「随分と物騒な挨拶だな」
「あなたが原因だとわかったのであります」
『原因排除』
「うおっと」
俺は今家に帰る途中にヴィルヘルミナと相対して、予想通り戦闘に突入していた。しかも、キアラとシャナが遠くに行くのを狙ってだ。
帰って来るまでに仕留めるつもりだろうが俺はそんなに弱くはない。向こうは案の場ただのミステスしか思ってなかったようだ。
俺は既に鎧を纏い、ブルートザオガーで対抗している。
「何で俺を狙うんだ。キアラとかに俺がフレイムヘイズと協力してるって聞いたばかりだろ」
「あなたと一緒にいたせいか、炎髪灼眼の打ち手は弱くなっているのであります」
弱くなってるねぇー。むしろ強くなってると思うんだが。あれか、心の問題というやつか。原作と違って別にあいつが惚れてるわけでもないから大丈夫だと思うんだが……。
ん?誰かが溜め息を吐いたような気がした……気のせいか?
「弱く……ね。彼女はいい笑顔するようになったと思うが?」
「問答無用です!!」
これは話しを聞かないパターンだよな。
……なら
俺はこちらに延びてきた包帯を弾いて接近する。
「このまま押しきるであります!」
「なら無力かするまでだ!」
『Divide、Divide、Divide、Divide』
俺はグランマティカで急速に加速して、ヴィルヘルミナの背後に回る。そして俺の翼が輝く。
「……っ!」
「そらよ」
ヴィルヘルミナは自身の力の変化に動揺し、動きを止める。
「遅いな!」
俺の姿がヴィルヘルミナからの前から再び消える。彼女も俺の動きに反応しようとするが、白龍皇の光翼の能力で弱体化した影響でそれが致命的に遅れる。
それでも彼女は万条の仕手、古き時を生き抜いてきたフレイムヘイズだ。巧みに武器である包帯を扱い、俺のブルートザオガーの攻撃を防いだ。
「さすがは万条の仕手。……だが」
ブルートザオガー。それはただの剣ではなく、宝具。その能力は存在の力を込めることでそれを浸透させて相手にぶつけることができる。
「くっ」
「ちっ」
彼女はそれを包帯を地面に強引に叩きつけて、上に回避することに成功する。俺は避けられることを考えておらず少し怯んでしまう。
「なかなかやるのであります!」
「そっちこそ!」
ヴィルヘルナの包帯が俺の腕に巻き付く。しかし、俺は直ぐにそれを半減し拘束を解いた。
そして、俺は彼女の方を見るとあからさまに大技の構えをしている。
……ちっ。
『向こうは決めにくる気だぞ!』
分かってる!
こちらも同じく大技のためにブルートザオガーに大量の存在の力を溜めていく。
そしてお互いにその大技をはたとうとした矢先に、この場にいないはずの少女の声が響く。
「二人ともやめてぇー!」
こうして万条の仕手との戦いは思わぬ形で中断された。
そして暫くして俺とヴィルヘルナは向かい合わせで自宅のリビングのイスに座らされていた。周りにはシャナ、キアラがいる。
あの戦いのあとシャナの説得の末こうして話しを聞いて貰えることとなった。
一応俺はあの戦いの経緯をキアラとシャナに説明し、次にシャナはヴィルヘルナにここに止まった経緯を説明した。
「……事情は分かりました。しかし、あなたはこれからどうしていきたいのですか?」
「どうしていきたいとは?」
「ずっと、ここで戦い続けるのですか?」
「……とりあえず、高校卒業まではここを拠点にするつもりだ。母さんのこともあるしな」
「あなたの方針は分かりました。しかし、完全には信用していません」
「厳しいね」
とりあえず、原作通りヴィルヘルミナをこちらに引き入れることができた。原作以上の戦力があるし、あのクリスマスまでうまく事が運ぶはず。故に高校卒業まで時間はかからないだろう。
……来たか!
「……っ!」
「これは!」
突如、川の方に出現した存在の力に俺たちは反応する。そして封絶も張られた。どうやら、奴等が本腰いれて来たようだ。俺たちは直ぐにその場所に向かう。すると、そこにはベルペオルに人質にされている佐藤と、それ見て動けないマージョリーの姿があった。
それは、アカン。
キアラとシャナが加速してベルペオルの後ろから助けに向かおうとするが、シュドナイに阻まれる。
「取引きをしようじゃないか」
ベルペオルはそう口にした。