リハビリシリーズーデレマス短編集ー   作:黒やん

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大人なこども《高垣楓》

事務所の廊下を、少し早歩きで進む。本当は走りたいところではあるのだが、それで怪我をしてしまっては仕方がない。

心が逸る。焦りだけが募る。こうしている内に俺の大事なものが消え去るかもしれないのだ。それだけは許せない。それだけは認めない。

幸い、犯人はわかっている。所在も先程後輩に聞いたばかりだ。移動している可能性は低い。後は時間との戦いなのだ。

目的地の扉を勢いよく開ける。開口一番、見知った背中に怒声をぶつけた。

 

「このカレー炒め、凄くかれー……ふふ」

 

「毎回毎回人の弁当パクってんじゃねーぞ楓ェ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「痛い……」

 

「自業自得だアホ」

 

頭を抑えて涙目なこいつを見て、ため息を吐く。この一週間毎日弁当をパクられてきたのだ。ハリセンでしばくくらいは許容してほしい。

そして案の定、箸で半分に切られた卵焼きくらいしか残っていなかった。それを手でつまみ、口の中に放り投げる。……もはや昼休みも時間が残されていないため、これが俺の昼飯だった。

 

「で、何か言うことは?」

 

「? えっと……ごちそうさまでした?」

 

「何真顔で言い切ってんだ」

 

「あたっ」

 

ある意味いつも通りなこいつに呆れるが、まぁいつものことだ。たまに本当に同い年かこいつ、と思うことはあるが、二十数年の付き合いがあればもはや慣れが先にくる。ふと思い出して周りを見ると、そこにはポカンとした様子のシンデレラプロジェクトwith姉ヶ崎の姿があった。恐らく楓が突然入ってきて普通に弁当を食べ出した上に、俺が乱入したものだから何が何だかわからなくなってしまったのだろう。

邪魔したな、と言いつつ楓を引きずりながら部屋を出る。扉を出たところで武内くんとあったため、軽く礼を言って来た道を戻る。

 

「武内さん! 私を売ったんですか!?」

 

「いえ、そうは言われましても……」

 

後ろでそんな会話が聞こえるが、知ったことではない。とりあえずこのアホをレッスンルームに投げ込まなければ。

 

 

 

 

 

「えっと……プロデューサー?」

「あの人何者なの?」

「楓さんをあんな扱いする人、初めて見ました……」

 

一方そのころ、武内プロデューサーはシンデレラプロジェクトの面々に詰め寄られていた。尊敬すべき人物であった楓が突然来たかと思えば、これまた突然雑な扱いで引きずられて行ったのである。これが一大事でなくて何と言うのか、今の彼女達にはわからなかった。

 

「先輩……いえ、彼は高垣楓さんのプロデューサーです」

 

「プロデューサー? にしては随分親しい感じだったけど」

 

「先輩と高垣さんは幼なじみの関係でもあるそうです」

 

『えっ』

 

その後、女子トークで盛り上がる場を抑えきれずに、武内プロデューサーは首の後ろを手で押さえ、事情を知っている美嘉は苦笑いをするしかなかったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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高垣楓は、天才だ。

『見られること』という一分野において、楓は他の追随を許さない。生まれ持った雰囲気もあるのだろうが、本人がそう見られることを許容し、そう振る舞っていることも大きいのだろう。自分の才能に無自覚だった子どもの頃ですら人目を引いていたのだから、それを意識せざるを得ない今では尚更だ。

少なくとも、世間に知られている楓のイメージはミステリアスで、完璧で、完全だ。失敗などはあり得ない、挫折なんて知らない。おおよそ世間一般に言う勝ち組の完璧超人。それが楓に課せられた期待だ。

……例え本人の中身が生後五年と二百四十ヶ月の二十五歳児だったとしても。

 

「はいオッケーでーす!」

 

「ありがとうございました」

 

楚々とした佇まいを崩さずに楓が撮影スペースから降りてくる。モデルだった頃の経験があるものの、やはり一発オーケーというのは凄いものなのだろう。たまたま同時撮影だった他のプロダクションのアイドルが羨ましそうに楓を見ていた。

 

「お疲れさま」

 

「服で汗をふく……んー」

 

「一点」

 

「何点満点?」

 

「百」

 

「厳しい……」

 

そんなことを言いながら楓にタオルを被せる。撮影はライトを集中させるので結構暑いのだ。

楓が汗を軽く拭う横で、俺はペラペラとスケジュール帳を開く。撮影に時間がかかると想定していたため、これ以降の予定がすっからかんである。ちなみに現在午後四時だ。楓の撮影が最初だったとはいえ、甘く見積もって三時間はかかると考えていた撮影で、全工程が一発オーケーの一時間で終わるとは誰が考えていただろうか。

 

「楓」

 

「はい?」

 

「今日この後完全オフな」

 

「はーい」

 

オフと言えば、楓は瞬時に顔を綻ばせる。これが楓の素だ。これを知っている身からすれば世間での評価なんぞ鼻で笑ってやりたい気分に駆られてしまう。アイドルのプロデューサーとしては失格の考えだが、長い間共にいた幼なじみとしてのその考えを捨てたことはない。

 

 

 

 

 

 

着替え終えた楓を乗せて、車を走らせる。楓はオフが嬉しいのか、隣で鼻歌を歌っていた。

 

「ねぇ、りょーくん」

 

「なんだ?」

 

子どもの頃からの渾名で俺を呼ぶ。意識が完全にオフになった証拠だ。渾名呼びについては止めろと言っても聞かないために、もう諦めている。

 

「私はお酒が呑みたいです」

 

「川島さんとか柊さんとかと言って来い。間違っても鷺沢やら新田やらの未成年組連れていくなよ? ……まぁ、兵藤やら三船あたりなら生け贄にしても見なかったことにしてやる」

 

以前、楓はガチで鷺沢をバーに連れていってしまったことがある。しかも鷺沢が誤ってカクテルを口にしてしまい、酔ってしまうというコンボが起きた。楓の行きつけでなければ危なかったのだ。……まぁ、酔った鷺沢にしこたまのろけ話を聞かされたらしく、次の日楓にしては珍しくげっそりしていたのだが。

その点兵藤やら三船なら問題ない。兵藤は連れていかれたら勝手に張り合って自滅するだろうし、三船は流されながらもセーブして後処理をやってくれるだろう。……もう少し流されない強さを持って欲しいところではあるが。川島さんやら柊さんやら、ついでに片桐さんやらは心配するだけ無駄だ。

 

そう言ってからしばらく楓の反応がない。気になってふと横を見ると、子どものようにぷっくり頬を膨らませていた。

 

「私は、お酒が、呑みたいんです」

 

「行きゃあいいだろ」

 

またぷくー、と頬を膨らませる。年を考えろと言いたいところだが、何故か無駄に似合っているので何とも言えない。ここのところが楓が大人になりきれていない部分だろう。外面が完璧にできる女を演じている分、身内と判断した者には内面を堂々とさらけ出してしまう。

 

「りょーくんも呑むのよ?」

 

「仕事溜まってんだけど……主にお前関係の」

 

「あら、今なら美女がたくさんついてくるのに」

 

「ただしうわばみに限るだろーが。後お前と呑んだらほぼ確実に二次会が俺の家になって、溜め込んだいい酒呑まれるから嫌だ」

 

「いいお酒はあるコールで美味しくいただかないと」

 

「0点」

 

「厳しい……」

 

そんな会話を繰り返しながら、我らが346プロダクションに到着する。ロビーのところで楓と別れれば、すぐさま携帯にメールがくる。送り主は楓、『いつもの居酒屋に行くので、遅れて参加してください』だそうだ。車の中で話したことは本気だったらしい。

少し迷うが、あいつのことだ。恐らく柊さんやら川島さんやらに迷惑をかけるだろう。そして彼女達はアイドルだ。裏方の俺とは違い、顔色などにも気を使わなければならない。顔色が悪ければそれだけ見た目に影響が出るからだ。

『了解』と、短い返事だけを返して、俺は自分の机がある部屋に引きこもるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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仕事を片付けて店に着いた頃にはもう10時を回ってしまっていた。何故か嫌な予感がひしひしと伝わってくるが、行くと言った手前顔を出さないのも体面が悪い。大人とは面倒な生き物なのだ。

 

カラカラと引き戸を開ければ、見慣れた店内の景色が広がる。パッと見て奥にいる楓達以外に人がいない。どうやら店の親父さんが気を遣ってくれたようだ。無言で頭を下げると、顎で良いから行ってやれ、というサインが返ってくる。

店の奥に行けば、座敷で座ったまま器用に寝息を立てている楓と、対面でオロオロしている新田、何ら気にしていない様子で俺に片手を挙げる川島さんがいた。

 

「あら、遅かったわね」

 

「え? あ! えっと、楓さんのプロデューサーさんですよね?」

 

「ああ……新田、いくらこの二十五歳児が先輩だっつっても嫌な時は断っていいんだぞ? 居酒屋なんざ酒が飲めない奴からすれば高い店なんだからな」

 

「はい……」

 

「あれ? 私はスルーかしら? わからないわ……」

 

川島さんを適当にスルーし、新田に一応釘は刺しておく。今回で二度目なのだ。楓が誘うのももちろん悪いのだが、あまり流されないでほしい。

 

「それで、竜馬くん。楓が寝ちゃったわけだけど……」

 

「あー……まぁいつも通りでいいでしょう」

 

「いつも通り?」

 

「とりあえずほどほどに飲み食いして、その間に起きたら叩き出す。起きなかったら仕方ないからこいつの家まで送っていく」

 

そう言うと新田は納得したようで、自分の前にある水を飲む。間違ってもテンションが上がる魔法の水ではないので勘違いしないように。未成年の飲酒は犯罪なのだ。

 

「あ、親父さん。せせりと皮と砂ずり。全部塩で」

 

「飲みもんは?」

 

「いつもの」

 

「白州の25年な、了解」

 

流れるように注文を終えるが、もはやお決まりの注文メニューであるので当然とも言える。何せ親父さんは注文を聞く前から串を焼き始めているのだから。

 

「白州の25年ものって……また自分で持って来たのね」

 

「最近はウイスキーばっかり飲んでますんで」

 

自慢じゃないが、俺は日本酒を飲めない。何故かはわからないが必ず悪酔いしてしまうのだ。なので親父に訳を言ってウイスキーやワインを置かせてもらっている。要は個人の店で行きつけだからできる力業だ。

そんな会話をしていたからか、新田はやたらとキラキラした目線を俺と川島さんに向けていた。

 

「どうした?」

 

「えっと、二人とも大人だなぁって。お酒に詳しい人ってかっこいいなって思っちゃいました」

 

暑いのか、頬を赤らめながら上目遣いで、少し恥ずかしそうに言う新田。もしこれが狙ってやっているというのならとんだ悪女である。

川島さんを見れば、こちらもわかるわとばかりに大きく頷いている。どうやら考えは同じらしい。

 

「新田……お前、一人で帰るときとかはマジで気を付けろよ」

 

「え?」

 

「わかるわ……いつかパクっと美味しくいただかれそうよね……」

 

「ええっ!?」

 

凄く驚いた風な新田だが、何が違うと言うのだろうか。本当に19歳か疑わしいレベルの色気が出ていたのだが。

そして会話が盛り上がると火が着くのが川島さんである。手に持ったハイボールを一気に煽ると、ジョッキを勢いよくテーブルに叩きつけた。

 

「さて! ここからガールズトーク突入よね!」

 

「ガールズ……?」

 

「あ"?」

 

「ワカルワー」

 

一瞬財前らしきスタンドが見えたんだが気のせいだろうか。後俺ボーイなんだけども。

 

「はいじゃあ新田ちゃん! 好きな人とかいないのかしら!?」

 

「ええっ!? えっと、あの、その……!」

 

しばらく川島さんに質問攻めにされる新田。やがて処理が追い付かなくなったのか、顔を真っ赤にしてあうあうとしか喋らなくなってしまった。

とりあえずガールズトークだそうなので、黙って串焼きをかじりながら酒をチビチビと味わっていく。すると、限界が来たのか新田が川島さんの矛先を俺に移そうとしてきた。

 

「そ、それなら並木さんはどうなんですか!? ほら、楓さんと幼なじみらしいですし!?」

 

「ん? 俺と楓? 付き合ってるぞ」

 

「ええっ!?」

 

俺の反応が意外だったのか、新田は驚愕の声を上げる。いや、いい大人が付き合ってるとか付き合ってないとかていちいち騒いでもなぁ。

 

「そう言えば、あなた達の事を聞いたことないわね」

 

「あまり話すほど面白いこともないですしね」

 

「それは私達が判断することよ」

 

どうやら完全に俺が放さなければならない流れになったらしい。川島さんは普段は楓と同じペースで飲み進めるため、そういった話になる頃には寝ていることが多かったのだ。吐き気にやられて偶々起きていた片桐さんとは大違いである。

とにかく、話さなければならない流れだ。ちらりと楓を見れば、気持ち良さそうに寝息を立てている。その髪をすくように撫でれば、さらりとした、柔らかい感触が伝わってくる。

 

「そうですね……まず、物凄く独占欲が強いですね、楓は」

 

「独占欲?」

 

「はい。まず他の女性を下の名前で呼べば拗ねます。ものすごく。一回やらかしたときは一週間くらい機嫌が直りませんでした。俺が事務所のアイドルやらを名字で呼ぶのはそのせいです」

 

ちなみに名前で呼んだのは柊さんである。

 

「へぇ……」

 

「意外ですね……」

 

「こいつ見かけは完璧超人だし、そう振る舞ってはいるけど中身は二十五歳児でポンコツだからな。身内判定すれば素が見えるし。

後は不器用だな。自分の気持ちを素直に出せないタイプだ。遊びに行きたいならそう言えばいいのに『私、明日休みなの』としか言わないから」

 

おかげで会話の裏を読み取る能力はかなりついた。武内くんに熊本弁(亜種)の解読講座を開けるくらいだ。

 

「まぁ結論、楓は結構面倒くさい女ですよ」

 

「ぶっちゃけたわね……」

 

川島さんが参ったというように肩をすくめる。何とかご期待には答えられたようだ。だが、新田が何かを考え込んでしまっている。それとなく聞いてみると、どこか真面目な顔を俺に向けた。

 

「……並木さんは、楓さんが面倒くさいって言いましたけど……だったらどうして付き合い続けているんですか?」

 

「んー……」

 

「……あ! いえ、すみません! そういう意味じゃなくて……」

 

「わかってる。そうだな……新田はまだ若いってところかな」

 

「え?」

 

苦笑いしながら川島さんを見る。何か笑ってはいたが目が笑っていなかった。『は』か。『新田は』って言ったのが悪いのか。

 

「……ま、それは宿題にしようか。また十年後くらいにでもお前の答えを聞かせてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そのまま微妙な空気になってしまったので、おひらきに。楓は俺が、新田は川島さんが送っていくことになった。本当は俺が全員送って行った方がいいのだが、川島さんがウインクしていたのを見て、お言葉に甘えてしまった。どうやら全てわかっていたらしい。

 

「ほら、起きろ楓。狸寝入りしてんのはわかってんだ」

 

「……白州くれないと起きません」

 

「ったく……」

 

仕方なしに楓の口元に白州の入ったグラスを近付ける。匂いがしたのか、引ったくるようにグラスを受け取った楓は、ムスッとした表情でチビチビとウイスキーを嘗め始める。

 

「何拗ねてんだよ……」

 

「……美波ちゃん見て鼻伸ばしてた……」

 

「伸ばすか。あれくらいで鼻伸ばしてたらプロデューサーなんざやってられんわ」

 

マジで。及川やら向井やらのグラビア撮影の時を考えたら余裕で乗りきれる。

 

「……私のこと、面倒くさいって言った……」

 

「あー……」

 

そちらに関しては言い訳のしようがない。何せ言ったのは事実なのだ。

しかしこのまま楓の機嫌が悪いままなのも俺の精神衛生上よろしくない。

 

「悪かったよ」

 

「…………」

 

じとー、と擬音が付きそうな視線で俺を見る楓。まぁ何となくこうなるのは予測していた。俺が楓が起きていると気付いたのは「楓は面倒くさい女だ」と言ったところだからだ。

こう見えて、楓は人一倍寂しがりやで、人一倍臆病なのだ。酒を飲むときは必ず誰かと飲もうとするし、基本的に一人でいることを嫌う。だけど嫌われたくないから自分からは他人に踏み込もうとしないし、無理をしてでも期待に応えようとする。

自惚れでなければ、俺が女性を名前で呼ぶと怒るのは俺が自分から離れていくのではないかと思っているから。今怒っているのも、恐らくは自分から離れようとしているのではないかとか考えているのだろう。

寂しがりやで、臆病で、自信がなくて。だから怒ったふりをしてでも引き止めようとする、不器用で面倒くさい女。およそ世間で思われているイメージとは正反対の素の楓。

 

無言で頭を撫でれば、一瞬ふにゃりと顔が弛む。それでも怒っているんだぞと言いたいのか、すぐに身体ごとそっぽを向いてしまう。

そんな楓を愛しいと思ってしまう俺はもう抜け出せないところまで来てしまっているのだろう。それでもいいと考える辺り、もうどうしようもない。

実のところ、子供の頃から楓の考えていることを見抜いたと本気で思えたことは少ないのだ。もしかしたら今の表情も楓の演技かもしれない。拗ねているのも、いや、子供のように振る舞っているところから実は楓の演技なのかもしれない。

けど、それでいい。相手のことが全てわかっているなんてことはあり得ないし、逆に気味が悪い。わからないならそれでいい。わからない部分を含めて、俺は高垣楓の全てを愛そう。

 

そっぽを向いている楓を抱き上げ、俺のあぐらの上に座らせ、抱き締める。ふわりと甘い香りが俺の鼻をくすぐった。楓の匂いだ。

楓の抵抗はない。されるがままに抱き締められており、そっと俺の手に楓の手を重ねてくる。

 

「愛してるぞ、楓」

 

耳元で囁くと、楓はびくりと肩を跳ねさせる。そしてしばらくもぞもぞと動きながら俺の手を弄んでいたが、やがて大きく息を吐き、倒れ込むように頭を預けた。

 

「……私も、大好きです」

 

照れたようにはにかみながら、楓は両手を俺の手に合わせて、強く握った。

テーブルの上では、カランと音を立てて氷が転がっていた。

 


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