世界を越えたい   作:厨二王子

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なんか久しぶりにシャナを見たら書き始めてしまった。更新はたぶん遅めです。


目を覚めたら知らない体だった

「……ここは?」

 

「なに、ボーッとしてるんだ、坂井?」

 

 坂井だと……。俺の名前は神田光一……そうか、俺は転生したのか。

 

 俺は目の前にいる眼鏡を掛けた男性に声を掛けられ、状況を確認した。

 

 ……あれ?でも転生したのなら赤ん坊からだよな。

 

『いや、これは転生ではなく、憑依だろう。しかもこの体、どうやら人間でもないようだ』

 

 突如、俺の頭の中で見知らぬ声が響く。この声は……。

 

 アルビオン。

 

『いかにも。私は神の器としてお前の中の白龍皇の光翼に宿っている白い龍……アルビオンだ。新たな宿主よ、よろしく頼む』

 

 こちらこそ……って、憑依、人間じゃない!?

 どういうことだ?

 転生先はハイスクールD×Dでということになっていたはずだ。特典は無事に貰えたようだが。

 

『そのままの意味だ。ここは相棒が望んだ世界ではないらしい』

 

 ……何?

 

 俺はとりあえず目の前にいる眼鏡を掛けた男性に声を掛けた。

 

「えーっと、ここってどこだっけ?」

 

「なんだ、寝ぼけてるのか?ここは商店街だろ。ちょっと離れてる間に、道ばたで立ったまま寝るなんて心配したじゃないか」

 

 この眼鏡、どこかで見たような……。

 

 俺は少しずつ戻ってきた記憶を便りに、この目の前の人物を探していく。

 

 ……ダメだ、全然分からん。仕方ない、不審がられそうだが。

 

「お前の名前って何だっけ?」

 

「はぁ!?相当寝ぼけてるんだな、池速人だよ。分かったら、さっさと帰るぞ」

 

 池速人……。ダメだ、ホントに分からん。

 

 俺はとりあえず、池に連れられて俺の家であろう場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

「ここがお前の家だ。目は覚めたか?」

 

「ああ……サンキューな池」

 

「たく、世話掛けさせやがって。俺は帰るからな。明日、学校で」

 

 池は俺に一言告げると、自分の家に帰って行った。

 俺は目の前にある家の表札と向き合う。

 

「坂井……」

 

 目の前にある表札を見て、思わず呟いてしまう。とりあえず学生服を着ていることから自分の本名を知るために、自分が持っているカバンを開け、その中に入っていた生徒手帳を開いた。

 

「名前は坂井悠二。住所は御崎市……マジか」

 

 俺は自分が一体どんな世界、どんな人物に憑依したのか理解する。そして、溜め息を吐いた。

 

「まさか『灼眼のシャナ』の世界、それも主人公兼ラスボスに憑依とは恐れいったよ」

 

 俺は一人呟くと、このまま外にいるわけにはいかないので、自分の家の中に入って行った。

 

 

 

 

 

「あの神様、まったく話が違うじゃないか」

 

『恐らく、ミスでもしたんだろう』

 

 俺は自分の家に入ると、緊張しながら母親らしき人物に挨拶をして、二階にある自分の名前の表札が書かれてあった部屋に入った。そして、アルビオンと現状の確認、これからのことについて相談する。

 

「アルビオン、この世界についてお前は理解しているか?」

 

『いや、すまないがまったく分からないのだ。出来れば説明してくれると助かる』

 

「そうか、この世界はな……」

 

 俺は簡単にこの世界について説明した。

 この世界にはこの世と他に紅世があるということ。そしてそこから渡り来た住人である紅世の徒、その中でも強い力を持つ王。さらに、世界のバランスを崩し、いつか決定的な破滅が起きることを危惧して人間と契約を交わしたフレイムヘイズと呼ばれる異能力者。他にもミステス、トーチ、宝具など説明した。

 説明したが、実際俺も大まかな原作の流れと、軽い設定しか覚えてない。

 

『なるほど、どこの世界にも裏はあるのだな』

 

「まったくだよ。それでアルビオンの記憶はどうなってるんだ?」

 

『それが、私も突然の展開でいろいろ混乱していてな。前の宿主が死んだら今の状況だったのだ。なにやら原初の神とは違う別の神と名乗る存在に引き寄せられたこと、相棒が新しい宿主だということ、この世界に悪魔や天使、堕天使の気配がしないということが何故か分かる』

 

 どうやら、あの神様に無理矢理拉致られたようだ。んっ、前の宿主?

 

「前の宿主って?」

 

『前の宿主はのどかな田舎の村に住んでいる表の人間だったな。確か三代目くらいだったか。奴は神器を認識せずに死んだ』

 

 どうやらヴァーリではないみたいだ。三代目ということは原作前か。

 

 そして、アルビオンの話は続く。

 

『相棒も本来このように直ぐ目覚めることはなかったはずだが、どうやら憑依の影響で目覚めたらしい。なので出すのも簡単のはずだ。一度、神器を出してみるといい』

 

「よし……来い、白龍皇の光翼!」

 

 俺は出ろと思いながら神器の名前を叫ぶと、俺の背中に白龍皇の光翼が出現した。

 

 やばい、超かっこいいー!

 

 そして俺は感動を味わうと白龍皇の光翼をしまった。

 

『神器と私の話はこれくらいか……』

 

「はぁ、俺もそっちにいきたかったんだよなぁ~」

 

『相棒は何故、私のいた世界にこだわるのだ』

 

「ふふふ、それはな。悪魔になれば合法的に悪魔の駒で眷属……ハーレムを作れるからさ!」

 

 俺はアルビオンに住んで力強く宣言する。すると、てっきり引かれるかと思えたが、驚きも引きもせず冷静な言葉が帰ってきた。

 

『なるほど。そういえば悪魔がそのようなものを開発してると聞いたことがあったな。相棒はこちらの世界にも詳しいのか』

 

 とりあえず、俺がいろいろ知ってるのは神様に聞いたということにしておいた。

 

 しかし、あきらめきれん……。

 

 まぁいい、とりあえずこの状況の確認だ。どうやら、今は中学二年で『灼眼のシャナ』の原作前。しかし、アルビオンが言っていた人間じゃないということはもうトーチになっているのだろう。そこのところをアルビオンに聞いてみた。

 

「アルビオン、俺はトーチという存在だが、何で神器を宿せたんだ?」

 

『恐らく、元が人間だったのと、神が強引にねじ込んだことが関係しているのだろう』

 

 ワオ、よく消えなかったな俺。神様恐るべし。

 俺はアルビオンに他に気になることを聞いてみた。

 

「後、俺の中にある宝具は感じられるか?」

 

『ああ、白龍皇の光翼の他に何かがあるのを感じる』

 

 俺も零時迷子と認識すると、なにか言葉に表れせない感覚と不思議な力を感じた。これが存在の力というものなのかもしれない。全然分からないな。

 とりあえず原作通り、零時迷子はしっかりとあるし、ミステスのようだ。

 

 さてさて、この先どうするかな……。

 

 こうして望んだ世界とは違ったが、俺の第二の人生が始まった。というかトーチだから人生とは言えないが。

 

 

 

 

 

 

「そういえば、何で相棒って言ってくれるんだ?」

 

 原作では名前呼びだったような。

 

『なに、どっちの名前で呼ぶか悩んでな。そしたら、赤いのが自分の宿主を相棒と呼んでたなと思い出し、私も真似してみたのだ。名前呼びの方がよかったか?』

 

 ……なるほど。

 

「いや、このままでいいよ」

 

『そうか』

 

 相棒……ふっ、いい響きだ。


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