい体しているな」

 

まさかセクハラ発言をした。ナンパにしようとしていた

 

「ありゃあアリシアやアテナよりいい体しているな」

 

「へえ〜、愛人がまさかナンパする気?エンジェル騎士団がまさかのナンパですか?うわ〜〜、公務員のくせにないわ〜」

 

「うん、そうだな、俺はこれからアルをナンパしよう。俺男もイケるんだ」

 

「やめてよ!!アルくんがホモに目覚めたらどうすんのよ!?ていうか何気にキモイことを言わないでよ!!」

 

ナンパしようとした愛人を見つけた藍華。ナンパしようとした愛人に制裁でも加えようかと思いきや。まさかの返り討ちに遭う

 

「お?どうした藍華?灯里たちと合同練習じゃないのか?」

 

「その待ち合わせよ。あんたは?」

 

「俺か?俺はあの柱に寄りかかる女がいい女だと思った」

 

「あんたそれセクハラじゃない。誰か通報して!ここにセクハラしている人が居ます」

 

「誰か助けてください!ここにノームに努めるか弱い小さな子供の童貞を奪おうとする淫乱なウンディーネがいます!」

 

「それアル君!?ノームに努めるか弱い小さな子供ってアル君!?アル君は私たちより年上で19歳だし!?何アル君を勝手に子供扱いしているのよ!?」

 

そんな藍華のやり取りをしていると、

 

「何を・・・しているの二人とも?」

 

そんな大きな騒動している二人に、灯里がやってきた

 

「灯里!聞いてよ!愛人がねーー」

 

「俺今藍華とデートしているんだ」

 

「は!?何言ってんの!?」

 

「藍華ちゃん?」

 

「待って!?お願い!!そんな怖い目をしないで!!私は違うの!!私はこんなクソ野郎と付き合ってないから!!」

 

「へえ〜、そうなんだ〜。私とアリシアさんが想いを寄せている愛人さんにクソ野郎って呼んでいるんだ〜」

 

「待って!?わかった!!私が悪かったからお願いだから話を聞いて!!」

 

愛人が灯里藍華とデートしていると嘘をついた瞬間。灯里の周りには多数の武器が、どこからかクリスタルのような輝きをしたような武器が灯里の周りに浮いていた

 

「なにそれ!?」

 

「え?剣、刃、弓、双剣、刀剣、投剣、盾、枉駕、杖、逆鉾、刀、父王の剣だよ?」

 

「王様!!?陛下?最後にとんでもない武器が。それを使って私に一体なにをする気なの!?」

 

「言いたいことは『調子に乗ってんなよ(○クティーガー風)』って言えばわかるかな?」

 

「灯里ってそんなキャラだっけ!?お願いだから話を聞いてお願い!!私は無実!」

 

「フハハハハハハ、ダッセー!藍華が殺されそうになっている」

 

愛人は完全に藍華をからかっていた

 

「嘘だよ。デートじゃねえよ。ただ珍しい女が居るって言ってただけだ」

 

「あ、そうなんですか〜、なんだ〜びっくりした」

 

嘘だとわかった灯里は、周りに浮かんで武器が消える。藍人と異性な関係じゃないと知った灯里は怒りが堪える

 

藍華は二度と灯里を怒らせないと誓う

 

「それでどうしたんですか?珍しい女の人って、もしかしてあそこにいる柱に居る黒いドレスの女の人ですか?」

 

「そう、あの女。こんな暑いのによくあんな黒いドレス着るよな?」

 

「ですね。私も思います」

 

「その黒いドレスを着ている女ってどこにいるのよ?」

 

「は?あそこに・・・・・あれ?」

 

「いない?さっきまであそこで」

 

藍華をからかっているうちに、柱に寄りかかっていた黒いドレスを着た女がいなくなっていた

 

「なんだ?幽霊か?」

 

「怖いことを言わないでくださいよ愛人さん!」

 

「だって、いつの間にいなくなるとか幽霊じゃん。あの女首がなかったりしてな?」

 

「まさか・・」

 

「あ、もしかしてデュラハンだったりしてな」

 

「こんな大勢いる一般人が居るサン・マルコ広場で朝からデュラハンが居たら、そりゃあ驚くわよ!?」

 

「仕方ない。首がないなら、俺があんぱんで作った顔を焼いてあげるしかない」

 

「それアン◯ン◯ン!?明らかにアン◯ン◯ンだから!?幽霊の首がないからってアン◯ン◯ンの顔を付けたりするんじゃないわよ!?」

 

バカ愛人はまさかの幽霊にまでイタズラをかまそうとしていた。お願いだから人がたたりに遭うようなことを起こそうとしないで欲しいと藍華は思った。幽霊が絶対にその気にしちゃうから

 

「でも、確かこのヴェネツィアに昔怖い話があるって聞いたな?」

 

「え?なんですかそれ?」

 

「藍華も知っているだろ?」

 

「うん、あそこのサンマルコ広場にある巨大な支柱の話でしょ?」

 

「ああ」

 

「何なの藍華ちゃん?その怖い話って?」

 

「マンホーム時代のヴェネツィアからずっと、この街の表玄関とされてきた場所なんだけど、遥か昔、中世のヴェネツィア共和国では何と罪人達の公開処刑場としても使われていたそうなの」

 

「・・・・・・・嘘だよね?」

 

「まあ灯里はそういう話は信じたくないのはわかっているけど、昔は平和じゃない400年前は当たり前に人間は戦争をしていたんだ。残酷な時代だっから、毎日人が死んで当たり前の時代さその時は」

 

灯里は人が死ぬような話は当然信じたくない。わからないわけでもないと愛人も理解はしてはいるけど、残念だが嘘はつかずに歴史を知ってほしいと真実を告げた

 

「それでね?ある時処刑される一人の女性が自分の遺体を墓地の島である有名なサン・ミケーレ島で弔ってほしいと願いでた。当時の島の墓は過密状態で結局、彼女の願いが叶えられることはなかった」

 

「そ以来の夜から異変が起きた」

 

「異変?」

 

「お前らウンディーネという。昔では男がゴンドラを操縦をしている人たちゴンドリエーレって言う人たちが居たんだが、その人たちが毎日一人ずつと行方不明になる事件が多発した」

 

「え?どうして行方不明に?」

 

「ゴンドリエーレが夜一人であの柱の近くに居ると、『サン・ミケーレ島まで乗せてほしいと』と頼む喪服の女性が現れる。そして最後その彼女の願いを聞いて一緒に行くと、そのゴンドリエーレがサン・ミケーレ島から戻ってくることはなかった」

 

「どうしてですか!?」

 

「なんでも神隠しにあったとか、もしくは彼女と一緒に冥界に連れてかれるとかで、とにかく命の保証はないと伝えられている」

 

「それ以来ヴェネツィアの街のゴンドリエーレの仲間の間で長く語り継がれてきた怪談よ」

 

「こわーー!!こわーーー!!」

 

まあ、無理もなかった。灯里は純粋さもある。だからこういう怖い系は苦手で当然。もしかしたら彼女は暗いところも苦手なのかもそれない

 

「でもそれはマンホーム時代のヴェネツィアの話ですよね?今のアクアのネオ・ヴェネツィアじゃあそんな怪談はないよね?」

 

「俺もそう思ってたんだがな」

 

「え?」

 

「行方不明になったウンディーネはいないが、つい最近それらしい女性があの支柱の近くでうろついているっていう噂をアクトの方にも聞いた」

 

「嘘・・・ですよね?」

 

「噂だからまだわからない。噂は噂でしかないとも言うが、最近そればかりの噂を他の団員にも言われる。一応エンジェル騎士団はそれについても調査しようと、俺も2週間前から調査している」

 

「もし見つけたらどうするんですか?」

 

「事情聴取による。どうあってもそんなことをしている人間を放っておくわけにはいかないだろうな」

 

愛人の話は嘘ではなかった。そんな怪談は多くいる。それで怖がるウンディーネの通報も多数ある。どのみち今日から愛人は徹夜をしてでも、その喪服の女性を探すことにする。こうなってはエンジェル騎士団も黙っていない。怪しい行動すれば誰もが疑うに決まっている

 

一応アクトの命令で動いているのだが、アクトはできれば愛人に頼みたくはなかった

 

確かに彼は天才かと思うほどの人外超えた才能と知識、幽霊も探すことも可能だろうが

 

彼を心配するのは一つ。

 

 

 

 

 

バカやって幽霊を挑発しないでほしいこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっという間に夜になった。灯里と藍華とアリスは夜遅くまでゴンドラの練習をしていた。20:00で練習をやめ、会社に戻るのだが、

 

灯里はゴンドラでサン・マルコ広場の近くに居た

 

「・・・・・・・」

 

灯里は少しその夜に恐怖を感じた。無限に広がる海。彼女は海が好きだ。泳ぐのも横たわるのも好きだ。

 

だが

 

この海に恐怖を感じる

 

灯里とは別に海が怖いという人間も居る。なぜなら海が広すぎて、海に落ちたら最後溺れて消えるのではないかと恐怖を覚える者も居る。

 

灯里は夜の海も好きなはず、

 

だが

 

怖い

 

なぜかこの海が怖い。今日だけ怖いと感じるのか、あるいは今日愛人が言っていた怪談の話を聞いたせいで怖いか、どうしても急いでゴンドラを漕ぎ、会社に戻る

 

でないと、この暗闇の海に飲み込まれる感覚をした

 

すると

 

「すいません、そこのゴンドラ」

 

「は、はい」

 

昼間に居た黒いドレスを着た女性が居た

 

「どうか私を乗せてくれないでしょうか?」

 

「あ、いえ・・私一人でまだ半人前でお客様を乗せることはできないんです」

 

「そうだったの困ったわね、もう他のゴンドラは営業を終えていますし」

 

「・・・・・・・」

 

このままこの人を置いておくにはいかないと灯里もウンディーネの意地があるのか、彼女を乗せることにする

 

「あの・・・・規則でお客様を乗せることはできませんが、友達という関係で乗せることにしますので、どうぞ乗って下さい」

 

「ありがとう。あなたはいい娘ね?」

 

「いえ、では行き先をお願いします」

 

 

そして彼女からとてつもない行き先を口にする

 

 

「サン・ミケーレ島まで・・・・」

 

「・・・・・・・・・え?」

 

まさかの愛人の言っていた。怪談の話と一致している要求となった

 

喪服の女性が『サン・ミケーレ島まで』連れて行かれる話が、今灯里も逢っている

 

怪談と同じ状況になっているはずないと信じている

 

 

だからとりあえずその人を乗せることにした

 

一度言った言葉を断るわけにはいかない。

 

「わかりました。ではどうぞ」

 

「ありがとう」

 

こんな夜になぜあんな墓地の島にこの女性に行くだろう?だが、そうだったとしてもあの怪談を考えてしまう

 

そんなはずない。そんなはずない。そんなはずないと信じている

 

考えただけでも頭が真っ白になりそうだった。恐怖が体から震える

 

女性の顔は見えない。喪服も着ている。これほど恐怖になる夜は灯里にとって一度もない

 

気づいたらいつの間にかサン・ミケーレ島の門まで着いていた・頭では恐怖し、体はいつの間にかサン・ミケーレ島まで漕いでいた

 

「どうもありがとう。本当に助かったわ」

 

「いえ、では私はこれで」

 

すぐにこの暗闇と怪奇のような空気からいち早く逃げたしたいとすぐにゴンドラの角度を変える

 

 

 

 

 

だが

 

 

「え?」

 

彼女の手を喪服の女性が掴む

 

「貴方・・・・・とてもいい娘ね。いつまでも一緒に居たいわ」

 

彼女の腕に引っ張られ、サン・ミケーレ島のな中まで連れてかれる。そこは墓だった。十字架の石像でできた墓の数々、そこに連れてかれた

 

「はあ・・・はあ」

 

走り疲れたのか、その場で膝を灯里は着いた。

 

「どうしたの?早く立て?」

 

灯里は喪服の女性の顔を見た

 

「大丈夫私たち上手くやっていけるわ?お友達ですもの?」

 

立てるはずがなかった。なぜなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その喪服の女性の顔がなかった

 

「あ・・・あ・・・・ああ・・・ああ」

 

呼吸ができないほどの恐怖に怯えた。愛人ん言っていた怪談の話は本当だった。

 

灯里は泣きそうだった。助けて、まだ死にたくないと心から叫ぶ。助けて、助けてと心の中でいっぱいだった。

 

叫ぶことはできない。震えて動けないのだから、

 

(いやだ。いやだ。助けて!誰か助けて!!)

 

誰も来るはずない。こんな遅くで誰もいないサン・ミケーレ島に居るはずない

 

誰も灯里を助ける者はいない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違うだろ?お前の友達は愛と勇気が友達だろ?」

 

「・・・・・・・・・・え?」

 

「ああ・・・・愛人さん!!」

 

 

喪服の女性の後ろにアホ愛人が居た

 

「たく、灯里心配したぞ?アリスと藍華は会社に帰ってて、お前だけ会社に帰ってないってアリシアから連絡があったんだよ、ひょっとしたらな〜って思ってやっぱりサン・ミケーレ島にいたか、噂は本当だったわけだ」

 

「貴方!?なぜ私が見えるの!?」

 

喪服の女性も驚いたせいか、灯里を離す

 

「そりゃあ見えるだろ?灯里?こいつの正体が分かったぞ?」

 

「え?」

 

「こいつが最近サン・マルコ広場をうろつく話を聞いてな?調べたら誰だかわかったんだよ?」

 

「誰なんですか?」

 

「それはな・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンパンマンだ!!」

 

「え?」

 

「え?」

 

アクトの言う通り、愛人はやっぱり幽霊をバカにした

 

「だってこいつ顔ないじゃん?知っているか?アンパンマンは顔がなくなると邪悪な存在になるんだぞ?」

 

「そんなわけないでしょ!?なんで私がアンパンマン!?顔がないからってそういう扱いにするのやめてくれる!?」

 

「そうだったんですね!そういうことは早く言ってくださいよ!そしたら私もあんぱんを作るのに」

 

「ちょっと!?なんであなたまで騙されているの!?この坊やの言うことを信じちゃだめよ!!」

 

喪服の女性があまりの言葉にツッコミした。愛人はやっぱりバカだった顔がないからアンパンマンってどういう解釈しているだろうか、灯里も恐怖が消えたのか、幽霊の正体を誤解している

 

「よし灯里!この墓の奥で厨房があるからあんぱん作るぞ?」

 

「はい!!」

 

「ちょっと私の話聞いている!?私の顔がアンパンマンとか体的にバランス悪いんだけど!?ていうかそんな顔とか色々困るんだけど!?」

 

美人の体にあの丸いアンパンマンの顔をつけるとかどんだけバランス悪いだろうか、ていうかサン・ミケーレ島に厨房なんてあったんだ?食材は愛人が自前で

 

「じゃないとお前まともに戦えないぞ?ほら?」

 

「え?」

 

愛人は横にいるデカイデブ猫。ケットシーが戦闘態勢で待ち構えていた

 

「何よあれ!?私今からあんなのと戦うの!?」

 

「待っていろ!灯里!新しい顔を焼くよ!」

 

「はい!」

 

「『バタ子!新しい顔を焼くよ!』みたいに言わないの!!?」

 

なんだかんだで喪服の女性はケットシーと戦う羽目になった

 

 

レディーファイ!

 

「ちょっと!?何この格闘ゲームみたいな感覚!?おかしいんだけど!?」

 

「にゃん龍拳!!」

 

「あんたもあんたでおかしいでしょうが?!それ絶対⚪︎龍拳でしょ!?」

 

ちなみにケットシーの体力1000、喪服の女性は体力200

 

「なんで私の体力こんなに低いの!?これでどうやって勝てばいいの!?この格闘ゲームレベルでもあるの!?」

 

なんだかんだで30分かけてケットシーの体力を300にまで減らせた

 

「私今生きているのが奇跡よ」

 

「よしできたぞ!」

 

「本当に持ってきたわ!?」

 

愛人の手には出来上がったあんぱんの顔。うまく焼き上がっている上に湯気が出ている。どうやら出来立てらしい

 

「ちょ!?それ本当に私の顔に!?」

 

「新しい顔よ!」

 

愛人は喪服の女性に向けてあんぱんを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メテオジャムで投げる

 

「それええ!!」

 

「グヘエ!?」

 

あんぱんの顔は喪服の女性の腹に直撃し倒れた。明らかに恨みがあるかのような投げ方だった

 

そのまま喪服の女性は倒れたまま立ち上がることなくKO

 

「あらら、俺のあんぱんジャムでやられちゃった」

 

ちなみに愛人の必殺技。『あんぱんジャム』あんぱんの中にいちごジャムも入っていて美味しいし、ダメージは3000

 

「随分と強いにゃ」

 

その必殺技に引いているケットシー

 

「愛人さん!幽霊を倒したんですね!」

 

幽霊を倒した灯里は喜んでいるが

 

「何言っているんだ?真の敵はまだいるぞ?」

 

「え?誰ですか?」

 

「あいつ」

 

「え?」

 

「にゃ?」

 

邪悪な笑みをした愛人はケットシーの方に指を指す。

愛人は最初から灯里を助けるためでもあるが

 

 

 

同時にケットシーを捕らえるという目的もあった

 

「なんでにゃ〜〜〜!?まさかまた私を食べる気にゃ!?」

 

「さあ!!アンパンマンもいなくなった今!!テメエを焼きたてにする時だ!!」

 

「やっぱり食べるきにゃあああああああ!?」

 

「ハヒフヘホーーーーーーーーー!!!」

 

「バイキンマンにゃ!?この男バイキンマンにゃ!?邪魔であるアンパンマンを私に倒させて、疲れた私を食べるきにゃ!?黒幕はあの男にゃ!?」

 

愛人の頭にはバイキンのトサカのようなものが生えていた

 

レディーファイ!

 

「逃げられないにゃ!?どうして逃げられないにゃ!?」

 

愛人の体力1000000000000000000ポイント

 

「勝てないにゃ!?絶対に勝てないにゃ!?チートがいるにゃ!?あんなデカイ体力削れないに決まっているにゃ!?絶対あの男のレベルはMAXにゃ!!?ていうか体力いくつ何にゃ!?あの男の体力が完全に化け物にゃ!!!無理ゲーもいいとこにゃ!!」

 

明らかにケットシーの勝敗はなくなっていた。これぞ弱肉強食

 

「喰らえお邪魔虫!!ハヒフヘホ玉!!!」

 

「なんにゃそれはああああああああ!?」

 

 

愛人は両手を上に上げ、元◯玉ぽいの出して投げた。ケットシーはその光の玉にぶつかり消えた。

 

「ち、逃げられたか。あのデブ猫め今度こそ食ってやる!」

 

「あの?愛人さん?」

 

「おおお、帰るぞ灯里?アリシアが心配しているから?」

 

「あ、はい」

 

ケットシーと喪服の女性はいつの間にか消えていた。あの後どうなったかは知らない、灯里は愛人と一緒にARIAカンパニーに帰った。まるで何事もなかったかのように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てことがありまして」

 

「兄さん素敵です!」

 

「後輩ちゃん!?愛人に憧れている場合じゃないでしょ!?完全に愛人がバイキンマンなんだけど!?悪党に憧れちゃダメでしょ!?」

 

次の日昨日の出来事を正直に話す愛人。アリスは素敵だと憧れるが、藍華は愛人が完全に悪党ということにツッコミする

 

それはそうだろう。ケットシーを食べるために幽霊を排除するために悪党になるなど外道以外他にない。悪党には悪党てか?

 

「しかも愛人さんの言う話だと、あの怪談はこのネオ・ヴェネツィアが作られた後誰かが広めたデマな作り話だったそうだよ。本当に良かった!」

 

「でも灯里達が出会ったその喪服の女性は誰なんだろうね?」

 

「愛人さんもそれはわからないって?一応エンジェル騎士団はその女性を調査はするみたいだけど?」

 

「ともかく良かったわあんたが無事で昨日は心配だったんだからね?会社に帰ってきてないアリシアさんから聞いてみんなで街中探したんだから!」

 

「ごめんなさい」

 

とにかく何はともあれ灯里が無事なのは何よりだ

 

「・・・・・・」

 

「どうしたの後輩ちゃん?もしかして灯里が無事で泣いているとか?」

 

さっきからアリスが黙っていた。さっきの話に何かきになることでもあるのだろうか?

 

「いえ、そういうわけじゃあないんですけど、二人は最近この町である噂が流れているんですけど?知りませんか?」

 

「え?また噂?」

 

「また怪談話?もう信じないわよ?」

 

「いえ、今回の噂は怪談は怪談なのですが、少し奇妙な噂で街の皆さんや私の会社もほとんどが目撃している噂なんです」

 

「な、なにそれ?オレンジプラネットの会社でも流れている噂」

 

「はい、内容は『街の地面に血だらけの足跡が残されている』という噂が流れているの知っていますか?」

 

「なにそれ!?血だらけ足跡!?不気味!?」

 

「はい、最近夜でネオ・ヴェネツィアの街の地面に血だらけの足跡を見つける人が多くいます。噂になっているのですが、夜中に誰かが街に通りかかる人を無闇に殺すという噂が流れているんです」

 

「なにそれ!?怖い!!」

 

「本当に怖いよ!」

 

「まだ噂ですから大丈夫なはずです」

 

アリスの会社の人たちもそういう話をもう誰もがするようになっている。こんな平和な街に殺戮のような事件があるなど三人は信じたくはなかった

 

「おや?練習かい三人とも?」

 

「あ、アクトさん!」

 

三人の会話を聞いたのか、たまたまアクトがやってきた

 

「どうしたんですか?まさかあのバカ愛人がまたサボりやがったんですか?」

 

「藍華先輩?兄さんをバカにすると殺しますよ?」

 

「そうだよアリスちゃんの言う通りだ。あいつは引き続きある調査をしているよ?そこまでバカじゃないさ」

 

「まあ、あいつは根は真面目だしね」

 

「ところで何の話をしていたんだい?」

 

「あ、アクトさんは最近この街で流れている噂を知っていますか?」

 

「っ!まさか夜中の街の地面に血だらけの足跡が残るという話かい?」

 

「はい!そうです!怖いですよそんな噂」

 

「そうか、君たちも聞いたか、なら君たちにも言っておく」

 

「え?」

 

「何をです?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その話は噂じゃない。本当だ」

 

「「「!?」」」

 

なんと噂ではなく、本当に血だらけの足跡がこの街にあるそうだ

 

「実は先日も明朝に発見した。これで10件だ」

 

「10件も!?まさか誰かが人を殺したんですか!?」

 

「いや、殺人事件じゃないんだ」

 

「え?どういうことですか?」

 

「実は最近それについて調査しているのだが、街で死人は誰もいなかった。街の住んでいる人を全員を調べたところ死人は誰もいなかった。信じられないかもしれないが、誰の被害もなく血だらけの足跡だけが夜中に出てくるという不可解な事件が最近多発しているんだ」

 

「まさか・・・・血だらけの幽霊が夜中の街にうろついているとか?」

 

「怖い!!」

 

「とにかくエンジェル騎士団はここ一週間から夜勤も入れることにした。こんな不可解な事件を我々は見過ごすことはできないため警備をすることになった。君たちも会社に戻れば言われると思うが、一週間あたりの夜は必ず一人にならないことは承知しておいてくれ?」

 

「「「はい!」」」

 

そんな不可解な事件により、アリシア、晃、アテナから三人に合同練習は18:00までとなった。身の安全のためである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「困ったわ。遅くなっちゃったわ」

 

アリシアは珍しく、会社の仕事で遅くなってしまった。エンジェル騎士団の警報により、一人での夜中の外出は禁止の規則があるのに、仕事のせいで一人で帰ることになってしまった。しかもゴンドラでの移動でなく。歩きの移動だった。下手をすればアクトの言っていた事件に関与する人と出くわす可能性がある。そのためアリシアは少し早歩きで帰る。海沿いの方を歩いていた

 

「あら?」

 

すると、前方に見える海岸沿いに古い壊れた船があった。その上で、白いTシャツと黒いスボンを着た青い髪の男性が居た。

 

「誰だろう?あんなところで何をしているのかしら?」

 

壊れた船の上で海を見ていた。背中を向いてて顔は見えない。あんな古い壊れた船の上で何をしているのだろう?アリシアはその男性に話しかけようとする

 

 

 

 

ところが

 

「え?」

 

男性はカチャと地面に置いてあった刀を掴み、抜く

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の首を斬った

 

「ひ!?」

 

あまりの衝撃にアリシアは驚く。男性の頭がコロと地面に転がる。首から大量の血が噴き出した

 

何と自殺したのだ。壊れた船の上で自分の首を自分で斬ったもだ。あまりの恐怖にアリシアは街の建物の裏に隠れてしまう。

 

「はあ・・・はあ」

 

怖いよりもとんでもないものを目にしてしまった。人が自殺する瞬間を見るなど、驚く以外ない。アリシアは呼吸がうまくできず、その場に膝を付く。吐き気はしない。ただ怖くてその場から動けなくなる

 

本当ならすぐにエンジェル騎士団に通報するべきだが、それすらできない。怖いと言う気持ちではなく、なんでそんなことをするのかという気になる衝動に心がいっぱいだった。あんなものを見たせいで心が落ち着かない

 

すぐにその人の顔を見ようと建物の裏から出てこようとするが

 

さらに衝撃が続く

 

「ああ・・・・・やっぱりダメか」

 

「!?」

 

なんと壊れた船の方から声がした。アリシアは手元に持っていた化粧用の鏡をその方向に移す。

 

「そ、そんな!?」

 

さらにアリシアは怯える。なぜなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男性が首が斬れたまま立っていたからだ

 

「あの女みたいに、首を斬れば死ぬかと思ったがダメか、いい考えだと思ったんだがな〜」

 

「はあ・・・はあ・・」

 

アリシアは口を手で押さえたままその鏡を見て怯える。あの男性が幽霊で間違えなかった。首が斬れているのに、刀を持って背伸びをして動いていた

 

「しばらくはやめるか、あいつらも夜勤調査を始めたし、死ぬ方法が他に見つかるまではしばらくはやめようか、見つかると厄介だし」

 

「・・・・・・一体誰なの?」

 

アリシアは背中越しで顔は見えない。どうして首が斬れたのに生きているのだろうか

 

「やっぱり俺は何があっても死なないんだな」

 

その言葉を口にし、首が斬れた男性は壊れた船から降りた。そのままサン・マルコ広場の方へ歩いて行った

 

「はあ・・・はあ・・・はあ誰なの?」

 

あの後アリシアは壊れた船の方へ歩いた。そこで壊れた船に血のよう跡が大量の付いていた。だが死体は何もなかった。斬れた首も無い。血だけがその場に残った。その男性を追うことなできなかった。もしかしたら呪われると思ったから

 

 

それから1週間後、アリシアが見た壊れた船に付いた血の跡を発見して以来、夜中に血の足跡を見つかることはなかった。誰一人も犠牲者も出ないまま、その事件は単なる噂で終わった

 

 

 

アリシアがあの夜に目撃したあの光景は、さすがに誰にも言えなかった。信じてはくれないだろうし、そんな怖いことを他の人間に話せるわけがない。深く関われば自分の身を危険に晒すからである

 

それにもう夜に首が斬れた彼はあの壊れた船に現れることはなかった

 

 

その光景からアリシアは一つ気になることがある

 

首が斬れた男性は確かに背中ごしで顔は見えなかった。

 

だが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その男はアリシアが知っている友人の声と似ていた

 

ということだけ

 

 


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