ARIA 〜cavaliere storia〜   作:ソール

15 / 22
第十五話 ケット・シー

「はあ〜〜、眠い。昨日夜までアリスたちと宴会で暴れていたから眠い〜〜」

 

「愛人くん。もうオレンジ・プラネットに転職できるんじゃない?」

 

昨日の事件で救出協力したことで、

オレンジ・プラネットの評判高くなった祝いとして、会社でバーベキューをして、夜遅くまで遊んでいたらしい

 

今日はラファエル隊長のアイナと一緒に初のパトロールをしていた

 

「なあ?アイナ?今日はどこでパトロールする?」

 

「そうね・・・・あら?」

 

「ん?どうした?」

 

「あれ・・・・・ARIAカンパニーのアリア社長じゃない?」

 

パトロールしている道の先にアリア社長が居た。しかも一匹だけで、灯さとたちとは一緒には居なかった

 

「なにしてんだ?あいつ?」

 

「見て!あれ!」

 

「ん?まあに!?ヒメ!?」

 

なんとアリアだけでなく、オレンジ・プラネットのまあ社長や姫屋のヒメ社長も居た。

 

「なんでまあやヒメまで居るんだ?」

 

『もしかしたら。『猫の集会』かもしれませんね?』

 

「猫の集会?アラエル知っているのか?」

 

『マンホームのハイランド地方に伝わる昔話で、猫は自分たちの王国を作っているのです。その昔話によると、自分の家から猫がなくなった時は猫の王様が国中の猫を集めて集会を開いているんですよ?』

 

「猫の王様?それってまさか?」

 

『はい、マスターも神話や童話のような本を読んでいますから知っているはずです、猫の王様『ケット・シー』です。』

 

「おいおいアラエル。まさかとは思うが、そ童話で伝説の獣のケット・シーが今でも実在しているなんて言わないよな?」

 

『ケット・シーが居るかはわかりませんが、少なくとも猫だけでなにかしているのではないかと思いますよ?』

 

「猫だけね〜〜」

 

愛人は確かに薄々は気になっていたことがある

アリアたち猫が、たまに一匹でどこか行く習慣がある

 

愛人はそれが気になってしまい

 

「おいアイナ?」

 

「なに?」

 

「アリアたちを追いかけるぞ?」

 

「へ?」

 

愛人はアリアたちが、猫だけでなにをしているのか気になり

アリアたちを追いかけることにした

 

アリアたちは小さなゴンドラに乗っているのを見かけ

エンジェル騎士団専用のゴンドラで愛人が操縦して追いかける

 

アラエルの『スカイバード』で見失わないように、上空で追いかけていた

 

「本当に猫の王国なんてあるのか?」

 

「そんなかわいい王国があったら私も見てみたいけど、残念ながら人間は入れないって私も聞いた事があるわよ?」

 

「そこのところは俺も知っている。確かケット・シーが妖術をかけているとかな、んなもん関係無しに俺は見つけてこの目で見てやる」

 

「愛人くん。どんな神経しているのよ?」

 

「もしケット・シーを見つけたら、今日はごちそうだな」

 

「食べるの!?愛人くん!?ケット・シーを食べる気!?」

 

今日の愛人も相変わらずキチガイな考えをしていた

この世には知っていけないこともあるという言葉があるが

 

それが例え命が賭けられたとしても。愛人はそれを知り尽くすまで

 

地の果てまで追いかけるだろう。ていうかもしそんなことになっても、愛人が殺されるようなたまじゃないし、猫を食べようとするこのおバカに逆に食われるだけ、心配しても無駄だった

 

実はこれはアラエルしか知らないことだが、昔愛人はいろんな生物を使って料理し、それをマジで食べたことがある

 

その使った生物は・・・・・・・・・・

 

人間が絶対に食べようとは思わない生物

詳しいことは食欲がなくなるので説明しません

 

なにを食べたかは読者の皆様のご想像に任せます

 

「あれ?愛人さん?愛人さん!!」

 

「ん?灯里?それに藍華とアリス?」

 

「あれ?何しているのあんた?ってその隣の人ってまさか!?」

 

「兄さん!?どうしてラファエル隊長のアイナ・シルバさんと居るんですか!?」

 

愛人の乗っているゴンドラの後ろから

 

灯里と藍華とアリスがゴンドラに乗ってやってきた

 

まだアイナは3人とは初対面だ

 

「たまたま一緒にパトロールしていたとこだ。そんで今からアリアたちを追いかける」

 

「そうですか!はじめかして!ARIAカンパニーの水無・灯里です!」

 

「私は姫屋の藍華・S・グランチェスタです」

 

「あら?愛人くん?あなたARIAカンパニーと姫屋のお嬢様とお友達なのね?」

 

「藍華に関しては腐れ縁だよ?」

 

「私はオレンジ・プラネットのアリス・キャロルです。ところでアイナさんは兄さんとどんな関係ですか?」

 

「私?私はね・・・・・・・深い関係かな♪」

 

「兄さん?」

 

アリスはそれだけを聞き、どこからか注射器のような薬が出て来た

今にも人為変態しそうな勢いで

 

「おいアイナ?変なこと言うなよ?ふざけたことを言うと、今日のごちそうは無しだぞ?」

 

「え?なに?私の分も用意するつもりだったの?私の分までケット・シーの料理を用意するつもりで居たの?やめてよ?私猫は食べないから?」

 

愛人はいつの間にケット・シーの料理をアイナの分も用意するつもりだった

 

「ところで愛人さんもアリア社長を探しているのですか?」

 

「なんだ?お前らもか?」

 

「はい、さっきケット・シーって言ってましたけど、もしかして愛人さんたちも『猫の王国』を探しに来たんですか!!」

 

「猫の王国があるかはどうかはともかく、アリアたちのやっていることが気になるだけだ」

 

「じゃあ一緒に追いかけませんか?」

 

「お前ら今日練習じゃないのか?いいのか?」

 

「灯里のわがままで、その『猫の王国』を見てみたいがために、それを目的地として練習しているのよ」

 

「練習じゃねえよ。明らかにサボりじゃねえか」

 

「まあ私も気になります。まあくんがなにをしているのか気になります」

 

「まあいっか、わかった一緒に追いかけるか」

 

なんだかんだで灯里たちと一緒にアリアたちを追いかけることになった

 

しばらく追いかけると

 

突然アリアたちは狭い水路を曲がった

 

「ん?アリアの奴?なんでこんな廃墟に入ったんだ?」

 

「愛人さん?ここ知っているのですか?」

 

「ここはもう廃墟になって、建物がボロボロで危ないから立ち入り禁止にしていたのよ、でもなんで入り口が空いているのかしら?前私たち騎士団が閉めていたのに」

 

ここは私有地でもあって、建物がほとんどボロボロで、天井が崩れやすいため、エンジェル騎士団が扉をすべて閉めて、立ち入り禁止にしていたのだが

 

入り口が開いていたのだ

 

「あいつら、こんな何もないところでなにをするつもりだ?」

 

「追いかけるの?」

 

「ここまで来たんだぞ?追いかけるに決まっているだろ?」

 

水路は狭いので、先頭は愛人のゴンドラで進み、そのあとから灯里たちのゴンドラが追いかける

 

しばらく10分くらい漕いでいるのだが

 

狭い水路からでる様子が見えない

 

「この水路どこまで続くのかしら?」

 

「まるで迷宮に迷い込んだみたいだね?」

 

「恥ずかしいセリフ禁止!!!」

 

「ええーー!?」

 

「あ、言い忘れてたけど、ここ灯里の言う通り迷いやすいほど迷宮に近いぞ?」

 

「「「へ!?」」」

 

「ここは建物が落ちてくるだけじゃなくて、とても広くて迷いやすいていうのも立ち入り禁止にした理由なのよ。」

 

「そんな!?じゃあ私たちこのまま迷子で出れないの!?」

 

「それは心配ないわ。ここは何回も私たちが捜査したから、道は大体私と愛人くんがわかっているから、出れないってことは無いわ」

 

「そろそろ出口だぞ?」

 

愛人の言われた通り、出口が見えた

 

出口を出ると、廃墟になった建物があった

 

「これって・・・・まだアクアが火星って呼ばれていた頃の入植地跡ね」

 

「こんなところにつばがっていたのですね?」

 

「確かここは・・・・・昔はマンションだったんだよな・・・・・広すぎて迷いやすい為、もう誰も住めなくて廃墟になったって聞いたぞ?」

 

「久しぶりに戻って来たわね?」

 

「ところでアリア社長はどこに?」

 

「アラエル?どこだ?」

 

愛人が腕時計でアラエルに連絡するが

 

 

ブーブーブー

 

「なんだ!?」

 

「どうしたの?愛人?」

 

「アラエルと・・・・・連絡ができない」

 

「「「え!?」」」

 

なんとアラエルの連絡ができず、腕時計の音声から噪音で、何も聞こえかった

 

「まずいな・・・・あいつが連絡できないなんてこと、今までなかったんだがな」

 

「アラエルさんに何かあったんでしょうか?」

 

「まさかケット・シーにやられたのか?あいつがそんなやられるようなたまじゃないはずだが」

 

「あ」

 

「どうした?灯里?」

 

灯里は建物の中になにか居るのに気づいた

 

「あの建物に誰か居ます!?」

 

「嘘!?こんな廃墟に人がいるわけないでしょ!?脅かさないでよ!!」

 

「でも、どこにも居ませんよ?」

 

アリスもみんなも建物の方を見るが、誰もいなかった

 

「仕方ない。アリアがどこにいるかもアラエルがなにがあったのかは知らないが、このまま進むしかない」

 

「え!?行くの!?」

 

「アラエルやアリアを置いて行くわけにもいかないだろ?」

 

「ううう、仕方ないわね!灯里!!漕いで!!」

 

「う、うん!」

 

引き返しても仕様がないため、このまま進んだ

水路は一本道しか無いため迷うことはなかった

 

だが

 

「・・・・・・アイナ?気づいたか?」

 

「ええ、静すぎるわ」

 

「どうしたの?」

 

愛人とアイナがここの水路を通ってみて、気づいた

 

「ここ変だわ。音がなにも無いし静すぎる。前捜査した時はこんな静かじゃなかったわ」

 

アイナは以前、この場所を何回か捜査しているから、この場所のことはだいたいのことは把握している

 

だが

 

以前来たよりも雰囲気が違っていた

 

「それだけじゃない。灯里?お前も気づいているだろ?」

 

「もしかして愛人さんやアイナさんも?」

 

「ああ、誰か俺らを見ている!」

 

「「え!?」」

 

「数は・・・一匹だけじゃないわね?」

 

「ああ、周囲に多数いる。しかも人じゃないな?」

 

エンジェル騎士団の訓練を受けているアイナと、普段感知の鋭い愛人二人はこの気配に瞬時に反応した

 

エンジェル騎士団は反応や気配でも感知しやすい訓練を受けている。これは犯人や事件にいち早く気づくための手法である

 

二人は見られている視線に気づいた

 

「どうする?もしもの場合は戦闘体勢とっていいんだろ?」

 

「状況によるわね?今は剣を収めといて?」

 

「仕方ない灯里?俺の代わりに漕いでくれるか?さすがにまずい状況だ。俺がいつでも動けるように、俺の代わりに頼む」

 

「は、はい!藍華ちゃんお願い!」

 

「え、ああうん!」

 

灯里は愛人のゴンドラに乗り移って、灯里が操縦する。灯里のゴンドラは代わりに藍華が操縦する

 

そして一本道で進む

 

「どうしよう。怖くなって来た」

 

「大丈夫だから、俺がついてるから心配するな?灯里?」

 

「あ、愛人さん・・・」

 

「コラ!二人の世界禁止!!」

 

「ええーー!?」

 

「灯里先輩!兄さんに近づくの禁止!!」

 

「ええーー!?」

 

「あなたたち愉快ね?・・・・・・あら?」

 

アイナは進んでいてあることに気づいた

 

それは

 

「おかしいわ。ここを進めば出口に出るはずなのに、さっきから同じ道だわ」

 

「どうなってやがるんだろうな・・・」

 

「どうします?」

 

「このまま進もう。止まっても仕様がない」

 

愛人の指示で進むが、さっきから同じ道を通っていた

 

「まずいな・・・一本道だと言うのに、なんで同じ道が続く」

 

「変ね?どうなっているのかしら?」

 

「あれ?藍華ちゃん?」

 

「ん?アリス?どこだ!?どこに行った!?」

 

なんと後ろに続いていた藍華とアリスが消えた

 

「藍華ちゃん!!アリスちゃん!!」

 

「どうなっているのかしら!?」

 

「・・・・・・・・」

 

灯里はさすがに衝撃の事態に落ち着かずでいられなかった

アイナも藍華とアリスが消えたという事態にさすが冷静で居られなくなったのだ

 

だが一人

 

二人が消えてもなお、冷静で状況を分析していた愛人がいた

この迷宮脱出する方法を探していたのだ

 

そもそも一本道だと言うのに迷うのもおかしい

アイナはこの水路の道を知っているのにも関わらず迷った

 

だとすれば

 

本当にケット・シーかなにかが、自分たちを迷わせたに違いない

 

いい加減見られるのも愛人は飽きたため

 

「愛人さん?」

 

愛人は剣を抜き

 

 

そして

 

「うらあ!!!」

 

剣を後ろの方へ投げた

 

剣を投げた先にバリン!!とガラスが割れたような音がし

見えない壁のようなものが後ろにあり、それを壊した

 

「見つけたぜ」

 

そしてその先から

 

「にゅ」

 

「にゃ」

 

「まあ」

 

『マスター』

 

猫の大軍が建物の上に座っていた。

 

中にはアリアやまあやヒメやアラエルも居た

 

 

更にその真ん中に

 

「嘘・・・・」

 

「伝説は本当だって言うの?」

 

灯里とアイナはその見た光景に驚いた。いや、その真ん中に座っていた

デカイ猫に得に驚いた

 

「・・・・・」

 

牛みたいに大きく

洋服を着ていた黒猫が座っていたのだ

 

「お前は・・・・・・・・」

 

 

伝説は本当だったのだ

 

今でも猫の王様、そして王国も実在したのだ

 

彼女たちの目の前にいたのは間違いなく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドラえもん!!?」

 

「「え!?!?」」

 

ケット・シー・・・・・・・・あれ?

 

「愛人くん?これさ?」

 

「ああ、間違いねえ、ドラえもんだ!!」

 

「んなわけないでしょうが!!なんで猫型ロボットなのよ!?機械じゃないし!!?なに?あの体型が悪いの!?あの体型がドラえもんに似ているから!?」

 

愛人はなにを見たら、ケット・シーをドラえもんに見えるだろう

 

「な・・・」

 

「「「え?」」」

 

「なんでにゃあああああああああ!?」

 

「「えええええええええええ!?」」

 

なんとケット・シー自身が喋り出したのだ

愛人のアホの発言に突っ込まずには居られなかったらしい

 

「なんでにゃ!?私はそんなに太ってるのかにゃ!!!?」

 

「だって、お前明らかに『どら焼き』食ってそうな顔しているし」

 

「顔判断!?まさか顔判断!?!?どういう頭しているにゃ!?」

 

愛人は驚く事もなく、ケット・シーと会話をしていた

 

「そんなことはともかく・・・・おい!アラエル!」

 

『え?あ、はい』

 

「アレを?」

 

『はい』

 

アラエルがアームから手錠を持っていた。それを愛人は受け取り

 

そして、愛人はケット・シーの両手を手錠で拘束し

 

「ええ、不法侵入なので、ドラえもんくんはウチの本部まで来てもらうね?」

 

「なんでにゃああああああああああ!?」

 

なんとケット・シーを捕まえて、本部まで連れて行こうと、手で手錠を拘束するだけでなく、どこからか長い鎖を出して、更にグルグル巻きに拘束し

 

自分の乗っていたゴンドラに乗せる

 

「愛人くんなにをするつもり!?」

 

「なにって?食べるんだよ?うまそうじゃんこいつ?」

 

「マジで食べるの!?言っておくけど私は食べないからね!?ていうか猫に呪い貰いそうだからケット・シーを解放しなさいよ!!」

 

「ああん?ケット・シー?こんなアリアよりデカイ腹がケット・シーなわけないだろ?」

 

「ぷいにゅ!!!?」

 

アリアもその言葉にショックを受ける

 

『にゃーん!!』

 

ケット・シーの部下の猫たちが『私たちの王様を返せ!!』と言わんばかりの鳴き声を発したが

 

 

「おい?食うぞ?」

 

愛人が今まで見せたことのない。怒った顔で猫たちを睨んだ

その顔はまさにライオンの吠える顔、猫達はそれに怯えなにも言えなかった

 

「なんで助けないにゃ!?この男がそんなに怖いのかにゃ!?」

 

「さあて、本部に戻って焼肉だ!!」

 

「ちょっと愛人さん!?本当に持ち帰るのですか!?」

 

「よし!!そんじゃあ戻るぞ!!」

 

「助けてくれにゃあああああああああああ!!!」

 

 

そのあと愛人たちは無事にアリスと藍華と無事に合流し。脱出した

藍華たちは愛人たちが見失ったあと、無事に外に脱出していたのだ

 

アリアたちも無事に連れて来た

 

そしてケット・シーなのだが、廃墟の迷路に脱出している途中

いつの間にか脱走していた

 

灯里とアイナは藍華とアリスにケット・シーが実在したことを話すが信じてはくれなかった

 

愛人はそんなことよりも

 

次ケット・シーに会ったら

『しゃぶしゃぶ』にしてやると心に誓った

 

ちなみに愛人はあのデカイ黒猫がケット・シーだとは気づいてない

 

ケット・シー自身も、もう二度とあのような男には会いたくないと

警戒心全開でこの町をうろつくことにした

 

この世界でも、猫の王様なんかよりも

 

百獣の王、もしくは魔王ルシファーという名の危険な存在もいるということだ

 

「それ愛人くんじゃない!?」

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。