Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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主人公が割りと暴走気味ですので、ご注意下さい。


第三十八話: 服選び[下]

「二人に合う服か…難しくもあり、簡単そうでもあり。意表が突けそうな攻め方もあり…か。」

「大祐、そこまで悩まなくても良いのに…」

「駄目ですよ!リゲルさんとA-Zちゃんの美しさ、可愛らしさを最大まで生かすには、このファッションセンスの無い無能な頭を振り絞って悩まなければ!」

 

 自分で言ってて悲しくなるものだ。

 無能に等しい知恵を絞りに絞って、彼女達に似合う服を探す。

 認めるしかない、自分な無能さ加減。

 笑う位に酷い無能。

 無能としか言えない無能。

 ネガティブにも程があるよな。

 

「んー………よしっ!決まったぁ!」

「ちょっ…びっくりしたわ。」

「ますた、声が大きいです。」

「A-Zちゃんはこれとこれ…あとこれもかな。リゲルさんは此方一式を試着して頂いて、あぁ、髪飾りやネックレス等は僕が今買いに行ってきますので。」

 

 二人が着替えている間の時間が惜しい。

 ならばその隙に、二人の衣服に合った小物等を買ってくれば良いじゃないか。

 A-Zちゃんのは先程のお店で、リゲルさんには大人専用の小物を買う為、少しお店探し。

 そうと決まったら早速行動だ。

 

「あづみさん、きさらちゃん。ちょっくら行ってきますね。」

「うん、行ってらっしゃい。店員さんには伝えておくね。」

「だいすけ、きおつきて。」

「有り難う、二人共。」

 

 そう言って、俺は店を後にした。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ――って、先のお方では御座いませんか!」

「何度も来店してすみませんね。このお店に、赤いリボンや首に掛けるネックレス等はありますか?」

「値段の目安、これが良い等の指定は?」

「出来の良い、可愛らしいのであれば何でも。」

「分かりました。少々、お待ち下さい。」

 

 そう言い残し、店員さんはレジの奥へと消えていった。

 まさかの在庫から良品を探してくれるスタイル。

 客に気を使い過ぎなんじゃないか、あの人。

 此方側からすれば有り難い話ではあるが…。

 

 あ、このネックレス可愛――

 

 2万5800円

 

…くそたけぇな、おい。

 あの店員さんは凄く良い人なのに、売り物がぼったくりじゃないか。

 他の店員…特に店長の金銭感覚が狂っとる。

 誰がこんなの買っていくんだか。

 

 俺は愚痴を言いながらも、そのネックレスを手に取る。

 いざ目の前で見定めてみると、透明で丸い綺麗な玉の中に、それよりも小さくて丸い様々な色の玉が透かして見える。

 赤、青、黄、緑……何故か黒。

 紫に白まで。

 値段が高い謎が解けずに、数える分だけ疲れてくる。

 

 て言うか此処、小さい女の子向けの店にしては随分と割高で。

 大人…それも、儲けている一部の大人しか買えないぞ。

 良くて誕生日プレゼントか。

 普通に買うなんて成金にしか出来えない事だ。

 

「すみません。今、ご用意致しました。…何か気になる商品でも?」

「いや…こんな事を言うのも何ですけど。この店の商品って全般的に高くないですか?女の子向けと偽った高級小物を扱うお店では――」

「まぁ…本来は「小さい女の子にプレゼントをあげる」時に使われる店が正解なんですけどね。」

 

 そりゃそうだろう。

 

「しかし、店長からの指令ですので。取り敢えず店にお客様を呼ぶ為だとか。」

 

 クソってんのは店長だったか。

 もしかしたら別の店員もそうかもしれないが。

 

「大変ですね。上司に合わせるというのは。」

「あんな奴――じゃなくて…店長の話なんぞ楽しくありませんよ?ささ、ご用意した物をご覧下さい。」

 

 今、然り気無く「あんな奴」とか言ったよな。

 大人の事情があるのか、聞きたいとは思わない。

 苦労してるな、店員さんも。

 

「…ふむ、店員さん。」

「何で御座いましょう?」

「青い髪の毛で、赤い瞳の女の子に赤いリボンは似合いますかね?」

「あっ一緒にいた彼女さんですか。…そうですね、勿論赤も良いですが、シンプルに白もあり。髪の毛の色と合わせたいなら、青いのも考えられます。ですが、あの女の子の髪の毛は薄い水色。どちらかと言えば紺色も似合うかと。」

 

 成程、紺色があったか。

 確かにあづみさ――A-Zちゃんの髪の色は薄い水色。

 赤で派手に決めるよりも、大人しい感じの紺の方が良いかもしれない。

 A-Zちゃん、何時も静かだし。

 彼女に選んであげた服的にも、濃く、深い青が相性抜群。

 最早決まったも同然だな。

 

「もう一人の彼女さんには、プレゼントは済んだのですか?」

 

 いや、ちょっと待て。

 

「あの子は彼女じゃ無いですよ。何歳かも分からないんですから。」

「えっそうなんですか!?」

「はい。彼女が俺の事をどう思っていようが、彼女の事をあまり知れない間は何とも――」

「だいすけ、きぃ、きあい…?」

 

 店員さんと俺で話をしていると、直ぐ横から、まだ幼い可愛い声が聞こえてきた。

 俺はまさかと其方を向く。

 すると其処には、元の真っ黒い衣服のきさらちゃんが立っていた。

 

「きさらちゃん!?何で此処に…というか服は?」

「だいすけといっしぉにいたくて、ふくをぬぅでからならいいって。」

「そ、そっか。」

 

 服を脱いでからじゃないと、着衣したまま万引きになってしまうからな。

 恐らくあづみさんが注意してくれたのだろう。

 後で彼女にお礼を言わなくては。

 

「…そうだ、きさらちゃんって何歳なの?」

「きぃ、ななさい!」

「「まさかの!?」」

 

 びっくりした…。

 思わず店員さんとハモってしまった。

 きさらちゃんが7歳だなんて、思いもしない。

 そろそろ俺、犯罪者のレッテルを張られんじゃないのか?

 それだけは御免だぞ。

 

「きぃ、だいすけ…すき。だいすけは、きぃ、すき?」

 

 何を唐突に喋りだしたかと思いきや。

 きさらちゃんはもじもじしながら、俺に告白染みた言葉を投げ掛けてきた。

 地味に返答が困りものなんだが。

 

「…俺もきさらちゃんは好きだよ。さっ、買い物を直ぐに終わらせるから待ってて。そしたら違う店にも行くから、一緒に来る?」

「いくっ!」

 

 何だか好きの意味合いが違う気がするな…。

 しかしきさらちゃんは、両手を胸に、嬉しそうな笑顔で此方を見つめてくる。

 その可愛さに耐えられず彼女の頭を撫で撫でしてしまう。

 何時もの帽子を被っていないという事は、それも置いてきたのだろう。

 どちらにせよ可愛い事に変わりはない。

 きさらちゃんが大人になったらどんな美人さんになるのやら。

 

「なでなで…しき…」

 

 相も変わらず頭を撫でられるのが好きな様で。

 うっとりと、幸せそうな顔をしている。

 

 ならば今のうちに。

 

「店員さん、この紺色の蝶リボンとネックレス買います。」

「では、合わせて1万3000円になります。1万3000円、丁度から頂きます。」

「また用があれば、来るかもしれません。」

「えぇ、ですが…高い物を取り扱う店という認識は忘れずにいて貰えれば。」

「大丈夫ですよ。…さ、きさらちゃん、移動するよ。」

「…うぃ!」

 

 あまりに気持ち良かったのか、一瞬だけきさらちゃんの反応が遅れた。

 そんなに心地良いものなのか?俺のこれは。

 あづみさんからも好評価を頂いてるし…A-Zちゃんからは何も言われなかったけど。

 唯一、リゲルさんだけしてあげていないな。

 今日の夜にでも部屋にお邪魔して、やってみるか。

 手を頭に乗せた瞬間、鬼の形相で怒られるかもな。

 それはそれで面白そうだし、今日の夜、決行しよう。

 どうせ俺の部屋は無いし、理由はこれで良いだろう。

 

 事実、俺だけ部屋を用意されてない。

 お前は其処らで野宿しろって事なのかね…。

 ヴェスパローゼさんの、何と無慈悲な事か。

 彼女に関しては、無慈悲という言葉が一番似合わないけど。

 

 そんな事を思いながらも、リゲルさんの衣服に合う小物が売っている店を探す。

 途中、きさらちゃんの空腹が限界に達してしまった為、直ぐ近くのケーキ屋に入店。

 彼女の為に買ったショートケーキを、きさらちゃんはその場で美味しそうに食べた。

 

 きさらちゃんが食べ終わると、彼女の口付近にクリームが付いている事に気付く。

 きさらちゃんにそれを伝えると、取れと言わんばかりに顔を近付けてきた。

 ティッシュもハンカチも持っていない、ケーキを買った時に付いてくる筈の手拭きすら無い俺は、仕様が無く手で取る事に。

 

 人差し指でクリームを取り、きさらちゃんの口付近は綺麗になった。

 が、俺の手に付いたクリームをどうしようか迷っていると、彼女は俺の人差し指をパクり。

 俺は慌てて手を抜き、汚いし美味しくないから駄目と注意。

 しかし彼女は、嬉しそうに笑っていた。

 

 その笑顔を見て、俺も不意に笑顔になった。

 後にきさらちゃんが、ちゃんと自分でハンカチを持っていた事を暴露したのは、ケーキ屋を移動して直ぐの事だった。

 俺はそれを借りてきさらちゃんに食べられた人差し指を拭く。

 

 因みに買ったケーキの内容は、全員平等になるようにホールを二つ。

 味も別々に、フルーツ等が一杯乗った、下がタルト生地のケーキ…というかタルト。

 もう一つは至極悩んだが、片方がフルーツという事でチョコレートのケーキを選んだ。

 莓との選択肢で困ってしまった。

 

 だがしかし、一番無難とも言える。

 下手な物を買って、これ嫌いってなったら悲しくなるからな。

 

 ケーキをホールで買った理由は、単純明快。

 平等という理由もあるが、今から用事を済ませて帰って、更に食事を作るとなると夕食の時間になるであろう食事タイムの、デザートとして出す為だ。

 その分の出費は嵩んでしまったが、彼女達の笑顔が見れるなら安いもの。

 幸いにも外は肌寒い位だ。

 ケーキが悪くなる事は無いだろう。

 

 是非、ヴェスパローゼさんにも食べて頂きたい。

 俺に関しては、余ったら食べる程度。

 恐らくケーキを食べるまで、腹の空き容量が間に合わない。

 無理に詰め込めば、地獄を見る事になるだろう。

…ま、その場合は保存しておけば良いか。

 それの為にホールで買ったんだし。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

「あっ大祐くん、お帰りなさい。その袋は…?」

「ただいま、あづみさん。…これは帰ってからのお楽しみって事で。二人は?」

「丁度着替え終わったんじゃないかな。」

「そうですか。…あづみさん、きさらちゃんの事、有り難う御座いました。」

「全然気にしてないよ。きさらちゃんが行きたいってごねてたから。」

 

 きさらちゃんがごねる…可愛いな。

 彼女もまだ7歳、当たり前の様に甘えたいのだろう。

 その対象が間違ってる気もするが。

 

「あづ、わたしもいきたいっていてた!」

「あ、マジですか?」

「ちょっ…きさらちゃん。も〜…」

 

 なんて言いつつも、あづみさんは笑顔だ。

 そんな彼女と話しているきさらちゃんも楽しそう。

 二人が仲良くなってくれて、俺も嬉しい限りだ。

 後はリゲルさんだが…。

 

「ますた、後は何か付け足しますか?」

「えっとねー…って、A-Zちゃん、その服似合うね!」

「ますたが選んでくれた物です。誉めるなら、自分を誉めて下さい。」

 

 いやいや、俺としては選んだ服が似合うA-Zちゃんを誉めたい。

 こんなファッションセンスの欠片も無い俺が選んだ服を着こなしているんだ。

 誉めるべき対象はA-Zちゃんで間違いない。

 

「後はこのリボンを頭に付けて…」

「付けました。」

「髪を」

「結んでます。」

「首にこのネックレスを」

「完了しました。」

 

 早過ぎるだろ。

 俺が取り出した物を、喋りきる前に身に付ける早業を見せられた。

 しかも、俺が指定してすらいないポニーテールまで、完璧に熟している。

 何だ?A-Zちゃんには俺の心が覗けるのか?

 

「いえ、違います。私の髪型をポニーテールにしたいという煩悩が透け透けでしたので。」

「欲望の塊か、俺は。」

「紛れもない事実かと思われます。」

 

 おう!?

 真っ向から肯定された。

 流石、A-Zちゃんには敵わないねぇ。

 

 そんな彼女に選んであげた衣服。

 中に水色のセーターに、白い色の薄いパーカーを組合わせ。

 後ろの丈が長くて、前は短い水色のスカート。

 足には白いニーハイソックスを穿いて貰い、白と水色で仕上げる。

 

 最後に、透明な丸い水晶が付けられたネックレスを首に、紺色の蝶リボンを頭にセット。

 んで、完成。

 

「…A-Zちゃん。」

「なんでしょう?」

「今日の夜に君の部屋へ――」

「用があるなら来ても良いですが、無いなら遠慮願います。私にもしたい事があるので。」

 

…ぐぅ、今度は真っ向から拒否られた。

 意外にも精神にくるものだな。

 丸で俺自身を否定されたような気分だ。

 馬鹿な事を言った罰だな。

 

「…大祐くん、今日は私の部屋に来てくれるって――」

「先のは冗談です。今日は遠慮無く二人の部屋へ突入しますよ。」

「えへへ…あ、でも。」

「どうしました?」

 

 あづみさんが一瞬だけ止まる。

 

「…リゲルは今日だけ、隣の部屋。私だけだけど、大祐くんは…」

「んじゃ、今日はあづみさんとラブラブしちゃおっかなー。…なんて。」

「わ、私は…その…大歓迎、だよ?」

「あづみ様、ますた、此処は公共の場です。幸い人は居ませんが、そういうのは帰ってからにして下さい。」

「はいっすみませんでしたっ!」

 

 A-Zちゃんの一言にハッとした俺は、全力で謝罪する。

 一方であづみさんは、A-Zちゃんの声が届いていないのか、ずっともじもじと恥ずかしそうに顔を俯かせている。

 

…THA・乙女。

 乙女座のあづみさんならでは、かもしれない。

 乙女座の私には、センチメンタリズムな運命を感じられずには……げふんげふん。

 聞かなかった事にしてくれ。

 第一、俺は牡羊座だ。

 乙女座と牡羊座は…いや、何でも無い。

 

「んーと…で、リゲルさんは?」

「リゲル様はまだ着替えている途中――」

「だ、大祐。お帰りなさい………この服、に、似合うかしら?」

「〜〜〜!!!」

 

 り、リゲルさん!

 

「ものっ凄く可愛ええ!!」

「そ、そうかしら?大祐の選んでくれた服だから、貴方を満足させたくて…。」

「満足も何も、目の保養ですよ!心の癒しですよ!!あづみさんもきさらちゃんも、A-Zちゃんもリゲルさんも!」

「だ、大祐、声が大きい…。」

「抱きたい!」

「ふぇっ!?」

「ますた、程々にしないと撃ちますよ。」

 

 はしゃぎ過ぎたせいか、A-Zちゃんから忠告を受けてしまった。

 人差し指と親指を伸ばし、手をライフルの形にさせ俺の胸に突き立てる。

 

 流石に自分でも思った。

 抱きたいは無い、と。

 幸いにも店員さんすら近くに居なかった為、助かったと言えば助かった。

 何にって、社会的に。

 

 もうちょっと考えてから発言しよう。

 でなければ、今度こそ死んでしまう。

 というか嫌われてしまう。

 それだけは絶対に嫌――

 

「…抱きたいって何?」

「抱き締めたいって事じゃないかな?」

「きぃにして!」

「皆さん意味を分かってらっしゃらない様で…」

 

 うん、これはこれで良かったんじゃ無いのか?

 A-Zちゃん以外は誰も分かってないらしいけど。

 

 きさらちゃんはまだ7歳だから仕様が無いとして、あづみさんは14歳。

 あと少ししたらそういう事の意味を学んでも良いと思う。

 問題はリゲルさんだが………。

 彼女に関してはこのままだと好ましくない。

 何時か口車に乗せられて、騙される日が来るだろう。

 

 リゲルさんに限ってそれはない。

 

 という言葉の方が、余程妄言に近い。

 彼女にも抜けている部分はあるだろう。

 特に、性の事は。

 それは俺が…A-Zちゃんに後で教わって貰おう。

 さもなくば不安で不安で仕方がない。

 

「で、リゲルさん。この腕時計を付けて貰って。」

「えっと…此方がこの向きでこうだから…付けたわよ。」

「次に…いや、これだけで充分ですね。」

「これで完成で良いのかしら?」

「無理にごちゃごちゃ付けるよりは、リゲルさん自身の持つ美しさを最大限生かすのが最優先。それを邪魔しちゃいけませんからね。」

 

 リゲルさんの衣服も完成!

 彼女は何時も露出が高いので、今回は低露出に気を使った。

 それでもリゲルさんの美しさを邪魔しないようにと、悩んだ方ではある。

 

 シフトドレスと呼ばれる下半身からの丈が短く赤いワンピースにベルトをし、上に白いコートを羽織って貰って。

 足にはストッキング&ガーターベルトを履いて頂き。

 それだけでリゲルさんの衣服組み合わせは完成。

 後は邪魔にならないように腕時計のみ。

 他はいらないと感じ、何も付けなかった。

 

 因みにA-Zちゃんとリゲルさんの衣服は、とあるゲームから知識を借りて組み合わせた物。

 

 だったのだが…予想以上に似合う結果となった。

 個人的な欲求を満たす感じになってしまった。

 

‐‐‐

 




森山碧の軌跡

第八章:排除係

「先ずは奇襲でも掛けてみるか。」

蜂には幾つか種類があり、群を成す奴等と個々で動く奴等で別れている。

群を成す蜂で有名なのは蜜蜂か。
彼奴等は一匹一匹が弱い為に群で動いている。
他にも理由は色々とあるが、大体はそんな感じだろう。

後者…個々で動く蜂で有名なのは雀蜂やら足長蜂、蜂と言えば此方側の方が多い筈だ。
そりゃあ巣に帰れば、仲間は沢山いるし群れているしで蜜蜂と同じになるが。
普段は一匹という個々で行動している。

何時も群れている蜜蜂が珍しい方なんじゃないか。
雀蜂や足長蜂達も、自分の身が危ない時は仲間を呼んだりするが。
まぁ何とも身勝手な連中で。
此奴等が常に集団でいるよりはマシだが。

「取り敢えずー…殺すか!」

俺は大樹の手前にいた蜂に奇襲を掛ける。
右手には剣、左手には銃、どちらもリソースで創った武器だ。

先ずは剣で背後からグサッと一発差し込む。
剣は蜂の真ん中…丁度括れのある辺りを貫通し、蜂を真っ二つにした。

すると周りにいた蜂達が俺に気付き、攻撃を仕掛けてくる。
見た目はまんま雀蜂みたいな奴等が、十数匹の群を形成。
何匹かが突っ込んでき、後の蜂達は後ろから毒針を発射してくる。

「おーおー、ご丁寧に前後衛なんて作っちゃってさ。」

だが、その程度で通じると思うなよ。

突っ込んできた八匹程度の蜂達に、俺は右手に持つ剣一つで対処。
一匹、また一匹と襲い掛かってくる蜂の隙を見つけ、体を真っ二つ。
最早作業と呼んで良い行動をただ繰り返すだけ。

因みに剣の見た目は、緑色のビームみたいな剣。
粒子と呼んでも間違ってはいない。
それがただ、剣の形をしているだけ。
持ち手の部分すら無い。

しかし、この剣の長所は形状を変化させられる事。
別にずっと剣である意味は無いのだ。

「すっげぇな。がら空きにも程がある。」

そう言いながら前衛の蜂を全滅させ、後衛の蜂達に銃を放つ。
この銃は、見た目はファンタジー世界に普通にありそうな白っぽいハンドガン。
片手という事で、小さい方が扱い易い。
そのハンドガンから緑色のビームを放っているだけ。

…なのだが。

「えっ、今の当たんねぇの?俺の狙撃センス酷くね?」

蜂の動きが止まった瞬間を狙って撃ったんだが…ビームは明後日の方向に。
自分の壊滅的な狙撃センスに酷く萎える。

剣とビームの色が同じ事は気にしたら負けだ。

「けど…やっぱり俺はこれじゃないとな!!!」

自分に一番しっくりくる武器…武器?
いや、これは武器じゃない。
何故って、盾だから。
しかも自分の伸長位ありそうな大盾を、両手に。

「よっしゃあー!蜂共ぶち殺す!!」

殲滅の開始だ。

‐‐‐

「盾の攻撃方法?それを言ったらつまらないでしょ。後々の楽しみにとっておくものさ☆」
by森山碧

(追記・森山碧の武器や武器のエネルギーは、全てリソースから創られている。)

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