Z/Xの世界に転移 〜この世界で幸せを見つける〜 作:黒曜【蒼煌華】
内容すっかすかですが、許して貰えると…。
分からない点、間違っている点があったら何なりと申し付けて下さい。
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各務原あづみ視点
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…遅い。
マイスターを探しに行った大祐くんの帰りが遅過ぎる。
もう三時間以上は姿を見ていない。
本来は私達三人も一緒に行動する筈だったのに。
しかも、赤の世界に来た理由は私にあるのに。
大祐くんに任せっきりで何でこんなに呑気でいられるのかな。
自分自身で疑問に思ってしまう。
今すぐにでも彼の元に走って行きたいのは山々だけど、下手に動いてすれ違うのは嫌だし…。
周りにいる人にばっかり迷惑をかける自分が、あんまりだと感じてしまう。
「…大祐、遅いわね。」
しかし、そう思っていたのは私だけではなかった。
パートナーZ/X[リゲル]も同じ気持ちでいる。
明らかに態度に出ていた。
ずっと立ちながらリゲルも焦っている。
A-Zさんは相変わらず無表情。
見た目は私とそっくりそのままだから、私も無表情になるとこうなるのかな?
大祐くんはどっちが好きな――
…違っ、じゃなくて!
うぅ〜…またこんな事を考えちゃったよ。
無意識の内に彼の事を頭の中で考えて、想ってしまう自分がいる。
私の中の大祐くんは優しいお兄さんじゃなかったのかな…。
――もしかして私、大祐くんが――
「…もう!何で通信にも出ないの!」
「私からもやってますが、ますた、一向に応答無しです。」
「大祐の為に赤の世界へ来た訳じゃないのに…!」
リゲルが地味に怒ってる。
気付けば、いつの間にか夕方を過ぎていた。
こんな時間になったのはしょうがないけど元々の話、赤の世界にはお昼頃に着いて、マイスターさんを探して、大祐くんが三時間位居なくなって。
別に大祐くんが悪い訳じゃない。
リゲルは何時も私を一番優先してくれていただけあって、こういう状況に苛立っているのだろう。
…はぁ、リゲルには助けられてばっかり。
迷惑も掛けてばかり。
ここは自分でどうにかしなきゃ!
「リゲル、私が大祐くんを探して――」
「待ってあづみ。…赤のZ/Xのリソース反応確認。A-Z、正確な敵の数は?」
「ブレイバーが11人、だけです。」
「え…?」
リゲルとA-Zさんの会話を聞いて、周りを見渡す。
自分ではZ/Xのリソース反応を確かめる事は出来ない。
今の会話は恐らく、私達を狙っている敵の数の状況把握。
周りには誰もいない。
…けど、誰もいないのは逆に可笑しい話。
さっきまでは赤のZ/X…というかブレイバーさん達で一杯だったのだから。
急にいなくなるなんて怪し過ぎる。
「11人…多人数ね。あづみは下がって。」
「う、うん。」
「リゲル様、ますたからの命令を優先します。…よって、貴女方二人を守ります。」
「宜しくお願いするわ。2対11はきついけど、あづみを守る為!」
凄いなぁ…。
二人共、戦闘になるとまるで軍人さんみたい。
…軍人さんとは違うかな?
取り敢えず、リゲルの指示通り後ろに隠れよう。
二人が見える物陰にいれば安心かな。
大丈夫だと良いな…。
「パーミッション。先手を仕掛けるわよ!」
「了解しました。」
「リゲル、A-Zさん、あまり無理はしないでね。」
「「勿論!(です)」」
…そう言えば、A-Zさんって記憶が飛んだって…。
戦っても大丈夫なのかな。
――兎に角今は、二人共頑張れ!
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リゲル視点
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あづみが一緒の状態で戦闘になってしまうなんて。
もしあづみに何かあったらどうすれば…。
…ううん、私がそれを未然に防げば良いだけの事。
大体、大祐が遅いからこんな事になって――
「リゲル様、戦いに集中を。」
「あっ…ごめんなさい。…帰ってきたら大祐、覚えておきなさいよ。」
戦闘に関わらない話を愚痴りながらも中々に苦戦を強いられていた。
A-Zと同時に敵二人を撃ち抜いて先手を仕掛けたのは良いが、2対9でも辛いものは辛い。
しかも、私もA-Zも対多数を適応仕切れる程の器用さは無い。
1対1は得意なんだけれど…。
それでは意味がまるで皆無。
せめて、対多数を得意とするバトルドレスを所持している大祐が居てくれれば。
…あぁ、もう!
それもこれも全て、大祐が居てくれれば良い話じゃないの!
「余所見する余裕があんのかよ、ははっ。」
「くぅっ…!」
しまった。
大祐に全ての責任を負わせるようにする為には…なんて考えていたから正面(まとも)に攻撃を喰らった。
相手の横に振った槍が腹部に直撃。
だが、威力は低い。
先程から多々、攻撃を喰らってはいるがどれも致命傷とは程遠い。
地道に体力を削られている様な…。
まさか、こいつら私達を攫うつもりじゃ!?
もしそうだとしたら――
「リゲ…んぐ…!?」
「あづみ!」
名前を呼ばれその方向を見ると、あづみが一人の男ブレイバーに捕まっていた。
口を布で覆われ、喋れなくされている。
「待ってて!今行くから――」
「ほらよっ!」
「!?」
あづみを助けなければ。
それだけしか頭になかった私の目の前に、違う男ブレイバーが現れた。
その男ブレイバーの掌(てのひら)から粉っぽい何かを振り掛けられる。
びっくりした衝撃で、それを思いっきり吸ってしまった。
「けほっけほっ……何…これ…」
咳き込みをして粉末を体外に出すも、急に激しい眠気が襲ってくる。
ふらふらとしながらも眠気を必死に耐えるが、瞼が勝手に下へと下がってしまう。
隣では、私を守ろうとしているA-Zが抗戦しているが、後ろを突かれてダウンしてしまった。
…徐々に意識が遠くなり、いつの間にか目の前が真っ暗になっていた。
戦闘音すら聞こえない状態で私は倒れて――。
ふと、体全体を誰かに支えられた感触がした。
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リゲル先生のパーフェクトZ/Xの世界教室8
「…ねぇ、大祐。」
「何で御座いましょうか?」
「これは何時まで続ければ良いの?」
「そうですねぇ…僕の分からない事が無くなるまで、ですかね。」
「それじゃ、大祐から質問してきなさい?そっちの方がやり易いわ。」
「マジですか!?……何が良いかなぁ。」
「あまり難しい質問は――」
「リゲル先生の好きなひと〜とか?」
「………」
ガチャッ
「…冗談ですから、その狙撃ライフルを下ろして頂けると…。」
「貴方はもうちょっとマシな冗談を言いなさい。でなければ頭が胴体と離れ離れになるわよ。」
「リゲル先生の好きな人の正体が分かれば、例えこの身が朽ちようと!」
「…はぁ、全く。調子狂うわね。…今度からしっかりと質問してくれるのなら許してあげるわ。」
「流石リゲル先生。美人で優しいなんて最高じゃないですか。」
「…そんな、煽てても何も出ないわよ。」
彼の言葉に、リゲルは少しの嬉しさを感じた。
(大祐が分からない事は、私がしっかりと教えなきゃね。…好きな人は、いないって事も。)