この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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これにてぐだぐだ本能寺は終了です。
次は、師匠降臨イベントですよー。これはちょっと時間がかかるかもしれません。


ぐだぐだえぴろーぐ

 

 

 

 

「どうやら着いたようですね。ここが、この特異点の中心である大坂……のはずなのですが……」

 

「どう見ても南蛮街なんじゃが……」

 

「先輩先輩。私これ何処かで見たことあります」

 

「……私も記憶の片隅に引っかかるものが」

 

「多分ローマだと思うよ」

 

 この街並みはドレイクと共に回収した聖杯の一つ前の特異点でネロの治めるローマで見た光景と実によく似ていた。多分、これも聖杯の所為だろう。決して新しい背景を描くのが面倒くさいとかではないはずだ。そう信じている。

 

「先輩、メタメタな思考がだばだば流れてます」

 

「マジかー」

 

「未だかつてここまでやる気のそがれた仁慈を見たことがないわ……」

 

 戦慄している所長だけど、しょうがないでしょうよ。この特異点……と言っては微妙なところだけど、とりあえずここの戦闘は弱体化の影響で大したことはないのだけれども精神的にものすっごい疲れる。おかげで思考回路と行動する気力が失われていき俺までぐだぐだな状態に……。もう名前も改名しようかな。ぐだ男とかに。

 

 自分でもわかるくらいに思考回路が世紀末っていると、どこからともなく物凄い偉そうな高笑いが響き渡って来た。それだけで、碌でもないやつが出てくるってわかってしまうからこの人の高笑いはすごいと思う。

 いやいやながらもその方向へと視線を向けてみれば、これまた無駄に美形な青年が金色の髪を後ろに流し、金色の鎧をガチャガチャ言わせながら現れた。

 

「フハハハハ!よく来たな雑種共!……我が名は黄金の国ジパングの主にして人類中世の英雄王、豊臣ギル吉!!黄金と言わず、茶器と言わず、全ての財は我のものだぎゃ!」

 

「これはひどい」

 

 俺は初見だけれども、何処か別の世界線で違う俺が戦ったことがあるようなないような感じがあるため、あれが違うとなんとなくわかる。元々の英霊の名前もギルしか入ってないし、ほとんど豊臣秀吉じゃないか。予想くらいは立てれるけどさ。英雄王とギル、財……多分ギルガメッシュだろう。

 

「ん~、なんとなくサルを思い出すのー」

 

「豊臣秀吉ってあんな人だったんですか……」

 

「絶対に違うと思う」

 

「勘違いするなよ雑種!この程度の泥で我が存在は揺るがぬ!此度は別件だ!」

 

「別件ですか?」

 

 どうやら豊臣ギル吉は何か頭にきていることがあるらしく、こうして出向いてきたらしい。しかし、全く以って心当たりがない身としては首を傾げるしかない。俺の疑問の代わりにマシュが彼に対して質問を投げかけてくれた。すると、豊臣ギル吉は形のいい眉毛を吊り上げつつ口を開く。

 

「忘れたとは言わせんぞ、我が財宝下賜の件だ!……満を持して宝物庫を解き放ったというのに……やれローマの方が太っ腹だの、やれ黒をよこせだのなんやので雑種の癖に好き放題ぬかしおって!………白とか黒とか、我だって欲しかったのだぞ!我はつらい……とてもつらい……だが、青ジャージ。貴様は要らぬ」

 

「Xェ………」

 

 こいつに拒否されるとか完全に地雷扱いだな。泣けてくる。俺もその名の通り、ヒロインとは思ったことないけど。

 

 ……しかし、話を聞いてみて思ったけれど、やっぱり身に覚えがない。ローマっていうのは多分ネロのことだろうけど、ネロからもこの豊臣ギル吉からも何か貰った覚えは全くないんだけれども………、

 

「なぜ、何故……我の十連には、唯の一人もやってこなかったのか……ッ!」

 

 ――――あの嘆きは俺にまんま突き刺さるんだが。特に第二特異点が終わった後、礼装祭りを体験した俺としてはとんでもなく。

 

「……あの英霊がどういう英霊なのか今一確信が持てないけれど、少なくともあのキャラは本来のキャラからブレまくっていることはわかるわね」

 

「数多のマスターが抱いている嘆きを代弁しているようにも見えます」

 

「少なくとも今ここでやることじゃないと思うんじゃが」

 

「だが、我はくじけぬ。手に入らないモノこそ美しい……。フッ、逆に考える健康法、というやつだ。いずれ来る記念のために力を溜めるのみ……。それまで、この国の黄金やら地味な茶器やらを集めて誰が真の王か知らしめてやろうではないか!」

 

 言っていることがもう無茶苦茶である。いったい何がしたいのか、何を言いたいのかさっぱりわからない。隣を見てみれば、マシュや所長だけでなく、どちらかというとあの豊臣ギル吉よりの沖田と魔人アーチャー(信長何某)までなんとも言えない表情を浮かべていた。

 

「先輩。あの人が何を言っているのかわかりませんが、とりあえずラスボスっぽいので倒しましょう!私そろそろ疲れてきました。別の意味で!」

 

「賛成」

 

 マシュの提案を飲み、全員がその場で戦闘態勢に入る。すると豊臣ギル吉はギャグっぽい顔を一瞬だけ引っ込めた。

 

「フン、日輪たる我に歯向かうというのか雑種。いいだろう。半兵衛、官兵衛、策を申せ!」

 

 だがその真面目な雰囲気は一瞬だけで、仲間を呼んだあとはすぐにそれは消え去った。後に残ったのは完全にギャグの波動に飲み込まれてしまった英雄王と彼が半兵衛、官兵衛と言って呼び出した、眼鏡で青髪の少年と、ピエロのような恰好をした紫色の不気味な男だった。

 

「策なんぞあるかこの馬鹿め。大体なんだこの低クオリティな世界観は!なってないにも程がある!ええい、二次元のものを三次元の映画にするなというに!」

 

「いやはやなんとも残念無念ですねぇ!しかし、まぁこういう機会ですし?同じ馬鹿なら踊らにゃ爆死とアジアでは申します。ここは一つ派手にはじけるとしましょうか!え?お前最近影薄くないかって?またまたまた!クリスマス仕様メフィストわんちゃんありますかぁぁぁぁぁあ!?」

 

「ありません!」

 

「というか、どっちがしゃべってんのかわかりずらい!そして、お前は今でも時たま見るよ!ガチャでな!」

 

 

―――――――――――――

 

 

「フハハハハ!!喰らうがいい!これぞ刀狩令で集めた数々の刀よ!」

 

「そのゲートの使い方間違っているだろ絶対!」

 

 腕を組み、高笑いをしている豊臣ギル吉の背後に現れるは黄金の波紋。しかし、そこから飛び出してくるのはどれも一流の宝具というわけではなく、可もなく不可もない幾つもの凡刀だった。

 英雄王と言えばあらゆる贅沢を尽くした王の中の王。あんな凡刀を持ってフハハと笑っているとは考えにくい……やはり浸食が進んでいるのか……?恐るべし、ぐだぐだ聖杯。

 

「愚か者め。貴様、これらが凡刀だと?否!これは、我が奪った武士たちの魂が籠った刀。同じ型は幾重にもあれど、傷の付き方、歪み方……それらはかつてそ奴らが戦った証であり、唯一無二のものである!」

 

「なんかすごい、いい感じのことを言いだした!?」 

 

 やっぱり、浸食は重症じゃないですかやだー。三倍とか必要ないくらいにどっぷり浸かっているじゃないですかやだー。

 

 ズドドドドとマシンガンの如く放出される刀。それを俺はいつものように槍を取り出して、くるくると自分の前で回しつつ直撃しそうなものをそらす。いくつか体をかすっているが、問題はない。これくらいなら魔力の消費が少ない回復魔術でも全快は余裕だからだ。

 

「ぬははははは!ここまで役立たずの名をほしいままにしてきた(不本意)わしじゃが、ここは一つ決めてやるとするかの!いくら、☆1ほどに弱体化していたからと言って、低鯖が廃産じゃないということを知らしめてくれるわ!」

 

 ここまで守られるのが常とされていた魔人アーチャーが、急に立ち上がる。そして、豊臣ギル吉に対して、腰に指していた剣を抜いた。

 

「本来は違うようじゃが、今はサル。しかも神性を帯びていると来た!ならば、大人しくわしの前に屍を晒すがよい!」

 

 大々的にそういった魔人アーチャー。

 その直後、すぐに変化は現れた。敵にいる豊臣ギル吉の背後にある刀を出している黄金の波紋と同じような風で、彼女の背後にも無数の火縄銃が出現したのだ。魔力の流れを見るにあれは彼女の宝具。……真名こそ明かしていないものの、恐らく、当時最強と言われていた部隊を打ち倒した、まさしく日本の歴史を動かした、その原点。

 

「三千世界に屍を晒すがよい……天魔轟臨!これが魔王の三千世界(さんだんうち)じゃ!!またの名を無限の銃製!!」

 

「エミヤ師匠に謝れこの野郎!」

 

 俺のツッコミもそこそこに、背後から現れた火縄銃が次々と発射されていく。それは当然俺達にも当然のごとく襲い掛かって来た。どうやら敵味方選ぶことのできない宝具らしい。豊臣ギル吉の刀を魔人アーチャーの銃に任せ、俺は跳躍、青髪の少年とピエロに向かって行き、吐血している沖田をぎりぎりで回収した後、マシュが構える盾の後ろへと避難した。

 

「あ、ありがとうございます。あのままだと私、完全にハチの巣になってました……」

 

「本当にきついなそのスキル……治せたりしないの?」

 

「スキルなので、消せないと聖杯からのお墨付きです」

 

「OH……」

 

 ごふごふと血を吐き出す沖田の血をぬぐいつつ、話を聞くと希望も何もない返答が帰って来た。なにこれ超泣ける。

 

「………近代兵器ってあそこまで強いのね……」

 

「別に近代じゃないですよ所長。確か火縄銃といいましたっけ?先輩」

 

「そう。連射性能は普通に現代のものに負けるけど、威力はかなり強い。ぶっちゃけ当たれば即死。鎧とかも貫通するから昔にしては破格な性能を持ってる。精度はもちろん現代には負けるけど、使いこなせる人は割といたらしいよ」

 

「「へー……」」

 

 魔術師というだけあって、そのくらい昔の武器なんかは知らないのだろう。マシュと所長が感心したかのように声を上げた。それと同時に外の銃撃も止んだので盾から少しだけ顔を出してみる。

 するとそこには既に金色の光となっている三体のサーヴァントがいた。三千世界つよい(確信)

 

「わし、神性特攻があるんじゃよ!そういった類の相手には負けんぞ。それ以外はしらん」

 

「すげぇ」

 

 相性がものを言うのは割といつものことなので気にしない。というか、とがってでもいいからこれは任せろ!というのがあった方が普通にありがたいわ。

 

「まさか……我が撃ち負けるとは………露と落ち露に消えし我が身かな……。ウルクのこともまた夢の中の夢……ウルクの民募集……中……がくっ……」

 

「よし、これで仕事は終わったな。竹中アンデルセンという名前の響きが面白かったので協力してやったが……馬鹿の阿呆笑いにはうんざりだ。大体日本という設定がまずわからん。どこかで頭の茹った尼に遭遇しないとも限らん。早々に退場するとしよう。……お前らも、適当なところで切り上げておけ。こういうことは真面目にやるだけ損だぞ」

 

 豊臣ギル吉は最後までおかしく、竹中アンデルセンと言った青髪の少年は疲れた表情でそんなことを言い残しつつ消えていく。次は最後に残ったピエロっぽい奴の出番だ。

 

「いやぁ、残念無念、それにしても童話作家殿は案外お優しいことで。我ながらどちらがしゃべっているのかわかりにくかったのですがそれはそれ……あなた達にはこの茶釜をプレゼントしましょう」

 

「これはどうもご丁寧に……」

 

「受け取らなくていいから!」

 

 素直に茶釜を受け取ったマシュ。その素直さはいいことだけど、むやみやたらにそういうのはやめましょう。危ないから。

 

「それにしても、極東の侘び寂び文化は実に興味深い。爆発する茶釜とは実にエキセントリックですな!それではご一緒にカウントダウン!!3、2、1……」

 

 ドカンまでは言わずに消えていくピエロ。それに対して、マシュは彼の言葉をまともに受けてしまったらしくおろおろと茶釜を持って慌てていた。近くに居る所長はそれはもう驚くくらいの速度で俺の背後に隠れた。見捨てるの早い。

 

「せ、せせせせ先輩……!どうしましょう!?」

 

「爆発はしないから大丈夫。膨大な熱量も感じないし、魔力も暴走したりしてない」

 

「仁慈の言う通りじゃ。爆発するのは松永のだけじゃよっと………ふむ、どうやらこの茶釜が変質した聖杯の核のようじゃの。うむ、これでわしの力も戻るし一件落着だの……」

 

 と、言葉ではそう言っている彼女だが、その身体からは魔力があふれ出ていた。それは力を取り戻したからということではない。攻撃的な魔力の流出。ついでに敵意を確認。

 

「アーチャー……さん……?」

 

「アーチャー……まさか!?」

 

「そうすべて我の思うがままよ………」

 

 

 聖杯を左手で扱いつつ、魔人アーチャーは先程の豊臣ギル吉に負けず劣らずな高笑いを披露する。

 

「ふはははは!!今までご苦労じゃったなお前たち!」

 

「………(無言の槍召喚)」

 

「此度はわしの思うが通りにことが進んだわ!」

 

「………(無言の魔力充填)」

 

「十二体のサーヴァントの生贄、そして力を取り戻したわし!最後に聖杯の力を使って貴様らの世界に乗り込んでくれるわ!」

 

「突き崩す神葬の槍」

 

「なんじゃとぉ!?」

 

 ちっ、回避しやがったか。いつもの如く面倒くさい前口上をたらたらと垂れていたら速攻であれこれしてやろうとしたのに。

 

「普通、何の話もしないで攻撃するかの!?しかも、さっきまで一緒に戦ってきたあいてじゃぞ!?」

 

「前回、俺は師匠と兄弟子を自害させましたが?」

 

「この人でなし!」

 

 あんたも似たようなもんだと思うんだけど。人の頭蓋骨使ってコップにするとか流石に引くわ。

 

「ま、まぁ良い。とりあえず貴様らはこの第六天魔王織田信――――」

 

「自己紹介はさっき聞いたんでいいです」

 

「えっ?何で知っているのじゃ!?」

 

「さっきお昼ごはん食べたときに勝手に自分でバラしてたじゃないですか」

 

「え、何してんのわし」

 

「ふっ、馬脚を現したな!」

 

「この声は……!」

 

「そう、わしじゃ!」

 

 ――――――ぐだぐだが極まってきました。現在の状況。何故か分裂する魔人アーチャーあらため織田信長。この段階でもう相手するのが面倒くさくなってきましたよ。というか俺もう面倒くさいしか言ってないまである。

 

「信長さんが二人!?」

 

「ぐだぐだが極まってきましたねー」

 

「………もう正体とかどっちが本物だとかどうでもいいからどっちも平等につぶせばいいんじゃないかな」

 

「その手がありましたか!」

 

「「えー……」」

 

「しかも、俺ら的にはいわゆる偽物?の方のノッブの方が敵を倒したし役に立っているんだけど……」

 

「マジで!?」

 

 衝撃の真実に思わず仰け反る本物(仮)のノッブ。

 うん、入れ替わったタイミングはおそらくさっきのお昼で花摘みに行ったタイミングだろう。そうなると、やっぱり、偽物の方が役に立っていることになる。

 

「ぬはははは!これでどちらが必要とされているのかわかったであろう!」

 

「いや、お前もこっちに来るっていうなら潰すから」

 

「なんじゃと!?……えぇい!ならば、わしが逆に貴様らを潰してゆっくりと征服してくれようぞ!いざ―――――――――三界神仏灰燼と帰せ! 我が名は第六天魔王波旬、織田信長なり!」

 

 そう、彼女が唱えると、俺たちが今まで居たローマのような街並みの大坂に勢いよく燃え盛る炎が出現したのだった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 見渡す限りの炎。

 奥には寺のようなものが燃やされており、織田信長が出したということにどこか意味を感じさせる。本能寺かもしれない。

 

「ふはははは!!いくら仁慈と言えど、神をも殺す我が力にはかなうまい!そのまま跪け!」

 

「皆の者、騙されてはならぬ!神をも殺すのではなく、神しか殺せぬなのだ!ぶっちゃけわし相性ゲーしかできないのじゃ。敵が神なら無類の強さを発揮するがそれ以外にはそこまで有効な攻撃は出来ん!さぁ、力を合わせて戦うのじゃ!」

 

「神殺し特化と来たか……だからさっきの豊臣ギル吉にあんなに刺さったわけか」

 

「関係ないわ!とくと味わえ、魔王の三千世界を!」

 

 敵のノッブの言葉と共に先程は敵に向かっていた銃がこちらに標準を合わせている。そこで俺はマシュにアイコンタクトを送った。彼女もしっかりと意味を理解してくれたのかコクリとうなずいてから盾を構えて、宝具を展開する。

 

仮想宝具 擬似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!!」

 

 久しぶりに登場したマシュの宝具。盾を基点として記された魔法陣はしっかりと敵の攻撃である三千世界を防いでいく。こちら側のノッブが言っていた通り、神格もち以外にはそこまで有効的な手段がないらしく、マシュはまだまだ余裕を持って銃弾を防いでいた。

 

「ところで貴女は使えないんですか。あれと一緒のやつ」

 

「できんことはないが……威力が全然違うんじゃ。普通に押し切られるぞ?なんて言ったって、ほとんどの力を持っていかれてしまったからの」

 

「………俺が、魔力と強化魔術を使えばどうよ?」

 

 同じ宝具をぶつければ何とかなるんじゃないかと思い、俺はそう提案する。すると、ノッブは少しだけ考えた後、何とかなるかもしれないと答えた。

 

「よし、じゃあ仮契約だ」

 

「……わしがいうのもなんじゃがいいのか?ほとんど力がない故、わしが使う力のほとんどをお主に依存することになるんじゃぞ?」

 

「問題なし」

 

 ここでサクッと仮契約を交わすと、ノッブに全力で魔力を回す。すると、彼女はおぉ……?といった感じの反応をしつつも、自分の手を握ったり解いたりしていた。どうやらそれなりに力が戻ったようだ。

 

「ふむ……☆4ってところかの……。マスターの魔力で回しているにしては破格な性能じゃ。これなら、行ける。……わしこそが真の第六天魔王、織田信長也!」

 

「……マスターに依存する第六天魔王(ボソッ」

 

「静かに」

 

 余計なことを言う沖田の口を人差し指で塞いだ後、三千世界の処理をノッブとマシュに任せると俺と沖田は別口から本体へと近づいていく。

 

「沖田ってワープ使えるんだっけ?」

 

「縮地を少々」

 

「なるほど」

 

 彼女たちの会話を聞いていた俺は、ノッブが縮地うざいと言っていたことを思い出した。であれば俺もそれを利用しない手はない。

 先程だした突き崩す神葬の槍を一度しまい、いつぶりだったか忘れたレベルで久しぶりの刀を取り出す。忘れているかもしれないが、刀を握っていると縮地を使えるようになるのだ(地味設定)

 

 刀を持って、沖田と一緒に尋常ならざる速度で敵ノッブに接近する。

 

「私が先行します。恐らくあなたの接近までは予想してないはずです。……縮地使えるとか私も初めて知りましたし」

 

「言ってないからね。仕方ないね」

 

 と言いつつ、ノッブの背後を取った俺達。

 まずは打ち合わせ通りに沖田が敵ノッブに襲い掛かった。

 

「一歩音を越え、二歩無間、三歩絶刀!――――――無明、三段突き!」

 

「ぬっ!?お主がその技を成功させるとは珍しいの!」

 

「ここで失敗したらアレですよ。………しかし、どうして普通に立っているんですか」

 

「どうやら、ここの世界ではわしの方が相性がいいみたいだの。人斬り」

 

「そうですね。私だけでしたら、ですけど」

 

「なぬ!?」

 

「はーい、私です」

 

 テンションがおかしくなりつつ、刀を引っ込めて取り出していた槍を構える。そしてそのまま呆けた顔のノッブの胸にそれを突き刺したのだった。

 

 

「お、己……常識的に考えて、ここまでマスターが前線で戦うとかありえんじゃろ……しかし、わしは死なぬ。何度でも蘇るさ!貴様らが大地への感謝を忘れたときとかな!」

 

 

 最期のセリフがこれである。なにはともあれこれで真に終了したといことでいいのだろう。

 敵であったノッブが消えたことによりこの燃え盛る風景も消えてきているし。ついでに言えば彼女たちも消滅し始めていた。

 

「ふはははは!これでわしも真の力を取り戻した。貴様らご苦労だ――――――「槍投げどーん」――――ぬわーーー!?」

 

 

 これ以上の面倒事を増やそうとするノッブに槍を投擲、見事に回避された。やめて!ただでさえこれ以上ないくらいにぐだぐだなのにここでまた戦いに入ったら俺の精神が燃え尽きちゃう!

 

「というわけで、余計なことをせずに素直に消えてくださいお願いします」

 

「超丁寧!?」

 

「なんか、本当に申し訳ありませんでした……。そしてお世話になりました。今度は是非、私たちの世界に遊びに来てください」

 

「え?このぐだぐだが常に展開されている世界にですか?」

 

「違いますから!今は大戦の真っ最中ですから、しっかりとシリアス出来ますから!」

 

「えー……」

 

 にわかには信じがたい。

 

「そういう視線を送るでないわ。それにしても、本来交わることのない世界じゃったとは言え、お主たちのことは気に入った。どちらも破天荒……実に良いことじゃ!もし、わしを召喚するようなことがあったら、第六天魔王の力、存分に振るってやろう!」

 

「私も、この剣を仁慈。貴方に捧げましょう」

 

「呼べたら、その時はよろしく頼むよ」

 

 どうせ呼べないだろうけど。

 

「さようなら信長さん、沖田さん!お昼のたくあんは美味しかったです!」

 

 ニコニコと最後は笑顔で帰っていった二人、実にぐだぐだなものだったけれども、最後はなんだかんだ言って丸く収まったんじゃないだろうか。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

「お、帰って来たの仁慈、マシュマロサーヴァント!わしじゃ!」

 

「デミ・サーヴァントです。さっきまで普通でしたよね!?」

 

「というか何でいる?」

 

「普通に来れたぞ。一人で」

 

「所長。カルデア、ガバりすぎじゃありませんかね……」

 

「………ダ・ヴィンチと一緒に対策を考えておくわ」

 

 

 帰ったら、さっき別れたノッブがカルデアに居座っていたでござる。どうやら彼女は自力で召喚されたようだ。清姫と同じタイプか。

 ………まぁ、彼女は神性特攻を持っていて神にはめっぽう強いらしい。織田信長ってこともあり、奇襲とかその辺の作戦には文句を言うことはないだろう。……あれ?結構相性がいいのではなかろうか。

 

「……うん。今思い返してみれば、普通に相性がよさそうだし、よろしくお願いします。――――――ただ、毎日俺に爆撃は仕掛けてくるなよ?」

 

「うむ。些か早い再会で若干格好がつかないというか、ぐだっているが、是非もなし。爆撃に関しては保証しかねるが……一つよろしくの!」

 

「爆撃したら自害な」

 

「慈悲もなし!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ぐだぐだの癖に、意外と文字数があるというね……是非もなし。

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