今回の内容で批判される覚悟はできています。しかし、どうか手心を加えてください(土下座)
「………うむ、実に善きローマであった。我が愛し子よ」
その一言を残し、この特異点最後の敵であるロムルスは消えた。
あとに残ったのはロムルスを見送り、瞳に涙をため込んでいるネロとそれを遠目で見ていた俺達カルデア勢だけだった。
レフを屠った後、俺はXと清姫に説教されつつネロにロムルスが待っているという旨を伝えた。ローマを作り上げた神祖ロムルスが敵としていたことに酷い動揺を覚えていたネロだったが、それを自力で払いのけ、自分が先陣を切ってロムルスとことを構えることを決めた。やはり、こういった決断がすぐにできるあたり、彼女は上に立つ者だと思った。
そうして、一日を準備に費やしたのちにネロは連合帝国の本拠地へと乗り込みロムルスと刃を交えた。
まぁ、ロムルスは話に聞いていた通りネロを殺す気はなく、あくまでローマを任せてもいい者かを確かめるように戦っていたが、それでもその強さは圧倒的だった。神の子どもだけあって肉体面では覆しのないほどの差があるのだ。
だが、ネロもネロで中々に人外じみた逸話が残っているからか粘りに粘った。どれだけの差があろうとも決して剣を下ろさず戦い続けたのである。
そのことを確認したロムルスは最期の試練として自身の宝具を開帳した。
一方それに対抗して彼女が行ったのは、世界の
かつて自身が作った建造物を魔力で作り出し、自分の都合のいい舞台を作り上げる、どこかの誰かさんとは似て異なる大魔術。
彼女はそれでロムルスの大樹を上書きして消して、自身こそが現皇帝だということをしっかりと示したのである。それを見てほんのわずかにロムルスが表情を緩めたのは物凄く記憶に残っている。
彼自身も自分が圧倒的に不利となる舞台で大立ち回りを演じるが、元々戦いに掛ける意気込みが違うためにロムルスは敗れたのであった。最も、それが本当の望みに近いものだったというのだから勝てた気がしないんだけれども。
「………」
「神祖ロムルスの消滅を確認。これでこの時代の修正も完了ですね」
「そうだなぁ。元々聖杯は昨日かっぱらったし、本来ならそこで終わりのはずなんだけど……あのローマが頑張ってたからなぁ……。ほんと、神祖は伊達じゃないわ」
「ぬ!?おい、マシュ!仁慈!そこの白子と帽子も!か、体が消えとるぞ!」
「誰が帽子ですか。私が消える前にその無駄にたわわに実った乳房をそぎ落としますよ」
「白子とは……新鮮ですわ」
「言うとる場合か!?もしかして、そなた等も神祖や伯父上のように消えるのか?」
「……はい。私たちもこの世界にとっては異物ですから。歴史が正された以上、いなくなることは当然の結果です。ここで起きたことももう少しでなかったことになるでしょう」
マシュの言葉にネロはその表情を悲しみ一色に染め上げる。今さらだけれども本当に感情豊かな人だな。
「そうか、そうか……。それは正直に言ってすごく残念だ。無念だ。余はまだ、そなたらに何の報奨も与えてないのに」
「別にもうこれを貰っているから、他のものはいいよ」
そう言ってレフから奪い取った聖杯を見せる。
これでも一応万能の願望機だから報奨としては破格のものと言ってもいい。これを貰っておきながらさらにネロから何かを貰おうなんてガメツイ性格はしていないつもりだ。最も、ここでもらっても持って帰れないけど。
「……ならよい。確かにそなた等との別れは惜しいが、かといって悲痛な面持ちで最期を飾ることもあるまい。――――だから、礼だけ言わせてもらおう」
ここで一度言葉を切ると、ネロは今まで見てきた中で最上の笑顔を浮かべながら、言葉を紡いだ。
「―――ありがとう。そなたたちの働きに、全霊の感謝と薔薇を捧げよう!」
その言葉を最後に俺たちはその世界から消えた。
「おかえり。オルレアンに引き続いて聖杯の回収お疲れ様」
「どうも。あ、ダ・ヴィンチちゃんこれ、回収した聖杯ね」
カルデアに帰還するとロマンとダ・ヴィンチと所長が居たのでそのうち二人に言葉をかける。え?所長?彼女の方から話しかけてくることができたら考えます。
くだらないことを考えつつ、俺はダ・ヴィンチちゃんに聖杯を投げる。彼女はそれを普通にキャッチすると鼻歌交じりに管理室を後にした。
「ちょ、聖杯を投げるとかやめてくれない!?小心者の僕が死んじゃうよ!ストレスで!」
「聖遺物なんだから落としたくらいで壊れたりしないでしょう。多分」
「ここに信者が居たら完全に怒り狂いますよ……」
マシュに呆れられたことにより、俺とロマンは一端話を止める。そして、ロマンはすぐに真面目モードに切り替えてから再び口を開いた。
「さて、軽口はここまでにして。本当にお疲れ様。今回のレイシフトは得るものがとても多かったよ。なんせ、レフ・ライノールが慢心で様々なことを教えてくれたからね」
「何で、あんな感じの奴らはこぞって自分の正体を言いたがるんだろうね。本気で理解できない」
「そりゃ、自己紹介の代わりに暗殺してくる君にはわからないだろうさ」
「先輩、ドクター。話がずれています。……ドクターが言っている情報とは、フラウロス、七十二柱の魔神……そして王の寵愛というところでしょうか?」
マシュの考えにロマンは静かに頷く。
「そう。そのワード。そこから導き出される答えはもうほとんど決まったも同然だ。あそこで仁慈君たちを殺す気満々だったレフはおそらく嘘はついてないとは思う」
「ということは……」
「あぁ。レフ・ライノールの言う、あの御方とは十中八九魔術王ソロモンだろう」
こんな早くからラスボスの正体がわかっていいのだろうか。と思いつつも、ロマンが必要以上に落ち込んでいる姿をぼーっと見ていた。
―――――――――――――――
ローマの特異点から帰って来た次の日。
再びいつの間にか持っていた聖晶石を手に抱えて召喚システムフェイトの部屋に向かう。今回は黒鍵祭りを気にして、二回しか回さないつもりだ。しかし、その二回だけでも俺は自信に満ち溢れていた。何故なら今回、俺には心強い味方も来てくれているのである。
「どうして私は呼ばれたのでしょうか?」
「そこにマシュが居たからさ」
「意味が分かりません」
いや本当なんだよ。
我らが癒しにして大天使マシュが居ればなんとなくいい引きになるような気がしなくもなかったので連れてきました。実際彼女が居てくれることにより俺の意識がフェイトの方に向かず物欲センサーをスルーできる可能性がある。
………人類の未来とか、その他諸々がかかているんだから、物欲センサーも休暇取れとも思うけど、奴らは日本の社畜の如き働きを見せるからこうするしかないのだ。
「まぁ、居てくれるだけでいいから」
「わかりました。先輩の絶望を、このマシュ・キリエライトがしっかりと見届けます!」
「引く前から嫌なこと言うのやめてね?」
などなど言い合いながら一回目の召喚を開始する。
相変わらずシンクロ召喚に似通ったリングが出現し、溢れ出る光が人の形をとる。そこから現れたのは、
「やぁ。セプテムではほとんど出番がなかったブーディカさんだよ」
ブーディカさんだった。
「えっ!?ブーディカさん!?」
これにはマシュもびっくりである。
しかし、当の本人はそんな驚きの表情を浮かべるマシュに抱き着きながら俺に説明を行ってきた。マシュを抱き枕にするとかなにそれうらやま。
「ほら、言ったでしょ?私とこの子たちは縁があるって。その伝手だと思うよ」
「ふむふむ。まぁ、知っている人で良かったですよ。これからよろしくお願いします」
「おねーさんに任せなさい!」
マシュに抱き着いた状態で言われても……。
なんて思いつつ、第二回目の召喚を決行する。目の前に広がった光景は先程と同じくレベル3モンスターを素材にシンクロ召喚をするかのごときものだった。つまり出現するのはサーヴァントということだ。
ブーディカさんの時と同じようにその光が、人型へとなっていく。
そうして現れたのは
「――――――――――」
褐色で白髪の人物だった。
その人物は自分の身体と、周囲を一度見まわし、そして俺の方を見てくる。
その後、無表情気味だったその表情を緩めて口を開いた。
「サーヴァント、アーチャー。召喚に応じて参上した」
そう、その人物とは、黒化した状態であっても一度冬木で会った人物。俺に弓を教えてくれた(ただしそこまで活用していない模様)師匠の一人である、エミヤだった。
「………休暇はしっかりととれましたか?エミヤ師匠」
「あぁ、十分すぎるほど休ませてもらったよ。しかし生憎、私は生粋の日本人だったようでね。逆に苦痛に思ったくらいさ」
「社畜の鏡ですね」
「フッ、ま、だからこそこうしてカルデアに来たのさ馬鹿弟子。いや、今はマスター……と呼んだ方はいいのかね?」
「気持ち悪いのでやめてください」
「くくっ、そうかね?……まぁ、そこらの話はあとにしよう。この身は贋作者なれど、その培った経験と戦闘力は本物であると君の下で証明してみせよう」
「えぇ、期待してます」
こうして、カルデアはまた一段とにぎやかになった。
ついでに俺の労働(家事)も減った。
エミヤ師匠まじバトラー。
エミヤとブーディカを召喚した後日
クー・フーリン「ハンッ!残念だったな!マスターは既にこっち側(槍を使う者)なんだよ!」
エミヤ「何ッ!?この馬鹿弟子、よりにもよってアレに誑かされるとはどういうことだ!?」
ダ・ヴィンチ「なんだ?┌(┌^o^)┐か?┌(┌^o^)┐なのか!(わくわく)」
マシュ「モホォ……?」
オルガマリー「………(チラッチラッ」
X「フム……マスターの総受けとは、その発想はありませんでした」
清姫「安珍様ぁ……?同じ過ちを繰り返そうというのですかぁ?」
仁慈「お前ら(マシュを除く)纏めて串刺しにするぞマジで」(槍を取り出す)