「たく、疲れて倒れたって聞いたから、心配してたんだぞ」
「悪いな、池」
フリアグネの戦闘から三日後の朝、俺はいつものように池と登校していた。あの戦闘を終えた後、サーレとキアラはいろい準備があるからと一旦別れたのだ。特にキアラの準備が大変だとか言ってたが……。
しかし、フリアグネとの戦いでは原作以上に得るものがあった。火避けの指輪であるアズュールはもちろん、トリガーハッピーも手に入れることが出来たのだ……やったね!
でも、これは将来祭礼の蛇の代行体になると考えると、俺が手に入れてはいけなかったものだよなー、絶対。サーレは一応何があるか分からないから持っとけって言われたけど。
俺が一人考えていると、池は話しを続けた。
「どうだった、先生と二人旅は?」
「バカ、どうせなら美人とが良かったぜ」
「それは残念だったな」
俺は笑いながら、池に言葉を返す。そんなこんな話しているうちに、いつの間にか学校に着いていた。
「そういえば、聞いたか。なんかうちのクラスに転校生が来るらしいぞ」
「転校生?」
まさか……。
俺はある予感を胸に教室に向かって行った。
「キアラ・トスカナです。ハワイから来ました。これから、よろしくお願いします!」
目の前の茶髪の少女……キアラはクラスの皆に向かい頭を下げる。まさか、本名でくるとは予想してなかった。
『逆に言えばこのような展開は予想してたんだろう』
……まぁな。
クラスの皆が騒ぐ中、キアラは先生に指定された席に向かい歩き出す。その途中に俺の席に来ると、俺に話し掛けてきた。
「これから宜しく!」
「ああ」
クラスの……というかほとんどの男子の視線が突き刺さる。どんな視線かなんて説明は不要だろう。池からも後で説明しろよと視線で語りかけてくる。
俺の学校生活は原作がまだ始まってないのに、前途多難だ。
「ひどいめに合った」
『相棒も人気ものだな』
「うるせぇ」
俺はアルビオンに文句を言った。
今俺は学校が終わり、職員室からキアラが来るのを校門で待ってるところだ。暫く待つと、彼女はこちらにやって来た。
「お待たせ」
「おう。取り合えず、事情を説明してくれ」
「えっとですね……」
キアラの話はそう難しいものではなかった。
俺の監視及び護衛、鍛えるためにこの御崎を拠点にしなければないらない。それ故に俺の同級生という立場ほど適したものはなかったそうだ。
「なにより、日本の学校に通ってみたかったのもありますけど」
「そうか……」
キアラの目を見る。本当に楽しそうな目をしていた。フレイムヘイズになれば使命と言われるものを背負うことになる。そうなれば、学校どころの話じゃないもんな。
「住居はどうしたんだ?」
「悠二の家の近くにあるアパートの部屋を借りました」
「何故俺の家を……」
「あの戦いが終わった後、しっかりと悠二が家に帰るのを見てましたから」
どうやら、俺の家も調査済みか。まぁ、家が近ければお互いになにかあったときに対応できるからな。さすがすぎる……。
「あとサーレさんが特訓は今週の土曜からにするって」
「ついにか」
「あっ、特訓には私も付き添うので一緒に頑張りましょうね」
「ああ」
キアラは笑顔で俺に特訓のことを告げてくる。しかし、美少女の笑顔というものはいつ見ても癒されるものだ。
俺はこれから起こる事件を見据えて、強くなる決意をしたのであった。
「奥さん、このご飯おいしいですよ」
「はい、とっても」
「うふふ、ありがとう」
「……」
夜になるとサーレとキアラの二人が我が家にやって来た。理由は引っ越しの挨拶だそうだ。
最初はただ挨拶だけしたら帰る予定だったらしいが、母が俺の知り合いだと気付くとこういう状況になっていた。
後、サーレはキアラのお父さん設定らしい。
「夕飯ご馳走になっちゃってすいません」
「いえいえ、久しぶりのお客様だから腕をふるっちゃったわ。悠ちゃんはあんまり友達を連れてこないからね。キアラちゃん、仲良くしてやってね」
「ちょっ……母さん」
「もちろんです!」
キアラは元気よく母さんの言葉に答える。そしてこっちの方を見てきた。なんか恥ずかしい。
そして、食事が終わるとキアラは母の手伝いをするというので俺とサーレは二階の俺の部屋に向かった。
「今日はホントにすまんな」
「別にいいよ。なんか久しぶりににぎやかな食事味わえたし」
「そうか……」
俺は今後のことについてサーレに聞いてみた。
「悠二は存在の力を紛いなりにも認識できるからな。封絶に関してはそんなに時間は掛からないだろう」
「はい。具体的にはまだなんですけど」
「いや、それくらい分かれば十分さ。問題は自在法だが、これはイメージが重要だ。まぁ、そのときになれば説明するが」
サーレは頭を書きながら答える。
「だから、一年だ。その一年で結構強くできるだろう。後はあの白い翼の宝具と自在式をうまく使えるかってところだな」
「一年たったら、この町から離れるんですか?」
「いや、拠点はここから離れず、ちょくちょくアウトローを回って情報収集ってところだ。仮装舞踏会の動きを知りたいんでな。それにキアラは悠二の護衛のために残していくし」
仮装舞踏会の動きか……。俺は原作の知識があるけど、かならず正しいとはいかないからなぁ。
既にフリアグネ討滅しちゃったし。
すると、今度はキアラの話に移った。
「キアラのことなんだが、あいつを学校に入れてやれて良かったと思ってる」
「えっ」
「ずっと戦いばかりだったからな」
サーレの表情が曇る。いろいろなことがあったんだろう。原作に描かれたこと以上に……。
「それにあいつが心をあそこまで許すなんて珍しいしな。まぁだから……これからもよろしく頼む」
「ああ、任せとけ」
俺はそんなサーレの言葉に笑顔で答えた。
「あっ、キアラを泣かせたら許さないからな」
「……えっ」
この時、サーレが設定なんかではなく、キアラのお父さんみたいに見えた。
坂井悠二
[神器]
白龍皇の光翼
[宝具]
零時迷子(変質前)
アズュール
トリガーハッピー
[自在法]
???
???
???はまだ使用不可です。さぁ、まだまだ坂井悠二は強くなる(棒)