この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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(話が進まないことに対して)許しは乞わん、恨めよ。


ラ・シャリテ

 今後の方針としては黒ジャンヌが占領したオルレアンを目指しつつ情報収集をしていく形をとることにした。正直、敵の黒ジャンヌがルーラーのクラスを持っていたら即戦闘になってしまうのだが、その時はその時で考えるので俺は考えるのをやめた。やはりカーズ様は偉大(確信)

 

 カーズ様はともかくこの戦闘で問題になってくるのは十中八九いるであろう相手方のサーヴァントのことである。彼らは過去に自身の偉業を認められた者たちのことであり、当然のごとく人智を凌駕する力を持っている。しかし、デメリットもあるのだ。それは自身の神話や逸話に縛られてしまうというものである。うちのクー・フーリンで言えば犬を食えば 大 弱 体 とかそんな感じだ。そこを付けばかなり戦闘を優位に進めることができる……とはカルデア所長のオルガマリーの弁。流石所長。現場にいなければしっかりとエリートしているあたりなんとなく頼りになるわー。なんとなく。

 

『なんとなくとは何よ。なんとなくとは!』

 

「戦闘ビビッてマスターだけレイシフトさせるデミ・サーヴァントはちょっと……」

 

『貴方がおかしいっていい加減気づいてくれない!?』

 

 気づいてて言っているんですよ。

 でも、俺はともかくマシュは戦闘経験もないのにデミ・サーヴァントとして一緒についてきているんですよ?なのに所長と来たら……。

 

『ぐぬぬ』

 

 こんな感じの緊張感のない会話を交わしつつもやることはしっかりとやっていますことよ? 

 現在は隠れ蓑にしていた森を抜けて、近くにある街――――ラ・シャリテに向かっている最中である。ここで情報がなかったらさらに敵の本拠地(暫定)であるオルレアンに近づかなくてはいけないのだが、現状これくらいしか取れる手立てがないので仕方がない。

 ぶっちゃけ、かの有名なクー・フーリンとアーサー王(断言)が居るからぼろ負けはないと思うのであるが、こちらは数に限りがあるため慎重にならざるを得ないんだよなぁ。向こうは聖杯と言うこの場におけるサーヴァント量産マシーンを持っているからさらに慎重にならなければならないというドМ仕様。これで一番歪みが小さい特異点だっていうんだからやる気も削がれるってもんよ。

 

 なんて、人類最後のマスターが考えてはいけなさそうなことを考えつつも歩みを進めていると、唐突にロマンが通信をよこした。

 

『む、ラ・シャリテの方からサーヴァントの反応だ。けど、ものすごい勢いで離れて行ってる……あ、ロストした』

 

「「!」」

 

 ロマンの言葉にいち早く反応したのはマシュとジャンヌさんだった。しかしそれも当然のこと、サーヴァントの反応が町から遠ざかるなんて理由としてはかなり限られてくる。すなわちそこが本拠地か襲いに来たかのどちらかである。そして、本拠地がオルレアンだと分かっている時点で前者の可能性は消える。つまりは……あのサーヴァントたちはラ・シャリテを襲い終わった後ということだ。その証拠であるかのように、俺たちの目的地であったラ・シャリテは炎に包まれている。

 それが目に入った瞬間、ジャンヌさんはすぐさま地面を蹴ってラ・シャリテに走り出した。彼女を一人にするわけにもいかないので俺とマシュ、Xそして兄貴も彼女の背後を追って走り出したのだった。

 

 

―――――――――――

 

 

「これは――――!」

 

 たどり着いたラ・シャリテはもはや町ではなくただの瓦礫の塊と化していた。そこにはかつて人が住み、営みをしていた頃の風景はない。あるのは、そこらに乱雑する人間だったものと、家だった瓦礫の山、それらを包む赤い炎だけである。

 いや、それだけならどれだけよかっただろう。あろうことか、元町の人が屍人となって俺たちを襲ってきたのだ。

 

「くっ―――――!?」

 

 俺とX、兄貴はともかくこのフランスの民のために立ち上がったジャンヌさんといまだ戦場慣れしないマシュではこの光景は中々厳しいものがあるかもしれない。そう考えた俺はすぐさま兄貴とXに指令(オーダー)を課す。

 

「アサシン、ランサー。全力で目の前の障害を排除だ」

 

「了解」「おう!」

 

 動き出した英霊たちになすすべもなく屍人たちは再び地面に沈められていく。かくいう俺も自分に襲い掛かってくる奴には全く容赦していない。平気で人体の急所を突いているし、頭に思い切り槍だって突き刺す。

 途中で、死体を喰らいに来たワイバーンたちもやってきたが、戦線復帰を果たしたマシュとジャンヌさんのコンビになすすべもなく地面に墜ちていった。

 

「意外だな。マスター、こういうのは平気なんだな。普通の人間だったら吐いてもおかしくない状況だが」

 

「槍師匠がそうなるようにした。というかされた。戦闘中は何があっても動揺しないようにという感じに。まぁ、俺が未熟だからそこまで微動だにしないということはないけれど。このくらいなら問題なし。…………後で吐くかもしんないけど」

 

「(師匠ェ………)」

 

 兄貴が何やら溜息をついているが、今はそんなことを気にしている場合ではない。俺の直感(偽)がささやいているのだ。ここは危ないからすぐさま逃げろと。同じことを思ったのかXも俺とほぼ同時に空を見上げた。

 

『――――ッ!?みんな今すぐそこから離れるんだ!先ほど消えたサーヴァント反応が反転して戻って来た!どうやら君たちの存在を感知したらしい!数は五騎、速度からしてどいつもこいつもきっとワイバーンに乗ってるぞこれは!』

 

「チッ」

 

 タクシー竜装備とは羨ましすぎるな。っとそんなことを考えている場合じゃない。とりあえず逃げなくては。撤退命令を出そうと口を開こうとした時、ジャンヌさんが俺たちの前に一歩踏み出した。曰く、どうしてこのようことをしたのか問いただすらしい。マジでか。確かに情報が聞き出せるのはいいことだけど、こっちは数で負けているうえにマシュもジャンヌさんもお互いにサーヴァントとして完成しているとは言い難い。つまり何が言いたいのかと言えば、質的にも数的にも合計としては劣っているであろう俺たちだと中々につらい状況なのだ。ついでに言うと、マスターの性能が違い過ぎるのも痛い。相手のマスターがサーヴァントというわけわかめなことなのもつらい。マスターの癖にサーヴァントと殴り合えるなんて、インチキもいい加減にしろ!こんなことなら冒頭の部分でもっとしっかりと策を練っておくべきだったか……!

 

『気持ちはわかるけど、今は逃げよう!流石にこの戦力差はマズイ……!』

 

「しかし……!」

 

 なかなか引き下がらないジャンヌさん。……ここで彼女を見捨ててはならないと俺の直感(偽)が告げているため、確認の意味を込めて我らがジャージ王、Xにアイコンタクトを送る。するとゆっくりとしかししっかり頷いた。

 彼女の直感がそう言っているなら俺たちもここに残ろうではありませんか。そう考えを固めてサーヴァントたちに戦闘態勢を取らせる。ロマンももはや何を言っても無駄だと思ったのかあきらめて通信を切ったようだった。ごめんよ。

 

「……とりあえず、相手の情報を抜き出す形で適当に戦うこと。ジャンヌさんはその間しっかりと問答するといいよ。その間の時間くらいは稼げる……はず」

 

「おいおい自信持てよ。俺たちが居るんだぜ?」

 

「そうですとも。セイバーであろうとそうでなかろうと私のエクスk―――ゲフンゲフン無名勝利剣が一太刀のものに切り捨てごめんして差し上げましょう」

 

「私も微力ながら全力でサポートさせていただきます!」

 

「みなさん……ありがとうございます……」

 

 心が一つになったことで、先程から強い気配を感じられる上空のさらに奥の方に視線と意識を向ける。やっていることがDB染みているかもしれないが、これが本当に便利なのだ。エミヤ師匠ほどではないが、それなりに見える目を魔力強化して、敵の姿をとらえる。

 

『来たぞ、上だ!』

 

<エリック、上田!

 

 もう許してやれよ……。

 ロマンの声と同時に俺はもはやテンプレになりつつある弓と矢をルーン魔術を使って手元に出現させると。自分の視界に入った五騎めがけて同時に五本の矢を放った。その後、矢に元々仕込んであったルーンに魔力を流して様々な属性を付属する。そうすることにより、遥か遠く離れた敵でもしっかりと矢が届くようになるのだ。敵サーヴァントと思われる者たちは皆一様に突如飛来した矢に驚いて一瞬だけ固まる。しかし、そこは英霊と呼ばれしもの達、すぐさま正気を取り戻し各々の得物で矢を見事に防いで見せた。

 元々当たればラッキーくらいの感覚で放っていたため、特にリアクションをとることもなく弓をしまうとすぐに槍を右手に出現させてつかんだ。最近、兄貴と戦ってばっかりだから本当に槍寄りになってしまう……剣はともかく弓は汎用性があるからあまり鈍らせたくないのだけど。

 

「…………不意打ちなんて、少しはやるじゃない」

 

 上空からワイバーンで現れた彼ら、その中でも今回の主犯であろう黒いジャンヌが一番最初に口を開いた。

 彼女の肌は、かつて冬木であった黒騎士王にも劣らないほど白いもので、髪の毛も何処か白が混ざっているようにも見える。それ以外は完全に本人と言っていいほどのものなのだが、唯一その浮かべる表情だけは同じ顔のパーツからなっているとは思えないほどのものとなっていた。

 現に今浮かべている皮肉気な笑顔は俺の横にいる彼女とは似ても似つかないものだった。そんなことを思い浮かべつつも、俺に向けて言葉を放っているらしい黒ジャンヌに対して言葉を返す。

 

「戦いにおいて、やれることをすべてやるのは当然のこと」

 

 って槍師匠が言ってました。というか、こうでもしないとあの人俺のこと認めてくれませんでした。使えるものは何でも使う……それがケルトの流儀らしい。

 

 俺の放った発言に、黒ジャンヌの背後にいた金髪にレイピアを持った女性?男性?女性?……その人が少しだけ顔をしかめた。どうやら彼女は割と正々堂々とした戦いをご所望な様子である。

 先ほどの発言で俺が狙われる可能性を計算しつつ、話を続けようとする黒ジャンヌの言葉に耳を傾ける。

 

「いいわね。その考え、私は好きですよ?今日、この瞬間に聞かなければ仲間にしたいと思うくらいにはね。けれど、ダメ。あなたの隣にいるその女。愚かな愚かなジャンヌ・ダルク()の隣にいるのはダメだわ。本当に……なんでこの国の奴らはこんな田舎娘に頼ったのかしら。そこにいる愚かな女に助けを求めるくらいならこの国は亡びるべきd―――――」

 

「セイバァァァァァアアアア!!!」

 

「ちょっ!?まだ途中なんですけど!?」

 

 黒ジャンヌが忌々しそうな表情を浮かべつつ、ジャンヌさんになにかを言おうとしたその時、ついに持病が我慢できなかったXが乱入してきた。解説フェイズの敵に向かっていきなり聖剣でアンブッシュしたのである。これにはさすがの黒ジャンヌも動揺を隠せないようで、いつぞや夢で見たことのあるようなテンションで必死に回避行動を行っていた。だが、元々ジャンヌ・ダルクは神からの啓示でフランスの民を救った聖女。戦場に立ってはいたものの周囲を鼓舞していただけの少女である。正直戦闘向きではないために、Xの攻撃に段々対応できなくなっていた。まぁ、ジャージ着ているとはいえかのアーサー王(断定)だから仕方ないとは思うけど。

 

「くっ―――!バーサーク・ランサー!こいつの相手をしてやりなさい!」

 

 黒いジャンヌが背後に向かって大きく跳躍した。当然Xもその隙を逃すわけもなくここ一番の踏み込みを見せるものの、彼女と黒ジャンヌの間に割って入った人物が彼女の聖剣を受け止めていた。その人物とは、敵陣営の中の黒一点。黒いコートのようなものを羽織り、何処か怪しく光る金髪をなびかせたダンディーな男性だった。渋い。

 

「よい一撃だ。それに美しい……その肉体……その魂……!私の槍で貫いたのであれば、それはどれほど甘美なことか!」

 

「会って早々女性に対して貫きたいとか変態ですかそうですか。しかし、残念でしたね。私の体は既にマスターが予約済みなのであなたの分はありません」

 

「聞いてないんだけど!?」

 

 戦場のど真ん中でそういうこと言うのやめてくれませんかねぇ……。見ろよ我らが味方陣営の目線を。兄貴はヤることしっかりヤっているんだな的な視線を向けてくるし、マシュは泣きそうになるし、ジャンヌさんは真っ赤だし、ついでに黒ジャンヌも真っ赤だ。何なのこいつら。

 

「何はともあれそこをどきなさい変態!私にはすべてのセイバー(顔)を殲滅する使命があります!我がマスターのためにも!」

 

「X、お前後で俺のところに来い」

 

「(あ、これやばいやつだ……)」

 

 今さら気がついても遅いわ。

 久々に切れちまったよ……。

 変態のレッテルを俺に貼るだけでは収まらず、さらに辻斬りの主犯格にしようとするとは許すまじ。

 

「あ、あら?あなたたちに後でがあると思うのかしら?まさか、この私が逃がすとでも?ハッ、舐められたものね」

 

「顔真っ赤で言われても……」

 

「―――――ッ!」

 

 とても悪役っぽいセリフを若干どや顔気味で言っているところ悪いけれど、先程の会話で赤くなった顔がいまだに戻っていないために何処か可愛げのある感じになってしまっていた。

 そのことに気が付いた黒ジャンヌは、さらに赤くなった顔で自分の背後にいた三体のサーヴァントと目の前にいる黒コートの男性に命令を下した。

 

「私のサーヴァントたち!こいつらを蹂躙なさい。幸い彼らは強敵です。思う存分戦いなさい!」

 

 そんな彼女の言葉に彼らは一斉に動き始めた。それに合わせて俺たちもそれぞれの敵へと向かって行く。

 

「へぇ、俺の相手はあんたか。ま、同じ槍使いとして一つ楽しもうや」

 

「ふむ、たまには純粋に武芸を披露するのも一興か……。よかろう、ひとつこの私が相手をしてくれる」

 

 兄貴 VS 黒コートのサーヴァント。

 

「………まぁ、あのセイバー(顔)はジャンヌさんが相手するそうなので、私に付き合ってもらいましょうか。私の直感があなたなら簡単に倒せると言っているのです」

 

「なぜかしら。相性的に絶対に勝てない気がするのは……。ったく、ライダーじゃなければもう少しはマシなのだけどね……」

 

 ヒロインX VS 痴女聖女

 

「あの娘は私がもらうわ。いいわね?」

 

「かまわないよ。私は私で、あの男に用があるからね」

 

「マスター……」

 

「……大丈夫、大丈夫。ジャンヌさんがあの黒ジャンヌと話をする時間を作るだけだから何とかなるんだろう。多分、きっと、メイビー」

 

「……私がしっかりお守りします!マスター!」

 

「あれー?」

 

 俺&マシュ VS 金髪の騎士&SM嬢擬き

 

「…………本当に不愉快な面ですね。ここで消して差し上げますよ」

 

「………………」

 

 ジャンヌ VS 黒ジャンヌ

 

 

 今ここで、様々な組み合わせによる、混沌とした戦いが幕を開けた。

  

 

 

 




ここから先は自己責任で見てください。








もし、仁慈(FGO)が仁慈(GE)を呼んだら。




















 「サーヴァント・バーサーカー召喚に応じちゃったから参上した。どうも、マスター=サン。ジンジです」

 「ドーモ、ジンジ=サン。仁慈です」

 カルデアのある一室。英霊召喚を行う場所にて、今、あってはいけない人物たちが邂逅を果たしてしまった。

 「「イェーイ!」」ビシバシグッグ!

 ―――――――――――魔術王よ、胃薬の貯蔵は十分か?



 オルレアン編

 「ドラゴンって、どうやって倒す?」

 「跳べばよくね?」

 「でかいの(ファフニール)は?」

 「喰らう」


 
 セプテム編

 「魔神柱だってさ」

 「なぁ、お前神だろ!?神だよなぁ!?命 お い て け !!」

 「イヤーーーーー!?」



 オケアノス編

 「この船に勝てr―――」

 「神性持ちは死すべし!」

 「俺も来たぜ!」

 「」



 ロンドン

 「神とは何か?そう!雷だ!」

 「なんだっていい、神(奴)を殺すチャンスだ!」

 「ヒャッハー神様は消毒だー!」



 イ・プールリバス・ウナム

 「チーズ投げようぜ!」

 「ついでにブーメランサーもしようぜ!」

 「」

 「」


 次々と襲い来るサーヴァントたち!それを予想斜め上の方法で解決(物理)していくダブル仁慈!
 今、次元を超えたキチガイたちによる人理修復の旅が始まる―――――!


 この世界の片隅で~キチガイたちが逝く人理修復~
 近日公開しません。 

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