この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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さぁ、五章もクライマックスです!


そのための機械化歩兵です

 

 

 

 

 己の勘に任せて地面を転がるようにして回避する。すると、先程まで俺の居た位置を妙に刺々しい朱槍が通り過ぎていっていた。恐らくあれはゲイボルクだろう。兄貴が俺に対してそれを投げるとは思えないし、そもそも兄貴のゲイボルクはあそこまで刺々しいものではない。

 素早く槍が飛んできた方向に視線を向ければそこには妙に刺々しい恰好をした兄貴が立っていた。成程、あれが師匠の言っていた兄貴か。冬木のアルトリアを思い出す。さしずめ反転していると言ったところだろう。クー・フーリン【オルタ】とでも名付けようか。

 よく見るとカルナが胸から血を流していた。まさかやられたのか。それにしては今まで気配がなかったけど――――ッ!

 

 そこまで思考したところで再び何とも言えない寒気を感じ、今度はその方面に向かって突き崩す神葬の槍を振るう。すると先程回避したはずの朱槍がいつの間にかその切っ先を俺に合わせてきていた。ちっ、投擲してんのに因果持ちか。

 

 バン、と半ば自分も弾かれるように何とかその槍を防御する。ぶっちゃけあのまま受け止め続けて居たら押し切られていたところだった。多少状況の整理も終わったために急いでマシュを呼び戻す。

 

「マシュ!」

「了解です先輩!……はぁぁぁぁあああ!!」

 

 弾いたことが功を奏したのかマシュと合流するまでの時間稼ぎをすることはできた。彼女を呼び戻して、俺を狙おうとする槍を受け止めてもらう。彼女は少し押されつつもいつもと同じ様に俺のことを守り通してくれた。もう、ほんとお世話になりすぎて俺は感謝してもしきれないですよ。俺の後輩は最硬なんだ!(イアソン感)

 っと、内心でおどけている場合じゃない。なんせ敵の総大将が出てきたんだから気を引き締めなければ速攻で死ぬ。あのカルナが死にそうな状態なんてただことじゃないし、師匠の話もある。

 

「……なんだその盾は。そこまで強固なものは記憶にない。伝承にもない。だが、確かに宝具だ……」

 

 クー・フーリン【オルタ】はマシュの盾が気になるのか、どこか考え込むようにしていた。その隙に俺は兄貴に令呪を通して不意打ちするように指示を出す。それと同時にラーマにも同じ旨の指示を出した。

 

「―――ふん」

「ちっ、やっぱり気づかれたか」

 

 だが向こうもそのような行動は織り込み済みだろう。兄貴の背後からの突きを目を向けることなく防ぎ、ラーマがシータから借り受けた弓より放たれた強矢も何やら鎧のようなものを具現化させた左腕で捕まえていた。予想していたということもあるだろうけど、反応速度も化け物だな。少なくとも兄貴の槍を防いだ後、同時にラーマの矢に対応するか。それも左腕に何かしらの強化を施している。見たところアーマーのようにも……いや、この気配……まさか。

 

「……俺はここまで弱かったか」

「ハッ!随分と言ってくれるじゃねえか。試してみるか?」

 

 兄貴が槍を独特の型で構える。一方クー・フーリン【オルタ】はそんな自分の姿を無感情な瞳で見つめていた。あれは本来の兄貴のように戦闘を楽しむタイプじゃないな。物事の過程と捉えるタイプだろう。かといって戦闘を回避したりはしないし、力で示すタイプの頭と言ったところか。

 

 頭で見た情報を纏めていると、先程矢を放ったラーマも合流した。彼は弓をシータに返し剣を手に取ると兄貴の隣に立つ。クー・フーリン【オルタ】は借りのある相手である。自分で落とし前を付けたいのだろう。

 

「クー・フーリン。余にも一席用意してもらおうか」

「構わねえさ。こいつは戦争、ルール無用の殺し合いだからな」

 

 まるで意表返しのように言ってのける兄貴だが、これでもクー・フーリン【オルタ】は反応を返さない。それどころか、いつの間にか手にしていた朱槍を構えてこちら側に向って引き絞っていた。

 

「―――今度は確実に仕留める。―――死棘の魔槍。『抉り穿つ――』」

「……灼き尽くせ―――日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)……!!」

「チッ、後ろか!」

 

 しかし、クー・フーリン【オルタ】が己の宝具を発動させることはなかった。その前にカルナの宝具が炸裂した。傷の具合からみてもう動くどころかその場で消滅してもいいほどの損傷具合であったにも拘わらず、彼は最期の力を振り絞り、宝具を放ったのだ。ラーマと言いカルナと言い、インドの英霊の生命力はとんでもないと思う。

 

「カルナさん!」

「………」

「この威力では届かなかったか……さらばだ、マスター」

 

 瀕死だった故か、カルナの攻撃はクー・フーリン【オルタ】を倒すとまではいかなかった。だが意識を逸らすことは十分にできている。俺は黄金の光となって消えていくカルナを見ながら切り札たる令呪を切った。

 

「令呪を以て命ずる。―――クー・フーリン、ラーマ。宝具を開帳せよ!」

「任せなァ!」

「いいだろう!」

 

 俺の右腕から令呪が一つ消え、それと同時に魔力が減った感覚を覚える。

 

「―――その心臓貰い受ける……!」

「羅刹王すら屈した一撃、その身で受けてみよ!」

 

 二人の構えを見て回避行動を取ろうとするクー・フーリン【オルタ】だが、残念ながら逃がさない。俺の見立てが正しければ今の彼は確実に神の一面だけではなく確実に化け物側である。であるならば、この一撃も牽制くらいの役割は果たせるだろう。

 

「―――突き崩す、神葬の槍!」

 

 疑似真名開放を行い、そのままお得意の槍投げ攻撃を実行する。安心と信頼の槍投げである、この手しか知らないともいうが。

 クー・フーリン【オルタ】は俺の槍を防ごうとするが、こちらはヘラクレスの十二の試練にも影響を及ぼしたもの。半神であり、明らかに人外に飛び込んでいる彼には効果抜群である。

 

「―――何!?」

 

 さすがの彼もマスターにぶち抜かれるとは思っていなかったのか、ようやく驚愕の表情を見ることができた。それと同時に行動が一時止まってしまう。……強者故の過ちと言ったところだろう。歴戦の戦士なら、どの程度の力で攻撃を防ぐことができるのかということが自ずと理解できるものだ。長期戦を行う場合はそれぞれ最低限の力で最大のパフォーマンスを発揮することが求められる。だからこそ、俺の攻撃には無意識に最低限の力で反応してしまったんだろう。

 

 

 

―――――――――

 

 

「やったか!?」

「おいバカやめろ」

 

 思わず、と言った風にラーマが零した言葉。それに即座に反応したのは仁慈だった。彼は知っている。往々にしてこういうセリフを言った相手は死んでいないものであると。宝具の飽和攻撃とまではいかないものの連続してはなった所為か、クー・フーリン【オルタ】が先程まで立っていた場所には煙が待っており、その姿形は確認できない。しかし、自分の背中を逆撫でするような不気味な寒気だけは未だ仁慈の脳内に存在してアラームを鳴らしていた。

 

「ほらやっぱり!」

「余の所為か?余の所為なのか!?」

 

 仁慈は騒いでいるラーマを無視し、比較的近くにあった武器を引き抜き、そのまま煙の中に向って構える。感じる寒気と気配から大よその位置を割り出し、先程の体格を踏まえて致命傷と至る部分を弾き出した後、その場所に投擲をする。

 

「手ごたえなし。こりゃだめだ」

「手ごたえなしって……もしかしてクー・フーリンさん……」

「ああ、少なくとも俺の槍は心臓を外した。……ったくこれだから俺の槍は当たらねえとか師匠に馬鹿にされんだよ。因果逆転の呪い以上の何かが俺の槍にはかかってんのかね」

「細菌類呪いとか?」

「なんじゃそりゃ」

 

 彼らがのんびりと話すことができたのかここまでだった。

 ドン!という音がクー・フーリン【オルタ】の居る場所から響き渡り、その音を置き去りにする勢いで彼が仁慈達に向って飛び出して来たのだ。

 それにすぐさま反応したのはクー・フーリンとラーマである。彼らはマスターたる仁慈に被害がいかないように先行し、クー・フーリン【オルタ】の突撃を止め、まるで流水のように繰り出される槍に対応していた。

 

 だがその打ち合いも長くは続かない。カルナの宝具は直撃、その後の宝具二連打は致命傷こそ避けたものの、それでも回避できたという様子ではなかったのだ。その分だけクー・フーリン【オルタ】が徐々に押され始める。そのことをわかっているのか、彼は接近し、マスターである仁慈の命を奪うことを諦めたようで後方に大きく下がった。チャンスと思われるこの瞬間だが、仁慈は深入りすることはなかった。正直、彼の耐久力を図り損ねており、倒しきれる保証がなかったからだ。 

 

「……成程、あの師匠が目を付けるわけだ。伊達に今まで生き残ってきたわけじゃねえみたいだな。……この場はこのまま引く。決着を付けたいならワシントンに来い。そこで殺してやる」

 

 クー・フーリン【オルタ】はそう言い残し、はじめにカルナを刺した時のようにまるで霧のように消えていった。

 気配が完全に消えて少しだけ仁慈達は気を緩めた。もちろんカルナの近くに現れたときの手段が判明していないために安心はできないのだが、クー・フーリン曰くクー・フーリン【オルタ】は言った通りワシントンで待っているだろうとのことだった。オルタ化していてもさすがは自分と言ったところか。オルタ化とはまた別の部分で違っているようにも仁慈は感じていたが、とりあえずはクー・フーリンの言葉を信じることにした。

 と、ここで仁慈はナイチンゲールの存在を思い出す。改めて思い返してみれば、彼女は先程の戦闘には参加していなかった。周囲に居るケルト兵でも相当しているのかと視線を向けてみる仁慈。するとすぐに彼女は見つかった――――――――アルジュナと戦っている、その様子を周囲に遺憾なく見せつけながら。

 

「マジかよ」

 

 仁慈には難しいことはわからぬ。何故ああしてナイチンゲールがアルジュナと戦闘をしているのかがまるで理解できなかった。それだけではない、一見割と均衡して言う様に見えるのもおかしいと彼は感じていた。どうなっているのか、今自分は夢を見ているのかと思った。

 仁慈の視線を追ったらしいマシュ、クー・フーリン、ラーマ、シータも彼と同じようにナイチンゲールとアルジュナの戦闘を見て驚愕することとなる。それはそうだろう。何処の世界に神様染みた英霊とやり合う看護師が居るというのだろう。

 

「……すみません、マスター。クー・フーリンを追い払った直後で申し訳ないのですがこちらの治療を手伝っていただけますか?」

「その前に何がどうしてこうなったのかを説明して――――」

「―――シャッァ!!」

「―――危なーい!」

 

 戦闘が終わったことを感じたのか仁慈の隣まで下がり救援を要請したナイチンゲール。それに対する反応は当然というか疑問をぶつけることであった。だが、状況がそれを許さない。アルジュナの放った光弾とも呼べる矢は仁慈の隣に居るナイチンゲール――――ではなく何故か仁慈を捕らえていたのである。咄嗟に反応した仁慈はルーンで己の槍を引き寄せてその矢を反射的に弾く。炎神の咆哮(アグニ・ガーンディーヴァ)という神様が直結している武器だからか彼の槍は問題なく矢を消し去ることができた。

 

「――――説明している暇はないのでとりあえず付き合っていただけますか?」

「そうね。話し合っている暇ないね。是非もないね……ちくしょう」

 

 クー・フーリン【オルタ】の後にアルジュナという大英雄を相手にすることからか、思わず悪態を吐く仁慈であったが婦長の前には無意味。しかし、彼女がこだわるということはすなわちそれは治療ということである。きっとこれが意味のある行動だと信じて仁慈はアルジュナに向き直ったのであった。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

 アルジュナとの戦いは無事終わりを告げた。はじめから話を聞いていたわけではないが、どうやらナイチンゲールの行動は吉と出たらしい。彼はともに行動することはできないが自分の行いの清算は己で行うと言い残して去っていった。

 正直、彼がこちらに組するかということは重要ではない。只、あの様子では少なくともクー・フーリン【オルタ】の側に着くことはないだろう。味方こそ増えなかったが、敵は一人減った。それで十分だ。

 

 というわけでその後はクー・フーリン【オルタ】級の敵もアルジュナ級の敵も出てくることはなかった。そもそもサーヴァントが出てこなかった。出てくるのは竜種もどきのワイバーンのみである。

 今更その程度で止まるほどやわではない俺達は、日が沈むころにはワシントンのすぐ近くまで迫ってくることができていた。しかし、敵陣地の近くであるため睡眠はせず、夜が明けるとすぐにワシントンに攻め入ることができるように位置を調整しながらゆっくりと進軍している。

 その間、俺は今持っている道具の残量を調べていた。四次元鞄の中に頭を突っ込み大よその武器の数を数える。……一応師匠お手製の暗器や槍、刀などは先程すべて回収したのだが、エミヤ師匠が作ってくれた武器のいくつかが壊れた幻想になってしまったのだ。この特異点から帰ったらまた作ってもらおう。

 

「エミヤ先輩の扱いが……」

「ハハッ、完全に母親だな。ざまぁねえぜ」

「エミヤ……あぁ、あの赤い外套の英霊ですね。彼も中々拗らせていそうでした。要観察です」

「母というより武器庫だな」

「少しかわいそうですね」

 

 しかし、私の身を守るためには致し方がないのです……。すまないエミヤ師匠。これもリスク管理(笑)を教えてくれた結果なのだ。

 

「……それにしても、もうすぐ決着か……」

「なんか寂しそうだね」

 

 俺の発言が図星だったのか、ラーマはぐっと胸を押さえた。なんか、典型的なリアクションを見た。

 

「……そうだな。その通りだマスター。悪いこととわかっていながら、余はこの状況を楽しいと感じてしまっている、そういう部分があることも確かだ。今の余には頼りになり、対等に接してくれる仲間がいる。ぱっと見て小僧にしか見えない余に付き従ってくれる部下も居る。ねじが緩んではいるが頼もしいマスターと看護師、何より余の妻シータが居る……こんなことは、生前……いや、今後も含めてもう巡ってこないであろう。余にとっては夢のようなひと時なのだ」

 

 まあ、魔王ラーヴァナを倒す時だって猿を率いて倒したし、その後頑張って取り戻した妻であるシータは不貞を疑われて、結果証明するために大地に飲み込まれたこともある。この状況が楽しいというより嬉しいというのは分からなくもない。正直、俺だって時々楽しいと思う時はある。なんというか飛び出す絵本というか、教科書を覗いている気分になるのだ。……神話級の化け物が割と出てくることは一端置いておいてね。

 

「ラーマ様……」

 

 彼の心中を聴いてラーマの手を握るシータ。うん。実に初々しいよ。俺がいないところで存分にやってほしい。無理だけど。

 

「……だが、心配するなマスター。ここで負ければその感情すら無意味なる。カルナの死も、余の想いも、全てな。だからこそ、手は抜かぬ。この身はマスターの剣となり、人理を纏う暗闇を切り開く道標となろう」

「もちろん。嫌というほど働いてもらうつもり」

「おっ、余計なことを言っちまったようだな。こうなると本当に酷使するぞ、こいつは」

「フッ、シータが近くに居る余に不可能などないぞ。クー・フーリン」

「あー……はいはい、お熱いことで」

 

 投げやりな兄貴。そこで俺は兄貴に師匠とはどんな感じでしたかという爆弾を突っ込んで今度は一緒に兄貴をいじり倒すことにした。

 特に理由のない集中砲火が兄貴を襲う!

 

 

――――――――

 

 

 

「そろそろ来るわね、王様。体は大丈夫かしら?」

「修復は半々ってところだな。だが、問題はねえ。十分に戦える」

「もしもの時はこっちに()()を持ってくるわ」

「必要ねえ。むしろあれはあのマスターのカモだ。連中は北部の戦線に叩き込め。それで戦争も世界も終わりを告げる」

「――――そうね。あーあ、楽しい女王さまごっこもこれでおしまいかぁ……」

「楽しいか?」

「ええ。とても楽しいわ。だからこそ、最後の最後まで楽しみたいものね」

「クーちゃんは楽しくないのよね」

「どうだかな。おまえは勝手に楽しめばいい。俺はお前が願ったような王としてあり続けるだけだ。何があろうと」

「ん。クーちゃん。愛しているわ。……さあ、終わりの戦いを始めましょう。みっともなく足掻いて、もがいて、立ち上がって。決死の眼差しでこちらを睨め付ける彼らを。……造作もなく踏みつぶしてあげましょう!あぁ……最高に楽しみ!」

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

 

「着いたな」

「着いたね」

「着きましたね」

 

 一夜明けてワシントンの中に俺達は入ることができていた。周囲の斥候を行ってみるが敵の影はない。ここまで来れば()()()()()()()()。エジソンの話ではワシントンの何処に居るかということは既に聞いている。適当に投げれば勝手に因果が云々かんぬんされてポーンってしてバン!スウゥ……。ってなるだろ。

 

「では、機械化歩兵の皆さん。お願いします」

「準備に入ってー」

『Yes sir』

 

 俺とマシュの言葉に答えるはここまで無傷で連れてきた機械化歩兵。何故、無傷でこの機械化歩兵を守り抜いてきたか……それは単純明快。この機械化歩兵に戦闘技能は何一つ取り付けられていないからである。これらはすべてメイヴを殺すためだけに俺が考えエジソンが作り上げたメイヴ絶対殺すマシーンだからだ。

 数はたったのニ十体。その内十体は内蔵された投石器から弾丸たるチーズを投擲する役割を持つ射撃部隊。もう一つはその体内でチーズを生成し、ついでに冷凍加工を加えて強度を増して射撃部隊の補充を行う補充部隊である。

 ……確かに、思考パターンを単純化された機械化歩兵ではケルトの兵力には対抗できない。しかし、単純に尚且つ単調に、正確に物事を行うのは機械に限るのである。疲れを知らない。ミスを知らない。使いどころを見極めれば、この機械化歩兵は相手の親玉を容易く屠ることができるのだ。

 

「準備はどう?」

『はっ、予備の弾丸(チーズ)及び、射撃部隊の装填、完了いたしました』

『いつでも発射できます』

「よろしい。では、君たちを生み出した偉大なる発明王の力を証明するとしよう。全員、構え」

 

 号令と共に射撃部隊が手に取り付けられている布を振り回し始める。このチーズの勢いがピークに達したとき、弾丸が放たれるのだ。

 緊張が高まる。正直、どの程度歴史が補助してくれるかどうかわからない。そもそも邪魔されたら当たらない可能性すらある。ワンチャン因果で当たってくれえるかなーと期待をしつつ、俺は十分に回っている布たちを視界に入れた。

 

「よし、じゃあ―――」

「――――来ちゃったのね」

 

 発射と言おうとした瞬間、現れた人影。それはクー・フーリン【オルタ】が出現した時とそっくりだった。しかし出てきたのは彼ではなく見たことのない女性だった。ここで俺の第六感が囁く。彼女こそメイヴだと。故に、

 

「やっぱりシャドウサーヴァントじゃ相手n―――」

「目標、目の前の女王メイヴ。射撃部隊。放てッ!」

『Sir yes Sir!!』

 

 恰好の的が出てきたのでこれ幸いと目の前の女性(推定女王メイヴ)に向けて大量のチーズを射出したのであった。

 




花のお兄さん「……王の話w――――キャスパリーグ。僕の出番は?」
フォウ「フォーウ(あるわけないだろ)……マーリンシスベシフォーウ」

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