Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜 作:黒曜【蒼煌華】
凡そ15人程の、武装を施した男共が一斉に攻撃を仕掛けて来た。
即座にサバーニャからデスティニーへと換装し、後ろへブーストを吹かす。
その勢いで小屋の中へと戻り、全員に事情を説明。
するとほのめさんが、小屋の外に出てしまった。
「貴方は…!」
「蝶ヶ崎ほのめか。例のバトルドレスの研究はどうなった。何故一緒にいる。」
「それは…」
小屋の中からでも聞こえて来る話の内容に、疑問が生じる。
例のバトルドレスの研究?
何故一緒にいる?
この話の内容からして、男の対象に中る可能性があるのはバトルドレスであるA-Zちゃん、リゲルさん、俺に絞られた。
しかし、俺は先程処刑宣告をされてしまったが故、可能性としては無に等しい。
研究対象を殺すなんて馬鹿な真似、誰だってしないさ。
となるとA-Zちゃんかリゲルさんの二択。
どちらも可能性なら十分にあり得る。
青の世界の管理者「アドミニストレータ」の一人、「ベガ」が生みの親なのだから。
そうとなると、今回の俺の役目はあづみさん、リゲルさん、A-Zちゃんを安全な場所まで逃がす事だ。
どうやらほのめさんはあの男と知り合いらしいし、話し合えば何とかなるんじゃないのか?
俺は俺自身を守らなければならないのと、三人の安全を確保する事を優先しよう。
特に三人の安全が優先だ。
その為には、他の世界への浸入をしなければ。
最早何処の世界にも属していない俺達なら大丈夫な筈。
ほのめさんとびんがさんも、一緒に脱け出す事が出来れば良いが。
飽くまで自分達の逃げる事を一番にして。
…なーんて。
こんなに美しい女性二人を見殺しになんかしないさ。
表向きでは自分達の安全確保、裏では二人を含めた全員での脱出。
その事をあづみさん、リゲルさんに伝えると、二人は無言の頷きを返してくれた。
びんがさんにも聞こえていたのか、彼女自身決心をしたように見える。
A-Zちゃんは――
「了解です。ますたの指示に従う。」
いつの間にか起きていて、且つ話を聞いていたようなので良しとしよう。
そして、今はマイスターの案件は忘れよう。
アームドさんには悪いが再会した時に又、みたいな感じで。
そうと決まれば早速行動に移そう。
ほのめさんだけが話を聞いていない状況で、作戦開始だ。
直ぐ様外に赴き、ほのめさんをグイッと小屋の中へと引っ張る。
重心を崩したほのめさんはその勢いで後ろに倒れるが、びんがさんがナイスキャッチを見せてくれた。
「ちょっと!行き成り何をしますの――」
「処刑対象は此所だ!さっさと殺してみろ!」
自分の身を前に突き出し、敵の男共に挑発をかける。
こんな安易な策、見破られている事位は知っている。
だが、俺が囮になるしか無いのだ。
「神門、彼奴は俺に任せろ。内部に数人、まだ隠れているだろうからな。」
「あぁ、他の奴等はそちらを攻撃させよう。九条さえ処刑出来れば、後は構わん。」
やはり、あの男は黒崎神門だったか。
アレキサンダーのパートナーと言えば、こいつしかいないもんな。
策略家はどうやって攻めてくるのか見物だ。
俺が囮と分かっていて此方に来るか、処刑対象を放って置いて彼女達を攻撃しに行くか。
将又、両方一緒に攻撃するか。
どちらにせよ、此方の部が悪いのには変わらない。
打開策を用いらなければ、全員殺されて終了だ。
そうならない為に考えた策だが…上手く成功するかどうか。
確信が持てるまで策謀していたいが、生憎にもそんな時間は無いのだ。
即時に考えた策、これに頼るしか――
「神門からの指示だ。お前を地獄に落としてやるよ!」
「アレキサンダーか…!」
恐らく最大の戦力であろうアレキサンダーが、俺を目掛けて突撃を行う。
という事は、残り戦力は俺では無く彼女達の方か。
まさか俺に全戦力を持ってしてまで殺しに来るとは思わない。
そうなると、彼女達の為にも俺がヘイトを集めてあげねば。
アレキサンダーとの戦闘は避け、他の武装集団を相手にしよう。
それかもう、両方か。
「…俺が一人だと油断している様だが、残念だったな。」
「え…?」
「16対1だ。」
周りにいた武装集団が、又もや一斉に俺へと攻撃を仕掛けて来る。
しまった。完全に気を緩めていた。
俺一人なんかに全ての戦力を割くとは、敵も大胆な行動に出るものだ。
しかし、此方にヘイトが集まっているのであれば、後は全員に呼び掛けるだけ。
襲い掛かって来る集団の攻撃を回避し、大声を出す。
「皆さん!今です!」
俺の合図と共に小屋の一部が破壊され、その場所から5人が一斉に姿を現す。
あづみさんはリゲルさんにお姫様抱っこされ、ほのめさんはA-Zちゃんに抱き抱えられ、びんがさんは皆の後に続いて。
一瞬の間に彼女達なりの陣形が完成していた。
バトルドレスのリゲルさん、A-Zちゃんが一番素早い事を考慮し、非戦闘員であるあづみさん、ほのめさんを抱き抱え移動。
びんがさんは最低限の戦闘は行えるとして、一人行動。
全員、離れずにしっかりと移動開始をしている。
…流石だ。
何故小屋が燃えているのかは分からないが。
「…ふん。その程度、策とすら呼べない。全員に一斉展開を指示。」
「お前ら!神門のお呼びだしだ!」
回避は出来ている…が、攻撃は一切出来ていない俺と戦闘していたアレキサンダーが、唐突に大声を上げた。
それは卒然の出来事だった。
リゲルさんチームの方にも、多数の敵が出現。
あっという間に囲まれてしまう。
「包囲殲滅戦…開始。」
「皆!一気に突っ切って下さい!!」
「大祐はどうするの!」
距離的な問題があり、大声でしか伝え合う事が出来ない現状。
俺の考えを伝える事など、出来る筈が無い。
大声で作戦をばらしているような物だ。
それに、敵が更に隠れている事など俺にも分かっていた。
軍師、黒崎神門があの少数で攻め込んで来るなんて夢のまた夢。
あの男は、使える駒は最大限に利用する奴だ。
だが、リゲルさん達はあのまま進めば脱け出す事が可能となる。
幾ら数が多くても、速さに勝てなければ意味は成さない。
あのまま「振り返なければ」。
少なくとも、俺はこの場から脱出不可能だ。
ならば敵全員の注意を惹き付けて、完全なる囮役を演じよう。
それが本来の「俺作戦」だからな。
「全員、そのまま突っ切れ!」
「そんな…大祐くんは!?」
「A-Zちゃん!リゲルさん!皆を任せたよ!」
「…ますたの指示に従います。」
「…分かったわ。急ぎましょう!」
「こいつ…何をする気だ?」
リゲルさん達を追い始める武装集団の中心に斬り込み、注意を此方に向かせる。
即座にデスティニーからエクシアへ換装。
「『TRANS-AM』(トランザム)!」
特殊能力を解放し、素早い動きで殲滅を開始する。
『TRANS-AM』は制限時間が短めなせいで多大撃破は望めないが、目的は飽くまで時間稼ぎ。
リゲルさんチームが逃げ切れれば、それで良い。
今は兎に角攻撃を仕掛ける。
セブンソードを駆使し、敵の数を徐徐に減らしていく。
その勢いで、リゲルさんチームを追っていた敵集団の残り一人を斬り刻みに行こうとしたその時。
ガキンッ
斬り込みは確実に成功した。
しかし、俺の振ったGNソードは弾かれ、剣先が折れている。
『TRANS-AM』発動中の速度を見切り、尚且つGNソードを弾く事が出来る。
そんな奴はあまりいない。
…いない筈だった。
「…弱いな、お前。」
「くっ…!まだまだぁ!」
折れてしまったGNソードからGNビームサーベルに持ち替え、再度斬り込みを実行する。
「…邪魔くさいな。消えろよ!」
だが、それすらも余裕で受け止められる。
しかも片手で。
このままではまずいと、GNビームダガーを投擲して後ろに下がる。
投げたビームダガーすらも弾かれ、全ての武装を潰された感覚を味あわされる。
けど、エクシアが駄目ならサバーニャで…!
そう考え、換装しようとするが既に背後にアレキサンダーが構えていた。
情報演算処理能力で捉える事は出来ても槍の突き差しが回避するよりも速く、俺の左足を貫いた。
「ぐっ…!」
「女共を逃がせて満足か?残念だが、俺達はあっちに興味なくてな。最初からお前狙いで動いていたんだよ。」
「アレキサンダー、俺の獲物だからな。」
「分かってるから、喋るなアーサー。」
「…チッ」
男二人で会話している間に、槍に突き刺さった足を動かし引っこ抜く。
その際に激痛が走るが、今はそんな事を気にしている暇は――
「逃げんなよ!」
「……!」
横に振られる剣を、間一髪で躱す。
自分でも分かるが、明らかに反応速度が衰えている。
駄目だ。
早くここから脱け出さなければ、死んでしまう。
時間稼ぎはもう充分な筈だ。
どうやら最初から、俺は嵌められていたらしい。
彼女達を狙う振りをして俺のリソースを消費、隙を見つけて殺す策だったとは。
全然、気付きすらしなかった。
ならば俺がここに留まる理由は無い。
即刻脱出、リゲルさん達に合流して後は万々歳が理想的だ。
まぁ、そんな美味しい話がある訳ないよな。
脱出しただけでも奇跡のこの状況で、そんな妄想は止そう。
取り敢えず、何でまた俺の左足は餌食になるのかなぁ…。
もしかしたら、こればっかりはどうしようも無いのかもしれない。
天に見放されたのかね。
冗談も程々に、どうにかしてこの状況を打破しなければ…。
「全く…強者に逆らうからこうなる。弱者は弱者なりに、潰されれば良いものを。」
「…強者だの弱者だの」
「あ?」
俺はアーサーの言葉に、赤の世界の秩序に苛立ちを隠しきれなかった。
強者が為せば、全て解決する。
だから弱者は強者の言う事を聞いておけ。
そんな言い分が通って堪るか。
赤の世界の考えが間違っているとは思わない。
だが、それでは犠牲が生まれてしまう。
全てに於て等しく、平等に。
それが俺の望む世界だ。
唯の自分勝手な言い分だが、犠牲が生まれるよりはずっとマシだ。
強者、弱者と決めつけ、差別化してしまうよりよっぽど最善な手だと思う。
俺は、俺自身の意思で、この世界を変える。
「…強者など何処にもいない!この世界に存在する物全てが弱者なんだ!俺もお前達も弱者だ!!」
<経験値が一定を越えました。新しいバトルドレスを解放します。>
「ゼロ…俺を導いてくれ…!」
「あ?何だ?彼奴のバトルドレスが急に眩く――」
「逃れる事は出来ない…!」
エクシアと同等、それ位の速さでアーサーのゼロ距離に間合いを取る。
右手に構えるビームサーベルを前方へ突き出し、串刺しにしようとするが――
「効かねぇよ!」
敢えなく失敗。
アーサーの持つ剣に、又もや弾かれてしまった。
しかし、今度は左手に常備されている「ウイングシールド」で殴り掛かる。
ひらりと後ろにバックステップを踏まれ、これも命中無し。
そんな事をしている間に、又もや背後にアレキサンダーが槍を構え、突撃して来た。
だが、今回は余裕の回避。
横にブーストを少しだけ吹かし、アレキサンダーの槍を躱す。
その後、一瞬の隙に槍をサマーソルトで上へと蹴り飛ばす。
「何ッ…!?」
「俺にははっきり見える…俺の敵が!」
「アレキサンダー!」
救援に駆けつけようとしに来るアーサーに対し、ビームサーベル片手で対処。
上から落ちてきた槍をキャッチしたアレキサンダーが襲い掛かって来るが、もう一本のビームサーベルで受け止める。
その状態から両手のビームサーベルを離し、後ろへバック。
地面に足を踏み留まらせ、背中のウイングから「ツインバスターライフル」を2丁取り出す。
「…フォーメーションを寸断する。」
ツインバスターライフルを両手に構え自身の体を大の字ポーズにし、そこから照射系ビームを発射する。
太く強力なビームを水平に放ち、体如そのままぐるぐると回転。
恐ろしい位、広範囲なビーム攻撃「ローリングバスターライフル」が完成した。
「ぐっ…はっ…!」
「アーサー…脱落か。」
ローリングバスターライフルを正面に喰らったアーサーは力尽きた。
地面に倒れ、手からは刀が落ちる。
割りと早く脱落したな…とは言えない。
そりゃ威力も範囲も素晴らしいこの攻撃を、耐えられる物は錚錚(そうそう)いないからな。
予め距離を取っていたアレキサンダーには掠りもしなかったが、近距離戦はリスクが伴う事を見せしめる事が出来た。
後はアレキサンダーの反応次第だが――
「今だ、掛かれ。」
ふと、右方向の遠い場所から黒崎神門の声が聞こえて来た。
アーサー、アレキサンダーの戦闘ですっかり忘れていた。
先程何を喋ったのかは分からないが、十分な警戒をせねば。
先程の黒崎神門の合図と共に、横と背後から唐突に武装集団が現れた。
見た所、最初に襲い掛かって来た奴等が付近に隠れていたらしい。
全然、存在にすら気付けなかった。
しかし、その都度対処していけば良いもの。
アーサー&アレキサンダーよりは楽に終了させれるだろう。
そう思い、両手のツインバスターライフルで殲滅を開始。
案の定、苦戦などしなかった。
…だが。
「お前ら、よくぞ時間を稼いでくれた。足りない部分は気合いで補う!」
「…一体何を――」
「覇者激震槍(はじゃげきしんそう)!!」
何処からともなく現れた黒い馬に跨がり、槍を構えたアレキサンダーが突撃。
その移動速度は異常に速く、気付けばいつの間にか攻撃を喰らっていた。
「がっ…!」
バキバキッという音と共に、バトルドレス如右の肺を貫いた。
刺さった槍を思いっきり上に振られ、そのまま空に打ち上げられる。
空中でギリギリ体勢を立て直し、スラスターを起動。
下では槍を上に向けていたアレキサンダーが待ち構えていた。
あのまま行けば、落下の勢いで槍に突き刺さっていたのだろう。
何とも恐ろしい。
「…かひゅー…かひゅー…」
右の肺を潰された事により呼吸をする度、変な息切れ状態に陥る。
辛い、苦しい、そんな感情が俺の心を支配した。
…それと同時に、早く勝たなければとも感じた。
兎に角、勝ってしまえば此方の物。
最初から勝利に一筋でいれば良かったのだ。
勝つ事が全て、勝てれば何の問題も無い。
…勝利すれば、守りたい物も守れる。
その感情が心を支配した時、俺は勝利に貪欲となった。
[限界経験値を突破。特殊能力『ゼロシステム』を解放します。]
空中でバックし、アレキサンダーとの距離を離す。
アレキサンダーが視界に入る程度に。
そして俺は、禁断のシステムに触れてしまった。
「…コードゼロ、『ゼロシステム』発動!」
そのシステムを発動した瞬間俺の脳内に、どうやれば勝てるか、という未来が見えた。
システムの言う通りにすれば、勝ちに繋がると。
俺は心の中でこう思った。
(勝てさえすれば良い)
その感情を読み取ったのか、『ゼロシステム』は俺の体を支配した。
全てはシステム通りに。
最早それしか頭に浮かばなかった。
「…任務了解。これよりアレキサンダーの排除に移る。」
俺の心が完璧に『ゼロシステム』に呑まれたその時、自身の体の周りに球体の様な何かが表れる。
その球体には、4本の赤いラインが描かれていた。
「何だ?新しい機能でもあんのか?」
俺は、空中からアレキサンダーのいる地上まで一直線に進む。
この時の速度は、アレキサンダーの覇者激震槍を優に超していた。
本来ならこの速度、本人もバトルドレスも耐えられない速さ。
だが、『ゼロシステム』はそれを可能とさせる。
どんな状況下に置かれても性能を一切衰えさせず、寧ろ向上させる。
素晴らしい能力ではあるが、唯一の欠陥点がある。
抑、『ゼロシステム』の正式名称は「『Z』oning and 『E』motional 『R』ange 『O』mitted 『System』」。
これを直訳すると「領域化及び情動域欠落化装置」という風になる。
ではこれは一体何なのか。
分析や予測した状況の推移に応じた対処法の選択、結末を搭乗者の脳に直接伝達するシステムで、端的に言うと勝利するために取るべき行動をあらかじめ装着者に見せる機構。
要するに、勝つためにはどうすれば良いかを教えてくれる能力だ。
――が。
「速いな。しかし、反応仕切れない程ではない。」
アレキサンダーはそう言うと、自身の槍を俺に向かって突き立てた。
それに対して俺は、自身の片腕をその槍に捧げる。
一寸の迷いもなく、自ら左腕を槍に突き刺した。
「なっ…!?こいつ狂ったのか!?」
「目標を排除する。」
左腕を犠牲にし、得られた物。
それは一瞬の隙だ。
『ゼロシステム』の最大の欠陥は、勝つ為ならば装着者、味方問わず死に追いやる事だ。
更に、装着者はそれに抗えずシステムの言いなりになる。
自らの死を持って、相手の死を招く。
一瞬の隙を晒したアレキサンダーに、落ちているビームサーベルを拾って、攻撃を仕掛ける。
アレキサンダーは槍を使って自身を守ろうとするが、生憎にも槍は俺の左腕に深く突き刺さったまま。
抜く事は出来ない。
考えを直したアレキサンダーは、ビームサーベルを後ろに避ける。
俺は直ぐにビームサーベルを相手目掛けて投擲。
「ぐぅ…!体が動かん…!」
そのビームサーベルはアレキサンダーの腹部に直撃した。
「アレキサンダー!下がれ!でなければ殺られるぞ!」
黒崎神門の大声が周りに響き渡る。
だが、俺はそんなのはお構い無しに最後の仕上げに取り掛かる。
直撃したビームサーベルには麻痺効果が付与されており、アレキサンダーの体は身動きが取れずにいた。
それに対して、デカイ一撃を喰らわせる。
落ちているもう一本のビームサーベルで攻撃する訳で無ければ、ツインバスターライフルでも無い。
俺はアレキサンダーのゼロ距離に移動。
する事など一択だ。
「アレキサンダー!」
「任務…完了。」
「こいつ…まさか…!?」
心の中で一つの行為の名称を称える。
(自爆)
その瞬間、赤の世界で大々的な事件が二日立て続けに起こった。
‐‐‐
新バトルドレスの各機能
ウイングゼロ
・外見
全体的に白で色付いているが、上半身の胸部付近は青、肩付近は赤と、所々に様々なカラーで色付けされている。
大きさはそれ程無くエクシアと同等、或いは少し大きい位。
2枚の開閉式カバーを持つ背面2基のウイングスラスターを始め、全身各所に多数の加減速・姿勢制御用スラスターを配置。
運用性はどのバトルドレスの中でもトップクラス。
・武装
・ツインバスターライフル
2挺のライフルを平行連結した2連装型バスターライフル。
その威力は最大出力で、辺り一面を灰と化すほどの威力がある。
また、2挺に分割して別方向へ同時射撃を行ったり、出力を調節して連射性能を高めることもできる。
・ビームサーベル
接近戦用の斬撃武装。
柄の形状や大きさは一般の量産機が装備すると差はないが、ウイングが装備するビーム兵器は特殊な合金の採用によってビーム発生装置の耐久性が大幅に向上している。
・マシンキャノン
両肩に内蔵された4銃身式機関砲。
発砲時は肩口の装甲が展開し銃身が露出する。
基本的に牽制や近接防御が主用途。
ゼロシステムが作動している場合は、パイロットの思考のみで操作することもできる。
・ウイングシールド
対ビームコーティングが施された特殊な合金製の盾。
空力を考慮した流線型のフォルムを持つ。
先端部は伸縮構造となっており、敵への打突攻撃に対しての守りとして機能する。
また左右両端に銃口が付いている。
・特殊能力
『ゼロシステム(Zoning and Emotional Range Omitted System)』
装着者にどうすれば勝利出来るかを見せるシステム。
急加速・急旋回時の衝撃や加重などの刺激情報の伝達を緩和、あるいは欺瞞し、通常は活動できない環境下での制御を可能とする。
しかし、この機能は同時にある致命的な欠陥も存在する。
抑、『ゼロシステム』が提示する戦術とは基本的に単機での勝利を目的としたものであり、目的達成のためであればたとえ装着者の意思や倫理に反する行為も平然と選択する。
状況によっては装着者自身の死や自身の自爆、友軍の犠牲もいとわない攻撃など、非人間的な選択が強要されることもある。
一度呑み込まれてしまえば、後には引けない。
目標達成まで、システムの言いなりになってしまう。
その時の記憶は『ゼロシステム』解除時には既に消えている。