ブラック企業社員がアイドルになりました   作:kuzunoha

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第59話 トキドキ♥サバイバルレッスン

「おはようございます、卯月さん! 本日もいい天気ですね!」

「お、おはようございます。今日もいらっしゃったんですか……」 

 レッスン前にシンデレラプロジェクトの専用ルームに寄りました。すると卯月さんが困惑の表情を浮かべます。それに合わせて眉毛も八の字になってしまいました。

「こういう日にはエナジードリンクを飲んで元気を付けましょう! 沢山買ってきましたのでお一つどうぞ!」

「気持ちはありがたいですけど、こう毎日だと……」

「成る程、味に飽きてしまったという訳ですか。それならご安心下さい、スタミナドリンクもありますよ!」

「いえ、そういう問題じゃ……」

「おかわりもいいぞ!」

「そんなに飲んだらしまむーのお腹がちゃぽちゃぽになっちゃうから!」

 隣に座っていた未央さんのツッコミが冴え渡りました。卯月さんにとっては迷惑だと重々承知していますがこれもこの子のためです。彼女は生きてこの時代を見届けねばならぬのですから。

 

 事の発端は数日前に実施した『天体観測会&事務所パーティー』の場で起きました。なんと卯月さんが朧気ながらもあの死兆星を見てしまったのです。

 北斗七星の横に寄り添うように光る蒼い恒星が死兆星です。北斗の拳の世界ではその星が見える者には年内に死が訪れると伝えられており、原作では目にしたキャラクターの殆どが予告通り死を迎えました。

 前世では実在していた星ですが現世では存在が抹消されています。しかし以前コメットの解散騒動で死にかけた時にはあの凶星がはっきりくっきり見えましたので、あの駄神様が冗談半分で北斗の拳設定に改変したのだと思います。

 そんな物騒なものが見えてしまったとあっては、もう気が気ではありませんでした。

 

 卯月さんの身に何か大きな災いが降りかかる可能性は大ですが、具体的にどんな災難なのかわからない点が非常に厄介です。事件かもしれないですし事故の可能性もあります。可能性は低いですが何らかの切っ掛けで自らの命を……なんてことも絶対に無いとは言い切れません。

 そのためパーティーの翌日以降、元気が出るドリンクの差し入れを兼ねて卯月さんの様子を窺っているのです。以前と比べ少し元気が無いのは確かではあるものの、然程問題があるようには見えないので危機なのかは疑わしいですが、事が事だけに油断はできません。

 

「何か悩み事や困っていることがあれば私に相談して下さいっ!」

「あ、ありがとうございます。でも特にはありませんから……」

「はい! とっきーみたいに陰険で陰湿で陰惨な超憎らしい悪役の演技を身に付けるにはどうしたらいいか教えて!」

「ヤホーで適当にググって下さい」

「絶対零度の冷たさ!」

 未央さんがその場に崩れ落ちました。冷たくしてしまって申し訳ないですが、卯月さんの生死が掛かっていますから今は未央さんにばかり構うことは出来ないのです。

 

「うえ~ん、とっきーにイジメられた~! 助けて、シブえもん!」

「……ドラえもんみたいな呼び方は止めてって」

 凛さんが呆れ顔で呟きました。

「でも本当にどうしたの、朱鷺? 最近様子がおかしいよ」

「い、いえ。別に何でもないですよ、何でもない……」

「何でもないようには見えないんだけど」

「そうだよ~。未央ちゃんをもっと大切に扱うことを要求する!」

「わかりました。五円チョコをあげますから機嫌を直して下さい」

「わ、私の価値は五円……? でも美味しいから許そうっ!」

 本当に機嫌が直るとは思いませんでした。ちょっとチョロ過ぎやしませんか。

 

 本来なら同じユニットの凛さん達にも協力して貰って対応した方がいいのですけど、今はとても大切な時期です。凛さんはトライアドプリムスとの兼務でかなり疲弊していますし、未央さんも今度行われる舞台に出演することになり日々厳しい練習に励んでいます。

 卯月さんの様子に気を付けるようそれとなくお願いはしていますが、二人共自分のことで手一杯ですからあの子の警護まで手が回らないはずです。最悪の場合、以前の私のように過労で倒れてしまうかもしれません。それでは本末転倒です。

 

 頼みの綱は武内P(プロデューサー)ですが、彼は美城常務に新方針を撤回させるため分刻みのスケジュールで深夜まで働いているので、問題が顕在化していない状態でこれ以上の負荷を掛ける訳にはいきませんでした。未来の346プロダクションを背負って立つ方ですからこんなところで倒れられても困りますし。

 そうなるとシンデレラプロジェクトのサポート役であるコメットが頑張るしかありません。卯月さんの動向には注意するよう飛鳥ちゃん達にお願いをしていますので、あの三人プラス愛玩動物一匹で対応する予定です。

 

 それにしても理由を聞かずに協力して頂けて本当に助かりました。北斗の拳の原作がないこの世界で死兆星のことを説明しようとすると必然的に私の前世のことを語る必要が出てきますが、記憶を持ち越したまま生まれ変わったなんて告白したら精神異常者としてたちまち病院にブチ込まれてしまうでしょう。やはり持つべきものは心から信頼できる仲間です。

 卯月さんの様子が変わってないことを確認している内にレッスンの時間になったので、ニュージェネの子達とはそこで別れました。

 

 

 

「ふぅ、暑っつ~。ビール! ビール!」

 四人でレッスンを受けた後はコメットのプロジェクトルームに戻りました。冷蔵庫からキンッキンに冷えたノンアルコールビールを取り出し一気に煽ります。

「かぁ~!」

 犯罪的だっ……! 美味すぎるっ……!

「やれやれ、レッスンが終わった途端にそれかい?」

「いいじゃないですか、どうせ暫く呑めないんですから」

「そう言えば朱鷺さんは明日から海外ロケでしたよね。どこへ行かれるんでしたか?」

「よくぞ聞いてくれました! 私が向かうのは銃と自由とハンバーガーの国────アメェリケンです! HAHAHA!」 

「これでもかってくらいステレオタイプなイメージです……」

 ほたるちゃんの質問に答えると乃々ちゃんから控え目なツッコミを頂きました。

 

「アメリカといっても私が行くのはユタ州にあるモアブ砂漠なのでアメリカ感は全然ないんですけどね。私が提案した企画ですから自業自得ですけど」

「とときら学園は和やかなバラエティ番組ですから、あんなに危険な企画なんてやらなくてもいいんじゃないでしょうか」

「流石に今回は心配です……」

「心配してくれてありがとうございます。ですが手っ取り早く視聴率を稼ぐには私が体を張るのが一番なんですよ。幸い今のところは良い視聴率を確保できていますけどまだ安定はしていませんから、目立つ企画で一気に話題性を高めたいと思います。何だかんだ言って私の体力仕事は人気のコンテンツなので、清純派アイドル路線は一旦置いておいて暴走時並みの無茶企画で一山当てようという作戦です」

「あまりトキに頼り過ぎるのもどうかと思うけどな」

 アスカちゃんが軽く溜息を吐きました。

 

「大丈夫ですって。最近では杏さんときらりさんの『あんきランキング』や、かな子ちゃんと智絵里さんの『突撃! インタビュー♪』などのコーナーが人気出てきていますし。北斗神拳目当ての視聴者さんが彼女達を好きになってくれれば皆の知名度や人気はつられて上がります。高視聴率が安定的に取れるようになれば私はフェードアウトするつもりですよ」

「自ら捨て石になるつもりかい。やれやれ、とんだお人好しだ」

 記憶抹消騒動の際に受けた恩を返しているだけであって、別にお人好しという訳ではないんですけどね。

 とにかく、とときら学園の視聴率を一気に上げるためには今回の企画────『トキちゃんのトキドキ♥サバイバルレッスン』を成功させないといけません。

 

 企画の具体的な内容ですが、熱砂の砂漠や獰猛なワニがいる湿地、人喰い鮫に囲まれた無人島などの特殊で厳しい環境下に放り込まれた場合に如何にして生き残るかという術を視聴者に伝授するコーナーです。純粋なドキュメンタリーではないものの体を張った危険なスタントが見所さんとなっています。

 サバイバルという点では以前出演した『突然! 無人島生活』とやや似ていますが、あちらがサバイバル風のキャンプ生活であるのに対しこちらはかなりガチでした。

 人は刺激を受け続けると次第に慣れてきて更に強い刺激を求めるものです。もちろん私の体力仕事も例外ではありません。以前は特殊鋼板を素手で貫く程度で大ニュースでしたが、今となってはその程度のパフォーマンスでは大衆もあまり騒がなくなってしまいました。そのためより大胆かつ、エキセントリックな企画が求められているのです。今回はいくら私でも命を落とす可能性がないとは言えませんので万全の体制で望むつもりです。

 

「朱鷺ちゃんがアメリカに行っている間ですけど、卯月さんのフォローはどうすればいいんでしょうか……」

「とりあえず今まで通り注意深く様子を見てあげて下さい。そして万一異変が起きたら犬神さんに報告をお願いします。彼の方で対応が必要か検討し、必要との判断であれば武内Pや今西部長に経緯を説明して部として対処してもらいますので」

「わかりました。でも卯月さんが事件や事故に巻き込まれないか心配です。そういう時は私達ではお役に立てませんから」

「それは大丈夫ですよ。彼女には鎖斬黒朱の最精鋭を護衛役として24時間体制で複数名付けています。他にも闇ストリートファイトから勧誘した尾張忍者の末裔や浸透勁の使い手なども傭兵として雇っていますので暴漢の十人や二十人なら瞬殺です。その分雇用費は結構掛かりましたけどね」

「じゃあ、もしかして最近社内で見かける黒服の厳つい人達って……」

「はい、卯月さん専用の親衛隊です。総務部長の社内不倫を見逃す代わりに事務所内でも活動できるようにしてもらいました」

「えぇ……」

 またもドン引かれましたが仕方ありません。卯月さんの生存ルートを確保出来るのであればどんな手段でも使う覚悟です。

 

「本当は私自身が卯月さんを見守れればいいんですけど、海外ロケは既に予定に入っていましたので仕方ありません。お手数ですがよろしくお願いします」

「ああ、任されたよ。大丈夫、トキがいなくても卯月を護ってみせるさ。彼女はボク達の可愛い後輩なんだからね」

「はい、私も頑張ります!」

「も、もりくぼも……」

「……すみません。なぜ卯月さんが危険なのかを教えることができなくて」

「別にいいさ、トキがそう言うならそうなんだろう。ボク達はキミを信じているよ」

「はい。朱鷺さんは友達想いですから」

「……理由なんて、些細なことだと思います」

「本当に、ありがとうございます」

 私の大好きな歌では『信頼を寄せられる友達は生涯に一人か二人出会えれば幸せだ』と歌われていましたが、少なくとも私は三人もの素晴らしい親友に出会うことが出来ました。この巡り合わせを神に深く感謝します。

 

 

 

 翌日からアメリカでの海外ロケのため成田空港に向かいました。実は私、正規ルートで海外へ飛び立つのはこれが初めてなのです。なので期待が七割、不安が三割といった感じでした。

 真新しいパスポートを無くさないように注意しながら電車を乗り継ぎやっと空港に辿り着きます。手荷物検査を受けた後、搭乗ゲート前の待合室の椅子に座りながら撮影クルーの到着を待ちました。十数分経つと見慣れた人物が近づいてくるのがちらりと見えます。

「おはよう、龍田さん」

「おはようございます。今回のロケでも同行させて頂きますのでよろしくお願いします」

 社交辞令の挨拶をすると笑みを浮かべます。そう、今回のロケの撮影クルーは彼なのでした。

 

「失礼します」

 そのまま私の隣の席に座りました。

「ああ、そういえばAD(アシスタント・ディレクター)からAP(アシスタント・プロデューサー)に昇格したんでしたっけ。おめでとうございます」

「ありがとうございます。昇格と言ってもやることは余り変わっていませんよ」

「謙遜しなくていいですって。入社して半年程度でAPに昇格なんて局としては異例の出世ですからね。だからこそなぜこんなキツい仕事を受けたのか、私には理解に苦しみますけど」

  龍田さんは元々『RTA CX』の名物ADですが、とときら学園の担当ADでもありました。いやはや、世間は狭いものです。

 

 企画会議でサバイバルレッスンのプレゼンをした際に面白いと言ってくれる方は非常に多かったのですが、実際に撮影クルーとして同行しても良いと答えてくれたスタッフは皆無でした。キツくて汚くて危険という、いわゆる3K仕事なので無理もありません。その中で一人参加を希望してくれた特攻野郎が彼だったのです。

 そのため今回のロケではディレクター、AD、カメラマン、音声、スタイリスト、メイク、マネージャー、ロケコーディネーターの全てを彼が一手に引き受けることになりました。つまりたった二人で海外の危険地帯に赴きロケを決行します。普通のJCアイドルなら身を案じられて絶対に撮影許可が下りませんが、私の場合は完全スルーなのが悲しいところです。

 

「今日は何だか機嫌がいいように見えますよ」

「わかりますか。昔から飛行機が好きなので、空港に来るとつい気が昂ぶってしまいました」

 へぇ、意外な趣味をお持ちなんですね。

「ロケですけど無理に私に合わせなくてもいいですよ。最悪自撮りで何とかしますし」

「自分で希望したことですから。それに労災保険はちゃんと下りるので問題はありません」

 心配するところはそこじゃない気がしますが、面倒なのでツッコミは放棄しました。

「貴方ほど優秀であればもっとラクで役得な仕事を選択することも出来るでしょうに。他事務所のアイドルがやっている音楽番組なんてアイドルの女の子達に囲まれて楽しいと思いますよ」

「生憎ですが、七星さん以外のアイドルには興味がありませんので」

「……ん?」

 何かとんでもないことをサラッと言い放ったような気がするんですけど……。

「いやいやいや。貴方だって健全な青年なんですから私以外で気になるアイドルの一人や二人はいるでしょう!」

「いません。私はそもそもアイドルというものには関心がないですから」

「えぇ……」

 何この子。前から変わってるとは思っていましたけどガチでヤバい人じゃないですか!

 

「気になったアイドルがよりにもよって私って、貴方精神状態おかしいよ……」

「七星さんは私が見込んだ唯一の方です。ですので少しでもそのお力になれればと思う所存です」

「引くわー。マジ引くわー」

 別に洗脳している訳でもないのになぜこれほど信望されているのでしょうか。一緒に仕事をする前にひょんなことで彼とお知り合いになったのですが、その際に人生相談っぽいものに乗ってあげたくらいなんですけどねぇ。

「……もしかして貞操の危機?」

「男女間の恋愛感情のような愚昧なものではありませんのでご安心下さい。それにもしそのような感情を抱いても力づくでどうにか出来るものでもないでしょう」

「それもそうですね」

 最低でも物理攻撃無効のスキルくらいは持っていないと私を襲うことは難しいのです。それに毒耐性もありますから睡眠導入剤による昏睡殺法も効きません。

 

「ロケ中ですが、例のクローネとやらのサポート役は放置してしまって大丈夫なのですか?」

「私の不在中は犬神さんにサポート代理を頼んでいます。普段は色々文句を付けていますけど近頃はPとして急成長していますので数日であれば問題ないと思いますよ」

「彼ですか。少し頼りない気はしますけれども七星さんのPとしてはああいうタイプの方が合っているのでしょうね」

「一から十まで指図されたくはないので、ある意味やりやすいというのは確かです」

 目上の者に対するリスペクトが欠けている点は大問題ですけど。

 

「ご案内申し上げます。大日本航空、八便。ロサンゼルス経由ソルトレイクシティ行きと……」

 下らない話をしていると我々が乗る便の搭乗案内が流れました。

「時間ですか。それではいきましょう」

「わかりました」

 二人連れ立って飛行機に乗り込みました。いざアメリカ!

 

 

 

 フライトは至って順調でして、予定通りソルトレイクシティ国際空港に到着しました。長時間のフライトで体が固まったので降りてから軽くストレッチをします。すると恐ろしい光景が目に飛び込んできました。

「やべーですよやべーですよ……」

「どうしましたか、七星さん?」

「此処、外人さんばっかりじゃないですか!」

「アメリカ国内なので当然です。むしろこの国では我々の方が外人ですよ」

「いや~キツイです……」

 空港内では無数の白人、黒人、アジア人が行き交っており、その光景に思わず圧倒されてしまいました。外人さん恐怖症の私としては目眩のする光景です。

 なお、別に外人さん自体が嫌いな訳ではありません。異文化コミュニケーションに対する苦手意識が恐怖を呼び起こしてしまうのです。それくらい事前に想定しておけよという話ですがすっかり頭から抜けていました。典型的なイエローモンキーには厳し過ぎる環境です。

 

「早くロケ現場に行きましょう!」

「はい。……しかし両手で上着の袖を掴まれると非常に歩き難いのですが」

「し、仕方ないじゃないですか! こんなところで迷子になったら確実に死にます! だから絶対にはぐれないで下さいよっ!」

「わかりました」

 私の交渉術やビジネススキルが通用するのはあくまで日本国内限定です。日本語が通じない地では五歳児並みに無力な存在となってしまうことに出国して初めて気付きました。いや~、ソロでのロケではなくて本当に良かったですよ。

 龍田さんの服の袖を掴みながらへっぴり腰で入国審査用のカウンターに向かいました。

 

 列に並んでから少しして私達の番が来ます。

Next please(次の方どうぞ)!」

「ひゃ、ひゃい! もしかして私ですか?」

「はい、お先にどうぞ」

「わ、わかりました……」

 龍田さんの生暖かい視線に見送られつつ入国審査官の前に行きました。身長2メートル近くでがっしりした体格の黒人男性なので圧倒されてしまいます。

 

Papers, Please(出入国書類を見せて下さい)

 ん? 何だって?

「ほ、ほわい?」

Papers,Papers, Please(ですから、出入国書類を見せて下さい)!」

 紙がどうとか言っていますが訳がわからないよ。私の頭部に搭載されている最新OS──『Windows toki 7』のCPU使用率が100%になっても答えは見つかりません。そのままパニックに陥りました。

「アルストツカに栄光あれ!」

Huh()?」

 意味不明な言葉を叫ぶと入国審査官が不審な目で私を見てきます。

「えっと……。アイムジャパニーズカワイイアイドル! ノットテロリスト!」

Terrorist(テロリスト)?」

 彼の表情が一気に厳しくなりました。なぜ一番不穏な単語だけピンポイントで伝わっているんですか!

 

Here to come(こちらへ来て下さい)!」

 いつのまにか別室に連れて行かれそうになっています! ヤメローシニタクナーイ!

This is her passport,Here you are(これが彼女のパスポートです。どうぞ)

「……Huh(はぁ)

 すると後ろで待っていた龍田さんが駆け寄ってきて、私の手中にあるパスポートを入国審査官に見せます。

What's the purpose of your visit(どういった目的で入国されるのですか)?」

We're here for business(仕事です)

How long will you be staying(どれくらい滞在される予定ですか)?」

For several days(数日間です)

 その後も英語で何回かやり取りをすると大男の様子が元に戻りました。

Thanks,have a good day(ありがとう。良い一日をお過ごし下さい)

「Thank you, ……それでは行きましょうか」

「は、はいっ!」

 あっけにとられている間に入国審査は無事終わったようです。

 

「一時はどうなることかと思いました」

「面目ありません。英語のヒアリングは結構得意なんですけど、外人さんが目の前にいるとパニックになってしまって……」

「人には得意不得意がありますから仕方ありませんよ」

「本当にありがとうございました」

 心からのお礼をすると、ある事実に気付きます。

「……というか、最初から貴方が入国審査を受けて私についても説明をしておけばあんな茶番は要らなかったですよね?」

「はい、確かに」

 ドSドラゴンが爽やかな笑顔のまましれっと答えました。

「……潰す」

「構いませんが大丈夫ですか? もし此処で私を抹殺すれば言葉の通じない異国の地で一人旅が始まってしまいますよ。単独で日本帰国RTAをやりたいのであればお止めしませんけれど」

「くっ!」

 このドS、そこまで計算に入れていやがったのですか!

「き、帰国したら覚えてなさいッ!」

「まるで三下の小悪党のような捨て台詞ですね。心に染み入ります」

 脅しても表情一つ変えやしません。清純派アイドルらしからぬ仕事ばかり獲ってくるワン公とは別の意味で厄介な存在ですよ!

 

 

 

 ドタバタの入国後は早速ロケの準備に入ります。準備とはいっても撮影の用意や各種手続きは全て龍田さんがやってくれたので私がやることは何もありませんでした。性格こそ悪いものの極めて有能なので扱いに困ります。

 ホテルで一泊した後、翌日はチャーターした民間のヘリコプターでロケ地であるモアブ砂漠に向かいました。

 

 目的地上空に到着したので早速収録を開始しました。まず機内で事前説明をしてから現地に降り立ち収録を行う予定です。

「はい、皆さんこんにちは~。コメットの七星朱鷺です! このコーナー──『トキちゃんのトキドキ♥サバイバルレッスン』では、特殊で厳しい環境下においてどうすれば生き残ることが出来るのか、いざという時に使える実用的なテクニックを皆さんに伝授したいと思います!

 そして栄えある第一回はアメリカのモアブ砂漠に挑戦します! 酷暑と危険な動物が生命を脅かす中、命を護るサバイバルテクニックを皆様にお届けしますのでご期待下さい!!」

「……はい、OKです」

 NGは出なかったのでヘリコプターはそのまま一旦地上に下りました。

 

「それではお先に失礼します」

「ご苦労様です。私はまた空に上がりますから着地の撮影の方をよろしくお願いしますね」

「畏まりました」

 龍田さんや撮影用の資材、飲料水などは先に地上に降ろしました。私は上空でヘリから飛び出しパラシュートで落下する予定です。バラエティ番組は派手な方が視聴率が稼げるので、少しでも番組を盛り上げるための演出なのです。

 

 既にパラシュートは装着しているので後は落ちるだけでした。高度二千五百メートルまで上昇した後、「アイキャーンフラーイ!」と叫びつつヘリから飛び出します。

「……ッ!」

 スカイダイビングは初体験ですが落ちているという感覚は全くありません。スピードはかなり出ているのにそのスピードを感じませんでした。だから体感的には浮いている、飛んでいるという感覚です。

 中々面白いのでもっと飛んでいたかったのですが、そろそろパラシュートを開かないといけない高度です。ギアの底部にあるハッキー(丸い玉)を引っ張ってパイロットシュート(小さいパラシュート)を出そうとしました。

 

「……ん?」

 かなり強くハッキーを引っ張ったためかパキッと折れてしまいました。そしてパイロットシュートは一向に開きません。パイロットシュートが開かないと当然キャノピーも動作しません。

「現実までメガトンコイン(自由落下)とは、たまげたなぁ……」

 そのままの速度でフリーフォールを続けました。仕方がないので体勢を調整し砂地に着地できるようにします。

 

「ハァッ!」

 着地と同時に転がりショックを分散させました。強く鈍い衝撃が全身に広がります!

「……よいしょっと。あ~もう砂だらけですよ」

 起き上がりと同時に砂を払い除けました。一応全身を確認しましたが傷一つありません。ヘリから落ちたくらいで死んでいては北斗神拳伝承者は到底務まりませんから当然でしょう。

 

 するとカメラを構えた龍田さんがやってきました。どうやら着地シーンは撮れていたようです。

「……コホン。え~と、今ご紹介したのは五点接地転回法という技です。体を回転させながらつま先・すねの外側・ももの外側・背中・肩の5点に着地の衝撃を分散させるという技術です。これをマスターすれば例えヘリから落ちても大丈夫!」

 笑顔のまま親指を立ててサムズアップしました。

 

 

 

 開始早々思わぬトラブルがありましたが気を取り直して撮影を続けます。解説をしながら峡谷を目指して砂漠の横断を開始しました。

「砂漠での主な死因は二種類あります。一つが脱水症、もう一つが熱中症ですね。このような苛烈な環境では通常どちらも数時間で発症すると言われています。

 このモアブ砂漠のように気温が四十度を軽く超える世界では、動かなくてもその場にいるだけで一時間につき一リットルの水分と塩分が奪われてしまいます。長時間強い日差しに晒されるのは危険ですから、砂漠で遭難した場合はまず峡谷などの日陰を目指しましょう」

 実際私もこの暑さには辟易しています。脅威の身体能力がなかったらこの時点でグロッキーになっていましたよ。

「とはいっても直ぐ日陰に辿り着けるとは限りません。その際、熱のダメージを受けやすい脳は少なくとも守る必要があります。今回はあり合わせのもので日除けのターバンを作る方法をご紹介します!」

 そう言いながら長袖の上着を脱ぎ始めます。すると龍田さんが慌ててカメラを横に逸しました。

 

「失礼ながら、アイドルとしてはもう少し恥じらいを持った方が良いかと思いますが」

「砂漠で遭難した場合に恥もへったくれもありません。生き延びるためには何でもしなければいけないんですよ」

「そういうものですか」

「そういうものです」

「……わかりました。しかし下着が映ってしまうのは色々とよろしくないので、そういう時は事前に声を掛けて下さい」

「は~い」

 私の下着姿を見て欲情する奇特な方はいないと思うんですけどねぇ。

 

「ターバン作りの続きですが、例えばこの白いTシャツを使う方法があります。まず襟と裾に切れ目を入れまして、真っ直ぐに裂いて開きます。必要な長さの布が出来上がりましたので頭に巻き付けましょう。余った布を頭の横でしっかり捻って後ろに回し、ぎゅっと手前に回して顔を覆うようにします。そして端をねじった部分に押し込めれば完成です!」

 この即席ターバンがあれば日差しを避けて熱中症の危険から身を守ることが出来ます。砂漠でなくとも活用出来ますので夏場の農作業などにいかがでしょうか。

 

 龍田さんに貸してもらった手鏡で出来栄えを確認しました。 

「うん! 完璧です!」

「見た目的には完全に中東のテロリストですが、よろしいので?」

「……うぐぅ!」

 言葉のナイフが私のハートにぐっさりと刺さりました。

「心の中で思っていても言わない優しさってあると思うんです。でも過激派系アイドルって中々斬新だと思うんですけど如何ですか?」

「需要が行方不明ではないでしょうか。そもそもあちらの宗教的に偶像崇拝は禁止ですし」

「……残念でもないですし当然ですね」

 中東デビューは泣く泣く諦めることにしました。

 

 

 

 その後は気象から方角を知る方法や水分の確保術について実証しながら解説をしていきました。いやはや、それにしても本当に暑いですねぇ。

「体調は大丈夫ですか?」

「私なら問題ありませんよ。それより龍田さんはどうなんです?」

「確かに厳しい環境ですが、今回のような事態に備えて鍛えてきましたので支障はありません」

「いや、訓練された兵士でも無力になるような状況下ですよ? バラエティ番組の一コーナーのためにそこまでしなくても……」

「以前の収録で挑戦したバッティングセンターで体力の無さを痛感しましたから、それ以降トレーニングを続けているだけです」

「あれは打てなくて当然だから……」 

 努力する方向を完全に誤っているような気がしますが、口出ししても絶対に自分を曲げない奴なので止めておきました。私なんぞに関わらずその力を正しく使っていればもっと出世するでしょうに。何とも勿体無いです。

 

 龍田さんの体力を考慮し、暫く休憩を挟んでから撮影を再開しました。

「続いては食料の調達です。不毛の大地でも逞しく生きている動植物は多数いますので、彼らの命を頂きましょう!」

「心なしか楽しそうに見えますね」

「食料の調達は私が最も得意とする分野ですもの。いわば本領発揮ですよ!」

 既に日は傾いており活動しやすくなっているので、失ったカロリーを補うため食料になる獲物の捜索に入りました。

「地道に捜してもいいんですが、砂漠で体力を使い過ぎるのは良くないですから今回は獲物の気を察知したいと思います」

 そう語りつつ探知モードに入りました。すると小さめの気がいくつか感じ取れたので、一番近い気のところに行ってみることにします。

 

「おっ、いましたいました」

 見たところ体長1メートル弱のガラガラヘビくんが枯れ木に隠れながら鎮座していました。

「アメリカ大陸の一部には強烈な毒を持ったガラガラヘビが生息しています。彼らは自分の身に危険が迫った場合、尾の先端を振動させ警告音を発し相手を威嚇します。基本的に夜行性で日中は大きな石の下や木の根元に隠れてることが多いですね。毒が体内に注入されると患部の細胞組織の血管が破壊され、激しい痛みや内出血、腫れといった症状が出るので非常に危険です」

 その辺りにあった枯れ枝を使い茂みの中から出しました。

「では、実際に威嚇されて噛み付かれる瞬間を見てみましょう」

 そう言いながらガラガラヘビの前に太腿を差し出しました。するとしっぽの先端を振動させ、『ジャー!!』という警告音を発して威嚇してきます。

 

「とある調査によりますと大型の蛇の攻撃速度は0.1秒で時速約百キロに相当するそうです。一方で人間の反射速度はおよそ0.2秒~0.3秒程度だと言われていますので、攻撃された時点で回避することは出来ません。だから毎年多くの方が噛まれて亡くなられてしまうんです」

 悠長に解説をしていると早速ガラガラヘビが目にも留まらぬ速さで噛み付いてきました。

「なので激流に身を任せ同化します」

 相手の勢いに逆らわず、その流れに身を任せることで力を使わずに攻撃を受け流しました。

 すると、標的を失い更に気が昂ぶったガラガラヘビが再度飛びかかってきます。

「捕らえられまい……」

 相手の攻撃を最小限の動きでいなし続けます。そして奴が痛恨の一撃を繰り出してきたタイミングを見計らい、カウンターの手刀で頭部を切り飛ばしました。

「相手より早く動きさえすれば被害を受けることはありません。要は人間の反射神経を超えさえすれば容易く回避可能なんですよ。これぞ柔の拳です。ね、簡単でしょう?」

 返り血を顔面に浴びつつ、満面の笑顔で語りながら死骸を回収しました。

 

 無事食料が調達できたので調理に入ります。まず拾い集めた枯れ草や枯れ木を岩陰に集めると拳の勢いで火を発生させて焚き火の準備をしました。皮を剥いだ蛇や道中捕まえたサソリを焚き火にくべていきます。暫くするとお肉の焼ける匂いが辺りに充満しました。

「ではまず前菜のサソリから頂きましょうか」

 体長五cmくらいの小型サソリを一切の躊躇なく口に入れていきます。

「うん、エビだこれ!」

 身が少ない川海老の様な感じです。但し焼いただけで調味料はないのでエグみを感じました。

「正直あまり美味しくはないですが砂漠では貴重なタンパク源です。では次にいきましょうか」

 串刺しにした蛇の身を裂いて口に運びます。

「味としては少し脂が乗ったササミのような感じです。こちらも焼いただけなので身が硬いですが、サバイバル生活ではごちそうと言えますね。いやあ、昔を思い出す味です」

 こういうものを食べていると前世の幼少期を思い出してしまいます。常に餓死ラインを彷徨っていて『パンがなければ昆虫や爬虫類を食べればいいじゃない』って感じでしたもの。

 毎日がサバイバルな生活は懐かしいですし色々と勉強になりましたが、もう二度と体験したくはないですね。やっぱりお母さんの美味しい料理の方が好きです。

 

 夕食後は終わりの挨拶の収録を始めました。

「『トキちゃんのトキドキ♥サバイバルレッスン』の第一回はいかがだったでしょうか? 万一砂漠で遭難した時に使える超実用的なテクニックが満載だったと思います。それでは皆様、良いサバイバルライフをお過ごし下さい!」

「……はい、OKです」

「ふぃ~」

 こうして無事ロケは終わりました。緊張が解けたためか少し気が抜けてしまいます。

「お疲れ様でした」

「龍田さんこそご苦労様です。動きっぱなしで疲れたでしょう?」

「確かに、そうですね」

 流石に疲労の色が見えます。一応人間の範疇に収まっているようでほっとしました。

「まだトレーニングが足りないことを実感しました。次回はこうならないよう再特訓します」

「そんなことしなくていいから!」

 この子だったらその内自力で私の域まで到達してきそうで本当に恐ろしいですよ。

 

 

 

 翌日は手配したヘリコプターに回収してもらい空港に向かいました。観光している時間がなかったのが少し残念です。その分お土産は買っていこうと空港のお土産屋さんで色々と見繕いました。

「このお菓子、色が超ドキツくて食欲が減退しますから幸子ちゃんへの嫌がらせ用に良いと思いませんか♪ ……あれっ?」

 お土産選びに夢中になっていると龍田さんの姿が消えていました。

「えぇ……」

 もしかしてトイレでしょうか? 私にとって異国の空港で一人取り残される状況は熱砂の砂漠で遭難するよりも810倍は恐ろしいのですけど。

「ま、まぁ待っていればその内戻ってきますよね?」

 お土産を選ぶ素振りを見せつつ彼が来るのを必死に待ちます。しかし10分、20分が経過しても一向に現れません。

 

「龍田! 謀ったな、龍田!」

 思わずその場で膝を付きました。認めたくないものだな、自分自身の老いゆえの過ちというものを。お土産選びに夢中になってしまい奴の気配を捕捉することを怠っていましたよ。

「さて、と……」

  ゆっくりと立ち上がりました。落ち込んでも仕方ありません。幸いなことにパスポートは手元にありますから出国手続きさえ無事に出来れば外人さんに関わること無く帰国できるはずです。入国手続きは数日前にやりましたからその時のことを真似れば大丈夫でしょう。

 

 しかし現実は非情でした。

「Hi! Miss hokutoshinken!」

「は、はろー……」

「Wow! Japanese illusionist!」

「へるいぇー……」

 入国時は龍田さんの影に隠れていたので気付かれませんでしたが今は私一人です。道行く外人さんからジロジロと見られたり、所々で北斗神拳だのイリュージョニストだの呼ばれたりしました。私の無茶苦茶な体力仕事はMytubeを始めとした海外の動画サイトに無断転載されていて相当な再生数を稼いでいますからその影響が出ているようです。日本から出たことはないので海外での知名度がそれなりにあることに気付いていませんでした。

「Ninja! Ninja!」

「忍者アイドルは別にいますからっ!」

 話しかけられる度に「サンキュー!」又は「イエス!」と営業スマイルで乗り切っていますが限界は近いです。後一、二回呼び止められたら私のSAN値はゼロになるでしょう。

「コメットはどこ……? ここ……?」

 このまま異国の地で朽ち果てるのかと思うと恐怖で目が潤んできました。

 

「あっ……」

 すると誰かが私の手を取りました。その手の主は見知ったあの人です。

「どこに行っていたんですか、龍田さんッ!! 姿が見えないので死んだかと思いましたよ!」

 すると奴が紙を広げます。そのまま「どっきり大成功~」とやる気なさげに呟きました。

「……これは、何でしょうか?」

「見ての通り緊急ドッキリ企画です。外国人恐怖症の七星さんを海外の空港に放置したらどうなるのだろうという内容でした」

 へぇ、ほう、ふぅん。

「ハイクを詠め。カイシャクしてやる」

 屋上へ行こうぜ。久しぶりに……キレちまったよ。

 

「今回のドッキリの実行犯は私ですが実際の企画を立てた首謀者がいます。その黒幕の正体を掴まずに私を抹殺してもよろしいので?」

「……伺いましょう。黒幕が誰か素直に喋れば貴方の命は保証しますよ」

「ヒント1。七星さんがよくご存じの男性です」

「それでは特定できません。貴方は特別に許してあげますからもっとヒントをお願いします」

「ヒント2。名前に犬が付きます」

 その瞬間、堪忍袋の尾が切れた音がハッキリ聞こえた気がします。

「ま~た、あんのクソ犬かァーーーーーーーー!」

 私の魂の絶叫が空港内に響き渡りました。

 

 

 

 帰国後は直ぐに犬の自宅マンションへ吶喊(とっかん)し、真っ青な顔の彼に詳しく事情を聞きました。

 以前龍田さんを交え三人で一緒にご飯を食べに行ったことがあったのですが、私がお花を摘みに行っている際に冗談で『こんなドッキリをしたら面白いんじゃないか』という話を二人でしたそうです。それを真に受けた龍田さんが実際に実行したという訳でした。

 飲みの席の話ですしコメツキバッタの如く土下座をしてきたので今回に限り許すことにしますが、今度やらかしたら絶対に焼き土下座と鉄骨渡りをしてもらいますので覚悟なさい。

 

 なお、努力の甲斐あって『トキちゃんのトキドキ♥サバイバルレッスン』は小さいお子様達を中心に非常に高い人気を博しました。普段アイドル番組を見ないファミリー層やシニア層を取り込むことが出来た上に企画の製作費が異常な程安いため、テレビ局の偉い人達にとても感謝されたので良かったです。

 画面端に『訓練された北斗神拳伝承者のみ可能なテクニックです。視聴者の皆様は絶対に真似しないで下さい!』というクソデカテロップくんが常に出ていたのは癪に障りましたけど。

 そしてそれ以上にあのドッキリ企画が好評だったそうです。私が涙目になりながら挙動不審に空港内を右往左往している姿がなぜ人気になったのか、コレガワカラナイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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