この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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今回はエピローグなので、短めな上にそこまで面白い内容ではないかもしれません。申し訳ございません。


第零章エピローグ

 目を焼くような白い光が治ると、俺は先程まで燃え盛っていた管制室に立っていた。どうやら無事に帰ってくることができたらしい。ロマンと残っていた僅かなスタッフが頑張ったのか、管制室は瓦礫こそまだあるものの炎は完全に消え去っていた。

 ここでふと気付く。マシュと所長はどうなったのだろうかと。視線を遠くではなく、自分の近くに向けて周囲を見渡すと、そこには初めて会った時の姿に戻っていたマシュと所長が、寝っ転がっていた。直ぐに彼女たちに近づき脈をはかる。………気絶こそしているもののどうやら無事のようだった。しかし、ここにいるということは所長の擬似サーヴァント化は成功したのだろう。反射的に脈を測ってしまったが、サーヴァントでも脈あるんだな。

「フォーウ!」

 

「フォウは無事なんだな」

 

「キュ!」

 

 当然と言わんばかりの態度で鳴くフォウ。この不思議生物、なかなかたくましいようである。フォウを肩に乗せて、とりあえずロマンを呼ぼうと出口に向かうと、ちょうど管制室の扉が開き、慌てた様子のロマンと見たことのない美女が入ってきた。前者はともかく後者は誰よ。

 

「ああ、よかった!無事に帰ってきてくれたんだね!」

 

「まぁ、結果的にはね」

 

途中で何回か死にかけたけど。とくに騎士王戦。

 

「いやー初のレイシフト、初の実戦でもオーダーを完了させるとは流石主人公君だ」

 

「どちら様ですか?」

 

 いや、本当に。

 皆さんお忘れかもしれないけど、俺はまだカルデアに来てから1日と経っていないんですからね?急に出てこられてもわからないんですが……。できればまず自己紹介をお願いしたいです、はい。

 

「ん?私が誰か知りたいって?宜しい。教えて差し上げよう。私はダ・ヴィンチ。レオナルド・ダ・ヴィンチといったほうがいいかな」

 

「ダ・ヴィンチさんね。わかりました。初めまして樫原仁慈と言います」

 

「あれー?思ったより淡白な反応。世間一般では私は男だって言われてたのに」

 

「いや、だって。さっき実は女でしたーな騎士王と一戦交えたばかりですし」

 

今更、実は女性でしたと言われても、もう耐性ができたわ。

 

「ふっ、この万能の天才ダ・ヴィンチちゃんをそこらへんの女体化英霊と一緒にしてもらっちゃあ困るよ。私はね、自分でこの体を作ったんだ。私の生涯の中で最も美しいと思った女性の形にね」

 

「流石、万能の天才……」

 

 ソッチ方面への突き抜けも尋常じゃない。というか、確かにこの人はさっきの騎士王とは違うな。自分から進んで女体化しに行った唯の変人だった。同列に扱うのはあの騎士王に失礼だろう。

 

「む、今失礼なことを考えているね」

 

「そんなことないです」

 

 勘のいい人だな、これだから天才は……(呆れ)

 まぁ、ダ・ヴィンチちゃん(自称)のことは放っておいてロマンに再び視線を向ける。

 

「この人のことはとりあえず置いておくとして、ロマン今から二人のことを運ぶだろ?手伝うよ」

 

「それは助かるよ。疲れているだろうけど……もう少し頑張ってくれ」

 

「おっと、無視とは流石に傷つくぞぉ」

 

 そうして、一人で文句たれている変態を残してロマンとともにマシュと所長を両名を医務室に運んだあと、俺はマイルームに戻り、眠りについた。流石にもともと英雄と呼ばれていた者たちと連続して戦っていたため、疲れがかなり溜まっており、すぐに意識は落ちていた。………そういえば、ダ・ヴィンチの声何処かで聞いたことある気がするんだよなぁ……。

 

 

―――――――――

 

 

 次の日、ごく普通に目が覚めた俺はまず医務室に向かうことにした。あの場所であればロマンが居るし、マシュと所長の様子も分かるからな。マシュは英霊となって間もないのに戦闘を任せてしまったし、所長のサーヴァント擬き化もなかなか無茶なことだったし……大丈夫かね。

 相変わらず近未来的な廊下を歩いていく。

 

「ロマン、入ってもいい?」

 

「ん?あぁ、大丈夫だよ」

 

 中にいるロマンから許可をもらったので、スゥーっと開いた扉からぬるりと入室する。どうやらマシュも所長もそれほど大事なかったようで、体を起こして病院食的な何かを食べていた。

 

「マシュ、所長。おはよう」

 

「あ、先輩。おはようございます。ここまで運んでくれてありがとうございます」

 

「…………」

 

 俺を見るや否や挨拶をお礼を言ってくれるマシュ。本当にこの子はいい子だなぁ。一方の所長は食べ物こそ口に運んでいるが、心ここに在らずといった感じであった。

 

「ロマン、所長は大丈夫なの?」

 

「正直、微妙なところかな。なんせ、自分が死んでいるということプラス信頼している人物からの裏切りというダブルパンチだからね。唯でさえ、精神面がぎりぎりの状態だったんだ。立ち直るにはかなり時間がかかると思うよ」

 

 まぁ、そうなるよな。

 今ここに存在できていることが奇跡みたいなもんだしな。

 

「さて………こんなところで悪いんだけど、あの後分かった情報を共有しておこう。まず、特異点Fだけど、あれは見事に消失したよ。本来ならこれで事件解決!って言いたかったんだけどね……残念ながら人類の未来は焼却されたままだ。……そこで僕らは過去に原因があると考えて、人類史を一から遡ってみたよ。すると、この2015年までで、合計七つ特異点Fより大きな歪みが見つかったんだ。………我々はこの七つの特異点を正して人類の未来を通り戻さないといけない。この言い方は我ながらずるいと思うけど、それでも言わせてもらうね」

 

 ここでロマンは一度言葉を切ると、いつもの緩い雰囲気を完全に消し去って口を開いた。

 

「カルデア48人目のマスター候補生にして、最後のマスター樫原仁慈。人類の未来のために戦ってくれないか?」

 

「大丈夫だ、問題ない。ここで断っても結末は同じだし」

 

「まぁそうだろうけど……うん、君ならそう言ってくれると思ったよ。……この特異点の詳しい情報が入ったらすぐに知らせるから、それまでは好きに過ごしてくれてかまわないよ」

 

 そう言うと彼はおいてあったノートパソコンの前に腰を下ろした。チラリと覗いてみると、何やらかわいい女の子がふりふりの衣装を身にまとい歌って踊ったりしていた。ロマンはそれをキラキラした目で眺めている。

 お前……あの話の後にそれはないよ……。

 

 さっきまでかっこよかったのに、とロマンを白い目で見ながら医務室を出ていこうとすると、マシュがベッドから出て起き上がると、とてとて俺の隣まで歩いてきた。寝てなくていいのかね?

 

「私一応サーヴァントですよ?一日寝たら回復しました。……それと先輩、私も先輩のサーヴァントとして精一杯頑張らせていただきます!」

 

「………うん、ありがとう。頼りにしてる」

 

 本当にこの子はいい子やでぇ……(三回目)

 もう、戦わせることがものすごいためらわれるレベルのものなんだけど。しかし、思うだけで口にはするまい。マシュが今のことを聞いたら、きっと自分が役立たずだから戦わせてくれないんだと考えるに決まっている。まぁ、無茶はさせないと決めましたがね!こんないい子に傷はつけられるか!もしそんなことになったら俺がそいつに天誅を下してやる!

 

「野郎オブクラッシャー!」

 

「せ、先輩!?どうしたんですか!?」

 

 やべ、声に出てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――賽は投げられた。これからは人類史をめぐる戦いだ。相手は人類が今まで歩んできた歴史そのもの……さぁ、最後のマスターよ剣を取れ。人類の未来を取り戻すために、人類の作り出していた歴史に反逆せよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




通信制限の所為でイベント参加がつらいぜ……。

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