Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜   作:黒曜【蒼煌華】

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第十四話: 二つの本音

 暗い意識に包まれた中、ふと目が覚める。

 目に映るのは、二人の美人さんが寄り添って寝ている位。

 少し視線を下げると、そこにも二人の美人さんが。

 そして更に右を向くと、ちょっと遠い所に可愛らしい少女がいる。

 

 男一人の空間に耐えられなかったのもあり、自分の膝の上で寝ている少女と女性の頭を下ろして外へ出る。

 相も変わらず扉はぶち壊れたままだ。

 

 いざ外へ出てみると、今日は生憎にも雨。

 処理に悩んで放置していた肉塊は何処かへ消え去っていた。

 

 小屋の中に雨が浸入してこないように、扉を何とかしなければ。

 

 一旦小屋の中へと戻り案が浮かぶまで、立ち尽くす。

 何か良い手が無いものか…。

 

「あ、そうだ。」

 

 一つの妙案を思い付いた俺は、直ぐに行動へ移す。

 バトルドレス[サバーニャ]を装着し、シールドビットを展開。

 扉部分に5基並べ、扉替わりの完成。

 

 何だか妙案とも違う気がするが、まぁ良いか。

 流石シールドビットクオリティ。

 

「…なるほど。味方を守るだけでなく、こんな使い道まであるんですの?」

 

 と、急に隣から女性の声が聞こえてきた。

 そちらに目を向けると、昨日の夜に片方の女性と言い争いをしていた、もう片方の女性が目を覚ましていた。

 

名前はまだ分からない。

 

「本来はこんな事に使う武装じゃないんですけどね。…あ、昨日から申し遅れました。九条大祐と言います。」

「親切にどうもですの。私は蝶ヶ崎ほのめ。研究家ですの。」

 

 ほのめさんって言うのか。

 確かに昨日の夜、もう片方の女性が「ほのめ、ほのめ」言ってたような。

 

 というかほのめさんも随分と綺麗なお方だな。

 

 赤い髪の色に透き通った赤い瞳。

 モノクルと言う、片目だけの眼鏡を右目に掛け、白い帽子らしき物を被っている。

 

 衣服は、如何にも「チャイナ服だろ」と突っ込みたくなる見た目をしており、全体的にオレンジで色付いている。

 その衣服の上には、白いコートを羽織っている。

 しかし、その白いコートはサイズがアレなのか仕様なのか、ほのめさんの両手が出ていない。

 凄く袖の長いコートなのか…。

 

 だがしかし、俺の注目した点はそこでは無い。

 彼女の足全体を見てみると…なんとニーソな訳ですよ。

 チャイナ服に黒いニーソとか…エロ過ぎ――

 

 はい!何でも御座いません!!

 

…と、外見はやはり美人ですね。

 それに彼女は、どうやら語尾に「ですの」と付ける「ですの口調」らしい。

 俺が好きなのはですわ口調だけど…まぁ、あまり関係無いよな。

 

「あ、因みに僕は15歳です。」

「じゅう…!?そのわりには戦闘で凄い動きをしますのね。私は18歳ですの。」

「……ほのめさん、貴女何故、僕が戦闘していたの知っているんですか?」

「………」

 

 そう質問を投げ掛けると、彼女は黙り込んでしまった。

 どうやら、口を滑らせてしまったらしい。

 

…って事は、少なくともほのめさんはあの場に居たか、見ていたか。

 そのどちらかだ。

 でなければ辻褄が合わない。

 

 しかしながら、そうなるとほのめさんは一体何故、彼処に居たのか。

 それ自体は彼女に聞いた方が早そうだ。

 とてつもなく目の前で動揺しているが。

 

「…と、通りすがりに見てしまったんですの。」

「昨日のその事件があった後、更に通りすがりで鉢合わせしますかね?」

「うぐっ……それは…きっと運命ですの!大祐くんと私は運命の赤い糸で結ばれて――」

「大祐と貴女が、どうかしたのかしら?」

 

 嘘を吐くならもうちょっとマシな嘘は無かったのかと。

 そんな思いでほのめさんの話を聞いていると、後ろから聞き慣れた女性の声が耳に入ってきた。

 何だか何時もと違う感じの声が。

 

 だってこれは、明らかに怒ってる声のトーンだ。

 何故怒っているのか、理由は見当もつかないが。

 ほのめさんの発言に怒っているのか、俺が何かしたか。

 あり得るのは前者で間違いないだろう。

 

 事実、俺はリゲルさんが怒る様な事はしていない。

 強いて言うなら扉替わりのシールドビットの配置が気に食わないみたいな。

 

…ただ、リゲルさんはそれ位でプッツンするお方じゃないしなぁ。

 どう考えても前者でしか無い。

 

 じゃあ、何故前者なのか。

 リゲルさんの気に触る事を、ほのめさんが何か言ったか?

 言っていないに決まっている。

 

 あれ?じゃあ何でリゲルさんは怒っているんだ?

 また振り出しから考え直さねば。

 えーと、前者と後者、どちらが可能性が高いのか――

 

「大祐くんと私は運命の赤い糸で結ばれていますの!だから偶然で会ってしまいましたの!」

「ほのめ、その冗談は幾ら何でもキツいし。」

「そうね。貴女と大祐が赤い糸の可能性は無いわ。」

「…随分な言われようですの。この場を乗り越える為にびんがも協力して欲しいですの…。」

 

 ほのめさんが何やらぶつぶつ喋っている。

 独り言なのだろうが、可哀想に見えてきた。

 フォローして上げないと男として駄目な気がする。

 

「まぁ、まぁ二人共。ほのめさんが必死に嘘を吐いているのは分かっているんですから。そんなに責めないであげて下さい。」

「…嘘なら別に構わないわ。」

「ほのめは考えてから発言するし。だから何時も会議で詰まるし。」

「…びんがも中々キツいですの。」

「ほんとの事だし。」

「うっ…。」

 

 何故かもっと酷くなってしまった。

 リゲルさんは大人しくなってくれたが、ほのめさんから「びんが」と呼ばれている女性は更にキツい口調になっている。

 やっぱり仲悪いのかな…。

 

 何時も仲睦まじく喋っているあづみさんとリゲルさんとは段違いだ。

 まるで光と闇みたいな。

 

 それでも折れないほのめさんはある意味凄いな。

 メンタルは堅いのだろう。

 メンタルは、だけど。

 

「…全く、私達はもうおいとましますの。ほら、びんがも早くするですの。」

「少しはゆっくりしたいし。ほのめはもうちょっとマイペースの方が良いし。」

「誰ですの?私に「さっさと研究しろ」と言ったのは?」

「ほのめ…それは口外禁止だし…!」

「――はっ!そうでしたの…!」

 

 又もや静かにぶつぶつ喋っている。

 しかも、今度は二人一緒に話し合っているよ。

 詳しい内容までは聞き取れなかったが、研究だの口外禁止だの聞き捨てならない言葉が耳に入ってきた。

 

 この二人、本当に何をしている人達なのだろう。

 それを本人から聞く事は先ず無理だろうしなぁ。

 

 取り敢えず知りたいのは、この二人が敵なのか味方なのか。

 恐らく敵の可能性は低いが、一応警戒範疇内には入れておこう。

 後ろから暗躍されて、いつの間にか殺されていたなんて事の無いように。

 

「…そう言えば、貴女達はパートナー同士なの?随分と仲が悪そうに見えるけど。」

「なっ!私とびんがは仲良しの中でも更に仲良しのパートナーですの!誰がどう見たって仲良しですの!」

「…ほのめ、そこまでアピールしなくて良いし。」

「流石びんがですの。ツンツンしていても私を好きでいてくれて…最高のツンデレですの!」

「だーかーら、ツンデレじゃ無ければそんなアピールしなくて良いし!…ほのめは何時もこんな調子だし。」

 

 これ、本当に仲良いって言うの?

 ほのめさんが一方的に好きなだけじゃ…。

 

 というか、パートナー同士だったのであれば、もうちょっと仲良くても良いと勝手ながら思う。

 あづみさんとリゲルさんの様に。

 

「…ま、それは良いとして、私達は帰りますの。びんが行きますの。」

「分かってるし。」

「シールドビット、回収。」

 

 一時的にだが、二人が外に出る時だけシールドビットを解除。

 扉から自分の腰に5基、回収完了。

 後は二人が外に出るだけ――

 

「誰ですの!こんなに雨を降らしているのは!」

「ほのめ、それは誰のせいでも無いし。」

 

 ほのめさんのアレはボケなのか真意なのか良く分からない。

 研究家でこの調子なのって、大丈夫か?

 

…まぁ、いざとなれば意外に頼れるほのめさん、みたいな可能性も無きにしもあらず。

 ここで重要なのは、無きにしもあらずという部分。

 無い訳ではないが、ある可能性は限りなく低いという事だ。

 

 ほのめさん、何か世知辛いですね。

 

「取り敢えずは雨が止むまでここに居ればどうです?此方から聞きたい事もありますし。」

「…分かりましたの。もう少しだけ此所に居座らせて貰いますの。」

「私寝るし。」

 

 びんがと呼ばれる女性は、速攻で元の位置に戻り、速攻で眠りに就いた。

 ほのめさんは地味に呆れ顔をしている。

 パートナーと言いつつも、お互いに苦労し合っているんだな。

 そこをどうカバーして上げられるかが、パートナーの見せ所だが。

 一人で腕を組み、パートナーとは何かを考えていると、ほのめさんが目の前に歩いて来た。

 何をどうすれば良いのか分からず、反応に困った俺は回収したシールドビットを扉に張り直す。

 地味なリソース消費だ。

 

 リゲルさんは何をしているのかと言うと、未だ寝ているあづみさんの傍に寝転んでいる。

 とても優しい笑顔で、あづみさんの事を見つめて。

 

 その光景に目を奪われていた俺の肩を、ほのめさんが控えめに叩いて来る。

 はっと我に返り、彼女の方へ向き直ってみると。

 ほのめさんは、至極真面目な表情をしていた。

 

「…逆に此方からちょっとお話がありますの。耳を貸して貰える事は出来ますこと?」

「えぇ。大丈夫ですよ。」

 

 急な態度の変貌に驚きを隠せない。

 動揺しているのが態度に出ていないか自分で焦ってしまう。

 

 だが、ほのめさんそんな俺に目もくれず顔を近付ける。

 それに対して自身の顔を横に向け、耳を突き出す。

 その際に少しドキドキしてしまう自分がいた。

 やはり、美人さんが近くに寄って来るのには慣れない。

 対応は出来るが、女性に対しての耐性はあまり無いのだ。

 

…昨日の夜は欲望が爆発してしまい、大胆な行動に出てしまったが。

 思い出して今更恥ずかしくなっていると、ほのめさんが静かな声で喋り掛けて来た。

 

「…実は私、赤の世界を脱け出したいのですの。」

「随分唐突ですね…それは何故ゆえ?」

「赤の世界は強者が上に立ち、弱者は駒扱い。私達はどちらかと言えば弱者扱いですの。」

「Z/Xのデバイスを所持している時点で、珍しい存在ではないのですか?」

「赤の世界にはそれが通用しませんの。強者が絶対で出来上がってしまっている為に。」

 

 ほのめさんは苦痛の音を上げた。

 確かにどう見ても、ほのめさんもびんがと呼ばれる女性も戦闘には向いていなさそうな…。

 

 戦闘では主に、支援に回りそうなイメージの見た目でもあるし。

 武器とかを一切持っていない点からして、直ぐに察する。

 要するに、彼女達は今まで駒として扱われ、それが嫌で赤の世界を脱け出したいと。

 

「…理由は分かりました。ですが、何故僕にそれを?」

 

 飽くまでほのめさん達は赤の世界のZ/X使い。

 それに対して此方は、あづみさんとリゲルさん、青のZ/X使いとそのパートナー。

 それに加えて、二人の裏切りに加担したバトルドレス扱いの俺。

 元はベガの配下であったが今は記憶のデータが飛んでしまい、此方の味方になっているA-Zちゃん。

 

 一応は敵対世界の仲である。

 

 正直、あづみさん、リゲルさん、俺、A-Zちゃんは何処の世界にも属していないが。

 だからといってほのめさん達と敵対していないという話ではない。

 彼女達が赤の世界を捨てるなら話は別だが。

 

「貴方にこの事を話したのは、私の我が儘を聞いて欲しくて喋りましたの。」

「我が儘…ですか?」

「貴方の…貴方達の仲間に入れて欲しいですの。」

「…!?」

 

 かなり予想が外れてしまった。

 てっきり、話をされた瞬間に敵がこの小屋を包囲して俺達を殺すのかと…。

 

 そんな馬鹿な話がある訳無いか。

 素晴らしい妄言だな。

 

…しかし、だ。

 彼女達二人が仲間に入るのは一向に構わない。

 だが、彼女達が赤の世界を捨てなければこの話は無しになる。

 後々これを利用され、厄介事に巻き込まれるのは勘弁願いたい。

 それを避けるべくしての此方からの最低条件だ。

 仲間に入るのは構わない。しかし赤の世界を捨てればな、みたいな。

 それに、ほのめさんの急な態度の変貌も気になる。

 

…何か俺、最低な人間みたいになってないか?

 気のせいか。

 

「勿論、赤の世界とは縁は真っ二つですの。口約束で申し訳無いですの。」

「いえ、口約束でもその事実を聞けただけOKです。…ちょいとリゲルさんにも話して来ますね。」

「お願いしますの。」

 

 クルッと後ろを振り返り、のほほんとしているリゲルさんの元へ向かう。

 

「…どうかしたの?」

「いえ、少しお話が。…媚薬の効力は無くなりましたか?」

「えぇ。完全に消え失せたわ。…昨日は、ありがとね。」

 

 頬を赤く染め、リゲルさんは遠慮ぎみな笑顔を向けてくれた。

 自分はもう大丈夫という意志が見える。

 彼女が又、困るような事があれば助けて上げなければな。

 

 

 

 

 

‐‐‐

 

 

 

 

 

「…悩み所ね。人数が増えると目を付けられ易くなってしまうし。」

「ですよね。…只、彼女達も大変でしょうし。」

「大祐はお人好しね。マイスターを見つけていたのであれば別に良いのだけれど…。」

 

 マイスター?

 マイスター…マイスター…マイスター。

 

あ!!!

 

 アームドさんの事をすっかり忘れていた。

 

 あづみさんのリソース症候群を半永久的に抑える為にマイスターを探しに→マイスターがいる赤の世界に来たのに…何をしているんだ!俺は!

 

「…リゲルさん。実はマイスターはもう見つかりました。昨日の内に。」

「本当に!?じゃあ、早速行きましょう!」

 

 ほのめさんの話をすっ飛ばして急に上機嫌となるリゲルさん。

 物凄くキラキラしている。

 あづみさん…まだ眠っているんですけど。

 勿論、A-Zちゃんも。

 

 二人が起きてから行動に移すとしよう。

 あづみさんが起きなければ意味が無いからな。

 

「リゲルさんは、ほのめさんの同行を許可してくれますか?」

「…大祐に任せるわ。貴方が必要とするなら良いわよ。」

「有り難う御座います!」

 

 器の大きいリゲルさんからの許可を頂き、ほのめさんに伝える。

 すると彼女の顔から喜びが綻んだ。

 一件落着、そんな感じがする。

 

 ほのめさんの事案は解決したとして、今度こそはあづみさんの問題だ。

 これを解決しない限り、俺の中でのもやが無くならない。

 それは恐らく、リゲルさんも同じ事だろう。

 先ず最初にこなす問題は決まった。

 元からだが。

 

 兎に角、あづみさんが起きてから考えよう。

 それまではこの可愛い寝顔に見惚れていよう。

 

「…相変わらず、あづみさんの可愛さは不思議だな。」

 

 寝ているあづみさんの隣に寝転び、彼女の頭を撫でる。

 あづみさんを挟んだ隣にいるリゲルさんは、彼女の腹部を優しくポンポンとしていた。

 とても幸せそうな彼女の笑顔に、心が満たされていく。

 

…こうしていると、丸で夫婦――何でも御座いません。

 

「私はびんがの隣で休みますの。何かあれば呼んで貰って構いませんの。」

「りょーかいです。」

 

 ほのめさんはびんがさんの隣に移動し、壁に寄り掛かって目を瞑り始めた。

 彼女も、まだ眠たいらしい。

 ゆっくりとしたお休みを。

 

…ふと、A-Zちゃんは起きたのか確かめるが、まだ起きていない。

 一回の戦闘での疲労の溜まり方が凄まじいのか。

 彼女は彼女なりに大変なんだな。

…俺のせいでな。

 

 意味は無いが、後で謝ろう。

  頭に?マークを浮かべられて終わりそうだが。

 

「ふぁ…ん〜…」

「あ、お早う御座います、あづみさん。」

「お早う、あづみ。体調は大丈夫?」

「大祐くんに、リゲル…おはよ。リゲルの方こそ大丈夫なの…?」

「私はもう大丈夫よ。完全に回復したから。」

「良かった…。」

 

 目を瞑り、ほっと胸を撫で下ろすあづみさん。

 にっこり笑顔をリゲルさんに向け、彼女を安心させようとしていた。

 その気持ちに答える様に、リゲルさんも笑顔を返す。

 この二人の笑顔が、俺の一番の癒しだ。

 

 そして何時も想う。

 この二人の笑顔を奪おうとする奴等は、例え誰であろうと絶命させると。

 

 その想いが表情に出てしまったのか、あづみさんが此方を見つめていた。

 慌てて作り笑いを見せる。

 

…だが、所詮は作った笑顔。

 ここまで一緒にいた二人には、完全に見抜かれていた。

 

「…あまり思い詰めない方が良いわよ。大祐は責任を感じやすいから。」

「リゲルの言う通り。…大祐くんが無理をするのは、嫌だよ…。」

「あづみさん、リゲルさん…。」

 

 二人から注意を言い渡されてしまった。

 しかし、これは俺の心配を想ってくれての事。

 二人の気持ちは有り難く頂戴しよう。

 

 俺は二人が心配、二人は俺が心配。

 相思相愛とは違うが、似たような物か。

 

 というか、あづみさんもリゲルさんも、俺を想ってくれていた事に驚きだ。

 嬉し過ぎて涙が…出ないけどね。

 溢れそうにはなったけど。

 

「俺は二人が望む事をするだけです。何なりと申し付けを。」

「…じゃあ、私が大祐くんが好きって言ったら、どうなるのかな…」

「「え?」」

「…あ。」

 

 あづみさんの言葉に、俺とリゲルさんは固まった。

 いや…俺の聞き間違いで無ければ、今あづみさんが俺の事を――

 

バキッ

 

――と、あづみさんの衝撃発言の後に、更に衝撃的な事が起こった。

 唐突なる小屋の破損だ。

 

 慌ててシールドビットを回収、あづみさん、ほのめさん、寝ているA-Zちゃんにと広範囲に展開する。

 リゲルさん、びんがさんは他の三人と違い戦闘が行える事を考慮し、わざとシールドビットを張らない選択肢を選んだ。

 

「わわっ何事ですの!」

「私…まだ眠いし…」

「あづみ、大丈夫?」

「うん…大祐くんのお蔭で大丈夫だよ。」

「…少し外に出てきます。即急に戦闘の準備を。」

「ZZZ」

 

 ほのめさんとびんがさんには、皆集団でいるようにと指示。

 寝ているA-Zちゃんをリゲルさんに任せ、扉の無い小屋から身を現す。

 

――すると其処には、昨日見た事のある奴と恐らくそのパートナー、に加え多人数の武装集団が待ち構えていた。

 

 俺の姿を目視したその男性は、面と向かって殺害宣言を言い渡して来た。

 

「バトルドレス、九条大祐。これからお前を処刑する。」

「…はい?」

 

 その男の言葉が合図となり、周りにいた武装集団共が一斉に仕掛けて来る。

 

――俺、何か悪い事したかな?

 

‐‐‐

 


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