ブラック企業社員がアイドルになりました   作:kuzunoha

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裏語⑥ どっきどき密着取材(後編)

「この駅で降ります」

 朱鷺さんの指示に従い駅に降りた。改札を抜けると住宅街に向かって歩き出したのでついていく。上流階級層が住むような高級住宅街を進んでいくと、ひときわ大きい邸宅が現れた。

 

「着きましたよ。ここが我が家です」

「……え? マジ?」

「いや、何で住んでいる家について詐称しなければいけないんですか。確かに他の家よりちょこっとだけ大きいので驚くかもしれませんけど」

「だって住宅というより邸宅じゃない。こんだけ大きくて三階建ての大豪邸なんて……」

 何か怪しい商売でもしているんじゃないかと心配になった。

 

「ウチはただの町医者ですよ。母方の祖父が愛知県で大きな病院を複数経営しているんですけど、やたらと見栄を張りたがる人なんです。『娘が住む家なら最低限これくらいでないと結婚は許さん!』と散々駄々を捏ねたのでこうなりました。

 それでも大分簡素にしてもらったそうなんですよ。祖父の家なんて屋敷を超えて城みたいになってますから」

 うわ、この子本当にお嬢様だよ! 完全に上級国民様だわ。でもその割りに庶民的な感じがするのはなぜなんだろう。

 

「ただいま~」

 七星さんが鍵を開けてドアを開くと、「お帰りなさい、朱鷺ちゃん!」というかわいい声が聞こえる。

 少ししてから、七星さんを更に大人っぽくした感じの超絶綺麗な女性が現れた。

 

「……お母さん、仕事はどうしたの? 普段はまだ働いている時間だけど」

「朱鷺ちゃんの密着取材があるって聞いたから、休んじゃった♪」

 テヘッと笑ってペロッと舌を出した。

「いや、休んじゃったじゃないでしょう! 患者さんがいるんだからちゃんと仕事してよ!」

「患者さんも皆理解してくれているから大丈夫♪ どうせこの時期は花粉症の患者さんくらいしか来ないから、新一さんがいれば問題ないわ~」

 

 何と、母親なのか。お姉さんにしては色気があり過ぎると思ってたけど、この見た目で中学生の娘がいるとか詐欺だよ。

 特にそのバストは圧巻の一言に尽きる。あの大きさで一切垂れていないってどういうことなの。

 

「おねーちゃんおかえり~!」

「ただいま、朱莉」

 呆けていると小さな子供が七星さんに駆け寄ってきた。妹さんが一人いるってプロフィールに書いてあったから多分妹さんだろう。

 お母さんやお姉さんに似て超かわいい。ちょこまかと動く姿はなんだか子猫を連想させるね。

 

「あの~ところで、どちらさまでしょうか?」

「申し遅れました。サンデーハウスの善澤唯と申します。朱鷺さんの密着取材を担当させて頂きます。色々とご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、よろしくお願い致します」

「朱鷺ちゃんのママの朱美です。よろしくお願いします~」

「朱莉だよ! ゆいおねえちゃん、よろしくね!」

 お母さんと妹さんとそれぞれ挨拶をして握手した。二人とも優しそうな感じなのでホッとする。北斗神拳伝承者の家族だからもっと殺伐としているかと思っていたよ。

 

「今日は腕によりをかけて美味しい料理を用意しましたので、是非召し上がっていって下さいね」

「晩御飯はお手伝いさんじゃなくてお母さんが用意したの? 言ってくれればもっと早く帰ってきて手伝ったのに」

「んもう、それじゃあサプライズにならないじゃない!」

 確かに台所と思われる場所から良い匂いが漂ってくる。取材前にお昼ご飯を軽くかきこんで以降何も食べていないので、空腹が刺激されてしまった。

 

「お父さんはいつ帰ってくるの?」

「もうすぐ帰ってくるって言っていたわ。それまでお部屋で寛いでてね」

「うん、わかった。じゃあ善澤さん、私の部屋にご案内しますのでついてきて下さい」

 七星さんが二階に上がっていくので私も階段を上る。上がりきると複数の扉が見えた。流石お嬢様の邸宅だけあり部屋も複数あるらしい。

 

「ここが私の部屋です」

 階段に一番近い部屋のドアを開いたので、「お邪魔します」と言って恐る恐る中に入る。

 部屋の中は至ってシンプルだった。六畳くらいのスペースでベッドやソファー、テーブル、液晶テレビ等が置かれている。事前に掃除をしたのか、とても綺麗……というか何だか生活感のない部屋だ。

 

「へぇ……結構片付いてるんだ」

「実は昨日大掃除しましたので、物が少ないんですよ。掃除は小まめにしなければいけませんね、あはははは」

「でも、女の子らしいところもあるじゃない。ベッドの周りにぬいぐるみとか置いてあるし」

「やっぱりそう思いますか! いや~、清純派アイドルっぽくてアレなんですけど、私ぬいぐるみを抱いてないと上手く眠れないんですよぉ~」

「そ、そうなの……」

 絶対ウソだろ、と言う言葉が喉まで出たが何とか封じ込める。もし機嫌を損ねてボコボコにされたら洒落にならないもん。

 

「ちょっとトイレ借りてもいい?」

「はい、いいですよ。突き当たりの一番奥です。二階には両親の寝室等もありますから、不用意に他の部屋へ入らないよう注意して下さいね。我が家の方針で部屋に鍵は付けていませんので」

「そんなことはしないから大丈夫よ」

 

 

 

 トイレで尿意を解消してから七星さんの部屋に戻る途中、朱莉ちゃんと遭遇した。何やら不思議そうに私のことを見てくるのでちょっと気になる。

「どうしたの、朱莉ちゃん」

「ゆいおねえちゃんたち、なんでおきゃくさんのおへやにいるの?」

「お客さんの部屋? だってあそこは朱鷺さんの部屋だって……」

「あのおへやはおきゃくさんがきたときのおへやだよ。おねえちゃんのおへやは、あそこ」

 朱莉ちゃんが階段から一番離れた部屋を指差したので、思わずその部屋に近づく。

 とても嫌な予感がしたけど、どうしても好奇心を抑えきれず開けてしまった。

 

「うぉおう!」

 漢の部屋──その部屋の第一印象は正にその言葉に尽きる。

 室内は十二畳程の広いスペースだった。片側の壁に設置されたショーケースのような飾り棚の中には、ロボットの模型が無数にひしめいている。反対側の本棚には無数の漫画本やビジネス書、ゲームソフト、そしてアイドルのCD・DVDが収納されていた。

 

 漫画本の背表紙をざっと見たけど、そのチョイスが中々……渋い。

 『闇金ウシジマくん』『ナニワ金融道』『カイジ』『銀と金』『ベルセルク』『寄生獣』『ヘルシング』『彼岸島』『ONE OUTS』『孤独のグルメ』『シグルイ』『殺し屋1』──その他ジャンプやマガジン、サンデー等の名作漫画がずらり……。少女漫画なんて影も形も無い。

 知らない作品も多いけど、バイオレンスな漫画の比率が圧倒的に高かった。恋に恋するお年頃のJCが好んで読む漫画ではないことは確実だと思う。

 

 また、バカでかいデスクトップパソコンには液晶モニターが三台接続されている。

 テレビも一台ではなく、大型の液晶テレビと昔懐かしいブラウン管テレビが併設されている。そして周囲には十数台のゲーム機が配置されていた。

 テレビの周辺にはケーブルが張り巡らされており、容易に立ち入ることは出来ない感じだ。これが、現役JCアイドルのお部屋か……。

 

「────見て、しまいましたか」

 背後から急に声が聞こえた。びっくりして振り返ると七星さんが物凄い笑顔で佇んでいる。

「こ、この部屋は?」

「見られたからには、消さなければいけませんね」

 質問に答えようとはせず、私の目の前に瞬間移動する! 彼女の手が私の顔に伸びた瞬間、意識が途絶えた……。

 

 

 

「あれ……ここは?」

「ああ、善澤さん。気がつきましたか」

 意識を取り戻すと同時に上体を起こした。先ほどまでいた七星さんのきれいなお部屋だ。

「……私、どうしたの?」

「化粧室から戻ってくる途中、気分を悪くされて倒れてしまったんですよ。なので私の部屋で横になってもらっていたんです」

「そう……。迷惑を掛けてゴメンね」

「いえいえ、お気になさらず。きっと疲れが溜まっていたんでしょう」

 

 確かに、慣れない取材で思いのほか心労が溜まっていたのかもしれない。トイレから戻る途中に衝撃的な何かがあった気がするんだけど、全然思い出せなかった。

「お父さんが帰ってきましたので夕食にしたいと思うんですが、食べられそうでしょうか?」

「ええ、もう大丈夫よ」

「ちゃんと消えたようで本当に良かったです。では下に行きましょう」

 七星さんと一緒に一階のダイニングルームに向かった。

 

「おお、貴女が善澤さんですか!」

 階段を下りるとやたらテンションが高い男性から声を掛けられた。

「は、はい。貴方は朱鷺さんのお父さん、ですか?」

「はい! 朱鷺の父の新一です! 娘の取材の件、よろしくお願いします!!」

 そう言いながら両手で私の手を取り上下にブンブンと揺らした。母親も綺麗な人だったけど父親も超イケメンで若い。パッと見で二十代後半くらいにしか思えないなぁ。合コンにいたら争奪戦になりそう。

 

「食事の用意は出来ていますので、こちらへどうぞ!」

「あ、ありがとうございます」

 背中を押されてダイニングルームに入ると、テーブル上に料理という料理が敷き詰められていた。パスタがあるから恐らくイタリア料理だろう。どれも滅茶苦茶美味しそう。

「何だか凄いね……」

「ええ、お母さんは料理ガチ勢ですからどれも美味しいですよ。私も料理にはそれなりに自信を持っていますけど、お母さんには及びません」

 朱鷺さんって凄い料理上手だって情報があったけど、朱美さんはそれを凌ぐ実力者だったのか。見た目はぽわんぽわんしていて、お箸より重いものを持ったことがなさそうだからとても意外。

 

「そんなこと無いわよ~。朱鷺ちゃんのお料理はとっても美味しいもの~」

「下手な慰めは要らないって。いつの日か超えて見せるからね」

「ふふふ、楽しみに待ってるわ~」

 親子間で言葉のバトルしているうちに料理の写真を撮っていった。

 

 その後は五人で食卓に着き「頂きます」と全員で手を合わせる。これがこの家のルールらしい。

「この料理はなんですか?」

「それはヒラメのカルパッチョよ。活きの良いヒラメが手に入ったから生がいいかと思って~」

「では頂きます」

 贅沢に二切れ取り口に運ぶと、甘みと旨味のあるヒラメと柑橘系のソースの相性が完璧で言葉が出なくなった。これは本当に美味しい。

「おいしい!」

 朱莉ちゃんも満面の笑顔だ。美味しい料理は人を幸せにするというけど、それは本当だと実感しちゃった。

 

「この隠し味はオレンジ……いや、柚子かな?」

「朱鷺ちゃん、あったりー☆」

「ここに来てまた腕を上げるとは、末恐ろしい母親……」

「上手い! やはり朱美の料理は世界一だな!」

 朱美さんと朱鷺さんが料理漫画みたいなやり取りをしている傍で、新一さんがバクバクと食べていく。なんだか微笑ましい光景だった。

 この後の料理も本当に美味しくて、腹八分目どころか腹十分目の限界まで食べちゃったよ。ううう、せっかくのダイエットが水の泡だ。

 

 

 

「じゃあ、朱莉とお風呂入って来ますね。暫く掛かるので、リビングで寛いでいて下さい」

「うん、行ってらっしゃい」

 朱鷺さんと朱莉ちゃんが一緒にお風呂に行った。新一さんも腹ごなしに庭でゴルフの練習をしているから、これは千載一遇のチャンスタイムね! 

 

「朱美さん、ちょっと質問いいですか?」

「はい、なんでしょうか~」

「朱鷺さんって小さい頃はどんな子だったんでしょう?」

 後片付けをしている朱美さんに声を掛ける。家族に幼少期のエピソードを訊くのは欠かせないと取材ノートに書いてあったので、今のうちに過去エピソードを引き出してしまおう。

 朱美さんはおっとりしていて情報管理が緩そうなので、取材対象にピッタリだし。

「ん~そうねぇ……。とても良い子だったわ♪」

 良い子といわれてもどんな感じかはわかんないな。もう少し突っ込んで訊いてみるか。

 

「具体的にはどんな感じでしょうか。ほら、大人しいとか、ヤンチャだとか」

「とにかくしっかりした子だったわ。他の子みたいに我侭を言わないし、お願いしたことは必ず守るし。でもしっかりし過ぎていて、それはそれで寂しかったわね~」

「そうなんですか。私なんて小さい頃は『パパあれ買って!』とねだってばかりいたので耳が痛いです」

「それがね、あの子小さい頃はお母さんって呼んでくれなかったのよ~。朱美さんってさん付けで呼ばれていたの。しかも教えても無いのに敬語で話すものだから、とてもびっくりしたわ~」

 

 普通はお母さんやママと呼ぶはずだけど、下の名前呼びでしかも敬語とは珍しいなぁ。

「ある意味では野良猫みたいな子だったわねぇ」

「野良猫ですか?」

「そう! 野良猫って眺めている分にはとっても可愛いけど、ある程度まで近づくと凄く威嚇してくるでしょ? あの子も一定以上仲良くしようとすると、とたんに警戒して距離を置きたがるのよ~。私達に対してもそうだったから、親子なのに親子じゃないみたいで凄く悲しかったわ」

 家族に対しては完全に心を開いている感じだったので、凄く意外。

 

「でも今は仲良しじゃないですか」

「そうね~。今はだいぶ棘が取れて接し易い子になったと思うわ。保育園の時にあの出来事があってから、態度が柔らかくなった気がするのよねぇ」

 おっ。何か気になるエピソードがあるみたいだ。

「どんなことがあったんですか?」

「私と新一さんはお医者さんだから、朱鷺ちゃんが小さい頃は保育園に預けていたの。でもあの子、他の子とは仲良くしようとせずに経日新聞や資産運用の本とかをずっと読んでいたから、保育園の先生から不審がられていたのよ。

 それである日保育園へあの子を迎えにいったら『お宅のお子さんは色々な意味でおかしいので、一度病院に連れて行った方がいい』って言われちゃって~」

「えっ!」

 いくら行動がおかしくても、親に向かってそんなことを言うなんて酷いな。私が朱美さんだったらその先生を平手打ちしていたかもしれん。

 

「それで、どうされたんですか」

「朱鷺ちゃんも落ち込んだ様子だったから、その先生に『朱鷺ちゃんは私がお腹を痛めて産んだ自慢の一人娘です。この子の良いところを何も知らない貴女に、そんなことを言われる筋合いはありません』ってつい言っちゃったのよ。あの時は本気で怒っちゃったから反省してるわ。

 その帰り道に『お母さんは朱鷺ちゃんが大好きよ』って何となく声を掛けたら、朱鷺ちゃんが『ありがとう、お母さん』って言ってくれたの。あの時初めて本当の親子になれた気がして、とっても嬉しかったわ~」

 仲良し親子にもそんな裏話があったんだ。今はとても仲が良くて微笑ましいから、仲良くなれて本当に良かったと思う。

 

「でも、その後に大失敗しちゃってね……」

 朱美さんの表情が急に曇った。あれ、美談で終わるんじゃないのか。

「大失敗って、何があったんですか?」

「その保育園には預けたくないからどうしようかなって思ったんだけど、朱鷺ちゃんが私一人でも大丈夫って言ったのよ。とてもしっかりしていたからお留守番を任せたんだけど、一人だとやることが無くて暇かなって思ったのね。

 だから、朱鷺ちゃんの為にアニメ見放題チャンネルと契約したんだけど、なぜかあの子ガンダムにはまっちゃって……。他のロボットアニメとかオタクっぽいアニメも見るようになって、すっかりオタクになっちゃったのよ~。そのうちプラモデルとかクソゲーのRTA(リアル・タイム・アタック)なんかもやり始めてねぇ……」

 物凄く深いため息を付いた。心中お察しします。

 

「一方で友達を全然作ろうとしないから、私達も凄く焦っちゃって。何とか今の内に外の世界と交流を持ってもらおうと思って、荒療治でアイドルになってもらったの! あの子はああ見えて寂しがりやで承認欲求が強いから、アイドルはピッタリだし。

 勝手に応募して朱鷺ちゃんには本当に悪いと思うけど、結果的には良かったわ。飛鳥ちゃん達はみんなとっても良い子だからね~」

 これが話題のアイドルのデビュー秘話か。でも絶対に記事には出来ないなぁ。したとたん北斗神拳で闇に葬り去られそうだ。

 あっ、そういえば大事なことを聞き逃すところだった!

 

「あの~。ところで、朱鷺さんが伝承者になっている北斗神拳という拳法について、ご家族としてはどうお考えなんでしょうか?」

「ああ、あれ~。何でも小憎たらしい女の子から無理やり伝授されたってこの間言っていたわ。あれも朱鷺ちゃんの個性だから、私達としては特に気にしていないわねぇ。ほら、子供は元気があり余っている方がいいって言うじゃない? あれくらい元気なら、私達としても安心よ~」

 いや、友達が出来ないことより北斗神拳の方が百倍問題だと思うんですが。

 

「朱鷺ちゃんは本当に良い子なの! 朱莉が生まれる迄はウチの医院で患者さんにマッサージしてあげてたし。朱鷺ちゃんに揉まれるとどんな病気でも直ぐ治るって近所で評判にもなったのよ~。でもたまに『新秘孔が……』とか『間違ったかな……?』なんて呟いていたけど、あれは何だったのかしらねぇ?」

 

 それはもしかして人体実験じゃないだろうかという疑問が涌いたけど、嬉しそうに話す朱美さんには口が裂けても言えなかった。

 何かこの家族はズレているような気がする。でもこの家族だったからこそ、朱鷺さんの頑なな心を開くことができたのかもしれない。あの子がこの家に生まれてきて、本当に良かったと思うよ。他の家だったらこうはならなかっただろう。

 

「善澤さんは、ご両親とは仲が良い?」

 急に逆質問されたので回答に困ったけど、少し考えて答える。

「母との仲は良いですよ。父の方は、まぁ色々と……」

「……そうなの~」

 

 私の父は芸能界でも取り分け有名な芸能記者だ。父がアイドルの記事を書けば、世間の注目はそのアイドルに注がれる。実際、今のアイドル界の実質トップである765プロダクションが売れ出したのだって父が感謝祭ライブを大きく取り上げたのがきっかけだし。

 あの人は休祝日関係なく働いているから、家族旅行はおろか学校行事にだって殆ど参加しなかった。私達家族を養うためだってことは理解できているけど、思春期の頃の私にとっては『アイドルのお尻ばかり追いかけている情けない父』でしかなかったんだ。

 

 高校生の頃なんて会話した記憶は殆ど無いし、大学合格と同時に一人暮らしを始めてからはロクに顔を会わせてない。

 アイドルを追っかける芸能記者なんて最低だと思っていたのに、まさか自分がその最低な仕事に就くとは思いもしなかった。父に辛く当たっていた罰があたったとしか思えないよ。

 散々批判しといて自分も同じ仕事に就きましたなんて口が裂けても言えないから、今の仕事についても報告できていない。

 

「何があったかはわからないけど、お父さんは善澤さんのことを心配していると思うから、たまにはお話してあげてね~」

「心配なんてしてないですって。どうせ娘よりアイドルの方が大切に決まってますから」

「……そんなことないわよ。親はいつも子供のことを心配してるの。私なんて朱鷺ちゃんや朱莉ちゃんのいない世界は考えられないもの。善澤さんのお父さんもそうだと思うわ」

「そういうもの、でしょうか」

「うんうん。間違いないわよ♪」

 

 そんな会話をしていると、どたばたと走る足音が聞こえた。

「ぎゅうにゅうのむー!」

「ちょっと朱莉! まだ髪乾かしてないって!」

 お風呂から出た朱莉ちゃんが冷蔵庫から牛乳を取り出す。

「朱莉ちゃんは牛乳好きなの?」

「うん! いっぱいのんで、おねえちゃんみたいにおっぱいおおきくなるんだ!」

「こんなの邪魔なだけだから別にいらないの。朱莉はずっと小さいままでいいからね~」

「やだ! おっきくなるもん!」

「そんなこと、お姉ちゃんが許しません!」

 姉妹でじゃれあう光景は普通の姉妹と変わらないな。

 

 結局その日は七星家の空き部屋に泊まらせてもらうことになった。

 階段から一番離れた部屋に『KEEP OUT』というテープが何重にも張られていたけど、あれは何の部屋だったんだろう。

 

 

 

「じゃ、いってきま~す」

「おねえちゃん、いってらっしゃ~い!」

「おう! 車には気を付けてな!」

「善澤さん、娘をよろしくお願いしますね~」

「はい、わかりました」

 翌日、ご両親と朱莉ちゃんに挨拶をした後で七星家を出発した。この家族も結構濃いキャラだったなぁ。でも、好感が持てる優しい人達で良かったよ。

 おっといけない。本業の取材について考えなきゃね。

 

「午前中はスタジオで収録って聞いてるけど、なんの収録なの?」

 今日のスケジュールを確認したところ、ちょっと分からないことがあったので訊いてみる。

「グランブレードファンタジーという人気のソーシャルゲームで今度346プロダクション所属アイドルとのコラボイベントがあるんですよ。私もコラボキャラの一人として出演するので、そのボイスの収録なんです」

「あ~確かに最近よくあるよね、そういうの」

 就活時に調べたけど、どのゲーム会社も課金ガチャを引かせる為にあの手この手で頑張ってるらしい。あっちの業界も中々闇が深そうで怖い気がする。

 

「声のお仕事は初めてなので結構緊張しています」

「その割には落ち着いて見えるわよ。容姿と声は可愛いから大丈夫じゃない?」

「その表現だと内面は可愛くないと言っているように聞こえるんですけど」

「あ、いや、そんなことないって!」

「下手な慰めはいいです。自分でも十分な程自覚していますから」

 そう言って自虐的な笑みを浮かべる。いけないいけない、取材対象を不快にさせないよう気をつけなきゃ。

 でもこの容姿と声だから、コラボキャラもきっと可愛い感じなんだろうな。

 

 

 

「荒廃した世界を、アイドルを再生する。それが私の使命」

「力を持ち過ぎる者は全てを壊す。貴方もその一人」

「秩序を破壊する者。アイドルには、不要」

「誰であろうと、私を超えることなど不可能です」

「修正プログラム最終レベル、全システムチェック終了。戦闘モード起動」

「ターゲット確認。──排除、開始」

「排除、排除、排除」

「消えなさい! イレギュラー!!」

「……認めましょう、貴方の力を。今この瞬間から、貴方はプロデューサーです」

 

 えぇ……。

 収録ブース内で、朱鷺さんが物騒なセリフを次々と口にしていく。

 冷徹なトーンでありながら狂気を孕んだ言葉は、聞く者に強い恐怖心を植えつける。正に迫真の演技だといえるだろう。

「フフ、フフフフ……」

 それにしてもこのアイドル、ノリノリである。

 

「お待たせしました」

「お、お疲れ様~」

 収録は約2時間かかった。予定のセリフを全て撮り終え、朱鷺さんがブースから出てきたので声を掛ける。ちょっと声が震えたのはここだけの秘密。

 収録スタッフさんに笑顔で挨拶をした後、昼食を取る為に二人で喫茶店に入った。

 

 

 

「はぁ……」

 さっきとはうって変わって仏頂面だ。不満が胸の中を渦巻いていることがよくわかるわね。

「他の子達は可愛らしい味方キャラなのに、私だけイベントのラスボス役っておかしくありません?」

「そ、そう? 迫力があって良かったと思うわ」

 

 荒廃したアイドル業界を救済する為に創られた自律思考型超高度AI──『セブンスターズ』。しかしアイドル再生計画の最中に原因不明の暴走を起こし、アイドル達を自らの管理世界へ幽閉してしまう。

 プレイヤーは幽閉されたアイドル達を次々と助け出し、最後にはセブンスターズが操る無数の機動兵器群と対峙。死闘の末、遂にAIのメインコンピューターを破壊する。

 

 最期の瞬間、セブンスターズは暴走の理由を語り始める。AIはアイドル達を苛烈な競争社会から守る為、自らの管理世界に隔離していたのであった。自身の行為が愛故の過ちであったことを理解した後、自らを超えたプレイヤーに彼女達を託し静かに滅びを迎える……。

 イベントストーリーは大体こんな感じらしい。昔のSFでよくありそうな展開よね。

 

「しかもファンタジー世界で一人だけAIって……。せめて人間の枠内で収めてくれませんか」

「その分目立ってるから、見方を変えればオイシイ役よ」

「一応私もアイドルなので、目立たなくてもいいからアイドルっぽい役を回して欲しかったです。これも全てP(プロデューサー)が無能だからですよ。今度こそオーダーメイドの秘孔を突いてやります」

「はは……。あんまり無茶しないようにね」

 先日のPに対する態度が嘘のよう。あの時は必死に本性を隠していたんだろうなぁ。

 

 

 

 その後は繁華街にある家電量販店──『ゾフマップ』へ向かう。

 今日はここでコメットのセカンドCD発売を記念したインストアイベントがあるらしい。内容はミニライブとサイン会との話だった。

「ゾフマップかぁ……。正直会場としては小さくない? せっかくのイベントなんだからもっと大きい会場でやればいいのに」

「そうですか? 私としては特に問題ないですよ」

 フォローしようと思って声を掛けたけど、本人はあまり気にしている様子ではなかった。

 

「でもアイドルなんだから、観客が多い方がいいでしょう?」

「そりゃ多いに越したことはないですけど、だからといって小さい会場でがっかりしたり手を抜いたりすることはありません。お客様が一人でも一万人でも最高のパフォーマンスを披露するというのがコメットの方針ですから」

 色々ぶっ飛んでる子だけど仕事に対する姿勢は本当に真摯だ。若くてもやはりプロなんだなぁ。

 

「おはようございます、皆さん」

「……おはようございます」

「やあ、おはよう、トキ」

「朱鷺さん、おはようございます」

 会場の控え室に着くと既に他の子達が着替えをしていたので、朱鷺さんも一緒に着替えていく。うー、やっぱり胸でっかいわー。14歳でこれって、将来はどうなるんだろう。

 

「そろそろ準備のほうお願いしますゥ~」

 着替え終わって談笑していると男性スタッフから声が掛かった。

「じゃあ私は観客席にいるね。イベントが終わったらまた来るから」

「わかりました。善澤さんも楽しんでいって下さい」

「うん。それじゃ、皆頑張って!」

 控え室を後にしてイベント会場に移動した。う~ん、やっぱり狭いなぁ。

 

 写真のチェックや取材メモの整理等をしていると開場時間になったのか、お客さんが次々と押し寄せてくるので前列を確保する。狭い会場があっという間に人で埋め尽くされていった。それにしてもお客さんの一部がなんと言うか……怖い。

 首にチェーンを巻いているモヒカンマッチョやタトゥーの消し後が残るヤンキー等、アイドルのライブに来ないだろと思われる層がチラホラ見受けられる。もしかして来るイベントを間違えていやしないだろうか。

 

 そんなことを思っているとイベントが始まった。司会の女性が慣れた感じでイベントの進行をしていく。

「それではお待たせしました。コメットの登場でございます!」

 案内の声に合わせてあの四人が小走りで舞台に出てくる。

「みなさーん、こんにちはー! コメットです♥ 」

 朱鷺さんが大きな声で元気良く挨拶すると観客席から声援が上がった。一部の観客はなぜか『姐さーん!』とか叫んでいたけど、どういう関係があるんだろう。

 

 その後は各メンバーの挨拶やセカンドシングル紹介等のトークが続く。朱鷺さんの軽い森久保さんいぢめ等で観客席からも笑い声が飛び出していた。

「さて、あまり長く喋っていると露骨な尺稼ぎと叩かれてしまいますので、そろそろ新曲をご披露したいと思います。一生懸命歌いますので聴いて下さい。それではコメットで──『RE:ST@RT』!」

 

 ロックっぽいノリのいい曲が流れ始めた。四人揃って狭いステージを最大限活用しながら踊っていく。アイドルには詳しくないけど、とてもカッコよくてこっちも楽しくなってくる。

 何より皆とても良い笑顔だ。特に朱鷺さんは心の底からライブを楽しんでいるような、凄く良い笑顔をしているので心奪われてしまう。アイドルって何かいいかも。

 そして曲の終わりと共にきれいにポーズをとる。5分弱の曲だけど終わってみればあっという間だったよ。

 曲が終わると当時に一面の拍手と声援が会場全体に響く。インストアイベントはその後大盛況で幕を閉じた。

 

 

 

「二日間引っ付かせてもらってありがとうね」

「いえ、こちらこそありがとうございました」

 電車内で朱鷺さんと会話する。私達とは逆方向の女子寮へ向かう白菊さん達を見送った後、途中まで彼女とご一緒することにした。

 もう夜なので長かった取材もこれで終わりなのかぁ。色々なことがあったけど、終わってみれば少し寂しいような気もするね。

 

「良い記事は書けそうですか?」

「あ~、うん。そうねぇ……」

 取材だけで精一杯で記事の作成なんて考えてもしなかったから思わず言葉を濁してしまった。

「ふふっ。誤魔化さなくていいですよ、善澤さんは新人記者────いや、恐らくまともに記事を書いたことの無いド新人さんでしょう?」

「……ッ!」

 え? バレてた?

 

「……いつから、気付いてたの?」

「結構最初の方からですよ。全体的に挙動不審だったりカメラを使い慣れていなかったりしたので、今年の新卒さんなんだなと簡単に分かりました」

「それなら早く言ってよ~!」

「すいません。でもそれだと緊張感がなくなっちゃうなと思いましたので」

 くう~、このいぢめっ子め!

 

「どうでしたか、アイドルのお仕事は?」

「正直最初はナメてた。アイドルなんてチャラチャラしてて、男にちやほやされて舞い上がっている頭の緩い子達なんだろうって。……でも、全然違った。皆真剣でさ、中高生なんて遊びたいさかりなのにちゃんと仕事してて凄いよ。仕事をナメてたのは私の方だった」

「その認識は仕方ないです。ところで、善澤さんはどんな雑誌の記者になりたかったんですか?」

 どうやらアイドル雑誌志望でないことも見抜かれていたらしい。

 

「私は元々ファッション誌志望でそれ以外は眼中にないんだけど、配属はなぜかアイドル誌なのよね~。もう転職しちゃおうかな?」

「世の中には理想の仕事を探して何十社転職しても見つけられなかった馬鹿野郎もいますから、安易な転職はお奨めしません。せっかくの新卒なんですからもう少し粘ってみていいと思いますよ」

 今の職場で粘る、か。この二日間でアイドルに対する認識がかなり変わったから前ほど抵抗感は無いけど、それが正しい道なのかあたしには判断できない。

 

 そのまま会話していると朱鷺さんの降りる駅に着きそうになる。

「それでは私はこの駅なので失礼します。記事、楽しみにしていますから」

「う、うん……」

「それと最後に、一つお願いがあるんです」

「お願いって?」

「お父さんを大切にしてあげて下さい。きっと善澤さんのことを心配していますから、たまには声を聞かせてあげて下さいね」

 ああ、朱美さんから訊いたのか。

 

「どうしてわざわざそんなことを?」

「人様の親子関係に立ち入るのはどうかと思ったんですが、やっぱり言っておきたかったんです。普通の人には理解できませんが、自分のことを愛して支えてくれる親がいるというのは本当に有難いことなんです。

 豪邸じゃなくても、あの家族がいるだけで私は本当に幸せです。私なら両親と妹の値段は百億円つけたって安いものですよ」

「……考えておくね。それじゃ、また」

「はい。是非前向きに検討をお願いします」

 朱鷺さんはそう言って電車から降りて行った。時々変なことを言うな、あの子。でもその言葉と真剣な表情がなぜか心に残ってしまった。

 

 

 

 その後は重い体を引きずり自分のマンションに帰った。

 シャワーを浴びて一段落付いた後、スマホを持ち電話帳のページを暫く見つめる。そして意を決して画面をタッチした。

 呼び出し音が暫く鳴るので、切断したいとういう気持ちを必死で抑える。

 

「はい、善澤です」

「…………もしもし。お、お父さん?」

 恐る恐る言葉を搾り出す。

「唯か。俺に電話なんて珍しいな。どうした?」

「ちょっと声が聞きたくなって、ね」

「なんだぁ、そりゃ?」

「ははは……」

 その後暫くお父さんと話した。今の仕事のことや希望していたファッション誌の編集部に入れなかったこと等、報告できていなかったことを洗いざらいぶちまけてしまった。

 

「……そうか。お前も大変だな」

「うん。私はどうすればいいのかな? ずっとファッション誌志望だったけど、朱鷺さんの取材を通じてアイドルの取材っていうのも悪くないなって思ったんだ」

「それを決めるのは唯次第だ。唯の人生なんだから、自分がやりたいと思うことをやる方がいい。……ただ、一つアドバイスがある。」

「アドバイス?」

「何でもいい。自分の書きたい記事を書いてみろ。一つの記事を全力で書き切ることで、今まで見えなかったことが見えてくるかもしれん」

 

 書きたい記事といわれて一つだけ思いつくものがあった。でもそれで何かが変わるんだろうか。

「それと、な……」

「ん、何?」

 急に口篭ったので訊いてみる。

「唯は俺達の大事な娘だ。どんな道を進んでもずっと応援しているからな。また悩んだら電話して来い」

「……うん、ありがとう」

「ああ、じゃあな」

 それだけ言って電話を切った。するとぽろぽろと涙がこぼれる。悲しくないのに涙が出るのはなんでなんだろう。

 

 ひとしきり泣いた後、今度はタヌキに電話した。

「編集長、お疲れ様です」

「善澤か。どうした?」

「密着取材ですが、無事終わりました。写真とインタビュー内容も従来どおり用意できています」

「おお、それは良かった。なら後で資料を提出してくれ。二日間ごくろうさん!」

「その件ですが、ちょっとお願いがありまして」

「ん? なんだ?」

「実は……」

 

 

 

「おはようございま~す」

 数日後、眠い目を擦りながら編集部に出社したけど私以外の記者はいなかった。タヌキが編集長席で新聞を読んでいるだけだ。

「おお、おはよう!」

 馬鹿でかい声で挨拶を返してくるので、傍に近づいていく。

 

「昨日提出したデータ、見て頂けました?」

「データ? 何のだ?」

「どっきどき密着取材の記事ですよ!」

「ああ、あれか。一通り見させてもらった」

 

 私は、記者人生初めてとなる朱鷺さんの取材──あの取材の記事を書かせて欲しいとタヌキに直談判した。

 素人に毛が生えてもいない私には手に余る仕事だけど、朱鷺さんの特集についてはどうしても私が自分で記事にしたいと強く思ったんだ。

 過去の特集とにらめっこしながら記事の内容や画面レイアウトを工夫したけど、それが認められるかとても不安。

 

「──結論としては、バツだ。写真のレイアウトは滅茶苦茶。日本語の使い方も間違っているし、てにをはもおかしい。このレベルの記事を客に出すわけにはいかん」

「……没ですか。すいませんでした」

 やっぱりか。所詮素人の私がどう足掻いてもダメだったんだろう。結局私はどこまで行ってもダメな女なんだ。

 

「……だが、特集したアイドルの魅力を伝えようとする強い思いは十分伝わってくる。この思いは小手先のテクニックでは絶対真似できん。客には出せんが、俺としては好きな記事だ」

「えっ?」

 思いもよらない言葉が出てきたのでびっくりする。

「原案を生かしつつ、写真レイアウトや記事内容を推敲すれば出せる記事になるだろう。俺が添削するから、もう一度考えて来い!」

「は、はい!」

 全部がダメじゃなかったんだ。技術は未熟でも一番伝えたかったことが伝わって本当に嬉しい!

 

「……それと、この前はすまんな」

「この前って?」

「お前の配属日のことだよ。前任が急に産休を取ったから、担当の振り分けやら引継ぎの雑務やらで苛立ってたんだ。やむなく一人で取材させるとしても、取材のやり方とかを教えてやるべきだった。無茶振りしちまってその……本当に悪かったな」

「い、いえ。私としても良い勉強になりましたので……」

 タヌキがそう言って少し頭を下げる。あれっ、こいつそんなに嫌な奴じゃないかも?

 

「希望してない雑誌に回されて腐る気持ちは分かるが、誰だって希望した編集部に直ぐ行ける訳じゃねぇんだ。だが、実力さえあればファッション誌に推薦することもできる。これからはビシバシ鍛えてやるから、今はここで踏ん張れ!」

「はい!」

 互いに笑顔で言葉を交わす。希望どおりではないけれど、この編集部もそんなに悪いところではない気がしてきた。それにアイドルの取材もこれはこれで面白そうだしね。

 

 よ~し! では頑張ってアイドル達のお尻を追っかけますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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