……と言っても仁慈であり、(ある意味)最終兵器彼女は連れていくことは確定しているので必然とギャグ寄りになるかもしれませんが、しっかりするところはしっかりするという感じで行くと思われます。
アンケートにご協力してくださった方々、本当にありがとうございました。
次から第六章です。
マシュが目を覚ました。とても良いことである。
心配させてすみませんと謝る姿は尊いものだった。速攻で許した。そもそも謝られることではないので気合を入れた料理を持っていった。
ロマンに止められた。仕方ないね。
そんなことをしつつ、現在のカルデアの状況を報告しよう。まず、小川ハイムという巌窟王がラスボス擬きをやっていた場所で仲間になった彼女、式。実は普通にカルデアにいるのである。監獄塔とか、その後の第五の特異点とかで特に言及はしていなかったけど普通にカルデアへと召喚されていた。その彼女は今ではすっかりこのカルデアになくてはならない存在となっている。その理由は単純明快―――
「これでよしっと」
「おぉ……すごいねぇー、これが本格的な日本食かぁ」
彼女も料理できる勢だったからである。
基本的に此処での料理は全体的に俺、エミヤ師匠、ブーディカが請け負っているのだが、ぶっちゃけここ最近ではブーディカに任せっきりになってしまっているのが現状だ。
俺としてはここ最近相手がかなり強力になってきていることもあり修練が欠かせない存在となっている。エミヤ師匠もひたすらに武器の補充やその他の家事等を手伝ってもらっているため、「戦闘ではちょっと役立てそうにないから……」と申し訳なさげに行ってきた彼女が自分から請け負ってくれているのだ。しかし、ずっと同じメンバーで料理を作っていれば飽きがくる。そんな時に現れた式、彼女のおかげで一番の負担となっていた料理面での問題が解決に近づいたのだ。
「……こういう使い方もあるわけだな」
「エミヤ師匠の眼がマジだ……」
料理研究に余念がなさすぎでしょう。ガチ過ぎて引くんだけど。いや、うちも似たようなもんだっけ。樫原の分家に料理で人は殺せると言って毒を入れずその料理のうまさだけで相手を倒すことを目指した生粋の変わり者がいたって話だし。その影響で俺も料理させられてたし。
「ま、気が向いたらまた作ってやるよ」
と言いつつ、意外と頻繁に作ってくれているので非常に助かってます。ありがとうございます。
「ただ、あの手作りハーゲンダッツ?くれ」
――――――――
「済まないな、マスター。余たちのわがままに付き合ってもらって」
「まあ、こっちとしても用事があったから別にいいよ」
所変わってここは特異点……とは到底言えないけど、何かしらの歪みがあったから様子を見てきて欲しいと言われてきた場所。そこに今ラーマとシータを連れて俺達は訪れていた。第六の特異点の環境も安定しないし、何よりもマシュがまだ回復しきっていないためにそういったことを行っている。
ちなみに彼らを連れてきたのはデートの場所に困っていたからである。こうして外の景色を見ることが出来るのはVRで再現されたところか、こうしてレイシフトした先しかないからね。
「ちなみにお弁当あるけど食べる?」
「何から何まで本当に申し訳ありません……」
『準備いいなー。仁慈君』
「フフフ、実は俺もこの時間を休憩と割り切っていたのだよ………ほら、カルデアはさ。一段とにぎやかになったから……」
この第五の特異点のことを受けて師匠も本格的に己を高めようとちょくちょく兄貴と俺と何故かエミヤ師匠まで連れ出して自分の強化とこっちの修練を同時に行ってきたりしているし、それ以外にもラーマ達と同時に呼び出したエレナにひたすら身体を調べられたり、その見返りとしてまともな魔術を教えてもらったりと色々しているし、ストレスのたまった式の魔眼から逃げつつ軽い殺し合い(強制)をさせられたりしているのだから。割とマジでカルデアでも休みがない。だからこそ、このマシュとタメを張るレベルの癒し要素であるこの二人を連れてのんびりするつもりだ。
『一応ここにも異常があるってことで来てもらっているんだけどなー』
「でも、サーヴァントの反応はないんでしょ?こっちとしてもそれらしい気配は感じてないしたとえ、竜種が来たとしても今更それくらいどうとでもなる」
『やっぱりおかしいよねーこの会話。インフレが激しいよー助けてマギ☆マリ……』
「ここでサイト開いたら、叩き折るからねノーパソ」
『鬼!悪魔!仁慈!』
「おう、もういっぺん言ってみろや」
この俺が悪魔や鬼と同列とはどういうことだ。全力で今すぐ謝ってほしいんだけど。
「そうだぞロマニ。それでは鬼や悪魔が可哀想だ」
「まさかの裏切り」
おのれラーマ貴様も敵だったというのか。弁当分けてあげないぞ。なんて、ことを考えつつ四次元ポケットからあらかじめ用意しておいたブルーシートを取り出してその辺に敷く。
更にお弁当が入った箱を三人分取り出して、魔法瓶と紙コップを用意した。
『装備がガチ過ぎる……』
「ぶっちゃけ近いうちにVRの方でもいいから行こうと思ってました。……全部終わったらカルデアのみんなで宴会でもする?」
『………いいかもね。その時にサーヴァントのみんながまだカルデアに残っているのかどうかは定かではないけれど、残っているみんなでぱぁーっと騒ぐのもありだね』
少しだけ間をあけたことが気になったけれども、それでも肯定を貰ったので頭の片隅で計画を練り始める。
うん。もしこの戦いが終わってもブーディカやエミヤ師匠、式には少しだけ残ってもらおう。俺一人じゃ絶対に回らないし。
『―――来たよ。仁慈君。特異点の修復過程で出た取りこぼしだろうね。敵性反応が数体だ』
「了解。……この反応は―――ワイバーンが数体にスケルトンってところか」
『精度上がってるなー。その通り』
ロマンから肯定の言葉を受け取ったので、お互いの口に俺のお弁当を入れているラーマ&シータのコンビに声をかける。邪魔をするようで悪いけどお仕事ですよ。
「そうか。ではさっさと片付けて続きと行くか」
「援護は任せてください」
「敵が可哀想だ」
まあ、可哀想だと思うだけで普通にぶっ潰しに行くけど。
―――――――――
「うーん、やっぱりあなたの身体からはマハトマと似たものを感じるのよねー……面白いわ」
だからマハトマってなんだよ(二回目)
特異点擬きとも言えない残党処理を終えた次の日、俺はエレナの所を訪れていた。彼女は俺の身体がかなり気になるらしくすごく真面目に研究している。それこそ、身体を直接解剖したりはしないが、成分やらなにやらまでくまなく調べ上げていた。
そこでよく耳にする言葉がマハトマという言葉である一体それは何なのか一度聞いてみたことがあったのだがこっちが理解できなかったのでもうあきらめて心の中でツッコミを入れることだけにした。
「で、何か分かった?」
「そうね。貴方の良質過ぎる魔力回路。そして、戦闘時に見せる在り得ない戦闘力。まさに戦うだけに……ううん、
「用意された……ねえ……」
心当たりとしてはないわけではない。
現代では何故残っているのかと疑問になるくらいの武家に生まれ、その祖先は元々魔術師。師匠になってくれた人は三人のうち二人が英霊になっていると来た。一般枠でたまたまカルデアに呼ばれ、そのまま最後のマスターとなる……。まあ、冷静に考えてどこの主人公だって話だよね。ここ最近自覚は持ち始めたけれどもそういうこともあるかと考えれば、割と何とかなる。
「気にしないの?」
「ん?」
「自分の事なのに、まるで誰とも知れない誰かに操られているみたいで気持ち悪いとは考えないのかしら?」
「どうだろう。何だかんだ言って、俺にあるのは生存本能だけなんだよね」
なんで今こうして戦っているかと聞かれれば生きたいからと答えるだろう。前にも言ったかもしれないが俺にとって人理は割かしどうでもいい。けれども、
結局俺の根幹にあるのはそれだ。師匠との戦いも死にたくなかった。だから頑張って生き残った……それだけだし。
「ふーん。自分の命を度外視したキチガイだと思ったけど、意外とまともな考えをしているのね」
「ひどすぎる……」
「だって、貴方が動揺しているところって中々見ないし。戦闘中は全く見せなかったじゃない」
「タイミングが悪かっただけでしょ」
「そういうものかしら……よしっ。今日はここまでにしましょうお疲れ様。……じゃ、ここからはお勉強と行きましょう」
「はーい」
魔術が使えないわけではないのだけれど、やはり技術とは基礎を理解してこそである。読んだ本に乗っているもの、よく使うルーンなどはできるけれど。こういった知識は持っていて損はない。
「では始めようかしら。今日は古きものを教えてあげる。紙とペンを用意しなさい!」
「せんせー。そのセリフは少々早いと思います」
なんか全てを終えた後で待ってそうな老紳士が泣いている姿が脳内で浮かび上がったんだけど。
―――――――
エレナの研究と講義を終えた後、夕食の準備をして片付けを他の人に任せた俺はダ・ヴィンチちゃんの工房にやって来ていた。目的は当然折れてしまったうちの槍、突き崩す神葬の槍をどうするべきか相談しにやって来たのである。
過去に俺の槍を大量破壊兵器に変えた実績を持つ自他ともに認める天才である。今回もなんとかしてくれないかなーというちょっとばかり浅はかな考えと共に俺はその扉をくぐった。
「ダ・ヴィンチちゃんいる?」
「ダ・ヴィンチちゃんの素敵な工房へようこそ。今日は何の御用かな?」
「うぇ?おぉ、マスターではないか。珍しいの、ここに来るなんて」
「俺としてはノッブが居ることがの方が驚きなんだけど」
工房の中に入るとそこにはまさかのノッブがいた。その手にはよくわからない物体が握られており、かつて聖杯を爆弾に変えたというエピソードが頭をよぎる。なんだろう、嫌な予感しかしない気がするんだけど。
「わしか?わしはしばらく出番がなさそうなんで、いつでも万全の状態で行けるようにちょっと火縄銃を改造しようかと」
「モーション変更で我慢しろよ……」
えー……と残念そうに声を上げるノッブ。
そんな彼女は無視することとして、俺はダ・ヴィンチちゃんに槍のことで相談があるということを持ちかけた。
「―――ってわけなんだけど……」
「成程ねー。確かに、君の代名詞とも言えるこの槍が折れた状態じゃあ怖いことも多いし。直すに越したことはないんだけどー……」
「いや、無理じゃね?」
「ですよねー」
俺の槍は見ての通りぽっきり真っ二つに折れてしまっている。しかし、一応効果は発動できるのだ。即死とまではいかないけれどもあの魔神柱に大ダメージを与えていたことからその効果は保証済みである。
「いっそのこと溶解して別のにしてみればいいんじゃないかの?ほら、弾丸とかロマンあるじゃろ」
「人外殺しの概念を纏った銃弾を敵に向かって放つってこと?」
「面白そうだね」
「じゃろ?なんならわしの銃でぶっ放してやってもよい」
しかし、それだと弾丸の数に限りがある。今のところこの槍しかないわけだしそれを溶解して限りある弾丸にしてしまうのはもったいない気がする。
「ま、そうだよね。んー……別に接着だけなら問題はないけれど、戦闘に耐えきれるかどうかは保証できないかな」
「まぁ、そうなるよね」
「けどなんとなくなんじゃが、そのまま持っててもいいんじゃないかの?ぶっちゃけマスターならそのまま持ってていつの間にかグレードアップした槍を振るっててもおかしくないしの」
ノッブの言葉にありそうありそうと笑い転げるダ・ヴィンチちゃん。ひでえ。
「うーん、取り合えず。今持ってる突き開く死獄の槍に頼るしかないか……」
「平然と我等がマスターが宝具を所持している件について」
「是非もないよネ。あ、聖杯みっけ」
「余計なことすんなよマジで」
この後無茶苦茶のんびりした。
次章予告
「今回は今までとは違う。この特異点自体があってはならない存在なんだ。だから、この特異点の人理定礎評価はEX……。今まで以上に気を引き締めて欲しい」
――――告げられるは、測定不能を現す評価。しかし、仁慈達はいかねばならない。人類の滅亡を回避するために、何より己が死なないために。
――――そうして、レイシフトしたさきで見たのは白銀の騎士たちが、一般市民を大量に虐殺していたり、骸骨の面をしたサーヴァントが闊歩したり、エリちゃん系褐色エジプトが徘徊していたりとかなり面倒くさいところだった。
――――それに切れるわ我等がヒロイン達。
「すみません先輩!どうしても我慢できませんでした……!」
「マスターあそこのバスターゴリラ切っていいでしょうか!?いいですよね?いくら何でも一般市民をぶっころはギルティですよね!」
――――その標的になるのは円卓の騎士たち。
「えっ、はっ?我が王!?」
「待ってくれこれは誤解だ!だからそのゴミを見るような目は……!」
「父上ひゃっほぉぉぉおおお!!」
「(ポロロン)」
――――立ちふさがる強敵たちをなぎ倒した仁慈達の前に現れるのは、王と呼ばれし者達だった。
「地上に在ってファラオにh(ry」
「首を出せ」
「――――汝らではどうすることもできない。諦めよ」
――――しかし、彼らは立ち向かう。もとより、ここであきらめるのであれば特異点を巡る旅なんてしていないのだから。
「認められません。私たちは、籠の中の鳥ではありません!自分たちの足で歩むことができるのです!」
「そもそも槍を持ってれば巨乳とか舐めてんですか?聖剣が最強に決まってますよ。だから死ね」
――――今ここに、お互いの譲れないもののために激突する。
「それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我等が故郷。顕現せよ―――」
「聖槍が聖剣に勝るというのなら、まずはその幻想をぶち壊します」
「――ロード・キャメロット!」
「――エクス、カリバー!!」
――――そして、
「先を紡ぐは人也。もとより導きなどは不要。であれば――――」
――――ついに彼が真価を発揮する。
「――――『天上よ、地を這え』」
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* + うそです
n ∧_∧ n
+ (ヨ(* ´∀`)E)
Y Y *