この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

11 / 149
FUYUKI「(´・ω・`)<やぁ」

カルデア『えっ』


幕間の物語
はじめてのえいれいしょうかん


 前書きから意味不明ですまない。けれどこれが一番現状を説明しやすいんだ。

 特異点Fでの出来事から数日過ぎて、ロマンたちが人類焼却の原因である七つの特異点について調べているときに再び消えたはずの特異点Fが復活していたのだ。それが上記の状況につながるのである。

 

 この唐突に復活したこの特異点F、俺とマシュで再びレイシフトを行った。何故なら、俺は思ったのだ。

 あのシャドウ師匠が持っていた英霊の核となる聖晶石。あんなの普通に彼が持っているわけがない。ならばどこで手に入れたのか、と。そうして、一つの答えにたどり着く。それすなわち、師匠が特異点Fであの聖晶石を拾ったのではないかと。その可能性を考えて俺とマシュは聖晶石を捜しに行ったのだ。結果、八個ほど見つけることができた。もう、見つけたときは二人でわーいわーいと跳んで喜んだわ。

 これはエミヤ師匠の言葉を信じるのであれば英霊二体を呼ぶことができるのである。やったね。

 

 というわけで、現在俺が居るのはカルデアにある一室。ここのマスター全てが自分の従者たるサーヴァントを召喚する場所。召喚システム・フェイトがある部屋である。ほかにはマシュを筆頭として、意外とすぐに立ち直ったオルガマリー所長。ロマンにダ・ヴィンチと生き残っているカルデアの主力が勢ぞろいしていた。なんでも、人類の命運を左右することになるであろう英霊の召喚に立ち会いたいからだそうだ。ダ・ヴィンチだけは普通に面白そうだからという理由だったけど。

 

「先輩。なんだか、緊張……しますね……」

 

「まぁ、完全に運だからね」

 

 人類の未来が焼却されてしまったため、媒体となるものが完全に限られてしまっている。一応媒体なんてなくても英霊は呼べるがその場合は本人と相性といい英霊が召喚されるらしいからである。自分と相性のいい英霊なんてわかるわけもなし、普通に運ゲーと言ってもいい。

 

「仕方がないでしょ。媒体もなしに狙った英霊が呼べるような召喚システムなんて本家聖杯でも不可能よ」

 

「まぁ、そうだよね。……それにしても。こういうのなんていうんだっけ………あ、そうだ。ガチャっていうんだっけ」

 

 それ以上いけない(戒め)、酒呑童子なんてなかったんや。おっと、変な電波を受信してしまった。

 まぁ、それはいいとして。

 これから仮にも過去に偉業を成し遂げた英雄を召喚するっていうのに、緊張感のないやつらだな。ただし、大天使マシュは除く。彼女は眼鏡の瞳をキラキラさせて俺の持つ聖晶石と召喚サークルを交互に見ている。ほんと素直でいい子だよ。

 

 そんなことを考えつつ、聖晶石を召喚サークルの中に放り投げる。すると聖晶石が召喚サークルの中心に集まっていき、それを中心とした光の柱が現れる。さらに同じように光の輪が現れて光の柱を包み込む。一瞬だけシンク〇召喚だと思った非力な私を許してくれ……。

 光はやがて人型へと変わっていく。

 その人型の光が完全に人となったとき、俺たちは驚愕した。

 

 

 その光から現れたのは見たことのある顔だったのだ。なにを隠そう、呼び出した彼女は特異点Fにて最後に戦ったサーヴァント。黒い装いに身を包み、馬鹿みたいな威力のビームをブッパしてきた騎士の王。アルトリア・ペンドラゴンだった。

 だが、特異点Fで戦った彼女とは違うところが多くある。顔はそっくりなのだが、彼女が着ているのは黒い鎧ではなく青いジャージ。彼女よりも健康的に白い肌。少年が被るようなつば付きの帽子を被っている。最後にその帽子を貫通してぴょこんと出ているアホ毛。……なんだろう、この時点で嫌な予感しかしない。

 

「黒の気配を感じ取って即参上!セイバー死すべし慈悲はない!至高のアサシン(セイバー)、ヒロインX!召喚に応じて推参いたしました。問おう、あなたが求めるのは至高のセイバーたる私か?それとも排除対象のパチモンセイバーか?」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 なぁにこれぇ?

 あまりの衝撃と驚愕の所為で俺もマシュも所長もロマンもあのダ・ヴィンチちゃんですらも固まっている。いや、でもこれは誰でも固まると思うんだ。特に特異点Fであの騎士王と戦った経験がある俺たちは尚更。だって見た目だけならそっくりというかご本人と言っても違和感ないくらいのもんだもの。雰囲気は別人だけど。

 

「あれ?どうしたんですか?皆さんお揃いで固まって……何かおかしなことでもありました?」

 

 不思議そうな顔で首を傾げる騎士王改めヒロインX。何かおかしいことって、おかしなことだらけなんですけど。むしろ、おかしなところや違和感しか存在していないんですけど!?

 なにそのテンション、なにその恰好!あなた本当に誰ですか!?というかヒロインXって何さ。

 

「えーっと……アーサー王……アルトリア・ペンドラゴンさん……ですよ、ね?」

 

「アルトリア?ち、違いますよ?私はすべてのセイバー(顔)をアンブッシュしてサヨナラ!させる者。……決して、強くて美しくて最優のセイバーアルトリアではありません」

 

『……………』

 

 もう一度だけ言おう。なぁにこれぇ?……本人がどれだけ否定しようと声と顔が完全に一致しているんだよなぁ。しかも、右手に持ってんの約束された勝利の剣(エクスカリバー)だろ。それ持ってんのあんただけだろ。

 ま、なにはともあれ。彼女が騎士王だということはほとんど変わりないだろ。その彼女がこちらに味方してくれるなんてものすごく心強いわ。

 

「別にヒロインXでもアルトリアでもどちらでもいいよ。ここに君の狙うセイバーはいないけど、これからよろしく」

 

「えぇ、問題ありません。あなたと一緒にいれば、多くのセイバー(顔)と出会うことができそうですから」

 

 ガシッと硬い握手を交わす俺と騎士王改めヒロインX。自分と同じ顔とセイバーに対して並々ならぬ執着と憎悪を持っている彼女が、人類最後の砦たるカルデアに新しい仲間として加わった。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 第二回目。ヒロインXを新しく仲間に加え、もう一度聖晶石を四つ召喚サークルに放り投げる。先ほどと同じように光がシンクロ召喚して人型を作る。今回も出てきたのは青色だった。しかし、今度はジャージではなく全身タイツである。しかもボディラインがものすごく出るタイプの奴。手に持つのはどこかで見たことのある赤黒い槍。その表情は獰猛な獣を思わせるもので、強者に飢えてた瞳をランランと輝かせていた。

 俺は……俺たちはこの英霊を知っている。特異点Fで俺たちとともに戦った仲である英霊。あのときはキャスターだったが、今は違う。彼が消滅際に望んだランサーでの現界となる。

 

「おっ、今回はしっかりとランサーで召喚してくれたのな。では、必要ないかもしれねえが様式美ということで聞いてきな。……サーヴァント、ランサー。真名をクー・フーリン。キャスターの時の汚名をここで返上させてもらおうじゃねえの」

 

 クー・フーリン。その名前は誰しも一度は聞いたことがあると言っても過言ではないほどの知名度を誇るアイルランドの大英雄である。

 

「クー・フーリンか。………アイルランドの大英雄か……。あの特異点の時、アーサー王が最後に言った光の御子という言葉でまさかとは思っていたけど」

 

「先輩。私たち、知らないうちにものすごい人と一緒に戦っていたんですね」

 

「確かに」

 

 英雄と呼ばれるくらいだから、誰もかれもすごいことを成し遂げた人が大部分なんだろうけど、やっぱり世界的に知られているという事実があるとさらにすごく感じてしまう。

 

「そんなにかしこまらなくてもいいぜ。気楽にやろうや。まぁ、ともかくこれからよろしくな」

 

 と言ってクー・フーリンはカラカラと笑った。

 かつてブリテンを牛耳っていた騎士たちの頂点に君臨するアーサーことアルトリア・ペンドラゴン……と思われる自称セイバーのヒロインX。アイルランドの大英雄、クランの猛犬、光の御子と様々な言葉で表現されるクー・フーリン。彼らがこれから俺たちが起こす人類への反逆のための剣となり盾となる。

 

 

 ………こうして改めて言葉にしてみると微妙に不安だな。特にX。

 

 

 

 

 




というわけで、仁慈のいるカルデアに兄貴とノッブに次ぐギャグ&メタ要因のXさんが着ました。
カオスが加速するな……。

ps

やっぱり物欲センサーはあるんだね(白目)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。