ARIA 〜cavaliere storia〜   作:ソール

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社会人に入った私で
更新する暇もあまりないのに

また新しい作品はじめしました


第一話 ネオ・ヴェネツィアにようこそ

西暦2300年の未来、火星はテラフォーミングされ水の惑星となった、今は火星で無くアクアと呼ばれ。ネオ・ヴェネツィアと呼ばれる。地球のイタリアに存在した都市・ヴェネツィアの風習や街並みを再現した観光都市である。地球のヴェネツィアはすでに水に沈んでおり、多くの建築物がネオ・ヴェネツィアに移設されていた。また、日本人の入植地が近接していたことにより、日本文化の影響もみられる。

 

「はあ〜、ここが火星アクアでネオ・ヴェネツィアか〜」

 

彼の名前は七海・愛人

 

高等部卒で警察官になり、転勤により火星『アクア』のネオ・ヴェネツィア警察本部に移動された

 

彼はここ火星『アクア』に来るのも初めてであり、ネオ・ヴェネツィアのことも、聞いたことはあるだけであって、行ったことも一度も無い

 

更にこの男

 

「ヤベエ、警察本部どこだろう?」

 

ネオ・ヴェネツィアの地図も持ってないし

調べもしなかった

 

ネオ・ヴェネツィアはとても広く、迷子になりやすいほどの広さの都市だった

普通行った事の無い場所は必ず前日に場所を把握し、地図を買って調べるのが常識なのだが

 

この男は

 

「ま、地図を買うのもダルイし、とりあえず歩いてれば着くだろう」

 

面倒くさがり屋なのだ

しかも場所もわかっていないのに、そこら辺歩いて着く訳が無い

場所もわからないのに、普通に歩いただけで着くほど、ネオ・ヴェネツィアという都市は甘くない

 

ただでさえここには

 

「ん?へえ〜、あれがウンディーネか?」

 

歩いている途中ゴンドラを漕いでいる女性がいた

 

ウンディーネとは

ネオ・ヴェネツィアでは地球のヴェネツィアと異なり、ゴンドラ漕ぎによる観光案内を女性が担っていた。それがこの職業をウンディーネだ。観光産業で重要な役割を持っている。ちなみに女性専用

 

つまりは、それほどここは広く。案内人がいないと迷う可能性が大というわけだ。ここは観光としても評判であり、それと同時にウンディーネという職業も評判である

だが、彼には

 

「へえ〜、あれがウンディーネなんだ〜」

 

どうでもいいみたいに、ゴンドラを漕いでいるウンディーネを少し見て通り越す

 

しばらく観光客みたいに町を回る

というか、警察本部に行くということを忘れてないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後

 

「あ、ここか。ネオ・ヴェネツィア警察本部」

 

どうやらマジで適当に歩いただけで着いたらしい

運がいいのだろうか、ここは広いし、ここは愛人は来た事の無いはず

どうして歩いただけで着いたのだろうか、運がいいだけとは思えないのだが

 

そんなことはともかく中に入って転勤したってことを報告し、ここの仕事を聞いてさっさとここの警察の仕事に慣れる様にするのだった

 

けど、めんどくさいな〜って心で思っている

 

 

 

 

 

 

「君が、こちらに転勤した七海・愛人君だね?」

 

「そうです〜、七海・愛人です〜。よろしやす〜」

 

「え?あ・・・うん。よろしく。僕はここの巡査部長のアクト・ハーヴィだ。よろしく」

 

「うす、よろしやす」

 

(あれ?なんかやる気なさそうだけど?)

 

お互い握手するも愛人の顔はダルそうな顔していた

一番大事な第一印象をダルそうな顔で終わらせた

 

アクト・ハーヴィ

ここネオ・ヴェネツィアの警察本部の巡査部長

ここの本部の責任者である

 

ちなみに愛人は巡査

 

「それで君はどうして転勤したんだい?あっちの方が仕事が慣れているだろう?」

 

アクトは本人が転勤してこちらに来るという話はついているが、なんで彼がこんなところに来たのだろうか、プロフィールが届いていて見てみたのだが、彼はネオ・ヴェネツィアに来た事も無いらしい、なのになぜここに転勤したのだろうか

ちなみにこちらは人手不足でも無い

 

なにかあったのではないかとアクトは聞いてみる

 

「ああ、ちょっとやらかしてこっちに転勤されたんだよね」

 

「え?やらかした?」

 

愛人の言葉にやらかしたと出た

まさかルールを破るようなマネをしたのだろうか

警察としてなにかしたのだろうか

 

「ああ、実は喧嘩して、こっちに飛ばされたんだ」

 

「喧嘩!?なにをしたの!?」

 

「ああ、実は居酒屋で喧嘩したんだ」

 

 

「居酒屋!?」

 

アクトは考えた

居酒屋ってことは酒を酔った勢いで喧嘩をしたのだろうか

 

「まさか!?酒の酔い!?」

 

「いや・・・・オレは酒飲まないよ?」

 

「え?」

 

酒は飲まないのなら?

じゃあなんで喧嘩に

 

「酒で酔ったのは上司で、その上司がムカつくひつこいくらい虐めてきてさ?だから病院送りにして、あの上司が嫌でこっちに来たのさ?」

 

「上司を病院送りにした!?お前なんてことしているんだよ!!」

 

「ちなみに上司は警部で、なかなか面白かったぜ?」

 

「誰が感想を言えって言ったよ!?ていうかよくクビにならなかったな!?警部相手に喧嘩売って!?只ではすまないはずだよ!?」

 

「大丈夫だって、もしそうなったら、オレあの上司の隠し持っているエロ本、みんなにばらすし、あっちもあっちで脅迫してくるオレが嫌でこっちに転勤されたんだよね〜」

 

(なんて奴だ!?警部相手に脅迫!?なんなんだこいつは!?)

 

アクトはこんな危険人物を手元に置くのが怖くなった

いつか自分も脅迫されるだろうか

というよりこんな奴をネオ・ヴェネツィアに置く訳にはいかないとも考えがある

 

まあ、まだ初日だし、ここは様子見でってことで

 

そういえばとアクトは思い出した。確か彼のプロフィールに問題児という用語があったことに彼の扱いは少し難しくなりそうだなと思った

 

「と、とりあえず、ここ町の仕事を教えよう。ついてきてくれ?」

 

「へい〜」

 

やる気の無い返事で仕事の内容を説明した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけな?今日は僕のやることを見てもらいたいから、このまま外にパトロールしに行こう?」

 

「わかりやした」

 

「あの?僕には敬語じゃなくていいけど、市民の人にはできれば敬語でお願いね?」

 

「了解しやした」

 

(大丈夫かな〜〜)

 

意外と敬語もなってない敬意ってものがないのだろうか、まさかマンホームでもこうなのだろうか

 

とにかくボートを用意し、海の上でパトロールをしようとする

 

「へえ〜?やっぱりボートで見回りをするのか?」

 

「うん、ここ水の都だからね。ボートで見回りをするか、もしくは歩いて観光客を迷った人を案内させるとかだからね、後は船やゴンドラの駐車かな?」

 

「へえ〜、てっきりスリだとか、取り締まるしか仕事無いかと思ったけど?」

 

「それは全然無いね。ここは優しい星でもあるからな、そんな悪い事件は今までに一度も無いからね?」

 

「へえ〜、平和でいいじゃん」

 

「まあね、とにかく僕たちネオ・ヴェネツィア警察は見回ることと、ルールを守るようにするのと観光客が困った時は助けるのが仕事だ」

 

「そう?見回るだけなら楽でいいや、おかげで疲れずに済むぜ?」

 

「お前?それでも警察官?いくらなんでも警察官の言葉とは思えないぞ?」

 

「は?だってめんどいじゃん?警察官なんて公務員なんて税金をむさぼるだけの無能集団じゃん?金貰えるだけで動いているだけじゃん、警察官なんてそんなもんだろ?」

 

「お前本当に警察官!?警察官じゃねよ!?お前警察官じゃなくてもはやゲスだ!!」

 

「あ〜〜、働きないでござる〜〜」

 

「ついに働きたくないって言いやがった!?こいつどんだけやる気が無いんだよ!?」

 

こんなバカに仕事の説明もするも

ボートに乗り、とりあえず町をパトロールする

 

そんな中

 

「やっぱりウンディーネが多いな?」

 

パトロールしている途中ウンディーネのすれ違う事が多かった

気になったせいか聞いてみる

 

「なんだ?ウンディーネには興味はあるんだな?」

 

「いや、無えよ?ただ多いなって思っただけ?」

 

「その割にはよくわかったじゃない。あの制服だけでウンディーネだって?」

 

「まあな、ニュースでも結構やってたからな〜、まあそれなりにはな・・・・・ん?」

 

喋っている途中、愛人が何かを見つけたのか、喋るのをやめた

 

彼が見つけたのは

 

 

ゴンドラを漕いでいた人だった

その美貌をより一層際立てるブロンドのロングヘアーを後ろで編み込んでいる人

 

それは

 

 

 

アリシア・フローレンスだった

 

愛人がそれを見つめていた

彼は彼女のゴンドラの漕ぐ姿を見つめていた

 

「・・・・あの人」

 

「お?なんだ?お前も一目惚れか?」

 

「は?なんで?というか知っているのあの人?」

 

「え?お前は知らないのか?」

 

「いや、知らないけど?なに?そんな有名なの?」

 

「はあ〜、まさか知らないとは、雑誌によく載っているだろう?アリシア・フローレンスだよ?」

 

「アリシア?・・・・・ああ、確かによく載っているな?」

 

アリシア・フローレンス

 

ネオ・ヴェネツィア一の人気を誇るウンディーネである

 

 

『水の3大妖精』と称えられている存在で、通り名は『白き妖精(スノーホワイト)』

 

 

その舵さばきは無駄がなく、かつ美しさも兼ね備えている

そして何よりアリシア自身が美しいので全く隙がない

彼女が優雅にゴンドラを操る姿は、まさに水の妖精の如

 

その魅力ゆえ、彼女を指名する客も多く、非常に多忙な生活を送っている

彼女の漕ぐゴンドラに乗るため、ARIAカンパニーへ直接足を運ぶ客も多い

ARIAカンパニーが現在社員2名で成り立っているのも彼女の業績が大きい

ファンも多いと聞く

 

「へえ〜、あれがそうなんだ?」

 

「ああ、どうした?やっぱり惚れたか?」

 

「いや・・・・・・・・・・腹黒そうだなって思って」

 

「お前はあのアリシア・フローレンスをどう見たらそう見えるんだ!?」

 

一体彼はあの美しさをどう見たら、そういう風に見えるのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことをしている間にも昼になり、昼食を取っていた

 

「ふ〜ん、ここのパスタうまいな?」

 

「だろ?ここは君でも気に入るぞ?」

 

アクトのオススメのレストランに行き。今はパスタを食べて、いろいろここでの仕事を話していた

 

 

「ま、そんなことよりも、まだ見回りやるのか?正直ダルいんだけど?」

 

「はっきり言うなお前は?仕方ないだろ?これも立派な仕事だ?お前だって仕事ってやったろ?」

 

「ああ、やってたよ?・・・・・・・・ちょくちょくコンビニで『プリマをねらえ』ってのを 読んでたけどね?」

 

「お前は本当にそれでも警察官かよ!?」

 

アクトは呆れた

まさかパトロール中にサボっていたとは、そろそろこいつに渇でも入れてやる気出せるようにしないと、こいつから問題を起こすかもしれない

 

というかよくクビにならないなと思っている

 

「さて、食い終わったし、行こうぜ?」

 

「え?」

 

「パトロールの続き?するんだろ?」

 

「・・・・・」

 

これは意外だった

まさか彼はあれほどやる気が無く。パトロールもめんどいと言っていたはずなのに

まさか自分から仕事に専念するとは、

 

彼もやる時はやるみたいな男なのだろうか

アクトは未だに彼の考えていることがわからない

 

「ほら?行こうぜ?」

 

「あ、ああ」

 

そう言いながらも、今度は愛人が船を漕ぎ、パトロールを続ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

「お前?漕ぐのうまいな?」

 

「そうか?漕ぐのは初めてだぜ?」

 

「マジで?」

 

実は愛人はこう見えて船を漕ぐのは初心者だった

なのに、船を動かすのがうまく。船が全然揺れなかった

 

「まるでウンディーネみたいだよ?」

 

「オレはオカマかよ?」

 

「別にそう言っているわけじゃない。ただウンディーネみたいに漕ぐのがうまいって言っているだけだ?」

 

愛人はその言葉を聞いて、質問する

 

「なんだ?ウンディーネって、ただお客を乗せて目的地まで、ゴンドラで漕ぐ仕事じゃないのか?」

 

「簡単じゃないさ、漕ぐって言ってもお客様を安全に案内し、なおかつあまり船の揺れを出さず、お客様を案内するんだぞ?簡単じゃないさ?」

 

「へえ〜、そうなんだ・・・・・・ん?」

 

「ん?どうした?」

 

愛人はまたもや、なにかを見つけた。

 

それは

 

 

「あ〜〜!いけない!洗濯物が!!」

 

漕いでいる途中、窓の方から洗濯物を回収しようとしたお姉さんが誤って手から落していまい

海水へ洗濯物が落ちようとしていた

 

「まずい!!」

 

アクトは急いで助けようと立ち上がり、愛人から櫂を取ろうとするが

 

「掴まっていろ!!」

 

「え?」

 

なんと愛人の顔が真剣になり、立ち上がったアクトを押し、無理矢理座らせ

力を大きく櫂に振り

 

「ふ!!」

 

一人で船を漕いでいるのにも関わらず

大体80キロで車を走るような速度で進んだ、船を漕いでできるとは思えない早さで

 

「よっと!」

 

洗濯物をキャッチした

 

「な!?・・・・・・」

 

アクトは驚いた

 

もしかしたら、愛人が上司を病院送りにしたのにも関わらず、クビにならなかったのは

 

仕事が自分以上にできる男だからだろう

 

一人で漕いだのにも関わらずあんなスピードは出せない

こいつは生活面はダメだが、仕事はできる人間だ

 

「おーい!これ?あんたか?」

 

「そうです!ありがとうございます!」

 

「今、そっち行くからな!」

 

愛人は洗濯物を持ちながら、洗濯物を落したお姉さんのところに入った

 

「あいつことを少し改める必要があるな」

 

さっきはとんでもない程に情けない男だと思ったが

やる時はしっかりやる男、彼には彼なりの良さがあったのだと

 

アクトは改めて彼を認識した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に2時間後で

 

16時

 

「ホントいいとこだな?ここ?」

 

「ん?」

 

愛人の言葉とは思えない言葉が出て来た

 

「ホントにおもしろいな。こんな場所があったなんてな?」

 

「気に入ったのか?」

 

「ああ、地球にはこんなのは無かった。いや、本当に面白いし、いいところだネオ・ヴェネツィア」

 

どうやら、まだ初日ではあるが、この町のことが気に入ったらしい

アクトは自分が褒められるようなくらい嬉しかった

 

 

 

 

 

だが

 

「ホントサボりたい放題だぜ?こんな仕事」

 

「お前って奴は・・・」

 

いいムードで終わるかと思えば、ぶち壊しやがった

やはり改める必要も無い。こいつは自分の手で教育し直さないとならないと思った

 

「お前!!サボったら許さないからな!!」

 

「大丈夫だって?お前の目の届かないところでサボるから?」

 

「全然大丈夫じゃねえわ!!お前は警察官なんだからそれなりの誇りを持て!!」

 

「へ〜い、持ってやす」

 

「テメエ・・・・・」

 

さすがのアクトも怒りそうになった

 

「サボったら、給料減らすからな!!」

 

「じゃあもういっそニートに転職しようかな?」

 

「ニートは職でも無いだろ!!?なにお前『そろそろ転職しようかな?』というノリで言ってんだよ!!」

 

「オレの中じゃあニートも職の扱いにしているから」

 

「お前の中どうなっているんだ!?」

 

もはやツッコミ疲れそうになった

 

そんなことを話していると

 

船で曲がり角で曲がろうとすると、今にもぶつかりそうな程、前方にゴンドラが近づいて来た

 

「おわ!!」

 

愛人は急激にブレーキをかけるが

 

「どわ!!」

 

「きゃ!!」

 

ぶつかってしまった

 

相手の方はどうやらウンディーネらしく、二人の女の子が乗っていた

 

「灯里!!大丈夫!!」

 

「愛人!!大丈夫か!!」

 

お互い付いていた仲間に心配かけられるが

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「こっちも、大丈夫だよ藍華ちゃん」

 

どうやらお互い怪我は無く。乗っている船も損傷はなかった

 

「悪かったな?ぶつかったりして?」

 

「いいえ!!私たちの方こそ!ごめんなさい!」

 

「君たち?ウンディーネだね?その制服からして・・・」

 

「はい!私はARIAカンパニーで働いています!まだ半人前ですが、水無・灯里です!!」

 

「同じく私も姫屋の半人前の藍華・S・グランチェスタです!」

 

どうやら練習帰りらしく、偶々偶然ぶつかったらしい、ここのカーブは急でぶつかることも多い

 

「そうか、とりあえず御詫びしよう。私はエンジェル騎士を務めるアクト・ハーヴィだ」

 

「アクト・ハーヴィ!?ってことは騎士団長!!それは申し訳ありませんでした!!」

 

藍華はアクトの名前を聞いた瞬間、しっかりとお辞儀した

 

「藍華ちゃん?なんなの騎士団長って?」

 

「知らないの灯里!?このネオ・ヴェネツィアには警察官はいるけど、でも私たちアクアの人たちは警察官とは呼ばず騎士って呼んでいるのよ!!それが”天使騎士団”よ!!マンホームじゃあ特殊部隊って呼んでいるんだけど、このアクアではそのエンジェル騎士団がネオ・ヴェネツィアの治安を守っているのよ!!そして、今私たちの目の前にいるこの人がその騎士団の団長のアクト・ハーヴィなのよ!!!」

 

「はひ!!そんなすごい人なんですね!!」

 

その藍華の言葉を聞き、愛人が質問する

 

「どういうことだ?アクト?ネオ・ヴェネツィア警察じゃないのか?」

 

「確かに君の言う通り僕たちは警察官だ。でもここでは僕たちが特殊部隊”エンジェル騎士団”と呼ばれているんだ。僕が初めに巡査部長として紹介したのは、それに近い階級だからだ」

 

「わざわざ何も知らないオレに合わせたのか?」

 

「君が僕たちの職業は警察官と同じ仕事だと言い、更に君が僕たちに対して警察官と呼んだ。ってことは僕たちの特殊部隊『エンジェル騎士団』という騎士団だと言う事に気づいてないらしいからね?」

 

「そんなに偉いのか?エンジェル騎士団って?」

 

「まあ、特殊部隊だからね?それなりには偉いほうだよ?とにかくこの事はこちらにも責任があるから、お互い無かったことにしよう?」

 

「「は、はい!!ありがとうございます!!」」

 

アクトはゴンドラがぶつかった事は無かったことにし

愛人の方へ向き

 

「言うのが遅くなったが、転勤とは言え、おめでとう。君もエンジェル騎士団の一員だ!」

 

アクトは握手しようと手を伸ばす

 

「な?アクト?」

 

「なんだ?」

 

アクトはこう考えていた

愛人はあの特殊部隊『エンジェル騎士団』に入られて嬉しいのでは無いかと思ったが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この仕事やめていい?」

 

「「「え?」」」

 

ウンディーネの灯里たちも含め、ポカンと口を開けたまま

立ち尽くした

 

「え?なんで!?」

 

「いや・・・・・面倒くさそうじゃん?

だってさ?それだけ有名だろう?つまりは忙しいじゃん?オレ面倒なのは勘弁だしさ?やめてもいいよね?」

 

「テメエは!!なんで入って早々やめんだよ!?テメエはホントにやる気の無い野郎だな!?」

 

「はい〜〜、やる気の無い警察官で〜〜〜す」

 

「本当によくそれで警察官になれたな!?」

 

どうやら、愛人はこの仕事は気に入らないらしく、ダルそうな顔で返事した

 

「仕方ねえな?じゃあこの一週間くらいはやってやるよ?仕様がないから」

 

「テメエ〜〜!!マジでクビにするぞ!!」

 

アクトは呆れるよりもイラついた

やる気無い以上に限度を考えない言葉も出して来たのだ

ま、怒って当然なのだがな

 

「あ、あのー?」

 

「「ん??」」

 

そこへ灯里が二人に声をかける

いや、かけたのは愛人の方だった

 

「なんだ?」

 

「そんなに嫌なら?なんで警察官に入ったんですか?」

 

「・・・・・・」

 

灯里はとてもいい質問した

確かにこんなに面倒なら、なんでこの警察官に入ったのか理解できなかった

彼にも彼なりの努力があるはず、警察学校で頑張ってまで入ったというのに

 

やめるのが勿体ないはず

 

彼の答えは

 

 

「そん時の気分かな?」

 

「え?」

 

「き・・・気分?」

 

藍華もその言葉も聞き、口を漏らしてしまった

 

「1年前の就職活動かな?この職業がおもしろそうだから、入っただけ?」

 

「面白そうだから・・・・」

 

「そう、まあでも上司もめんどい奴ばっかでさ、あんまうまくやってなかったんだよね〜〜」

 

((やる気の問題じゃないよ!?この人!?))

 

もはや愛人はダメ人間に等しかった

というかもうダメ

 

「だから今までオレに喧嘩売った上司を全員病院送りにしたんだよね?」

 

「上司を病院送り!?お前なんでクビにならねえんだよ!?」

 

「なったよ?でも転勤でこっちに来させられたんだよ?」

 

どうやら明日からとんでもない男がネオ・ヴェネツィアに来てしまったようだ

 

「それにしても、悪かったな?ぶつかったりして?」

 

「あ、ああいえ、こちらこそごめんなさい」

 

「ん?よく見たらゴンドラにぶつけた傷が残っちまったな?」

 

「あ、本当だ!痛そうです!」

 

「・・・・・・・」

 

愛人は灯里たちの乗っていたゴンドラに自分が乗っていた船のぶつかった跡が残っていた

 

「ごめん?・・・・・私が不十分なばかりに」

 

灯里はそんな傷ついたゴンドラに謝っていた

それほど大事にしているのか、もしくはウンディーネとしてゴンドラも友達のような物なのか

すごく大事にしていた

彼女は泣きそうな顔していた

 

愛人はそれを見て

 

「おい?お前の会社どこだ?」

 

「はひ!?えっとARIAカンパニーです!!」

 

「ARIAカンパニー・・・・おいアクト!!そのARIAカンパニーってどこだ?」

 

「え?ああ・・・すぐそこだけど?」

 

「よし、おい?確か・・・・水無灯里だったよな?」

 

「は、はい!そうです!!」

 

愛人はそれだけを聞き、愛人は突然

 

「おいアクト?自分で焦げ?」

 

「は?おい!!」

 

「ちょっと借せ?」

 

「え?あ!」

 

愛人は突然アクトに櫂を渡し、灯里が乗っているゴンドラに乗り移り、灯里が持っていた櫂を奪い、そしてアクトが言っていた方向へ漕いだ

 

「ちょっと!!なにするんですか!!」

 

「うるせえな!!テメエは黙ってろ!!おい水無!!で?ARIAカンパニーってどこだ?」

 

「は、はい!そこの角を曲がって、そのまままっすぐです!」

 

「よし!そこまでオレを案内しろ!舵はオレが取る!そこでオレがこの傷ついたゴンドラを治してやる!!」

 

「え?」

 

あれだけ仕事がめんどいと嘆いていた彼が、やる気を出し、自分でゴンドラを漕いだのだ

確か彼は漕ぐ事自体も初めてなはず

 

そんな彼にゴンドラが漕げるはずが無い

 

 

だが

 

「あ、でも!!」

 

「いいから!!行くぞ!!」

 

そして彼は漕ぐと

 

「!」

 

「嘘!」

 

 

そう、彼は漕げたのだ

 

ただでさえ、灯里たちは散々練習しているのにも関わらず

彼は初めてなのに漕げたのだ

 

ゴンドラというのは、舳先に向かって立つゴンドリエーレが、片方だけのオールで、引くのではなく押す力によって推進する。一般に考えられているのとは違い、ゴンドラは海底を棒でつついて進んでいるわけではない。それにはヴェネツィアの海が深すぎるのである

 

 

オールとは、オール留めで留められている。オール留めは複雑な形をしており、オールを充てるポジションを変えることによって、ゆっくりした前進、速い前進、回転、減速、後進に対応できる。

 

それが彼には完璧にできていた

 

 

 

 

二人が驚いていたのはそこだけでなく、彼がゴンドラを漕げるのもそうだが

 

彼のうまさだった

 

ほとんど・・・・いや、彼の漕ぎ手の技術が完璧だった

 

揺れはまったく無く前進し、狭い水路を容易く抜ける

 

 

二人は彼を見てこう思った

 

 

 

彼はまるで・・・・プリマのようだと

 

それほど完璧だった

彼は初心者なはず、なのにこうもうまくゴンドラの操縦がうまかった

 

彼は何者なのだろうか?とアクトは思った

 

自分たちの船もそうだ。あれだけの操縦がうまいはずが無い。

アクトは彼を追いかけるも。心の中でそう思い続ける

 

「ねえ!?あんたってゴンドラ漕いだことあるの!?」

 

藍華がアクトが思っていることを質問した

 

そして彼は

 

「無いに決まっているだろ?今日で漕ぐのも初めてだ?ただゴンドラの漕ぎ方の本を読んだだけであって、漕ぐ事自体は初めてさ?」

 

「嘘!?」

 

「なのに、こんなにうまいじゃないですか!!」

 

「・・・・・」

 

やはり彼は初心者だった

 

アクトはますます彼のことが気になった

 

普通、漕ぎ方の本を読んだだけで覚えるはずが無い

でも、彼はうまかった

 

彼の言葉は信用できない

でも、うまいのは事実だった。乗っても居ない自分から見てもうまいと見えたからだ

 

彼は性格も飛び抜けているが、その腕前や学習能力も飛び抜けていた

 

 

 

 

 

 

 

そして彼がゴンドラを漕いで着いた先はARIAカンパニー

そこで彼はゴンドラを陸上に上げ

治していた

 

「・・・・・・」

 

アクトは無言になりながらも彼の作業を見ていた

無論そこでも、彼は飛び抜けていた

 

 

ゴンドラを治すにしては、ゴンドラの構造を把握しすぎているからだ

正直言ってありえなかった

 

なぜならその傷ついたゴンドラの傷を完璧に跡が残っていない、ましてやとてもぶつかったような後には見えないほど、治っていたからだ

 

彼はこれも本を読んだだけで把握して治したのか

だとしたら

 

もはや彼は天才だ。

 

人間の学習能力としてもイカれているが、それ以上に彼の技術力も器用さも、誰よりも仕事がうまくやれる人間だった

 

「す、すごい!!」

 

「あ、ありがとうございます!!ゴンドラの傷を治してくれて」

 

「別にいいさ?あんた?もの凄く大事にしてそうだしな?ぶつかったのはオレが悪いし、これはお詫びだ」

 

「ありがとうございます。治って本当に良かったです!!」

 

愛人はどうやら、灯里の泣きそうな顔が見ていられず、ついつい助けてしまった

 

「ただいまー」

 

そこへ誰かがARIAカンパニーに帰って来た

 

「あ、アリシアさん!!」

 

帰ってきたのは、ここのウンディーネでプリマとして有名なアリシア・フローレンス

 

「ただいま、あらあら?エンジェル騎士団の方達がなぜARIAカンパニーに?」

 

「いきなり入ってしまい申し訳ありません。アリシアさんですね?」

 

アクトは騎士らしく、アリシアに事情を話す

 

「僕たちの不注意でゴンドラに傷をつけてしまったのです。そのお詫びとして今その傷を治しています」

 

「あらあら?それはそれは、治す事ができるなんてエンジェル騎士団はゴンドラの手入れもできるのですね?」

 

「僕たちではなく、彼がですよ?」

 

「彼?」

 

「新しい新入社員で、新しい僕たちの騎士の一員です」

 

アリシアも彼を見た

彼女も彼の行動に驚いていた

 

「アリシアさんが驚いた!?」

 

「珍しいです!!」

 

彼女は驚くことなどそうそうに無い

でも驚かずにはいられなかったからだ

 

彼の治し方は道具を使ってその部分を治している

普通は傷を治すのは簡単ではない。そういうのは普通ゴンドラ職人にしか治せない

 

でも、彼は治せた。

 

彼は何者なのだろうか、そういうことができるのはゴンドラの構造を把握している者だけ

治せるのなら、彼はその構造を理解しているとしか思えなかった

 

「終わったぞ?ついでに掃除もしといたからな?」

 

ゴンドラに底に付いていたアサ貝だけでなくよごれもたわしを使い綺麗にした

まるで新品のように

 

「はひ!本当になにからなにまでありがとうございます!!」

 

「はひってなんだ?まあいい、とにかくこれでこの事は大事にしないでくれ?」

 

「大丈夫ですよ!!私たちも悪かったですから」

 

「そうか・・・で?その人誰?アクト?」

 

どうやらパトロールの時に見たはずなのに、何も覚えてなかった

 

「パトロールした時見て説明したろ?この人が有名のアリシア・フローレンスだよ?」

 

「ああ〜〜、あの腹黒そうな女か?」

 

「「腹黒そう!?」

 

「あらあら、うふふふ」

 

だから思うけど、どこをどう見て腹黒いと思うのか聞いてみたい

 

「どうも〜、新しく新人のエンジェル騎士団の一員、七海・愛人です〜〜、よろしやす」

 

無論だらしない顔で挨拶した

 

「あらあら、ここの従業員でアリシア・フローレンスと申します」

 

二人は互いに挨拶するも、アリシアは聞いて来る

 

「ところで?私をどう見たら腹黒そうに見えるの?」

 

「「ひい!!」」

 

「げ!!」

 

「・・・・」

 

灯里と藍華はアリシアの顔を見て怯え付いた

顔は笑っているけど、目は笑ってない。

 

アクトは愛人の『腹黒そう』という言葉に少し信じてしまった

あの有名なアリシア・フローレンスが怒った顔しているからだ

彼女が怒る姿など、絶対に誰も見ないというか、彼女が怒ることなんて絶対に無いからだ

 

でも、今目の前にいるアリシア・フローレンスは完璧に怒っていた

顔は笑顔になるも目は笑ってないし、手は拳を作っていた

これは・・・・・・相手を殴る拳だった

 

愛人は・・・・・・ビビる様子も無く、ジーとアリシアを見る

 

「あ、ごめん、腹黒そうには見えないや・・・」

 

「「「ほう・・・」」」

 

どうやら、怒らせてはいけないと謝る愛人

たぶんこの一線を越えたら、ネオ・ヴェネツィアの海が彼の血で染まるかもしれない

 

かと思いきや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テラフォーマーだった」

 

「「「!?!?!?」」」

 

「・・・・・・」

 

愛人はアリシアなにを見てそう思ったのだろうか、彼の言葉によりアリシアはかなり怒ったような顔がもはや顔に出ていた

 

ちなみにテラフォーマーズとは

 

マンホームの人気漫画に出て来る

火星に住む。人の形をしたゴギブリ人間である

ネオ・ヴェネツィアにでもその漫画は売られているため、灯里たちも知っていた

 

「誰が説明しろって言ったよ文作!?ツッコムところはそこじゃなくて、お前はあのアリシア・フローレンスを見てどう見たらそう見えるんだよ!?」

 

「え?だってテラフォーマーみたいに筋力ヤバそうじゃん?今握りこぶし作っているけど、あれのパンチとかアイアンクロー受けたら半端ないぜ?」

 

「お前の観察力どうなっているんだ!?バカにするのもいい加減にしろよ!!」

 

「うふふふ」

 

「「「!?」」」

 

「ん?」

 

遂にアリシアが彼の前に出た

 

そして

 

「ん?」

 

ガシと彼の頭を掴み、力を入れ握り潰す

 

「うふふふ、うふふふ」

 

「アリシアさん!!落ち着いてください!!それとあらあらがありません!?」

 

藍華は止めようとアリシアの手を掴む

彼女のいつもの口癖の『あらあら、うふふふ』という言葉を必ず言うのだが『うふふふ』までしか言ってなかった。

どうやらマジで怒ってる様子だ

さすがに愛人の言葉に我慢できなかったようだ

 

「さすがに失礼と思いません?愛人くん?」

 

「まあ、自覚はあるけど、思った事はすぐに言っちゃうからなオレ、それにしてもすごいな・・・あんたの筋力、オレの頭から血が出て来たよ?」

 

「なに呑気な事言っているんだ!!?ていうか普通に喋り倒しているけど痛くないのか!?マジで普通に抵抗せずに感想言っているけど痛くないのか!?頭から血がもの凄く出ているけど痛くないのか!?」

 

愛人はアリシアにアイアンクローされるも抵抗せずに受けていた

頭から血が出ているほど致命傷を食らっているのに苦しい顔もせずに受けていた

 

 

「ダメですよ!!アリシアさん!!死んじゃいます!!愛人さんが死んじゃいます!!」

 

「いや〜〜、お前はベースなんだろうね?火星に住んでいるだけのことはあるよ」

 

「お前はネオ・ヴェネツィア人をテラフォーマーと一緒にするんじゃねえ!?火星に住んでいるからと言って全員テラフォーマーなはず無いだろ!?ていうかテラフォーマーはフィクションだから!!こことなにも関係ないから!!?」

 

なにを根拠に彼はアリシアをテラフォーマーと判断したのだろうか

ていうかアクアに住んでいる人は人間であって火星に住んでいるからテラフォーマーってどういう解釈だよ

 

「え?だってこの人?火星が生まれ故郷でしょ?なら筋力もヤバくない?知識もヤバくない?」

 

「アクアとテラフォーマーの住んでいる火星と一緒にするな!!お前は本当に失礼な奴だな!?いちいち人をバカにしなきゃ気が済まんのか!?」

 

なんだかんだでいろいろ愛人の言葉にツッコミ続けて

 

 

 

 

 

 

 

10分後

 

「とにかくもう相手をバカにするのはやめてくださいね?」

 

アリシアの説教がいつの間にかはじまり、10分が経過した

 

灯里と藍華はアリシアを止めるのに必死で、イスで休んでいた

 

アクトは・・・・・・・ツッコミ疲れた

 

愛人は社内で正座させられ、頭に包帯巻きながらも説教を受けていた

少しは学習したのかと、アリシアに謝るのかと思いきや

 

「わかりました。じゃあ今度からあなたを『テラフォーマー女』と呼びます」

 

「私の話聞いてた?」

 

また愛人はアリシアをバカにした

 

「あんた・・・よくアリシアさんをバカにするわよね?あんたアリシアさんに恨みでもあるの?」

 

「いや、恨みは無いけど、オレの目からしてなんかこいつ危険人物ぽいような感じがしたんだよね?」

 

「あんたの解釈おかしくない!?あんたの目腐っているわ!!私たちのアリシアさんをバカにしてあんたそれでも騎士団なわけ!?」

 

「ああもう!!こいつの説教は僕に任せてくださいアリシアさん。帰るぞ愛人!!」

 

「へ〜〜い、じゃあな?」

 

「あ、ゴンドラありがとうございました!!」

 

「ああ、別に構わないよ〜〜」

 

アクトは愛人を引っ張て帰って行った

 

残った3人は

 

「なんなんですかね?あれ?」

 

「さあ〜。でもなかなか面白い子だと思ったわよ?」

 

「マジで言っているんですかアリシアさん!?」

 

藍華はアリシアの言葉に驚いた

あれだけ散々バカにされたのに、それでも面白い子だと言い張るアリシアがすごかった

 

「でもアリシアさん!!愛人さんゴンドラの操縦がうまかったですよ!!」

 

「え?」

 

「そうなんですよアリシアさん!!あいつとてつもないほど運転がうまいんですよ!!私たちあいつの操縦でここまで来たんです」

 

「彼はゴンドラに乗った事あるのかしら?」

 

「それが漕ぐこと自体初めてだったらしく、今日初めて漕いだそうです」

 

「確かゴンドラの漕ぎ方の本を読んだだけだとか、それなのにうまかったですのよ」

 

「はい!私たち彼の操縦で乗ったのですけど、すごくうまかったです!」

 

「まるでプリマのようだもんね、悔しいけど私たちもあいつを越えるくらい頑張らないとね?」

 

「・・・・・」

 

二人の言葉を聞き

アリシアは彼に興味を持った

普通、本を読んでやり方を読んだだけではゴンドラの操縦はうまくならない

 

彼が嘘をついているとも思えない

なぜなら彼はゴンドラの傷も治したからだ

ゴンドラの一部を修理など不可能だった

普通なら新しいの用意しないとならない、なのに彼はそれを実現させた

 

ありえない

ゴンドラの操縦も修理も人間の器用さとは思えない技術だった

 

だから彼女は

 

「彼・・・・」

 

「「ん?」」

 

「面白いと同時に興味を出たわ」

 

余計彼に興味を持つ様になった

 

そんなありえない常識の無い彼の器用さな珍しさ

いや珍しいとは言えない。絶対にありえない存在

 

そんな存在が目の前にいるなら、きっとこれから先も彼がいることで何か変わった風景が見えるかもしれないと

 

アリシアは今度彼に会って、彼の事いろいろ聞いてみようと思うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンジェル騎士団本部

愛人は騎士団長室でアクトに扱かれていた

 

「まったく、お前はトラブルメーカーだな?」

 

「それはありがとう。マジでうれしいね?あのテラフォーマー女がこの町征服するのも時間の問題だよ?」

 

「だからやめろ!!お前あのアリシアにはファンもいるんだからそういうこと言うな!!」

 

「へえ〜、やっぱりそれほど有名なんだ?」

 

「まあな、頼むから騒ぎだけは出すなよ?今日はもう帰っていいから?」

 

「へ〜い、失礼しやす」

 

と騎士団長室を出て行く

その前に

 

「あ、そうだ。明日の朝礼さ?」

 

「なに?」

 

「君の紹介があるから明日遅れずに来る様に?」

 

「へいへい、朝礼って8時30分だろ?余裕余裕だよ」

 

愛人はアクトに笑いながら言って部屋から出て行った

 

 

「はあ〜、まったくとんでもない奴がウチの会社に来たな?」

 

まだ初日ではあるが、仕事が面倒、ニートになりたい、パトロールのサボり、あのアリシアをバカにした事、これほど騒ぎを自分で起こす騎士など聞いた事が無い

 

 

こんな奴を部下にしてやっていけるのだろうかと心配したアクトだった

 

コンコン

 

「はい!」

 

そこへ部下がアクトのところへやってきた

 

「アクト団長!少しよろしいでしょうか?」

 

「ああ、いいよ。入って来なさい」

 

「失礼します」

 

アクトの部下の騎士1名が入って来た

だが、その部下は大きな白い箱を持っていた

 

「どうかしたのか?それにその箱はなんだい?」

 

「実はこれ住民の人からいただいた物です」

 

「住民から?」

 

「ええ、アクト団長、今日確か新入騎士で入った七海・愛人って人を知っていますか?」

 

「ああ、今帰ったとこだけど、たぶんいまフロアで報告書を書いて帰るはずだよ?」

 

「そうですか、実はこの箱その住民の人の差し入れで、これを彼に渡してくれとわざわざ本部まで来てくれたんですよ?」

 

「差し入れ?」

 

「なんでもその住民の人、その七海・愛人って男に洗濯機を治してくれたお礼だとか?」

 

「!?」

 

アクトは驚いた

自分が居ない間に愛人は洗濯機を治した

きっと今日のお昼過ぎに洗濯物を落しかけたあのお姉さんの差し入れ

つまり洗濯物を拾ったついでに洗濯機も治したのだ愛人は

 

あの時は少し帰るのが遅かった。たぶんその時についで洗濯機も治していたのだろう

 

「まさか・・・あいつは僕が居ない間にそこまで働いていたのか・・・」

 

「ともかく教えていただきありがとうございます。失礼します」

 

「ああ」

 

部下が部屋に出た後、

 

アクトは彼をやめさせるような考えがあったのだが

その考えは今の言葉でやめた

 

彼は我々以上に働く。自分の目の届かないところで、あいつは我々が不可能なところまで、分野でも無い。ましてや我々の仕事ではないところまでも働いていた

 

そんな人一倍仕事ができる彼を

 

やめさせるわけにはいかない

 

 

むしろいい人員としてもおかしくない

彼は性格は最悪だが

困っている人間は必ず助けるという長所がある

それは私たち騎士団においてもかなりの戦力だ

 

性格や言葉遣いはこちらでフォローすればいいだけであってそれ以外は彼は完璧にやってくれるはず

 

 

予想以上だった

彼がここまで有能な物を多才に持っているとは

 

正直自分の階級である騎士団長もすぐに取られてもおかしくないだろう

それほどアクトは彼の有能な力を手放すわけにはいかないと、この仕事を続けさせるよう説得する必要がある

 

本人自体やる気が無いのは確かだ。いつやめてもおかしくない

 

自分がいつでも付き添うようにしてないといつなにをやらかすかわからないと思った

 

 

 

 

 

 

 

愛人のアパート

 

ネオ・ヴェネツィアで出勤するのだから、無論アパートも必要だった

こちらは1週間前から手配済みで、家賃がなるべく安いところのホテルアパートに住む事にした

ネオ・ヴェネツィアには近いが少し離れたアパート

今日ここが彼の家になる

 

「さてと、荷物は無事届いてあったし、少し整理するか?」

 

荷物は引越しに頼んであり、部屋に荷物は置かれ

箱から荷物を出し、部屋に置く

 

だが

 

「荷物って言っても、あんま無いけどな?」

 

そう、彼の引っ越し荷物は

 

 

服だけだった。

 

多少の道具とかは自分で身に付けているのだが、服以外にマンホームから持って行くものなどなかった

 

普通なら本やゲームなど少しは家庭に必要意外な物も持ってくるはずなのだが

彼はそういう趣味も無いため、必要以外な物は持っていなかった。

 

普段どうしているかは謎だが

 

彼はそこまで普通とは少し違う過ごし方をしているため、今日に至っては初めてな暮らしだった

 

「さてと、整理はこれぐらいにするか・・・・・」

 

荷物の整理が終わると、突然窓を開け、窓から見える町を眺めていた

ちなみにここは町から少し離れた山の近くだった。だから窓からネオ・ヴェネツィアから眺められた

 

「・・・・・・」

 

そして彼はこの町を見て、こう思った

 

「蒼いな・・・・・この町は」

 

蒼かった

 

この町を色で例えると青だった

 

なぜ青かと言うと

 

空のようにどこまでも広く。美しく素晴らしかったからだ

彼が蒼いのが好きというのもあるが、

 

この星が、この町が、きっとオレを楽しませくれるのでは無いかと

 

彼はワクワクした

 

だから町を見て笑った

 


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